第4回抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会

健康局 結核感染症課

日時

平成30年5月14日(月)14:00~16:00

場所

厚生労働省 専用第21会議室(17階)

議題

  1. 1.抗微生物薬適正使用の手引きの改正について
  2. 2.その他

議事

 
○高倉結核感染症課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第4回「抗微生物薬適正使用(AMS)等に関する作業部会」を開催いたします。
本日は、徳田委員、山本委員より御欠席の御連絡をいただいております。
また、今回は笠井参考人に御出席をいただいております。
次に、事務局より資料等の確認をさせていただきます。
議事次第、委員名簿、座席図のほか、資料1、資料2、参考資料1から参考資料6を御用意しております。御確認いただきまして、不足の資料がございましたら、事務局までお申しつけください。
冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきます。御協力をお願いいたします。
以降の議事運営につきましては、大曲座長にお願いいたします。
○大曲座長 国際医療研究センターの大曲と申します。本日はよろしくお願いいたします。
それでは、きょうの議題から確認したいと思います。議事次第、お手元にございます。ごらんください。議題に関しては、きょうは2つありまして、1点目は「抗微生物薬の適正使用の手引きの改正について」、2点目は「その他」について予定しております。円滑な議事進行にぜひ御協力をよろしくお願いいたします。
早速、議題1から入ろうと思います。議題1は、抗微生物薬の適正使用の手引きについてであります。まずは事務局から、資料1を使って、この抗微生物薬の適正使用の手引きの改正の方向性について、御説明をよろしくお願いいたします。
○高倉結核感染症課長補佐 それでは、資料1をごらんください。「抗微生物薬適正使用の手引き」の改正の方向性についてでございます。まず、第1項目目の「背景と現状」ですが、AMR対策アクションプランの目標の一つである抗微生物薬の適正使用を推進するために、昨年7月に学童期以降の急性気道感染症と急性下痢症を対象としました「抗微生物薬適正使用の手引き第一版」を発行いたしました。さらに、抗微生物薬の適正使用を進めるためには、手引きで扱う領域を拡大していく必要があるという旨がAMRに関する小委員会において出されておりました。
そこで、2番目ですけれども、手引きの対象とすべき領域の考え方につきまして、厚生労働科学研究、大曲先生の研究班において今後扱うべき領域の優先度につきまして、ここに示します2つの観点から評価をいただきました。
1番目は「国内の学会等から出されているガイドラインでは扱われていないような感染症領域」、2番目が「抗微生物薬の不必要使用が多い感染症領域」、この2つの観点から評価をいただいたわけでございます。
その結果の概要が裏面の3番目の項目に示してあります。国内のガイドラインの策定状況ですけれども、これは3ページ目の表につけておりますが、国内のガイドラインは、感染症のほぼ全ての領域について作成されておりました。
2番目の観点であります抗微生物薬の不必要使用が課題である領域で、その重大性についての評価でありますけれども、この抗微生物薬の不必要使用が問題になっている領域につきましてどのような研究があるかというので、国内外で広く検索・検討していただきました。そうしましたところ、国内では、急性気道感染症等を除いては十分な検討が行われていないこと。諸外国の検討においては、急性気道感染症のほかに、皮膚軟部組織感染症や尿路感染症、歯科処置などが挙げられている状況であるということがわかりました。
現在の第一版では、急性気道感染症における抗微生物薬の不必要使用について、手引きで言及しているわけですけれども、学童期以降に関する記載にとどまっているというのが第一版の現状であります。海外で指摘されている皮膚軟部組織感染症や尿路感染症、歯科処置の領域につきましては、抗微生物薬の不必要使用の状況や頻度についての検討は十分に行われていないという状況にあります。
このような調査、評価結果の概要を踏まえまして、今後の方向性といたしまして、まず1番目として、急性気道感染症等において、学童期未満の小児を対象とした手引きの改正を行うこととしたいということ。
2番目ですけれども、その他の領域につきましては、日本人における個別の疾患群、または感染症の領域ごとの抗微生物薬使用量や不必要使用の割合等の検証に関する情報収集の継続及び日本人における安全性、有効性に関する調査研究を引き続き進めていくこととしたい、このような方向性を示しまして、去る4月27日に開催されました第3回薬剤耐性(AMR)に関する小委員会において、この方向性が了承されたところでございます。
事務局からは、一旦、以上です。
○大曲座長 ありがとうございます。いわゆる手引きの改正の方向性ということで御説明をいただきましたけれども、何かこれに関して御質問ですとかコメント、ぜひいただければと思います。いかがでしょうか。
では、具先生、お願いします。
○具委員 国際医療研究センター病院の具です。
今の御説明のことでちょっとお伺いしたいのですけれども、今回、手引きの改正の方向性ということでこの資料をいただいたわけですが、第一版、もう既に発行されているものがどのように利用されて、それが行政のさまざまな施策の中でどのように使われてという、そのあたりをちょっと一度整理しておいたほうが、この後改正する内容にも関係してくるかもしれないなと思ったので、その辺教えていただけますでしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 はい。昨年出しました抗微生物薬適正使用の手引きの第一版につきましては、これをいかに現場のほうで普及、使っていただけるかということで、厚生労働省のほうもそうですし、あと、具先生、大曲先生のいらっしゃるAMR臨床リファレンスセンター、こちらのほうで普及に努めてまいりました。関係している団体、自治体等を通して医療機関に配布していただくとか、ポケットサイズのダイジェスト版をつくりまして、これも薬剤師会等の御協力もいただきながら全国に広く配布したというようなところでございます。
さらに、厚生労働省全体としますと、この抗微生物薬の適正使用の手引きを用いた適正使用に関して、診療報酬改定のほうに一部反映させることができました。
もう一点は添付文書の改正という点ですけれども、この手引きの第一版で扱った対象の感染症、抗微生物薬が必要な感染症として、鼻副鼻腔炎であるとか咽頭炎、気管支炎や下痢症という疾患がありますけれども、これらの病名を適応症に持つ薬剤に関して、この手引きを参考に必要性を判断するようにという使用上の注意が加えられたというようなところでございます。
これらの取組を通しまして、この手引きの必要性、あるいは存在そのものもそうですけれども、大きく必要性というものの認識を高めていって、各医療機関や医師のほうに適正使用を引き続き推進していただきたいと考えているところでございます。
これ自体、この手引きの公表によってどのように適正使用が進んだかという評価の観点で申し上げますと、これらは適正使用にかかわる、厚生労働省だけでない、さまざまな努力の結果として、日本における抗微生物薬の使用量であるとか使用の割合、内容、こういったものがどのように変化していくのかという総合的な評価ということになろうかと思います。
こちらに関しましては、抗微生物薬の使用動向、使用量やその内容の動向ですね。こちらは厚生労働省の中で開催いたしますワンヘルス動向調査検討会のほうで、この販売量のデータであるとか、あるいはNDBを用いた集計データであるとか、そういったものの評価を続けていくという方針でございます。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
よろしいですかね。
では、多少、もともとの研究をとりまとめした立場から簡単に補足だけしますと、ガイドラインは本当にかなりの領域というか、ほぼ全ての領域に驚くほどあって、ちゃんと見ていけばどこかに書いてあるというところで、それは1つ発見ではありました。
その中でも、では不必要使用が課題になっているところを対象にしようということで見ていくのですけれども、まだ日本でもAMR対策の歴史がそれほどないというところもありますが、各疾患領域ごとの不必要使用のデータがなかなか出てこないですね。それは今、それこそ各厚労科研の研究班、あるいはAMR臨床リファレンスセンターで出しているところではありますけれども、なかなか出てこないというところが、正直、ありました。
ただ、欧米の動向、ほかの国々の動向と比べて日本の中での疾患構造がそれほど変わってはいないだろうという前提のもとに見ていくと、やはり急性気道感染症における、あるいは下痢症における抗菌薬の使用量というのはすごく大きいわけです。ですので、そこはやはり最優先事項だろうと。
一方で、前回の作成をしたときに、どうしても5歳以下といいますか、学童期未満に対してはなかなか当時は難しくてターゲットに入れなかったというところもあります。
ここに関しては実際現場から、そこのところで困っているといいますか、指針が欲しいという声はやはり寄せられています。あともう一つは、個別の疾患向けの抗菌薬の使用量というわけではないですけれども、例えば、いわゆる卸しの販売データですとか、NDBのデータを論文化されているものを見ていくと、1歳から5歳といった世代のお子さんたちに使われている抗菌薬の量というのはかなりのものがありまして、恐らくはその中にもかなりの部分が急性気道感染症なりといった前回の手引きでも対象にされたところで使われているのではないかという推論は容易に立ちました。そこでやはり結論としては先ほどお話があったような形になるのかなと思っております。そのように我々としてもとりまとめをさせていただきました。そういう経緯がありました。
以下、コメント等いかがでしょうか。
よろしいですかね。
では、特になければ先のほうにお話を進めてまいりたいと思います。続いて資料2ですけれども、抗微生物薬の適正使用の手引きの改正内容、これはたたき台でありますけれども、もう既に準備していただいております。こちらに関して、宮入先生のほうから説明をお願いしたいと思います。
では、宮入先生、よろしくお願いします。
○宮入委員 よろしくお願いします。国立成育医療研究センター感染症科の宮入と申します。
こちらの資料2による抗微生物薬適正使用の手引きの改正内容は、実際には小児を対象とした別建ての手引きの内容となっております。こちらについては、先行した第一版の手引きと並行して、都立小児の堀越先生、兵庫こどもの笠井先生とともに作成したものです。第一版を作成する中で、成人における風邪の分類と小児における風邪の分類を合致させることが非常に難しいということがありました。もう一点、小児においては細菌感染症の合併率や併存するリスクについては成人と同一でないというところから、成人、学童期以降のものと学童期未満の手引きを分けたほうがよいのではないかということで別途作成しております。
この手引きの対象となっておりますのは、生後3カ月から乳幼児期、学童期未満の小児です。作成の過程としては、各種ガイドラインやキーワードに基づく文献検索を行って作成しております。最終的には非小児科医が参照することを想定していますが、難しい症例や細部については学会等のガイドラインの記載を参照していただくことを前提としてつくっております。
今現在の完成度としては、大幅な練り直しが必要だと考えており、たたき台にとどめております。
実際の内容についてですが、2ページ目の目次をご参照ください。まず、1番目の「小児における急性気道感染症の特徴と注意点」というところについては総論的な内容を記載しておりまして、(1)の気道感染症の特徴と分類ということについては、小児における風邪をどのように分類するか、定義するかということ。そして(2)の「小児における年齢と感染症の関係」、(3)の小児において気をつけるべき薬剤については、小児におけるその特性を踏まえたときの投薬に関する注意事項をまとめております。
2番目の「小児の急性気道感染症各論」については、小児の気道感染症として感冒と鼻副鼻腔炎を一緒に扱いまとめて解説しております。(2)が咽頭炎で、(3)には成人になかった分類としてクループ症候群、(4)には急性気管支炎、そして(5)には、これも成人にはない疾患概念ですが、急性細気管支炎という形で分類しております。
そして、3番目に「小児の急性下痢症」についてまとめております。
もう少し内容について解説いたします。
3ページ目の上の四角で囲ってあるところが「小児における急性気道感染症の特徴と注意点」になります。まず1つ目の留意点についてですが、これは分類に関する考え方で、小児における急性気道感染症は、ウイルスが主体となる感染症である感冒と、これには鼻副鼻腔炎も含まれ、さらに咽頭炎、クループ、気管支炎、細気管支炎を取り上げたということ。
これらの疾患の中で抗菌薬が必要となる、A群溶連菌による咽頭炎、細菌性の鼻副鼻腔炎、細菌性中耳炎、肺炎、非定型肺炎をどのように鑑別するかというのが一つのポイントになります。
2つ目の留意点としては、小児においては風邪で始まったものが二次性の細菌感染症によって増悪する可能性が成人と比べて高いと考えられています。ただし、最初から想定することは難しいため、適宜再受診が必要だとコメントしております。
3つ目の留意点として、小児では年齢ごとのリスクを加味する必要があると記載しております。小児の感染症を考える上では年齢区分が幾つかあります。ただし生後3カ月未満の新生児や早期乳児においては、気道感染症があっても発熱した場合には細菌性髄膜炎などの重症感染症が隠れている可能性があり、この手引きの対象外とさせていただきました。
生後3カ月以降の乳幼児における気道感染症については、成人にはないクループ、細気管支炎があり、また、熱源が明らかでない場合には、あるいは熱源があった場合でも尿路感染症や潜在性菌血症というような病態があることに留意が必要であるということ。学童期以降に関しましては、さきの手引きのほうに準じて診療していただくということがあります。
また、小児における治療薬については、小児特有の副作用が知られているものがあると解説しております。
細かい内容については述べませんが、具体的には、薬剤については5ページ目にまとめてありまして、成人では通常使ってよい薬剤であっても、乳幼児期においては使用できないものがあります。例えばテトラサイクリン系の抗生物質に関しては、8歳未満の小児では歯牙着色のリスクがありまして、そのように記載してあります。こちらについては抗菌薬以外の薬剤についても盛り込む必要があるかと考えておりまして、抗菌薬のみならず、小児の風邪でよく使用されてしまう薬剤についても注意事項を盛り込んでいるような形になっております。
7ページ目からが各論です。感冒・急性鼻副鼻腔炎については、原則、小児においては抗菌薬の投与をしない、予防投与も必要ではないと考えています。どのような時点で抗菌薬を処方するかということについては、成人の手引きと同様に盛り込んでいきたいと考えております。
11ページ目に飛びますが、急性咽頭炎に関しては、成人と同様に、抗菌薬による治療対象となるものはA群溶連菌に限定されると記載しております。小児の場合、3歳未満のA群溶連菌感染症が比較的少なくて、余り検査の対象にならないこと。また、本来の目的はリウマチ熱の予防ですが、3歳未満以下に関しては明確なエビデンスがない事に言及しています。
16ページの「(3)クループ症候群」ですが、別名喉頭炎とよばれる疾患になります。ウイルス感染症に伴い喉頭に炎症を来して、吸気性喘鳴や甲高い咳(犬吠様咳嗽)を呈する症候群です。こちらについては、原則、ウイルス感染症ですが、急性喉頭蓋炎など細菌性の重篤な感染症を除外することが求められます。
18ページ、「(4)急性気管支炎」については、こちらは成人と同様の定義になります。小児において急性気管支炎という明確な診断を学童期未満につけることは比較的珍しく、診断した場合は、成人と同様に百日咳、場合によってはマイコプラズマ、クラミジアといった非定型病原体が想起されます。
21ページ目に急性細気管支炎という概念が規定されておりまして、これは2歳未満の小児におけるウイルス感染症で、鼻汁、鼻閉などに引き続いて呼気性の喘鳴を呈する下気道感染症です。有名なところではRSウイルスなどがこれに該当します。成人においては上気道炎で収まるものが、小児ではこのような病態を呈します。
そして、24ページ目以降は急性下痢症、小児の胃腸炎に関する解説になります。こちらについても、成人と同様に、大半の感染症が急性下痢症の原因がウイルスであるということを解説して、細菌性感染症の頻度が低いということと、原則として、脱水に対する対応ということと急性腹症など重篤なレッドフラッグを除外することが大事だというような解説の内容になっております。
以上になります。
○大曲座長 ありがとうございます。今、御説明いただきましたけれども、少し中身のほうを見てまいりたいと思います。少しずつ順序よく見ていって、その都度のところで御意見、御質問、あるいはコメントをいただければと思います。
ページ数配分からいきますと、目次でいくと1番のところが「小児における急性気道感染症の特徴と注意点」ということで、あとは括弧で3つまでございますけれども、ページ数でいくとちょうど6ページ目のところまでで、まずはコメント、御質問等いただきたいのですが、いかがでしょうか。
○金子委員 NPO法人EBIC研究会の金子と申します。
まず、内容に入る前ですけれども、この体裁というのは、一版に組み込んで、中に入れ込むという形をとるのでしょうか。それとも後ろにつけるとか別冊にするとかいうようなお考えがあるのでしょうか。
○大曲座長 こちらに関してはどうでしょうか、事務局からお願いしてもいいでしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 現時点で明確に決めてはいないですが、前回出したのが第一版という形なので、第二版として合体させたような形で出す、ないしは新たに加えたものが別冊みたいな形になる、いずれかの形で、全体としては、第一版と今回追加される領域を加えたのが第二版という捉え方では考えております。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。今のように、全体のつくりに関してでも結構です。
よろしいですかね。
では、宮入先生、僕から1つだけよろしいですか。
5ページ目のところで、抗菌薬だけではなくて、いわゆる対症療法として、現実の世界では使われていることがあるようなお薬に関してもこちらのほうに記載があるのですけれども、その中でも、前提からいくと、ちょっと使い方に注意しなければいけないとか、あるいは避けたほうがいいものを選び出してきて書くという、そういう形でよろしいですね、先生。
○宮入委員 はい、そのように考えております。例えば小児に対しては、総合感冒薬の中に含まれている可能性のあるようなアスピリンなどについては、インフルエンザや水痘罹患時にこれを服用することで、原因不明の脳症、ライ症候群などをきたす事が知られています。小児科医であれば誰でも知っていることですが、そういったものを使用してしまわないようにという配慮から入れたいと考えております。
○大曲座長 ありがとうございます。実はいろんな場で対症療法が議論になっています。手引きは、大前提といいますか、基本的には不必要使用の事例を挙げているのですけれども、そうすると対症療法はどうすればいいのだという議論があって、たしかAMRの小委員会では、対症療法の記載をどうするのだという議論をちょっとした記憶があるのですね。そういう意味では、どれを勧めるかというのはすごく書きにくいのですけれども、ただ一方で、対症療法に使われるお薬の、濫用というと語弊がありますけれども、そういったものは起こり得るという観点からすると、確かにこういうことは特出しして、僕も書いておいたほうがいいのかなとちょっと思ったものですから、済みません、聞かせていただきました。
○宮入委員 考え方としては、何を勧めるかというよりは、こういったものには気をつけてくださいといった注意事項を書き出したものになります。
○大曲座長 ありがとうございます。
本田先生、お願いします。
○本田委員 都立多摩総合医療センターの本田です。
1点ですね。総論的なところに、前回は例えば手洗いとかいろいろ含まれていたと思うのですけれども、小児だと、ワクチンの話って間接的には抗菌薬の適正使用につながる概念という形のものが幾つかあると思うので、そこのところが、コメントしにくいかもしれないですけれども、何かコメントが入る御予定とか、どうでしょうか。御意見をいただければと思います。
○宮入委員 ありがとうございます。疾病の予防という観点からは非常に重要なことですので、必要な概念であることは間違いないと思います。これを体裁として、先ほどもありましたが、全体の構成としてどのような形にするかということによります。第一版のほうにはそのワクチンに関する推奨等も記載があったと思いますので、それをもって、それで十分とするか、こちらのほうにあえて書き込むかということについてはまた検討したいと思います。
○大曲座長 北原先生、お願いします。
○北原委員 長崎大学の北原です。
5ページの薬剤のところですが、この手引きというところからすると、ちょっと細かいことで言うと、やはり薬剤名があったほうが扱いやすくなるのではないかと考えております。ピボキシル基を有する抗菌薬とぱっと出ても、やはりわからない先生方が多くなると思いますので、4種類ぐらいしかなかったと思いますので、そのあたりは明記したほうがいいのではないかと思っております。
もう一つ、さっき大曲先生もおっしゃったところですが、対症療法のところですが、成人のときは余り対症療法のところにたしか触れなかったと思うのですが、そこに対して、今度、小児のときは結構触れてくるというところで、小児だからということでそういう扱いにするのか、そのあたりもちょっとお考えとか教えていただければと思います。
○宮入委員 まず1点目の具体的な薬剤名の記載については、わかりやすさが優先されると思いますが、そこについては事務局とまた相談しながら記載内容を整えていければと思っております。
もう一つ、第一版のほうには記載がなかったものをあえてここに入れたというものは、1つは禁忌事項に入るようなものについては必ず入れたほうがいいだろうと考えております。使用注意というレベルのものについて、どこまで範囲を広げて書くかについては、これもまた議論が必要だと思いますし、皆様の御意見をいただきながら取捨選択していければと思っています。
○大曲座長 具先生、お願いします。
○具委員 今の表のところで、例えばキノロン系の抗菌薬どうするかみたいな話も同じような、今おっしゃったようなところで、今回ここから抜けているという理解でよろしいですか。
○宮入委員 はい、同じように考えております。ここになぜか記載が漏れていますが、必要だと思っています。
○具委員 もう一点ですが、私、内科医の立場で見て、3カ月未満ということになると、3カ月であればこれに従って診療するという話になってくる可能性があると見ていて、内科・小児科という先生とかいらっしゃると思うのですね。この3カ月というラインは、済みません、私、その辺の議論をよく知らないものですから、小児科の先生方としては、3カ月未満というラインというところで、これは必ず専門家が見なければいけない、あるいはもう少し一般的なところで見ていけるのではないか、そのあたりのラインというのはかなりコンセンサスのあるラインなのでしょうか。
○宮入委員 感染症のリスクを考えた各種ガイドライン等で用いている年齢のカットオフが、生後3カ月=90日といったところでリスク評価をして、90日未満の子供については決められたワークアップをしましょうという記載があります。教科書やガイドラインの年齢区分はだいたいそのようになっています。3カ月未満の小児の場合は必ず小児科医が見るべきかということに関しては、いろいろな意見があると思いますが、やはり小児に精通した医師が見るべきだと我々は考えております。この資料を推敲していく中でいろいろな方の意見をいただいて、必要があれば修正していければと思います。
済みません、笠井先生、いかがですか。
○笠井参考人 兵庫こどもの笠井です。
宮入先生と全く同じで、全ての、ありとあらゆるガイドラインは3カ月、89日で切っていることがやはり多いです。ただ、では90日は大丈夫なのかという別の議論もやはりありますので、そこら辺は、3カ月、きちっと日数で完全に区切ってしまうのかどうかというのも、ひょっとしたら、この先議論していかなければいけないのかなと。機械的に、その辺って、スペクトラムで、グレーゾーンってやはりあると思います。4カ月でも3カ月寄りの人と6カ月とまたちょっと違ってくると思いますので、ガイドラインとかにするのだったら明確に示さなければいけないですけれども、そこら辺は、数字入れるのは確かにちょっと難しいなとも逆に思ったりとかします。
○野田結核感染症課国際感染症対策室長 3カ月未満という形で書かれているわけですけれども、今お話を聞いていると、厳密に3カ月未満という言葉だけをとると、1カ月、2カ月、で、3カ月の人は違うよという話ではあると思いますけれども、ただ、今お話を聞いていると、89日とか90日というお話もあったと思いますが、そういう意味で言うと、3カ月以下とか、あとは90日未満とか、そういう話なのかなと。そこはもちろん厳密になかなかしにくいとは思うのですけれども、そういうイメージの文章という形でよろしいでしょうか。
○宮入委員 はい、そのとおりです。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
笠井先生、お願いします。
○笠井参考人 全体のフレームとして確認しておきたいのですけれども、中耳炎を入れるかどうかというところは、小委員会のほうで話に出たのでしょうか。
○大曲座長 こちら、宮入先生、よろしいですか。中耳炎に関しては。
○宮入委員 小委員会には出席していないので、そこでの議論はわからないです。
○大曲座長 小委員会では、これは成人に関しても子供さんに関してもということですよね。中耳炎を特出しして行うという議論にはならなかったですね。特出しやるという議論は今回出ませんでした。
○高倉結核感染症課長補佐 事務局から補足ですけれども、中耳炎は、第一版のときにも、これは外そうという話になって、実際入っていない状況にあると思います。一方で、気道感染症というと、中耳炎も含めることが多いといえば多いのも事実だと思いますので、今回のたたき台の中と第一版のときを比べてみますと、急性気道感染症の中で各論で示すどれに該当するのかという、そこのあたりが第一版のところは割と充実して記載いただいていたように思います。今回のたたき台のところではそこが余り含まれていないように思いますので、今後そのあたりが少し充実できればよいのかなと。そうしますと、中耳炎でなくて、ここに示してあるようなどれかというところをまず最初に絞っていくかというところからあれば、今の中耳炎が外れているという問題はある程度回避できるのではないかと考えます。
○大曲座長 ありがとうございます。笠井先生、そういうことでよろしいでしょうか。
○笠井参考人 はい。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
北原先生、お願いします。
○北原委員 長崎大学の北原です。
済みません。これは先ほど具先生のほうから、3カ月未満のことが出たときにちょっと気になった点ですけれども、学童期以降とかいうところの年齢の細かい区別というのは、診療科の医師の方々であればはっきりわかるものなのか。要は、何歳というのを明記すべきなのか、それともしないほうがいいのかというところについてはいかがなものでしょうか。
○宮入委員 年齢で区分するか小学校に入っているかどうかで区別すべきかについては意見が分かれると思います。学童期に関しては当然小学生以降ということになると思いますが、5歳と6歳で違いがあるかといいますと、明確な医学的な違いはないと我々は考えております。疫学で考えた場合は学童なのか幼稚園未満なのかというところで違いが出ると思います。
○北原委員 わかりました。恐らく小児科の専門の先生方はそのあたり、非常に経験値も高いのでわかっていらっしゃって考えられてやると思われるのですけれども、今回の場合は多分、内科のところに小児の方がかかるケースもあると思うのですけれども、そういう、ふだん小児を専門にされていない先生が見ても判断ができる内容にしておく必要があるかと思うのですが、そのあたりについても、内科医であってもそこは判断できると考えてもよろしいですか。
○宮入委員 そうですね。例えば欧米のガイドラインですと、5歳未満、5歳以下の小児に対する抗菌薬の使い方、手引きというものがありますので、そこについては再考の余地はあるかなと思いますが、今回、学童期未満としたのは前回の手引きを受けての話にはなります。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
では、坂本先生、お願いします。
○坂本委員 聖路加国際病院の坂本です。
今の北原先生のお話ともちょっと関連するのですが、この手引きの対象が小児科の専門医ではない、感染症の専門医でもない方が主に利用されるということで、最初に出てくる注意点ですとか年齢との関係とかの解説の内容に関しては、専門性という点において理解が容易にできる内容なのか。私はちょっと判断できないのですけれども、その辺、例えば言葉であったり書きぶりであったりがすっと入ってくるようなものであるかどうかというところはどうなのかなというのはちょっと思いました。
あと、中に例えばA群β溶連菌感染症、鑑別しましょうといったようなことが出てくるのですけれども、例えば各論の中のここにその説明がありますよみたいな指示があるですとか、読んでいてすっと入ってくるようなレイアウトだったり、そういうことも、今後恐らく御検討されると思うのですけれども、内容プラス、読みやすさ的な工夫というのも御検討されているのかなということでちょっとお尋ねさせていただきます。
○宮入委員 坂本先生、ありがとうございます。まさにそういったところが足りないところでありまして、そこについてはこれからつくり込んでいきたいです。ぜひ小児科専門外の先生方にもごらんいただいて、誰でもというのは難しいかもしれませんが、医者であれば読んで内容がわかるものにしたいと思っています。
○大曲座長 ありがとうございます。恐らくこれもリーフレットにしたり簡単にまとめたりということもあると思いますので、そのときに使えるような、例えば図であるとか、概念図とか、そういったものも要るのかもしれないですね。
そのほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうかね。
それでは少し先に進んでいきましょうか。もしあれば後からでもぜひよろしくお願いします。次のセクションが、小児の急性気道感染症の各論ということです。ただ、一つ一つがそれなりにボリュームがありますので、順にちょっと見ていこうと思います。まず感冒ですね。感冒は7ページから11ページの上3分の1までですけれども、まずはこちらについて御質問とコメント等いかがでしょうか。
北原先生、お願いします。
○北原委員 いきなり細かいところになってしまって申しわけないですけれども、8ページの「治療方法」のところに経口補液のことが書いてあるかと思います。非常に補液は、重要なところかと思うのですが、これに対して、要は補液の種類というか、水ではやはりよくないとは思うのですけれども、そのあたりについては、細かく書くような予定というとか、いかがでしょうか。
○宮入委員 ありがとうございます。解説が必要なところだと思います。急性下痢症のところとあわせて、脱水に関する留意事項として入れていければと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。
具先生、お願いします。
○具委員 ここは感冒、急性鼻副鼻腔炎というところで、ウイルスによるというところからスタートしているのですね。ほかのところでも結構病原体から入っているように見えるのですけれども、第一版のときにはどっちかというと症状で分けていって、病原体の話は少し置いておいて、まず症状で分けていく、あるいは最低限の検査だけというような感じの流れになっていたかと思うのですね。このあたりは、もうちょっと症状スタートで見せるようなやり方というのはできるのかどうなのか、いかがでしょうか。
○宮入委員 ありがとうございます。そういったところも、これを使用するユーザーが非小児科医であることも踏まえてつくり込みが必要なところだと思います。目の前に患者さんが来て、症状を聞いて、そこから類推されるものが何なのかというところについては、成人の手引きと同じように、この3つの症状のうちどれがあったらこの診断というような流れがある程度示せればとは思っています。
○大曲座長 そのほかいかがでしょうか。
○北原委員 今回のこの小児の場合において、私が見た中で、ここでもですが、用法・用量というのが添付文書の適応外になっているのは余り見受けなかったと思うのですけれども、そのあたりの用法・用量というところについてはどれぐらい明確に書いていくようなお考えでしょうか。
○宮入委員 そこは事務局でしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘の点は第一版のときにも問題になりまして、どこまでこの手引きの中で踏み込めるかという点になってまいります。基本的に、医師の判断で、適宜増減の範疇でクリアーできる部分が多いのは多いですけれども、いわゆる現行の添付文書と申しますか、そこでないものが標準というような形での推奨というのはちょっと明記しにくいところがございまして、いわゆる推奨されるものの中には、用法・用量までは記載せずに、適宜増減の範疇で値を基本的にはしていただきたいということで、解説のところにそういった推奨について述べたという経緯でございますので、原則としてはその方針で今後もいければと考えております。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
本田先生、お願いします。
○本田委員 検索の日付が1月24日ということで約1年ちょい前ということですけれども、いつ出すかというのが恐らくあって、それに合わせて少しアップデートというか、検索のアップデートは、同じ式で時期をずらすという形で、ほとんど変化はないと思うのですけれども、あったほうがいいかなと思います。
○宮入委員 ありがとうございます。頑張ります。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
○金子委員 この中で、3日以上続く熱の場合には二次感染を考慮するという書き方があります。多くは細菌性のものだと思います。年齢によって出てくる細菌は大分変わってくるかと思いますので、具体的な菌の名前を入れる予定はありますでしょうか。
○宮入委員 ありがとうございます。ここの中の鑑別をどうするか、先ほどの疾患の分類を症状からというところもそうですが、診断についての詳細をどこまでこの中に盛り込めるかというのは難しいところにはなると思います。ある程度の道筋はつけて解説していきたいとは思っています。小児の診断における留意点については書けるとは思うのですが、小児の診療の経験が少ない方がどこまで小児を診て大丈夫なのかということは非常に難しい判断になりますので、安全性を保ったラインで記載ができればとは思っています。
○大曲座長 事務局からお願いします。
○高倉結核感染症課長補佐 事務局からですが、手引き、第一版のときの議論もそうですけれども、必要か不必要かのところの判別というのをできるだけ助けるというのが大前提としてありました。なので、今、金子委員の御指摘があった点は、必要な場合にどの薬を選ぶかというところに大きくかかわってくるところであって、そこになってくると、この手引きの趣旨から少しだけずれてしまうという点がある。
それと、想定される病原体でどのお薬を使うかというところは、実際は結構、学会、あるいは専門家の中でも意見の分かれやすいところであったり、その耐性菌の検出状況とかに左右される部分も多いので、そこはバランスの問題だとは思いますけれども、病原体のところを、想定される細菌性の感染症に関する記載というのは、余りそこは深めると手引きの内容的に偏りのバランスが若干よくなくなる可能性があると思いますので、そこは今後検討していく中で、いいバランスでというところに落ちつければとこちらとしては考えています。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
よろしければ、少し進んでまいりましょうか。
今、感冒のところでしたけれども、次が急性の咽頭炎であります。ページでいくと11ページから始まりまして、クループの前までですから15ページですけれども、こちらについて御意見、御質問、いかがでしょうか。
坂本先生、お願いします。
○坂本委員 聖路加の坂本です。
さっきのこととも少し重なりますけれども、例えば12ページの「診断と鑑別」とか、読んでいると、尤度比であったり、かなり統計学的な用語が散りばめられていて、もしかして、伝わりやすさという点において若干難解な印象を受けるのですけれども、この辺の解説の仕方とかは、もちろんこれはたたき台なので今後ちょっと書いていかれる御予定があるのかもしれませんが、ちょっとコメントのような質問ですけれども。
○宮入委員 ありがとうございます。そちらには配慮して適宜改定するとともに、あと、小児においてもダイジェスト版を作成するという前提でやっていきたいと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
これはコメントというか、自分の感想ですけれども、3歳未満のGASの咽頭炎は一般的には頻度は低いので、検査対象としては積極的にはしないといったところは、僕はすごく大事だと思っています。というのも、成人向けの例の前版の手引きの話をしているときに、僕もちょっと思い込みであって反省しなければいけないなと思ったのは、現代日本でリューマチ熱の発症リスクはこれだけ低い中で、要は、咽頭炎の症状の患者さんが来られて、A群β溶連菌の迅速検査なり培養が陽性だったら全部治療するのかと真っ正面から問われたことがあって、なるほどと思ったことがあったのですね。
そういう意味では、これはすごく配慮されているなと思ったのは、その中でも、リューマチ熱ならリューマチ熱の発症リスクを考えた上で、何でもかんでもGASが出たから治療するわけではなくて、そのリスクの低い人たちをちゃんと同定して、そこに関してはむしろ治療に結びつかない、むしろ検査自体をそれほど勧めないというか、記載がしてあるのはすごく丁寧だなと思いましたし、この手引きをつくる上でそういう配慮もやはり要るのだなと。それはいろんな先生方の声を聞いていてすごく感じていたものですから。
済みません、感想になりますけれども。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
北原先生、お願いします。
○北原委員 急性咽頭炎の成人のときも、成人の中で溶連菌の感染患者というのは10%ぐらいで、多くはウイルスだからという説明だったと思います。今度の小児の場合もほとんどウイルスで、要は、つくり方としたときに、完全に最初の段階で、第一版があって、第二版は、先ほど事務局のほうで高倉先生のお話があったのですけれども、分けて、最初見たときに、まず成人・小児と見ていくような作りなのか。この急性咽頭炎では成人と小児とそんなに対応が変わらないと言ったらあれですけれども、対処の仕方が変わらない。そこのどのようなつくりになるのかが、ここを見てまた少し疑問を感じたので、御質問みたいな感じになってしまって申しわけないですが。
要は、最初まずめくったときに、成人はここを見て、小児は、第二版というか、追加のここは全部小児について書いてあるみたいなつくりなのか、急性気道感染症の中にこういう区別があって、急性咽頭炎の中で小児、成人と分かれていっているのか、そのあたりのつくり方というか、いかがでしょうか。
○大曲座長 全体としての構成ですよね。
○北原委員 そうですね。また全体で後でお話しされるところだったかもしれません。これを読んでいるときに気になった点だったので御質問させていただきました。
○大曲座長 では、宮入先生、お願いします。
○宮入委員 非常に難しくて、組み込めるものと組み込めないものがあります。例えば先ほどの上気道炎の分類というところで、成人と合致させることにまずつまずいたわけで、その中でも咽頭炎というような項目だけ抜き出してやれば、成人と小児、同じように扱うことができると思うのですね。ただ、構成としては、成人版があって、5歳未満の学童期未満の小児版があったほうがやりやすいかとは思います。
○大曲座長 事務局からお願いします。
○高倉結核感染症課長補佐 事務局からですけれども、今、宮入先生がおっしゃったのに私も同感と申しますか、記載がちょっと重複してしまっているというところに関しては、適宜、第一版というか、前版参照という形でもよいのかもわかりませんが、小児で、同じ疾患でかなり重なるところが多くても、小児ならではの、学童期未満ならではのそういう研究の治験であるとか、それの注意点といいますか、そういったものを特に強調して書いていただければ、余りそこの部分でおかしくなることはないのではないか。仮に部分的に重複するような記載に関して、第一版に書いているものとの整合性という面では配慮は必要だろうとは思いますけれども、そういった意味で言うと、小児という対象年齢で見ながら、おのおのの項目を見ていただくというそのスタイルが適切ではないかと思います。
もちろん、6歳ぐらいでどちらかといったときには、場合によっては両方見比べながら診察していただくという治療上の注意といいますか、そういったものは必要かもわからないかなと思っています。
○北原委員 年齢でまず最初に分けて見るような形ということで、了解しました。
○大曲座長 ありがとうございます。恐らく、同じ病気でも年齢層が違うと、相互の関係ですとかいったものはかなり違ってくるだろうなというのは、僕も、感染症医としてお子さんを診ますけれども、すごく意識するところですので、今お話が出てきたように、年齢といったところで分けて、要は、たてつけとしては別にして進めたほうが僕もスムーズかなと思いました。ありがとうございます。そのほか。
笠井先生、お願いします。
○笠井参考人 先ほどのお話ですけれども、年齢分けのことで、私、書いた側の立場として、参考文献とか見ていますと、小児で、3カ月以上、学童未満というきちっとした分け方で研究されているスタディデザインって余りない。小児と区切っていることが多いですので、そこら辺、書いている内容は小児全体で検討しているレビューだったり、RCTとかそういうのを見ているのですけれども、でも、実際は、対象は今回学童未満としてしまうと、内容がひょっとしたら齟齬がある。6歳以上も含まれた研究とかが入っている可能性はあるかもしれません。そこら辺、今ちょっとお話を聞いて、どうやって整理したらいいのだろうなと思って、気が遠くなりそうになりました。
○大曲座長 使う側からすれば、単純に年齢で切れるのか、どちらのガイドラインを使うのかとか、そういうことですよね。確かにそこはあり得るかなとは思いました。運用の仕方、使い方の整理というのはちょっと要るのかなと、確かに僕も思います。ぱっと今何か出てくるわけではないですけれども、でも、そのとおりですね。ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
よろしいですかね。
では、少し先に進めながらやりましょうか。また思いついたら、後でもぜひよろしくお願いします。
次が16ページで、クループであります。成人といいますか、学童期以降ではなかったところでありますけれども、こちらに関して御意見、御質問、コメント等いかがでしょうか。
林先生、お願いします。
○林委員 全体の体裁に関係することですけれども、最初にこの分類が、小項目のiが、何とか「とは」と毎回出てくるのですけれども、多分、これ、書きづらいと思うのですね。クループのところが空欄になっているのですかね。その前はどうなっていたかなと見たら、咽頭炎のところは、咽頭の炎症である。特になければ省略して、「疫学から記載」と書いてあって、その後の、「細気管支炎とは」となったときには結構詳しく書いてあって、下痢症のところになると、今度は疫学的なことまで記載されているのですね。
このあたりが、「とは」という項目立てがここを書きづらくしている可能性があって、ほかの項目はどうなっているかとなったときに、診断・鑑別とか、抗菌薬治療とか、患者や家族への説明となっているので、ここでは定義とかいうふうにしたら書きやすくなって、一貫性がとれるのではないか。
多分、何々とはというふうに問われて記載することは結構人によってばらばらになりやすくて、人によっては書けない、書きづらいという人もいると思うので、定義にすれば、疫学とかに振れることもないでしょうし。ここにあるのは結構基本的な疾患、または症候群ばかりだと思うのですけれども、でも、風邪って何ですかと一言で説明できないのが非専門医だと思うので、ここはあえてちゃんと定義を明確にしておく必要があるのではないかと思ったのです。
○大曲座長 ありがとうございます。それはやはり診断にも寄与するというか、我々、例えば見るのになれていない者に対して、定義として言葉がちゃんと言いかえていただくことで具体的な疾患のイメージがわくと思います。そうすると使う側の技量も上がるだろうし、使う上でも便利だろうし、そういう感じですかね。
宮入先生、いかがでしょうか。
○宮入委員 非常に重要な指摘で、そのようにするとすっきりいくなという印象はありますので、採用させていただきたいと思います。
○野田結核感染症課国際感染症対策室長 事務局です。
前回の第一版を見ますと、例えば急性気道感染症の中で、一番前の総論のところに入れると、定義とか、分類イメージを示しつつそこは示していったということをやっていましたので、そういう意味で言うと、恐らく、今回また御意見を伺った上で、事務局のほうでいろいろと作業を第一版に合わせたような形で、体裁を落とし込んでいく形を行うと思いますが、そのときにいろいろとまた第一版とある程度整合性をとりつつ、わかりやすくするような形で検討はさせていただきたいと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。確かに、先ほどお話が出ましたけれども、前版だと、症状から入っていっているとか、病気の相互の関係といったところも整理が必要ではなかろうかというところですね。
具先生、お願いします。
○具委員 このクループ症候群の中で急性喉頭蓋炎の鑑別診断としてすごく重要であるということは繰り返しあって、急性喉頭蓋炎がすごく重大なことはわかるのですけれども、ではどんなときに急性喉頭蓋炎を疑って、そちらのステップに進めばいいかというのは、読んでいてもちょっとすっきりしないように思うのですね。第一版のときに、レッドフラッグという整理をしたことがあるのですけれども、そのあたりは、特に余り多くの小児を見慣れていない医師が見るとか、あるいは、以前もたしか救急の当直で若い先生が見るとか、そのようなイメージもあったかと思うのですけれども、こういう点があったときにはより重大な疾患を疑って進むべきだという記載もあったほうがいいかなとは思いました。
○宮入委員 ありがとうございます。そういったところを盛り込みたいと思います。
○笠井参考人 咽頭炎のほうには、12ページの下から13ページ目のところには、sniffing positionであったり、流涎が目立つとかいう記載がありますので、その辺、合わせてしまってもいいのかなと思いました。ありがとうございます。
○大曲座長 ありがとうございます。確かに前版でも、見落としてはいけない病態というものをあえて特出しにして、実際の診療の中で患者さんに迷惑がかからないようにというのは意識したところがありますので、この項目に限らず、そのあたりも整理していただくというところでありました。
そのほかはいかがでしょうか。
では、よろしければ、次は急性気管支炎にいきましょうか。ページでいきますと18ページから21ページの上半分まででありますけれども、こちらに関していかがでしょうか。
坂本先生、お願いします。
○坂本委員 今回のガイドラインはほとんど臨床診断で診断がつくか迅速検査で診断がつきそうなものが多いのですけれども、例えば百日咳が鑑別に上がりますみたいになったときの検査はどの程度できるかという、その病院のレベルへの対応に関してはどのような形で対応されますか。
○宮入委員 百日咳の診断に関しては、時間もかかりますがどこの医療現場でも外注でできるような診断法もあります。まず疑うところが一番重要ですし、迅速に確定診断をつけるために検査を実施する必要があれば、ほかの医療機関に行っていただくということになると思います。ただ、百日咳に関しては、原則としては臨床診断で診断をつけるものだとは思います。
○大曲座長 ありがとうございます。坂本先生がおっしゃっていることを聞いて身につまされるところがあって、成人版でも一番厳しいところなのですね。つまり、気管支炎の端っこの領域にいくと、一部は微生物、特異的な治療が必要な微生物による感染症がまじっていれば百日咳だったり、場合によってはマイコプラズマだったり。マイコという話になると、要は肺炎との鑑別という話が出てきてしまって、それも結構難しかったりというのが出てきて、この手引きという、一般医の先生方をターゲットにするという中で、そこをどこまで書き込むべきだったのか。つまり、今後のことを考えてですけれども、僕も個人的にはすごく悩んだところですね。多分、今回も同じようなことがあるのかなというのは、話を伺っていて感じました。ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
林先生、お願いします。
○林委員 私は小児科の経験が全くないので、これを読むと使えるかどうかというのが実際の立場で実感できるのですけれども、診断って、やはり一番難しい、難渋するところがあると思いますけれども、臨床診断でとか、下気道症状や所見がある場合とかと記載されているのですが、そこが多分、非小児科医はわからないのではないかと思います。なので、明確な基準がないような場合でも、そこをもう少し丁寧に記述したら、より使い勝手がよくなるのではないかなと思います。具体的にどういうことなのかというのを。
○宮入委員 ありがとうございます。具体的な症状、例えば乾性咳嗽が何日以上続いているだとか、そういった具体的な記載を盛り込んでいくということですね。御指摘を受けて改定していって、その上でまた見ていただければよいものができると思います。ありがとうございます。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
林先生、お願いします。
○林委員 追加させていただくと、多分、ほとんどの感染症が診断が余りクリアーカットにできないものだと思うのです。私が見ている集中治療室の感染症でもそうですけれども、そういった場合、多くの場合、臨床診断というのが最初に来て、臨床診断にはこういう所見を組み合わせて臨床診断をする。それに加えて、客観的なラボだとか、画像とかがあって、それがそれを補足するというのが一般的だと思うのですね。なので、その2つを分けて記載するとわかりやすいのではないか。多分、これが開業の先生が使うということも想定するときに、余り高価な機械というか、画像とか、利用がそんなにできない場合もあると思うし、実際には、ここに挙げられている疾患群の多くは、機械に頼る、偏って診断するものは今回余りないような気がするので、臨床診断はこうです、それをもし利用できるのであればこういった補助的診断方法がありますよみたいな書き方のほうがプラクティカルになるのではないかと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。多分、現実を考えると、検査も使えないという状況で、でも何かしなければいけないという状況で、病歴と臨床的な症状とフィジカルとである程度落とし込めるのだったらそこは落とし込んで、つまり、ざっくりと百日咳なら百日咳らしき状態というところまで落とし込んで、そこまで来たら治療を考慮するとか、そういった感じの整理ですかね。もちろん、そこで検査が使えれば一番いいとは思いますけれども、必ずしも現状の日本ですとそうでもない場面もあるということを考えて、そこでも対応できるようにするという感じですかね。ありがとうございます。
そのほかいかがでしょうか。
それでは、よろしければ、細気管支炎のほうにいきましょうか。21ページの下半分から急性細気管支炎が始まりまして、エディションの手前までですので23ページまででありますけれども、こちらに関してコメント、御質問いかがでしょうか。
本田先生、お願いします。
○本田委員 直接の病態とは関係ないのですけれども、恐らく親が質問する内容で、いつから幼稚園に行けますかとか、いつから保育園に行けますかという話は必ず出てきてしまう、ヘルスケアプロバイダに必ず質問がいくという形だと思うのですね。医療連携に関しては、恐らくこれ、24時間で大丈夫ということが、登校・登園できますということの記載があるのですけれども、本当に法的なバックグラウンドもないですし、ほかの疾患に関して明確な基準はないのは私も存じているのですけれども、ここのところは、この作業部会で少し議論するか、何かあったほうがいいのかなと。とりわけ細気管支炎とかアレスウイルスとか、クループとかですか。下痢のときもそうかもしれないですけれども、少しどうなのかなあというところが、建設的議論があるとよりすばらしいかなと思います。
○大曲座長 では、事務局からお願いします。
○高倉結核感染症課長補佐 今の点ですけれども、厚生労働省の中で、保育所の感染のガイドラインであるとか、文部科学省が出している学校における感染症の解説など、そういった冊子がありますので、それと沿うような形で書けるところと書きにくいところとあるかもわかりませんが、そのあたりを参考にしながらちょっと調整を図りたいと思います。
○大曲座長 実はこの前改定したばかりで、僕、かかわったのですけれども、かなりの疾患で現場での重要性が高いものは前に出て、登園の基準等々まで見えるところに書いてありますけれども、かなり多くの疾患を後ろの表にまとめて、基準まで書いてありますので、そのあたりとの整合性というのを考えていけば僕もいいのではないかと思いました。
○本田委員 済みません。ありがとうございます。
○大曲座長 具先生、お願いします。
○具委員 この説明例のところで、今の本田先生の質問を聞いていて、そうかと今ふと思い出したのですが、自然に治る病気ですというのはそのとおりだと思うのですけれども、どのぐらいの経過で、何日ぐらいで、何週間ぐらいでどうでとか、そういうところが時系列があるといいかなあと思いました。恐らくその見通しが立っているかどうかというのがかなり本人や保護者にとっては不安を減らすことができる要因ではないかなと思います。最近ちょっと海外のこの手のものをいろいろ見る機会があったのですけれども、例えば1週間後でも3割ぐらい症状が残っていますとか、書きぶりはいろいろあると思いますけれども、その辺の経過をもうちょっと盛り込むとよりよい説明ができるのではないかなと思いましたので、コメントします。
○宮入委員 ありがとうございます。盛り込んでみたいと思います。
○大曲座長 それこそ、そのあたりのところをちゃんと説明すると満足度が高まるというところもありますし、見ている側としても、それに載っからないような経過をたどる例は何かしら起こったという考え方もできますので、そういう経過観察の仕方にも確かに役に立つのではないかと思います。ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。
坂本先生、お願いします。
○坂本委員 だんだん抗菌薬の適正使用と離れていってしまうのですけれども、例えばRASであったりマイコであったり、後から出てくる胃腸炎は家庭内感染ということが起こり得るものなのですが、いつまで学校を休めますかというのと、あともう一つ、一緒に住んでいる家族はどうしたらいいのかみたいなのは時々出てくる質問かなあと思います。どの程度までこのガイドラインを総合的にするのかというところも検討しないと分厚くなってしまうので、よくある質問に対するちょっとした答えみたいなのがあると、高齢者、乳幼児、一緒に住んでいる家族への注意事項みたいなのがちょっとあっても、もしかしたらいいのかなと。もし紙面が許すのであれば、入れるとどうかなと思います。
○宮入委員 そちらについては、先ほどの予防接種と同じ考えで、何も小児に限ったことではないと思いますので、総論のほうの改定については検討があってもいいと思います。
○大曲座長 あとは、多分、家族への説明というところも叙述があると思います。そういったところにも書くとかいうのはあるかと思います。確かに、質問、すごく来るのですよね。僕らも家庭と近接した状況だけに、どう言っていいものか、なかなか悩むときが正直多いのですけれども、現実的にはそこは本当に問題になると思います。ありがとうございます。そのほかいかがでしょうか。
北原先生、お願いします。
○北原委員 長崎大学の北原です。
今度の小児のバージョンだった場合に、成人のときにはスキームというのがあったと思いますけれども、そういうのはつくっていかれる予定なのかどうかというところはいかがでしょうか。
○宮入委員 フローチャートみたいなものですね。
○北原委員 そうです。フローチャートですね。
○宮入委員 まだそこまでいっていない段階ではありますが、やってみたいとは思っています。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
よろしいですかね。
それでは、もしよろしければ、今ので急性気道感染症のところは終わりでありまして、あと残りで急性下痢症があります。ページでいきますと24ページから参考文献の前までですので27ページでありますけれども、こちらに関して御意見をいただければと思います。
林先生、お願いします。
○林委員 これは胃腸炎ではなくて、下痢症としたほうがおさまりがいいのですかね。
○宮入委員 これは第一版と用語を合わせたものですけれども、小児が成人のものと別のものをつくるということであれば、用語はまた再検討してもいいと思っています。これは笠井先生、いかがでしょうか。
○笠井参考人 私、担当したのですけれども、ほぼ同じ意味で使われていることが多いと思います。海外の文献も、日本のいわゆるガイドラインとかもほぼ同じ意味合いで下痢症イコール急性胃腸炎と言っていることが多い、あくまで印象ですけれども、そのように思いました。胃腸炎と変えても、内容的には多分つけ加えることはないと思います。
○林委員 僕は同義語として使われているというのは余り気にしていなかったので、多分、変えてもつけ加えることはないですけれども、むしろ嘔吐のマネジメントとかも結構書いてあったので、どちらがいいのかなと思っただけですが。
○大曲座長 事務局からお願いします。
○高倉結核感染症課長補佐 参考資料の第一版の21ページのところに「急性下痢症とは」というところがあって、そこの最後のほうの文章に、「急性感染性下痢症は、『胃腸炎』や『腸炎』などとも呼ばれることがあり」といったくだりがあって、余り明確に区別といいますか、使い分けされていないイメージはあると思います。胃腸炎や腸炎となってくると、今、御指摘あったように、嘔吐、その他の症状のところについて逆に言及しないとちょっとおかしくなるかもしれませんので、この辺は使い勝手ですね。下痢で入ったほうがその後シンプルでいってというのであれば下痢症のままのほうがむしろよいと思いますし、その辺は胃腸炎で入るのと下痢症でいくのとどちらがこの手引きとしてつくりやすいかということと使いやすいかという点で区別といいますか、どちらか決めていけばよいかなと思います。
○笠井参考人 小児のいわゆる感染性腸炎という言い方にしてしまうと、子供はやはり成人に比べて嘔吐が圧倒的に多いと思います。嘔吐で始まることが多いですので、僕も、書きながら、急性下痢症ってすごく違和感がありはしましたので、急性胃腸炎という形にしたほうが実際の現場にも合うかなと思いますし、親切かなとも思います。
○大曲座長 事務局からお願いします。
○高倉結核感染症課長補佐 ちょっと懸念事項として、もしそれでもよければもちろんそのほうで検討いただけたらいいですけれども、嘔吐になってきたほうが、仮にですけれども、鑑別診断が広くなって、難しく、つくりにくくなるというのであれば、どちらをとるかという観点ですけれども、そのあたりは、また宮入先生や笠井先生、堀越先生等で十分検討いただければと思います。
○笠井参考人 小児の胃腸炎の診療においては嘔吐の鑑別というのは極めて重要ですので、前回は成人との整合性という部分で、そこの部分ごそっと、僕、多分、抜いたと思いますけれども、最初、やはり嘔吐の鑑別から入っていかないと、髄膜炎とか、小児、小さい子である心筋炎とか見逃してしまう可能性があります。今回、乳児が対象になってくると、より難しくなってくる。そうするとですけれども、この手引きの範疇として妥当なのかどうかということも少し心配になってくるかなと思うのですけれども、その辺は、書いてみてから考えるという感でしょうか。
○大曲座長 個人的な意見としては、御相談していただいていいのではないかと思います。成人の場合は明らかに、成人がおなかを壊す下痢ということに対して慣習的に抗菌薬を使われてしまっているという問題があって、そこをどう正していくかというところから考えていったところがあったものですから、そういう意味では考えやすかったですし、下痢症という言葉を使うこと自体が余り違和感なかったのですね。
ただ、今お話を伺っていると、ちょっと特殊と言ってはよくないですけれども、年代が違えば病態も違うし症状の出方も違うので、それに基づいて患者さんを診ていくということも考えると少し検討していいのかなと思って伺っていました。また御検討いただければと思います。ありがとうございます。
そのほかはいかがでしょうか。
では、金子先生。
○金子委員 胃腸炎と急性下痢症が同義語ということでちょっと安心して質問するのですけれども、ことしのウイルスの下痢症、胃腸炎のときに、胃腸炎性の痙攣を随分経験したのですけれども、ここには痙攣という言葉は一つも出てこないので、重要なものであるならば、入れていただいてもいいのかなと思ったのですが、いかがでしょう。
○笠井参考人 確かに、ロタウイルスとかで胃腸炎関連の痙攣症というのは実際ありまして、かなり難治性痙攣に分類されます。これが、先ほどと一緒ですけれども、ここに合併症として入れてしまうかどうかというので、ほかのところはどうだったでしょうか。合併症もかなり詳しく入れたほうがいいのでしたっけ。抗菌薬適正使用とはほとんど関係のない話にはなるかなとは思いますけれども。
○大曲座長 成人の場合、前版の場合は、すごく詳しくは書かなかったですけれども、でも、レッドフラッグに載り得る病態というのは、少なくともキーワードレベルでは書いていますね。くも膜下出血ですとか咽頭炎のときの。ですので、それは一つの捉え方かなと思います。当時はそうしました。
具先生、どうぞ。
○具委員 最初の四角の中に「原因診断より緊急度の判断が重要である」と極めて重要なメッセージで、とても大事なところだと思うのですが、実はその後、本文で、緊急度とは何かというのがよくわからなくて。診断と鑑別のところも余り、何をもって緊急とするかよくわからないのと、脱水のところで、緊急度に最も影響するのは脱水の有無であると。脱水が大事なのはわかるのですが、脱水と緊急度、緊急度に最も影響するということは、では緊急度は何かというのはよくわからない。ちょっとそのような文面になっているので、特にここ、原因診断よりむしろ緊急度の判断が重要ということは、診断と鑑別は、ウイルス性かどうかを判断することが必要の前に、多分、緊急度の判断が入るのかなと思ったのですね。その辺はメッセージとして恐らく重要なところだと思うので、整理すればいいことだと思いますが、ちょっとコメントとして。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
林先生、お願いします。
○林委員 幾つか特殊な場合は除いて、何々は要らないとかと書いて、特殊な場合とはこうこうであるというところがありますけれども、例えば25ページの迅速抗原検査のところで、一般的には要らないけれども、「ウイルス性胃腸炎を確実に診断する必要がある場合にのみに適応となる」というのがあっても、一般以下の人で、とりわけ詳しく知らない先生だと、確実に診断する必要がある場合というのがよくわからないから検査に出してしまおうとかということになる可能性があるのと、こちらはより大事だと思うのですけれども、HUSが疑われる場合は便培養が必要だということですが、HUSを疑う場合はどういう場合なのかは、これは非常に臨床的にも大事だと思うので具体的に記載したほうがよさそうだと思うのと、あとは、例えば抗菌薬でカンピロバクター、済みません、これはちょっと勘違いでした。そこは大丈夫です。
例外的に何かが必要と。多分、ほかにもあると思うのですけれども、そこは全く触れないか、書く場合はある程度明確に、誰が見てもわかりやすい、振る舞いやすいように書いたほうがいいのではないかなと。もし曖昧に、「一部の場合を除いて」とか、ぼんやりと書くのであれば、あえてそれは記述しないほうが混乱を招かないのではないかと。
○宮入委員 ありがとうございます。そうですね。何々の場合はとぼかして書いてあるようなところについては明確に記載するか、記載しないか、どちらかに統一したいと思います。
○笠井参考人 ウイルス迅速検査の欄で強調したかったことは、治療法、対処法に違いがないということを申し上げたかった部分かなと思っておりまして、なぜこれを僕は入れたのか。何かで入れたのだと思いますけれども、済みません、もう一度記憶をたどります。
○大曲座長 検討いただくということですね。よろしくお願いいたします。そのほかいかがでしょうか。
金子先生、お願いします。
○金子委員 こちらに抗菌薬に関する推奨ということで、ウイルスには要らないとしっかり書いてあるのですけれども、では細菌性の場合には抗菌薬使ってよいのかというの検討はいかがでしょうか。
○宮入委員 そうですね。実際にはこれをつくっている中で第一版に移行した関係で、ここにちょっと盛り込まれていない箇所がいろいろあります。その中にサルモネラやカンピロバクターに対する抗菌薬の要、不要というところについても補足が必要ですので、そこは適宜盛り込んでいければと思います。
○金子委員 よろしくお願いします。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。
○野田結核感染症課国際感染症対策室長 一応念のために御意見を伺っておきたいのですけれども、急性気道感染症についてはなかなか小児と成人を分けるのは難しいという話があったのですけれども、急性下痢症について、成人と小児を分ける必要があるかどうか。まさに分けないとやはり説明がしにくいという部分があるのかどうかというところについては伺っておきたいと思います。場合によって、それほど分けるのは難しくないという話で、ただ、もちろん、小児に特化した話があるというぐらいであれば、そこは成人の今つくっている急性下痢症のほうに合併させてしまうという形もあると思いますし、そういうところはひとつ御意見を伺っておきたいと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。先ほどの名前の議論にもつながってくるところだと思いますけれども、どうでしょうか。宮入先生、笠井先生、つくられた側としては、あるいはふだん見ていらっしゃる側としてはどうお考えか。
○笠井参考人 個人的には分けていただきたいなと思っています。小児の嘔吐、下痢症とか胃腸炎というのは小児科医にとってもチャレンジングな症候群になりますので、成人とは多分違う考え方でつくったほうが安全な手引きになるような気がいたします。個人的な意見ですが。
○宮入委員 私もそう思います。多分に重複することも出てくるとは思いますが、成人のほうの手引きの記載との齟齬がないような形で調整ができれば、重複しても個人的には構わないとは思いますので。ありがとうございます。
○大曲座長 この件に関しては、ほか、先生方、御意見いかがでしょうか。
よろしいですかね。
さっき金子先生おっしゃった痙攣の件とか、ロタで出るとかありますよね。僕も、あの辺聞いていると、ちょっと構えてしまう。つまり、小児の急性胃腸炎はちょっと構えて見ているところはありますので、大人とはちょっと違うのかなというところは個人的には感じております。こんなところでいかがでしょうか。
○野田結核感染症課国際感染症対策室長 もう一つ伺っておきたいのですが、先ほどから何回か出ている話でありますけれども、定義の部分で、急性下痢症の中でもちろん嘔吐も入ってくるというところはあるのですが、逆に、それぞれの先生方の捉え方という部分で言うと、急性下痢症の定義、第一版のほうでも書いてありますけれども、基本的に、うちとしては、下痢を見ているというところがあって、嘔吐に相当特化すべきという話があるならば、割と嘔吐に特化した形での切り口での入り方というのもあるとは思うのですけれども、そこについての御意見を伺っておきたいと思います。
○笠井参考人 下痢になってしまったら、もうそれは逆に我々はほっとするというか、感染性胃腸炎だったねと思えることが多いのですけれども、疾患の最初は、1回目とか、1日目とか、ほとんど吐くだけで終わって、翌々日ぐらいに下痢が始まるというパターンが多いと思います。そこでも、ただ、疾患としては嘔吐症と下痢症というのを分けて、鑑別診断は違ってくるとは思うのですけれども、分けたほうが、いずれも抗菌薬が要らないということには変わりないと思うのですけれども、分けるほうがいいのかどうかは、僕は、今すぐお答えすることは、ちょっと難しくてできません。済みません。
○宮入委員 恐らく嘔吐の症状が主体である、そして下痢の症状が認められない場合というときに、その他の鑑別がより多く入ってくるということだと思います。ただ、別々に分けて議論できるものではないと思います。恐らくフローチャートのようなもので、レッドフラッグを拾って除外していくというような流れができればと思っています。この手引きは初診で見られる先生が比較的安全に患者さんを見て、なおかつ、その中で抗菌薬を投与しないという不必要性を判断できるようなことが目的になりますので、そこについては補足をしていきたいと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
林先生、お願いします。
○林委員 27ページの文献検索のほうですけれども、せっかくMEDLINEの検索式を詳細に提示して、ある程度システマティックに、かなり透明化されているのですけれども、最後のステップで、「上記文献のうち内容吟味し、AMR Action planにふさわしい内容と考えられたものを著者が独自に選別」というのが、これは参考文献を見ると選別の仕方が書かれているということなのか。ここで、最後の段になって物すごく主観が入ってしまっていて、この減り方が、339件ヒットしたところから9件に減っている。330/339が削除された形になっているので、ここには何らかの、ふさわしいと考えた、多分、客観的なクライテリアを持たれて削除されたと。全く関係ないとか、論点が全然違うとか、これは恐らくは最終的にそれほど変わらないことになるのではないかとは思いますけれども、エクスクルージョンされたときの判断基準みたいなものをある程度ここにしっかりと書かれたほうが、これは15件のうちが9件になったのであればまだわかりやすいですが、339件が9件に減ったというのは、何か恣意的に選んだと思われる可能性もあるので、私もやったことありますけれども、全く的外れな論文が出てきたり、ただのケースレポートが出てきたりとかいうことがいろいろあると思うので、除外するに至ったある程度わかりやすい基準を明示したほうがいいのではないかと思います。
○宮入委員 ありがとうございます。そうですね。そこの除外基準だとか、インクルージョンクライテリア、エクスクルージョンクライテリアをもう少し明確に書いて、誰が見ても、とまではいかないかもしれませんが、そのフィルターを設けてここまで減らした、そこの中から選んだというような、もう一段設けられればいいと思っています。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
お願いします。
○嶋田結核感染症課専門官 事務局からです。
まず質問というか提案というかですけれども、これまでのところで、皆様の議論の中で、重症度とか危険度とか、どうなったらまずいかというのを共有できたことと、あともう一点は、これが小児の専門医だけではなく、一般、内科、小児科を見ていただける外来の先生たちにもこの手引きが行き渡るということですが、これは事務局のまとめる立場でもあり、あと小児科医としての立場でもありますけれども、バイタルサインの正常値とかいうのを入れたり、あとはペディアトリック・アセスメント・トライアングルとか入れ込むというのはいかがかなあと思ったのですが。そうなってしまうと結構ボリュームが多くなって大変ですかね。
○宮入委員 そうですね。この手引きに重症度の判定であるとか、診断の正確性だとかをどこまで盛り込めるのかというのは結構難しい議論なのかと思っています。疾患を見たときに、抗菌薬は必要ない、あるいはファーストラインで使用する抗菌薬などが求められているところだと思います。重症例を漏らさないようなものをつくるということについては、もう少し検討が必要だとは思っています。ありがとうございます。
○笠井参考人 恐らく、多くが実地医家というか、開業の先生が見られる、子供を見るということを前提に書かれる、それを読み手として書かれていた手引きとしては、多くのいわゆる一般の開業の先生方、バイタルサインとっていることって、多分ですけれども、ないとほぼ言えるのではないかとか思います。それがあると、ひょっとしたらかえってややこしくなる可能性もあるかなと思いますので、今回書く側として見ると、それももちろん大事なことだと思ってはいるのですけれども、入院診療で見る急性発熱や急性感染症と、開業で見る、いわゆる風邪を中心とした気道感染症とか下痢症とはちょっと今回は外したほうがいいのではないかなというのは個人的には思いました。
○大曲座長 お願いします。
○高倉結核感染症課長補佐 また事務局からもう一点ですけれども、今のと少し絡みますが、この手引きの対象ですね。年齢を示しておりますけれども、第一版のときには、基礎疾患のないというような文言が入っていたのですね。そうでないと、さっきどなたがおっしゃられたように、特殊な事例のときどうするという問題を抱え込んでしまうことになるので、重症度的にこれを当てはめてよいかどうかというようなところを例えば入れるであるとか、免疫不全の方とかも当然いらっしゃるでしょうから、そういった方々はもちろん対象外になると思いますし、そのあたりは総論の部分かどちらかで明記したほうが全体的につくりやすくなるのではないかと思います。
同じことが、「抗菌薬治療」の8ページの下のほうに「全身状態がよい」というのが1つありまして、このあたりも、これは先ほど言った手引きの対象というところに絡みますけれども、どういった方であればこの手引きにまず載せてよいのだというのが多少ガイド的なものがあったほうがいいかなと思いますので、それも御検討いただければと思います。
もう一点、全体にかかわる部分として、ワクチンの接種歴の確認というところは、恐らく鑑別やそれによって抗菌薬、これはクループのところに書いてあったと思いますけれども、Hibのところにありましたが、そういう点があるので、これも小児科の先生方にとっては聴取するのが常識的なところかもわからないですけれども、それによって大きく変わるところというのは診断のところの注意点としてあるべきだろうと思いますので、御検討いただければと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。確かに、手引きの初版に対する感想といいますか、御意見でも、要は、高齢であるとか、あるいは合併症がある方だと、これは適用できないという強い御意見が結構ありました。実はよく読むと、それは外してあると書いてあるのですけれども、それが前面に出ていなかったのが気づいていただけなかったのかなと反省はすごく強くあります。そういう意味では、対象を明確に出しておくのはすごく僕も大事だと思います。ありがとうございます。
宮入先生、何かコメントございますでしょうか。
○宮入委員 そうですね。そのとおりだと思います。当然、基礎疾患がある患者、免疫不全がある患者については除外されるべきだと思います。入り口を間違ってしまうと大きな間違いにつながると思いますので、そこは明記していきたいと思います。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほか、全体のたてつけ、あるいは全体を含めて、もう時間も大分迫ってまいりましたけれども、何かございますでしょうか。
具先生、お願いします。
○具委員 タイムライン、どのぐらいの、どの時期にこれを完成させてという、そのあたりの目標というのはどのように今のところなっているかちょっと教えていただければと思います。
○大曲座長 では事務局からお願いします。
○野田結核感染症課国際感染症対策室長 事務局からです。
基本的に、今回、第二版改定するという形になりますことについて、お尻が決まっているという状況ではございません。ただ、少なくとも、今回、多分、作業部会で何回かもうちょっと議論しないといけないと思っておりますし、そこを踏まえてやっていくというところで、手続論から言いますと、この手引きの第二版の案について、作業部会で御議論いただきまして、御了承いただけた段階で、次、小委員会に上げて、さらに小委員会の次で感染症部会に上げた上で、そこで承認されましたら、また手続、多少記載後に変える可能性もありますが、そこでやった上で、結核感染症課のクレジットでまた出させていただくという形になろうかとは思っています。
○大曲座長 ありがとうございます。
宮入先生、お願いします。
○宮入委員 そのタイムラインの中で、学会、小児科学会、あるいは小児科医会、そういった先生方の目を通していただくような機会というのはどの段階で入る可能性がありますか。
○野田結核感染症課国際感染症対策室長 ありがとうございます。まさにそこの点については、先日行いました小委員会でも御指摘いただきまして、少なくとも事務局としては、前回、第一版を作成させていただいたときには、小委員会のほうで、各感染症の関係の学会の代表の方に来ていただきまして御意見をいただいたということをさせていただきました。
ただ、今回については、特に小委員会のほうでも小児科系の先生方にも御意見を伺うべきであるというところを明示的に伺っておりますので、場合によってはこの作業部会の段階で一度、参考人としてお呼びして御意見を伺うということもあり得るかと思っております。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほか全体を通じていかがでしょうか。
具先生、お願いします。
○具委員 たてつけの話がまだ固まっていないところというふうに今までの話を理解したのですが、どちらかというと広げる側の、今お仕事している関係もあってちょっと要望ですけれども、第一版に余り組み込み過ぎわないほうがこちらとしてはありがたいと思っています。そうしないと、第一版で、以前つくった部分だけ古くなってしまって、後から改定するのにまたちょっとややこしくなってしまったりというのがあるので、あるいは整理していくときに、例えばルーズリーフで途中を抜いて差しかえるとか、そのようなイメージでもできるようにしておいたほうが、長い目で見るといいのではないかなあと思いまして、そういう意味でも、先ほどの成人とどれだけ一緒にするか、そこはむしろ分けてしまったほうが私はいいのかなとは思いました。これは意見ということでよろしくお願いします。
○大曲座長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。
よろしいですかね。
では、きょうは御意見いただきまして、ありがとうございました。内容に関しては、また部会の先生方でも検討いただいて、最終的に次回、事務局からまた改正案をお示ししますので、それを見て、また御議論いただくという形にしたいと思います。
議事はこれで閉じたいと思いますが、事務局から何か連絡事項ございますでしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 次回第5回の開催につきましては、改めて事務局より御連絡させていただきます。事務局からは以上です。
○大曲座長 それでは、本日はこれで終了とさせていただきます。ありがとうございました。