第7回労働政策審議会人材開発分科会 議事録

人材開発総務担当参事官室

日時

平成30年6月27日(水) 13:00~15:00

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)

議題

1 職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法施行規則第四十八条の十七第一項第一号及び第二号に規定する講習の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
2 専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直しについて
3 その他

議事

 
○小杉分科会長 では、ほぼ定刻になりましたので、ただいまから第7回労働政策審議会人材開発分科会を開催いたします。本日はお忙しい中、またお暑い中をお集まりいただき、大変ありがとうございます。本日の出欠状況ですが、早川委員、橋本委員、上野委員、髙田委員、小倉委員、美野川委員、河本委員が御欠席です。なお、河本委員の代理として、全日本空輸株式会社人材戦略室人事部秋田グループキャリア支援室長に御出席いただいております。
では早速、議事に入ります。まず、(1)「職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法施行規則第四十八条の十七第一項第一号及び第二号に規定する講習の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」です。これは、本日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛てに諮問がなされたところであり、これを受けて、本分科会において審議を行うものです。内容について、事務局から説明をお願いします。
○松瀨キャリア形成支援室長 資料1-2です。表題が非常に長くなっておりますが、省令2本です。2ページを中心に説明します。1ポツの所に書いてあるように、キャリアコンサルタントの養成講習の科目の見直し等に関わるものです。平成28年4月に国家資格となりましたキャリアコンサルタントですが、(1)の○1に書いてありますとおり、現在、受験要件となっている養成講習について、科目時間が140時間となっているところを150時間に拡充しようとするものです。
上の四角囲みにあるように、制度発足から社会環境の変化や労働政策上の要請等を背景に、キャリアコンサルタントの社会的役割が拡大していることを受けて、キャリアコンサルタントの要件の見直しについて、キャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会において御議論いただき、今年の3月に養成講習等の見直しについて御提言を頂いたところです。
内容については、1の(1)の○2にあるように、主に企業におけるキャリア支援やリカレント教育による学び直しの促進等を中心に、講義部分の強化をいたしました。また、これまで関係者、有識者の間で、特に強化すべきとの意見が強かった演習の部分も時間数を増加させているところです。○1の括弧書きにあるように、60時間から70時間に拡充しております。ただ、拡充するばかりではなくて、一方で、科目間に内容の重複等が一部見られたので、そういう部分については整理・統合を行いました。時間数の増加を極力抑えつつ、養成講習の全体時間数を140時間から150時間に拡充したというものです。
2ポツです。職業能力開発推進者の選任方法についてです。現在、職業能力開発促進法第十二条において、職業能力開発推進者は、事業主は厚生労働省令で定めるところにより職業能力開発推進者を選任するよう努めなければならないと、努力規定が置かれているところです。この厚生労働省令とは、職業能力開発促進法施行規則第二条第一項です。ここに、現在は、職業能力開発推進者の選任は事業所ごとに行うものとするということだけが規定されています。
今般、施行規則第二条第一項に、職業能力開発推進者の選任は、「キャリアコンサルタント等の職業能力開発推進者の業務を担当するための必要な能力を有する者」からというように、例示規定を置きたいというものです。この例示という方法は、例えば、能開法の第三章第一節、事業主の行う措置の所でも使っている、よく使う手法です。
現在、職業能力開発推進者の役割は、法の第十二条に定めております。職業能力開発計画の作成、実施、あるいは職業訓練や雇用型訓練を受ける労働者に対する相談、指導、労働者へのキャリアコンサルティング、国との連絡等が規定されております。計画の策定、国との連絡は別論として、その中核である訓練に係る相談、指導やキャリアコンサルティングについては、キャリアコンサルタントの養成科目の中でももともと規定されていた上に、今般の見直しで更に時間数を強化したところです。また、先に申し上げたとおり、特に企業で活躍できるキャリアコンサルタントを目指して、企業におけるキャリア支援に係る科目も強化したところであり、この職業能力開発推進者の適格者として例示したものです。土台が努力規定でありまして、例示を付したものですので、これをもって法律的な効果が直ちに生じるものではありません。しかし、なかなか指定が進まない職業能力開発推進者の量的な面のみならず、質的な面の向上を促進していく上でも誘因になればと期待しておるものです。一番下に施行期日を書いてあります。
上の1ポツの養成講習の科目等の見直しについては1年半ほど先ですが、平成32年4月1日の施行を目指しております。これは、養成講習機関の準備期間を担保するものです。2ポツの職業能力開発推進者の選任方法の見直しについては、平成31年4月を予定しているところです。私からの説明は以上です。
○小杉分科会長 それでは、ただいまの説明について、御質問、御意見等をお願いいたします。
○荘司委員 3点ほど確認します。1点目は、キャリアコンサルタントが今後その役割を果たしていくためには、資格取得後の継続的な学びが不可欠になると思います。その中で、3月に取りまとめられたキャリアコンサルタントの能力要件の見直し等に関する報告書においても、事例指導の体制整備について触れられているかと思います。その点について、厚労省として現時点で検討しているものがあれば教えていただければと思います。
2点目は、専門実践教育訓練において、第6類型として第四次産業革命スキル習得講座が追加されたように、キャリアコンサルティングを受ける側の専門性も高まっていくことになると思います。そういう方々へのキャリアコンサルティングを行う上で、一定程度の知識が求められますが、専門性の高い方に対するキャリアコンサルタントをどのように養成していくのかというところをお伺いしたいと思います。
3点目は、職業能力開発推進者の選定という部分で、現在の基準では、職業能力開発推進者として望ましい者として、「能力開発の開発及び向上に関する措置の企画及び実施について所要の権限を有する者」となっているかと思います。今回「キャリアコンサルタント等の職業能力開発推進者の業務を担当するために必要な能力を有する者」が追記されておりますが、例えば、部課長がそうした能力を踏まえていない場合に、能力コンサルタント資格の取得が努力義務となるのか、あるいは「等」という所に含まれているのかというところもお教えいただければと思います。以上です。
○松瀨キャリア形成支援室長 3点の御質問を頂きました。1つ目です。キャリアコンサルタント国家資格を取得した後の継続的な学びについて、特に事例指導などという具体例を挙げて御質問を頂きました。全くその御指摘のとおりで、今般お諮りするのは、あくまで、受験資格の要件となる養成講習の時間数や科目の見直しです。試験を受け合格した後の継続的な学びが必要なのは申すまでもありません。
現在、私どもも継続的な学びについては非常に関心を持っております。この四角囲みの中で、名前を引いているキャリアコンサルタント登録制度等に関する検討会において、今年度は継続的な学び、キャリアコンサルティングの資質向上について御議論を深めていただき、一定の提言をしていただけないかということを考えております。当然、提言があれば行政としてそれを尊重して政策に反映させていただきたいということも併せて考えております。
2つ目です。専門実践教育訓練給付は、本日も議論になりますが、類型が非常に増えてきており、特に最近は政府の方針のもと、IT分野を強化しているところです。当然、訓練前キャリコンも、これに伴いITに関わる知識を身に付けなければなりません。本年度事業から、特有のキャリア形成をする等の特徴がある、IT業界のキャリアについて、詳しい方の御参画を頂き、キャリアコンサルタントの方々が簡易に学べるe-ラーニング動画教材を開発しているところです。これは、年度の途中、9月か10月頃を目標にリリースできればと思ってやっているところです。できましたら、それを全国の訓練前キャリコンの方に学んでいただこうということで、周知を図ろうと考えております。
3つ目です。推進者について、仮に部課長がキャリアコンサルタントの資格を持っていなくて適格性がなかったらということですが、あくまで、これは努めるものという努力規定の上に例示を置いたものなので、この規定を見直したからといって、直ちに部課長がキャリコンを取らなくてはいけないというような効果が生じるものではありません。あくまで、これを置いた上で、この見直しの周知と併せて、企業に最初はソフトな形から周知を図っていきたいと考えております。
○小杉分科会長 よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。
○大久保委員 キャリコンの資質向上については、長く議論してきている課題だと思っています。今回は、この1、2年の政策テーマとして挙がっているものが追加項目として4つ挙げられて、それが養成講習の科目の見直しという形になろうとしていると思います。キャリコンの資質向上というときに、現在のキャリコン養成の中で、本来はもう少し強化していただかなければいけないと思っていたのは、人事や企業内の人材育成に関して、本来ならばしっかりした深い知識を持っていただくことや、あるいは、実際の職業紹介につながっていくような、個別の職業や業界に関する知識をもう少し持っていただくことだと思っていました。
今回、全体を140時間から150時間に拡充するわけですが、その10時間分は演習時間に対する拡充の割当てになっています。もともとの講議の時間は基本的なベースのままですから、この4つが入ってくることによって、既存のものについては少し調整して減らした上で時間数を合わせるということになりますよね。
一方で、2にあるとおり、職業能力開発推進者にキャリコンの要件を持っている人ということもあるので、より企業内の能力開発や人材育成に関して既存知識が求められると思いますが、むしろ、これによって反対の方向になるのではないかという懸念があります。これは何らかの方法で担保していただいたほうがいいと思うのですが、その辺りについてどのようにお考えなのかお聞きしたいと思います。
○松瀨キャリア形成支援室長 検討会の中でも、昨今、特に強化しなければいけない企業で活躍できるキャリコンをしっかり養成しようという問題意識があります。講座の科目については、労働政策や企業におけるキャリア形成の知識は、いずれも時間数を伸ばしているところです。
一方で、もともと制度当初は一定の時間を取っていたのですが、キャリアコンサルティングの社会的意義等、今となってはやや時間を減らしていいのではないかと判断できるものを減らしています。また、キャリアコンサルティングを行う上でベースになるカウンセリング理論の部分と、演習の土台になる知識理論がかぶっているということ。簡単に言えば、自己理解や仕事理解の促し方の部分がかぶっているのですが、こういう講義と演習の重複部分を整理しており、基本的に企業において活躍できる知識は、できる範囲で強化しているということです。
もちろん、これで完全ということではありませんが、現在考えられる伸びしろとして140時間から150時間くらいは何とか伸ばせるのではないかという中で、最大限、科目については企業内キャリコンとしての資質を備えるべく、その科目は強化しているというところです。
○大久保委員 もう一度確認ですが、現在の改正においても人事労務や企業内の人材育成に関しては、減らすことはないのですね。
○松瀨キャリア形成支援室長 強化しております。
○大久保委員 むしろ、強化するのだということで大丈夫なのですよね。
○松瀨キャリア形成支援室長 はい。
○小杉分科会長 よろしいでしょうか。ほかに何かございますか。
○三村委員 学校教育にも関わっておりますので、この点について要望を申し上げます。学校教育制度及びキャリア教育の知識は70分の2に位置付けられているわけですが、人材育成の継続性から考えて、やはり学校教育に対するキャリアコンサルタントの理解は更に求められるのではないかと思います。学校教育は人材育成の川上の問題ですので、充実をお願いできればと思います。これは単なる要望です。よろしくお願いいたします。以上です。
○松瀨キャリア形成支援室長 御指摘の学校教育及びキャリア教育に関する理解については、平成23年度の見直しで初めて入っており、70分の2ということは御指摘のとおりです。省令で規定するのは項目単位ですが、我々は養成講習機関に対して、時代に応じて変化する部分も細かく反映した、より詳細な指示文書を出しております。そういう中で、可能な限り更に強化すべき部分を、企業内キャリコンやキャリア教育も当然含め、必要な部分を見直して、随時その強化を図っていきたいと思っております。
○三村委員 ありがとうございました。
○小杉分科会長 ほかに何かございますか。ほかにないようでしたら、当分科会としては、諮問された「職業能力開発促進法施行規則及び職業能力開発促進法施行規則第四十八条の十七第一項第一号及び第二号に規定する講習の指定に関する省令の一部を改正する省令案要綱」について妥当と認める旨を、私から労働政策審議会会長宛てに御報告申し上げたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(異議なし)
○小杉分科会長 ありがとうございました。それでは、事務局から報告文(案)の配布をお願いします。
(事務局より報告文(案)を配布)
○小杉分科会長 では、お手元に配布された報告文(案)により、労働政策審議会会長へ宛て報告することとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○小杉分科会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。では、この議題についてはここまでといたします。
議題(2)「専門実践教育訓練の指定基準に関する施行後3年後における見直しについて」事務局から説明をお願いします。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 若年キャリア担当参事官でございます。議題(2)に関して、資料2-1から資料2-2及び参考資料2までの3つの資料に基づき説明申し上げます。前回の分科会において、それまでの3回にわたる専門実践教育訓練指定基準の見直しに関わる成果評価データ等を踏まえた仔細にわたる御議論を頂き、それらを踏まえ、事務局として一旦整理をした論点資料などに基づき、それぞれの論点ごとに更に具体的な御意見、あるいは確認のお尋ね等を頂戴したところです。本日は、これら御審議を踏まえた上で、これを3つの資料に整理し、更に御審議いただきたいということです。
資料の構成としては、資料2-1が指定基準の見直しそのものに関わる改正案です。資料2-2が、この指定基準に直結するもの以外の観点も含めた、この間の見直し議論の中でお示しいただいた主な意見、今後の課題と考えられる点について整理をしたものです。さらに、具体的なデータ等については、参考資料2ということで御提示しております。順次、説明申し上げます。
資料2-1です。資料の構成から説明申し上げると、1ページから4ページまでが6点の見直し事項に係る具体的な内容、考え方をお示ししたものです。5ページが現行指定基準からの変更点ということで、全体図をコンパクトにまとめたものです。左側にある1から6までが現行の専門実践教育訓練の対象課程類型です。今回の見直しの提案に関して、1つは一番下の7にある課程類型の追加に関わる内容です。また、右側にあるように課程類型1から3のそれぞれに関わる見直し事項。それから、各課程類型共通的な見直し事項、全体としてはそのような構成関係になっているところです。
6ページですが、これら御審議の前提として、これまで専門実践教育訓練の基本コンセプトについて、平成26年10月、制度発足時と現状の考え方を対比した資料を提示して、数回にわたり御審議いただいたところです。基本的には、これまで提示している資料と同様の考え方で、今回もお示ししておりますが、前回までの委員の御指摘を踏まえて、対象層の部分について、これをより明確化するという観点で加筆した形で、今回提示しております。
1ページに戻って、具体的な見直し事項案について説明申し上げます。今回、提示する6つの見直し事項に関して、法形式としては、御案内のように指定基準の大枠に関しては大臣告示で定めております。青枠で提示しているのが告示の改正につながる事項です。また、告示の解釈を補うものとして、人材開発統括官定めという形式で規定しているものがあります。赤枠がそれに相当するものです。黒枠はその他の講座指定事務運用改正事項、あるいは講座指定と関連しつつ別途定められている給付制度上の検討事項などについて、お示ししたものです。以上、説明申し上げる見直し事項に関して、本審議会で御審議いただいた上で、言わば最短コースということで、半期に1回の講座指定を行っているものですが、平成31年4月指定分からの適用を念頭に置いているものです。順に説明申し上げます。
見直し事項○1が専門職大学などの課程対象への追加です。先ほど全体図で御覧いただいたように、第7類型としての新設という考え方です。この間、説明申し上げているように、現在、文部科学省において専門職大学等の新たな学校種を既に制度としては立ち上げ、平成31年4月開学に向け、現在大学設置認可の審査等、最終局面ということで承知しているところです。この専門職大学等の設置基準に関しては、専任教員のおおむね4割以上が実務家教員、プログラムの編成を企業等参画の下での協議会の審議等を通じ実施する等の、具体的な基準が定められているところです。
こうした仕組みに関しては、プログラムへの企業ニーズ反映、職業実践性担保といった観点から、既存の6つの類型と同等若しくは同等以上と考えられるのではないか。あるいは、同資料の最後のページにあるコンセプト、教育訓練の質が技術革新等、その変化などにも対応した専門性・実践性を備えたものであることを、国が保証する厳格な仕組みが具備されたものといった考え方に該当すると解することができるのではないかといったことから、またさらに、本制度が新たな学校種として設けられるといったことから、一定の講座レベル基準を満たすものに関しては、本専門実践教育訓練の第7類型として位置付けることとしてはどうかという提案内容です。
具体の講座レベルの基準として、その下に3点、掲げております。1点目の就職・在職率80%は、全ての課程類型共通の講座基準ですが、前回こうした新たな課程プログラムの位置付けに当たっての評価の在り方を御審議いただいたところでして、その際にも整理いただいたように、既存の言わば祖型プログラムにおける実績をもって評価するということですので、そもそも祖型が存在しないと考えられる場合には、この基準がもともと該当し得ないという考え方です。また、これ以外に、現行、専門職大学院などに適用している講座レベルの基準として、言わば市場における当該プログラムの評価の代表的な指標と考えられる定員充足率に関して60%といった基準、また、当該教育訓練の継続的質保証担保という観点から、認証評価適合相当といった基準を設定したいという考え方です。
見直し事項○2です。ただいまの見直し事項○1からの言わば派生的な見直し事項とも言えるわけですが、第1類型、国家資格養成課程における4年課程の限定的追加ということです。第1類型に属する国家資格養成課程については、ほとんどのものが最短期間、2年ないし3年です。ただ、唯一の例外として、法令上の最短期間が4年とされている国家資格として管理栄養士があります。管理栄養士を栄養士等の資格取得を前提とせずに、言わば一発で取ろうとする場合ということです。また、これとは性格が異なりますが、法令上の最短期間が3年とされている養成課程であって、在職者を対象に定時制で開講する。この場合には、土・日・夜間を中心とした開講ということで、平日、日中のフルタイムプログラムに比べて、1週間の履修時間数が物理的に限定されることになってしまいます。こうした場合には、実質的には4年の課程が当該資格取得に必要な最短の期間であるという理解をすることができるのではないだろうかということで、今申し上げた2つの類型に限定した形で、当然のことながら一定の講座レベル基準、具体的には当該資格の受験率・合格率、また先ほど申し上げた就職・在職率がそれに当たるわけですが、これを満たすものを指定の対象としてはどうかという提案です。
なお、この間、本件に関わり御審議いただく中で、こうした例外を認めるにしても、それが野放図に拡大するといったことについては、これを避ける手立てが必要ではないかという趣旨の御意見を頂いてきたところです。こうした御意見も踏まえて、このように例外的に位置付ける4年課程に関しては、その対象を人材開発統括官定めにおいて限定列挙していくことにより、その対象を明確化、限定していくという考え方です。
見直し事項○3です。第2類型、職業実践専門課程における社会人向けプログラムの追加に関してです。この点も、この間、報告申し上げてきているように、文部科学省において社会人の多様な学び直し機会の創出等の観点から、専門学校が提供する一定の要件を満たす実践的な社会人向けプログラムに関し、文科大臣が認定する新たな制度の創設を予定し、平成31年4月に開講予定ということで、その構想としては既に確定していると理解しているところです。
この新たな認定プログラムの性格ですが、その認定の基準に関しては、同じ専修学校、専門課程を活用する現行の第2類型、職業実践専門課程とほぼ同等のものです。ただ、当該課程が2年以上の長期にわたるプログラムであるのに対し、このたびの新たな社会人向けプログラムに関しては、当該分野において既に一定の職務経験を持ち、また一定の職業能力を備える方を主に念頭に置いた形で、当該分野におけるアドバンストな知識・技能等を、短期間の密度の高いプログラムにより集中することによって、より職業実践性を高める機会を提供するといった意図であるということで理解しているものです。
当該大臣認定に関わる基準に関しては、今ほど申し上げたように、専門実践教育訓練に位置付けられている職業実践専門課程と基本的に同等のものと解することができるということで、これに関しては既にある職業実践専門課程に合わせて、第2類型に整理するという形で、実質的に対象拡大を図ることとしてはどうかという考え方です。
講座レベルの基準に関して、訓練時間数120時間以上ということで提示しております。この新たな社会人向けプログラムに関しては、社会人在職者が受けやすい、また先ほど申し上げたような短期の密度の高いプログラムを念頭に置いているということで、60時間以上という制度設計をする運びということで承知しているところです。現在の専門実践教育訓練に関しては、時間数の下限に関しITSSレベル4相当のものに限って30時間以上という基準設定をしておりますが、それ以外のものについては120時間以上という下限設定をしているということで、それとの整合性を勘案して120時間以上という基準を追加したい。したがって、60時間以上120時間未満のプログラムについては、他の要件を満たし文科大臣認定を受けられたとしても、厚労大臣指定の対象には当然にならないという考え方の整理です。
見直し事項○4です。専門実践教育訓練と一般教育訓練の関係性整理に関してです。現行指定基準上は、専門実践教育訓練の現状であれば6つの課程類型に該当し、なおかつそれぞれの講座レベル基準を満たさない講座に関しては、告示本則において一般の指定基準を満たすものであったとしても、これは専門はもとよりですが、一般の指定対象外とする取扱いとした上で、附則において、言わばサドンデスといったことでの影響を回避するといった観点から、当分の間、指定対象とするという取扱いをしているところです。
今申し上げましたように、いささか分かりにくい制度設計ということもあり、いずれかのタイミングでは、こうした現行の取扱いについて見直しが必要ではないかということは、既往の本分科会でも事務局として説明を差し上げてきたところです。制度創設当初、こうした取扱いをすることとした判断材料の1つとしては、今ほど申し上げたような講座に関し、専門の講座基準は満たさないが、一般の基準は満たして一般ということになった場合に、指定申請をした場合には当該講座が専門として指定されるのか、一般として指定されるのか、いずれの類型でも指定されないのかという3つの選択肢が生まれるということで、半期に1回の講座指定事務進行上、あるいはそれに係る事務システム上、物理的な対応が困難であることも判断材料の1つになっていたということで、確認をしているところです。
その後の時間の経過の中で、今ほど申し上げたような事務処理上の配慮については、解決可能なめどが既に立っているところです。その上で、制度全体としての関連性を確保し、もとより一般教育訓練についての指定基準の質そのものを引き下げることになっては、これは本末転倒ということであるわけですが、この取扱いを変更することについて、一般教育訓練の言わばジェネラルルールとしての指定基準を満たさないものを対象とすることにはならないという考え方の下で、今申し上げた専門の課程類型に属し、かつ専門の基準は満たさないが、一般の基準を満たすものについては、他の一般の講座と同様に雇用の安定、就職の促進に資するものと解し、一般教育訓練の指定対象とするという運用の見直しをしてはどうかという提案です。
見直し事項○5です。これも運用レベルに属する課題ですが、1つには介護福祉士実務者研修、現行の第1類型国家資格の養成課程に関しては、当該課程を修了することのみをもって国家資格取得、若しくは受験資格が得られるもののみを対象とするという、極めて厳格な解釈、運用しているところです。そこから近接しながらはみ出すものとして、介護福祉士実務者研修、当該研修修了プラス当該分野での一定の実務経験、言わば合わせ技により、介護福祉士国家資格の受験資格が得られる、言わば条件付きの養成課程です。
典型的に申し上げますと、研修450時間修了プラスその前後で実務経験3年といった形で、この国家資格、受験資格は得られるという資格上の制度設計になっているところです。この間の議論の中でも、福祉分野等における資格取得、人材育成の必要性等の観点からの御意見も頂いているところです。今ほど申したような研修に関しては、もともとの第1類型の趣旨にもかなうものではないかという考え方の下で、当然のことながら、これも第1類型としての講座レベル要件、すなわち当該資格、受験率・合格率、プラス就職・在職率を満たす者に限り、中長期キャリア形成に資する講座という考え方の下で、指定対象に位置付けてはどうかという提案です。
また、この間、何度か登場しております就職・在職率に関しては、現行の運用上は全ての入講者を分母に置いた上で、当該課程の修了時に、もともと離職中であった方で新たに就職された方、また引き続き在職されている方を分子に置いた上で、これが80%以上という運用をしているところです。
そうした中で、長期履修生、これは平日フルタイム就業し、それによって生活の糧を得ている、こういった方が受講する場合に、例えば2年制の課程、フルタイムでこれを受講することが物理的にできないということで、その方の就業時間に合わせて、言わばカスタマイズされた履修計画をその人があらかじめ設定した上で、ほかの方々は2年で修了するところ、その方に関しては3年で修了することが可能といった仕組みが、高等教育機関共通の仕組みとして設定されているという、在職者が高等教育をより受けやすくするための制度整備です。こうした長期履修生が現行の専門実践教育訓練の講座、あるいは専門実践教育訓練を目指す講座の中で、少数ながらいらっしゃるわけですが、当該講座に長期履修生が一定数いらっしゃる場合には、分母には確実に計上されて、分子には確実に計上されないということで、他の観点でのパフォーマンスが高かった場合でも、就職・在職率80%要件を満たすことが非常に困難な場合があるという申し出を、私ども、関係者から承っているところです。
こうした課題構造、またもともと長期履修生の受入れが、それぞれの課程の立場で言うと、社会人、とりわけ在職者の学び直し機会に協力をしているという側面もあるということで、この長期履修生に関しては計上の対象から外す、すなわち例外的に分母の計上対象から外すという取扱い変更をしてはどうかという御提案です。
なお、この間、長期履修生と同様に進学者、当該課程を修了した上で、例えば横出し、あるいは上位への進学を行うといった方も一定数いらっしゃるわけです。こうした方についても、同様の取扱いをすることが考えられないかという御提案をしてきたわけですが、この間の本分科会の審議の中で、長期履修生ほどには、進学者については同等の取扱いをすることについて、十分なコンセンサスは得られていないのではないかという事務局なりの判断の下で、進学者については引き続き、分母の計上対象とすることとしてはどうかという御提案の内容になっております。
最後に、見直し事項○6です。この間も特に時間をかけて幅広く御審議いただいた専門職大学院の訓練効果の継続的把握、再指定の反映等についての見直しの考え方です。この専門職大学院に関しては、次の資料2-2にも関わってまいりますが、雇用保険制度としての負担と給付のバランス等の観点からも、精査が必要であるとの御意見。また、ホワイトカラー、あるいはメンバーシップ型の労働者についての数少ない学び直しの機会としての意義等、幅広い観点から具体の御議論を頂いてきたところです。
その上で、見直し事項○6の一番上にある○ですが、当該課程に関しては、受講者に占める在職者の割合が9割を占めるということが非常に大きな特徴であり、このことにより他の課程類型のように、受講した離職者の雇用保険適用就職率等の雇用保険データ客観指標のみをもって、訓練効果を評価することが、今の仕組みではなかなか難しい状況にあるという点については、本分科会ほぼ共通の御認識として、御指摘いただいた点ではないかと受け止めているところです。
このことを踏まえて、当該課程の訓練受講と、目的とする中長期キャリア形成との結び付きを強化する。また、その訓練効果を可能な限り客観的に評価するための仕組みを整備する。さらには、そこで得られた評価結果について、当面の講座の指定の仕組みにも反映する等の観点から、大きく3点の御提案を差し上げているところです。
1点目です。2つ目の○ですが、専門職大学院の課程に関して、それぞれの企業におけるキャリアアップ事例の収集、あるいは情報発信等が大切であるという趣旨の御意見は、前回も頂いたところです。そうした御指摘も踏まえ、また、現在、講座運営機関に課している一般的な意味での情報開示の仕組みも生かした上で、当該課程に関して修了者の一定期間内でのキャリアアップ成果、具体的な事例、更には在籍・採用企業の側における専門職大学院修了者の評価等に関わる具体の情報公開を求める仕組みを新たに整備をしたいという提案です。
2つ目です。給付制度と講座指定側のそれぞれの措置の組合せによる提案内容です。そのうちの最初のポツです。専門実践教育訓練の受講効果を確実に中長期キャリア形成に結び付けるという観点から、現在は在職者に関し、給付の要件として訓練前キャリコンを受ける、若しくは在籍する事業主の受講承認を得ることが受給の要件になっているところですが、在職者に関しても、すべて訓練前キャリコンを受けることを課す仕組みとしてはどうかという趣旨の御意見を頂戴してきたところです。
こうした御意見も踏まえ、キャリアアップのために必要・有効な教育訓練を選択することを更に促すという観点から、在職者についても訓練前キャリコンを受けることを要件とする。また、次のポツも給付制度に係る内容です。これは訓練修了後の話ですが、訓練修了後、追加給付の申請手続が発生するわけですが、そのタイミングを捉えて、訓練修了後に受講修了者から訓練受講の効果などについての報告を、給付の要件として求める仕組みを新たに設ける。この2つの仕組みについては、給付制度に直接関わる事項ということで、「検討を行う」という整理にしておりますが、このような方向で制度所管部局とも調整をしているところです。
また、今申し上げた訓練修了後の給付の要件としての訓練効果の報告と実質的には対の事項ですが、その次のポツです。給付の要件として、修了後、何年にもわたって受講受給者から報告を取り続けることは、制度上の困難を伴うということで、3つ目のポツは指定講座側のアンケート調査という位置付けですが、訓練修了後、中長期キャリアアップの実態については、数年タームでフォローアップする必要があるという点も、この間、御指摘いただいてきているところです。現在の想定としては、修了後おおむね5年程度という考え方ですが、修了後の職務内容、職位等の変化に関して、おおむね5年間にわたり、年1回定点観測をして、あるいはそれに対する訓練受講の貢献度等の観点も含めて、詳細なアンケート調査を設計した上で、指定講座実施機関の協力を得ながらアンケート調査を行い、専門実践教育訓練課程全体、あるいは個々の講座としての成果の中期的なフォローアップをしていく仕組みを整備していきたいという考え方です。
なお、今申し上げた3つ目の○全体に関しては、給付制度上の均衡という観点と、専門職大学院のキャリアアップ効果についての比較の視点が大変重要であるという御意見も頂いてきたところです。
給付制度、また3つ目のポツにあるアンケート調査に関しても、この部分については各課程共通の取扱いということで御提案している内容です。以上、申し上げたような幾つかの手法により、把握をしたキャリアアップの実績、事例等に関しては、今後の本分科会における専門職大学院課程全体としての評価に関わる判断基準として活用することはもとより、これらの取組を通じ把握された講座ごとの訓練効果に関しての講座の再指定要件に位置付けることも含めての御提案です。
具体的に申し上げると、情報公開に応じない、あるいは受講者から虚偽の情報公開の内容であったということの申し出がなされたようなケース、アンケート調査の実施に協力をしない、あるいは給付の要件、アンケート調査を通じて、修了後のキャリアアップの実績・実態が一定水準を下回るということで確認をされながら、それに応じた必要な措置を講じない場合などを想定しているところです。以上が資料2-1に基づく指定基準の改正案等に関わる考え方です。
資料2-2については、先ほど申し上げたように、この間、御審議を頂いた主要な御議論の中で、ただいま申し上げた指定基準見直しの言わば前提となる専門実践教育訓練の基本コンセプト、このたび、私どものほうから御提示をした専門実践教育訓練全体、あるいは各課程類型ごとの訓練効果について、どのような評価が可能か、あるいは今後どのような仕組みが必要かといった観点から御提示いただいた御意見のポイントを、私ども事務局の立場で要約した内容です。
また、後半の4、5ですが、必ずしもこの専門実践教育訓練指定基準直結ではありませんが、社会人の学び直し機会創出という観点から、全体としてバランスを取った学び直しの機会が必要である。あるいは、それぞれの企業の中での受講可能な環境整備が必要である。さらには、本指定基準見直し議論に関連する給付制度上の課題等々について、御提示いただいた御意見のポイントをまとめた内容です。大きく5つの柱にまとめてありますが、それぞれこの間に頂戴した御議論がおおむね正確に反映されているか等の観点から、この資料についても御確認いただければと思っております。
さらに、参考資料として御提示している分析資料については、この間、御提示してまいりました専門実践教育訓練の受講受給者属性、受講の効果、あるいは今回御提案している関連制度の概要等に関わる資料を改めて整理した内容ですので、こちらについては適宜、御参照いただくとともに、質疑の中で必要に応じて引用したいと思っております。
資料の説明としては以上ですが、本日、御提示している各資料を踏まえ、更に具体的な御審議を頂いた上で、それを反映した形で、私ども事務局として改めて告示改正案といった形で取りまとめをし、諮問を差し上げたいということで考えているところです。議題(2)に係る資料説明は以上です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
○小杉分科会長 それでは、委員の皆様からただいまの説明に関して、御質問、御意見を伺いたいと思います。いかがでしょうか。
○松井委員 見直し事項に広く関連する、指定基準にある就職・在職率の考えについてお伺いします。まず、見直し事項○5に記載されている長期履修生については就職・在職率の計算の分母、分子から外すという御説明について、事情をお聞きすると、そのこと自体については妥当ではないかと思っております。しかし、結果として就職・在職率について要件を緩和する方向には働く内容だと理解しています。現在、景気回復を背景に学生の就職率は非常に高くなっているということで、大卒、高卒ともに90何%という状況にある中で、専門実践教育訓練の指定要件については、就職・在職率80%以上という基準だけで本当にいいのかというところについて、お伺いしたいと思います。
例えば見直し事項○6の中で、専門職大学院については在職者の割合が極めて高いことから、雇用保険適用就職率等の指標をもって訓練効果を評価することは困難という説明もありましたが、そもそもこの指定基準の就職・在職率のカウントに際して、雇用保険適用就職かどうかということは勘案されていないと思うのです。そうしたことも含めて、課程類型別に就職・在職率80%という指標以外の何かを組み合わせる、例えば今出ている雇用保険適用就職率でも良いと思うのですが、何かそういったお考えがあるのかどうかということをお伺いします。それから、同様に定員充足率60%という基準に関しても、必ずしも高いものではないのではないかという気もしますので、その2つの要件について、今後更に見直しをしていく考えはあるのかお聞かせいただければと思います。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 各課程類型に共通する課題について御意見、またお尋ねいただいたところです。就職・在職率の現行のカウントの仕方について入念的に申し上げますと、指定申請時の直近の修了年度に着目して、当該修了年度に該当する課程について、開講時に遡って、2年課程であれば修了から2年前の開講時の入講者数の全数を分母に置きます。分子については先ほども触れましたように、今の例であれば2年後の当該課程修了時に修了し、新たに就職若しくは継続就職をしている方のみを分子に取るという、今のカウントの考え方になっています。
この就職・在職率を中長期キャリア形成を目標とする専門実践教育訓練の成果の代理指標として用いることの適格性については、制度創設時も各委員から幾つかの御意見も頂き、また今回の審議のシリーズの中でも、その辺りについては更に考えるべき課題ではないかという趣旨の御意見を複数の委員から頂戴し、私どももそこは非常に重要なポイントになってくるのではないかと思っております。
それを踏まえての、現時点での事務局としての考え方です。まず1つは、この就職・在職率そのもののカウントについての厳格性という観点でのお尋ねがありました。これは前回も御質問いただいたと記憶していますが、現在の就職・在職率の就職に関しては、今回の課程評価のためのデータについては、私どもは雇用保険全データを用いて、雇用保険適用就職率という厳格な集計を御提示しているわけですが、これは個々の講座ごとに雇用保険適用就職かどうかということを正確に確認し、あるいは私ども厚労行政の立場で一つ一つ確認することが可能か不可能かと言えば、それはもちろん、データを持っているのは私どもですので不可能ではありませんけれども、物理的、時間的には大変ハードルが高いということは、今の仕組みの中では認めざるを得ないところです。
したがって、この就職・在職率の計上方法について、今回具体的に提起しているのは、長期履修生あるいは進学者といった、いささか例外的な進路あるいは履修形態を取っている方の取扱いですが、よりgeneralな課題としてこの就職・在職率というものを中長期キャリア形成という観点でどのように見て、あるいはどこまで厳格に取るべきあるいは取れるのかということは、私ども事務局としての継続的な課題ではないかと考えておりますので、この間に御提示いただいた内容、例えば松井委員から御指摘いただいたことも踏まえ、物理的観点も含めてどのような対応が可能かということは、引き続き検討し、某かの見通しが立った時点でまたこの分科会でお諮りする必要があるのではないか。これが1点です。
また、それぞれの課程類型ごとの特性に応じての評価指標の設定ということも大変重要な課題であると思っております。一番分かりやすい例が、資格取得を目標とするものについての資格受験・合格率という観点です。この点については、この間の審議の中でも特に大きな御異議はなかったと考えておりますが、更にそれぞれの課程類型ごとの特性を踏まえてということで、現行の専門職大学院、第3類型、また今回新しく提案している専門職大学等について、定員充足率と認証評価適合という2つの基準を追加しております。例えばこういった類の課程類型の特性に応じた追加的な基準ということではないかというように考えております。
認証評価に関しては、これは高等教育機関限定の仕組みですので、これは現時点で適用し得るものに全て適用しているということで、それぞれの教育制度を前提とした場合には、今のこの適用対象がmaximumということです。
定員充足率に関しては、先ほども申し上げましたように、当該課程の言わば市場評価という観点で、これを用いています。これは制度創設時の本分科会の御審議も踏まえた上で設定したものですが、この60%という基準が若干厳格さに欠けるのではないかという御指摘は、確かにそのような見方もあり得ようかと思っています。ただ、定員充足状況に関しては、必ずしもプログラムの質というものが直ちに応募受講者数の多寡に反映されるとは限らないといった観点、あるいは定員充足率に関しては当然入学ベースで見ていくわけですので、そこを余り厳格化しすぎた場合に、入学審査という全く別の観点に影響を及ぼす恐れがないかとか、いろいろな観点も加味した上で、60%という基準を設定し、運用しているというところです。
今回の、この3年後見直しのシリーズの中では、こうした就職・在職率以外の要件に関わる、例えば具体的な分布とか課題といった点についてまで、私ども事務局として仔細に分析、集計をし、委員の皆様方に御提示するところには至らなかったところですので、こうした定員充足率の専門実践教育訓練制度の趣旨を踏まえての基準としての活用の仕方、あるいはそれ以外の課程類型についてほかの発想があり得ないかということについては、ただいまの御意見も踏まえ、この間に頂戴した御意見全体を捉えた形で、更に私ども事務局として、実態、課題その他を整理し、またしかるべきタイミングで御報告、御審議をいただければというように現時点で考えているところです。
○小杉分科会長 意識は共有しているということですね。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 はい。
○臼田委員 ただいまの話に関連しますが、専門実践教育訓練の指定基準などについては、見直し事項の○6に、在籍・採用企業側の評価なども、訓練効果に関わるより具体的な情報公開を促進するというようなことですが、現在その評価項目はどのような項目をお考えなのでしょうか。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 見直し事項○6に関してです。今、御質問いただいた情報公開項目ですが、この情報公開を求める仕組みの創設に関しては、それぞれの講座運営主体の立場で、自発的に当該課程受講、受講者のキャリアアップ成果あるいはその事例というものを把握し、更に在籍企業にもアウトリーチをした上でその評価を求め、情報公開を促すことによって、講座運営主体自身の当該課程のキャリアアップ成果についての自主的な把握分析を促すとともに、その成果について事例情報も含めて発信することによって、受講希望者が選択しやすい環境を作っていく、選別の言わば土壌を作るということを目的にしているものです。したがって1つ目の○に関しては、それぞれの情報公開の形態あるいは評価尺度というものについても、それぞれの分野あるいは講座ごとの運営特徴に応じた、ある程度任意性を伴ったものにならざるを得ない、個別的なものにならざるを得ないということで、私どもはこの情報公開の仕組みそのものに関しては、先ほど申し上げましたように、情報公開にそもそも協力しないとか、あるいは虚偽の公開内容が把握された場合には再指定の対象外ということを考えていますが、これ自体を客観的な評価基準を設定した上での評価項目の1つとして活用するということは難しいと考えております。
逆に、その下に「これに加え」ということで提示している内容のうち、2つ目のポツで、訓練修了直後の訓練受講の効果、その後の修了後おおむね5年間にわたって実施するアンケート調査については、当然のことながら全ての講座、全ての受給者に共通的な調査項目を設定して実施するものですので、こちらに関してはできるだけ客観的な、比較可能な項目を設定した上で、この2つのポツに関しては今申し上げたように一定の基準を満たさない、更にその基準を満たさない場合で必要な措置を講じない場合には、再指定の対象外とするなど、具体的な個々の講座の評価基準としても活用していきたいという考え方です。
その際の比較の基準に関しては、前回の分科会でも御審議いただいたように、キャリアアップの実態に関して、キャリアアップをしているからといって付加価値があるのかということは一概には言えないということで、関連する政府統計を活用しての比較基準の設定、また先ほども申し上げましたように、専門職大学院と他の課程類型の比較等の基準を設定するという基本的な考え方の下で、これから具体的な設計を進めていきたいと考えているところです。
○小杉分科会長 よろしいですか。
○臼田委員 はい。
○小杉分科会長 運営機関がアンケート調査を作ってやるのが最初のものですよね。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 はい。
○小杉分科会長 少なくとも企業側からの評価は、そこには必ず入れるというようなことは決まっているのですか。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 情報登載項目に関しては、必ずこの情報を入れることとか、あるいはこういった偏った情報登載は避けるようにといった、一定のガイドライン的なものは、私どもから指定講座運営機関に対して提示していきたいという考え方です。
○小杉分科会長 ただの一方的な宣伝に終わらないようにということですね。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 左様でございます。
○小杉分科会長 ほかにいかがでしょうか。
○小松委員 見直し事項○1についてですが、専門職大学が平成31年4月に開学ということで、開学前の指定になるというのはやむを得ないと思っているのですが、やはり開校後に就職・在職率だけではなくて、一定のレベル以上の教育プログラムが実現されているか、それにふさわしい教員や学生を確保しているかということの検証も引き続きしていただいて、指定講座として適正か否かというのも判断することが必要だと感じています。
また開校情報を見ると、その母体としては専門学校が新たに専門職大学を開校するという形が多いように見受けられます。そうなると、専門職大学と専門学校の違いは何かという点で、学生が選考する際に、大学の価値をどこに見い出すかというのがだんだん難しくなってくると思うのです。
大学の良さや特長をPRしていかないと、最終的にみな就職出来るならばより実践的な専門学校のほうがいいという判断も想定されるため、大学であることの理由を、同時に検討していくことが必要ではないかと思います。
専門職大学というのは、高校生の進学も対象となっているし、社会人のリカレントも対象になっていますが、社会人は、途中から学習できるプログラムにもなっているようなので、実際に専門実践教育訓練給付の対象となるのが、どのレベルか、どこから対象となるというのも検証が必要と思います。
加えて、見直し事項○6については、これまでの御議論を伺うと、その背景には雇用保険を適用することに違和感をお感じのご意見もあったと思います。雇用保険適用の是非はあるものの、個人がキャリアアップを図るため学ぶことは良いことであり、企業もその人材が活躍することで経営をレベルアップできるということでもあります。企業側は人材開発支援助成金を、利用しようと思っても、申請書類や用件の複雑さのため、なかなか使おうという気にならないということもあります。こういった雇用者の教育訓練給付のほうも余りハードルを上げすぎて、みなが利用しづらいものになるのも本末転倒なことになるので、お互いに平等なレベルで使いやすい制度になっていくと、有り難いと思います。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 まず、見直し事項○1の専門職大学について何点かの重要な御指摘を頂いたところです。ここで講座レベルの指定基準について、御提示と御説明をしているわけですが、各課程、講座共通で、一旦指定をされたから、それがpermanentな取扱いということではなく、3年タームで必ず再指定申請をさせ、直近の実績に基づいて改めて審査を行います。直近の実績がこれらの基準の1つでも満たさない場合には、当然再指定外という取扱いですので、3年といった時間軸の中での継続的質保証は当然行っていきたいと考えておりますし、またそれぞれの課程類型全体が社会人の学び直しという観点で、どのような必要があるのかといったことを、分かりやすく私ども厚労省の立場でも受講希望者等に提示していくことが一層重要だという点、ただいまのお尋ねを通じ、私どもも再認識しているところです。この専門職大学そのものについての発展形あるいは運営の実態については、文科省所管部局とも協力をしながら、私ども厚労省の立場でしっかりとフォローするとともに、そこで得られた情報などについて、こういう分野でのキャリアアップを希望する方については、このような課程類型が最適といった、学び直しのガイダンスができるような情報発信にも更に努めていきたいと思っております。
見直し事項○6についても何点かの御指摘を頂きました。人開金との関わりでも御指摘いただいたところですが、この専門実践教育訓練の指定対象講座に位置付けられた場合、基本的には御本人の意思で自己負担で、雇用保険被保険者期間等の要件を満たす方が当該講座を受けた場合の支援の仕組みですが、反射的な仕組みとしては各企業が事業運営上の必要性に基づいて、従業員に対して業務命令で当該講座を受けさせた場合も、人開金の中の助成の対象とするという、反射的な対の制度設計にしているところです。したがいまして、ここで御審議いただいた内容というのは、結果としては人開金のほうにも一部は反映されるということで、人開金の使いやすさという観点では、様々な場面でより企業の使いやすい設定、一方では厳格さも必要なわけですが、そこのバランスも考えながら、企業の立場でも使いやすい仕組みに関しては、人開金制度も含めて、更に検討し、必要な見直しも行っていきたいと考えているところです。
○小杉分科会長 ほかに御意見はございますか。
○村上委員 見直し事項○4についてです。今回、専門実践教育訓練の指定基準を満たさない講座で、従来は一般教育訓練の対象になっていた講座について、これまで暫定的に、当分の間一般教育訓練の指定対象としていたものを、新たに一般教育訓練の指定対象に追加するということであります。今回はそうした扱いになるのかもしれませんが、そもそも専門実践教育訓練の指定基準には、受験率や合格率や就職・在職率という要件が課されている一方で、一般教育訓練にはそうした要件はないということからすると、一般教育訓練の指定基準の方を、専門実践教育訓練と同じレベルに上げていくということも、理論的には考えられるのではないかと思っております。
今回は専門実践教育訓練の指定基準の見直しということではありますが、一般教育訓練の見直しをする際には、そうした視点も必要だと思っております。意見です。
○大久保委員 今回の見直し事項の7つというのはかなり技術的な問題も多く含まれた議論だと思うのですが、一旦俯瞰的に考えてみると、3年前にこの制度がスタートしたときに、実際に就職・在職率というような評価基準も含めて一定期間運用してみて、この専門実践教育訓練というものがどういう効果を上げるのか、どのように運営されるのかということをしっかり振り返って、もう一度必要があれば見直しをするというのがこの3年後というタイミングだったと思うのです。
ですから、これまでの3年間の運用実績を踏まえた見直しをするというのが1つあると思うのですが、恐らく実際はそれだけではなくて、もう1つは、この専門教育訓練給付というものの全体の施策の中での位置付けというものが、3年間の間に若干変わってきているところがあると思っていまして、そちらのほうが私は気になってお話をしています。
今月、人づくり革命の基本構想が100年構想会議から出ました。正に学び直し、リカレント教育が政策の課題になってきている中で、そのリカレント教育の章では、人づくり革命のみならず生産性革命を推進する上で鍵となるもので、そのリカレント教育の受講が職業能力の向上を通じてキャリアアップ、キャリアチェンジにつながっていく社会を作っていかなければならないと、そこの一番筆頭に教育訓練給付の拡充が出てきて、専門実践教育訓練給付についてその対象講座を大幅に拡大するということが書いてあるわけです。
その観点から見たときに、今回の見直しはどのように整理をするのがいいのかというのも、当然視点としては持たなければいけないと思うわけです。
私は前回にも少し発言させていただきましたが、専門実践教育訓練については、一番分かりやすいのは、国家試験における業務独占であり名称独占というものだったと思いますが、これだけだと対象者が限定されるので、資格にひも付いてはいない、ジョブ型ではない、もう少し広い領域について、coverageができるものにするというのは1つ見方だと思っていまして、この間もそういう発言をさせていただいたのですが、どういう形で対象領域を講座として拡充してきているのか、そして、その結果として受講者が増加するような施策になっていくのか、いわゆる今回テーマとなっている100年時代における学び直し、リカレント教育に資するものなのかという観点は、どのように見たらいいのか。細かい技術的な側面以前の問題として、その辺のところの整理をどのようにされているかということについて、確認をしたいと思います。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 今、大久保委員から御指摘のあった前提として御紹介のあった、直近の人開行政に関わる重要な政府方針については、この後に議題3で総務担当参事官から説明があるかと思います。そのものについての発言は控えたいと思うのですが、後半のほうの御指摘、専門実践教育訓練制度、これは言わば労働市場政策の中でどのように位置付け、あるいは規模関係をどのように見ていくのかという趣旨でのお尋ねではないかと理解しているところです。
私ども、今の専門実践教育訓練、アクティブな指定講座数という意味では2,100余り、あるいはこれまでの受給者数で言うと2万8,000余りです。まだまだ全部……あるいは被保険者であった方の中で利用している方はごく一部という状況ですが、見方の1つとしては、この専門実践教育訓練を学び直しの機会として活用することが意味のある、あるいは対応する職種というのものが、労働市場の中でどのぐらいのcoverageを持っているのかというのが、1つの目安になる事項ではないかと考えているところです。
今、大久保委員からも御指摘があったように、現行の講座指定対象とする講座の類型としては、いわゆるジョブ型の資格に直結しているものが多数という実態です。こういった部分に着目して、今ほど申し上げたように、今の労働市場の中で、職業別の雇用者数などを見た場合に、どのぐらいの雇用者が潜在的にこの専門実践教育訓練の対象となっている講座を活用し得るのかという観点で見た場合、典型的には専門技術職の中での医療職あるいは社会福祉分野の専門職の方々、こういった方々は活用し得る立場にあると。専門職大学院であれば、例えば法務従事者といった方が活用し得る立場にある。こういった対応関係になってきます。これらは、もともと制度創設時からターゲットに入っていた部分です。
このジョブ型に関すると、この間のこの分科会での御審議を通じて広がった部分としては、第5類型、第6類型に相当する情報通信技術の分野が代表例ではないかと考えております。これも同じ職業分類という観点で考えた場合には、例えば電気電子技術者、ソフトウェア作成者、その他情報処理通信技術者といった領域が、ここに対応するということになる。ここが広がった部分というように言えるのかなと思います。
今申し上げたジョブ型に対応する職業別の雇用者数というのを捉えた場合に、全雇用者数というのが、ある統計を取った場合には5,000万人弱いるわけですが、今申し上げたもともと対象としていた医療福祉職等の専門技術職に、その後追加をした情報通信技術職を含めると、当該職種の従事者というのは大体1,000万人強ということで、このジョブ型で言うと、今この専門実践教育訓練が、ものすごく大雑把に明確にカバーしている部分というのが20%強ぐらいあると。
他方で、ジョブ型ということで、明確に個々の職種と必ずしも対応しない部分もある。今日も御審議いただいている専門職大学院のMBAなどはそれに該当するものになってくると思うのですが、ただこれも参考値的に我々が様々な分析を行う中では、職業分類の中での例えば管理的従事者とか、こういった方々については少なくとも典型的に想定している層というのは言えるのだろうと考えておりまして、こうした明確なジョブ型、明確にカウントはできないのだけれども、こうした専門職大学院あるいは職業実践専門課程などで拾い得る、対象となり得る方々という観点で捉えた場合には、先ほど申しましたジョブ型20%強プラス一般事務職までを含めないと、更に20数%、非常に大雑把に申し上げると40%強ぐらいの職種に従事している方が、今の専門実践教育訓練の活用し得る層という整理は可能ということです。
ですから、そういう意味では1つのアプローチとしては、この間、情報通信技術分野の一定の質を満たす講座を対象としてきたように、ジョブ型という同じ発想の下で、そのスペックに即した形での対象講座の類型を増やしたりとか、あるいは具体的な講座の数を増やすというアプローチもあるでしょうし、逆に申し上げますと、そこに含まれない、職業分類で言うと一般事務の方、建設、製造、運輸等の技能職の方については、今は一般のほうでは大いに活用いただいているところですが、専門のほうではほとんど対象になる方がいない。こういった方々の学び直し、キャリアアップについて、広い教育訓練給付制度の中で、専門中長期キャリア形成という観点でアプローチするのがふさわしいのか、あるいは一般ないし一般の見直しの中で対応することがふさわしいのかといった論点については、今ほど御提示いただいたような点を私ども事務局として整理をした上で、この後の議題とも関連してくるのですが、またしかるべきタイミングで、より幅広い観点から御審議いただく必要がある論点ではないかと感じているところです。
○大久保委員 今御説明いただいたとおりで、次のタイミングのときに一般のほうの議論もあると思いますので、これも踏まえて全体をどのように設計するのかということになると思いますが、今回は専門実践教育訓練のコンセプトについてということも整理していますので、その辺りのところにはもう少し視界が明確にあったほうがいいのかなと。今回、全体に出た施策のところとか、接続的なところについても視野を置いておいたほうがいいのかなと思っています。
○小杉分科会長 資料2-2のほうに少し追加するような形ですね。
○大久保委員 はい。
○小杉分科会長 ほかにありますか。
○三村委員 制度の効果測定に関しては、これまで議論の中で量的なものが中心でしたが、質的な部分での測定も必要だと思います。
専門職大学院、第3類型の中で私どもの大学には教職大学院もありまして、その修了者がどのようなその後を送っているかという事例が短い文章で本人から来ておりますので、ちょっとだけ紹介させていただきます。
該当者は、一般企業を退職し高校の教員を目指して入学しました。無収入になり、前年度の所得税や各種年金を途切れることなく支払いを続けることができたのは、また教員としての資質向上のための教材、研修会への参加も、本給付金のお陰です。学校での長期間にわたる実習もアルバイトと共存させることができ、大きな学びを得ました。現在はしんどい子供たちが集まる高校で教員をやっていますが、給付金のお陰で学業を修め、こうした子供たちの教育に携わっていることに喜びを感じております。このような報告を得ています。
教職大学院、学校教育に関わるわけですが、学校教育は人材育成の初期的期間であるという位置付けから考えると、こうした教職大学院は専門職大学院の中では少数派かもしれませんが、現在各国立大学法人にほぼ設置されております。そういった意味で、その意義も考慮いただきながら、第3類型における給付金の意義についてお考えいただきたいと思います。以上です。
○小杉分科会長 貴重な事例をありがとうございました。ほかにございますか。
○村上委員 資料2-2についてです。先ほど大久保委員からもありましたように、専門実践教育訓練のコンセプトについての議論をしたところでして、その中でも申し上げてきた意見として、雇用保険の負担と給付のバランスについても申し上げて、ここにも記載はしていただいているのですが、改めて2点申し上げたいと思います。
1つは、専門実践教育訓練は、雇用保険制度の中で行っているということで、財政面が厳しくなった際の優先すべき事項、給付についてです。雇用保険制度は労働者の生活及び雇用の安定と就職の促進のために、失業された方への失業等給付と、失業予防や雇用機会の増大に資する能力開発を目的としておりまして、いずれも重要ではありますが、仮に雇用情勢が悪化するなどして雇用保険の財政状況が悪化した場合には、やはり能力開発よりも、失業者への基本手当を中心とした求職者給付が優先的に行われるべきであろうと考えております。
また、そうしたことを是非ここにも明記していただきたいと思っておりますし、必ずしも給付の部分は、この分科会だけで議論する話ではないかもしれませんが、財源としては雇用保険ですので、その部分は雇用保険部会と有機的に連携した議論を行う必要があると思っておりますので、そこは書いていただきたいということです。
2点目です。先ほど専門実践教育訓練給付があってよかったという受給者の話もあったところですが、専門実践教育訓練給付の上限についても考えるべきではないかと思っております。これもこの分科会の議論ではないかもしれませんが、申し上げておきたいと思います。
今年の1月からは給付金の上限は最大168万円となっておりまして、特に第3類型の所は授業料が高額であるということから、給付金もほかの課程類型に比べて、実際に給付される額は多くなっているのではないかと思われます。
また、今回新設される専門職大学などは4年のコースもありますので、4年間の給付ということもあるのではないかと認識しております。公平性の観点からということで、資料2-2の3ページにも記載があり、所得に応じた給付率の傾斜ということも申し上げてきたところではありますが、給付の上限の引下げということも検討していくべきではないかと思っておりまして、その点も記載をお願いしたいと思っております。
○荘司委員 私からも意見です。見直し事項○2の所ですが、例外的に指定対象に位置付ける4年課程について、人材開発統括官定めにおいて限定列挙となっているのですが、その認定プロセスについても透明性を確保することが必要かと思いますので、今後指定対象を追加する場合にはこうしたことを、当分科会でも議題として上げていただければと思います。以上です。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 ただいまの点に関しては、当然見直しのタイミングではこのようにお諮りしているということは、これは統括官定めですので、告示改正事項、すなわち継時的な本分科会の諮問事項という位置付けにはなりませんが、ただいまの御指摘の趣旨も踏まえ、現時点で想定しているものはありませんが、仮に将来、今の時点で予見していない追加的な項目が発生することになった場合には、この分科会にしっかりと事前に御説明申し上げたいと考えています。
それから、先ほどの村上委員の御指摘については、趣旨を踏まえて資料2-2の整理を検討したいと思いますが、2点いずれも雇用保険財政あるいは給付制度に係る事項ですので、まとめ方については、制度の所管部局とも相談しながらまとめてみたいと考えております。
○小杉分科会長 いかがでしょうか、ほかに御意見、御質問等はございますか。ないようでしたら、この議題もここまでといたします。
それでは、3番目の議題に入ります。「その他」として、事務局から報告がございます。未来投資戦略2018、経済財政運営と改革の基本方針2018、人づくり革命基本構想について、事務局から説明をお願いいたします。
○志村人材開発総務担当参事官 それでは説明いたします。資料3でして、資料3-1、枝番がありまして3-2、3-3とございます。全部で8ページになりますが、その主となるところについて説明いたします。
まず、未来投資戦略の2018で、1ページ目は省略して、2ページ目ですが、産業界におけるAI人材等の育成・活用の拡大ということで、ITリテラシーの習得等が促進されるよう、キャリアアップの効果の高い講座を対象に、一般教育訓練給付の給付率を引き上げるなど教育訓練給付の拡充による重点的な支援を行うということです。
次の項目ですが、専門実践教育訓練給付について、専門職大学等の課程を対象とするとともに、大学の職業実践力育成プログラムや、専修学校の職業実践専門課程、AI・IT分野等の第四次産業革命スキル習得講座認定制度等と連携し、AI時代に求められる能力等を身に付けさせるために対象講座の拡大を図ること等の政策が盛り込まれているところです。
3ページ目ですが、人材の最適活用に向けた労働市場改革の観点から、若者雇用促進法に基づく指針や年齢にかかわりない転職・再就職者受入れ促進のための指針の経済界への浸透を図り、企業に対し、新卒者等の個々の事情に配慮した通年採用や秋季採用の導入、転職・再就職の受入れ等の指針に基づく取組みを促すことということです。
4ページ目です。一番最初の所ですが、労働者が「気づき」の機会を得て、主体的にキャリア形成を行えるよう、年齢、就業年数、役職等の節目において企業内外でキャリアコンサルティングを受けられる仕組みの普及。ジョブ・カードの活用促進やキャリアコンサルタントの資質向上に取り組むとともに、長期の教育訓練休暇制度の導入支援など学び直しに資する環境整備を進めること等の政策が盛り込まれています。
5ページ目、ここからいわゆる骨太の基本方針2018ですが、これにつきましては、より長いスパンで個々人の人生の再設計が可能となる社会を実現するため、何歳になっても学び直し、職場復帰、転職が可能となるリカレント教育を抜本的に拡充することが盛り込まれております。具体的には専門実践教育訓練給付(7割助成)について、第四次産業革命スキル習得講座の拡充や専門職大学課程の追加など、対象講座を大幅に拡充すること。一般教育訓練給付については、対象を拡大するとともに、ITスキルなどキャリアアップ効果の高い講座を対象に、給付率を2割から4割へ倍増するということです。
6ページ目ですが、在職者が利用しやすいような夜間・土日の教育訓練コースを推進するとともに、オンラインを活用した民間学習サービスを後押しすること。そして、企業が長期の教育訓練休暇制度を導入し、社員が休暇を取得して学び直しをした場合に、企業に対して、人材開発支援助成金による支援を新たに行う。また、従業員の学び直し、副業・兼業に向けた社会的気運を醸成する等の政策が盛り込まれているところです。
7ページ目以下ですが、資料3-3については、人生100年会議の基本構想の取りまとめでして、この同内容が骨太の基本方針2018にそのままスライドしているというようなことで、両文書には同じ内容が盛り込まれています。簡単な説明ですが、以上です。
○小杉分科会長 ただいまの説明に関しまして、皆様から御質問、御意見等をお伺いしたいと思います。村上委員どうぞ。
○村上委員 今御説明いただきました5ページの骨太方針の所を中心に伺いたいと思います。リカレント教育に関して教育訓練給付の拡充ということですが、一般教育訓練給付の対象の拡大と給付率の引上げを記載されておりますが、その拡大について、現時点で厚生労働省として、拡大の範囲や影響についてどのように考えているのかをお伺いしたいと思います。
○伊藤若年者・キャリア形成支援担当参事官 それでは人材開発統括官部門での立場でお答えできる、現時点での範囲で御説明申し上げます。御指摘いただいております教育訓練給付の拡充、また一般教育訓練給付については、給付率に関わる内容と、それからキャリアアップ効果の高い講座ということで、正にこの場で御審議いただくべき指定講座の考え方、明らかに両方の要素が入り込んでいる内容です。したがいまして、このまた書きを踏まえ、労働政策審議会においては、本人材開発分科会、職員安定局所管の雇用保険分科会で、それぞれ計画的な審議が必要な事項と理解しているところです。審議のスケジュールに関しましては、今申し上げましたように両局で相談をし、第2議題、専門実践教育訓練指定基準改正等について目鼻が立って以降、全体として平成31年度に向け、速やかな検討が求められている事項と私どもは認識をしております。分科会長とも御相談の上、早いタイミングでの本分科会を含めての御審議を開始いただくという方向性のもとで、具体の日程をと考えております。
それから、この対象拡大についての具体的な幅等も含めてのお尋ねですが、私どもといたしましては、今、志村参事官からも説明申し上げましたように、この内容、人生100年構想会議における様々な議論を踏まえ、人づくり革命基本構想に位置付けられ、それがスライドする形で骨太にも位置付けられたということで、この間の人生100年構想会議での、このリカレント教育に関わる具体的な御意見、御指摘、また一般教育訓練給付制度の在り方にも関わってくる、この間の専門実践教育訓練給付制度に主に関わって御意見いただいた内容等を踏まえた上で、との考え方。要は今はっきりしておりますのは、講座指定側ではキャリアアップ効果の高い、というところまでですので、これに該当し得るものが、今の一般教育訓練給付の対象となっている講座の類型の中で何か、場合によっては今後新しい仕組みができるということであるならば、そういったものの中で、どのようなものがあり得るのかということ。第2議題で大久保委員からもコンセプトといった話がありましたが、この議論の方向性を踏まえた上での、この一般の拡充のコンセプトを、私どもも、雇用保険を所管する安定局も、それぞれの立場で整理をしながら、まずその考え方について御確認いただいた上で各論の議論ということで、何か今の時点で、規模とか対象類型において、具体的に念頭に置いているものがあるわけではございません。
ただここでは例示ではありますが、ITスキルという例示は出ております。ここの部分については、1つの検討候補にはなってくる。だからといってこれに限定するという考え方には当然立っていないということです。
○村上委員 御説明ありがとうございました。いずれにしろ、今後の議論という結論だと思います。今御説明があったように、骨太の方針では、ITスキルなどのキャリアアップ効果の高い講座を対象に、給付率を2割から4割に倍増すると記載がありまして、これは100年時代構想会議のまとめの中でもあることから、こうしたことをやっていくんだという方向性が出されたのですが、国として、そうした方向性で人材の育成を目指すということであれば、必要な予算は雇用保険料からではなく、一般財源から確保すべきであると考えております。そうしたことと、雇用保険を財源にしていますと、先ほど申し上げたように、雇用情勢によって財源に影響があるわけで、安定的な政策を行っていきたいというのであれば、そういった一般財源を確保するということは重要ではないかと思っています。
それから、キャリアアップの効果の高いというふうに書かれておりまして、それはキャリアアップ効果が高いものであるべきだろうということはありますが、ただキャリアアップ効果が高いということをどうやって測っていくのかと言えば、この分科会でも議論してきたように大変難しくて、何を指標にその効果を見るべきなのかという共通理解を作っていくことも難しい。事例を挙げていけば、これはあるね、これはないねということは分かるのですが、それをどのような指標で見るのかというのは難しいことから、指定した講座が本当にキャリアアップ効果が高いと言えるのかどうかというところまでは担保が取れないのではないかと思っております。その点意見として申し上げておきたいと思います。
○小杉分科会長 ほかにございますでしょうか。よろしゅうございますか。ほかに御意見、御質問ないようでしたら、この議題はここまでとさせていただきます。そのほか委員の皆様から何か申したいということございますか。よろしいですか。特にないようでしたら、本日の議論は以上といたします。
では、次回、第8回の日程については、7月30日(月)の13時からの開催を予定しておりますので、よろしくお願いいたします。また、議事録の本日の署名委員ですが、労働者側の荘司委員と使用者側の遠藤委員にお願いします。それでは、本日はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。