第8回社会保障審議会資金運用部会

年金局

日時 

平成30年7月25日 (水)14:30~17:00

場所

全国都市会館 第1会議室(3階)

出席者

委員

議題

GPIFの平成29年度業務実績評価について

議事

神野部会長
定刻より少し前なのでございますが、皆様おそろいでございますので、ただいまから第8回「社会保障審議会資金運用部会」を開催したいと存じます。
表現のしようのないような暑さが続く中、皆様には万障繰り合わせて御参集いただきましたことに深く感謝を申し上げる次第でございます。
本日は井上委員、植田委員、臼杵委員、神作委員、四塚委員から御欠席との連絡を頂戴いたしております。
また、河村委員につきましては、所用のため16時半ぐらいに御退席なさるとお伺いしております。
本日、先ほど御欠席との御連絡を頂戴しております井上委員の代理として、日本経済団体連合会の小畑経済基盤本部長に御出席いただけるということでございますので、この代理出席につきまして御異存がなければお認めしたいと存じます。いかがでございましょうか。よろしいですか。
(「異議なし」と声あり)
それでは、そのようにさせていただきます。
議事に入ります前に、事務局からまず資料の確認をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
宮崎資金運用課長
それでは、座ったままで恐縮ですが、資料の確認をまずさせていただきます。
本日配付の資料は、資料1-1といたしまして諮問書がございます。諮問書には別紙という形で、平成29事業年度業務実績評価書(案)があり、これとセットで資料1-1ということでございます。
本日、諮問、答申ということでございまして、正式な書類としては実績評価書(案)における評価を御確認いただくということではございます。けれども、非常に大部な資料になっていますので、それぞれのパーツを分解した資料として資料1-2、資料1-3を用意しております。
資料1-2「平成29年度業務実績報告及び自己評価書説明資料」。
資料1-3「平成29事業年度業務実績書(主務大臣評価(案))説明資料」。
資料1-4「平成29事業年度監査報告」。
参考資料1「独立行政法人の評価に関するスキーム」。
参考資料2「独立行政法人の評価の考え方」。
参考資料3「年金積立金管理運用独立行政法人 評価項目一覧」。
参考資料4「平成29事業年度財務諸表等」を配付させていただいております。
資料の御不備等がございましたら、御指摘いただければ対応させていただきたいと考えております。よろしいでしょうか。
神野部会長
どうもありがとうございました。
それでは、議事に入らせていただきたいと存じますけれども、お手元の議事次第を御覧いただければと思います。本日用意させていただいている議題は1つでございます。GPIF、つまり年金積立金管理運用独立行政法人の平成29事業年度業務実績評価について、御議論を頂戴できればと考えております。
御議論を頂戴する前に、厚生労働省全体の独立行政法人評価の取りまとめに当たられております政策評価官室から、独立行政法人の評価に関するスキームさらには考え方等々について、まず御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
牧野政策評価官
政策評価官の牧野と申します。よろしくお願いします。
私から参考資料1、2を使いまして、全体の考え方を説明させていただきたいと思います。
まず参考資料1から駆け足になりますが、説明させていただきます。
独法評価の全体のスキームでございますけれども、1枚目の下の図にございますとおり、平成27年度から独立行政法人を主務大臣が直接評価する仕組みに変わりました。その際、外部有識者の知見を活用するという形になっております。
1枚めくっていただきまして、GPIFに関しましては、平成27年度までは有識者の知見の活用につきまして、有識者会議から意見を頂戴していましたが、28年度からこちらの資金運用部会で意見を頂戴するという形になりました。また、今年度からGPIF法の改正に伴いまして、大臣から諮問を受けて評価について御意見をいただくというような形に変更になっております。
3ページ、評価の簡単な流れでございますけれども、一番左側の箱でございますが、評価項目につきましては中期目標に沿った形で、あらかじめ法人のほうで設定をしております。その項目ごとに真ん中の箱になりますけれども、5段階評価をするということになっております。さらに項目別評価を点数化するような形で割合、機械的ではあるのですけれども、総合評定をつけることになっておりまして、委員の先生方については本日、項目別評定についてそれぞれ御意見をいただくという形になっております。これが参考資料1でございます。
参考資料2に移りまして、評価の考え方について去年も御説明した部分もあるかと思うのですけれども、さらに評価官室で新しく資料をつくりましたので御説明をさせていただきます。
1枚おめくりいただきまして5段階評価の個別の評定区分の意味でございますけれども、Bが標準となっております。下にBの意味を書いておりますが、中期計画、中期目標における初期の目標を達成している。定量的指標においては100%以上、120%未満ということで、要はこれはBというのを普通ということではなくて、目標を十分達成して法人の運営が順調にされているというのがB評価ということになっております。
主務大臣評価で特に判断が難しいのがA評価になりますので、A評価のところを御覧いただきたいと思いますけれども、A評価というのは中期計画、目標における初期の目標を上回る成果が得られているというのが判断基準でございまして、この成果というのがきちんと説明できているかどうかというのがポイントになるかと思います。
具体的には指標がある場合には達成度120%以上、それから、定量指標がない場合には定性的であってもいいので、初期の目標を上回る成果というものをきちんと説明していただくというのがポイントになります。
さらに3ページに行きまして、A評定の判断ポイントというものを細かいのですが、さらにブレークダウンして評価官室で整理いたしました。まず1(1)定量指標があって全て達成度120%以上の場合は、基本的にはA評定でございますけれども、目標設定が甘かったということもあり得るので、その考え方の明示や目標値の妥当性の検証も必要となってくるということでございます。
(2)複数の定量指標のうち一部が達成度120%以上の場合につきましては、基本的にはA評定とはならないのですが、A評定とする場合には目標の重要度、難易度や質的な成果の説明などを補足していただいた上で、A評定となるケースがあるということでございます。
2番、定量的指標がない場合、GPIFさんでもこのケースが今回あると思いますけれども、成果を説明していただく必要がある。(1)参考指標などの実績値を用いて成果を説明することも可能でございますが、その場合には実績値の設定に関する根拠を示していくことが必要でございます。
質的な成果の説明をしていただくということも十分可能なのですが、これはアウトプットだけの説明では成果ということでなかなか、総務省のほうからということなのですが、不明確とされるケースがございますので、可能な限りアウトカムの説明をしていただく。その説明が法人から十分いただけているかどうかというのが判断ポイントとなると思います。
3番、難易度を設定していると評価を引き上げることができるというルールがあるのですが、GPIFさんの場合、難易度を設定しておりませんので、この部分は説明を省略させていただきます。
その次のページ以降で細かい事例を提示させていただいたのですけれども、この点については御参考いただくということで説明は省略させていただきます。
この考え方に沿って本日、御意見いただけますと大変ありがたいと思っております。
私からは以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。
引き続いて、事務局から本日の議論の進め方について御説明を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いします。
 
宮崎資金運用課長
それでは、私から本日の議論の進め方等に関しまして御説明をさせていただきます。
先ほど御確認いただいた資料の中の資料1-1にございますけれども、本日のテーマである年金積立金管理運用独立行政法人の業務実績評価(案)、これは本日付で厚生労働大臣より当社会保障審議会宛てに諮問させていただいているものです。最終的な本日のゴールといたしましては、この厚生労働大臣の評価(案)につきまして妥当なのかどうか御判断いただくということでございまして、その際には今、政策評価官より説明申し上げましたような視点に沿って御意見を頂戴できればと思います。
ただ、評価そのものの前に法人から実績あるいはそれに関する自己評価等について説明いただくという手順をとりたいと考えておりまして、議論の進め方といたしましては、まずは法人から自己評価について説明をいただきまして、それぞれの説明につきまして御質疑あるいは御意見等をお願いした上で、最後にまとめて厚生労働省から主務大臣評価(案)を説明させていだいて御審議をいただければと、このような段取りで考えてございます。
具体的には評価項目は全体で12項目と多岐にわたりますので、全体を3つに分けまして法人から説明いただいて、それぞれのパーツごとに質問や御意見をいただいて、全ての項目についての説明、質疑が終わった後に本日、法人からは理事長、事務局のほかに監査委員の3名の方にも御参加いただいており、監査委員からの御意見、また、理事長からの御意見を伺い、その後に厚生労働省から全項目及びそれを踏まえた全体についての評価案を説明させていただければと考えております。
既に各委員の皆様には、資料が大部になりますので事前に資料をお送りして、お目通しいただいております。本日の法人からの説明につきましては特に先ほど評価官から話がありましたように、自己評価でA評価としている項目を中心といたしまして、ポイントを絞って説明をいただいて、質疑等をしていただくような形で進めていただければと考えております。
神野部会長
よろしいでしょうか。大臣からの御諮問を御審議いただくというのが今日の最終的な目的でございますけれども、その前にGPIFから評価項目の12項目を3つに分けて御説明を頂戴して、それについてそれぞれ御議論を頂戴するという仕方で議事を進めてまいりたいと思いますが、この段階で何か質問あるいは御意見がなければ今、御説明があったような手順で議事を進めてまいりたいと思いますが、よろしいでしょうか。
どうぞ。
平川委員
前回の評価のときも質問したのですけれども、独立行政法人の評価の考え方が、特に定量的指標がない場合のところの説明をお願いします。すみません、参考資料2です。
神野部会長
つまり議事の進め方ではなくて、評価官から御説明いただいた内容についてということですか。
平川委員
はい。率直に言って、これで評価できるのかというと、相当困難なような気がいたします。根本の話で申しわけないのですが、単純にわかりやすく説明されていればAでもいい、Sでもいいということなのでしょうか。
神野部会長
これは評価官からいいですか。
牧野政策評価官
まずは成果というものを説明できているか、ちゃんと成果というものを提示できているかというのが1つのポイントになるかと思いますけれども、それを成果として見るかどうかというところがまた判断が分かれる部分があるかと思いますので、その部分について御意見をいただきたいと思います。
 
平川委員
SとAの違いはどういうふうに考えればいいのでしょうか。意地悪っぽい質問で申しわけないのですが。
牧野政策評価官
ルール的なことだけ申し上げますと、まずS評価というのは定量指標がない項目は原則、S評価というのはありません。定量的な指標がある評価項目で達成度が120%を超えていて、かつ、質的に顕著な成果があるというのが基準にはなっておりますけれども、ただの成果と顕著な成果の区分というのは、ここは十分についておりませんので、これについて顕著な成果と言えるかどうかというところについて、委員の先生から御意見をいただくことになるかなと思っています。そこは判断が難しいので、個々の事情に即して判断していくものであると考えております。
平川委員
この評価の考え方がそもそもGPIFの業務実績のさまざまな評価説明と合っていないような気がしていまして、その辺は今後、これはどこで考えればいいのかわからないのですけれども、総務省の評価指針をもとにしているのですね。前回も私は言ったのですが、総務省ともう一回連携をとって適切な評価指針となるように検討していただきたいと思っているのです。毎回こういう感じでGPIFを評価すると、GPIFもどういう報告をつくっていいかわかりづらいのではないかと思いますし、その検討をお願いできないでしょうかということなのですが。
牧野政策評価官
独法評価制度自体については随時、見直す余地があれば見直すということは総務省でやっているかと思うのですけれども、総務省も基本的には大枠をつくるだけでございまして、個別具体的な評価というのはかなり主務大臣に委ねられているところがございます。というのは法人の業務の内容は本当に千差万別でございますし、なかなか統一的なルールをつくることができないということがございますので、その業務の内容を見ながら、法人によって成果というのは全然違ってくるというところもございますので、そのあたりも議論しながらということになろうかなと思っております。確たるお答えが全然できなくて申しわけないのですが。
神野部会長
河村委員、どうぞ。
河村委員
今日、社会保障審議会資金運用部会の委員ということで来ていますけれども、今までいろいろ独法の評価にかかわっておりまして、今年から厚労省の先ほど出ていましたが、他の独法の評価にも関わっているのです。今まで総務省の政独委とかで長く独法の評価もやっていましたし、その経験も踏まえて申し上げると、平川委員がおっしゃられたようにテストの採点基準をきれいに、どの例にもきっぱり、きちんと当てはめられるような採点基準を例えばこの2ページで書ける話では多分ないと思います。特に定性評価のところはないと思います。
ただ、書くとすればこう書くのが精いっぱいなのかな。でもそれでできないかというと、そんなことはなくて、それできょうの資料にも4ページ以下でいろいろな事例が出ています。いろいろな府省のいろいろな独法がいろいろなことをやっているときに、どういう事例について、意見が対立するときもあると思いますけれども、顕著な成果として認められるものがどうなのかとか、当たらないかとかいうのは、こういういろいろな事例を通じて形成されてくるところもあるのではないかと思いますので、ここの最初の2枚だけ見てわからないから総務省にというのも、なかなか総務省のほうもきっと大変なのではないかと思います。この基準で絶対評価ができないということは、必ずしもそうでもないのではないかと思います。
神野部会長
よろしいですか。
平川委員
例えば試験研究機関であれば何らかの研究成果がある。例えば農業試験場なら米の品種改良ができて、すばらしい米ができました。大分時間がかかったけれども、それなりにS評価、A評価というのは得られやすいという感じがあるのかなと思います。
せっかく4ページ以降、今、妥当性の事例とかありますけれども、ここまで書くのであればGPIFのような組織に対しての妥当性の評価というのが逆に言えばつくれないのかなと思いました。
この状態だとGPIFの評価はほとんど、実際にそうなっていますけれども、B評価で終わってしまっていて、独立行政法人としてあえて評価することの意義というものが本当に出てくるのかどうか、なかなか結論というのは難しいのではないかと思いました。
そこまで言っていませんでしたけれども、評価基準としてはどうなのかという話は前回、発言しているはずでありますので、それに対して全く何も進んでいないということに対しては、やや疑問を持っているということであります。
意見として言わせていただきます。
神野部会長
いずれにしても河村委員の御説明等々でいけば、こういう漠としたもので出発せざるを得ないけれども、具体的な評価を進めていくというか、動かしていく中で詰められる話だということかなと思いますが、進めさせていただいてよろしいですか。  議論の運営の手順ついて特に御異論がなければ、御説明いただいたような次第にのっとって議事のほうは進めさせていただきたいと思いますので、御承知おきいただければと思います。  それでは、まず初めに資料1-2「平成29年度業務実績報告及び自己評価書説明資料」のうち、I-1の管理・運用の基本的な方針、運用の目標からI-4の透明性の向上について、まずGPIF、法人のほうから御説明を頂戴できればと思いますので、よろしくお願いいたします。
森審議役
年金積立金管理運用独立行政法人の審議役をやっております森と申します。座って説明させていただきます。  お手元の資料でございますが、1-2「平成29年度業務実績報告及び自己評価書説明資料」の1枚目をお開きください。そこに平成29年度業務実績評価、中期計画に沿いまして項目を12に分けまして、自己評価で採点したものがございます。これにつきましては私ども昨年10月に組織改正がございまして、経営委員会ができまして、我々の自己評価、これは主務大臣に御提出するに際しても経営委員会の議決を経まして御提出しておりまして、「厳格に」ということで今回は自己評価Aの項目は3つということで付してございます。  3ページ、評価項目I-1でございます。管理・運用の基本方針、運用の目標でございますが、中期目標の評価指標として1から4までございます。1と2がパフォーマンスの関係でございまして、3が運用受託機関の選定の適切さ、4が新しいガバナンスに基づきまして経営委員会、監査委員会を含めましてPDCAサイクルをきちんと回せているということでございまして、この4つでございます。  お手元の6ページまで飛んでいただきますとパフォーマンスの関係ですけれども、まとめた表がございます。最初に評価項目と離れるのですが、上の箱を見ていただきますと私どものポートフォリオ及び平成29年度の運用実績がございまして、運用実績は収益率が6.9%ということで、額で言いますと10兆810億円。2001年の自主運用開始から数えますと63.4兆円ということでございまして、運用資産額が156兆円になっております。  パフォーマンスの評価につきましては、ベンチマークを基準ということでございまして、まず下の表の一番右側は、中期目標期間で各資産のベンチマーク収益率をとるということでございますが、見ていただきますと国内株式、外国債券、外国株式ともとれているという形でございます。国内債券につきましては平成27年度、これはデフレ脱却した場合にはインフレ連動債、物価連動国債が優位でございまして、この関係でアクティブ運用を入れておりますのがマイナスになっておりますが、そういうことも考えますとほぼ順調かと存じております。  もう一つ左に行っていただいた平成29年度でございますが、平成29年度も国内債券、外国株式ともこれは「努める」という目標でございますが、ベンチマークがとれているところでございます。国内株式が劣後しているではないかという話がございますが、よく見ていただくとパッシブ運用の関係でございまして、パッシブ運用は私ども26年から企業実績等に連動しましたファンダメンタルインデックスというものを入れていまして、それが昨年度はよくなかったということでございます。外国債券のアクティブも負けているではないかという話もございますけれども、これは3年間のアクティブを見ていただきますと1.17%とれていますし、29年度についてはユーロがドルよりも30%ぐらい上振れしたという、いわゆる通貨要因でございますので、大体この超過リターンについてもほぼとれていると評価しております。  7ページ、運用受託機関の適切な評価ということでございます。運用受託機関の評価につきましては、実績だけ見ていても後追い的になるということで、従来から定性評価も加味してやっておったところでございますが、この投資方針とか運用プロセスの合理性、納得性を高く評価したほうが将来的な超過収益率の可能性が高いということがございまして、私ども定量評価につきましてはちゃんと裏づけでとりますけれども、それを勘案した定性評価ということで一元化しまして、より工夫をしたというところでございます。  8ページは管理・運用の基本方針でございますが、月次で運用実績、リスクをとりまして、定期ミーティングで投資方針、運用体制等につきましてミーティングを行う。その上で運用受託機関の評価を行うという形で実施しておるところでございます。  9ページ目からは組織体制の変更でございまして、独法で初めて独任制から合議制に転換しまして、意思決定と監督、執行の分離を行っております。  10ページ目に委員の一覧がございます。私ども平野委員長のほか、きょう3名、監査委員の方が来ていらっしゃいますけれども、監査委員会のメンバー含めて経営委員会のメンバーは非常に精力的に活動していただきまして、11ページ目以後、開催実績がございますけれども、10月から3月までで8回ということで、法定の議決事項のほか各種勉強会もしくは報告事項につきましても丹念に審議をしていただいていると存じております。  14ページ目が次の評価項目でございますが、リスク管理でございます。リスク管理については資産全体のリスク管理、各資産のリスク管理、各運用受託機関のリスク管理と、この3段階をきちんとやっていくということでございますけれども、私ども特に昨年度で言いますと、フォワード・ルッキングなリスク分析としましていろいろ今後考えられるシナリオ、後ほど基本ポートフォリオの検証のときに申しますが、おおむねは与えられた積立金もとれるような形でポートフォリオを組んでいるわけでございますが、いろいろシナリオを考えながらフォワード・ルッキングな分析を進めていくということで、力を入れております。  15ページにつきましては年金積立金全体のリスク管理ということで、全体的な動き。  16ページにつきましては各資産のリスク管理ということで、17ページ、運用受託機関のリスク管理につきましては運用体制の変更、キーパーソンが変わったとか、そういうことにつきましても丹念に見ておるところでございます。  18ページ目が運用手法、運用対象の多様化、株式運用における考慮事項でございまして、ここは私ども自己評価Aという形でつけさせていただいております。  運用手法等につきまして評価項目でございますけれども、経営委員会による適切な監督のもとにリスク管理なり運用対象の多様化を行うというお話がございまして、19ページでございますけれども、経営委員会で審議いただいて、例えば運用制約の緩和につきまして、アクティブ運用につきましては運用機関の能力が発揮されるよう緩和しておる、国内債券の評価ベンチマークについても変更するということで、きちんと関与を受けておるところでございます。  その上で20ページでございますが、アクティブ運用の超過収益率がどのようにとれているかということでございますが、国内債券、国内株式、外国株式ともとれておるということでございます。外国債券につきましても各マネジャーにはそれぞれベンチマークを与えておるところでございますが、20ファンド中15ファンドはちゃんとファンドレベルではマネジャーベンチマークを上回っておりますので、そういう意味ではアクティブ運用についてもちゃんと超過収益がとれているのではないかと考えております。  その次から収益確保や運用効率のための運用手法の見直しでございますが、同じ20ページの下の段でございますが、我々は単に今、使っている運用機関だけではなくて、我々に応募している運用機関につきましても、月次データをとりまして機動的に競争させて採用するというマネジャー・エントリー制度というものを進めております。あとは右側でございますが、ベンチマークにつきましても、外国株式につきましては一律のものだけではございませんで、地域別のインデックスということで多様化を進めておるところでございます。  21ページにつきまして、運用機関に対する管理でございますけれども、新実績連動報酬体系といってこの業界では非常に新しい、「国際的に見ても」ということでございますが、取り組みをしておるところでございます。考え方としましては、運用受託機関とのアラインメントの強化ということでございまして、超過収益が出たらちゃんと運用受託機関とシェアをしていく。ただ、獲得できない場合にはパッシブ運用機関並みの運用報酬とするということでございまして、さらに括弧の一番下にございますが、長期的なパフォーマンスに応じた支払いとするかわりにマーケットサイクルを踏まえた複数年契約を導入するということで、運用機関とのアラインメントを強化して強みを発揮していただくという形の報酬体系を導入しております。  22ページはオルタナティブ資産でございますが、前回の会議でもございましたように、私どもオルタナティブの運用につきましては「昨年度から本格的に」ということでございますが、その選定に関しましてはオンサイトも含めて丹念に審査いたしまして、選定しておるところでございます。  23ページのLPS、24ページのデリバティブの関係は、先回の御議論いただいた話でございますが、我々「体制の強化」ということを実施したところでございます。  25ページは新しい評価指標でございますが、株式運用における考慮事項ということでございまして、株式運用につきましては財務的な要素に加えて非財務的要素であるESG等を加味して検討するという話がございますけれども、この話につきまして昨年度は左のほうの箱でございますけれども、今までは国内株式パッシブのみということでございましたが、このスチュワードシップ活動につきましては国内外のパッシブ、アクティブについて拡大しまして評価を実施しているところでございます。  また、インデックスにつきましてもESG指数の採用に取り組みまして、国内株式につきまして、ESG指数につきまして、総合型のものを2社、もしくはSの関係ですけれども、女性活躍指数ということで1社という形で、指数に連動したパッシブ運用を開始しまして、非財務的要素、ESGについてはさらに強化したところでございます。  また、Eについては、グローバルという形で現在、選考を進めておるということでございまして、取り組みを進めているところでございます。  26ページは透明性の向上でございます。透明性の向上につきましては、国民の皆様にGPIFの業務内容をよくわかっていただくのは非常に重い課題だと考えておりまして、27ページは私どもは、ほかの法人でもやっているかと思いますが、SNSも活用しまして、特に長期分散投資の成果とかいろいろと発信をしておりまして、フォロワー数はこの1年で2.7倍という成果が出ております。  28ページ、GPIFをわかっていただくために業務概況書も含めましてロゴなり統一的な色使いとかデザイン等も工夫して発信するとともに、動画については、我々は外国の報道機関からも取り上げられる話がございますので、英語も含めましてGPIFの紹介映像、あと、採用が重要でございますので、我々の職員に語ってもらうという形で採用PR映像という形も取り組んでおります。  29ページ、昨年度はESG投資の広報について力を注ぎました。理事長を初め役員等、内外で58回、講演、シンポジウムに出席していただきましたし、外務省と共同の勉強会、あとはGPIFの公式ホームページでESGの解説ページを掲載したところもございまして、私どもも一助になったと思いますけれども、ESG投資に関する新聞記事につきましては、全体で見ますと2年前に比べて4倍以上になっております。  30ページは昨年度から影響を踏まえつつ実施している保有銘柄開示でございまして、これを継続してございます。証券コード等も含めまして開示しておりまして、これは非常に好評を博しておるところでございます。  私からは以上であります。
神野部会長
どうもありがとうございました。  評価項目のI-1からI-4までについて、業務実績と自己評価について御説明をいただきました。自己評価からいくとI-3です。運用手法、運用対象の多様化、株式運用における考慮事項について自己評価でAをおつけになって、あとの項目についてはBという自己評価の結果でございました。  以上の評価項目の御説明について、委員の皆様方から御質問、御意見、御審議を頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。  河村委員、どうそ。
河村委員
私からは今、自己評価Aということで御説明くださいました評価項目I-3のところで御質問をさせていただきたいと思います。  中期目標の内容は今、御説明くださった資料の18ページにある1~4でございますよね。運用手法のリスク管理、運用手法の見直し、運用対象の多様化、非財務的要素の考慮といったあたりかなと思って、今、お時間のこともあったのだと思うのですが、ざっと御説明くださったのですが、確認ですけれども、この項目は評価書の本体、別紙というものの27ページを拝見すると、定量目標というのは特に設定はない項目という理解でよろしいでしょうか。  であれば定性的なところをよく確認させていただかなければいけないと思うのですけれども、今、いろいろ御説明を伺っていると1から4まで目標を立てられてきっちりなさっているということで、B評価がかたいのは間違いないと思うのですが、その上でさらに一段Aということであれば、定量に引き直せば120%以上に当たるような成果がということになると思うのですけれども、GPIFとしては1~4の中のとりわけどの面で顕著な成果に値すると考えているものがおありかどうか、それとも1~4全部そうなのかというあたりをわかりやすく手短に御説明いただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
森審議役
河村先生、御質問ありがとうございました。  確かにこの項目、まず運用手法、運用対象の多様化につきまして、リスクを考えつつ、経営委員会の関与を得つつ、より超過収益をとっていくよう運用受託機関の管理も含めて実施していくところでございまして、1~4、私ども手前みそかもしれませんけれども、全ての項目について非常に顕著な努力をし、顕著な成果を得たと考えております。特に運用機関の選定、管理の強化のための取り組みということで、繰り返しになりますが、このような実績連動報酬を導入するためには運用部も含めて非常に努力をし、関係者とも多大な協議等をしたところでございます。  株式運用の考慮事項のESGにつきましても、私どもの影響ということでは参考指標という形になるかもしれませんし、私どもだけの努力ではないかもしれませんが、ESG投資の記事についても4倍になったということで、そういったものを含めまして我々は自己評価Aに値すると、これは経営委員会の審議も踏まえまして自己評価したところでございます。
神野部会長
ほかいかがでございますか。徳島委員、どうぞ。
徳島委員
I-1から4までのところ、私もGPIFがつけられていらっしゃる自己評価におおむね違和感はありませんが、ただ今、森審議役から御説明のありましたI-3をAにすることに関しては、正直言ってぎりぎりの判断かなという気がしています。  すなわち、ここについて極論をすれば、毎年新しいことに取組んでいればAがつくのではないかというふうに見えてしまいます。実際、参考資料で過去の履歴を見させていただいても、平成27、28年度と毎年Aがついている。本当に毎年Aがつくのに適切な取組みをやっていらっしゃるのかという意味では、平成29年度についてぎりぎりやっているかなと考えるのですが、外からは厳しく見られがちかと思います。今後とも、不断の努力を続けていただかないとAの評価を維持できないかと思います。  例えば、審議役から1から4まで全部取組み、自信を持ってAだとご説明ありました。私も評価自体に異論はないのですが、例えばESGにつきましても昨年のこの場ではESG指数を7月頭に導入されたことを伺っています。そういった意味では新鮮味も少ないわけですし、その次の手として、環境グローバル指数を公募したという事実はあるのですが、公募の次の具体的なアクションはまだ起きていらっしゃいません。そういったところを考えると、やや弱いかなという気がしてしまいます。ただ、私はそれでも平成29年度は、ぎりぎりAでいいのかなと思っています。  それから、直接評価とは関係していないところですが、評価項目I-2のところにトラッキングエラーの推移について資料を出していらっしゃいます。これは基本ポートフォリオからの乖離の縮小という意味でのトラッキングエラーの縮小であれば適切と考えられます。GPIFは当然理解されていらっしゃるのですが、ほかの運用機関などでアクティブ運用のトラッキングエラーの低下を良いことだと勘違いしていらっしゃる方が結構いらっしゃいます。トラッキングエラーの低下が何を意味しているかをきちんと外に向け発信を続けていただかないと、リスクをとらないほうがいいのではないかというように誤解される向きも結構ありますので、より対外説明、透明性の向上に向けた御注力をお願いできたらと思います。  以上です。
森審議役
御指摘どうもありがとうございました。我々も新しいことさえすればいいという話ではございませんで、アラインメントの強化とか、この運用が、よりリスクを抑えつつ、国民のためになるような形で日々努力をしているところでございます。  御指摘の2点目でございますが、まさに今回の新実績連動報酬は私どもの契約を維持するため、そこそこのリスクをとっていればいいよという話ではございませんで、きちんと収益をとれれば、それだけお互いシェアしていこうという考え方でございますので、こういう取組の中でも私どもの考え方は示させていただいているところでございます。
神野部会長
ありがとうございます。 ほかいかがでございましょうか。どうぞ。
小畑参考人(井上委員代理)
代理にもかかわらず、発言の機会を頂戴しましてありがとうございます。  自己評価Aの点について一言、申し上げさせていただきたいと思います。特に25ページの運用における考慮事項のところでございますけれども、その中でもESG指数に連動したパッシブ運用の開始というところにつきましては、ここに書かれている以上に経済界、企業におけるインパクトというのは非常に大きなものがあったと私ども認識しておりまして、それは非常に成果があったのではないかと受けとめております。企業もいろいろな点で、私もここにバッジをつけておりますけれども、SDGsに向けていろいろな取り組みをさせていただいているわけですが、それを投資家の観点からどう評価するかというと、まさにESGの観点からの評価ということになるわけで、各企業もここでどう評価されるかというのは関心を持って見ているところでございまして、今回の指数導入は非常に画期的なことだと受けとめられております。  しかも今回、GPIFさんのイニシアチブで指数がどうつくられているのか、どういう観点から対象となっている企業が選定されているのかという点についてもしっかり開示がされているということで、そこがブラックボックスになっていないという点でも、企業側がそれに向けて今後、活動を高めていくという観点からも非常にいい取り組みだと思っておりまして、今後もそうしたやりとりを含めて、この指数の改善も含めて来年度以降、しっかり取り組んでいただければと思っております。  1点、質問をさせていただきたいのですけれども、今回、公募をやっておられるグローバル環境株式指数の中身について、またこれも昨年やられましたESG指数のようにその選定のプロセス、どういう評価項目なのかというところについて公開されるのか。企業からの問い合わせにお答えいただけるのかというところについて教えていただければと思います。
森審議役
御質問ありがとうございました。御指摘のとおり私どもインデックスの選定につきましては、外部企業様からのお問い合わせ等につきまして丁寧に対応することを審査し、要請をしておるところでございます。御質問いただきましたように、今回のグローバル指数につきましても同じような考え方で審査等を進めておるところでございます。
神野部会長
ほかいかがでございますか。平川委員、どうぞ。
平川委員
最初に評価項目I-2のリスク管理のところですけれども、14ページから15ページ以降にあったと思います。  現状の課題認識について記載がございますが、例えば資産別の乖離状況が15ページに記載されています。この中で国内債券の資産の割合が低下しつつあって、このままいきますと少し厳しい状況に、少なくとも乖離許容幅の下限にかなり近づいてきているというのがわかるのではないかと思います。その辺について記載がないように思います。客観的な事実としてその辺についてグラフ上では見ればわかるのですけれども、リスク管理として客観的に見て乖離許容幅を超えてしまう可能性があるということも含めて記載するかどうか。記載すべきではないと言えば記載すべきではないと言えますし、ただ、乖離許容幅の下限に近づいているということは客観的事実としてありますので、その辺をどのように記載すべきかということについて考え方をお聞きしたいと思います。  もう一つ、政策評価官にお願いしたいのですけれども、場合によって乖離許容幅が下限を超えてしまいましたというときは定量的な評価になるのですか。その場合、評価はどうなるのかというのを後で質問に答えていただければなと思います。  それから、18ページのところでありますけれども、アクティブ運用に関して4資産中3資産でプラスの収益率を確保することができたということで記載がされております。アクティブ運用に関しましてはこの間、GPIFから委託しましたアクティブ運用機関におきまして、目標を達成したファンドが少数にとどまっている。運用機関の目標設定が適切でなかったのではないかということなどが課題としてあったのではないかと思っていまして、記載されています実績連動報酬の導入や運用制約の緩和、決められたのとして認識しておりますけれども、その辺が余り触れられていないのではないかと感じておりますので、この辺はどうなのかということでGPIFの考え方をお聞きしたいと思います。
神野部会長
それでは、最初にGPIFから2点お答えいただいた上で、最初のリスク管理についての評価官の御見解を後でお尋ねすることにさせていただければと思います。
森審議役
まず短期資産の要するに国内債券の低下について御指摘をいただきました。資料1-2は実は実績評価書そのものではございませんで、実績評価書につきましては今回、厚生労働省でお出しいただいた諮問書の中に溶け込んでいるものでございますし、私ども概況書におきましては、短期資産がふえて、その分といいますか、国内債券について少なくなっているというところについては記述させていただいてございます。  御承知のとおり、私ども年金積立金全体でポートフォリオを組むという形で御指示いただいておりますので、代行返上等によりまして短期資産がふえてきたという話でございまして、その面で短期資産がふえた。短期資産と国内債券を合わせれば、ほかの資産につきましてはほぼポートフォリオと大体同様のかなり近似した数字でございますけれども、そのようなポートフォリオになっているということは御理解いただいているかと思います。  実績連動報酬導入につきましては、各ファンド、運用会社は基幹的、代表的なファンドも運用しているわけでございますが、それに比べればGPIFのファンドのパフォーマンスが若干劣るという話はございまして、それにつきまして、私どももヒアリング、一方的に運用機関等に指示するのではなくて、ヒアリングなり対話が重要でございますが、その対話の中で自分たちの強みを生かすためには永久債とかにつきまして緩和してもらったほうがいいということ。これはそもそもパッシブ運用ではなくアクティブ運用ということで、強みを生かしていただくような運用でお願いしているところでございますので、緩和を行ったということでございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。 それでは、評価官お願いします。
牧野政策評価官
御質問いただいた定量的評価の件でございますけれども、達成度を評価する定量的指標というのは、中期目標ないし中期計画に記載された定量的指標と整理させていただいております。ですので評価項目I-2につきましては、定量指標がないということにはなります。  それ以外の定量データをもちろん考慮することも可能ではあるのですけれども、あくまで参考指標となりますので、中期目標なり計画に照らしてそれが達成していると評価できる数字なのかどうかというのは、個別に御判断いただく形になるかと思います。
宮崎資金運用課長
私からも補足させていただきます。冒頭の平川委員からの御質問にも一部答えているかと思いますが、これは仕組みとして総務省の定める枠組みがあり、それに沿った上で所管法人でそれぞれの指標なりなどを具体的に定めてまいります。ですので平川委員御批判は恐らく総務省の仕組みというよりは具体的の評価指標の内容が合っているかどうかという問題意識も踏まえているものだと思いますので、昨年もお答えしましたけれども、そこは我々の宿題として次期中期目標をつくる際には考えたいと思っております。  それに関連して今の御質問ですけれども、I-2に関しましては評価官から説明がありましたように、定量的な指標として例えば乖離許容幅何%ということを設けているわけではございません。ここでは評価の視点というものを設けておりまして、その中で乖離許容幅をきちんと管理して、必要に応じて適切な措置を講じているかということを評価の視点としています。ですので例えば乖離許容幅がどんどん拡大していくのにもかかわらず、漫然と何も管理をせずにそれを見過ごしたということであれば、当然それはCとかDとかがつくことだと思いますけれども、乖離許容幅をきちんとウォッチしてリスク管理を行っていて、例えば一時的に乖離許容幅をある時点よりも広がったりするようなことがあったときにも、十分法人の中で専門的な観点から検討を行い、適切な措置を講じているということであれば、それをもってB評価ということは十分あり得るものだと思っており、この点はそのような仕組みでつくっているということでございます。
神野部会長
よろしいですか。 では、関連してどうぞ。
徳島委員
平川委員にお伺いしたいのですが、国内債券への配分下に乖離していることを御懸念されていらっしゃるのですが、これは短期資金を持つべきでないとGPIFに言っていらっしゃるのでしょうか。ほかの資産がほぼ中央値にいる中で乖離を指摘することは、結果として短期資産を持つべきでないと言っていることに等しいのですが、そのようにお考えなのでしょうか。
平川委員
私は客観的な事実を申し上げているだけで、主張はしていないと思います。
徳島委員
4資産の区分があっておのおのに乖離幅が設定されているときに、他の区分が中心にある状態で1資産への配分が中心値を下回っていることを問題視するのであれば、それは短期資産を持つべきでないということと等しくなります。単純に国内債権の状況だけを見て言われるのは不適切だと思います。
平川委員
ポートフォリオってありますよね。それ自身おかしいということですか。
徳島委員
いえ、基本的には4資産プラス短期資産の資産クラスが設定されているうち、4資産にだけ乖離幅が設定されているので、今の平川委員の御発言が短期資産を持つなと言っていることに等しいのではないですかと言っております。御指摘のとおり国内債権に乖離許容幅があるので、その幅を超えて下に行くのは適切ではないと考えますけれども、乖離許容幅の中にある間で問題視することは、結果的に短期資産を持つべきでないと言っていることと等しいと理解します。
平川委員
私が言っているのは、ポートフォリオの許容幅にかなりそれを超えるような危険性があるのではないかと、そう言っているだけですけれども、それが短期資産を持つなという理屈になるというのはちょっとよくわからないのですが、もう一回、説明をお願いしたいと思います。
徳島委員
GPIFさんの基本ポートフォリオは、4資産プラス短期資産というのが別枠にあるわけですけれども、4資産にはおのおの中心値と乖離許容幅が設定されています。その中で3つの資産、今回は国内株、外国債券、外国株がほぼ中心値、目標値にあります。その中で国内債券が下回っていることだけを問題視することは、短期資産を持ってはいけないということとほぼ同義に聞こえてしまいます。
平川委員
ポートフォリオの意味合いについて、厚労省から説明していただけないでしょうか。
宮崎資金運用課長
基本ポートフォリオは資産配分の目標ということで法人の運用に当たってそれが大前提になり、それぞれの資産配分の目標、また、それぞれにある乖離許容幅の中で専門的な判断から投資判断をしていくことになります。  今の両委員の御指摘に係る部分というのは、もしかしたら私どもの資料のつくりが悪かったことが原因にあるのかもしれません。まず御指摘のありましたとおり国内債券が乖離許容幅の中で下がっており、現時点において逆に短期資産の割合が高まっております。その点につきましてはGPIFの資料で言えば3ページの評価項目1-1などで具体的にどういう投資判断で、きちんと、いろいろ投資環境等を踏まえて短期資産がふえていることが影響しているということを書いてございます。そういう資産の変化についての説明等が少しいろいろなところにばらけて記載されていて恐縮ですけれども、そのような説明を加えております。またリスク管理につきましては定期的にきちんとリスク管理委員会を設けて把握しているということでございます。  平川委員の御質問、徳島委員の御意見も、まさにこの状況について説明されているということでございます。そこで平川委員の先ほどの御質問に答えれば、乖離許容幅の下限、基本ポートフォリオの範囲内で下限のほうに近づいているという動向がございますけれども、それに対して法人は専門的な判断を加えながら定期的にきちんと評価をして、リスク管理を行っている。現時点で言えば、本日の議論の対象としては29年度の実績評価としてはそういうことをやっているということでございます。今後どうなるかということについて本日の議論の対象ではございませんけれども、本日の議論の対象で言えば29年度については、まさに平川委員が御懸念されたような乖離許容幅の下限のほうに近づく方向で動いていますけれども、それは投資環境等を踏まえての判断あるいは諸環境があったことを踏まえて専門的な判断からそのような結果に至っており、そうした経過についてはきちんとリスク管理を行いながらやっていると、1から3までの合わせた説明をするとそういうことになろうかと思います。その点、御理解をいただければと思います。
平川委員
どうして徳島委員が先ほど言われたような発言になるのか、私は意味不明でありますので、私は今の厚労省の説明で十分理解しております。
神野部会長
原委員、お待たせしました。
原委員
1~4の中で御説明いただいてありがとうございました。特に評価についてはBでも目標達成ということで、Aをつけるところはなかなか難しいという判断だと思うのですけれども、去年いろいろと言ってしまったところもあるのでBではあるのですが、透明性の向上のところと、I-3のところの2つだけコメントさせていただきます。  透明性の向上については今年いろいろとやっていただいたということで評価はBでしたけれども、PR映像とか役職員の方のイベントへの登壇とか、或は、国民の方々に広く知ってもらうようTwitterですとか、かなり頻繁に情報を公開されているなというのが感じられてきているかと思います。身近な存在という形になっていけばいいのかなとまずは思っております。  ただ、A評価を目指していただくために一段上というか、情報の公開・開示=広報という考え方から一段上を目指すということと、より基本的なところをきちんと伝えていくことが重要だと思います。今日の報告書の中にも専門用語がたくさん出ていますので、これ自体、内容を理解してもらえるよう、全ての方に理解してもらうのは難しいかもしれませんが、特に若い方を中心に教育とか情報発信の仕方などを工夫していただきたいと思います。その工夫の仕方というのは大事だと思うのですけれども、GPIFが抱える資産の額156兆円とか収益額10兆円とか言われても、なかなか一般の方が扱ったことがない規模なので感覚がつかめないのではないかと思います。なので、わかりやすい例えを使うとか、例えば、広さで言うと東京ドーム何個分などとよく言いますが、どこどこ企業の資産規模の何倍とか、そう言うとすごく大きな額なんだなというのがわかるような伝え方の工夫をしていただければと思います。その何割とか何%と言われると、それでもすごい金額になるというのが計算していくと分かるのでそういう伝え方もよいのではないかと思います。また、割合というよりも額でなるべく表していただいたりとか、もし比較できるものがあれば比較できるどこどこの資産規模の何倍ぐらいとか、そういうことで感覚をつかんでもらったり、イメージしていただくことも必要かと思います。  そうしないと後で環境が悪くなったときに聞いていないとか、知らなかったという言葉が多く出てくるといけませんので、今のような比較的状況のいいときにきちんと説明して理解していただくことが重要かと思います。そういう基本的なところ、ホームページも拝見させていだきましたけれども、いろいろ用語とか説明がきちんとされていますが、もう少し基本的なことが広く伝わっていれば、短期間でもし万一、一時的に運用が下振れしたときにも、それほど大きく騒がれることもなくなるのではないかと思います。そのようなときでも冷静に受けとめてもらえるようになっていけばいいのかなと思います。長期的にということが大前提なので、透明性の向上についてはより一工夫していただきたいなと思います。公的年金制度全体の理解や信頼に非常にリンクするところですので、そういったところはぜひお願いしたいと思います。  それから、先ほどから話題になっているI-3のところなのですけれども、お願いしたいというかコメントとしては、いつも公的年金の説明をするときに、日本の経済が活性化することでその恩恵を受けるというような、そういう説明をしていますし、積立金の運用については、長期的な観点で安全かつ効率的に行っていますと説明されています。評価のポイントのところでアクティブ運用が今回はよかったということがいくつも挙げられています。けれども、基本は、日本の経済の動きに連動する仕組みといいますか、そういったところをきちんとしていただくようお願いしたいです。もちろんそれだけでは今までのように年金財政上、求められる運用利回りを上回ることができなくなってしまうということではまずいので、それなら話は別ですが、いろいろと検証する中で、また、公的年金の積立金であるという大前提の中で、パッシブ運用とアクティブ運用のバランス、力点のおき方をいろいろ検証するような取り組みもしていただきたいと思っております。難しいのですけれども、一般の方にもわかりやすいような形でやっていただくことと、経済がよくなればその恩恵が受けられる仕組みであるということで、パッシブ運用をまずはしっかりとしていただき、アクティブ運用と併用している理由の説明をしっかりとしていただければと思います。  以上でございます。
森審議役
年金も含め広報の専門家である原先生から御指摘いただきまして、どうもありがとうございます。  私ども広く国民の方からいただいた保険料を原資にしておりますので、広くわかっていただく。そのために広報戦略の中ではいろいろターゲットを設けて行っているところでございますが、他方、専門家が見ても堪えられるような内容ということでございまして、概況書につきましては、2段階で工夫しているところでございます。  あとは後半の話でございますが、私どもは経済成長の果実をきちんととっていくという御指摘は非常に重要でございますので、そういうところも含めた広報に努めていきたいと存じております。
神野部会長
安浪委員、どうぞ。
安浪委員
今回、オルタナティブ投資が進んでいまして、インフラストラクチャー2社と不動産1社に投資されました。これは先ほどの運用対象の多様化というところの1~4の中の2番目の投資に関する話なのですが、私も評価についてはA評価で違和感はありません。インフラストラクチャーについて業務概況書の44ページ以下に説明が出ています。この中身につきましてはそれぞれ安定した利用料収入を得られるということが書いてあるのですが、当然リスクがあるわけで、どういう状況が発生したら安定した利用料収入が得られなくなるおそれがあるのか。一番大事なのは出口対策で、最終的にどういう形でキャッシュにして回収するのかといったインフラ投資に関しての基本だと思うのですけれども、そこら辺の情報を発信していただいたほうが国民にも非常にわかりやすくなると思います。そこら辺の開示の仕方を工夫していただけないかなという気がしております。これについて法人のお考えを聞かせていただきたいと思います。
森審議役
オルタナティブ投資につきましては、先回もこの委員会で御議論いただきまして、私ども広報の必要性は十分理解いたしておりまして、今回の業務概況書から特に1章設けまして広報させていただいている。その中ではオルタナティブ投資の考え方につきましても、枚数制約はありますけれども、その中で丁寧に最初から説明させていただきまして、国民の方のわかりやすさということで、具体的な投資施設につきましても写真を示させていただいているところでございます。今の安浪先生のお話はもっともでございますので、今後とも広報に努めてまいりたいと存じます。
安浪委員
マイナス情報もプラス情報にあわせて記載していかれるというお考えで理解してよろしいですね。
森審議役
潜在的なリスクについても、丁寧に御説明していく予定です。
神野部会長
それでは、私の不手際で予定の時間を大幅におくれていることもございますので、次のI-5の基本ポートフォリオ等からI-8の調査研究業務について、まずGPIFから御説明いただけますか。
森審議役
31ページ、基本ポートフォリオ等から御説明させていただきます。  基本ポートフォリオ等、私ども中間年度でございますので、定期検証というものが主たる評価の項目になると思いますが、これにつきまして32ページにございますけれども、内閣府の中長期の経済試算もしくは各資産のリスクプレミアム等を踏まえまして検証したところ、特に経営委員会にPTをつくっていただきまして、PTで主体的に実施していただきましたところ、現段階で問題なしという話でございまして、33ページを見ていただきますとわかりますけれども、経済中位係数、市場基準ケースともに運用が悪い25%タイルもしくは運用がよい75%タイルの範囲も、黒い線、財政検証で予定された年金積立金にほぼ上回るような形になっておりますし、逆に言うと全額国内債券ですと振れ幅は少ないのですが、財政検証上、必要とされる積立金より乖離するという状況が見てとれるかと存じます。  34ページでございますが、ここはAでございます。管理及び運用に監視遵守すべき事項ということで、我々の資金規模もしくは公的性格も踏まえつつ、スチュワードシップ責任を果たす上で基本方針に沿った対応を行うというところでございます。  35ページはスチュワードシップ活動の目的を書いてございます。灰色の箇所でございますけれども、我々は企業価値の向上や持続的な成長を促すことで、被保険者のために中長期的な投資リターンを拡大するという考え方から、このような活動に積極的に取り組んでいるところでございまして、36ページでございますが、具体的に原則レベル、どういうことをしましたかというのを見ますとスチュワードシップ責任につきましては、普通は国内株式なのですけれども、全ての資産クラスに対象を拡大するよう、我々の法人運営の基本的な指針でございます投資原則を変更して追加した。その中にはESGに関する記述も追加したところでございますし、昨年、スチュワードシップ・コードが変更されたことも踏まえつつ、具体的に運用受託機関に対してスチュワードシップ活動原則及び議決権行使原則を示したところでございまして、その中では36ページ下のほうでございますけれども、運用受託機関自体におけるコーポレートガバナンス体制とか利益相反のほかに、エンゲージメントを含めてスチュワードシップ活動方針を示すとともに、議決権行使原則でございますけれども、特に37ページの株主総会終了後の対応でございますが、個別の投資企業及び議案ごとの議決権行使結果を全て公表することという形で示しておりますし、変更されたスチュワードシップ・コードではアセットオーナーの責任というものも非常に重要視されていますので、それに伴うところの改正も行ったところでございます。  38ページ、私ども国内株式、外国株式の全ての運用受託機関、それぞれ30ファンド、20ファンドにつきましては議決権行使をしておる。評価項目のところにもございますけれども、我々は企業経営に与える影響を考慮しつつということがございますので、39ページ、一昨年度から投資家のスチュワードシップ活動に関しまして、上場企業に直接アンケートを実施しております。一昨年はJPX400社、割と意識が高いところ中心だったのですけれども、東証1部上場企業の2,052社ということで、この手のアンケートにしましては回答率30.2%で経団連さんの御尽力もあったと存じますが、高い回答率でいただいたところでございます。  企業規模なりが大きいところ、我々のESG指数が採用されているところというのが非常に回答率が高いこともございますが、結果は書いてございませんけれども、よくやっているという評価も含めまして、4分の3の社はGPIFのスチュワードシップ活動について評価しておるという数字をいただいております。  40ページ、直接企業との対話ということで企業・アセットフォーラムというのも、これは国共連、地共連、私学共済さん等とも合同でございますが、直接意見交換というのも実施しておりますし、物言う株主として国際的にはCalPERS、CalSTRS等ございますが、そういうところともフォーラムを行いまして意見交換しておるところでございます。  I-7は管理運用能力の向上ということでございまして、高度で専門的な人材の確保というのが、我々GPIFは少ない人数でやっておりますので重要だということでございまして、そういう職員を採用していますし、また、リスク管理システムについてもトータルリスク管理という形でシステムを活用いたしますし、各種ベンチマーク、政策ベンチからマネジャーベンチまできめ細かいリスク管理を実施しているところでございまして、これも自己評価Bでございます。  46ページ、調査研究業務の充実というところでございます。調査研究業務につきましてもGPIFが先進的な運用機関であるために非常に重要な事項でございまして、48ページに具体的に調査研究内容について載っております。  1つは運用会社のビジネスモデルということでございまして、先ほど申したように運用機関についてアラインメントが非常に重要だという話がございますので、多様化する環境の中、運用会社のビジネスモデルについて研究をする。また、スチュワードシップ・コードの中で運用会社のガバナンス等につきましてもきちんと見ていくという話がございまして、それを含めて調査研究をしておるところでございます。  あとAIの関係でございまして、AIは運用だけではなくて全般的に社会に大きな影響を与えるところでございますが、ビッグデータを扱える形になりますと、私どもの個々の運用データに基づきましてスタイル管理に資する。もしくは我々少ない人数でいろいろな仕事をするためにはシステムの合理化ということが必要でございますので、ロボティックプロセスオートメーションみたいなところで活用するということで、実際に使える研究という形でいろいろ実施しているところでございます。  49ページ、これは昨年は、GPIF Finance Awardsを始めたということでA評価と自己評価したところでございますが、これは引き続き実施するということでございまして、ただ、今年は調査研究業務につきましてはB評価という形で自己評価をしてございます。  以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。  評価項目I-5からI-8までについて、業務実績と自己評価について御説明いただいてきました。自己評価から言うとI-6がA評価で、あとはB評価をお付けになっているということでございます。  それでは、御質問や御意見がございましたら御審議いただければと思います。よろしくお願いいたします。いかがでございましょうか。  熊野委員、どうぞ。
熊野委員
私から2点、質問というか意見させていただきたいと思います。  37ページ、評価項目I-6について議決権行使原則ということを書いていただいております。評価がどうというよりは、基本的には受託運用機関が自分で考えて行使するというふうに見受けられるのですけれども、例えばESGについては一部のパッシブ運用、国内株式については指数が示されているものの、ほかのものについてはわからなくて、こちらの実績評価書の課題意識も書かれています。また、議決権行使についてもこちらに課題意識を書いていただいているので、考え方とかいうものをもう少し明確に書いていただいたほうが、透明性が高まって理解が進むのではないかと思いましたということが1点でございます。  もう一点が41ページの管理及び運用能力の向上ということでございます。ちょっとわからないので教えていただきたい部分になりますけれども、目標と実績との比較、IIの2のところ、フォワード・ルッキングなリスク分析といったものを使ってリスク管理委員会で御報告されているということなのですが、そのリスク分析結果をどのように活用して業務運営をされているのか、そういったことが安全性などにつながるのかなと思うので、その点について可能であれば教えていただきたいという2点でございます。
小森市場運用部次長兼スチュワードシップ推進課長
市場運用部のスチュワードシップ推進課長をやっております小森と申します。  まず最初の御質問についてお答えをさせていただきたいと思います。  こちらの資料の37ページの議決権行使原則の内容についての御質問と理解しておりますが、GPIFは中期目標で企業経営に過度に影響を及ぼさないということ、それから、その趣旨を受けました中期計画におきまして、議決権行使については運用受託機関に委託するという立場にあります。  従来の考え方としては、基本的には考え方を含めて運用機関さんに全て委託をしていた時期が確かにございましたが、昨年5月のスチュワードシップ・コードの改訂を受けまして、GPIFとしては初めてになりますが、議決権行使原則、まさにここにありますものですけれども、それから、36ページのスチュワードシップ活動原則というものをつくらせていただき、スチュワードシップ・コードとこの2つの私たちの原則を踏まえて、長期的なGPIFの利益に貢献するような考え方で議決権行使をやってもらいたいという、これも大方針と言ってしまえば大方針ですけれども、私たちの考え方として運用機関さんにお示しいたしました。  その後の6月総会の後のプロセスにおきまして、私どもの評価の過程の中でスチュワードシップ・コード及び2つの原則に照らして、私たちの長期的な利益に資する行使結果をしてもらっているかどうかということを各運用機関との1~2時間のミーティング、それから、私たちも相当の準備の上でミーティングに臨み、その中で私たちの求めている行使内容や利益相反の恐れの有無を含めて十分な吟味をすることができるようになったと思っています。  ただ、御指摘のようにまだまだ過渡期であることも事実ですので、今回いただきました御指摘を踏まえて、また、私たち自身がレベルを向上させながら、こういった原則の内容もどんどん進化させていきたいと考えております。
森審議役
引き続きまして、2番目の質問の御説明をさせていただきます。  先ほども御説明しましたように私どもリスク管理におきましては、メーンのシナリオにつきましてはポートフォリオの検証の中でも示されているように、今のポートフォリオでかなりの確率で予定された年金積立金額が確保できるというものがございます。ただ、運用を任されている立場から考えますと、いろいろなシナリオにつきまして、そのシナリオでどういう影響が起こるか。起こった場合どういう形で我々対処したほうがベターかにつきましては、いろいろ運用リスク管理室を中心に考えておるところでございます。  どういうシナリオが起こるか、これはいろいろ考え方がありますけれども、我々は過去に起こった事象だったらどうするか、もしくはそこに書かせていただきましたように、今、システムでいろいろ仮想シナリオも提供されていますので、その場合には資産に対する影響もしくはリスクはどうかということがございますので、そういう場合のオペレーションをどうしたらいいのか、いろいろ考えているところでございます。
神野部会長
ありがとうございます。 ほかいかがでございますか。どうぞ。
大野委員
I-6の項目のAという評価については特に異論はございませんが、この項目に関しましてお聞きしたいと思います。スチュワードシップ活動に関してさまざま取り組みをされていらっしゃいまして、これをさらに進化させていらっしゃるということですけれども、対象を株式だけではなく全資産に対象を広げていくという御説明をいただきました。株式については、公的機関としての立場から、基本的には各企業の経営に直接関与しないとの方針でこれまでも行っていらしたことと思いますが、これはその他の資産に関しても同じスタンスに基づいて行われるという理解でよろしいでしょうか。これが1点目のご質問です。  2点目のご質問ですが、対話を重視されて、GPIFさんの考え方を投資先の企業に伝えるやりとりを大事にされていらっしゃると伺いましたが、裏には、いざという場合には売却できるという状況がありまして、それでプレッシャーをかけられるというところがあるかと思います。一方、オルタナティブ投資の場合では、その点についてはやや事情が違ってくるところもあるかと思います。今後これから検討されていかれるということであれば、それで結構ですけれども、いかにそのあたりを効果的に行っていくのかということについて話をお聞かせいただければと思います。
小森市場運用部次長兼スチュワードシップ推進課長
御質問ありがとうございます。  御質問の1点目ですけれども、昨年10月に私たちの投資原則を改定しまして、ESG、スチュワードシップの対象資産を株式に限定していたものを具体的に申し上げますと債券とオルタナも対象とすることを示しました。ただ、御指摘のように現実には私たち自身も研究を始めたところでありますのも事実ですので、運用受託機関の経験ももらいながら、あるいは広いフレームワークでいきますと、世界銀行との共同研究も含めまして私たちの内部あるいは外部の知見も借りながら研究を進めているところであります。  その中で御質問の株式投資以外の資産にかかわる中期目標、中期計画の趣旨につきましては、法の趣旨に照らして株式と同じものと理解しております。例えば、債券の場合は株主総会というものがありませんので、エンゲージメントがツールになりますが、基本的にこちらも運用機関に委託することになろうかと思いますので、今、私たちの考え方をその観点から改めて検討している段階ということになります。まだまだ深化の途中ではありますけれども、法令の趣旨をしっかり理解した上で進めていきたいと思っております。  2点目のオルタナのファンド投資についてですけれども、こちらも私たち自身の投資のスタイルでいきますと、私たちのすぐに下にマネジャーがおりますので彼らのESG対応、ESGの考え方、実践というものを確認しております。同時に投資対象、末端の最終投資先へのESGのマネジャーからのESGの投資状況、活動状況というものの報告を求めております。必要に応じてケースによってですけれども、エンゲージメントを要請することも十分あり得るかと思っておるところです。
神野部会長
よろしいですか。 ほかいかがでございますか。徳島委員、どうぞ。
徳島委員
時間もありませんので手短にコメントさせていただきます。  I-6、自己評価Aということで、評価について特に異論はございません。GPIFが率先して日本の年金運用業界の中で進めていらっしゃるところなので、Aで十分であると思っておりますが、1点だけ懸念を示させていただけたらと思います。  今回の資料にもありますが、企業向けのアンケートでは今回対象をJPX400企業から上場企業全体へという形で拡大されていらっしゃいます。これはこれですばらしいことだと思う反面、逆にユニバーサルオーナーであるGPIFだから実施できるのかとも考えられます。他の運用機関がこぞって同じようなことを実施されると、受ける企業側はたまったものではありません。是非うまく工夫してやっていただけたらと存じます。このアンケートもそうですし、ESGに関してはどうしても非財務情報を利用することになりますので、企業側に余りに過度な負荷をかけてもしようがありません。そのあたりのバランスを、実際にほかの年金運用機関の場合には、GPIFのような専任のチームを持っていらっしゃらないところが多いものですから、うまく工夫をして進めていただけたらと思います。よろしくお願いします。
神野部会長
ありがとうございます。  どうぞ。
小畑参考人(井上委員代理)
40ページのところでグローバル・アセットオーナーフォーラムの開催というところがございますけれども、私ども企業としてはこういう世界の名だたるアセットオーナーさんが一堂に会して考え方を共有していくというのは、極めて重要な活動だと考えておりまして、ぜひこういう活動を進めていただきたいと考えておりますが、平成29年度においてはカリフォルニアと東京で開催されているところでございますけれども、いろいろお話された中でESGに関するお話もされたというところもございますが、もう少し具体的にこういう話があったというところをお聞かせいただければということと、今回の評価とは関係ありませんけれども、今後このフォーラムについてはどのように発展させていくのかという、その辺の考え方もお聞かせいただければと思います。
神野部会長
それでは、徳島委員の御発言にもコメントがあれば、それも含めてお願いします。
小森市場運用部次長兼スチュワードシップ推進課長
最初に徳島委員の御指摘の件につきましてお答えさせていただきます。  御懸念の点は私自身も非常に注意しているところであります。そのこともありましてアンケートの回答欄の中に、その他あるいはGPIFに対する要望、注文事項といった欄を設けておりまして、現実に数社さんからは今回、質問が多いとか、そういった御指摘をいただいております。また、そういった生の声を吸収するために企業・アセットオーナーフォーラムで御意見を伺っているということもあります。いろいろな各種のセミナー、理事長を含めた外部のセミナーの場でも意見をいただくようにしておりますので、その点につきましては私自身も肝に銘じて、企業様の負担にならないように運用をさせていただきたいと思っているところでございます。  グローバル・アセットオーナーフォーラムの件でございますが、御質問にありましたESGの議論についての前に、ESGについてのGPIFのポジションを明確にさせていただきたいと思います。先ほど申し上げました中期目標、中期計画の趣旨を踏まえまして、私たち自身は現時点ではESGの特定テーマよりも全てのテーマが、特に非財務情報については重要だと思っておりますので、その趣旨で超長期の投資家として十分様々なテーマを考慮しながら、最終的には長期的なリターンに結びつけたい、リスクコントロールをしていきたいと考えております。  ただ、このスタンスはむしろグローバル・アセットオーナーフォーラムのメンバーの中では例外に近いところがあります。例えば北欧ですと企業さんの石炭火力の問題からダイベストメントをしているソブリン・ウエルス・ファンドもありますし、他のヨーロッパ地域でもたばことかアルコールといったテーマで社会的な要請を受けてダイベストメントしているケースもございますので、今回のグローバル・アセットオーナーフォーラムの議論は、まずは集まったグローバル・アセットオーナーの一つ一つが、自分たちはどういうことをやっているということを紹介しております。その中でお互いに違う部分、それから、一緒にやっていけそうな部分、あるいはそれがまた原因が文化的なものなのか、社会的な背景があるのか、法律的なものなのかということも分析しました上で、それぞれのアセットオーナーの活動における差というかギャップをまず認識するところからが前回のテーマの中心になりました。中心テーマは昨今の状況を反映しまして気候変動であったのは事実ですけれども、それ以外にも私たちからはダイバーシティーのお話ですとかを挙げておりますので、そういった中ではグローバルな視点でよい議論ができたのではないかと考えております。  また、今後の運営の中では年に1度は、東京でやりたいという考えを持っていますので、例えばその機会に企業さんの御都合が合えば、あるいは国内の投資家との都合が合えば、お互いのミーティングの場をセットするといった機会を設けることで、直接的にグローバルの投資家、それから、日本企業さんの代表の方々に意見交換をしていただくという場面もセットさせていただければと考えておりますので、またこのあたりにつきましてはいろいろ教えをいただければと考えております。
神野部会長
ほかいかがですか。  それでは、次に移りたいと思うのですけれども、河村委員が所用で御退席されざるを得ないというお話でございますので、これから御説明いただく事項を含めて何か御発言があれば頂戴したいと思いますが、いかがですか。
河村委員
次の説明をいただいてからでもいいですが。
神野部会長
では、説明に入らせていただきます。  それでは、その次のII-1の効率的な業務運営体制の確立からIV-1のその他業務運営に関する重要事項についての御説明をお願いできますか。よろしくお願いします。
森審議役
50ページ、効率的な業務運営体制の確立から御説明させていただきます。  これについてはB評価でございますが、当然、昨年10月の組織体制の変更に基づきまして経営委員会事務室、監査委員会事務室を設けたほか、紙文書と電子データの管理が重要でございますので、そこを統合的に行えるような形で情報管理部のほうで一元化する等、業務運営体制の確立に努めたところでございます。  52ページ、我々の新しく発足した経営委員会におきまして、これは投資委員会も含めてでございますが、ほぼタブレットといいますか電子会議でやっておるところでございます。こういう紙でございませんでやっているところでございますが、その中でセキュアな電子会議システムの導入が重要だということでございますので、主体認証とかアクセス制御みたいなものにつきましても昨年度から導入して、セキュリティーのほうに万全を期したという話でございます。  システムの整備でございますが、オルタナティブ運用の本格化ということがございまして、伝統的資産とオルタナティブ運用の管理につきましても統合的にできるような形でシステムを改変したということでございます。  53ページは業務運営の効率化に伴う経費節減でございますが、これは独法でございますので、私ども効率化目標1.34%というものがございまして、除外経費はございますけれども、それを達成したというところでございます。  めくっていただきまして経費節減。管理運用委託手数料のところだけ申しておきますが、これは我々は大きいということもございまして0.03%なのですが、他方、私ども目標としましては収益を確保するということがございますので、単に管理運用委託手数料が低ければいいということではございませんで、先ほど申しましたように実績連動報酬等も踏まえまして、合理的な手数料に努力していくというような形で進めておるところでございます。  56ページは私どもその他業務運営に関する重要事項ということで自己評価A、これは大臣評価ではBとお伺いしておりますので、自己評価はどうしてAをつけたかということにつきましてはお話させていただければと思いますけれども、1つは冒頭、申しましたように私どもの組織、経営委員会というものを設けた初めての独法でございますので、監査委員会との連携も含めまして透明性の確保が図られた。これは単に法律だけではございませんで、その執行に当たりまして経営委員、監査委員、執行部も含めてでございますけれども、努力したという話が1つございます。  その上でコンプライアンスに関しても、私どもは退職規定等は厳しく法律レベルでもやっておるところでございますが、特に利害関係者、これは国家公務員ですと例えばゴルフに一緒に行ってはいけないとか、旅行に一緒に行ってはいけないとかありますけれども、その範囲につきましても57ページでございますが、我々はお預かりした貴重な資金でございますので、あらぬことを疑われてはという話がございますので、金融事業者につきましては、金融業界は結構グループ内で人事異動もございますので、親会社及び当該親会社の子会社である金融事業者も利害関係者とみなして倫理規定を適用する。もしくは個別の金融事業者が主催する会議等に出席して講演しますと、いろいろ利害関係が疑われることもございますので、これも原則禁止等の厳しい取り組みをやっておるところでございます。  58ページにつきましては内部統制の図でございますが、昨年と違いまして経営員会、監査委員会というところで、よりガバナンスをきかせるような内部統制になった。  59ページは監査委員会。これはそもそも普通の独法の監事ではございませんで3名の監査委員、本日来ていただいておりますけれども、監査委員会という形で業務を実施していただきまして、特に2でございますけれども、ガバナンス改革に関しまして各種の規定等の見直しをしていただくとともに、現行規定についても点検業務に従事していただく等、積極的な取り組みをしていただいておるところでございます。  60ページ、最後でございますけれども、情報セキュリティーの関係でございますが、先ほどございましたが、技術的な対策の上から2番目でございますが、不正アクセスに対しして多層防御機能というものも追加いたしますし、外部からいろいろチェックを受けていますけれども、御指摘については対応すると情報セキュリティー対策についても対応しておるというところでございまして、自己評価はA、ただ、大臣評価はBと伺っておりますけれども、つけさせていただいたということでございます。  以上です。
神野部会長
どうもありがとうございました。  II-1から最後のIV-1までの御説明をいただきました。最後のIV-1の自己評価がA、あとはBということでございますが、河村委員からよろしいですか。
河村委員
先に時間をいただいて申しわけございません。  今、御説明いただいた中ではIV-1で意見を申し上げさせていただきたいと思います。これはA評価ということで自己評価されているのですが、確かに独法の中では初めて合議制に変わられた。それで無事に船出されたというか、いろいろコンプライアンスのこととかお決めになられましたし、順調に運営されてということだと思うのですけれども、合議制に変わったこと自体はGPIF御自身でどうのということではなくて、国としてお決めになったことだと思うのです。その国としての決定に従って粛々と運営していらしたということですので、先ほど御説明があった独法によその府省の独法も通じて中期目標管理法人を通じて適用されるこの評価基準の考え方からいけば、何か特段の成果が認められるかどうかということだと思うのですけれども、定量評価があるという項目でもないですし、定性的な判断として新しい経営のやり方に移られたということで十分なさったと思うのですけれども、Aというのは正直申し上げてどうかなと。私としては独法評価の判断基準からすればBという評価が妥当なのではないかと思います。  Bというのは最初に牧野政策評価官からも御説明があったのですけれども、世間的に見ると余りよくない真ん中の子供の通信簿の5、4、3、2、1の3みたいな気がしてしまうのです。でも、そんなことではなくて、独法になった以上、特に中期目標管理法人になった以上、結構な目標を立ててその達成に向けて毎期毎期頑張るということで、それなりの目標の設定がされていると思うのです。ですからそれがちゃんと当初の想定されたものを上回って達成できたというのは、大変高い評価ということなのではないかと思いますので、B評価ということでも何か決して低いとかいうことではなくて、この項目については私はB評価がいいのではないかと思います。  以上です。
神野部会長
どうもありがとうございます。  もしもコメントがあれば。
森審議役
この審議会は大臣評価についての諮問、答申でございますので、御意見について私ども申し述べる立場ではないかと存じます。
神野部会長
まだ大臣評価は入っていないので。
森審議役
自己評価でございますので。
神野部会長
自己評価を弁明されて構いませんが。
森審議役
これにつきましては評価項目立ての話もございますけれども、初めて合議制を導入し、監査委員会と三者の連携の中で透明性を確保したということで、これは冒頭に申しましたけれども、経営委員会のほうでも御議論をいただきましてA評価ということで議決されています。
神野部会長
ほかいかがでございますか。平川委員、どうぞ。
平川委員
私は評価のしようがないというのは先ほどから言っていますけれども、まさにこの評価が本当に評価のしようがない典型的な例だなと思います。  私はAかBかは評価しませんけれども、GPIFのガバナンス改革において、経営委員会が初めて独立行政法人に設置されるという例ということでありますので、それに対して御努力はされていることについては一定程度の評価をさせていただきたいと思っています。引き続き経営委員会、監査委員会が設置されたという意義をより広く、そして組織の発展のために受けとめていただければと思います。  以上です。
神野部会長
ありがとうございます。 徳島委員、どうぞ。
徳島委員
評価項目IV-1に関しては、GPIFが自己評価でAを付されるお気持ちはよくわかるし、ちゃんとやっていらっしゃるなと思いますが、逆に本当にそれをAとするのか、Bとすべきなのか、最終的に微妙な判断かと思います。  昨年も近いことを申し上げましたが、評価項目II-2に関しては、経費節減の中期目標に関して、GPIFの評価以前に目標の設定に問題があるのかと思います。審議役から只今御説明のあった後段の運用の委託費用に関しては、実績連動性を入れていらっしゃっています。もう少し海外の公的年金並みに報酬を支払ってもリターンが伴うのであればいいと思いますし、そういった観点を今後、中期目標に入れていくべきであると思います。  一方、その前の一般管理費及び業務経費につきましても、ひたすら減らすといういわゆる「お役所の減らし方」でいいのでしょうか。GPIFの運用資産規模がいきなり倍とか3倍とか巨大になることはないと思いますが、本当にある程度資産規模に応じた経費支出とかいった観点も必要になると思います。中期目標の設定自身を議論する必要があると考えます。  以上です。
神野部会長
これはGPIFからコメントはありますか。
森審議役
目標自体の話でございますので私どもがコメントすべきものでもありませんし、管理運用委託手数料についても国民の方から例えばより低い手数料でより高いリターンという話でございます。ただ、先ほど申し上げましたのは、高いリターンを確保するためには、我々いろいろ現場で交渉をするわけでございますが、逆に手数料を払ってよい場合もあるということを申し上げたという、そういう趣旨でございます。
神野部会長
ありがとうございます。  ほかいかがでございますか。よろしいですか。  それでは、他に御意見がないようでございますので、次に法人監査委員から監査報告について御説明いただくとともに、法人の業務運営について今後の課題あるいは改善方針等々についてコメントがあれば頂戴したいと思いますので、よろしくお願いします。
堀江監査委員
昨年10月から常勤の監査委員を務めております堀江と申します。  お手元の資料1-4「監査報告 平成29事業年度」に沿いまして、簡単に述べさせていただきたいと思います。  3ページ物になっておりまして、監査報告の最初のところは法律に基づいて監査をしているということが述べられております。  今回、平成29事業年度ということで、昨年の平成29年4月から平成30年3月の1年間なのですけれども、監査委員会を発足しましたのは昨年10月からでございますので、監査委員会としましては平成29年10月、9月までは監事制度でございましたので、監事による監査結果の引き継ぎを受けた上で、監査計画に基づきまして監査を行ったということでございます。  2ページ目にあります「II 監査の結果」でございますけれども、管理運用法人の業務は、法令等に従って適正に実施されて中期目標及び中期計画の達成に向けて、効果的かつ効率的に実施されているものと認めますということで、問題ないと監査意見を述べさせていただいております。  なお書きで幾つか補足説明をしておりますけれども、これまで森審議役等からも述べられておりますところでございますので省略をさせていただきまして、最後の3ページ目でございますが、内部統制システムのところについて少しコメントさせていただきたいと思います。  内部統制システムについても何ら問題ない、適切であると思っておりますけれども、何しろガバナンスが変わりましたのは昨年10月ということでございまして、まだ9カ月程度しかたっておりません。大急ぎで法令改正をしたわけですけれども、ガバナンス改正の趣旨に沿った内容に内部規程等がなっているのかどうかということを経営委員会から権限移譲を受けまして今、監査委員会のほうでチェックをしているところでございます。これは執行部の課題ということではなくて、我々監査委員会としての業務として今年度こういうことに取り組んでいきたいと考えております。  簡単でございますが、以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。  引き続いて本日、GPIFの理事長にも御臨席いただいておりますので、日常的なマネジメントを踏まえながら現在の法人の業務運営の状況、さらには今後の課題についてコメントをいただければと思いますので、よろしくお願いします。
髙橋理事長
本日はお忙しいところお集まりいただきまして、当法人の評価についていろいろ御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。  昨年1年間やってきまして、幸いなことに市場にも恵まれた面もありまして、多額の利益を計上することができました。そうした中で昨年10月には今お話もありましたとおり、ガバナンスが変わりまして名実ともに協議体で投資をしていくという組織が発足したわけであります。来年度以降はよりこのガバナンスをうまくきかせながら、皆さんに安心して見守っていただける投資組織になりたいと思っております。  そうした中で本日も特に力を入れて御説明をさせていただきましたが、ESG投資とオルタナティブ投資につきましては、長期的な投資家としてダウンサイドが少ないという意味での利益も含めて期待できると思っておりますので、継続的に恐らく市場はこれからもいいときもあれば悪いときもあると思いますが、ESG投資とオルタナティブ投資につきましては長期的に見ても利益が見込めると思いますので、力を入れてやっていきたいと思います。その過程でもディスクローズをきちんと国民にして、御意見を伺って変えていくという努力はしていきたいと思います。  最後になりますが、昨年も申し上げましたが、私自身はGPIFという組織は一人一人が国民の痛みがわかるというか、国民と同じ目線を持っている人が専門性はあるけれども、投資をしているという協調性があって、みんなの痛みがわかる組織にしていかないと本当の意味で真は入らないと思っておますので、そういった意味でもいろいろ御意見をいただければいいと思います。  本日は本当にありがとうございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。  それでは、最後にといいますか、本会議の目的でございますけれども、今まで御議論を頂戴いたしました項目別の評定についての今までの議論や、ただいまはアカウンタビリティーといいますか、法人のほうの監査委員、さらには理事長から御発言を頂戴いたしております。そうしたことを念頭に置きながら主務大臣評価(案)について厚生労働省から御説明いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
宮崎資金運用課長
それでは、私から資料1-3に沿いまして、主務大臣評価の案につきましてポイントのみですけれども、説明させていただければと存じます。  まず1枚おめくりいただければと思います。今日、法人側から各項目について実績、また、自己評価について説明があり、御質疑等ございました。項目といたしましては12項目ございました。これらにつきまして法人の自己評価については12項目のうち3項目についてA評価ということで、残る9項目についてはB評価ということでございました。  この後、御説明をいたしますけれども、大臣評価(案)といたしましては法人がA評価をつけておりますI-3、I-6につきましては自己評価と同様A評価とし、IV-1のその他業務運営に関する重要事項につきましてはB評価とするということで、案をまとめてございます。  全体といたましては12項目の中でA評価2つ、B評価が10項目でございまして、C以下の項目はございません。つまり、目標を下回り改善を要するという項目はないということでございます。  こうした各項目の評価を踏まえまして全体といたしましては、2ページの一番下の欄にございますけれども、総合評定といたしましてB評価ということでどうかということでございます。  3ページ以下に、各評価項目についての評価案と評定に至った理由等を記載しております。本日、冒頭での委員からの御質問の中にもございましたけれども、法人の実績を評価するに当たってA、B等だけで評価するのはなかなか難しい部分がございますので、評価に当たりましてはAやBという評価に加えまして、評定に至った理由として、どういう点を評価しているのかということも記載してございます。こうした点も含めて各法人に対する評価の判断をしてございます。  まずA評価項目としてつけましたI-3とI-6について、御説明をさせていただきます。  3ページ、I-3についてです。法人の自己評価Aに対して大臣評価Aでございますが、評価に至った理由といたしましては、冒頭に2行ございますけれども、アクティブ運用について4資産中3資産において超過収益を獲得しているという実績もございますが、「また」以下でございますように、アクティブ運用受託機関を対象として本格的な実績連動報酬体系を導入したり、あるいはアクティブ運用の運用制約の緩和に取り組んだりということで、パッシブ運用と並んで使われるアクティブ運用におきまして、目標超過収益率の達成に向けた取り組みが行われていることを評価する。  また、「さらに」の項目でございますけれども、マネジャー・エントリーの拡大と運用受託機関との選定・管理の強化のための取り組み、あるいは運用手法や運用対象の多様化についても取り組みを行ったということを評価しているということでございます。  株式運用につきましては、国内の他の機関投資家に先駆けましてESG指数についても選定を行って、パッシブ運用を開始したという取り組みも評価できるということでございます。こうした点を踏まえまして、I-3につきましては初期の目標を大きく上回って達成しており、Aと評価をするということでまとめております。  指摘事項、業務運営上の課題及び改善方策というものもございますけれども、これにつきましては本日の議論の中でも、新しいことをどんどんやればいいのかという御質問もありましたが、当然新しく取り組んだ事項につきましては、それが翌年度すぐに効果測定できるかどうかは別といたしまして、どういう効果を上げたのかということをPDCAサイクルを回していくことが必要でございますので、今年度これらの取り組みについては高く評価した上で、その取り組みが実際にどのように今後、効果を上げていくのか。場合によっては修正を加えるなど、引き続きそうしたPDCAサイクルを回すことで運用改善に取り組んでいただきたいということをコメントとしてつけ加えております。  2点目でございますが、4ページ目をお開きいただければと思います。I-6、管理及び運用に関し遵守すべき事項ということでございます。御案内のようにGPIFにつきましては160兆円という世界的に見ても巨大な資産を持っております。また、その中では40兆円を超える額の国内株式を保有しているということで、他の海外の年金積立金運用機関とは異なりまして、GPIFの年金積立金の運用に当たっては、市場や民間企業の経営に過度に影響を及ぼさないということを1つの大きな前提としております。  こうした難しい前提のもとでいろいろ御苦労をいただいておりまして、I-6にあります中で見ますと、スチュワードシップ活動をその大きな前提の中で取り組みを行っていただいている。例えば2段落目にございますように、株主等の長期的な利益の最大化を目指す観点からスチュワードシップ活動原則や議決権行使原則を策定して、GPIFとしての考え方等を明示したこと。こうしたスチュワードシップにかかわる取り組みにつきましては、引き続きのいろいろな新しい取り組みが行われておりまして、他の国内機関投資家に先駆けた取り組みとして高く評価するということでございます。  また、具体的な内容を見ましてもスチュワードシップ活動に関してのアンケート、先ほどいろいろ工夫をしているというような御説明もありましたけれども、対象を拡大するなどいろいろな形で企業とのかかわり方を考えながらやっていることがあろうかと思います。こうした被保険者のために長期的な投資リターンを拡大するための取り組みというものは、他の同様の機関に先駆けた取り組みだと考えており、初期の目標を大きく上回って達成していることから、Aと評価したいということでございます。  指摘事項等として書いておりますのは、引き続き非常に大きな世界に例を見ない資産を保有して運用を行っておりますので、受託者責任の徹底、市場及び民間活動への影響に対する配慮などを含めて、引き続き適切な配慮のもとで行っていただきたいということでございます。  続きましてB評価項目でございますけれども、この中では具体的な説明は1点、自己評価Aに対して大臣評価BとしたIV-1の項目について、御説明をさせていただきたいと思います。  5ページ、今日、法人からの説明にもございましたように、GPIFにおきましては独立行政法人において初めてとなる合議制が導入されまして、いろいろ努力を重ねていただいております。本日の御議論の中では、法律に則ったものであるのではないかという御指摘もございました。もちろんそういう面もございますが、一方では仕組みをつくっただけではなかなか動いていかないというところがございまして、私ども監督官庁として接している中では、合議制が導入されて、それを実際に具体化する取り組みが経営委員あるいは執行部の双方から、いろいろな試行錯誤をしながら行われているところでございます。  その幾つかの例として、コンプライアンスに関する規程について自主的な取り組みを行ったりですとか、あるいは監査委員会、きょう報告の中にもございましたけれども、内部規程に関する点検を開始したというようなことは、非常に自立的な取り組みとしてガバナンス改革をより効果的なものにするという取り組みとして行われているものだと理解しております。また、それは決して経営委員なり監査委員だけの努力ではございませんで、執行部の側も先ほど理事長の御説明の中にございましたように、よりガバナンスをきかせた仕組みとしていくということで、それぞれ双方が真摯に向き合っていただいているというふうに理解をしております。  こうした内部統制等にかかわる取り組みにつきましては、大変高く評価をしているところでございます。  また、この評価項目の中では情報セキュリティー対策などの取り組みが行われていることも評価しております。ただ、その一方でこのIV-1の項目そのものについて見ますと内部統制、ガバナンス強化以外に情報セキュリティーさらにはその他のいろいろな項目も含まれておりまして、それぞれの指標を見ますと本日、冒頭に政策評価官から説明がございましたように、可能な限りアウトカムなどを用いて説明するとか、あるいはB評価自体は別に悪いものではないのだとか、いろいろ御説明がありました。このような現在の独立行政法人の評価の物差しに照らしますと、IV-1の評価項目としましてはBという評価が妥当ではないかと考えているところでございます。ほかの項目できょうぎりぎりAという御指摘もございましたけれども、ここはぎりぎりBということなのかもしれません。私どもとしてはそういう意味でいろいろ高く評価している部分も含みつつ、IV-1の評価項目といたしまして、大臣評価としてはBと評価することでまとめたところでございます。  そのほか6ページ以下にはI-1以降、各項目についての評価項目を記載しておりますけれども、いずれもB評価とし、評定に至った理由として付記しているところでございますが、内容については既に一度ごらんいただいていることかと思いますので、説明は省略させていただきます。  私からの説明は以上でございます。
神野部会長
どうもありがとうございました。  それでは、ただいま御説明いただきました主務大臣評価(案)につきまして御意見、御質問等々ございましたら。杤原委員、どうぞ。
杤原委員
書きかえをお願いする趣旨ではございませんけれども、懸念だけ意見として申しあげたいと思います。  資料1-3の3ページのA評価の中のI-3の運用対象の多様化に関するものでありますけれども、最初の1段落、2段落目だけを拝見しますと、アクティブ運用をやや正当化し過ぎな感が否めません。そもそもアクティブ運用はリスクをとってベンチマークを上回ることを目指すためのものでありますので、利益を上げて当然という面があります。一方で当然ながらパッシブに比べて高い運用コスト、手数料を支払うわけであります。  そうした中で先ほどGPIFさんから資料1-2の6ページのところで過去3年間の運用実績がありましたけれども、国民目線で見ますと、世界的には決してアクティブ運用がパッシブ運用に比べて、過去のように極めて優位性があるような状況にはないという潮流が出始めていると承知してございます。そうしますと、ここに将来のリスクが潜んでいるのではないかと考えられなくもございません。したがいまして、足元の1年ではなかなかアクティブ運用については評価できませんので、3年ぐらいの実績をしっかり見る必要があるのではないかと考えてございます。  足元の運用だけではなくて、パッシブ運用、アクティブ運用のポジションにつきましては、世界の市況に関する統計データがいろいろあると思われますので、どちらに軸足を置けばいいかというのは、しっかりそういう統計データを一度出していただいて、慎重に検証して判断する必要があるのではないかと考えております。これは意見でございます。
神野部会長
これは少し表現ぶりに少し懸念があるというようなお話でしたが、コメントがあれば。
宮崎資金運用課長
中期目標、中期計画の書き方がアクティブ運用について、きちんと超過収益が獲得されているかというところを評価の指標に入れているものですから、こういう規定になっています。けれども、御指摘のように大前提といたしましてパッシブ運用が主としてあって、それにアクティブ運用をどう組み合わせるのかということでやっておりまして、現在で言えばパッシブ運用とアクティブ運用の割合はパッシブ運用が76%、アクティブ運用が24%でございますので、ここは若干資産によって、例えば外国債券の場合ですとアクティブ運用が少し多いとかいろいろな違いがありますけれども、過去ずっと見てもパッシブ運用が当然ながら中心で運用の主体であることは大前提としてございます。  その上で、どう付加するかということでアクティブ運用について記載をしているということがございまして、趣旨としてはまさに委員御指摘のとおりパッシブ運用が主体で、それに対してアクティブ運用をどう組み合わせていくか、そのときにアクティブ運用についてきちんと所期の超過収益をどう獲得していくかということが大事なので、その点でどう取り組みが行われているかということを記載しているという趣旨でございます。ここだけ取り出すと何かアクティブ運用ばかり評価しているというところがあるのかもしれませんけれども、全体としては御懸念のような考えで評価しているわけではございません。
森審議役
今、杤原委員おっしゃっていただいたように、まさに長期的、アラインメントというのが重要だということは、我々は肝に銘じております。  自己評価のところに書かせていただいております本文なのですけれども、我々はファンドの選定につきましては投資方針及び運用プロセスの合理性、納得性が高く、超過収益獲得の確信が持てるファンドのみを選定することとしております。あと、新しい実績連動報酬ですと、余り望ましいことではないのですけれども、運用成績が長期に悪いということでございますとパッシブ並み。当然アクティブ運用ですといろいろ費用・人材等もかけてやっておりますので、パッシブ並みとなるとなかなかペイしない。そうすると我々に来るのは自信があるアクティブファンドになっていくだろうということでございまして、そういうことで対応させていただければと存じます。
神野部会長
ほかいかがでございますか。よろしいですか。  熱心な御議論どうもありがとうございました。御議論を大きく俯瞰させていただくと、今も御懸念の点などを頂戴いたしましたけれども、いただいた御議論はむしろGPIFの今後の発展をアドバイスしていただくというような御意見が多くて、評価についてもぎりぎりとかいう表現がありましたが、主務大臣評価として最後の自己評価AをBにしたということで、ここについて、つまりA評価について疑義が出されておりましたが、ここもBでございますので、当部会としては大臣評価についてはおおむね妥当なものとして御了解いただいたということにさせていただければと思いますが、それでよろしいでしょうか。もちろん評価というのはその組織が今後、ミッションをよりよく果たしていくという目的のために行われることだと思いますので、これを契機にしてGPIFがよりミッションに取り組んでいただくことを願いつつ、妥当として了承したということにさせていただければと思います。  どうもありがとうございます。そのようなこととして答申することにいたしますけれども、具体的な対応につきましては私に一任させていただくということで、この一任についても御了解いただいたということでよろしいでしょうか。  それでは、対応については私に一任させていただき、そしておおむね妥当なものとして了承を頂戴したということにさせていただければと思います。  では、皆様の御協力のおかげで予定の時間を余すことができましたので、これにて本日の審議を終了したいと思います。  事務局から連絡事項等々ございましたらお願いします。
宮崎資金運用課長
本日はありがとうございました。  事前にもし答申まで至らない場合にということで予備日も予定しておりましたけれども、本日、先ほど部会長からお話しいただきましたように答申まで至りましたので、8月上旬に予定しておりました予備日については使わないということで、次回の部会の開催日程につきましては改めて各委員の御都合をお伺いいたしました上で御連絡させていただきたいと思います。当面、7月、8月に開催する予定はございませんので、その旨、御了承いただければと思います。次回、開催する際には改めまして正式な御案内をお送りさせていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
神野部会長
よろしいでしょうか。 それでは、お暑い中、最後まで御熱心に審議を頂戴したことを感謝申し上げまして、蚊も活動ができないような暑さのようですので、御自愛をいただくことをお祈りして、本日の審議はこれにて終了させていただきます。どうもありがとうございました。