2018年7月5日 平成30年度第4回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

○日時 平成30年7月5日
○場所 航空会館701+702+703会議室(東京都港区新橋1-18-1 航空会館7階)
○議題
1.テーマ毎の検討3(薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手)について
2.その他

議事

○屋敷総務課長 傍聴の皆様にお知らせいたします。傍聴に当たりましては、既に御案内しております注意事項をお守りくださいますようお願いいたします。
それでは、定刻になりましたので、ただいまから、平成30年度第4回「厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。
委員の皆様方には、御多忙の折、お集まりをいただき、御礼を申し上げます。本日は、委員20名中、山本委員を除く19名の御出席をいただいております。
続きまして、本日の配付資料の確認をいたします。座席表、議事次第のほか、資料1として事務局提出の資料、資料2-1及び資料2-2としまして日本薬剤師会からの提出資料、そして資料3は日本医師会からの提出資料をいただいております。そのほか、委員名簿を準備しております。
資料の不足等ございましたら、お申し出ください。
よろしいでしょうか。
また、本日も一応、タブレットを準備しております。試行的にペーパーレス化を実施しているということでございますが、お好みに応じまして御使用いただければと思います。タブレットにつきましては、下のタブでPDFないしはファイルで各資料を準備しておりますので、必要に応じ御参照いただければと思います。
それでは、間もなく議事に入りますので、冒頭のカメラ等撮影はここまでとさせていただきます。
(カメラ退室)
○屋敷総務課長 それでは、以後の進行は森田部会長、よろしくお願いします。
○森田部会長 皆様、こんにちは。お暑い中をお集まりいただきまして、ありがとうございます。
それでは、早速ではございますが、議題1に入ります。最初に、本日の議題につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○屋敷総務課長 本日は、4月に決定した3つのテーマのうち、テーマの3つ目でございます「薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手」について御議論をお願いいたします。
今回も個別項目ごとに御議論を深めていただくために、まず「I 薬局・薬剤師のあり方」について、その後「II 医薬品の安全な入手」について、区切って、御議論をいただければと考えております。
それで、資料の関係では「I 薬局・薬剤師のあり方」に関連しまして、先ほど御紹介いたしました資料2及び資料3の提出がありました。こちらも含めまして、御議論いただきたいと思います。
○森田部会長 ありがとうございます。
それでは、事務局から、資料1の「I 薬局・薬剤師のあり方」について御説明をお願いいたします。
○屋敷総務課長 それでは、資料1について御説明いたします。
まず(1)としまして、医薬分業が本来どのような目的で進められたか、また、その現状はどうなっているのかという点について、御説明をいたします。
その後(2)としまして、薬局・薬剤師に関する課題と論点(案)として、事務局で用意しました点を御説明させていただき、各論点(案)につきましても、また、その他の論点の有無につきましても御意見をいただきたいと考えております。
なお、本日はこの(2)の論点が複数ございます。また重要な論点でございますので、本日は2までを説明させていただいたところで、一度、委員の皆様から御意見をいただき、その後、時間が許せば残りの論点につきましても順次御説明をさせていただき、御議論をいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、資料1に入ります。
まず、スライドの2枚目でございますが、先ほど申し上げましたとおり、これまで本部会の中でも委員の皆様から御指摘をいただいておりましたとおり、医薬分業が本来どのような目的で進められたのか、その現状はどのようになっているのかという点についてが(1)で、その後(2)としまして論点(案)を複数説明させていただくということでございます。
まず1つ目の「医薬分業とかかりつけ薬剤師・薬局について」で、スライドの3枚目をごらんください。
医薬分業ですが、医師が患者に処方箋を交付しまして、薬剤師がその処方箋に基づき調剤を行うことによりまして、それぞれの専門分野で業務を分担し、医療の質的向上を図るものである。
法令上は、ここにありますとおり、医師法において、あるいは薬剤師法において、処方箋の交付義務でありますとか、薬剤師の処方箋による調剤等がそれぞれ資格法として定められているということでございます。
スライドの4枚目で、この医薬分業により期待される効果という点につきまして、今回、医師と薬剤師が相互に専門性を発揮することによる効果という観点に加えまして、調剤薬局を薬局が担うことによる効果という観点で整理をしてみました。
その2.の1つ目でございますが、医師等が医療機関の裁量や医薬品にかかわらず患者に最適な医薬品を自由に処方できるようにすること。また、処方箋が患者に交付されることによりまして、患者が御自身の服用する薬について知ることができること。あと、医療機関におきましては、外来患者に対します調剤業務が軽減し、病院薬剤師が入院患者に対します病棟業務を積極的に行うことができること。さらには、薬局が地域の中で住民との関係性を築くことによりまして、医療機器・医薬品に対します住民の理解が深まることなどが考えられるということでございます。
スライドの5枚目で、これらの効果を期待しまして、国としましても医薬分業を推進した結果、処方箋受取率、平成29年度は70%の水準に達しているという状況になっております。
スライドの6枚目でございますが、これに伴いまして、いわゆる調剤医療費と呼ばれます薬剤料、調剤技術料、いずれも増加をしてきている状況が見てとれるということでございます。
スライドの7枚目で、医薬分業によります期待した効果がどうだったかという点についてでございます。スライドの7枚目は薬局を対象としまして調査をやりますが、全応需処方箋の約3%で疑義照会が発生している。その後、発生した疑義照会件数のうち、約4割が薬剤師から薬剤選択、投与量の変更を提案したものになっている。その提案したものの8割が実際に処方変更になっているということでございまして、都合、全体の約1%の処方箋について、薬剤師による処方監査による処方変更が行われている状況があるということでございます。
スライドの8枚目で、後発医薬品の推進という観点からでございますが、まず、これは処方箋を発行されます医師が当然ながら、先発医薬品名を記載した場合であっても変更不可としないということでありますが、そこのスタートで、後発医薬品を調剤することが可能になるということでございます。これは患者に対しまして、そのきっかけをお聞きしますと、そういう前提がございますけれども、薬剤師からの説明が7割という結果が出ておるということでございます。
スライドの9枚目は、薬局の数で5.9万。そして、薬剤師は30万人。薬局・薬剤師で17万人で、病院・診療所の従事者が6万人弱という状況であるということでございます。
このような薬局の薬剤師が調剤を担うことによる効果というところがあるわけで、スライドの10枚目をごらんいただきますと、規制改革会議。これは平成27年1月でありますが、院内処方として医薬品を受け取るよりも、院外処方として薬局で受け取るほうが、患者の負担額は大きくなるが、負担の増加に見合うサービスの向上や分業の効果などが実感できないという指摘もいただいているところであります。
スライドの11枚目でございますが、こういう御指摘の背景といったものには何があるかということを考えますと、患者が受診する医療機関の近くの薬局において調剤を受けるということになりますと、毎回異なる薬局で行くことになります。そうしますと、御自身から見ますと、そういう薬剤師が服薬情報を一元的・継続的に管理をし、調剤を行っているという実感がその患者さん御自身薄いのではないかということが考えられるわけでございます。
このため、スライドの12枚目でありますが、これはこれまでも制度部会におきましても御紹介をいたしておりますが、平成27年でありますけれども「患者のための薬局ビジョン」を行政から提示しまして、かかりつけ薬剤師・薬局としての機能強化をしていく方針を示しているということでございます。
しかしながら、スライドの13枚目をごらんいただきたいと思います。このような形で薬局ビジョンなどを示されておりますが、国民の方の意識から見まして薬局がどのように見えているのかということでございます。インターネット調査で行ったところ、受診している医療機関がどこであっても決まった薬局で薬を受け取っておられる方というのは13%程度でありますし、また、かかりつけ薬剤師を知っておられる、あるいは知っているが利用したことはないというところも含めましても約4割という状況であったということであります。
スライドの14枚目でございますが、スライドの13枚目は一般的にインターネット調査でお聞きをしたということですが、スライドの14枚目は薬局に来られた患者さんにお聞きをしたものでございます。その中でも「受診している病院・診療所が近いから」という割合、複数回答ですが「信頼できる薬剤師がいるから」というものより10%高い割合になっている。こういう状況が出ているということでございます。近さを選択されていたということであります。
スライドの15枚目でございますが、かかりつけ薬剤師・薬局の認知度が十分かといいますと、十分ではないという現状だと思います。その一方で、かかりつけ薬剤師が決まっている患者さんについて見ますと、満足度は高いといった結果も出ておりますので、信頼できるかかりつけ薬剤師を選んでいただくことが薬物治療の理解あるいは安心といったものにつながるものではないかと期待をしております。
スライドの16枚目以降でございますが、ここまでは医薬分業とそれに伴う薬局あるいは薬剤師の現状についてお話をしてきましたが、医療・介護の全体像については、厚生労働省としましては、ICT等の活用あるいは多職種連携を推進するといったことによりまして、医療・介護サービスの生産性の向上、あるいは健康寿命のさらなる延伸を目指しているということでございます。
スライドの17枚目は地域包括ケアシステムでありますけれども、この地域包括ケアシステムの中で、薬局には医薬品供給体制を確保する。そして、多職種・多機関と連携をとりながら、医薬品の使用に関しまして適切な情報提供あるいは指導を行っていくことが求められているということでございます。
このような薬局・薬剤師に求められる役割につきましては従前より、これはスライドの18枚目をごらんいただきたいと思いますが、医療計画あるいは各種の個別の疾病対策に関連した施策の中でも言及されているということで、こうした役割をしっかり果たしていくことができるかどうかということが求められているのだろうと考えております。
スライドの19枚目でございます。こちらも参考で、医療機関から見て、どのような薬剤師と連携を図りたいと考えるかということで、日常的に連携がとれている薬剤師というもののニーズといいますか、その求めがあるのではないかと考えております。
このように、医師、薬剤師、それぞれの専門性を発揮しまして、医療の質の向上に資することを目的に医薬分業が進められてきたところでありますが、また一方で医療の高度化、チーム医療が進む中で、薬局・薬剤師がそれに対します役割が果たされるかどうか。その期待に十分応えていることができないのではないかという批判があるということでございます。
このために、薬剤師が薬局という基盤をもとに、地域医療におきまして職能を発揮していくために、事務局において4つの課題と解決するための論点を検討させていただきましたものがスライドの20枚目でございます。
まず1つは、薬剤師による情報提供。これをしっかりしていくということが大前提となって、対人業務を充実させていくためには、一方で業務の効率化といったものを図らなければいけない。こういう薬剤師の業務の質的な向上といったところを、次に薬局の中でどのように生かされるか、あるいは薬局がどのように連携をしていくかというテーマにつながるかと考えておりまして、続いて4ですが、これは1から3とは少し観点が異なりますが、法令を遵守した適切な業務が行われるようなガバナンスの確保といった点も論点として検討が必要ではないかということでございます。
本日はそのうち、この1と2の部分について御説明をいたします。
スライドの21枚目でございますが、薬剤師によります服薬情報の一元的な把握、あるいは継続的な把握といったところで、薬局からの回答で、重複投薬を防ぐことができたとか、あるいは継続的な取り組みの中では残薬解消につながったといった効果がデータとしては出てきているということでございます。
一方でスライドの22枚目で、継続的な服薬指導という観点から見た場合に、右側の円グラフは必要性でありますが、8割が必要だというふうに考えているが、実際、左側の円グラフで、実施の有無を見ますと、4割である。ここのところに差があるということであります。長期処方の増加でありますとか、高齢者の増加によります服用薬剤数の増加などに伴いまして、薬剤師側の継続的な把握が必要だということでございますけれども、まだ必要性と実施の間には半分であるという状況になっているということでございます。
スライドの24枚目をごらんいただきたいと思いますが、こうした状況を踏まえまして、まず1つ目の論点に関しましては、ここでアンダーラインを引いておりますが、服薬アドヒアランスの向上をさせること。そのためには、服薬状況を一元的・継続的に把握することが必要である。あるいは多職種からも期待されているということでございますし、また、服薬期間を通じた丁寧な患者の服薬状況の把握、その結果のかかりつけ医との共有。そして、処方提案を行うといったところが今後、強化に向けて検討が必要な事項ではないかと考えております。
続きまして、2点目の論点で、薬剤師の対人業務を推進するための方策でございます。
スライドの26枚目をごらんいただきますと、薬局ビジョンの中では患者本位の医薬分業を実現するために、かかりつけ薬剤師として、これまでの薬、物を中心の業務から患者さん、人を中心の業務へシフトしていくことがビジョンとして示されているということでございます。
スライドの27枚目で、これは日本薬剤師会さんで作成された資料を参考にさせていただいておりますが、当事者のほうから見ましても、薬剤師の業務は多岐にわたってきているということを考えましたら、薬剤師がみずから実施をすべき本質的な業務。一方で、調剤機器等の活用が業務の整理にも必要ではないかと考えております。
スライドの28枚目は調査研究の御紹介ということでございますが、医行為、診療の補助に対する関係と同様のものが薬剤師の調剤業務と補助的な業務というものにも当てはまるのではないかといった研究の状況でございます。
スライドの29枚目で、これは最近の話題ということになりますが、現在の調剤時の服薬指導については、薬局あるいは患者の御自宅におきまして、対面で実施をする必要があるということでございます。規制改革推進会議におきましては、オンライン診療の広がりとともに、服薬指導につきましてもオンラインでの実施を可能とすることによりまして「一気通貫」での完結できる在宅医療を目指すべきという御指摘があるということでございます。
スライドの31枚目ですが、オンラインによる服薬指導につきましては、いわゆる国家戦略特区法の枠組みによりまして、現在、可能になっているということでございます。全国で10カ所の特区があるのですが、そのうち全国3カ所の地域、愛知県、福岡市及び兵庫県養父市におきまして、特区法に基づく遠隔での服薬指導を実施する実証事業の計画が現在、認定をされているということでございます。
このような状況の中で、厚生労働省としましてはどのように考えるかということで、スライドの32枚目が地域におけます薬剤師の在宅対応等の充実の基本的な姿でございますが、僻地等の居住者を含めまして、在宅医療が必要な患者さんに対しまして、まずは薬剤師さんが積極的に患者の居宅を訪問し、副作用でありますとか服薬状況を把握し、そして服薬指導を行うことが重要であり、その上でオンライン服薬指導をどのように補完的に活用していくのかといった観点を含めまして、特区におけます実証というものも進むと考えております。それらの状況も踏まえながら、今後、また検討し、この制度部会でも御議論いただければと考えております。
スライドの33枚目が論点の2つ目のまとめでございますが、従来の対物業務を中心としたものから、患者が医薬分業のメリットを実感できる対人業務中心へシフトするといったもの。また、僻地等を含めた在宅医療の対応を充実させていくため、調剤機器やオンラインによる服薬指導の活用など、ICT技術の活用等により業務効率化を進めることも重要。そのときの要件をどのように考えるか。今後、その検討を深めていくべき論点ではないかということで御提案をさせていただいております。
まず、2までの説明は以上でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、引き続きまして、資料2につきまして、乾委員から御説明をお願いいたします。
○乾委員 日本薬剤師会の乾でございます。限られた時間の中、貴重な時間をいただき、大変感謝申し上げます。
テーマ3である「薬局・薬剤師のあり方・医薬品の安全な入手」に関する議論に当たり、薬剤師職能並びに薬局関係団体の立場の者として発言させていただきたいと思います。
医薬分業の意義や目的を初め、医薬分業という制度の中で、薬剤師並びに薬局がこれまで担ってきた役割、さらには医薬品の適正使用の推進のために取り組んでいるさまざまな内容については、事務局から提出された資料にも示されているとおりでございます。
そして、論点として示されている検討事項についても、考え方の方向性は我々も同じです。特に異論はありません。
医薬分業とは処方箋調剤のことだけをいうわけではありませんが、病院もしくは診療所で院外処方箋の交付を受け、それを町の薬局で調剤を受けるということが患者さんにとって当たり前となりつつある一方で、これまで我々、薬剤師会が目指してきた医薬分業の姿形と照らし合わせると、残念ながら、まだ不十分と言わざるを得ないのも事実でございます。
ただし、患者さんへよりよい薬物治療を提供するために、これまで現場の薬剤師が一生懸命かつ積極的に取り組んできた数多くのこと。それによって医療の質の向上に寄与してきたことは明らかであり、決して否定されるものではないと考えております。
そのあかしとして、かつては薬漬け医療と指摘された言葉も最近はほとんど耳にすることはありませんし、そのようなことさえ知らない人も多くいると思います。薬に関する情報提供やお薬手帳の普及など、今では当たり前のように受けとめられているかもしれませんが、それらは医薬分業によることが大きいのは間違いではなく、そして、それを理解していただいた方々によって得られたものと言えるのではないかと考えます。
しかし、実際に薬局において、薬剤師が処方箋の調剤という業務を通じて、個々の患者さんのためにどのような取り組みを行っているのか、見えにくいといった指摘もあり、お手元の資料2-2をごらんいただけますでしょうか。少しでもその内容を御理解いただけるよう、現場の薬剤師・薬局による取り組み事例を紹介するものです。
時間の関係もあることから一つ一つの事例を説明することは割愛いたしますが、それぞれの内容を見ていただければおわかりになりますように、薬局が地域にあること、薬剤師が職能を発揮することにより患者さんが受けるメリットについては言うまでもありません。
例えばスライド4枚目の事例3などのように、高齢になるにつれ複数の診療科を受診する機会がふえ、使用する医薬品もふえていますが、市販薬を含めて、そのような患者さんの状況を把握し、リスク回避させていくことは極めて重要であり、まさにかかりつけ薬剤師としての責務であると言えます。
また、スライド9枚目の事例8やスライド10枚目の事例9のように、在宅での認知症患者さんの個別の状況に応じた工夫や対応は不可欠であり、人口減少、高齢化、人口の都市集中、地方過疎化といった社会の中で今後ふえていく在宅患者を支えていくため、薬局は薬剤師の業務を変えていかなければならないと考えております。
昨今、各方面から指摘を受けているとおり、経営を優先する薬局が目立ったり、患者さんにメリットを実感してもらえるような業務が不足あるいは見えていなかったところがあるのは否めません。我々、職能団体としては、そのような状況を変えなければいけないし、それが薬剤師の社会的な責務を果たすために必要なことと認識しております。
そのため、日本薬剤師会では薬局・薬剤師のあり方、医薬品の安全な入手に関する議論に当たり、薬剤師・薬局関係団体として、日本保険薬局協会及び日本チェーンドラッグストア協会と議論を重ねてまいりました。
資料2-1は、当部会での議論に当たり、薬剤師・薬局関係団体による議論を経て、これまでの議論の方向性を踏まえて、その考え方を整理したものです。
1ページをごらんください。「1.薬局の機能について」であります。
現行の薬機法においては「薬局」は薬剤師が調剤の業務を行う場所ということしか定義されておらず、医薬品の販売に関する記述はあるものの、括弧書きという取り扱いにすぎません。
しかし、本来「薬局」とは、調剤のみに偏ることなく、要指導医薬品・一般用医薬品を含め、全ての医薬品及び衛生材料等を供給する機能を有する施設であり、地域包括ケアシステムの一員として、地域において多職種連携を図るよう努める必要があることなどを、法律上明確に定義する必要があります。
また、さらにそのように薬局のあるべき姿というものを定義した上で、例えば在宅医療に対応している薬局、高度薬学管理機能を有している薬局といったように、国民・患者さんから見て、その薬局がどのような機能を有しているのかといった情報を容易に把握できるようにするため、各施設が有する機能に応じて薬局を分類することも必要ではないかと考えます。
次に、2ページをごらんください。「2.多店舗展開を行っている薬局におけるガバナンスのあり方について」であります。
現行の薬機法においては、薬局の開設者に対して、みずからその薬局を実地に管理するよう義務づけています。
ただし、開設者が薬剤師でない場合、または、開設者がみずから管理しない場合には、当該薬局に従事する他の薬剤師のうちから管理者を指定して、実地に管理させなければなりません。
その際、管理者は開設者に対して、必要な意見を述べなければならず、また、開設者は、その意見を尊重しなければならないとされています。
しかし、同一の者が複数の薬局開設者を兼務している場合、その規模が大きいほど、開設者と管理者が直接の意見のやりとりを行うことが困難となるのは容易に想像できます。
そのため、多店舗展開を行っている薬局の場合、開設者と管理者の間に中間的総括者を設けることにより対応しているケースは多く存在いたしますが、昨今、開設者及び管理者に求められる責務が果たされず、薬局のガバナンスが機能していないことが原因と考えざるを得ない事案が目立っています。
そのような状況に鑑み、薬局運営におけるガバナンス確保の観点から、開設者並びに管理者のさらなる責任の明確化や罰則の強化等を図るとともに、現行法令上明確となっていない中間的総括者の位置づけやその責任等についても整理する必要があります。
次に、3ページをごらんください。3つ目として、地域における医薬品供給体制の確保についてです。
先ほど1.で申し上げました、機能に応じて分類された薬局が、過疎地域や中山間地域等を含め、地域住民・患者への医薬品供給体制を確実に担うよう、地域ごとに例えば「医薬品供給体制確保計画」のようなものを策定する必要があると考えております。
同計画の策定に当たっては、医療計画や介護保険事業支援計画などの各種関連計画との整合性を踏まえつつ、患者・地域住民のニーズをどのように把握するかも重要です。
薬剤師は、地域住民もしくは患者さんの医薬品の供給に責任を持たなければなりません。それは都市部のような利便性が高い地域だけではなく、過疎地域や中山間地域のようなところであっても同じです。
しかし、現状では個々の薬剤師・薬局に依存しなければならないのが現状ですが、薬局並びに薬剤師が、どのような地域であっても医薬品の供給体制を確保するということを明確に打ち出す必要があり、そのためにも法令上の下支えが必要であると考えています。
また、それにより、地域住民のために取り組んでいる各地域の薬剤師会の活動を支援していくことにもつながります。
薬剤師並びに薬局が取り組むべき課題はこれだけではありませんが、見直しの大きな方向性としては、少なくとも、ここに取りまとめたような3点があると考えており、これらについては薬剤師・薬局関係の3団体が同じ方向を向いていることは間違いありません。
地域包括ケアシステムの構築に向け、その一員として、薬剤師並びに薬局は、目の前の患者さんが使用する全ての医薬品について責任を持つという考え方のもと、いま一度、襟を正して、これまで以上に患者さんのために頑張っていきたいと考えております。
今回の議論でいただく御意見を受けとめつつ、前向きな議論をしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上でございます。
○森田部会長 ありがとうございました。
ただいまの事務局及び乾委員の御説明、御発言につきまして、御意見、御質問があれば御発言をお願いしたいと思います。
まずは、資料3を提出していただいております中川委員のほうから。
○中川委員 いや、後でいいです。
○森田部会長 よろしいですか。
○中川委員 はい。
○森田部会長 それでは、手を挙げて。
山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。
今、乾委員から御説明いただいた内容ですけれども、確かに一生懸命やっていらっしゃる薬局があって、成果が出ているところがあるということはもちろん承知していますが。しかし、調剤だけでやっていけている現状があって、多くの薬局・薬剤師の意識が変わらないことには、このようないろんな対策をお立てになったとしても、やはり本気で変わらないのではないかと危惧しています。
それから、ガバナンスのお話をされましたけれども、例えば開設者が利益追求の方針であれば、そのトップの方針に逆らえないというところで起きている問題もあるのではないかと思っています。
事務局から御説明があった資料1のスライドの10枚目のところに論点ということで、規制改革会議の資料として、院外処方にしたけれども、患者の負担は大きくなって、負担の増加に見合うサービスの向上や分業の効果などが実感できていない。こういう指摘がありますけれども、私もまさしくそうだと思っています。30年前と比べると分業率は1割から7割ということで上がってまいりましたけれども、本来の目的を達成するためにふえたというふうにはなかなか思えず、分業のメリットについて、患者はほとんど感じていないことのみならず、ほかの医療者の方にも分業のメリットということが感じられていないことが私は問題ではないかと思っています。
先ほどインターネットの世代に調査したところ、かかりつけ薬剤師の認知状況は4割との説明がありました。インターネットで調査したということは、一般の患者さんということになるともっと認知はされていないと思われます。それはなぜかというと、やはり門前薬局が非常に多くて、患者の中には処方箋を出されると、その近くの薬局に行くものだと、あるいは指定されているように受けとめている方もいらっしゃる。そういったこと問題がございます。
そういう現状を考えたときに、先ほど来、論点として、薬学的知見に基づく指導ができる体制づくりということがありましたけれども、私はやはり、このあたりをもう少し強力に進めていかないといけないのではないかなと思っています。以前もこの会議で申し上げましたが、薬学的知見に基づく指導をしましょうと薬剤師法が改正になった前と後とで、薬局・薬剤師が手にしている資料は全く変わらないわけです。だとすれば、やはりそろそろ処方箋も病名を入れるとか、改善をしていく必要があると思っていますし、検査データを含めて、薬剤師が薬学的知見に基づく指導をするために必要な情報とは何なのかということをもう少し自ら発信していただく必要があるのではないかと思っています。
そして、外来で診てもらっているときに薬局を使っていたとしても、入院すると、そこでぷつりと情報が切れてしまいます。だとしたら、外来も入院中、そして退院した後も継続して、例えば薬局・薬剤師が服薬状況を把握できるような薬薬連携を進めていくことが不可欠です。そして、調剤した後、終わりではなくてフォローする体制づくり。そういったものをしっかり整えた上で、それをきちんとやっていないところは薬局として認めませんぐらいに言わないことには、一生懸命考えています、話し合っていますといっても、実態としては変わらないのではないかなと思います。
それに加えて、多職種連携の評価と、在宅を含めて薬剤師が薬局の外へ出ていく。そして、地域包括ケアシステムの中で貢献するということをきちんと位置づけて、それらに取り組まない薬局・薬剤師は、かかりつけ薬局・薬剤師ではありませんという方向性にしていくべきではないかと思います。
ですので、いろんな課題として必要性だけを示したとしても変わらないのが現状で、私は今、かなり薬局は危機状態だと思っています。そういうことからすると、危機感を持って薬局や薬剤師が変わることができるような手段といいますか、対策を講じていくべきではないかと思いました。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
それにつきまして、乾委員、どうぞ。
○乾委員 今、山口委員御指摘のことは本当にそのとおりだと私も思っておりまして、今、変わらないと本当に薬剤師として、せっかくここまで薬局が、処方箋の受取率も上がり、ほぼインフラ整備はできた。それをしっかりと、ただ国民・患者さん、地域住民のために、薬局がきちんと役割を果たしているかということが突きつけられているのだと思いますし、その辺のことについては、この制度部会でしっかり議論いただいて、それについて、我々も変わっていかなければならない。しっかりやっていこうと考えております。
○森田部会長 ありがとうございました。
どうぞ。
○山口委員 1つ言い忘れたことがありまして、事務局に対してですけれども、この資料1のスライドの4枚目のところに「2.調剤業務を薬局が担うことによる効果」というものがあるのですが、ここに一元管理が入っていないのが私はちょっと疑問に思ったのです。本当に医薬分業をしっかりやったことで効果があるとしたら、一元管理できるということは非常に大きいことだと思っています。今、複数の疾患を持っている方がふえているだけに、この効果の中にぜひ、一元的管理ということを入れていただく必要があるのではないかということを申しておきます。
○森田部会長 これにつきまして、事務局のほうは何か。
○屋敷総務課長 まさに御指摘のとおりでございますので、次回以降、そのような形で、また御議論を進めていくベースとしてはさせていただきたいと思います。
○森田部会長 では、中川委員、お待たせしました。どうぞ。
○中川委員 私は、山口委員の御意見に大賛成です。そのとおりだと思います。
それで、乾委員が山口委員の御意見に対して、そのとおりでございますとおっしゃいましたけれども、乾委員の意見に対してそうではないとおっしゃっているのです。それがそのとおりというのは最後の1行だけですか。確認です。
○森田部会長 では、乾委員、どうぞ。
○乾委員 現状できていない薬局があるということであれば変えなければならないというのが私の申した意見でございます。それがそのとおりだということです。
○森田部会長 どうぞ。
○中川委員 わかりました。
この資料2-1は乾副会長のお名前になっていますが、内容としては日本薬剤師会の総意ですか。
○乾委員 先ほども申しましたように、日本薬剤師会と他の団体と一緒になって検討したというところでございます。議論です。ですから、日本薬剤師会は当然、総意です。
○中川委員 他の団体の中には日本医師会は入らないのですか。
○乾委員 申しわけないですけれども、先ほど申しましたように、薬剤師・薬局関係団体のほうの他の団体という意味でございました。
○中川委員 そういう団体で相談されて、こういう紙をつくられたのですか。
○乾委員 そうです。
○中川委員 例えば地域包括ケアシステムの中で多職種の一員として頑張らなければならぬというのはそのとおりだと思いますが、それを法律上に明確に記載しなければならないとおっしゃっていますね。それで、最後のところにも、この資料にないところでも、法令上の下支えがあるべきだというふうに言っていますが、地域医療の提供体制に加わって、地域包括ケアシステムを構築していくのに当たって、いちいち法令上で明確にそれを規定しなければできないのでしょうか。
○乾委員 法令上に明確にするほうがやはり実効性があると考えたわけでございます。特に山間僻地等に医薬品を供給するということについてはそういうことが必要ではないかという考えでございます。
○中川委員 先生がお出しになった資料の2ページ目で「2.多店舗展開を行っている薬局におけるガバナンスのあり方について」ですが、多店舗展開だから、イメージとしては大手調剤薬局チェーンですね。そこのところの一番下の○で「しかし、同一の者が複数の薬局開設者を兼務している場合、その規模が大きいほど、開設者と管理者が直接的に意見のやり取りを行うことが困難となるのは容易に想像できる」とありますが、そのとおりです。
ただ、管理者が開設者に物を言う。物を言うというのは、すばらしいとか何とか言うのではなくて、どちらかというと問題点とか、苦言を呈するわけですね。そういうことを言えると思いますか。現場として、一薬局の管理者が会社の本部にいるトップの開設者に対して何か物を言えるという状態なのでしょうか。
○乾委員 これは想像でございますけれども、非常に難しいのは確かだとは思いますが、ガバナンスのきいている企業であればそういうこともできるようになっているのではないかと考えます。
○中川委員 乾委員の御意見はわかりました。
部会長、資料の説明をしてよろしいでしょうか。
○森田部会長 それでは、ほかの方、特に今の件で御発言はございませんね。
もし、あれでしたら、御説明を聞いた後で御発言いただけるなら、それで。
○村島委員 いや、別のことなので。
○森田部会長 わかりました。
○村島委員 1ページ目なのですが、薬機法の現在の「薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務を行う場所」というものを「医薬品及び衛生材料等を」とわざわざここに書きかえるというのを目指していらっしゃるのだと思うのですが、現在は、薬局ではこういうものは売れないということなのですか。
○乾委員 いえ、そうではありません。先ほど申しましたように、括弧書きの「医薬品の販売業」ですけれども、別に当然ながら、現状、置くことは可能ですし、やっている薬局も多くあります。ただ、地域の全ての薬局がということになると、やはりそういうところを明記するべきではないかという考えであります。
○村島委員 何か意味があるのかなとちょっと勘ぐってしまったのですが。わざわざこうすることで何かメリットがあるのかよくわからなかったのでお聞きしましたが、後でいいです。
○森田部会長 それでは、中川委員の御意見を伺いたいと思います。どうぞ。
○中川委員 資料3をお願いします。タブレットの資料3は修正が必要なので、できれば紙を見ていただきたいと思います。
まず1枚おめくりいただいて、右下の2ページをお願いします。「調剤技術料の動向」という視点で見てみました。
この図をごらんいただきたいのですが、2001年を起点に100としますと、医薬分業に向けて院外処方にインセンティブを付与してきた結果、調剤技術料は医薬分業の拡大以上に伸びているということを示しています。一番上が調剤技術料で177、その下が医薬分業率で161ですが、それに対して診療所入院外技術料は126というふうにとどまっています。このことは非常に重大な問題な、今の状態を象徴しているのだろうと思っています。
3ページをお願いします。この図をごらんください。「調剤技術料の動向」です。
2016年度は、処方1回当たりまたは処方箋1枚当たりの調剤関連技術料は院外処方、これは薬局プラス医科院外ですが、3,029円。院内処方では789円と、3.8倍の開きがあります。この差はそのまま患者さん負担の差につながっています。御存じのとおりです。
右下の4ページをお願いします。具体的な例を挙げて「院内処方と院外処方の患者負担」の差を比較させてもらいました。
院外処方の患者負担は、2~3倍から4倍以上にもなります。
また、生活習慣病で複数疾患がある場合の患者負担は、院外処方が院内処方を1,000円以上増えるることも珍しくはありません。
右下の5ページをお願いします。これは直近3年間の試算です。
調剤関連技術料は、院内、院外合わせて2兆5,000億円を超えていますが、仮に全ての処方を院内処方の点数で対応したとした場合の費用は約8,000億円です。この差額は、1兆7,000億円です。これだけの財源を投入して医薬分業を進めた結果が今の状態です。
皆さん、どう考えますか。医薬分業自体を見直す時期に来ているのではないか。院内処方に回帰する議論もあってもいいのではないかという理由は、このことです。ぜひ、この制度部会を中心に議論をしていただきたいなと思います。
日本薬剤師会が資料を出されて御説明されましたが、ああいう方向性で何か薬剤師のあり方を見直せば医薬分業のあるべき姿に戻れるのだというのは、私は率直に言って、甘い見通しではないかと思っています。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
これにつきまして、どうぞ、御発言をお願いいたします。
では、花井委員、どうぞ。
○花井委員 今、日本薬剤師会や日本医師会のほうから意見が出ていて、この話というのは、私も医薬分業とは何かということだと思うのですけれども、これは繰り返し私があちこちで言っていることですが、今、できている医薬分業というのは、かつての薬漬け医療に対するカウンターカルチャーでしかない。つまり、それはいわゆる医薬分業なのではなくて、薬漬けをなくそうということで政策誘導していると思うのです。その政策誘導というものがまさに日本の場合は中医協を中心に議論される診療報酬上の重しづけということになると思うのです。
中川先生から指摘されたのは、その重しづけをやり過ぎて、これだけこうなって、結果がこうではないかという議論だと思うのですが、本来、ここで議論すべきことというか、医薬分業という言葉、つまり、単に処方箋が外に出たということで正解だとしている話ではなくて、薬剤師の皆さんには申しわけないのですけれども、ある意味、薬剤師が医療にとって必要か否かということを突きつけられているのです。それは遠回しで皆さんおっしゃっているから、山口委員も中川委員も遠回しで言っているのですが、極論すればそういう議論になっているわけです。今ある医薬分業の実情について、国民として、もしくは医師として評価しにくいのではないかという意見だと思うのです。
ここまで薬剤師さんに厳しいことを言ってなんなのですが、私としては、やはり薬剤師の職能を十分生かしていないということについて、私は常に思っていて、答えは厚生労働省資料の26枚目のスライドに書いてあるわけです。このスライドは10年近く、私たちが理想として見出しているものであって、これがこのお題目のまま来た割には今、実現していないということに対する憤りが今の諸先生方の意見だと思います。
なので、細かい論点はこの発言では申しませんけれども、1つはやはり、例えば医薬分業によって病院の薬剤師は業務が楽になっているはずなのですよ。そうすると病院の中、いわゆる急性期医療機関等々で薬剤部のイニシアチブというものは相当、患者の中では高まっていなければいけないのに、それはそうでもないではないか。院内の処方の負担から解放された薬剤師さんが本当に活躍しているのかという病院の薬剤師の問題と、それから、まさに処方箋が外に出たことによって薬剤師さんがどれだけ患者さんの利益になっているかというところが今、残念ながら余り高い評価がない。
ただ、辛いことを言っていますけれども、一応、細かいところを見ると、先ほど応需した処方箋に疑義照会して1%といいますが、100人のうち1人が処方が変わっているとすれば、それにはそれなりに機能しているとも見ることができますし、あと、先ほどのいわゆるかかりつけ薬剤師の浸透しなさもありますけれども、これも年齢によって違うと思うのです。インターネットは割と若い層だから、高齢者のほうはやはり割と動きがそんなにあれではないから、生活圏でもしかしたら薬剤師を頼っているかもしれないとか、現状の、感覚的にはちょっと辛い評価があるとともに、積極的な評価の部分を見た上で、いかに薬剤師さんがその職能を発揮できるかという、理想型はこの26枚目のスライドだと思うのですが、ぜひ議論していただきたいと思います。
その結果、診療報酬の話はその結果にどう評価するかの話なので、ただ、いわゆる中川先生が指摘したように、結局、薬漬けをもうやめるために医療のアウトカムというか、プロセスでもいいのですけれども、その行為、調剤というものに対する評価の重みづけで政策的に誘導したというところにちょっと無理な誘導があったのではないかという指摘はそのとおりだと思うので、ぜひそこは別の議論としてはあっていいと思います。
もう一つは、先ほど山口委員が例の集中管理という話があったのですけれども、やはりOTCの話で、ちょうど前々回の薬機法の改正のときには多分、インターネットで販売するのか否かとか、深夜・早朝に薬は買えないではないかみたいな商品の販売という文脈でOTCが議論され、そのときに薬剤師のほかに別の資格もつくったりしたのですが、結果的にインターネットは解禁してしまっているのですが、やはり今回のいわゆる対人業務という文脈の中でOTCもちゃんと位置づけることが大事です。
正直言いますと、やはり処方箋で稼ぐというビジネスモデルと言うと薬局の先生方に申しわけないのですけれども、やはりOTCに対して、ある意味、それは軽んじているというか、患者から見ればOTCも今やいろんなスイッチもあって、ほとんど作用としてはかなり切れのいいOTCが出ている中で、それはネットでも販売して、全部適当に買えて、医療用医薬品だけはちゃんと管理するのだみたいな話はちょっとおかしな話なので、OTCも含めて、薬剤師というものは全体の患者1人という対人業務の中で医薬品全体を相談でき、見られるということを薬剤師の機能として国民が理解すれば、これは院外処方いいことだという話になると思うので、そこのところをもうちょっと重みづけを置いてほしいと思います。
それから、議論の進め方として、さっき法律に書くか否かというのは最終判断だと思うので、確かにこのことを、法律を変えたらどうなのかという議論をし出すと法律の条文の議論になるので、後でそれはやったほうが効率的かなと思いました。
以上です。
○森田部会長 では、中川委員、どうぞ。
○中川委員 今、花井先生が言ったことに私もおおむね賛同しているのですが、医薬分業が進んだのに院内薬剤師の機能が高まっていないのではないかというのは、私は診療報酬上で院内薬剤師業務の評価が全然高まらないからだと思います。やはり医療機関内で薬剤師の立場がそれに伴って上がらないのです。これでは医療機関内で評価されていない薬剤師さんたちがもっと頑張ろうというインセンティブが働かないのは当然です。この辺の見直しも私は必要だなと思います。
それから、先ほどの私の主張に関連して申し上げたいと思います。
大手調剤薬局チェーン5社、これは皆さん、すぐわかると思いますが、2016年の当期純利益が213億円でした。そのうち40億円が配当され、残りの173億円が利益剰余金、内部留保に積み増しているのです。それで、大手5社の2016年度末の内部留保の総額は1,107億円にも上っているのです。
調剤薬局企業は、営利企業ではありますが、我が国の公的医療保険制度下のプレーヤーでもあります。したがって、例えば薬局企業の役員報酬であるとか、内部留保だとか、配当金などが適正利益水準であるのかどうかを確認する必要があると思います。
一方で、今の医療経済実態調査では薬局単位の調査になっているのです。大手調剤薬局チェーンの薬局でも1つの薬局です。ぜひ法人単位で損益計算書、貸借対照表などの情報を把握する必要があると思います。
また、当該調剤薬局企業の調剤薬局部門のデータについては、法人単位の損益計算書と貸借対照表に加えて、平均給与や従業員数などの情報もぜひ開示していただきたい。例えば調剤大手では薬局事業のセグメント情報を開示していますが、調剤報酬を売り上げとする調剤薬局事業に限定した情報開示をぜひしてもらいたいと思います。それによって、適正利益水準であるかどうかは判断できると思うのです。
この点は、固有名詞を挙げて恐縮ですが、日本調剤はこれに近い開示をしています。例えば報告セグメントとして、調剤薬局事業、それから、医薬品製造販売事業、医療従事者派遣紹介事業というふうにしているのです。
ところが一方で、ドラッグストアの報告は、例えばその他の小売事業というくくりなのです。これでは公的医療保険制度下のプレーヤーとして、どのぐらい利益を上げて、それがどういう使い方をしているのかということが全く見えない。まずは医薬分業をやめろとか、営利企業がけしからぬという、すぐそういう議論に持っていくつもりはありませんが、まずはこの営利企業である調剤薬局チェーンの内部のデータを徹底的に開示するところから、医薬分業はこのままでいいのかどうかを議論するべきだと思います。
何となくイメージでこうあるべきだ、頑張ろうでは到底、改善の方向には進まないと思っています。
○森田部会長 村島委員、どうぞ。
○村島委員 皆さんとほぼ同じ意見なのですけれども、この委員会の中に病院薬剤師会の先生は平井先生でいらっしゃるのですね。私は先ほど院内の病院薬剤師さんの評価がなかなか進まないというお話でしたが、高度医療機関で勤める者として、やはりそう思います。大変優秀な薬剤師さんがそろっているにもかかわらず、なかなか進まないので、今や調剤薬局に新卒が好んで就職するというのを聞きまして、暗たんたる気持ちになっています。
多分、優秀な学生さんが薬学部へ行って、薬学を修めていっていると思うのですが、その人たちの将来はどうなるのかなと、本当に心配している者の一人としまして、ぜひ、この会で病院薬剤師さんの評価を上げるような仕組みを考えていただきたい。きょうは、これは薬局だけではなくて薬剤師のあり方ですから、病院薬剤師さんのことも考えていただきたい。
それと、やはり病院に勤めていますと、正直言って、医薬分業のありがたみは感じていません。唯一感じるのは、在庫管理としてありがたいと。レアなお薬のときに遠慮なく処方できる。病院の薬剤部の心配をしなくてもいいかなというところで。
あと、私は老人を診ていませんのでよくわかりませんけれども、老人のポリファーマシー開業医の先生たちの場合には調剤薬局との医薬分業が役立っているのではないかとは思いますが、その2つぐらいしか思い当たりません。
もう一つは、病院から見ていますと、病院薬剤部と調剤薬局の連携がちゃんとできているのか。その辺も危惧しております。薬剤師さんの職能を生かせるような方向に持っていっていただきたいというのが私の意見です。
○森田部会長 ありがとうございました。
では、どうぞ。
○平井委員 村島先生、ありがとうございます。病院で、薬剤部で経験していた者としまして非常にありがたいお言葉、それから、中川先生も非常にありがたいお言葉をいただいたと思うのですけれども、花井委員から御意見がありましたが、資料1のスライドの26枚目の「患者中心の業務」というものの右側の中で、在宅訪問での薬学管理以外のことは、病院薬剤師は全部やっています。
実際に、村島先生も御存じだと思うのですけれども、病棟に薬剤師が行くようになりまして、病棟での連携というのですか。処方に対する処方支援という形で、ドクターの処方に対して薬剤師がサポートするようなことも実際にやっていますし、一部の病院ですと、外来診療に薬剤師が出まして、ドクターが診察をなさる前に薬の情報を患者さんから聞き取って、その情報をドクターに伝える。そうすると、ドクターの診察が非常に効率的に行われるようになるということもあります。
ですので、現在、病院の薬剤師は特に報酬がない中でもそういうことをやっていますし、6年制になってからそういった内容というものが教育の中にも浸透しつつありますので、以前よりも新卒者が、乾先生には悪いのですけれども、薬局よりも病院を選ぶという新卒者も以前よりはふえてきていますので、若い人たちはその辺のことがある程度わかってきているのです。
ただ、薬局さんにしたら、やはり在宅訪問というものはなかなか病院の薬剤師ではできませんので、そういったあたりでの業務の充実というものは、実際やっておられる方のお話を聞くと、薬剤師は非常に頑張って、ドクターが行かない間のところを埋めているということもありますし、あと、病院との連携というものは各地でそういう勉強会等々も行われてはいますが、実際、機能しているところはまだまだ少ないのが現状なので、このあたり、今後、やはりテーマを何か絞って連携していかないと、ただ連携しましょうというだけでは話が進まないのだと思うのです。
だから、ポリファーマシーのことについてもそうなのですけれども、テーマを絞って連携をしていくということが重要かなと考えています。
○森田部会長 ありがとうございました。
では続いて、三村委員、本田委員、そして、阿真委員の順番でお願いいたします。
○三村委員 私は流通の立場から、前から医薬分業における何か違和感はどこかでずっと感じていたのですけれども、先ほど中川委員がおっしゃったところは恐らく基本的であって、日本の薬局は薬局の問題とか薬剤師の方の本質的問題というよりも、薬局という制度とか、それをビジネスモデルとして展開しているときに、どうしてここまで巨大化したかという言い方をすると、そこに何か本質的な議論が本当は必要なのだろうという感じがいたします。
医薬分業の一番最初に薬価差の問題があって、でも、今、薬価差はどこで生まれているかといいますと、正直言いまして、薬局との取引で生まれております。そういう議論はほとんど、この場でやるようなものではないので申し上げませんが、基本的にそういう話です。
それから、実はこれは、一條さんがおいでになりますけれども、卸の立場からしますと、処方をして調剤されるところと、処方が基本的に来るところに対して卸売の機能として同じ機能でいいのかという議論は当然あります。ですから、本来的には同じ価格条件を出すべきかという議論がされる。
そのときの前提としましたら、日本の医薬分業はもともと、そもそも論からして、歴史的な性質はあったと思うのですけれども、本当の意味の薬局をつくるという形にどうもなっていなかったのではないか。流通の立場で言いますと今の薬局は、乾委員には大変申しわけないのですが、正直言って、余りリスクがない御商売をやっていらっしゃる。リスクがないという言い方はちょっと言い過ぎなのですけれども、例えば流通上のリスクは余り持たなくても済む御商売をやっていらっしゃるところもあると思います。
ですから、基本的にそういうところまでどうするかという、本当はかなり大きな問題もあるかもしれないということをずっと感じておりました。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
それでは、本田委員、どうぞ。
○本田委員 私も一患者として、また取材者として見ているのに、今、当初の医薬分業ということが言われていたことと現実が全然伴っていないといいますか、患者さんにとっては面倒になったというのが実感だと感じています。当時言われたことがちゃんとやられていたら、それなりに理解もあったかと思うのですけれども、まずそこが大きな問題だと思っています。
そういう認識のもとで、私、幾つか意見というか、感じていることを申し上げたいのですが、先ほどから話題になっていました病院薬剤師の方々について、暇になっている分、どうなっているのかという意見がございましたけれども、実際、例えばがんの分野とかだと、今、外来通院、外来の抗がん剤治療などで、その間にかなり薬剤師の方が来てくれて、副作用のこと、食事との関係、ドクターには忙しくて聞けないような日常生活の注意点とか、かなり活躍していらっしゃるような病院もあって、病院のやり方次第だと思うのです。そういうことをもう少し評価していくのはとても重要です。ただ、まだそれが全体に広がっているかということはちょっと疑問がありますので、そういうことをもっとできるような環境をつくっていくことがまず一つ重要かなと私もすごく思っています。
一方ですごく課題だと思っているのが、やはり町なかの薬局、院外薬局のあり方、あとはそういう大手チェーンのあり方もそうなのですけれども、どうしてもいろいろなことが言われて、患者さんへの情報提供だとか、専門性を生かした、ここにも書いてあります薬学的知見に基づく指導の強化だとか、お題目は格好いいのですが、現実問題として診療報酬の点数に応じた動き方というものをしているのが目に見えてしまいますし、現実、さらにそういうことをちゃんとやってくれと言った場合に、私は一患者として継続的にお薬をもらいに行くことは多いのですけれども、今の環境で私、そんなことをされては困るというふうに患者としては思うのです。幾らつい立てがあっても、これは長くずっと言われていることですが、昔に比べてつい立てをつくるようになりました。つい立てをつくられても、このお薬のことを、結構ナーバスなお薬であったり、余り人に知られたくないような、本当は聞きたいことがあっても、とても言えないし、ゆっくり聞いていられないし、そういう環境のもとでこんなことができるのかというふうにすごく思っています。
だから、こういうことを進めるような専門的な知識、情報提供、もしくはそういう知見を生かした指導みたいなことがちゃんとできる薬局をつくっていく場合にはそういう環境整備も必要でしょうし、全てがそういうことはできないでしょうから、薬局の機能分担というか、役割分担というものも、ある程度、明確化して、そういうことができる薬局に対しては何かしらのインセンティブをつけていくとか、そういうことをもしっかりやっていかないと、みんな同じ薬局としてやっていくのはもう無理だと私は感じています。それが専門性の部分だけではなくても、例えば地域包括ケアの中で、先ほど病院薬剤師が院内を回っていらっしゃるように、地域の薬局さんは在宅であったりとか、来てくださる方とかに生活支援とか、そういうことを本当にやっているような環境なり実績なりがあるところは評価していくという、機能分化というのですか。そういうことをしっかりやるしか薬局全体を、このまま生きていくのは無理ではないかなと感じています。
○森田部会長 では、阿真委員、どうぞ。
○阿真委員 3つの意見というか、感想と、1つ質問があるのです。
まず1つ目に、子供のこと、自分の子供だったり、自分の今の活動に関するもので、子供のことに関して医薬分業の成果というものを感じたことはないのです。これが1つなのです。
もう一つ、病院の中で高齢者の方をサポートする活動をしているのですが、その中においては、薬剤師さんが頻繁に病室の中に来てくださるようになって、ここ数年で本当にそこは変わったなと。薬剤師さんが説明に来て、ゆっくりお話しして、こうです、ああですというふうに言ってくださる。病院によって違うとは思うのですけれども、そういう姿を今は、私がかかわっている病院では頻繁に見ることができていて、そこは非常に変わったなと思っています。
3つ目の感想というか、意見は、ちょっと話があれかもしれないのですが、大手の薬局さんで、例えばお豆腐とかもやしとかすごく安いのですよ。主婦の方、あと、買い物をされている男性の方もわかるかもしれないのですけれども、何でこんなに安いのかなと思って、よくいろいろ本とかを読んでみると、ある程度、薬でもうかっているから、お豆腐とかもやしとか、普通だったら100円ぐらいするものが30円ぐらいで売っていたり、そういうところで割引が、すごく安くなるというのは、主婦としてはうれしいのですけれども、これはどうなのだろうかなといつも思っていましたので、そこら辺のことが明らかに公開されていないというのはちょっとどうかなと思っています。
最後、質問なのですけれども、中川先生の資料の5ページ目のこの差というのは、私が不勉強でわかっていないところだとは思うのですが、どうしてこんなに、額にすると物すごい大きな差になっていると思うのですけれども、これは何がどうしてこんなに差がつくのかというところを、乾先生か、中川先生か、教えていただけたらと思います。
以上です。
○中川委員 私の思っているのは、医薬分業を推進するための診療報酬、調剤報酬上のインセンティブをつけるのにどんどん点数を上げたのです。それでこんなになったのです。
それは皆さん、そのとおりですね。
うんとは言いづらいと思いますけれども、そう思います。
○森田部会長 阿真委員、それでよろしいですか。今の中川委員の御発言についてはよろしいですか。
○阿真委員 はい。
○森田部会長 わかりました。
乾委員、どうぞ。
○乾委員 当然ながら、薬局で調剤を受ける医薬品の供給をするということになると、別の施設で行うということで、それに対する費用というものは当然かかるわけですし、医科と調剤の技術料の部分を抜き出すというのは非常に難しい比較が、例えば初診料、再診料の問題と薬局でいうところの調剤基本料。こういうことを言い出すと切りがないのであれなのですけれども、なかなか一概に比較できるものではないと私は考えておりますということがまず1つでございます。
あと、いろいろと委員の方から現状の薬局・薬剤師、特に薬局・薬剤師の仕事について厳しい御意見をいただいたわけでございますけれども、やっていないところがあるのは確かだと思いますが、全てがやっていないのではなく、それはごくわずかであり、私は私の周りの薬局・薬剤師を見ていると、それでは余りにもかわいそうだ。しっかりやっている薬剤師は多くいます。病院の業務ができていて、こういう業務は病院でもできますと。当然ながら、地域の薬局ではやっています。それが残念ながら見えていない、またはできていない薬局があったということを真摯に受けとめて、しっかりと、これがやはりなかなか制度にしないとうまく進まないのではないかという心配をしておりますので、ぜひいろいろな御議論をいただいて、しっかりとできるように、また、変わるように持っていきたいというのが私の意見であります。
実際に病院の、例えば今、村島先生がおっしゃいましたけれども、全く医薬分業のメリットが見えないという、処方が自由にできることと、あと、在庫負担がない。それも非常に大きなことだと経営的には思いますが、やはり多くの老人の方は、御高齢の方はいろいろな医療機関に行っておられます。複数の医療機関へ行っておられて、幾らICT化が進んでいるとはいえ、まだまだそれのチェックは難しい。
それについては、やはり地域の薬局はしっかりと重複投薬・相互作用のチェックとかはもちろんやっておりますし、残薬の確認も当然、それは何も調剤報酬に評価されたからやっているわけではないです。患者さんの安全・安心のためにしっかりと薬剤師職能を発揮するために、それが国民のためになる。医師と歯科医師と同じように、やはり国民の健康な生活を確保する。これは、医師、歯科医師や我々薬剤師は任務であります。また、社会的な貢献につながると考えております。その辺はしっかりと、やっておるけれども、実際に残念ながら見えていないのでということがあるのであれば、その辺はしっかり反省したいと思います。
○村島委員 いいですか。
私はポリファーマシーについては多分メリットがあるのだろうなということで発言していますので、それは否定しているわけではございません。私の周りの薬剤師さんから、ポリファーマシーについてはすごく薬局の存在意義はあるというのを伺っているので、それは否定していません。
もう一つは、それに関連して資料2-1の、今後、在宅医療に対応している薬局とか高度薬学管理機能を有している薬局のようにということは、これから機能を明確化というか、外から見えるようにということだと思うのですが、私の立場でしたら妊婦さんとか授乳婦さんとか小児とか、女性が多い薬剤師さんには活躍の場所はいっぱいあるとは思うのですが、何か具体的な動きというか、何かあれば教えていただきたいのです。
○乾委員 ありがとうございます。
都道府県薬剤師会でそういう妊婦・授乳婦のための薬剤師というものを、認定までは行っていないかもわかりませんけれども、そういう研修を受けた薬剤師がそこの薬局にいるとか、そういうことも、村島先生も御存じだと思いますが、進めているところもありますし、それ以外にも病院の薬剤師、病院との連携ということで、単に研修だけではなく、しっかりと入退院時の情報の連携等も今、進んでおるところです。地元の大阪でもシステムをつくろうということで進めておりますし、そういうところもぜひ期待していただいて、そういう意見をしっかりと反映できるように先生方には、委員の皆様には御意見をいただけたらと考えております。
また、当然ながら、最初、中川委員が医師会としっかりと協議したのかという話がありましたけれども、そういうところも当然ながら今後進めていかなければというよりも、現場の地域の薬局・薬剤師はしっかりと医師と連携をとって進めて、地域包括ケアシステムの中でしっかりと地域住民のために貢献しようということで具体的な活動も始まっておるところでございます。それは皆さん御存じのとおりではないかなと思っておりますので、その辺もぜひいろいろな意見を我々はしっかりと受けとめて進んでいきたいと考えております。
よろしくお願いいたします。
○森田部会長 山口委員、どうぞ。
○山口委員 1つ前の乾委員の御意見に反論で申しわけないのですけれども、乾委員の周りはみんな一生懸命やっていて、どちらかというと一生懸命やっているところのほうが多くて、そうではないところがあるから問題だというふうに先ほどの御意見を受けとめたのですが、そうであれば多くの人が、やはり多くの薬局はいいけれども、まだ少ないながらも問題のある薬局はあるよねという意見になるはずだと思うのです。
ところが、実際はそうではないのです。例えばきのうときょうの朝と、私、仙台で一般の方向けに講演をしてきました。それで、一般の方にお話しするときに、必ず薬局の話をするのです。薬剤師さんはこういう基本的な役割があるけれど、患者には理解されていなくて、医薬分業がこれだけ進んできたとしても、そのメリットが――まで言ったら、みんなが全然感じられませんと首を振るわけなのです。それが現状なのです。
そうだとすれば、やはりおっしゃっているようなしっかりした薬局は、私はむしろ少ないと思います。それだけに、日本薬剤師会に関係している方たち、あるいは中心になって活動している方は一生懸命やっておられるかもしれませんけれども、そうではない薬局・薬剤師に危機感が届いていないのではないかと思うのです。その届いていない危機感の方たちにどう届けていくのかということがこれからの課題ではないかと私は思います。
先ほど病院薬剤師の話が出ていましたけれども、私ももう少し認められていいと思っているのですが、やはり薬局・薬剤師さんに比べると、まだ見える存在になってきていると感じています。チームの一員として位置づけられていますし、医療安全にしても、医療機関の組織の一員として研修を受けなければいけないとか、あるいは医療機関としてこういう方向性で薬剤師に参加してもらおうということになると、やはり組織の一員として患者の前に出てくるわけです。
ところが、薬局は組織として動かない。個々の、日本薬剤師会の声が届いていないような方たちのところは今までと同じことをやっていても何も問題にならないので、そういう方たちをいかに動かすかということにこの議論をもっていかないと、多くの患者にとってプラスになる、メリットを感じる医薬分業には、私は決してならないと思います。
○森田部会長 ありがとうございました。
予定された時間がありまして、時間を制限するわけではございませんけれども、議論が尽きない場合には次回以降、じっくりと御議論いただきたいと思いますが、本日の時間の配分といたしまして、今まで伺っている現行制度改革に結びつくというところでは、まだ説明が終わっておりません3、4もございますので。
○中川委員 部会長、ちょっと待ってください。今のスライドの32枚目までについて、まだまだ私は意見を言っていないのです。了解できない部分もたくさんあるので、もう少し時間を下さい。
○森田部会長 ちょっと私の言うことを最後まで聞いてください。
それで、どのようにするかということでちょっとお諮りしたいのですけれども、このまま3、4の説明をした後で続けてやるのか、それとも分けて、このままやってしまって、本日はそのまま時間切れで終わりということもあり得ると思いますし、尽きないとは申し上げませんけれども、皆さん納得できるだけ御議論していただきたいと思いますので、私としてはどういう形で進行しようかということでちょっとお諮りをしたいと思います。
今、中川委員からございましたけれども、まだこれは1、2の部分について、さらに御議論を続けるということでよろしいでしょうか。手が挙がっておりますが、それとも、3、4の説明を伺った上で、あわせて、きょうじゅうにこれが全部尽きるところまで行かないと思いますし、永遠に尽きないような気もしますけれども、それはともかくとして、一応、本日の議論を一区切りつけるためにはどういたしましょうかということですが、中川委員、どうですか。3、4のところも聞いて、その後であわせてという、内容的にはかなり重なるところもあるかなと思うのですが。
○中川委員 今のまま続けてください。
○森田部会長 では、1、2だけということですね。
○中川委員 はい。
○森田部会長 わかりました。
ほかの方はよろしいでしょうか。
(「はい」と声あり)
○森田部会長 それでは、平井委員、北澤委員ですね。どちらが先で。
では、北澤委員からお願いします。
○北澤委員 これまで病院薬剤師と薬局・薬剤師のことについてのいろいろな御意見があって、私もおおむね同じように感じています。
冒頭で山口さんが言われた、処方箋に病名を書き込むということについて、再度、私もそうすべきだと思いますので、意見を申したいと思います。
病院薬剤師は、いわゆる病院の中で電カルも見られるし、患者さんのいろいろな情報を入手できますけれども、通常、薬局の場合は処方箋だけでつながっていて、そこにはお薬の情報しか基本、書いてありません。最近になって一部の検査値などを処方箋に書き込むようになり、それに基づいて薬剤師が疑義照会をしたり、いろいろな服薬指導をしたりしていますけれども、薬局の薬剤師が手にしている患者についての情報が今は少ないと思います。
どういうふうにすれば制度化できるのか。具体的には私はわからないのですけれども、
ぜひ情報の共有化を進めていただいて、それをもとにした薬剤師の服薬指導を進めてもらいたいと思っています。ぜひ検討していただきたいと思います。
○森田部会長 それでは、平井委員、どうぞ。
○平井委員 薬局・薬剤師と病院薬剤師のことが議論になっていて、病院薬剤師の活動が少しずつ見えてきたとおっしゃっていただけているのは非常にありがたいのですが、実はまだまだ知られていないというのか、薬局・薬剤師もそうなので、薬剤師は全般的に自分のやっていることをプレゼンテーションするのは下手なのです。だから、一生懸命やっているのだけれども、自分ではやっていると言っても、ほかの人に見えていない。
それで、病院薬剤師が少しずつ見えてきたのは、山口委員がおっしゃったように、医療安全というものが制度で決められたとか、それから、病棟配置というものが制度で決められて、やはり制度に依存している部分が結構あるのです。それまで一部の人はやっていたけれども、見えていなかった。それが制度化されることによってはっきりと見えるようになってきたということなので、乾委員がおっしゃっている制度化という問題も、法的にまで行くのかどうかはともかくとして、そういうものがないとなかなかはっきりとした形で出てこないなというのは薬剤師の宣伝能力の不足の部分が反映されている部分もあると思うのですけれども、そういう面があるということをちょっと御理解いただければと思います。
○森田部会長 それでは、中川委員、どうぞ。
○中川委員 先ほども言いましたが、法律上で役割を決めるというのは、私はあり得ないと思います。もし薬剤師が説明が余り上手でないというのなら練習してください。それだけのことだと私は思います。
それから、処方箋に病名を書くというのは、実は物すごくデリケートなものだと思います。これはいろんな病名がありますから、処方箋の取り扱いだって、今、誰でも見る可能性があるではないですか。だから、これはもう一回、改めて議論する必要があると思います。
それと、資料についてちょっとお聞きしますが、スライドの7枚目の「薬局・薬剤師による疑義照会・処方変更提案の現状」というところで、疑義照会の件数が2.8%で、最終的に約1%が変更になったということになっていますが、この処方変更提案の具体的なものはどういうものが主体ですか。ぜひお答えください。
○森田部会長 これは事務局、お願いします。
○紀平薬事企画官 ちょっと具体的な事例までここで細かいデータは手元にないのですけれども、一般的に処方変更ですので、例えば併用禁忌のものがあって、かわりの薬剤にかえていただいたとか、用量を変えていただいたとか、そういったものがここに入っていると思います。
○中川委員 これは、そういう併用禁忌だとか、いろんな患者さんの状態で、錠剤は飲みづらいとか、そういうことの情報提供は疑義照会ではないですか。その結果として、かかりつけ医が変更したわけですね。ですから、この表現は非常に誤解を受ける可能性があります。
それで、スライドの26枚目の右側の「患者中心の業務」のところで「処方提案」というものがあります。これは、イメージはどういうことですか。薬剤師が処方を提案するのですか。
○紀平薬事企画官 事務局よりお答えいたします。
最近、特に在宅医療の中で行われている話というふうに思いますけれども、例えば医師と薬剤師が同行して在宅訪問した、あるいはタイミングをずらして行ったときに、患者さんのほうで例えば飲み切れていないとか、そういった問題があったときに、医師のほうに対して、患者さんはこういうふうに飲み切れていないので、例えばこういう医薬品の変更とか数の調整とかについて医師側のほうに情報提供するということが、この「処方提案」という言葉の中に入っているかと思います。
○中川委員 この「処方提案」という言葉も物すごい誤解を受けます。処方するかかりつけ医の立場としては、薬剤師が自分の処方に対して提案、反論するといいますか、対案を持ってきたと同じですから、これはあり得ないです。ぜひ、この文言を修正していただきたいなと思います。
それから、27枚目の「薬剤師の業務」というところで「日本薬剤師会作成」というものがあります。それで、第一世代から第五世代というふうになっていますが、現在、薬剤師の業務は第何世代なのですか。
○森田部会長 これは乾委員、どうぞ。
○乾委員 第五世代から第六世代というものも提案しているところです。地域包括ケアへ向かうということも含めてです。
○森田部会長 いや、現状は第何世代かという御質問だったと思います。
○乾委員 第五世代に向かって進んでいるところです。
○中川委員 もう第四世代は通り過ぎたのですか。
○乾委員 いや、第五世代はそれも含んでおります。全部、それを付加してきているというふうに見ていただければ。
○中川委員 この27枚目は、いつ作成されたのですか。
○乾委員 先ほど言いましたように、今、第五世代から第六世代になっておりまして、このつくったのは、もう2~3年前になると思います。
○中川委員 では、ここの第三世代から書いてある「患者インタビュー」とは何ですか。
○乾委員 これは当然ながら、患者の情報を収集するというところでございます。
○中川委員 何の情報ですか。
○乾委員 患者情報を収集するわけです。ですから、例えば今の病歴とか併用薬とか、その他、もちろんアレルギーもありますし、副作用歴とか、そういうものを含む全てです。患者情報を収集するということでございます。
○中川委員 改めてインタビューして収集するのですか。
○乾委員 もちろん、何も情報は、一番最初は新患で来られた場合はありませんから、当然ながら、そういう意味でインタビューするという意味でございます。
○中川委員 それでは、第四世代、第五世代に書いてある「処方意図の解析」というものはどういうことですか。
○乾委員 これについては、処方箋に記載された薬を単に用意すればよいというものでは、当然ながら今の薬剤師の調剤においてはそのようなことはないですので、処方箋に記載された内容、すなわち医師の処方意図がわからなければ調剤はできないということがあります。患者さんが安心して薬をもらうために、処方内容の処方意図を間違いなく理解するということ。それに基づいて調剤をするということでございます。
○中川委員 処方意図ですか。
○乾委員 はい。
○中川委員 処方した医師の意図ですか。
○乾委員 そうです。
○中川委員 それを解析するというのですか。
○乾委員 そういうことが、要するに処方内容がわからないと、その処方意図が、疑義照会するに当たっても、当然ながら患者さんがこの薬をこの量で大丈夫かというのは当然のことだと思います。
○中川委員 乾委員、今、あなたは極めて重大な発言をしているのです。処方箋を持ってきた患者さんの処方内容がいちいちかかりつけ医の意図を解析した上でないと薬を出せないとおっしゃっているのです。それでいいですか。
○乾委員 患者さんの安全・安心のためには当然必要だと考えております。例えば耳鼻科と同じ抗生物質でも使う量も違えばということもあると思いますけれども、ただ単に入力のミスということもあるでしょうし、そういうことも含めて、しっかりと薬剤師としては十分検討しながら調剤をしておるというところでございます。そのためには疑義照会もしなければならない。
○中川委員 処方意図の解析は疑義照会の範囲内ではないですか。
○乾委員 解析という言葉が誤解を与えるのであれば、その言葉を考えないといけませんけれども、私が言いたいのは、そういう医師の処方意図に基づいて服薬指導を行わないと、患者さんが誤解を招くということはあると思います。
○中川委員 それと意図の解析とは違うではないですか。
○乾委員 意図を十分検討するということです。
○中川委員 もういいです。済みません。
それで、28枚目をお願いします。「かかりつけ薬剤師の本質的業務と機能強化のための調査研究(平成28年度厚生労働科学研究)」のパワーポイントがありますが、下の平成元年2月23日の東京高裁の判決を引き合いに、薬剤師も同様に、薬剤師以外の者に業務を行わせることができると言えるのではないかという提案があります。
私は、この提案に対しては全面的に反対します。この1~3、ともに、これは薬剤師のど真ん中の業務ではないですか。それをなぜ薬剤師以外の者に業務を行わせなければならないのですか。これだけ薬剤師が多く養成されて、そして本来、薬剤師が、例えばOTCも含めてきちんと説明するということも果たせない状況の中で、本来の業務もしないのに薬剤師以外の者に業務を行わせてはどうかという提案をするなどというのは、私は論外だと思います。明確に反対します。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
ただいま御意見がございましたけれども、いかがでしょうか。
花井委員、どうぞ。
○花井委員 今、かなり先鋭的な議論だと思うのですけれども、中川先生が否定されたスライドの26枚目の「処方提案」ですが、実態、起こっていることを制度的に、では、どの薬剤師の業務というと、やはり医師の職権と薬剤師のグレーの部分が実態としては存在すると思っていて、今、そこに多分関連することだと思うのです。
レジメンの提案というのは、一般的には欧米の薬剤師の最初の、つまり最も重要な業務だという理解で、例えば具体的には、本田委員もおられますけれども、がんのチーム医療とかHIVのチーム医療の中では、薬剤師はレジメンの提案というものは日常的にやっていて、それはもちろん、最終的に処方箋を書くのはお医者さんなのですが、つまりチームの中の薬剤師の職能としては、レジメンの提案というものは世界的には一番、薬剤師の職能を発揮する部分なので、ただ、先ほどの中川先生が言われた文脈になると確かにそういう話になるので、これは書き方なのですけれども、実態としてレジメンの提案が薬剤師の業務ではないと言ってしまうと薬剤師は要らないに等しい話で、世界的には多分そうだと思いますし、そこは整理していただいたほうがいいのではないか。
少なくとも、病院の中の薬剤師の中のチームにおいて、薬物療法のレジメン提案というものは普通といいますか、むしろそれはやってもらわなければ困るということが一つあるので、そこはちょっと書きぶりといいますか、説明を、つまり今の制度で、薬剤師法、医師法とか、その中でコンフリクトするのであれば、そこは整理していただきたい。
それから、さっきと同じように、中川先生御指摘の、逆に日本薬剤師会作成資料の中にレジメンの提案がないのは、むしろおかしいという、多分、医師の権限との関係でそれを気を使われているのかなという気はするのです。
それで、この「処方意図の解析」というものも、こう書かれると確かに何ですかという感じはするのですが、現場レベルでいうと多分、個人的実例で申しわけないのですけれども、例えば私はバックボーンドラッグをオミットして、キードラッグ2つで治療するという、これはHIVの専門的領域ですが、それはその前、キードラッグの拡散系でこういう副作用があったので、薬剤師さんとの長い関係があるので、患者の文脈があるわけです。それで今度オミットしたときに、なるほど、スペアしたのだなという形で、薬剤師もうんという形で出すという感じで現場は動いていると思うのです。抗がん剤とかは特にそうです。
だから、抗がん剤の世界と私どものような抗ウイルス剤の世界は一番典型的に薬剤師の職能が理想的な領域で、さっき、病院薬剤師が少ないと言ったのですけれども、HIVの領域はほとんど薬剤師の存在感はすごく大きいのです。ただ、それを言い過ぎても、相当マニアックな領域だけで成立しているということなので、それが病院薬剤師全体として行き渡っているというと、ちょっと実態として違うので言わなかったのです。
ただし、それはやはり理想的形でもあるので、医師の権限との、つまり処方権と調剤権というものです。古くて新しい議論なのですけれども、ちょっと実態に合わせて、そこは整理して、いわゆるかかりつけ薬剤師さん、地域でのとか、そういう話と、割と専門的領域のチーム医療の薬剤師はやはり相当違っているので、そこは中川先生の指摘とともにちょっと整理していただきたい。つまり、逆に言えば、27枚目の日本薬剤師会作成資料にレジメンの提案がないというのは何ですかと逆に思ってしまうということです。
もう一つは、薬剤師さん、薬局の機能がみんな、その評価がいまいち、全体としては薬局というところの評価がこの中で低いのですけれども、いろんな形が見られていて、専門領域ではかなり頭角をあらわしているのです。それは本田委員とかがよくわかると思うのですが、ただ、それを余り言い過ぎてもかなり、抗がん剤とか抗ウイルス治療の専門領域における連携ですね。あと、凝固因子とか、そういういろんな連携は、実はやっているのです。
しかし、それはかなり、いわゆるオーファンといいますか、レアディジーズの領域なので、それで世界が全部だと言う気はないのですが、ただ、国民から見えている薬局の機能を事務局としては今回の法律改正でどこまで、つまり医療法上の病院がいろいろ分けられているようなイメージで、ある程度、薬局の機能を薬機法上であれするのかとか、そういうところからすれば、今ある薬局の実態というものをこういう場に、こういう薬局というものをちょっと出してもらってもいいかなと思うのですよ。
やはり自分たちが見えている薬局しかわからないわけで、実は私の中で見えているだけの薬局とか病院薬剤師は相当いいのです。余り言っていないのはその全体をあらわしていないからであって、そこのところはやはり全体の実像ですね。特に山口委員が、ほとんどがだめで、ちょっととか少しがいいのかとか、そういうことも含めて、いろんな類型をやはり出してもらって議論をしたほうがいいと思いました。
以上です。
○森田部会長 では、赤池委員、どうぞ。
○赤池部会長代理 済みません。先に手を挙げていました。
花井委員のお話と少し重複する点があるかもしれませんけれども、この27枚目の「処方意図の解析」というところで、多分、乾委員の補足みたいな形になるのかなとは思いますが、例えば薬効薬理、それから、薬物動態といったところは処方を見る上で非常に重要な点であって、もちろん、医師の方も診られますけれども、やはり薬学でこれは非常によく習っているところで、私自身、日本薬理学会に所属していますので、この辺の専門ではあります。
そういったことと、それから、どのような目的、「意図」という言葉が本当に適切かどうかはわかりませんけれども、要するにどういう目的でというのは、やはりどのような疾患に使われているのか。それで、どういうふうに組み合わせられているのかということで、そこは薬剤師として、先ほどの薬理学、あるいは場合によっては相互作用も含めて解析はしないといけないものではないかなと考えます。
それから、28枚目のスライドで、中川委員から御指摘があった1~3の部分ですけれども、これは、私は読み方として一番下に全部係ってきているので、薬剤師が行っている調剤業務を全部代行させるという意味ではなくて、あくまで機械的な作業というところに係る言葉であって、よくピッキングといいますが、棚から薬を持ってくるというところを恐らく代行させて、当然、それが最終的に数えて袋に入れるところは薬剤師がやるとしても、そういった一部の、極端なことを言うと、機械でもできる部分の作業をそれ以外の方にやっていただくという意味かと考えます。
あと、全体として、いろいろ非常に厳しい意見が出ていまして、私自身、6年制の薬学教育を推進してきた立場で、その点では病院、それから、薬局における薬剤師というものが医療の中で役に立つというか、これは患者さんの目から見ても役に立つように教育を進めてきたつもりで、また、大学にいますとどうしても、例えば大学病院ですとか、薬局にしても大学の教育に非常に協力していただけるところばかりが目に入りますので、非常に偏った見方になっているのかもしれませんが、少なくとも非常に、先ほど来、一部の方からも話が出ていますけれども、御指摘があったようなことではなくて、やはりきちんと業務を、責任を持って果たしている。また、有効にされているところはあると思います。
ただ、残念ながら、恐らく数が少ないといいますか、点としてはあっても、それが面として見た場合、隠れてしまうような状況であろうと思いますので、そういった意味ではきちんと、どういう実態であるかということをいろんな面でやはり調査をしていくところは重要だろうと考えます。
○森田部会長 ありがとうございます。
本田さん、先に手が挙がっていましたので、どうぞ。
○本田委員 先ほど花井委員がおっしゃっていたことに対して、花井委員はそういう意味で言っていらっしゃるのではないと思うのですけれども、がんのことは全然レアディジーズではなくて、国民の多くがかかっている病気で、抗がん剤も使い方が、それは病院がほとんどでしょうけれども、今は錠剤で、在宅で管理しなければいけないことが大変ふえている。さらには在宅ホスピスといいますか、在宅で終末を迎えるということもふえてこざるを得ないという状況の中で、やはり地域の薬局の中でも高度な、専門な、そういうことができるところは必要になってくると思いますので、全ての薬局にそんなことをしろとは思っていませんが、そういうことも視野に入れなければいけないということは一言申し上げたいと思います。
○森田部会長 中川委員、どうぞ。
○中川委員 先ほど「処方意図の解析」の追加の説明をいただきましたが、私は薬剤師が薬学の専門家として、処方された薬について、それは分析するといいますか、理解をする。そのこと自体は薬剤師の仕事ではないですか。わざわざ「処方意図の解析」というのは日本語として違います。そのことを言っているのです。
それから、28枚目の棚から箱をおろすのはいいのではないかという、それはいいです。ですから、わざわざこんなところを書く必要はないわけで、そうさせていただきます。
それと、29枚目から32枚目まで、オンライン診療に関連して遠隔服薬指導ということに言及されていますが、オンライン診療はそもそも対面が原則という上で、厳しい要件をつけて、一部、今回の診療報酬改定で可能になったのです。だからといって、即、オンライン服薬指導がそれと同時並行にやるのだというのは拙速過ぎると思います。まず特区でやるということになっていて、その結果を十分に検証して、議論して、初めて可能というふうにすべきだと思います。
最後に、33枚目に非常に気になるところがあります。2つ目の○です。「また、医師や薬剤師など多職種の連携の下、住み慣れた地域・我が家において安心して在宅で医療やケアを受けられるよう、まずは薬剤師が積極的に患者の居宅を訪問し、副作用や服薬状況を把握し、服薬指導を行うことが重要」と書いてあります。
先ほど乾委員が最初のところで、薬剤師は地域包括ケアシステムの中の全ての薬に責任を持つのだとおっしゃった。では、在宅医療でかかりつけ医が院内処方で薬を持っていって服薬指導する。そっちのほうがベストではないですか。それで、この33枚目の2つ目の○が非常にひっかかるのです。
「まずは薬剤師が」というのは、総務課長、説明いただけますか。
○屋敷総務課長 確かに「まずは」は全ての始まりが薬剤師さんになっているように見えている文章なので、そういう意味では当然、医師、関係職種の中で地域包括ケアなりが組み上げられていて、その中に薬剤師さんがという点があるので、そういう意味では、この後の文章は実はつづめられ過ぎていて誤解があるかなと思いますか、オンラインの関係でいきますと対面が重要で、まずは訪問してというところがありますので、そこは2つまじったような形にはなっているので、そういう御指摘を受けたのだと受けとめさせていただきます。
○中川委員 修正してください。
それと、きょうの説明のこの資料は、薬剤師の業務に対して肩に力が入り過ぎています。もう少し大局的に、本来、薬剤師はこういう仕事をやるべきなのだと。論調が無理過ぎます。事務局も含めて、一度深呼吸して、これは見直してください。よろしくお願いします。
○森田部会長 平井委員、どうぞ。
○平井委員 中川委員がおっしゃるので「まずは」という、私は、この「まずは」というのは、今、薬剤師が在宅に余り行けていない。それで、行っても玄関先でお薬を置いて、ぱっと帰るみたいな状態が結構多いので、まずは訪問して、ちゃんと患者さんとお話をして、薬の情報をとってということにしましょうという意味で解釈したのです。
それから、肩に力が入り過ぎていてというのは、やはりそれぐらいしないと変わらないのだというのが薬学関係者全員の総意だと思うので、だから、肩に力が入るのも仕方がないのかなと私は思いました。
○森田部会長 肩の力の話も結構ですけれども、あと、手が挙がっているのは乾委員、山口委員。
では、乾委員からどうぞ。
○乾委員 その「まずは」というのは、平井委員と同じでございます。薬剤師ができていない。ただ、大半が届けて帰っているというのは、そういうことはないと思います。きちんと医師の訪問の指示のもとに、しっかり服薬指導はしていると思っております。
それと、オンライン服薬指導に関しては、中川委員がお話しされたとおり、日本薬剤師会としましても、やはり対面による情報提供及び服薬指導が不可欠であるというのが、それがまずあって、それを補完するものとして、通信機器を活用したオンラインによる服薬指導というものが出てくるのではないか。補完するものとして検討するべきだと理解しておりますし、全ての面で通信機器を活用したオンライン服薬指導がすぐれているとは思いませんので、やはりまずは対面の服薬指導があって、補完するもの。しかも、今、行っておられる特区での実証実験をもとに進めていくということだと考えております。
以上です。
○森田部会長 どうぞ。
○山口委員 27枚目の、先ほどから議論になっている「処方意図の解析」。私は、この文言はちょっと検討されたほうがいいと思います。さっき赤池委員がおっしゃったお話をお聞きしていて、ようやく意味が理解できました。しかし、それが「処方意図の解析」という言葉になると、やはり患者が持ってきた処方箋と、患者さんから聞いた話だけで、医師がどうして処方したのかを解析までするなんてとてもできないだろうと思ってしまいます。表現というのはとても重要で、誤解を招くと、せっかくやっていらっしゃる薬剤師さんの役割が違う方向に見えてしまうような気がしますので、これは言葉を検討されたほうがいいのではないかなと思います。
それから、28枚目の下の右側のところですけれども、先ほど中川委員が、これは薬剤師のど真ん中だとおっしゃったのですが、結構、読んでいくと、ど真ん中ではないところを言っているのではないかなと思いますので、やはり薬剤師が今、忙しくて、本来の業務が発揮できないということになっているのだとしたら、薬剤師でなくてもできる部分というのは移行していったほうが、ここで話し合っているような、本来の薬剤師の業務、もちろん検討しないと、それはやはり薬剤師でしょうということまで入ってしまうとよくないと思いますけれども、棚から取るようなことレベルであれば、機械的なことであれば、私もこれはいいのではないかなと思います。
○森田部会長 どうぞ。
○中川委員 棚からおろすのはいいと言いましたが、薬剤師のど真ん中という言い方はやはり語弊があったかなと思いますけれども、薬剤師が不足しているというふうにおっしゃいましたが、薬剤師は偏在しているのです。話が戻りますが、大手調剤薬局チェーンに偏在しているのです。それが問題なのです。そういうものを全部よけておいて、忙しいから薬剤師以外の人に少しずつ業務を渡してもいいのではないかというのは本末転倒だということを申し上げたいのです。
○山口委員 おっしゃっていることは私も全く同意見で、先ほど、余りこんなことを言うのはと思ったのですけれども、新卒の人たちが大手に行くというのも、大手のチェーンが若い人たちにとってメリットになるようなことで誘導しているということも聞いていますので、私もそこのところは大きな問題ではないかとは思っております。
○森田部会長 どうぞ。
○乾委員 ちょっと私の言い方が不足していたのだと思いますけれども、中川委員の御指摘の「処方意図の解析」のところで、その「解析」という表現を見直すことも考えるとはっきりと言ったつもりだったのですが、皆さんの意見をいただいたので、その辺の文言については、誤解を与えているのであれば、ぜひ表現を正しいものになるように見直したいと思っておりますので、よろしくお願いします。
○森田部会長 ありがとうございました。
もう残り時間が少なくなりましたけれども、大体、御発言がない方もよろしいでしょうか。
では、三村委員、最後ということでお願いします。
○三村委員 済みません。1つだけ気になったところだけ申し上げておきます。
先ほど乾委員から御指摘ありました3番目のところの供給体制の確定という考え方の整理、それから、先ほどオンライン服薬指導におけるICT技術等ということなのですけれども、誰が届けるかという非常に重要な問題が基本に入っております。そうすると、これは薬局・薬剤師だけの問題ではなくて、全体できちんとした、安全で安心で安定的な医薬品の供給システムを整備するという視点でやはり議論するべきだということでありますので、ここのところだけが強調されることが気になったということだけは申し上げておきます。
以上です。
○森田部会長 ありがとうございました。
大変たくさんの御意見をいただいたと思いますが、正直申し上げて、事務局も含めて、どう整理するか、大変課題になろうかと思っております。
それで、この部会自体は制度部会で、法改正なりなんなりを念頭に置いて、この薬剤師のといいますか、薬の制度をどう変えていくべきかということを議論する場だと思っております。
きょうの御議論を聞いておりますと、私の感想だけちょっと言わせていただきますと、やはり実際に薬剤師の方が何をしているかという実態がどうなっているかということについてももう少し明らかにする必要があると思いますし、そしてそこから果たすべき機能がどういうものかというのは整理する必要があるかと思います。
それにあわせて、制度を変える必要があるのかどうか。法律に定めてはという御意見もございましたけれども、これはきょう、山本先生がいないので、ちょっと無責任な発言になるかもしれませんが、やはり法律の場合には義務づけるとか、権利義務の話になりますので、相当しっかりとした根拠が必要ではないかなと思っております。
最後、診療報酬の話も出ましたけれども、これはお金の話と制度の話とか機能の話が混乱をしているかなという気がいたしまして、次回以降はできるだけ制度のほうに焦点を当てて議論をしていただければと思っております。
それと、私自身もかつて患者だったことがあるのですけれども、その観点から言いますと、やはり患者にとって一番質の高い薬剤といいましょうか、薬剤師の役割というものは期待されると思います。ただ、我が国のこれからの社会を見てみますと、地域偏在。中川委員もおっしゃいましたけれども、これが大変大きくなってきて、どこに住んでいても同じような形でのサービスが受けられるかどうかというのも重要だと思います。
それから、加えて言いますと、それぞれの人たちが負担をする、その負担ができるだけ少ないような、これはなかなか3つ両立するのは難しいのですけれども、そうした環境というものも念頭に置きながら制度を考えていく必要があるのではないかと感じたところでございます。
余計なことを申し上げましたけれども、まだ論点はたくさんございますし、本日御指摘のあったところにつきましても次回以降、事務局に整理して、また御提案をしていただきたいと思っております。
それでは、本日はもう時間も参りましたので、このあたりで終了とさせていただきたいと思いますけれども、事務局、何か御発言はございますでしょうか。
○屋敷総務課長 次回は7月25日を予定しております。
この薬局・薬剤師の議論につきましては、本日、このようにたくさん御意見をいただいておりますので、まだ十分に引き続き御意見をいただきたいと思いますが、次回以降はまた3、4といったところもございますので、そちらのほうも見ますと、また1、2に戻るようなところもある。総合的な御意見をいただけるかと思います。
あわせて、本日残りましたIIのところも次回にお願いできればと考えておりますので、よろしくお願いします。
ちなみに、次回の第5回の部会ですが、25日の13時の開催を予定しております。よろしくお願いします。
○森田部会長 それでは、きょうは予定した3分の1しかテーマが進みませんでしたけれども、実に充実した、暑いさなかに熱い議論ができたと思っております。
それでは、本日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。