第10回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年3月15日(木)13:00~16:00

場所

全国都市会館 3階 第2会議室(東京都千代田区平河町2-4-2)

議題

(1)同意について
(2)全国がん登録 利用者の安全管理措置について
(3)全国がん登録 審査の方向性について
(4)全国がん登録 利用規約について
(5)その他

議事

 

○事務局(安藤) 定刻となりましたので、ただいまより、「第10回厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
健康局がん・疾病対策課、安藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、本日、辻部会長は体調不良のため御欠席との御連絡をいただいておりますので、部会長代理、祖父江委員に本日の進行をお願いしております。どうぞよろしくお願いいたします。
また、委員の出欠状況でございますが、本日は、杉山委員、友岡委員、永井委員、平田委員、本田委員より御欠席の御連絡をいただいております。また、家原委員より、遅れて御到着との御連絡をいただいております。
本日のがん登録部会の委員定数24名に対しまして、現在出席委員が17名でございますので、議事運営に必要な定足数13名に達していることを御報告申し上げます。
本日は、5名の参考人に御出席をいただいております。
群馬県健康づくり財団がん登録室室長、茂木文孝参考人です。
○茂木参考人 群馬県健康づくり財団で、健診・検査をやっている施設ですが、そこにがん登録室があります。茂木文孝と申します。よろしくお願いいたします。
○事務局(安藤) 愛知県がんセンター研究所疫学・予防部がん情報研究室室長、伊藤秀美参考人です。
○伊藤参考人 愛知県がんセンターの伊藤です。愛知県のがん登録をやっているとともに、種々の疫学研究にも携わっておりますので、よろしくお願いいたします。
○事務局(安藤) 国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センターのセンター長、東尚弘参考人です。
○東参考人 東です。どうぞよろしくお願いします。
○事務局(安藤) 全国がん登録室室長、松田智大参考人です。
○松田参考人 松田と申します。よろしくお願いいたします。
○事務局(安藤) 全国がん登録分析室室長、柴田亜希子参考人です。
○柴田参考人 柴田でございます。よろしくお願いいたします。
○事務局(安藤) それでは、以降の進行は祖父江部会長代理にお願いいたします。
○祖父江部会長代理 皆さん、こんにちは。ピンチヒッターということで、なれない点もあると思いますけれども、よろしくお願いします。
それでは、最初に事務局より資料の確認をお願いします。
○事務局(安藤) それでは、資料の確認をさせていただきます。上から、
座席表
議事次第
資料1 全国がん登録における同意の取り方に関する方向性
資料2 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 利用者の安全管理措置(仮称)(案)
資料3 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 審査の方向性(仮称)(案)
資料4 全国がん登録 情報の提供マニュアル 別添 利用規約(仮称)(案)
参考資料1 厚生科学審議会がん登録部会委員名簿
参考資料2 全国がん登録 情報の提供マニュアル
参考資料3 全国がん登録における情報の提供に関する流れ
また、委員の皆様の机上には、その他資料をファイルにまとめてとじておりますので、御確認いただければと思います。
資料の不足、落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおさめていただきますよう御協力をお願いいたします。
○祖父江部会長代理 では、資料等に問題がないようでしたら議事に入りたいと思います。
それでは、本日は議題5つありますけれども、議題1の「同意について」議論したいと思います。
事務局から、資料1についての説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
資料1をごらんください。「全国がん登録における同意の取り方に関する方向性」です。前回の第9回がん登録部会で同意に関しまして多くの御意見をいただきましたので、同意についてもう一度方向性をお示しいたします。
スライド番号2番、「同意について」ですけれども、がんに係る調査研究を行う者が、全国がん登録情報又は都道府県がん情報の提供を受ける場合には、生存者については、当該がんに罹患した者から全国がん登録情報又は都道府県がん情報が提供されることについて、同意を得ている必要があると法律で定められております。
つまり、一般の研究者等が匿名化されていない情報を申し入れる場合には、生存者の同意が必要ということでございます。
①に記載しているとおり、書面等の形式で適切に同意を得ていることがわかる書類を添付していただきたいということ。また、小児がん患者等の代諾者からの同意の取得が必要な場合においては、「人を対象とする医学系研究に関する倫理指針」の「第5章第13代諾者から等からのインフォームド・コンセント等」に準じることとさせていただいておりました。
おめくりいただきまして、スライド番号3番をごらんください。特に小児の同意に関しまして、前回、御意見をさまざまいただきましたので、おまとめしております。
まず、対象者が16歳未満の場合、研究の倫理指針のほうでは、代諾者からインフォームド・コンセントを受ける場合、研究対象者が研究を実施されることについて自らの意向を表することができるときは、インフォームド・アセントを得るよう努めなくてはならないとされております。
これを受けまして、全国がん登録では、代諾者から同意を取得する場合、研究対象者が自らの意向を表することができるときはインフォームド・アセントを得るよう努めなくてはならない、とさせていただきたいと思います。
次、スライド番号4ページ目をごらんください。「対象者が利用期間中に16歳に達した場合」について、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンスでは、以下のとおりとなっております。
代諾者からインフォームド・コンセントを受けて研究を実施した場合であって、その後に研究対象者が中学校等の課程を修了し、又は満16歳に達し、研究を実施されることに関する十分な判断能力を有すると判断されるに至った以降も、当該研究対象者に研究が継続されるときには、当該研究対象者からインフォームド・コンセントを受ける必要がある。なお、代諾者から受けた同意に基づいて当該研究対象者から既に取得済みの試料・情報について、その同意の範囲内で解析等する場合は、この限りではない。
とされております。こちらを受けまして、全国がん登録では、2通りを記載しております。
1)対象者が16歳に達する前に、代諾者から同意を受けて、研究を実施した場合であって、16歳に達した後も当該対象者についての全国がん登録情報又は都道府県がん情報の提供を受ける場合には、当該対象者から同意を得る必要がある。
2)対象者が16歳に達する前に、提供を受けた当該対象者の全国がん登録情報又は都道府県がん情報について、既に提供を受けた情報の範囲内で調査研究を行う場合には、対象者が情報の利用期間中に16歳に達した場合でも、改めて同意を取得する必要はない。
とさせていただきます。つまり、こちらは研究の対象者が16歳になった後で、研究者自身、情報の提供を受ける場合には、そのときには同意が必要であり、逆に、16歳になった後に情報の提供を研究者が受けないのであれば、改めて同意を得る必要がないというふうに整理をいたしました。
おめくりいただきましてスライド番号5ページ目をごらんください。ここで本日御議論いただきたいところは、同意書に記載すべき事項でございます。同意書に記載すべき事項に関しまして、まず、机上のファイル、参考資料9、23ページのほうをごらんください。
「第5章第12 3 説明事項」のところがございまして、こちらに準じた上で、同意書のほうを作成していただきたいと思っております。
その上で、四角囲みのところですけれども、全国がん登録では、2項目追記をしていただきたいと思います。
1つ目は、全国がん登録の説明、2つ目は、法律に全国がん登録情報又は都道府県がん情報が提供されることについて同意を得ている必要があると定められていることから、当該調査研究のため、がんに罹患した場合には、当該調査研究を行う者が、対象者の全国がん登録情報又は都道府県がん情報の提供を受けること、という項目を記載していただきたいと思います。
個々の研究によって記載の内容も異なりますので、同意書のひな形を作成する予定はございません。記載内容については、各審議会等で御判断いただくものと考えております。
本日、皆様には、この2項目でよいかといった点を中心に御意見いただけますと幸いです。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございました。きょうは情報の利用提供に関しての議論をするわけですけれども、第21条の3項、8項については同意を得るということが書かれていますので、その点についての御説明でした。委員の間で御意見があればお願いいたします。
どうぞ、松本委員。
○松本委員 ありがとうございます。松本でございます。
今、御説明いただきました資料のスライド5番のところで、ひな形はつくらない、それぞれの審議会で検討していただくという御説明をいただきました。このことで、全国がん登録の説明については、恐らく、どのような研究であってもほぼ同じ文書で問題はないものと思われます。患者に全国がん登録のことをわかるように説明する文書というのは非常に難しいと思いますし、これについてはひな型をつくってはどうかと私は考えるのですが、いかがでしょうか。
○祖父江部会長代理 事務局のコメントはありますか。
○がん対策推進官 御意見ありがとうございました。また、それを含めて検討させていただければと思います。
○祖父江部会長代理 ほかにどうでしょうか。
家原委員、お願いします。
○家原委員 家原でございます。
「小児の同意について」のスライド番号4について確認ですけれども、下の「全国がん登録では」という1)のところに「16歳に達した後も当該対象者についての全国がん登録情報」云々と書いてございますが、ここには、上に書いてございます倫理指針ガイダンスにあります「十分な判断能力を有すると判断されるに至った」という文章は載せないということでございましょうか。
と申しますのも、この人を対象とする医学系研究に関する倫理指針ガイダンスを読み込みますと、参考資料10の、具体的には131ページに表にもなっておりますが、インフォームド・コンセントの取り直しという場合は、研究対象者が十分な判断能力を有するという場合に、努力義務と注釈がついているわけでございまして、16歳になった途端に判断が十分至らない場合もあろうかと思いますので、このところを書き込むということはないのでしょうかという質問でございます。
○祖父江部会長代理 この点についてはどうでしょうか。事務局のほう、コメントありますでしょうか。
○がん対策推進官 御意見ありがとうございます。こちらについても検討させていただきたいと思います。
○祖父江部会長代理 きょうは問題点をいろいろ洗い出していただくという趣旨のようですので、深く突き詰めていくというよりは、問題点を列記していただくということでお願いいたします。
ほかに御意見はありますでしょうか。
どうぞ。
○天野委員 ありがとうございます。
今の家原委員の質問に関連してでございますが、確かに倫理指針には努力義務という内容で書き込まれているかと思いますが、ただ、がん登録にかかわる情報は、顕名情報も含めて、いわゆる究極の機微情報ということができるかと思います。例えば小児がん経験者が個別の事案でインフォームド・コンセントをとることが困難であるという場合はもちろん想定し得るかと思いますが、基本的には16歳に達した時点で判断能力を有すると解していただき、必要な場合にはインフォームド・コンセントを取り直していただくということを担保すべきという点が重要だと考えますので、そのあたりは事務局で御検討いただく際に、基本的には、小児の方が16歳に達した場合には、御本人から同意を取るということを努めるという方向でぜひ御検討いただきたいと思います。
私からは以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
ほかにどうぞ。
小俣委員。
○小俣委員 繰り返しになってしまうのですが、今の天野委員の御意見に同意いたします。判断能力があるかではなくて、説明することに意味があるかと思います。むしろ本人がわかるように説明をしていただきたいと考えますので、そのように御検討いただけたらと思います。よろしくお願いします。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。
同意の定義とか、あるいは対処の仕方とかが人を対象とする疫学倫理指針の内容とおおむね一致しているということですね。
丸山委員のほうは倫理指針のほうでいろいろと詳しい情報を持っておられると思いますけれども、何かコメントとかありますでしょうか。
○丸山委員 中学修了程度とか16歳とかいう線を引いていて、その上で本人の具体的な理解、判断能力を考えてということですけれども、具体的には、このあたり、きれいに整理できていない箇所もあります。しかし、私自身は、今、天野委員、小俣委員がおっしゃったように、がん罹患については、本人の気持ちというか、考えを重視するということで、原案のほうに全く触れられていなくてもいいのかなと、余り気にはならなかったのですけれども、確かに指針との整合性という点では、説明することができないといけないとは思います。だけれども、今回のこちらのがん登録の資料では、中学修了程度というのはもう採用しないということで、16歳とされている、そのこと自体は妥当だと思いますけれども、16歳になれば判断力はあるものと推定して、個別の事情で判断力がない方、あるいは十分説明が尽くされていない方についてはそれと反対の取り扱いということで、原則は、私も、天野委員ほかがおっしゃったところが妥当なのではないかなと考えております。
 
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。突然指名して申しわけありませんでした。ほかにどうでしょうか。御意見、コメント等ありますでしょうか。
では、ないようでしたら、今いただいた御意見を事務局のほうで整理して、次回以降提示していただくということでお願いいたします。
それでは、次に議題2以降の情報の提供マニュアルの別添の議論に入るに当たって、事務局から幾つか説明があるということですのでお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
事務局より、議題の(2)以降に入る前に4点ほど御説明させていただきます。
まず、本日の資料、参考資料2をごらんください。こちら、「全国がん登録 情報の提供マニュアル」でして、前回の第9回がん登録部会までに皆様に御議論いただきましたマニュアルでございます。先日3月13日に都道府県知事宛てに健康局長通知を発出いたしまして公表いたしました。皆様におかれましては、お力添え、まことにありがとうございました。
都道府県には、この情報の提供マニュアルをもとに準備を進めていただくようお願いしております。本日の御議論の中でも御参考いただけますと幸いです。
次に、参考資料3をご覧ください。こちらの資料に関しましては、データ利用提供の判断時のフローですとか、実際の提供までの流れをまとめております。国立がん研究センターで行われている全国がん登録都道府県実務者研修でもともと使用されている資料であることと、第5回、第6回がん登録部会でも一度お示ししたことがある資料でございます。
今回、情報の提供マニュアルが公表されましたことから、マニュアルに沿って修正を行っております。本日の御議論の中で御参考いただけますと幸いです。
次に、匿名化について御説明いたします。机上ファイルの中の参考資料2をごらんください。2ページ目、がん登録等の推進に関する法律第2条第9項をごらんください。
第9項で、この法律において匿名化とは、がんに罹患した者に関する情報を当該がんに罹患した者を識別(他の情報との照合による識別を含む。第15条第1項及び第17条第1項において同じ)ができないように加工することをいう、とされております。
がん登録法に基づいた匿名化の具体的な運用については、現在、事務局で調整中でございます。本日の議題でも、匿名化されていない情報と匿名化された情報で御意見異なることもあるかとは思いますが、提供される匿名化された情報とはどのような加工がされたものかについては、整理中であることを御理解いただいた上で御意見いただけますと幸いです。
最後に、法律の第3条をごらんください。ページで言いますと3ページ目です。こちらには基本理念が定められております。特に本日は、第3条第4項、全国がん登録及びがん診療情報の収集により得られた情報については、これらががん患者の診療等を得られる貴重な情報であることに鑑み、民間によるものを含めがんに係る調査研究のために十分に活用されるとともに、その成果ががん患者及びその家族を初めとする国民に還元されなければならない。第5項、がんの罹患、診療、転帰等に関する情報が特に適正な取扱いが求められる情報であることに鑑み、がん登録及びがん診療情報の収集に係るがんに罹患した者に関する情報は厳格に保護されなければならない、とされております。
この2つの基本理念を常に念頭に置いていただきつつ、皆様のお立場から幅広く御意見をいただけますと幸いです。
以上でございます。
○祖父江部会長代理 ありがとうございました。基本理念ですね。これは常に念頭に置いておけということであります。
では、以降、議題2に関して議論を進めたいと思いますけれども、全国がん登録利用の安全管理措置について、参考人の国立がん研究センター、松田室長より、資料2についての説明をお願いします。
○松田参考人 松田です。よろしくお願いいたします。
資料2をごらんください。これは初出の資料となっておりますが、全国がん登録のデータを提供された者、利用者と利用マニュアルのほうでも呼んでおりますが、その利用者において、全国がん登録情報であったり都道府県がん情報であったり、全国がん登録のデータを安全に扱うためのマニュアルという位置づけです。
この様式に何となく見覚えある方もいらっしゃると思いますけれども、都道府県のがん登録室で情報を正しく扱うためのマニュアルにかなり準じておりまして、コンセプトとしましては、全国がん登録の情報を都道府県がん情報、こういったものを作成するに当たって扱う者、それからそれを利用する者、データは同じもので、機微な情報であるという位置づけですとかこういったことに関しては一貫性があるということで、都道府県のがん登録室でデータを扱う者と同じようなコンセプトで安全管理をすべきだということを考えております。
それで、匿名データと非匿名データについて取り扱いというのを中で分けておりまして、匿名とは何かということについてはまた今後ということを先ほど事務局からお伝えしたとおりだと思っております。匿名データにつきましても、非匿名データのような個人情報の漏洩というおそれはないですけれども、もともとのデータの貴重な価値ですとか、その匿名データが本来許可を得ていない者の目に触れたり、許可を得ていない者が悪用したりということがないことを想定しますと、やはり慎重な取り扱いをすべきだという観点に立っておりますが、それと同時に、利用者が余り煩雑な手続がなく、先ほどの全国がん登録の理念に基づいて積極的に活用できるようにという両方のバランスをとってというスタンスで書いております。
それはバックグラウンドの部分ですが、今申し上げたことに関して、1ページの「はじめに」の下のほうに、非匿名化情報と匿名化情報について区別をしておりますという注釈があります。具体的には、「*」がついている対策については、非匿名化情報を扱う者は必須で、匿名化情報を扱う者についても、できればこうした対策をしたほうがよいでしょうという推奨事項となっておりますので、「*」がついているものについては、非匿名化情報を扱う者は必須という観点でごらんください。
そして、次のページ、「用語の定義」ですが、ここについては、これまで出てきたもの、それから、一般的な話として御理解いただけるものもあるのですが、(4)番は少し本マニュアルの構成に関して重要なポイントになっています。
利用者というのが情報の提供マニュアルのほうでも定義されておりまして、情報を利用する者一般を指しております。その中で、実際に申出をしてデータを利用する際に複数であることが一般的であると考えられまして、その複数の者が一つの利用場所で利用する場合には、その中で一人を利用責任者とする。複数の場所で利用する場合には、それぞれの箇所において一人代表者という形で利用責任者を立てていただいて、さらに複数の場所がある場合には、その利用責任者のうち一人が統括利用責任者という形で申請、それからデータ利用全体の責任をとり、かつ、例えば役割分担ですとか、それから、何か報告を受けるですとか、そういった窓口になる。そして最終的な窓口組織に対しての報告、それから、やりとりをする担当になるという考えで書いております。
では、3ページをごらんください。都道府県に求められている安全管理措置と同じような構成になっておりまして、組織的、物理的、技術的、人的な対策、この4章構成を安全管理対策の柱と考えています。
組織的な安全管理対策につきましては、その利用する者がきちんと、誰が利用しているかということを把握した上で、その管理をするということが全体的な対策の骨組みになっています。少しずつ、このマニュアルで新しい概念と思われるところについてピックアップしてお話をしていきます。
【対策】の1番目ですが、先ほど申し上げたことの繰り返しになりますけれども、統括利用責任者という総代表のような者が、各利用場所に、共同調査でA大学、B大学で例えば利用する場合には、それぞれに情報の利用責任者を置いて、それぞれの情報利用責任者がそこで利用するもの、利用者の管理をするという体制を考えております。
それから、2番とか3番、4番については都道府県のマニュアルと同じような発想です。5番目が厚生労働大臣又は都道府県知事より、報告の要請、助言、勧告及び命令があった場合には、こういった情報の提供元の外部監査の受け入れも含めてきちんとそれに対応することということを明記いたしました。
根拠となる法律は、第16条、第36条、第37条、第38条に書かれているとおりで、何か疑義があった場合に、厚生労働大臣又は都道府県知事は利用者に対して報告を求めたり、何か危ない使い方をしていたら、その助言をして是正することを求めたりとか、こういったことが定められておりまして、利用者に対してこういった条文がきちんと書かれていて、これに対して適切に対応することというのを想起させるような文章を書きました。
それから、6番については、個人情報を扱う、非匿名化情報を扱う場合の報告のフローチャートというのをきちんと整備しなさいということを書いております。
飛ばして、次の5ページ目です。「物理的安全管理対策」ですが、都道府県のがん登録室においてはこういったことを全てやることとしておりましたが、匿名化情報については、例えば独立した部屋をきちんと確保してですとか、情報を鍵のかかるキャビネットに入れて、さらに鍵を二重にするだとかそういったことについては、個人情報の漏洩のおそれがない限りは、少しそこまでする必要はないではないかということで、「*」が外れている部分というのが匿名化情報を扱うときにやるべきことで、「*」がついている部分というのが非匿名化情報を扱うときには必ずやることという、そういった区別になっております。
「*」がついているところで言いますと、鍵付きのキャビネット等の管理をした上で、さらにその鍵を鍵付きボックスに収納することと、(2)であります。
さらには、例えば(7)で言えば、利用場所、出入り口となる場所を限定して、さらにその動線をきちんと把握した上で、侵入者がいるかどうかをすぐ察知することというようなことがありますし、また、(8)入室管理ですとか、(9)もそうですね。それから、(10)で言えば、独立した部屋をきちんと確保してくださいということを書いております。
また、(11)に関しては、必要な機器というのをそれ専用のものを用意してくださいというのが非匿名化情報を使うときの規則になっています。
また、(12)(13)につきましても、区画の鍵を二重にすること、それから、PCの保守作業についても、そうした非匿名化情報を扱う場合にはきちんとそれを監視して、情報の漏洩がないようにということを書いております。
次のページの3番目の「技術安全管理対策」のところですが、非匿名化情報を扱う場合には、PCを独立した有線の環境で扱うこと。物理的又は論理的に外部ネットワークからきちんと隔離された状態でデータを扱いなさいということがまずありまして、さらには、(4)のところで、個人情報を取り扱うPCもしくは、サーバのような形で本体に入れてクライアント機で分析等を行う場合にも、サーバというのは生体計測+IDパスワード等の2要素の、二重のというのが都道府県がん登録室での安全管理では書かれていましたが、こちらでは2要素の認証として情報漏洩がないように努めることというのを定義しております。
そして、次の7ページ目です。「人的安全管理対策」につきましては、先ほど定義をいたしました統括利用責任者、それから各利用場所に設置されている利用責任者が安全管理に関する、この本省ですとか、それから法律に規定されている秘密保持義務、囲みで書いてあります法の第33条及び第34条について自ら学習するとともに、全ての医療者について確実に説明をして利用に当たってくださいということを、これは匿名化、非匿名化にかかわらず、全ての利用者に定めております。
次の8ページです。こちらからは作業内容、都道府県がん登録室であればデータを病院から入手して入力をし、データの照合をするというような作業ごとに書いてありましたが、利用者においては、データを提供受けた後、公表したり廃棄したりするところまでの作業の想定を書いております。
入室管理につきましては、先ほど申し上げたように、非匿名化情報を扱う場合には、この部分、都道府県がん登録室のように、きちんと入退室管理をした上で、独立した部屋を確保してくださいということを義務づけています。
2番目、「移送」ですけれども、移送につきましても、個人情報を含む情報を扱う場合、これが例えば利用場所間でデータを移送する場合ですとか、何らかの理由で窓口組織に個人情報を提供されたものを送り返す場合、こういったときに発生する作業だと思っておりますけれども、都道府県がん登録室で実施しているような追跡サービス付きの手段、それから、中に入っているファイルというのが強固な暗号化方法を採用して暗号化されたものを送ると。このような、都道府県がん登録室と病院間、それから、都道府県がん登録室と都道府県がん登録室間、こういったところでの移送の方法と全く同じ方法を採用しています。
それから3番、「情報処理」、これは担当者を明確にして、きちんと役割分担を考えてくださいということが書いてありまして、4番目の「保管・廃棄」ですが、保管・廃棄について、個人情報を含む紙資料ですとか電子データについては、都道府県がん登録室で扱う紙資料、電子データの廃棄方法と同じにしてあります。
ただし、(10)の部分が少し異なっておりまして、紙資料、PC、メディアの廃棄を、都道府県がん登録室では大量にそれが生じることがあって、他の廃棄業者に委託をするというパターンが考えられましたが、利用者においては、こういった委託をして、さらに秘密保持契約というのを外部業者と結び、それがまた煩雑になったりおろそかになることを考えまして、外部に委託することを禁止して、個人で利用者がきちんと最後まで廃棄する責任を持つというたてつけにしてあります。
廃棄の方法についてというのは、個人情報が入っている場合には、都道府県がん登録室と同じように、規格を満たしたシュレッダーですとか、電子データであれば、消去用のソフトやデータの複数回の上書き、こういったことできちんと消去するということになっています。
それから、「PC管理」については、パスワードの話ですとか、それから、ユーザーの登録といったことをきちんと管理者が責任を持って実施しなさいと定めております。
最後に6番目、「利用者からの窓口組織への問合せ」。提供を受けた後、提供を受けたデータに何か疑義が生じた場合には、利用者が窓口組織に問い合わせるということが考えられます。その際に、非匿名化データを提供されたとき、その非匿名化情報について何か問い合わせをしたい場合というのが生じると思いますが、そのときには、都道府県がん登録室で採用しているような電話によるやり方、FAXによるやり方、一定の条件を満たせば、こういったことについて認めますという記述をしてあります。
できれば、文書において、先ほどの移送の方法を使ってやることが推奨されると考えられますけれども、こういった電話による問い合わせのやり方、例えば電話の相手が窓口組織の担当者であると間違いなく特定できて、かつ、具体的な質問事項が電話によって誤解なく説明できると判断される場合には電話によって問い合わせができるというような条件を示しています。
ただし、こういった場合にでも、直接その患者さんの名前を電話口で口頭で言うとか、そういったことは避けるということについてはもちろんのことです。
それから、6番の医療機関オンライン接続サービス等、厚労省が整備しているようなオンラインのサービスについては安全性が確保されておりますので、現在、こういったものを使って問い合わせをするということができる機能がついておりませんけれども、こういったものが使えれば、こういったものも使ってよいということが書いてあります。
一番最後の8番目ですが、外部からの問い合わせがあった場合、これについては、いかなる場合も答えないと。例えば何かデータの分析が進んでいるということをマスコミが知るとか他の方が知るとかいうことがあって、問い合わせがあって、どんな解析をしているのですかとか、何か取材があったりとかいうときにも、公表の手続というのがきちんとありますので、こういった、何か利用最中に問い合わせがあって、内容が聞かれるような場合には回答しないということを(8)に定めました。
以上となっております。たてつけとして、先ほど申し上げたように、都道府県のがん登録室の安全管理と同じような形で安全を管理して、かつ、利用者が最低限これを守って適切にデータが利用できるようにという趣旨でつくりました。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。それでは、ただいまの説明いただきました内容について、まずは茂木参考人のほうから御意見をお願いいたします。
○茂木参考人 群馬県がん登録室の茂木です。
がん登録室では、このもとになった安全管理に準じて整備していますので、書かれてある条文もすぐわかるのですけれども、研究者は必ずしもがん登録室員とは限らない。大学の先生、病院の疫学部門、また市町村にいるかもしれませんし、あるいは開業医さんが、自分がやっている研究を医師会長の連名で出すこともあるかもしれません。そういうときに、大学は大学の安全管理に従ってやっている。病院は病院の安全管理、市町村は市町村の個人情報の取り決めにのっとってやっていますし、開業医さんはちょっとどうなのかわからないですけれども、そういうところにこの安全管理がうまく効力を発揮できるかどうかというのが、これだけ努力していただいて書いたものなので、これを生かせるのが本来であろうなと私は賛成ですけれども、その効力の発揮ができるかどうかがちょっと心配なところがあります。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。それでは続きまして、伊藤参考人のほうから御意見をお願いいたします。
○伊藤参考人 このマニュアル、安全管理措置のほうを見させていただいて、先ほど事務サイドのほうから御説明ありました理念にのっとって書かれているということは理解できました。その上で、私は利用する立場でものを言いますけれども、提供された顕名情報を守るという意味では、中には矛盾する点とか厳し過ぎる点もあるとは思いますが、大筋妥当だと思いました。
矛盾する点とかを具体的に挙げたほうがいいですかね。
○祖父江部会長代理 どうぞ。
○伊藤参考人 例えば5ページ目の「物理的安全管理対策」のところで、7番と10番で、7番では「独立していない場合は」と書かれてあるのですけれども、10番では、その「区画は、他の業務から独立した部屋として確保する」と書いてあったり、少し矛盾する点があるので、このあたりはきちんと整理していただきたいと思いました。
あと、同じところで、例えば12番ですね。「区画の施錠は鍵を二重にする」だとかいうこともありますけれども、実際にはキャビネットの鍵と部屋の鍵ということで二重になっているので、「区画の施錠は鍵を二重にする」というのが厳し過ぎるのではないかとも思いましたし、例えば「技術的安全管理」の次のページの3番の「個人情報を取り扱うPC及びサーバは、生体計測+ID・パスワード等の2要素認証とする」というあたりも厳し過ぎるということで、利用する立場でそれをきちんと整えるということは少し難しいように思いました。
最初に言ったとおり、大筋妥当だとは思うのですけれども、実際、本来は利活用するということを推進されているがん登録にもかかわらず、厳し過ぎてそういう利用の希望が減るということはがん登録の価値を下げると思いまして、検討していただきたく思いました。
それから次に、提供される情報が匿名化である場合は、幾つかの対策が推奨と少しレベルを落としていただいている点に関しては、私は評価すべき点だと思っています。ただ、私も含めて研究者は、推奨というと、やはり守らなければと、どっちかというと必須に近いようなイメージもありますので、もう少し吟味していただき、必須、推奨の他に、例えば任意の措置を作り、任意へ落とし込める措置をご検討いただけると、より行政的利用や研究的利用を含めて十分に活用できる、私たちは使いたいと思っているのですけれども、そういうことを妨げにならずに使えると思いました。なので、「推奨」をさらにもう少し一歩進めて「任意」という形のレベルの安全対策もつくっていただければと思いました。
それから、先ほど匿名化に関する議論はしないということでしたけれども、私たちの扱うデータがその匿名性のどのレベルにあるかということで、そういう目で見ると、安全管理措置が厳し過ぎるのかもしれないということに関してお話ししたいと思います。
私たちは実施しているコホート研究では、参加者から同意を得た上で全国がん登録と照合させていただき、その参加者のがんの罹患を把握するわけですけれども、それで提供いただいた顕名のデータそのものに関してはこのマニュアルに沿ってしっかり守るということについては納得できますが、実際解析するときは、私たちの得た生活習慣やゲノムの情報などと合わせた上で、私たち研究者サイドでさらに匿名化をして解析に使っております。
その解析に使うデータというものがこの安全管理措置のマニュアルにおける匿名化データなのか非匿名化の情報なのかによって、状況が異なってきます。提供されたデータが非匿名化なので、幾ら研究者で匿名化したとしてもそれは非匿名化の情報であるということであれば、このかなり厳しい安全管理対策を守った上で研究者が解析するということはほぼ不可能に近いと感じております。なので、今後、匿名化を議論する上で、そこを考慮していただければと思います。
一応コホート研究では、研究の参加者から、自身のデータ、がんの罹患の把握にがん登録を使ってもいいですよと同意をしていただいているということで、もちろんしっかり安全は守っていくのですけれども、そのあたりを考慮していただかないと、研究者がコホート研究を実施する上で、全国がん登録からがんの把握を把握できたとしても、実際に解析する時に安全管理措置が障害になって利活用するのが難しくなると思いました。
例えばネットワークから独立した有線の環境で解析を必ずしなければならないだとか、ほかの業務と独立した空間でやらなければいけないという形で研究者レベルで匿名化しているデータを扱うというのは非現実的だと思いましたので、今回、匿名性に関しては議論しないということでしたけれども、その点、検討いただきたいと思います。
あと1点ですけれども、最後の「利用者からの窓口組織への問合せ」の7番に「利用者の、患者や患者家族への直接接触は禁止する」とあります。ただ、コホート研究ですと、同意を得た上で2次調査、3次調査ということで5年後や10年後に生活習慣の調査を行うことがあります。ということで、がん登録の把握をした情報、全国がん登録と照合した後にそういう調査を行うことになるのですけれども、これ一文だけですと、そういうことも禁止されて、全国がん登録と照合した後にはコホート研究の参加者に接触ができなくなるのではないかということを懸念しますので、このあたりの書きぶりを御検討いただきたいと思っております。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。利用者の立場ということが割とあったかと思いますけれども、御意見をいただきました。
それでは、御説明いただきました内容と参考人の方々の御意見について、委員のほうから御意見等ありましたら御発言をお願いします。
天野委員、どうぞ。
○天野委員 ありがとうございます。
先ほど事務局から御説明いただいたとおり、そもそもがん登録法ができた趣旨の一つとしましては、がん登録ががん患者の診療等を通じて得られる貴重な情報であることに鑑み、調査研究のために十分に活用されることが必要だということは、私もがん患者の一人として切に願っておりますし、そのように進めていただきたいと思っておりますが、一方で、申し上げるまでもなく、個人情報の保護に関しては厳格に保護されなければいけないという点について、改めて申し上げます。
先ほど来御説明いただいているように、資料2で提示いただいた利用者の安全管理措置についてでございますが、都道府県がん登録室や都道府県がん登録で行われてきたものに準拠してこのマニュアルを作成していただいていると御説明いただきました。
この部会の議論であったか、ほかのがん登録に関する会議であった議論かを失念してしまって申しわけなく思うのですが、私が個々の個人情報管理についてより厳格にすべきではないかという意見を申し上げた際に御説明があったこととして、都道府県がん登録が長年にわたって大きな事故等なく実施されてきたことであるとか、あとは、都道府県がん登録室が物理的安全管理対策をはじめとする安全管理対策がとられていることであるとか、そういったことを踏まえてこういった安全管理措置を実施すべきであるという御意見をいただいたと理解しているのですが、一方で、本日御提示いただいたこのマニュアルの利用者は、そういった、長年都道府県がん登録にかかわり、監査等も受け、がん登録の厳格な個人情報管理に熟達しかつ経験を有する方々とは必ずしも言えない方であるわけでして、全ての項目についてがちがちに厳格に個人情報保護管理を実施すべきであるということを申し上げるつもりはございませんが、全体の方向性としては、都道府県がん登録室と同様の個人情報保護管理に関するレベルでは足りないのではないかということを感じます。
個別的なことを申し上げますと、例えば先ほど御提示いただいた資料2の5ページの「物理的安全管理対策」の(3)でございます。「USB等の可搬電子媒体に情報を保存し保管している場合、現物の確認ができるように保管対象の電子媒体リストを作成する」ということで、USBメモリ等の利用等ができることになっていますが、これは素人の意見かもしれませんが、いわゆる個人情報の漏洩等の事故においては、USBメモリ等の可搬電子媒体の不適切な取り扱いが原因となって情報の漏洩が起きたということがしばしばあるわけでございまして、都道府県がん登録室のように、そういった個人情報の取り扱いに熟達し、かつ、経験を有する方々と同様の基準では守り切れないのではないかと感じます。
個別の項目について全てのものを厳しくすべきと申し上げるつもりはございませんが、個々の項目について、必要に応じて個別の項目をより厳しくすることが必要ではないかと考え、意見を申し述べました。
以上でございます。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。
では、黒田委員、どうぞ。
○黒田委員 まず、全体的なこととして意見を2点申し上げて、テクニカルなところで4種類ぐらいの御質問を差し上げたいのですが、よろしいですかね。
全体的な話として、今、伊藤参考人と天野委員のほうから言われたこと、ちょっとお聞きしながら思っていたことを1つ申し上げるとすると、ここに書かれていることについてはおおむね妥当なのかなあという印象を個人的には持ってございます。
1つ目が、言われていた1~2カ所、「窓口組織への問合せ」の8番のところあたりは、確かになあと思いながらお聞きしていたところがあるのですが、1つは、ここで書かれていることはあくまでもがん登録のデータを渡した範囲での話ですので、そこから先、それが匿名化されてから使われるというところについては、これは前回の、前々回だったかな、ここの部会でも申し上げましたけれども、倫理指針が、コホートのところのカバレッジが非常に悪くて、コホートのデータを使うとか、コホートをどうマネージするかなどがきちんと書かれてないので、倫理指針そのものの書きかえが必要ではないですかということを申し上げたことにかかわるような話かと思っていました。多分そこを切り離して考えれば、基本的には、一度コホートに渡ったデータを、さらに匿名化して提供した後のことをここで議論するのは、ちょっと文章の位置づけとして難しい話だと思います。コホートのデータを匿名化して使うところは本来倫理指針でもう一度別途議論されなければいけないところで、きちんと2段階に書かれてないのが多分倫理指針の最大の不備でありますから、ここのこの議論でするのはちょっとおかしいかなと思います。それを切り離して考えれば、おおむねこんなものだろうという気がします。
私も、情報セキュリティを扱っている人間、それから、医療情報を病院の中で扱っている人間として強く思うのですが、天野先生がおっしゃるような、厳しくするということはお気持ちとしてはわからなくはないのですけれども、厳しくすることによって何が起こるかというと、厳しくするとどうしてもできないことが出てくるので、余計物事がややこしくなる。私、講義の中でもよく使う事例ですけれども、その典型例が年金問題ではなかったかと捉えています。
年金の場合は、厳しい厳しいルールをつくったがために、ある作業、同じ名前のものが2度出てくるとかいう話ですが、ある作業ができないがために、どうしようもないので現場で工夫が行われて、そのプロセスの中でレギュレーションから少し外れたことが行われて漏洩が起きたと、情報のセキュリティの専門家の間では一般的にそう考えます。
そう考えると、セキュリティというのはコンフィデンシャリティとアベイラビリティとインテグリティ、機密性と可用性と完全性の3つでそろえて考えるわけですが、このうちの可用性の部分を取り除き過ぎることによって実際にやるべきことができないとなると、全体のセキュリティが落ちる、最終的にコンフィデンシャリティが失われるということは一般的に言われていることですので、ある線のところに、使われる状況も想定して、ある程度の状況でレギュレーションをつくるのが正しかろうと考える次第です。
そこまで私の意見として申し上げるところです。
テクニカルなところで4点ばかりの御質問がございます。まず1つ目が、11ページに書かれています6番の「利用者からの窓口組織への問合せ」ですが、電話の問い合わせを想定されているのですが、片方で、受ける側の都道府県等に関しては、参考資料の7の26ページに書かれている8番、外部からの問い合わせのところでは、基本的な方法として、電話で応対しないようにすると書かれていて、ここ、整合性がとれていないですね。だから、何か受ける側も含めてここの整合性をちょっと取り直していただく必要があるのではないかと考えます。ここはどのようにお考えでしょうかという御質問の1点目になります。
2つ目の御質問は、4ページの(6)についている「*」ですけれども、4ページのところ、「組織的安全管理対策」の6番に関して、漏洩等が起こった場合の報告について、匿名情報については「*」である。つまり、匿名情報については推奨にとどめるということになってございますが、片方で、今日の参考資料3のスライド番号13番、一番最後の紙ですけれども、今回のメインの対象になる「その他の提供」の場合だと思いますが、これについても、⑲のところに「廃棄・実績報告」が存在しています。廃棄を報告しなければいけないということは、途中で漏洩していれば、これは当然報告されてくることになりますので、基本的組み合わせからすると、ここは推奨ではなく、必須なのではないか。つまり、匿名で渡されたとしても最終的に廃棄するということになるのであれば、それは、特に匿名の情報は廃棄されるのが一般的だと思いますので、これはちゃんと報告されなければならないはずなので、ここに「*」がついているのはおかしいのではなかろうかと考えます。これも御質問としてどのようにお考えかということをお聞きしたいと思います。
3つ目に当たりますのが、これは不必要に厳しいのではないかということで2点まとめての御質問になります。5ページの「物理的安全管理対策」の12番にある、今も御指摘があった区画の施錠を二重にするという話です。一般的にこれはほとんど意味がない作業になるのだろうと思います。家のドアに鍵を2個つけると書いていらっしゃって、中に置いてある箱の中にもう一回鍵がかかっている。(1)のところが、まず媒体はキャビネットに鍵付きで入っていて、(2)で、その鍵はまとめてどこかの箱に、鍵がかかったところに置かれていて、(12)のところで、さらにその部屋にはドアに2個鍵がついてあると書いてあるのですね。何ぼ何でも、この鍵2個つけるのは、最後、やり過ぎではないかという気がしています。しかも余り効力を発揮しない気がするので、ここについては、そこまでしなければならぬお考えの理由は何なのかということをお聞きしたいと思っています。
片方で、もう一つ、10ページ、「保管・廃棄」の(10)に書かれていることですが、紙資料、PCやメディアの廃棄を外部に委託することについては禁ずるとわざわざしましたということを松田先生お話しになったのですけれども、大学の研究者の能力ということを考えたときに、廃棄しましたというのは報告にとどまりますので、こちらのほうが安全性を阻害すると私は思っていて、大学の研究者がそんなまともに廃棄できるわけがないと、まず根本的に考える必要があると思っています。
だとすると、そういう専門の業者に外注させるのを義務づけるぐらいのレベルのほうが正しかろうと思いますので、この「廃棄を外部に委託することを禁止する」というのは、安全性という意味で果たして正しいのでしょうかというのが、この2点まとめて質問になります。
それから、同じ枠組みの中で漏れていました。もう一つ、5ページの「物理的安全管理対策」の(2)ですね。情報を含む媒体、先ほどの鍵付きキャビネットですが、ここが管理されるのは利用者でよろしいのでしょうか。鍵を使われた者、鍵付きキャビネットは誰が、保管・管理という場合の管理の言葉の意味になるかもしれませんけれども、管理者というのは基本的には設備の責任者であるべきで、ここの鍵を管理するのは利用者ではなく、利用責任者でなければならないのではなかろうかと考えますが、いかがでございましょうか。
最後の御質問は、6ページのところにございます「技術的安全管理対策」の(1)ですけれども、一般的に確かに個人情報を扱うようなシビアなものというのはできるだけネットワークから切り離すことは正しい考え方だと思いますが、片方で、このPCそのもののセキュリティレベルというのも必ず維持しなければならないわけで、一般的に今の情報機器というのは、セキュリティレベルを上げようと思うと、パッチと言われるもの、それからウイルスパターンファイルと言われるもの、これらをネットワークからダウンロードしてこないと対応することができません。ここで完全に独立した有線の環境であるということを、いわゆる例外措置とか無しにこの形で書かれると、それをするなと言っているのに匹敵しますので、それもセキュリティレベルをかえって下げるのではないかという印象を持ちますので、ここも、この形でよろしいのでしょうかというのが御質問になります。
ちょっとテクニカルな御質問でどたばたとしましたが、以上、御質問でございます。
○祖父江部会長代理 詳細な御指摘、ありがとうございます。この場で回答できる点はありますか。松田参考人のほうで。
○松田参考人 天野委員からの御指摘、ありがとうございます。この点については考えていきたいと思います。
黒田委員のほうから、まず1番の電話で受けないというところにつきましては、確かにちょっとぶれている感じはしております。都道府県のマニュアルのほうでは、相手が病院できちんと確認できる形であれば電話を使ってよいという前提で、利用者になりますとその数が膨大になったり、なかなか顔を知っているような関係になるということは難しいと思いますので、電話を使わないほうがよいだろうといった想定で書いておりましたけれども、こちらのほうで少し、利用する側としては、1点だけ聞きたいのに封書でというような、ちょっとその考えのぶれがあったような気がしますので、そこら辺は整理したいと思います。
2番目につきましては、漏洩のフローのところですけれども、これはフローチャートをきちんと手順として準備しろというような意味で設定しておりまして、匿名情報につきましても、なくしてしまったとか、それが消えてしまったというような場合には報告するというのは、データの利用のほうのマニュアルでそういった規定があります。ですので、匿名情報であったら、なくなってしまっても黙っていていいというわけでは全くないです。きちんとした報告のフローをつくって、個人情報が漏洩した場合にはそのフローに従って被害を最小限に抑えた上で対策を迅速にすべしという意味で、この(6)をつけているという状況です。その手順をきちんと定めましょうという位置づけになっています。
黒田先生、何かあれば。
○黒田委員 ということは、*印がついているのはなぜでしょうというのが質問のメインの趣旨ですが。ごめんなさい。いろんなことを一遍に聞いたので。
○松田参考人 個人情報を扱っている場合には、それが何か事故が発生した場合には、単純に匿名のデータがなくなってしまったという、貴重なデータをむげに扱ったというだけではなくて、個人情報が漏洩するリスクがありますので、その場合にはきちんとした、誰に何を言ったらいいのだろうということをその場で慌てずに、フローチャートをあらかじめ準備しておいて、それに従ってきちんとした報告、それから、ものを探すですとか、そういったことをすべきだというような発想です。
匿名情報については、なくしたということは重大なことではありますけれども、何かフローチャートですぐに個人情報漏洩につながるものでありませんので、フローチャートに従って急場を、順序よく迅速にするというような手順を作成するほどではないのではないかという発想です。報告義務がないという意味ではなくて、手順を整備するかしないかということです。
○黒田委員 手順を整備するのところは*印だよということをおっしゃっている。
○松田参考人 はい。
○黒田委員 それでもやはり、匿名情報であってもやることは同じですから、わざわざ、ここ、「*」をつけておくほどのことがあるのかなというのが私の意見です。それは意見です。
○松田参考人 わかりました。
3番目につきましては、鍵2つというのは、もともとの都道府県のほうの表現にもこういうものがありまして、そういった御指摘もあって、大元を思い起こしますと、どちらかというと発想としては、例えば入り口のところに扉があって、前室のようなものがあって、二重のバリアがあるというような想定で二重というような表現があったように私は記憶しております。ですので、同じ扉に上と下に鍵がついているというよりは、がんセンターであればエレベーターのところに扉があって、それから、個人情報を扱う部屋のところにもう一回扉があるというような位置づけですので、そこら辺も含めて、表現が曖昧である部分、誤解がないように整理したいと思います。
それから4番目ですが、廃棄ですね。これはどちらが安全かということにつきましては、確かに専門の業者のほうがもちろんなれていますし、専用のソフトウェアだったりそういったものを使って消去できたり、物理的な破壊もできるということは考えられますけれども、契約をきちんとしているかどうかを、例えば窓口組織ですとか提供する側が把握する必要があるかないかとか、そういったことも考えると、安全の担保というのは、どちらが最終的に安全かというのはもう少し議論する必要があるかもしれないです。
5番目の鍵の管理者、責任者であるべきだということについては、御意見承りまして、検討したいと思います。
最後の6番目のPCですが、独立していると、ウイルスチェックソフトが入っていたとしてもパターンが更新されないという問題ですが、これにつきましても、例えば本当の理想を言えば、独立したそれ専用のPCであって、一回大元のデータを入れて、そこで解析を完結させれば外から何か侵入するリスクはないということが考えられますけれども、ほかのいろいろなデータと合わせて分析したり、そこでつくったものを外に出してということを考えると、確かに外とのやりとりというのが、USBメモリですとか、何かほかの媒体を通して生じるかなあとは思っております。
ただ、これをする場合に、あらかじめそういった個人情報を扱うPCに何か電子媒体を差すとか、CDを入れるですとか、そういった際には、これもまた堂々めぐりになるような気もするのですけれども、ほかと、ウイルスパッチがアップデートされたPCで、その媒体にウイルスがないかをチェックした上で独立しているがん登録のデータを分析するPCに入れるという2段階になっております。
ですので、そのウイルスチェックをするPCというのを個別に用意をしてというような想定ではあるのですけれども、それがネットワークに接続されているのであれば結局一緒ではないかという発想もあるかもしれないですが、少なくとも、本体である提供いただいたデータというのを入れて、実際にメインで扱うPCというのが独立していたほうが、それが直接ウイルスチェックをアップデートされていてもネットワークにつながってないほうが安全なのではないかなというような想定がありました。ここら辺はまた議論するところではあると思いますけれども、そこら辺の、悩んだ末といいますか、一応の今の結論がこのようになっているという状況です。
○黒田委員 済みません。あと、今お答えいただいた中で2点、もう一回確認というか、御指摘を申し上げておくと、まず先に廃棄のところですが、そもそも利用するときに、これはたしか前回の議論だったと思うのですけれども、何かの委託を行うときには、その委託に関する契約書も出せということを言っていましたので、当然廃棄も委託の範囲の中ですから、そこに関する契約書を出せということでものが片づくので、その形で処理をされてもそんなに大きな問題にならないのではないかなと考えます。
2つ目の話の、一番最後の話ですけれども、まず利用シーンをちょっと考えなければいけないのは、今、松田先生がおっしゃったのは、一回データを預かって分析終了というパターンであれば、おっしゃるとおり、ネットワークに結びつけるような、そんな長時間の利用って余り考えられないので構わないと思いますけれども、コホート的にデータを出すときと、それから一回渡して利用して終了と両方の話が混ざっている状態ですよね。
前者の場合は結構長期間にわたって物事を使い続けることになりますので、そのときには今のお話はちょっと当たらないだろうと。電子カルテシステムを含めて、電子カルテって、論理的・物理的に限りなくネットワークは切れるのですが、1点2点、やはりインターネットに結ばないといけないところがあって、結ぶところには必ず関門になるようなシステムが一般的に入りますよね。
ウイルスチェックの場合、ウイルスの途中でダウンロードするためのダウンロード専用のサーバが入っていたり、パターンファイルでも、その専用がウィンドウズだったらウィンドウズのその途中、中継してくれる専用のサーバを入れたりすることがありますので、そこはちょっとテクニカルな話になりますけれども、やりようはあるので、そのあたりのところをちょっとコメントつけ加えておいていただいたほうが良いかと思います。このままにしておくと、かえって研究者が、これは病院の中でもたまにあるのですが、これ、ネットワークから切り離されているからいいんだといって、ウィンドウズXPと書いてある機器を置いてしまったりしますので、そういうことにならないようにやはり調整されたほうがいいのではないかという気がいたします。
○松田参考人 ありがとうございます。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。ほかに御指摘する点は。
中西委員、どうぞ。
○中西委員 利用する側から発言させていただきます。
まず、5ページの、USB等の可搬電子媒体。天野委員から御指摘がありましたけれども、これ、研究者が使うとやはり事故がしばしば起こります。ここには、実際に作業する場所、保管する場所、移送以外のところへ持っていってはいけないということは書いてないのですね。私どものところでも個人情報が入った記録媒体が盗難されるという事故があったりしました。したがって、研究者向けだとすれば、指定された作業場所、保管場所、それから移送以外のところには絶対持ち出さないという一言があったほうがいいかなと思います。
それから、11ページの7番ですね。利用者の接触の禁止の件で、これは先ほど伊藤参考人からもお話がありましたし、また黒田委員のほうから、説明をいただきましたが。ちょっとわかりにくいのですね。研究者には別のものだということがわかるように解説を入れていただいたほうが間違いがないかと思います。
それともう一つ、伊藤参考人もおっしゃったように、例えば院内がん登録ですとか、あるいは学会とかやっているより精緻な登録作業、そういったものとの連結というのが現場から非常にぜひ実現して欲しいという声があります。個人情報の保護とその活用との間で非常に難しい問題があると思いますけれども、匿名化がどこまでが匿名化なのかという議論もありましたけれども、それを含めて、ぜひしっかりした御議論の下、円滑な活用があって、成果が還元できるような方向でディスカッションが進めばいいと思います。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。何か松田参考人のほうでつけ加えることありますか。
○松田参考人 いただいた意見は参考にして、ブラッシュアップしたいと思います。ありがとうございます。
○祖父江部会長代理 では、ほかにどうぞ。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 確かに、この安全管理マニュアルを普通の人が読むと、かなり難しいなという印象は受けると思います。ただ、黒田先生もおっしゃいましたが、大体これはリーズナブルな範囲におさまっていると私も思いますので、ぜひ使われる研究者の方はこういったことも十分理解して使っていただくことがまず大事だと思います。
前もお話ししましたけれども、NDBは、一応識別性を物すごく下げた状態ではありますけれども、第三者提供を7年前に始めたときに、最初に十何件提供して、その十何件を全部セキュリティ監査に行ったのですけれども、完全な合格は一件もありませんでした。どの提供先も何らかの問題があって、一番ひどいのは、マンションの一部屋をカーテンで区切ってあるだけで、これが区画ですというのがあり、研究テーマ自体は重要なので悩んだ覚えがあります。
そういう意味では、こういったデータを、つまり制度に基づいて同意なしで収集したデータを使う研究というのは、何かあったら制度全体に影響を及ぼしますので、そういう意味では、少なくとも当面は慎重に扱うべきだろうと思います。
それからさらに、この匿名化の問題というのは、これから先の議論だということなのですが、法に書いてある匿名化は無条件に、何の前提条件もなしに絶対識別できない情報と書いてあります。これは物すごく難しいことで、現実には個票である限りはほとんど不可能で、統計情報にしない限りはできない場合が多いと思いますけれども、その前提でお話をします。この「*」の1つは、黒田先生が御指摘になった4ページの(6)、これは私も「*」が不要だと思います。
というのは、セキュリティの確保は個人情報保護のためだけでやるわけではありません。研究業務が滞りなくできることを守ることもセキュリティですし、いろんな意味で、この制度を守るところもセキュリティなのです。そういう意味では、仮に匿名化情報であったとしても、審査を受けて提供された情報がどこかで紛失し、あるいは盗まれて、それを例えばフェイスブックに公開されたみたいなことが起こると、制度全体に多大な影響が及ぶと思います。したがって、そういうことも防止しないといけないという観点からは、少なくともこの(6)は、匿名化されていようがなかろうが、やはりやらなくてはいけないことだと思います。したがって、この統括利用責任者、その次の「個人情報の漏洩等」の「個人情報」も不要だと思います。「提供情報の漏洩等」でいいと思います。
ただ、それ以外の「*」は、物理的安全管理対策等は当然「*」つけていいと思いますけれども、その後に、「*」がついていながら、個人情報を用いる場合はとか何か、個人情報に限定した利用に関して「*」が結構ついているのですね。匿名化情報が法律の規定のとおりであれば個人情報ではもうありませんから、そういう意味では、この「*」はそもそも書かなくても対象外ですから、わざわざここにつける必要もないかなという気はしています。
ですから、もうちょっと文言を整理するか、その上で、「*」がたくさんついていると何もやらなくていいみたいな印象を与えてしまいますので、本当にやらなくていい対策を強調したほうがいいと思います。
それから、PCのアップデート、バッチ等の要件のために最低限の接続を、安全な接続を許すというのは、これはこれで、僕は黒田先生の意見に賛成ですけれども、これを結構強要される場面が最近は多いです。年金機構の事故以来、とにかくネットワークから外せというような指示がすごく多いのですね。それでもやはり守らなくてはいけないので、結構オフラインで対応する手段というのが整理はされてきていると思います。したがって、もしこれを書くのであれば、PCの安全を守るためのオフラインの手段みたいなのを少し書いてあげないと、多分、普通の研究者には難しいと思います。
ほかのコンピュータからバッチファイルを持ってきて入れる方法とか、結構、今は例えばコンピュータのOSの会社も、ウイルスソフトの会社もそれは対応できるようにはなっているので、そこは紹介してあげないと、これだけだと余りにも不親切だという気がします。
そういうところが少し気がついたところですので、きょうでなくて結構ですけれども、ちょっとその辺を整理していただければ助かると思います。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。ちょっと確認ですけれども、「*」がついているものは匿名化情報でも推奨されるものとしてついているという理解ですけれども。
○山本委員 そう言いながら「個人情報を扱う場合は」と書いてあるところがたくさんあります。匿名化情報を想定していない条文があり、そこに「*」がついていることが多いですが、そもそも「*」がついた項目自体が不要だと思います。ただ、そうはいいましても、さっき言いましたように、個人情報を守るためだけにセキュリティ対策をするわけではないので、その観点でもう一回きちっと見直したほうがいいと思います。
○祖父江部会長代理 はい、伺いました。ほかに。
どうぞ、名越委員。
○名越委員 研究者の立場から少し意見をさせていただきたいのですけれども、5ページのところですが、先ほど伊藤参考人もおっしゃったように、(7)と(10)が、独立していない場合というのと独立した部屋として確保するというのが相反するという御意見がありましたけれども、よく読んでみると、恐らく利用場所というのが非常に大きく定義されていて、(10)の場合には個人情報の利用を行う場所を指していて、そして、独立していないというのは、個人情報の利用を行う場所を含めたより広い場所が独立していない場合ということなのかなとやっとわかりました。このように都道府県のがん登録の方々ですらわかりにくいのに、研究者はとても理解できないと思います。
あるいは、保管庫とありますけれども、保管庫が何を指すのか全くわかりませんし、執務室というのも説明なしに出てきていますし、鍵付きボックスは保管庫に入るのかとか、厳格に書いていただくのもいいですが、もう少しわかりやすく書いていただくか、あるいはQ&Aのようなものをつくっていただいて、理解しやすくしていただかないと研究者が非常に戸惑ってしまうのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○祖父江部会長代理 わかりました。
黒田委員、どうぞ。
○黒田委員 ごめんなさい、何回も。
今の御質問というか御意見と絡む話ですけれども、私も病院とか大学の中で研究者の倫理審査とかする中で、たまに、明らかに勘違いしているなという文章を見るときに、倫理指針に書かれていても、倫理指針の中で個人情報を取り扱うときには、基本的には法律の中で書かれている安全管理措置が求められていて、法の中で書かれている個人情報管理区域ですね。個人情報保護法のガイドラインの通則編のたしか8の5番でしたかに書いてあると思いますけれども、個人情報管理区域に置かれなければならなくて、それを見るときには個人情報取扱区域に置かれなければならないと。管理区域と取扱区域が厳密に分けられていて、データの置くところ、キャビネットが置かれるところは当然個人情報管理区域になりますから、そうすると、法律に書かれているルールどおり入退室記録をとった独立したそこでなければならないというのは明確にそこに書かれていると。多分その辺の法律の兼ね合いも、実際、倫理指針もわかりにくいのでいろんなところで説明させられるのですが、ここも同じような構造を持っていますので、それも倫理指針の書きかえも含めてになると思いますけれども、ここで法律の中の用語、取扱区域と管理区域という言葉を使ってちょっと整理していただいたほうが全体的に見通しがよくなるのではないかなあという気がいたします。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。では、最後にお願いします。
○坂元委員 細かい質問ですけれども、6ページの【対策】というところに物理的・論理的に外部ネットワークから独立した有線の環境って、要するに無線LANの受信機が入っていてはいけないという意味で、こっちのルーターの接続というのは有線でルーターに接続するという意味でこれはよろしいのでしょうか。
○松田参考人 はい、そのとおりです。
○祖父江部会長代理 小俣委員、どうぞ。
○小俣委員 研究に資するという部分でちょっとお聞きしたいのですが、がん登録とはちょっとやはり別なのが、業務委託をするという部分で、患者家族が心配なのは、その委託先の方たちがちゃんとその倫理を守っていただけるのかという懸念があることです。それは利用者の方が管理をされるということだと思いますが、それについての対策であるとか、または文言というのをここに入れていただきたいと考えているのですが、その辺はいかがでしょうか。
○松田参考人 利用における業務委託については、利用の提供のマニュアルのほうに、さっき黒田委員がおっしゃっていたように、契約書を出せとか、そういうこともきちんと定められておりまして、がん登録のデータを扱う場面としては、それが委託先だろうと同じような管理が求められると考えております。ですので、委託をして、そこで業務がされる場合にはそちらに利用の責任者を置いて、きちんとこのマニュアルを守っていただくということで、委託する場合には同じようなルールに従ってというのを一文入れておいたほうが明確かなという気はいたしますけれども、基本的にはこの同じルールで利用を進めるというふうにしたいと考えております。
○小俣委員 できれば管理するということで入れていただきたいと考えております。御検討をお願いいたします。
○松田参考人 はい、ありがとうございます。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。まだ御指摘の点あるかと思いますけれども、直接事務局のほうに報告いただいて、そのことも踏まえた上で事務局と参考人の間で整理をして、また次回以降提示していただくということでお願いします。
それでは、第3の議題、「全国がん登録審査の方向性について」に入りたいと思います。では、事務局より資料3の説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局、安藤でございます。
それでは、資料3を御用意ください。まず、前回までに皆様には審査基準について御議論をいただきたいと御説明しておりましたが、今後、個々の事例ごとにさまざまな御判断を審査委員の方にお願いすることになりますので、審査の上で、審査委員が検討されるポイント、まさに方向性を定めていくことといたしました。ですので、第8回、第9回でいただいた御意見も踏まえつつ、この「情報の提供の審査の方向性(仮称)」を作成しておりますことを御留意ください。
まず冒頭でございますけれども、
《審議会等》は、提供依頼申出者が提出する申出文書及びその他必要な書類が揃った上で、当該書類に基づいて、以下の(1)から(10)までの審査の方向性に則り、情報の利用目的、調査研究の実施体制等について確認すること等を通じて、情報の提供の可否について審査を行うものとする。
《審議会等》は、必要があると認める場合には、提供依頼申出者に対し、資料の追加・修正等を求めた上で、再度審査を行うことができる。
としております。
項目については、前回までの情報の提供マニュアルなどの御議論の中でも御提示してきたものでございまして、大きく変更はございません。
「(1)調査研究の利用目的及び必要性」ですけれども、こちらは利用目的等について、がん登録等の推進に関する法律の中に趣旨及び目的が記載されておりますので、そちらに沿ったものであることを御判断いただきたいと思います。
「(2)同意の取得」ですけれども、本日の議題1でお示しした方向性も踏まえつつ、適切に同意がとられているか、御判断いただきたいと思います。
また、「なお」以下の文章ですけれども、法の施行日前に行われている調査研究につきましては、適切な措置が講じられているかなどを中心に御判断いただきたいと思います。
おめくりいただきまして、「(3)利用者の範囲」でございます。
①の部分は全ての利用者の方が当該調査研究において果たす役割が明確かつ妥当で、それが必要な限度であり、不要なものが含まれていないか。②に関しましては、本日新しく御提示するもので、御意見いただきたいところでございます。
机上ファイルの参考資料2、11ページをごらんください。第21条第3項の第2号でございます。こちら、一般の研究者、がんに係る調査研究を行う方向けのものですけれども、2号のところに「当該がんに係る調査研究を行う者が、がんに係る調査研究であって、がん医療の質の向上等に資するものの実績を相当程度有すること」と記載がございます。この相当程度の原則をこの審査の方向性の中で考えていきたいと思っております。
ですので、資料の②をごらんいただきたいのですが、「がんに関する集計(生存率を含む)又はがんに関する統計分析の調査研究の公表経験を2以上有すること」ということで御提示いたします。
続きまして③、調査研究の一部を委託する場合においては、委託する内容及び委託を行う必要性が、研究の目的及び内容に照らして合理的であるかということも御判断いただきたいと思います。
次、「(4)利用する情報の範囲」については、申出文書に記載された利用する情報の範囲が妥当かつそれが必要な限度であり、不要な情報が含まれていないか。
「(5)利用する情報及び調査研究方法」、こちらは①から⑤までに即していることと、調査研究の内容、方法からして適切に情報が利用されることということで、①提供することが可能な情報が記載されていること。②利用する情報及び調査研究方法が、目的、調査研究の内容から判断して妥当かつ必要な限度であること。③調査分析方法等が特定個人を識別する内容でないこと。また、申し出た場合を除き、情報とその他個人情報とを連結する内容でないこと。④情報の性格に鑑みて情報の利用に合理性があり、他の情報では調査研究目的が達成できないこと。
⑤に関しましては、少し具体的に記載しておりますので、こちらも御意見いただければと思います。特定の市町村及び病院等を識別する内容でないこと。ただし、以下のi)及びii)の全てに当てはまる場合にはこの限りではない。
i)提供されるデータが地域性の分析・調査にのみ用いる目的であり、その目的に照らして必要な限度の範囲内で利用される場合。
ii)市町村又は病院等の個別の同意がある等、《審議会等》が特に認める場合。なお、i)及びii)に該当する場合であっても、後ほど御議論いただく利用規約に即して利用することとする。
といたしました。
次、「(6)利用期間」です。
情報の利用期間が調査研究内容から見て、整合的かつ必要な限度となっていること。また、全国がん登録情報又は都道府県がん情報を利用する場合。こちらは匿名化されていない情報ですけれども、こちらについては、5年以上15年以内の利用期間を申し出た場合においては、調査研究の性質上、全国がん登録情報又は都道府県がん情報を5年以上分析する必要があるものであること、といたしました。
「(7)利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法」に関しましては、先ほど御議論いただいた利用者の安全管理措置に示された措置が全て講じられていること。
「(8)調査研究成果の公表方法及び公表時期」調査研究方法と調査研究成果の公表方法と公表時期が整合的であること。また、調査研究成果が、がん患者及びその家族をはじめとする国民に還元される方法で、公表予定であること。
「(9)情報の利用後の処置」、こちらも先ほど御議論いただきました利用者の安全管理措置に示された措置が全て講じられていること。
「(10)その他」としております。
(7)(9)に関しましては、利用者の安全管理措置のほうから必要なポイントを今後記載する予定でございます。
今後、実際に皆様の中でも審査委員をお願いする方もいらっしゃいますので、そういった視点も踏まえて御意見いただけますと幸いです。
以上でございます。
○祖父江部会長代理 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対して、茂木参考人のほうから御意見をお願いいたします。
○茂木参考人 審査のところですが、「(5)利用する情報及び調査研究方法」の⑤で、個人、あるいは病院についてはほかの書類にも書いてあるのですが、ここでのみ、「市町村」というのがあらわれていて、利用者は利用規約とかを読んで提出した場合に、市町村まで結局同意をとらなくてはいけなかったのかと驚くことになるのではないかというのが心配でした。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。続きまして、伊藤参考人、御意見をお願いいたします。
○伊藤参考人 4つほどあります。
まず、(3)の「利用者の範囲」です。②に「公表経験を2以上」とありますけれども、具体的にはどのような公表経験なのか。研究者を対象ということであるので、それはやはり学術的な学会発表や論文発表などというものを具体的に示していただければありがたいです。
あと、公表経験2というものは全ての利用者に適用されるものなのかということが心配です。例えば研究の状況だと、大学院生が上司の指導のもと、初めてがん登録情報を使った研究を行うということもあるかと思いますので、利用責任者は必ずこれを満たさなければいけないけれども、利用者はそうではないというような形で基準を決めていただければ大変ありがたいと思います。そうでないと、だんだん、特に長期コホートの場合は技術の継承ということもうまくいかなくなるので、そういうことで利活用されなくなる可能性も、利活用されるチャンスが減るということも考えられますので、ぜひこの点、御検討いただきたいと思います。
2つ目が、短いのですけれども、必要な限度というのがいろいろ出てくる、(5)の②で「必要な限度」というのが出てきますけれども、今後これは検討されるとは思うのですけれども、どの程度か不明確だと思いました。
あと、「(6)利用期間」についてですけれども、コホート研究において5年間の利用期間ということですと、5年間であっても、因果の逆転が否定できなかったり、希少がんであると、15年追跡したとしても、十分に罹患数を確保できず、分析ができないということもありますし、また、データセットを一回確定した後でも新たな研究課題が生じて、追加の分析を行うこともしばしばありますので、ここには再利用を申出することは可能ということで理解しているのですけれども、その限度年数だとか回数などを限らないということを認めるなどといった具体的な方向性について御検討いただきたいと思います。
あと、大規模かつ長期にわたるコホート研究では、研究終了後にそのデータをアーカイブ化するというような方向性もあって、研究所の中でもそれが検討されているわけですけれども、このように利用を15年という長期であっても、利用期限が済んだ時点で、結局アーカイブされたデータからはがん情報を外さなければいけないということで、こういう大規模なコホート研究というのは多大なる公的資金が費やされている研究であるというのは御存じだと思いますけれども、がん情報がついてこそそれが資産となるということなので、利用期間に関しては政令で決まってしまっているのですけれども、その点に関しては今後御議論いただきたいと思います。
実際、コホートの研究の対象者というのは、同意をして、自分のがん罹患の情報をがん登録からとってもいいですよとしてあるものですから、例えばがん登録、法律の定める利用期間にかかわらず、がん罹患についてはコホート研究に渡してもいいよというような同意が得られている場合にはこの利用期間の範囲ではないというような特例を認めていただければ大変ありがたく思います。
それから、最後に4つ目ですけれども、(8)ですが、成果が、「がん患者及びその家族をはじめとする国民に還元される方法で、公表予定であること」とありますけれども、国民に還元される方法とはどのような方法なのかがちょっとわかりません。私自身だと、学会発表、論文発表のみならず、新聞やテレビ報道、あるいは自身のホームページなどでのそういう成果の公表と思いますけれども、利用者によってはその考え方もまちまちであるので、ある一定の方向性を定めていただければありがたいと思います。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。
利用期間というのはどういう意味でしょうね。データが何年から何年まであるという意味ですか。それとも、今から1年間利用しますという意味での利用期間ですか。
○事務局(安藤) 利用期間に関しましては、申出をされて、情報提供を受けた日からどれぐらい利用期間として必要かです。
○祖父江部会長代理 今から1年間解析に利用しますという、その期間のことですよね。
○事務局(安藤) はい。公表まで。
○祖父江部会長代理 公表までと。そういう意味ですね。データが何年から何年まであるという意味ではないですね。
○事務局(安藤) はい。
○祖父江部会長代理 わかりました。
どうぞ、議論をお願いします。
○坂元委員 済みません。2ページの(5)の⑤のii)のところで、「市町村又は病院等の個別の同意がある等、《審議会等》」と、等、等、等と言って、これは一体誰がどう言えばいいのかというのが、つまりこれだけ「等」が並ぶと意味がわからなくなってしまうと思うので、ちょっとこの整理は必要かなあという感じはします。
○祖父江部会長代理 検討願います。委員の先生方からの御意見を伺いたいと思います。
どうぞ。
○薄井委員 薄井でございます。
おおむねこれで妥当だと思いますけれども、先ほども御指摘があった利用期間の御説明、伊藤先生からも、余り時間を区切らないほうがいいのではないかというお話もある一方、やはり研究期間を切らずに何か審査をするというのは非常に難しいと思います。原則、5年、5年ごとに何らかの形で延ばすというような捉え方をするのだとすると、そういうことがわかるような書き方をしたほうがいいのではないかというのが1つ。それから、先ほど伊藤先生から御指摘があった(3)の利用者の資質のところの論文等公表経験2つ以上という根拠や内容はもう少し判りやすくして、若い人たちが研究に参加しやすく、しかも、こういう研究ではきちんと、守秘義務を守ることができるような人たちを選ぶということなどとして、もう少し具体的に書いていただいたほうがいいのではないかなと思いました。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。何か反応はありますか。
○がん対策推進官 反応と申しますか、こちら、書いた人の趣旨は、主語が確かにはっきり書かれていないので、そこの点がわかりにくかったのは大変申しわけないと思いますけれども、具体的には、主任、あるいは責任研究者のイメージでして、これまでそういった経験がない若い研究者の先生方は、そういった先生について、まずはこうしたがん登録についていろいろ経験をしていただいて、2つ以上経験をするということで、何をもって、確かに具体的に論文なのか何なのかというところは具体的に書く必要があると思いますけれども、そういった暁には、御自身がその責任者、主任研究者となって申請をいただくと、そういうイメージで書いておりますので、そのあたり、またしっかりとこの辺を書き込んで、もっと具体的にわかりやすい方向性にしたいと思っています。ありがとうございました。
○祖父江部会長代理 では、大木委員、お願いします。
○大木委員 その点についてですけれども、これが全国で決まったら、今度は都道府県で同じようなことをこれに沿ってしなければならなくて、そのときに、余りに厳格に、例えば英文のなんとかの論文とか、厳しくなりますと、今度はその対象者が都道府県でいなくなったりする可能性もあります。本当に矛盾しているようですけれども、若い人や経験のない人にも、チャンスはあり、でも、濫用されないようなくくりで書いていただくことをお願いしたいと思います。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。ほか。
黒田委員、どうぞ。
○黒田委員 済みません。今、アンダーラインが引かれている、2ページの(5)の⑤の中の、先ほど茂木先生からも御指摘ありましたけれども、市町村というキーワードがここに出てくる意図って何でしょうか、それを教えてください。
○祖父江部会長代理 では、柴田参考人、お願いします。
○柴田参考人 柴田から、この(5)⑤の意図について御説明申し上げます。
後ほど、資料4で説明する利用規約のほうともかかわってくることでございますが、これから提供に係る解析をしていく場合、匿名化のことが出てきまして、市町村の規模が日本においてはかなり大規模から小規模までございまして、小さなところですとかなり匿名化が難しいような状況になってしまう場合も想定されています。
当初、この⑤については、匿名化に係る部分として、今回御提示しない方向性も考えたのですが、やはり利用規約との絡みもありますので、一回こちらで御提示させていただいておいて、これに関していろんな御意見をいただいた上でもっともんでいきたいと考えております。
以上です。
○祖父江部会長代理 どうぞ。
○黒田委員 ありがとうございます。なぜわざわざ市町村のところだけ取り上げてお聞きしたかというと、こういうところに行政の名前が出てくると別な悪意でとられる人が必ず出てくるので、ここは表現の仕方を少し、そういうことだろうなあと思いはしたのですが、匿名の議論なのだということがわかるような議論の書き方をしないと、議論を間違った方向に導きかねないので、ここはちょっと記述の方法を検討していただいたほうがいいかなという気がします。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。ほか、どうですか。
どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。
先ほど伊藤参考人からの御意見にあったことです。まず、2ページの(6)の「利用期間」についてです。研究が進むことによって、さらに利用期間を延ばすようなことがある場合に再度申請をするというようなお話もありましたけれども、その際には再度の審査をするという必要が恐らくあるのだろうと思っております。後の資料4の利用規約のところにもそのあたりが書き込まれておりますけれども、この点については必要だろうという意見を申し上げさせていただきます。
もう一点が、3ページの(8)の公表方法及び公表時期でございますけれども、先ほど、これも伊藤参考人から御意見があったとおりで、私たち、患者家族を含める国民にわかりやすい方法で公表されるということはとても大事だと思っております。難しいとは思います。わかりやすい方法をどうするかというのは難しいと思いますけれども、やはり私たちに還元されてこそのがん登録だと思いますので、そのあたりについては、何かここにもう一歩の書き込みがあるといいかなあと思いました。
以上です。
○祖父江部会長代理 ほかに御意見はありますか。
では、ちょっと私から。これ、審議会等と冒頭に書いてあって、審議会等というのは、法律のほうには、この利用及び提供に関しては17条、18条、19条、20条、21条とこうあって、それぞれに出てくるのですね。審議会というのが。今回討議している主な対象は恐らく条文の21条で、研究者が実施主体というか、利用主体になる場合が想定されているかもしれませんけれども、条文としては第17条、18条、19条、20条と、利用主体が厚労大臣から都道府県知事等々があるわけですね。
実施主体が明確に定義されているから条文として切り分けができるということは確かにそうですけれども、がん対策に資する調査研究というものの中身が、厚労大臣が行う調査研究って一体何で、都道府県知事が行うものは何で、研究者が行うものが何でという、その研究の中身に関して余り具体的なイメージがわかないですね。主体が決まれば条文が決まり、利用形態が決まるのですけれども、一体どういう研究がそれに当てはまるものなのかに関して、もうちょっと何かないのかなという気がします。
具体的には、第17条の3項に、厚生労働省令で定めるものの中に福島関連の組織が3つ指定されていて、放射線影響研究所と放射線影響協会と、それから福島の関連の、恐らく福島医大だと思いますけれども、そういうところが提示されているので、福島関連の調査研究というのはこの厚労大臣がやるべきものなのかなというイメージがわきますけれども、それでも、具体的にどのような研究がそれに当たるのかということがもうちょっと切り分けとしてあったほうがいいのかなと。
具体例が出てきてからそれを考えるのだということもないではないと思いますけれども、特に都道府県の審議会ですと、それぞればらばらに審議がされるということも想定されるので、ある程度そこの切り分けの中の研究の中身に関しての想定されるものを、ちょっと具体的なものを例示してもらったほうが僕はいいのかなと思ったりします。これはちょっと問題の提起ということで、ここで議論余り深くできないことかもしれません。
何か反応はありますか。
○がん対策推進官 まさに具体的な研究内容が出てみないと、それをもとにどう審議するのかという話になります。まさにそこは先生のおっしゃるとおりでして、具体的に何を示すかというのは非常に難しいと思いますが、検討させていただきたいと思います。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。ほかにないでしょうか。
では、お気づきの点があればまた事務局に連絡していただくということで、次に移りたいと思います。
それでは、議題4、「全国がん登録利用規約について」、参考人の国立がんセンター、柴田室長より資料4の説明をお願いします。
○柴田参考人 資料4、「全国がん登録 情報の提供の利用規約(仮称)」について、柴田から御説明申し上げます。
この利用規約は、提供のマニュアルにおいて情報の各提供者である厚生労働大臣、国立研究開発法人国立がん研究センター及び都道府県知事が、この案を用いるか、あるいはこの案の内容を含むものを作成するものとされています。
そのため、この利用規約(仮称)をそのまま使う場合はこの形で提供するものというところに、厚生労働大臣ですとか国立研究開発法人国立がん研究センターとか都道府県知事ということで名前が入った形で世に出ていくものになるものでございます。
本規約は、ここまで御意見いただきました提供に係る安全管理措置、審査の方向性と相互に関連するものとして、つくるときから、そういう関連を考えながら作成していることを申し上げます。
それでは、内容に入らせていただきます。
「1.総則」でございますが、提供依頼申出者及び利用者が、情報の提供を受け、利用するに当たって遵守すべき利用規約を定めているものでございます。
また、本規約は、提供依頼申出者及び利用者によって、本規約を遵守すること等を内容とした誓約書、こちら、参考資料2の情報の提供マニュアル、様式例第2の3号をごらんください。こちら、誓約書例になりますが、こちらにセットとして一緒に、この利用規約に対して、遵守しますということを誓約していただくという形で使われるものになります。この後かいつまんで説明させていただきます。
「2.情報の提供及び利用」につきましては、これは本規約に従う利用について、利用できる範囲について改めて確認する内容でありまして、特に申し上げる、注意すべきことはございません。
引き続き、「3.管理」につきましては、全国がん登録情報と都道府県がん情報の利用期間については、政令で5年を利用期間の期限とされていることと合わせた書きぶりになっております。
特に(2)につきましては、「利用期間が5年を超える場合には、5年毎を目途として、申出文書及び調査研究の進捗状況がわかる書類を用いて、利用状況を報告する」ということにつきましては、そのことと平仄を合わせたということでございます。
続きまして「4.利用の制限」でございますが、こちらは提供された情報を用いて、個人を識別しようとしない、個人を識別するために使わないということを大原則として、細かく中身を記載しております。
例えばですが、①他の個人情報と連結しないこと。こちらで(応諾された場合を除く)と表記がありますのは、基本的に、全国がん登録情報、または都道府県がん情報の利用と匿名化された情報の利用について、今回この規約を区別して書いていないことから、こちらの「応諾された場合を除く」というのは、基本的には全国がん登録情報と都道府県がん情報の申請をして、それを認められた場合と思っていただければと思います。
引き続きまして「5.作業委託」についてですが、調査研究につきましては、基本的に作業委託は禁じないという方向性でこれまで検討されてきたと認識しておりますが、ただし、さらに詳しく調査研究の全部を委託してはならないものとするということ。そしてまた、調査研究の主要な部分を委託してはならないものとするということをこちらの利用規約上で明記させていただく形になりました。
続きまして、「6.欠陥及び障害等」でございます。こちらはマニュアル本則のほうには明確な記載はございません。提供された情報にふぐあいがあった場合の取り決めをこちらに記載しておく必要があると考え、このような記載をさせていただいております。こちらはレセプト情報の提供を参考にさせていただいております。
続きまして、7番目「申出文書等の変更」につきまして、こちらは参考資料2、情報の提供マニュアルの第9、申出文書に基づく審査の4、申出文書等の記載事項に変更が生じた場合の扱いに対応するものです。また、この規定は提供が応諾された後にも適用されるものでございます。このことは、マニュアル本則の中では書いてある部分が申出文書に基づく審査の中にある項目での記載であることから、このことが提供の応諾後にも適用されるということがマニュアル本則のほうではわかりにくい部分がございましたので、ここの利用規約のほうにおいてきちんと記載することにしたものでございます。
ここについては少し詳しく1つずつ見て御議論いただければと思いまして、読み上げていきたいと思います。
(1)提供依頼申出者は、以下の①~⑦に係る申出文書の記載事項に変更が生じたときは、直ちに当該箇所を修正した申出文書を窓口組織に提出するものとする。
①利用者の人事異動等に伴う所属・連絡先、氏名に変更が生じた場合
②利用者を追加又は除外する場合(ただし、申出内容の基本的な方針に影響を及ぼすような利用者の重大な変更を除く)
③成果の公表形式を変更する場合
④査読の結果待ちなど利用期間の延長を希望する場合
⑤利用者がセキュリティ要件を修正する場合
⑥その他、申出内容の基本的な方針に影響を及ぼすような重大な修正を行う場合
⑦その他、⑥以外の微細な修正を行う場合
(2)提供依頼申出者は、(1)③~⑥までに掲げる申出文書の内容を変更する必要があるときは、情報の提供に関する申出文書及び当該箇所を修正した申出文書を窓口組織に提出し、再度、審議会等の審査を受けるものとする。
かかる変更を行う場合において、利用者は、その応諾の通知がない限り、当該変更を行った後に情報の利用を行ってはならない。利用者は、不応諾の通知がなされた場合は、その指示に従うものとする。
と記述させていただいております。
(2)は、軽微ではない変更と考えられるものについては再度の審査を求めるものです。厳し目に案を作成したつもりでございますので、こちらについて御意見をいただければと思います。
続きまして、8番の「利用期間」については、3の「管理」でも一部触れておりますが、全国がん登録情報及び都道府県がん情報については、利用期間が5年間、そして特に認められた場合は15年間と政令で定められております。そのことについて記載しているものでございます。
ページをおめくりいただきまして、(2)については、(1)について認められた期限を超えて情報を利用する必要が生じた場合には、その利用期限を超えないうちに窓口組織に利用期間の終了日を修正した申出文書を提出していただき、その応諾を得るというステップを踏んでいただきたいと記載しております。
なお、利用期間の延長については、延長理由等を考慮し、必要に応じて認められるものであるが、利用期間の延長を希望する時点で既に公表に至るまでの手続が進行中(査読の結果待ちなど)の場合には、延長が必要な理由及び希望する延長期間を記載した申出文書に、その手続中であることが確認できる書面を添えて提出することによりかえることができるものとする、とさせていただいております。
続きまして、「9.監査等」でございますが、9の監査と10の「情報の紛失・漏洩等」につきましては安全管理措置とかかわる規定でございます。安全管理措置の中で書いてあることが規約のほうにも繰り返し書かせていただいております。守るべきこととして記載させていただいております。
続きまして、11番「情報の処理」については、利用終了後の情報の廃棄報告と、3カ月以内の実績報告書の提出について記載しています。こちらも、報告の仕方の実績報告等の仕方の詳細については、マニュアル本則のほうに記述がございませんので、この利用規約の中で明記させていただいております。
(1)のみ読み上げさせていただきます。
提供依頼申出者は、申出文書等に基づく利用者全員による情報の利用終了後(申出文書に記載した目的が達成できないことが判明した場合を含む。)、ハードディスク、紙媒体等の情報及び中間生成物をマニュアルの手続に従って廃棄し、廃棄処置報告書により、報告するものとする。また、申出文書に記載した成果の公表前に成果物について窓口組織へ報告することとし、成果の公表が全て終了した後、3カ月以内に実績報告書により、利用実績を報告するものとする。
と記載させていただいております。
続きまして、12番「成果の公表」につきましては、提供のマニュアルの第12、調査研究成果の公表前の確認に対応する規約でございます。
こちらは、先ほど来御議論いただきました審査における個人識別性の判断ですとか匿名化に係る議論も関連することでございますが、今回は匿名化とは何かということは少し議論を先送りさせていただいていることを考慮した上で、以下について御議論、御検討いただければと思います。読み上げさせていただきます。
(1)利用者は、情報を利用した成果を、申出文書に記載した予定時期までに公表するものとする。
(2)利用者は、公表予定の内容について、公表前に窓口組織に報告する。
(3)(1)の公表に当たっては、個別の同意がある場合等、特段の事情がある場合を除き、利用者は、以下の①~⑤その他の適切な措置を講じることで、公表される調査研究の成果によって、特定の個人又は病院等が第三者に識別されないようにするものとする。
①提供を承認された登録情報等及びその任意の組み合わせによる集計値から特定の個人を識別できる場合は公表しないこと(応諾された場合を除く)。
②がん種別、年齢別、市町村別、病院等別の単体又は他の登録情報と組み合わせによる集計値が、1件以上10件未満の場合は、原則として秘匿とすること(応諾された場合を除く)。
③特定の市町村に1の病院等であって、その属性を有する集計値が1の場合、隣接する市町村に含めることで、その属性を有する集計値が1とならないように公表すること(応諾された場合を除く)。
④公表を予定する表及び2以上の表の組み合わせから、減算その他の計算手法によって特定の個人が識別できないようにすること(応諾された場合を除く)。
⑤他の公表値と組み合わせて利用した場合に、秘密の暴露となるデータがないこと(応諾された場合を除く)。
利用者は、この利用規約に従って成果をおまとめいただき、そして、窓口組織は公表予定の成果物が利用規約に従っているかを後日確認することになります。①から⑥につきましては、第8回部会で論点整理で紹介させていただきました米国の住民ベースのがん登録データの利用規約及びレセプト情報の提供を参考に、全国がん登録で提供可能な情報の特性を考慮し、今回提案させていただいております。
ページをおめくりいただきまして、残り、「13.解除」「14.法及び規約に違反した場合の措置」「15.本規約の有効期間」「16.その他」につきましては、一般的な利用規約に即して記載させていただいておりますので、全国がん登録情報の利用規約で特に申し上げることはございませんので、こちらで私の説明は終わりとさせていただきます。
以上になります。
○祖父江部会長代理 ありがとうございました。では、ただいまの説明について、まずは茂木参考人から御意見をお願いいたします。
○茂木参考人 今までの資料から抽出された、利用者が守るべきマニュアルだと思いますけれども、利用者がこれを読んで理解するのがなかなか難しいような文面もありますので、すらすらと頭に入ってくるような文面を御考慮いただければありがたいと思います。
以上です。
○祖父江部会長代理 では続きまして、伊藤参考人、お願いいたします。
○伊藤参考人 私は、12番の「成果の公表」の部分について気づいたことを申し上げたいと思います。
まず(1)ですけれども、これですと必ず情報を利用した場合は成果を出さなければいけないというふうに読み取れます。ただ、研究をしているとわかると思うのですけれども、必ずしも全て成果が出るわけではないということが一定の割合生じると思います。かえってそういうデータを公表することで国民や患者様や患者の家族の方に無用な混乱を招くことになるのではないかと懸念するので、この点について検討いただければと思います。
それから、(2)ですけれども、公表の内容を公表前に窓口組織に報告するということで、私たちは学会発表時だとか論文発表、論文の投稿ということが想定されるわけですけれども、この利用規約には、例えば学会発表時の何カ月前までに、結局、審査にどのぐらい時間がかかるかということを公表していただかないと、期限がありますので、それに間に合わないということは避けたいと思いまして、そういう具体的なこともこの利用規約の中に盛り込んでいただきたいと思いました。
それから、(3)に関してですけれども、②番というのはこのように公表することで個人が特定されてしまうということを避けるものだと思いますけれども、研究の論文というものは最初にその参加者や研究対象者の特性ということがあって、その分け方によっては、1や1未満、1~10件となる場合もありますので、それを記載しないということは、そういう研究のお作法にも反することになりまして、学術的に相当な制限がかかると思います。撤廃をもちろん希望するのですけれども、そうでなくても、応諾する範囲という中でぜひ御検討いただきたい点だと思います。
それから、4番ですけれども、結局、公表に係る期間延長の最大は1年というのが(5)にありますが、学術論文の作成、査読期間を考慮すると、1年というのでも短く感じます。せっかく出た成果というものはきちっとした形で公表したいと思いますので、妥協して早く、1年以内に公表できるところに掲載してしまおうということが起こらないような対応が必要かと思います。
極めて研究者の目線でコメントさせていただきました。以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。今の段階で、柴田参考人から何か反応、レスポンスありますか。
○柴田参考人 意見を拝聴させていただいて、また後日反映させていただきたいと思います。
○祖父江部会長代理 柴田参考人の説明及び参考人の御意見を踏まえて、委員のほうからのコメントをお願いします。
では、羽鳥委員、お願いします。
○羽鳥委員 医師会の羽鳥です。
先ほど伊藤参考人のほうから、きちんとしたデータが出なかったときの話もありましたけれども、この臨床研究法の議論の中では、ネガティブデータが出ても公表するというのも意味があることだということが言われています。ネガティブデータがやはり貴重な研究の成果だと思いますので、そういう視点でも検討していただけたらと思います。
以上です。
○祖父江部会長代理 では、小俣委員から。
○小俣委員 今の羽鳥委員の御意見に関連してですが、伊藤参考人の御意見の中で、成果が出ない場合というのがありましたけれども、先ほど松本委員からも話がありましたように、患者家族にとっては、公表していただくこと、こんな状況にあるということがわかるということがとても重要なことですので、成果ではなくとも研究結果をしっかり公表していただけたらよろしいのかなと思います。
○祖父江部会長代理 家原委員、お願いします。
○家原委員 ありがとうございます。
2点ございまして、まず5ページの12の「成果の公表」の(1)に「予定時期までに公表」と書いてある、この公表、成果ということですが、先ほどの審査のときにも成果という話が出ましたが、今回の中では、査読のある論文を想定されていると拝察するのですが、それでよろしいでしょうかというのが1つ質問です。
と申しますのは、上から3行目のところに「成果の公表が全て終了した後」と書いてあるのですね。例えば論文を掲載して、なおかつ学会発表をするという場合が想定されたときに、どこまでを終了したと捉えるのか。それから、先ほど患者様にわかりやすい公表方法ということで松本委員からも御発言ありましたが、ホームページとか、例えば市民公開講座で公表することが成果なのか、このあたりがやはり文言として非常に不明瞭で、何をもって公表なのかというところを明らかにしていただきたいと考えました。それが1点でございます。
それから2点目ですが、同じく5ページの12の②のところでございますが、先ほどから伊藤参考人からもお話が出ておりますこの少数例に関する文言でございます。がん種別で10件未満というのは小児がんにとりましてはかなり頻度の多いことでございまして、これを秘匿とするとなると全くもって研究が難しい状況に陥るかと思われます。
それから、年齢別、この単体というところがございますが、例えば0歳児にこういった件数であったとか、5歳から10歳までにこうであったとか、いろんな場合が想定されるのですが、そこでこういった制限がかかりますと、全く白紙のエクセルの図が想定されてしまいます。
私としましては、患者様はこういった希少がんこそ情報が欲しいと思われていますので、ここの文言に関しましてはもう一度再考いただければと願う次第です。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。
有賀委員、どうぞ。
○有賀委員 ありがとうございます。
今まで公表のことについてはたくさんの意見が出ておりますが、そこに追加して1つ御質問させていただきたいのが1点。もう一点は、今まで出てきていないところで、2ページの委託者ということについての質問です。先に公表に関する質問をさせていただければと思います。
6ページ、一番上に「公表に係る期間の延長は最大1年間を限度とする」とあります。論文投稿しますと、追加で研究を行い、データをそこに新たに加えていかなくてはいけない場合があります。そういう場合も延長は1年なのか、2ページ上にあります5年ごとをめどにしてという記載により5年の延長になっていくのか、整理をしていただけるとありがたいと思います。
2点目は、先ほど申し上げました2ページの5の作業委託についてです。(2)に、「委託者は」という文章が、この(2)の一番最後の2行にわたってございますけれども、「委託者は、当該委託を受けた業者等を適切に監督し」、ここまでを読みますと、委託者とは研究者、利用者のことと読み取れます。「その後、作業終了後は速やかに情報及び中間生成物を破棄させなければならないものとする」。これは他者に委託をし、廃棄させることを意味するような文章になっていて、この委託者が誰を指すのかがよくわからないのですが、ご説明お願いします。
○祖父江部会長代理 承ったでよろしいですか。
○事務局(安藤) 委託者のところだけ御説明したいのですけれども、委託者というのは基本的に提供依頼申出者のことを指しております。提供依頼申出者が調査研究の一部を業者に委託する。なので、提供依頼申出者が委託を受けた業者に対して、作業終了後は速やかに情報及び中間生成物を廃棄させなければならないものとするということです。
○有賀委員 廃棄をするのは誰になるのでしょうか。
○事務局(安藤) 業者です。
○有賀委員 業者が廃棄はできるのですか。
○事務局(安藤) そこの部分、もう一度検討させていただきたいと思います。
○祖父江部会長代理 天野委員、どうぞ。
○天野委員 ありがとうございます。
先ほど来複数の委員から御指摘の出ている点と重複いたしますが、5ページの12の(3)の③の部分でございます。先ほど家原委員から、小児がん等については、これは研究の継続と公開という点において死活問題だとの御指摘がありましたが、まさにそのとおりと私も感じておりまして、小児がんに加えて希少がん等においても同様の状況があるわけでございます。
質問でございますが、例えば院内がん登録の情報公開、例えば国立がん研究センターのがん対策情報センターがん情報サービス等において同様の指摘があった際に、診療情報の公開に当たって、やはりこういった希少がんの医療機関別の受診者数等を知りたいとのニーズが患者さんからあるということが議論になった際に、個人情報保護委員会等の見解として、例えば1から3、4から6、7から9という形であれば可能ではないかとの見解が出されたと聞いておりますので、何らかの形でそういった可能な範囲で公開するという方向でぜひ検討いただきたいと思います。
以上でございます。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。
黒田委員、お願いします。
○黒田委員 済みません。
まず、論点整理するために2つ質問があるのですけれども、1つ目が、今、議論になっている12の(2)のところで「利用者は、公表予定の内容について、公表まで窓口組織に報告する」とありますが、報告するだけで審査をしないということを意味するのでしょうか。まず1点目の質問はそれです。
2つ目の質問は、3ページの「7.申出文書等の変更」の④になります。「査読の結果待ちなど利用期間の延長を希望する場合」は、(2)に移っていって、(2)は、変更を行う場合、利用者応諾の通知がない限り、当該変更を行った後に情報の利用を行ってはならないということが、応諾の変更、変更を応諾されない限りは査読に出している論文をそこで取り下げろということを意味しているのでしょうか。
その2点、まず教えてください。
○祖父江部会長代理 即答できますか。
○事務局(安藤) 1点目に関しまして、事務局からお答えいたします。
参考資料2、情報の提供マニュアルの21ページをごらんください。「第12 調査研究成果の公表前の確認」という項目がございまして、こちらの3行目、「また」の後ですけれども、「窓口組織は主に以下の点について確認し、必要に応じて審議会等に意見を聴き」と記載しておりますので、必要に応じて審議会等に意見を聞くということにしております。
○黒田委員 後半のほうの御質問にお答えでございます。査読しています、査読が延びました、期間を過ぎました、応諾が出ません。ということは、査読に出している論文は利用中なので、利用してはいけないというルールに基づくならば、その時点で査読に依頼しているのを打ち切って取り下げるというアクションになると思うのです。これを文字どおり解釈すると。どう解釈されればいいですか。
○柴田参考人 柴田から回答させていただきます。
まず、今の、きょう提案させていただいております利用規約の中での矛盾点についてはまた点検して解消させていただきたいと思います。これまでにいただいた御質問の中で、公表の定義ということについて複数いただいていると思いますが、こちらはきょうの御意見を伺って、また、どういう公表が皆さんが望まれているのかということも反映したいと考えておりましたので、まだここについては明確な、こういうものを想定しているというものはございません。そして、査読のある論文というのはその一つの形態だと思っております。
にもかかわらず、この利用規約の中で査読に関する規定がたくさんあることから、皆さんをちょっと誤解させてしまったかと思っています。申しわけございませんでした。ということで、そこの点に関するわかりにくさ、また矛盾に関しては全部整合性を後ほどとらせていただきたいと思います。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。
○黒田委員 済みません。論点整理と申し上げたのはまさにそれで、多分、このマニュアルってプロセスを考えずに書かれていますよね。現時点では。多分、プロセスがどうなるかという、山本先生がおられなくなりましたけれども、NDBを使った申出者として研究させていただいたときに、査読に出す前に1回出しているのですね。多分、査読で意見が出て、こう変えたいんだけどいいのともう一回聞いているようなプロセスがあるので、多分その辺も含めてちょっとプロセスを書いていただく必要があるのかなあというのを感じました。
同じように、12番の(3)の①から⑤ですけれども、これは他の、アメリカの基準を持ってこられたという御議論があるのは承知してございますが、片方で、次世代医療基盤法にかかわる匿名加工医療情報の定義からすると、これはオーバースペックになっていて、ここまで求めてないのですね。それとも、整合性をとらないと行き過ぎになりかねないので、その辺、ほかの関連しているそういう匿名の条件みたいなものと整合とられたほうがいいのではないかなという気がいたします。
以上です。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。参考にしてください。
川本委員、どうぞ。
○川本委員 川本でございます。
2ページ目の「作業委託」のことでございますけれども、(1)に「提供された情報を用いた調査研究の主要な部分を委託してはならない」ということで、この主要な部分というところに関しては、それぞれの判断、利用の依頼、申出者が判断するということでよろしいでしょうか。その辺のときに非常に判断が分かれるところが出てくるかと思いますので、慎重に御検討、よろしくお願いいたします。
○祖父江部会長代理 丸山委員、どうぞ。
○丸山委員 お尋ねしたいのですけれども、今の5ページの「成果の公表」のあたりでも、あるいはそれ以前にも「応諾された場合を除く」という言葉がよく出てくるのですが、この応諾という言葉の意味がちょっとわからないので調べてみると、参考資料2のところで幾つか出てくるのですが、参考資料2、情報の提供マニュアルでは、提供依頼申出に対する応諾、あるいは応諾しないというような使い方しかないのです。しかし、今の資料4では、同意された場合を除くというような使われ方でないのかなと。この提供申出がオーケーされた場合という意味での使われ方ではないのではないかと思うのですけれども、このあたり、ちょっと基本的なところ、レベルが低くて申しわけないですが、教えていただければと思います。
○祖父江部会長代理 これはどうでしょう。
どうぞ、事務局。
○事務局(安藤) 事務局でございます。
原案の中で全て応諾された場合と記載しておりますのは、基本的に審議会等の意見を聞いた上で、厚労大臣ですとか国立がん研究センター、都道府県知事が可と判断するか否かと判断するかということについて、全て応諾という言葉を使っておりますので、例えば利用規約のこの5ページ、12番の「成果の公表」につきましても、過去の応諾された場合を除くといいますのは、審議会等で可と判断された場合を除くと考えていただきたいと思います。
ですので、その点は、先ほどの家原委員などの御意見にもありましたとおり、例えば②の1件以上10件未満の話ですけれども、原則として秘匿としますけれども、そういう希少がんですとか小児のがんという集計の中で10件未満になってくる場合が多いと思います。そういう場合についてどう公表していくかというのは、審議会等に意見を聞いて、最終的に、その上の厚労大臣、都道府県知事などが判断して公表につなげていくと御理解いただければと思います。
以上です。
○祖父江部会長代理 丸山委員、どうぞ。
○丸山委員 そうなると、今の御説明だと、個別の事項について、例えば今の5ページの「成果の公表」の①、②、⑤までのこの個別の事柄についてはオーケーかどうかという趣旨で応諾という言葉を使われているのですね。マニュアルのほうは、より限定して、提供依頼申出を認めるかどうかの場合しか使ってないのですね。だから、使い方が違うのかなあという感じがするのですけれども、そのあたり、いかがですか。
○祖父江部会長代理 事務局、どうぞ。
○がん対策推進官 御意見ありがとうございます。検討させていただきます。どういう言葉にするか、別の言葉を使うかも含めて、わかりやすい形で整理できればと思っております。
○祖父江部会長代理 山中委員、どうぞ。
○山中委員 先ほどから幾つか御意見が出ております5ページの(3)の②のところですけれども、確かに希少がんとか小児がんについてはこれと同じような対応をされると厳しいというのはもう御意見が出ているところですけれども、一般的ながんでありましても、私どものように、地方においては、市町村別、特に村単位でこのように分析された場合には、1件とか2件ということもあり得るだろうなと思いますし、その場合にはもう個人を特定されてしまう可能性もあるのではないかと危惧しております。そういった場合、保健所なんかでは、市町村別で1となる場合は、医療圏単位で、圏域別で分析するというようなことで、なるべく1にならないような、また、市町村が特定されないその地域でというような分析もしておりますので、そこはやはり配慮していただいた形での、秘匿というのはやはり研究者の方々からすると余り好ましくない表現かとは思いますけれども、なるべくそういう数字にならないような工夫を分析においてはやっていただくという必要はあるのではないかと思います。
○祖父江部会長代理 ありがとうございます。
名越委員、どうぞ。
○名越委員 4ページ目の上から3行目ですけれども、非常に細かい点で申しわけないですが、「期限内に」という言葉が使われています。これは恐らく期限内に応諾を得るという意味だと思うのですけれども、、これが「期限内に申出文書を提出し」というふうに解釈されますと、期限内に応諾が間に合わない場合は研究の空白が出てしまうので、「期限内に応諾を得るものとする」と、「期限内」を「応諾を得るものとする」の前に持っていっていただいたほうがよろしいのではないかと思います。
○祖父江部会長代理 ほか、どうでしょうか。
どうぞ、松本委員。
○松本委員 ありがとうございます。
4ページ、「9.監査等」のところで、「指示された適切な第三者により、監査を行う」という表記がございます。この適切な第三者をどういう人を想定しているのかということの確認。ここに患者家族、あるいは国民の代表、そういった人も入る想定でいらっしゃるのかということを教えてください。
○祖父江部会長代理 どうぞ、事務局。
○がん対策推進官 御意見ありがとうございます。監査については、具体的にどういうやり方にするか、まさに今検討中でして、こちらについてもまた後ほどお示しさせていただきたいと思っています。どういった形になるか、これからお示ししようということで検討いたします。
○祖父江部会長代理 大分疲れてきたという感じでありますが、では、またお気づきの点は直接事務局にお知らせ願うとして、きょういただいた意見を事務局と参考人の先生のほうで整理していただいて、次回以降提示していただくということでお願いします。
それでは、議題としては、あと「その他」がありますけれども、その他として何か御意見のある委員の方はおられますでしょうか。
ないようでしたら、本日の議論はこれまでとしたいと思います。事務局においては、本日の議論を踏まえて次回の部会に向けて必要な作業をお願いします。
最後に、事務局より連絡事項をお願いいたします。
○がん対策推進官 本日は長時間にわたりまして御議論いただきまして、本当にありがとうございました。次回のがん登録部会の開催につきましては、決まり次第御連絡をいたします。
また、机上ファイルに関しましては、次回以降も使用いたしますので、そのまま机上に置いてお帰りいただきますようよろしくお願いします。
事務局からは以上です。
○祖父江部会長代理 それでは、本日の部会はこれで終了したいと思います。委員の皆さん、長時間にわたりどうもありがとうございました。
 

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