第9回厚生科学審議会がん登録部会(議事録)

健康局がん・疾病対策課

日時

平成30年1月18日(木)15:00~17:00

場所

厚生労働省 18階 専用第22会議室

議題

(1)全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会の設置について
(2)国立研究開発法人国立がん研究センターに設置する「合議制の機関」に関する規定内容(修正案)について
(3)全国がん登録における個人情報保護のための安全管理措置マニュアル改訂(案)について
(4)全国がん登録 情報の提供マニュアル(仮称)(案)について
(5)その他

議事

            

○事務局(安藤) 定刻となりましたので、ただいまより「第9回厚生科学審議会がん登録部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、まことにありがとうございます。健康局がん・疾病対策課、安藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
初めに、本日の委員の出欠状況でございますが、本日は家原委員、坂元委員より御欠席の連絡をいただいております。また、川本委員、本田委員、丸山委員より、遅れて御到着との連絡をいただいております。
また、前回より新たに加わっていただいておりましたが、御欠席のためお名前だけ御紹介させていただいた委員がいらっしゃいます。本日、改めて御紹介いたします。
青森県中南地域県民局地域健康福祉部長、山中朋子委員です。どうぞよろしくお願いいたします。
本日のがん登録部会の委員定数24名に対しまして、現在出席委員が19名でございますので、議事運営に必要な定足数13名に達していることを御報告申し上げます。
本日は3名の参考人に御出席をいただいております。
国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センターのセンター長、東尚弘参考人です。
全国がん登録室室長、松田智大参考人です。
全国がん登録分析室室長、柴田亜希子参考人です。
それでは、以降の進行は辻部会長にお願いいたします。
○辻部会長 それでは、皆様、本日もどうぞよろしくお願いいたします。
最初に、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○事務局(安藤) それでは、資料の確認をさせていただきます。
上から座席表、議事次第。
資料1 厚生科学審議会がん登録部会運営細則改正(案)
資料2 全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会設置について(案)
資料3 全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会運営細則(案)
資料4 国立研究開発法人国立がん研究センターに設置する「合議制の機関」に関する規定内容(修正案)
資料5 全国がん登録における個人情報保護のための安全管理措置マニュアル 第1版 改定版(案)
資料6-1 全国がん登録 情報の提供マニュアル(仮称)(案)
資料6-2 全国がん登録 情報の提供マニュアル(仮称)(案)様式集(案)
資料7 ICD-O-3(3.1版)について
参考資料1 厚生科学審議会がん登録部会委員名簿
また、委員の皆様の机上には、参考資料1~13をファイルにまとめてとじておりますので、御確認いただければと思います。
資料の不足・落丁等がございましたら、事務局までお申し出ください。
以上をもちまして撮影を終了し、カメラをおおさめいただきますよう御協力をお願いいたします。
○辻部会長 資料等に問題ございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入りたいと思います。
議題1「全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会の設置について」、議題2「国立研究開発法人国立がん研究センターに設置する「合議制の機関」に関する規程内容(修正案)について」の2つを一括して議論したいと思います。
最初に、事務局から資料1~4について御説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局の安藤でございます。
まず、資料1「厚生科学審議会がん登録部会運営細則改正(案)」をごらんください。こちらは、第1回がん登録部会で既に御了承いただいたもので、がん登録部会の下に委員会を置くときの細則となっております。今回、第8条のところで担当課室名の変更が必要となりましたので、「がん・疾病対策課」と修正させていただきたいと思います。
本細則の改正につきましては、部会の了承が必要となりますので、よろしくお願いいたします。
また、資料2、3については、この細則に基づき設置を予定している委員会についての説明となります。
では、資料2をご覧ください。第8回がん登録部会では、全国がん登録情報の匿名化された情報の提供を行おうとするときに、国立がん研究センターが意見を聞く先とされている合議制の機関を国立がん研究センターに置くことについて御了承いただきました。今回は、全国がん登録情報の匿名化されていない情報の提供を行おうとするときに意見を聞く先として、全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会を設置することについて、お諮りしたいと思います。
まず「1.設置の趣旨」についてです。がん登録等の推進に関する法律では、厚生労働大臣が全国がん登録情報又は特定匿名化情報をみずから利用しようとするとき又は提供を行おうとするときに審議会等、つまり厚生科学審議会の意見を聞かなければならないとされております。このため、厚生労働大臣が意見を聞く審議会等として、厚生科学審議会がん登録部会に「全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会」を設置することを趣旨といたしました。
「2.委員会の検討事項」です。設置の趣旨でも御説明いたしましたとおり、全国がん登録情報の匿名化されていない情報の厚生労働大臣の利用と提供についての審議をしていただきたいと思っております。
「3.委員会の構成」です。こちらの委員会は、資料1でお示しした厚生科学審議会がん登録部会運営細則第2条に基づき、厚生科学審議会の委員、臨時委員または専門委員の中から部会長が指名する者により構成することといたします。基本的には、本部会の委員の皆様に御協力いただきたいと考えておりますが、具体的な人数ですとか、どなたにお願いするかにつきましては、今後検討し、御連絡する予定でございます。
「4.その他」につきましては、委員会の運営に必要な事項は、委員長が定めるとしております。
続きまして、資料3をご覧ください。資料2で御説明した全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会運営細則(案)でございます。こちらは最終的には審査委員長決定で定められるものでございます。
まず、第1条「目的」、資料1でお示しした厚生科学審議会がん登録部会運営細則に基づき設置される全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会の運営に関し、必要な事項を定めることを目的といたしました。
第2条、第3条につきましては、資料2で御説明したとおりです。
次に、第4条「委員の留意事項」です。委員会委員は、みずからまたはみずからが所属する機関(例えば所属する機関が大学の場合には所属する学部、研究学科及びまたは研究室等を含む)に関する審議等に参加することはできないとさせていただきました。
また、2項で、前項の規定にかかわらず、委員長が必要と認めた場合にあっては、当該委員は、前項に規定する審議等に参加することができるとさせていただきました。
次に、第5条「会議等の非公開」についてです。委員会の会議及び会議資料は、知的財産権及び個人情報の保護等の観点から、原則非公開とさせていただきます。こちらは、第8回がん登録部会で、合議制の機関の規定内容(案)をお示しした際に御意見をいただいたものでございます。基本的に審査委員会では研究者の方々の研究アイデアなども提示されますので、原則非公開とし、次の2項にあるとおり、委員長が認める場合には公開もあるということにいたしました。
第6条は「議事録」、第7条は「議事の特例」、第8条は「委員会の庶務」、第9条は「雑則」ということで定めております。
続きまして、資料4をごらんください。第8回でお示しした全国がん登録情報の匿名化された情報の提供についての審議を行う合議制の機関に関する規程内容を、前回の御意見を踏まえて今回、修正案として改めてお示しいたします。修正箇所は赤字となっております。
まず、合議制の機関を国立研究開発法人国立がん研究センターに設置することを前回御了承いただきましたので、表題、第3条に追記をしております。
次に、第4条第4項で「その他委員会で審議すべき事項」というものを追記しております。
おめくりいただきまして、第6条「委員の留意事項」ですが、資料3で御説明したとおりの留意事項でして、同様のことを定めております。
ここで、第3項をご覧ください。委員の秘密保持について記載をしております。こちらは先ほどの資料3の審査委員会の運営細則にはございませんでした。厚生科学審議会の委員、臨時委員、専門委員の皆様は、非常勤の国家公務員と判断されております。そのため、国家公務員法第100条に規定された秘密を守る義務が既に課せられておりますので、改めて明記はしておりません。
次に、おめくりいただきまして、第10条をごらんください。こちらも先ほど資料3で御説明したとおり、会議は原則非公開として定めております。
次に、第12条をごらんください。今回、国立がん研究センターがん対策情報センターがん登録センター全国がん登録分析室で委員会の事務局を置く予定とのことですので、その旨追記しております。
大きな修正は以上となります。
がん登録部会の下に設置予定の審査委員会、国立がん研究センターに設置する合議制の機関は、顕名情報か匿名化された情報かの別はありますが、全国がん登録の情報を提供することについての審議という点では同じですので、原則をそろえた形で今回同時にお示ししました。形式や細かい事項につきましては、厚生科学審議会の定めの中で設置される委員会と新たに国立がん研究センターに設置する委員会では、それぞれ異なる場合もございますので、その点、御理解いただきますと幸いです。
事務局からは以上となりますが、まず、資料1については改正案の御了承、資料2についてはがん登録部会の下に全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会を設置することについての御了承をいただきたいと思います。資料3、資料4につきましては御意見等をいただけますと幸いです。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま資料1~4につきまして御説明いただきました。これにつきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。どうぞ。
○天野委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
1点、意見がございます。今回のお示しいただいた案の中で、それぞれ知的財産権及び個人情報の保護等の観点から議事を原則非公開とするという点は理解できる部分がございますが、一方で、ここで扱われる情報は、がんの患者さんの情報であります。その観点から1点意見を申し上げたいのが、情報を使われるがんの患者であるその当事者、すなわちがんの患者、家族または遺族の立場の方が何らかの形でそれぞれの会議体の構成員として入ることを御検討いただければと思います。
私からは以上でございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか御意見ございますか。どうぞ。
○友岡委員 資料4の件に関して、字句に関しての若干の質問ということになりますけれども、前回の続きからすると、会議の非公開というのは非常に重要な話だということがあったので、そういう趣旨で私は10条を読ませていただきました。そうすると、多分これに関しては資料3と平仄を合わせておられるということで、文言も資料4における10条に関しては資料3と一緒ということを理解しました。そのような趣旨で申し上げるのですが、第10条を読ませていただくと、2項のほうで支障がないと認める場合と。このように書いていると、読み手としては、支障がないかどうか判断したら、なければオープンになる。逆に言うと、それは原則公開かなと一瞬条文的には読めそうな感じがするのです。
そういった意味で、10条の1項と2項の関係がややわかりにくい。3項が2項のみに係っているということがあるので、その相関関係を簡単で結構ですから、もしおわかりになればということで、そういった意味では、非公開を原則としているという趣旨がここからわかればそれはそれでいいと思いますが、条文との関係で、今後、運用という意味でも若干気になりましたので、その点を教えていただければ幸いです。
○辻部会長 どうぞ。
○がん対策推進官 御指摘ありがとうございます。御指摘のとおり、原則非公開ということで条文を書いております。ただ、書きぶりについてはまた御意見を踏まえて、こちらで検討したいと思っております。
○友岡委員 ありがとうございました。
○辻部会長 ほかにどなたか。丸山委員、どうぞ。
○丸山委員 資料3の第4条なのですが、第1項で所属機関の審議には参加できないとあって、第2項で、しかし、委員長が必要と認めたら審議に参加できるというのは何か据わりが悪い。同じ規定が資料4の第6条第2項にもあるのですけれども、関係する議題のときに当該委員が委員として参加できないというのは倫理審査委員会の規定などによくあって、代表的なものとして、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針などを見ますと、こちらは審議に参加できるとは書いていなくて、必要があるときは、あるいは委員長が求めるときは説明を行うことができるというような規定になっていますから、第1項で審議には参加できないと、第2項で文案としては、当該委員は委員長の求めに応じて委員会に出席し説明を行うことができるというような規定にされればいかがかと思いますので、資料3の4条2項、資料4の6条2項を御検討いただければと思います。
○辻部会長 この審議等に参加するというのが、最終的に議決をとったときに参加できるかという話も内包してしまいかねないという点でございますね。
○丸山委員 議論、内容の賛否に参加するというのは第1項で認めずに、だけれども、説明してもらうとかいうようなことは必要に応じてしてもらわないといけない場合があると思いますので、そういう書きぶり、たてつけにしておいたほうがいいのではないかということです。
○辻部会長 いかがでしょうか。
○がん対策推進官 御指摘のとおりだと思いますので、検討させていただきたいと思います。
○辻部会長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。亀井委員、どうぞ。
○亀井委員 今の第4条に関連してですが、第1項の所属する機関の括弧の中をどう理解していいかわかりませんので、それを確認させていただきたいのですが、「例えば」のところです。所属する機関が大学の場合には所属する学部等と書いてありますが、これは、大学でみずからが所属しない学部の場合は含まれないということなのでしょうか。所属する機関が大学の場合には、所属する学部、研究学科及びまたは研究室等を含むと書いてありますけれども、同じ大学でみずからが所属しない学部というのは含まれるのか、含まれないのかというところです。ちょっと文章から読み取れなかったので、済みません。
○事務局(安藤) こちらの文面から申しますと、自分が所属される学部と別の学部の方のお申し出については、参加することはできると読めることにはしておりますけれども、こちらはNDBの有識者会議を参考としておりまして、実際にそちらの審査では、別の学部の方でも対外的に見てかかわりがあるのではないかと思われるようなことを心配される場合ですとか、その時の状況等で委員の方の御判断や御相談というところで出席するかどうかを決めているそうですので、がん登録に関しましても、そのような形で運用していきたいと思っております。
○亀井委員 わかりました。
○辻部会長 山本先生、それに関して何かございますか。
○山本委員 今、事務局の説明した通り、NDBの有識者会議では、一応原則はこうしていますけれども、大学もいろいろで、いろいろな学部の構成があって、全く無関係と言えない場合には出席を遠慮願っている。実際それを委員で審議してやるのではなくて、その担当といいますか、該当委員の方のほうから、自分はこの計画に関与したので退席したほうがいいのではないかというような申し出があることが多いですけれども、そのように運用しています。
○亀井委員 あくまでも本人がかかわっているかどうかという点で判断するということですね。わかりました。
○辻部会長 永井委員、どうぞ。
○永井委員 先ほどの友岡委員と同じような感じなのですけれども、資料3の4条2項の委員長が必要と認めた場合とか、資料4の10条2項の支障がないと認める場合とか、こういう文面、書きぶりなのですが、では、認める場合とは具体的にどういう内容なのかというのがいまいちはっきり見えないのです。このあたりは中でいろいろな議論をしていくということなのですか。何をもって必要と認める、何をもって支障がないと認めるというのは何かあるのですか。
○辻部会長 どうぞ。
○がん対策推進官 それはまさに個別の事例ごとに御判断いただく。ですから、先ほどの御説明でもあったように、それぞれいろいろな研究機関や大学がある中で、その当該研究に関して何が必要なのか、何が支障があるのかというところは個別に御判断いただきたい。そこはまさに委員長に御判断いただく部分なのかなと考えております。
○辻部会長 山本先生、どうぞ。
○山本委員 先ほどのNDBの有識者会議では、支障がない場合というのは、知的財産権にも関係なくて、個人情報保護にも関係がない場合は基本的には支障がないと判断をするわけで、そのどちらかに関与している場合はだめだということになります。
○永井委員 それは文面にきちんと文言として入っているわけですか。
○山本委員 そういうことがわかるような申請書を書いてもらうようにしています。
○永井委員 わかりました。
○辻部会長 ついでに質問してよろしいですか。NDBの場合は、知財にも問題がなく、個人情報にも問題がなければ、原則開示になるのですか。
○山本委員 原則非開示で、特に公開を必要とするような要件が別にあった場合に初めて検討するわけです。仮に個人情報保護法上でも知的財産権でも問題がなくても、特段これを公開しなければならないという要請がなければ、通常は非開示で行っています。
○辻部会長 要請があった段階で考えるということですね。ありがとうございました。
先生、それでよろしいでしょうか。
○永井委員 いいです。
○辻部会長 ほかにどなたかございますか。よろしいでしょうか。
それでは、一つずつ確認していきたいと思いますけれども、まず、資料1、名称の変更ということで、これはこのとおり改正案を部会として了承ということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、資料1の厚生科学審議会がん登録部会の運営細則については、こちらの改正案で部会として了承ということにいたします。
続きまして、資料2でございますけれども、当部会の下に審査委員会を設置することについて、部会として了承するということでよろしいでしょうか。
ありがとうございます。それでは、全国がん登録情報の利用と提供に関する審査委員会の設置について、部会として了承ということにいたします。
資料3の運営細則、資料4の規程内容についてでありますけれども、本日のご意見を踏まえ、事務局で整理し、運営細則、規程内容は部会長預かりとさせて頂いてよろしいですか。その上で、運営細則につきましては、実際にはこの委員会の委員長決定ということですので、委員会設置のときに改めて御呈示して、規程内容につきましては、必要な手続を経た上で、国立がん研究センターのほうで規程として定めていただくことにしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
では、議題3に移りたいと思います。議題3「全国がん登録における個人情報保護のための安全管理措置マニュアル 第1版 改定版(案)について」、参考人の国立がん研究センター、松田室長より資料5の説明をお願いいたします。
○松田参考人 改めて、松田と申します。よろしくお願いいたします。
本マニュアルについての経緯をお話しいたしますと、平成28年6月にこのマニュアルを公表いたしまして、都道府県47カ所のがん登録室においてデータを病院から収集して入力し、照合等をするに当たって、いかに安全にがん登録情報、特に個人情報を管理するかについてまとめたもので、既に運用しているものですけれども、幾つか内容について改定をすべきところが見られまして、それについて今回、改定版をこの部会において皆様方に回覧して、改定版の発行を承諾いただきたいという経緯になっております。
安全管理措置そのもののポリシーについて何か変更があるわけでもないですし、本マニュアルの構成をがらっと変えたとか、そういうことでもありません。変えた点といたしましては、まず1点目、オンライン届け出が昨年4月から実用化されておりまして、一昨年このマニュアルが刊行された当時は、それについて検討中というか、予定はあったのですけれども、まだ実用化されていなかったので、その部分についてはっきりと明記することといたしました。
2点目です。資料5の39ページ以降、都道府県のがん登録室において準備すべき要領、それから、50ページ以降は、都道府県のがん登録室において準備しておくべき業務手順、こういった例が提示されております。都道府県においてこういった例を参考にして、各自準備する場合が多いのですけれども、この例をそのままコピーして使いますと、本体のマニュアルのほうで要求されている項目が必ずしも満たされない不十分な部分があったり、曖昧な部分があるというような御指摘を都道府県から受けまして、本体のマニュアル、基本対策の部分ときちんと一対一で対応するような形に例示の部分を修正したというのが2点目です。
3点目は、これから部会で議題となっておりますけれども、がん登録データの提供、利用に当たってのマニュアルが整備されております。これについて、がん登録の実際の作業をする都道府県がん登録室においても、例えばデータを作成するですとか、利用者に対してデータを送付するですとか、そういった作業が想定されておりますので、その部分について追記をしたというのが3点目になっております。
4点目は、どちらかというと文章がわかりにくいといった部分について改定したもの、それから、てにをはが一部おかしかったところを改定したもの、そういったところが4点目になっております。
中身について、主な変更点を赤字にしておりまして、今、申し上げた4点目の文章がわかりにくいですとか、てにをはが正しくないといった部分については赤くなっておりません。メーンの部分が赤くなっておりますので、その点、御了承いただけたらと思います。幾つか主な部分を説明していきたいと思います。
まず、資料5の2ページをごらんください。赤字で一番下のほうに、全国がん登録の情報の提供マニュアル、これも仮称となっておりまして、これから定められるものですが、これにおける窓口組織、がん登録を利用したい者、提供を受けたい者が申請をして、その申請書を受ける組織です。この窓口組織について言及をしております。これが2ページです。
ページをめくっていただいて、4ページは、最初に申し上げた1点目、オンライン届け出の実用化がされておりまして、そのシステムとして使っている医療機関オンライン接続サービスについて言及を追加いたしました。
7ページをごらんください。先ほどの3点目に類するものですが、データの提供に当たっての窓口組織においても、きちんと安全管理をするべきであるという旨を追記いたしております。
16ページ、17ページにつきましては、どちらかというと先ほどの4点目なのですが、内容について少し足したほうがいいのではないかというお話を本部会の委員からもいただきまして、また、都道府県の外部監査の事業の中でも指摘があった部分を書き足しております。具体的には、パスワードについて定期的に変更することに関しまして、ユーザーが、頻繁に変更するということが逆効果として簡単に覚えられるものを使うのではないか、もしくは2つ、3つ使い回しをして、パスワードのセキュリティーレベルが下がるのではないかというような御指摘がありました。この点について、そういったことをやめましょうということを基本対策として書きまして、この点でパスワードのセキュリティーレベルを担保するということを考えております。
17ページの上のほうの指摘につきましては、安全管理措置の教育に関して、きちんと教育をして、着任する者はこれを受講することということを定めておりますが、講義の受講だけでは安全管理措置の十分な習熟が担保されないのではないかという御指摘を受けまして、簡単なテストを受講の後に実施した上で、安全管理の想定ポリシーがきちんと頭に入っているかどうかを確認するという作業について、追加をしております。
一番下のほうは、その窓口組織に関する追記です。
20ページは、窓口組織に関してです。データの利用と提供にかかわるものです。
21ページは、審議会、合議制の機関の意見に従って、データの匿名化について、これもこれから審議することになると思いますけれども、匿名データをつくる際には、審議会の指示に従ってデータの匿名化作業を行いましょうということを追記いたしました。
22ページは、実務上で、先ほどのポイントで言いますと4点目に当たりますが、紙資料またはCD等の電子媒体もそうなのですけれども、データを廃棄する際には複数名で実施するということを追記しております。
一番下のほうは、紙資料を廃棄する際に、シュレッダーの規格というのが最近かなり上がってきておりまして、復元が不可能だということが今、規格として実証されているものは、幅1ミリ以下かつ面積10平方ミリメートル以下のものというのが定義されていると聞いております。ですので、紙資料を廃棄する際には、こうした規格を満たしたシュレッダー、もしくは現状、都道府県がん登録室で使っているものはこれを満たしているものが余り多くないと監査の結果等で聞いておりますので、そうした場合には単体でそれだけで処理するのではなくて、そのシュレッダーで一回処理したものを改めて溶解するような二重の処理をした上で、復元不可能もしくは個人情報が漏えいしないということを担保する、そういった表記にしております。
25ページは、都道府県がん登録室から病院等への問い合わせという章になっておりますが、都道府県がん登録室から将来的にデータの提供をする窓口組織への連絡方法について追記をしております。
26ページについても、窓口組織というものを追記しています。
27ページは、1点目、医療機関オンライン接続サービスについての追記をしております。
28ページにつきましても、追加するポイントの1点目、医療機関オンライン接続サービスに関する追記をしております。
それ以降は参考資料といいますか、基本対策を一覧表にまとめておりまして、基本対策中で修正があった項目については赤字で修正をしております。また、チェックリストとしては、一対一で対応しているのですが、この基本対策が都道府県がん登録室においてきちんと守られていますかという質問文のような形で修正があったところについては赤字でチェックリスト、質問文の項目も直しております。
39ページ、50ページ以降は、先ほど申し上げたように、ポイントとしては2になりますけれども、本体のマニュアルのほうと例示している要領、作業手順が必ずしも一致しない部分があると指摘されたところを赤字で直しております。ごらんになっていただければいいと思うのですが、例えば51ページ、作業手順のほうで言いますと、緊急連絡網についてきちんと定めることというのが基本対策には入っているのですが、業務手順としてこれが例示されていないという指摘を受けましたので、この点についてフローチャートのような形で連絡網を表示した上で、速やかに上に連絡をすることという追記をいたしております。
あとの部分は割愛いたしますが、本体のほうで修正があった部分については追記をしておりますし、足りないとされていた部分についても追記をして、マニュアルと業務手順にそごがないように配慮をしております。
以上になります。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま、資料5に基づきまして、全国がん登録における個人情報保護のための安全管理措置マニュアルについて御説明いただきました。これにつきまして、委員の皆様から御意見、御質問をいただきたいと思います。天野委員、どうぞ。
○天野委員 御説明ありがとうございました。
1点質問がございます。4ページの中段の部分で先ほども御説明いただいたように、赤字の部分、電子ファイルを厚生労働省の整備する医療機関オンライン接続サービスを通じて受け取り、または例外的にという形で電子媒体を追跡サービスつき配送にて取り扱うという記載がございまして、ほかのページでも同様の記載ですね。オンライン接続サービスを原則とし、電子媒体や紙を移送する場合には配達記録が残る手段を利用するということが書かれているのです。趣旨としては、安全性を高めるためにオンライン接続サービスを利用することを極力原則とするという趣旨であると理解していまして、個人情報保護の観点からは例外的取り扱いというのを拡大しないでいただきたいと考えますが、この例外的取り扱いとはどういった場合を想定されているのでしょうか。
○松田参考人 現状では、確実にオンライン接続サービスで届け出るということは、ポリシーとしてはもちろん厚生労働省ですとかデータを直接受け取る都道府県がん登録室、国立がん研究センターのほうでも共通意識として持っておりますけれども、実際にオンライン接続サービスを開通させて利用するに当たって、各病院内のネットワークのシステムですとか、さまざまな状況、環境によって、なかなかオンライン接続サービスを開通させてデータを届け出るというのが、全国がん登録システムによって全国がん登録の届け出をする開始に間に合わなかったというところがまだ幾つか病院としては残っております。
こういったところに関して、安全管理措置として、オンライン接続サービスが利用できるまで届け出をするなというよりは、きちんと迅速にがん登録の集計、統計値を出して活用していただくことを優先して、今まで幾つか、例えば追跡可能な移送の方法などを使って安全管理を担保してきた部分がありますので、こういったことを推奨したり容認するわけではないのですけれども、そういったところが間に合わない医療機関においては、この方法によってデータの届け出、移送を行って、がん登録事業について円滑に進めようというような趣旨で書いております。
○天野委員 ありがとうございます。となると、この例外的というのは、現時点での過渡的な状況ということで、いずれは全てオンライン接続サービスに集約されていくという理解でよろしいでしょうか。
○松田参考人 そういう意識で私はおります。
○辻部会長 ほかにどなたかいらっしゃいますか。松本委員、どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。松本です。
患者、家族の立場から、がん登録というものができるだけ円滑に、現場の方々の御負担が過度にならないということは本当に、それで充実していくということは願ってはおりますけれども、やはり個人情報を守るということは非常に重要な点だと思っております。その観点から、25ページ、26ページでの問い合わせについて、これは質問というよりも確認をさせていただきたいと思っております。
原則としては郵送などでということですけれども、電話による照会もあり得ると表記されておりますが、素人ながら考えますと、この電話というのが一番危ういのではないかと思っております。電話での問い合わせは、やはり一定程度必要なのか、それとも電話での問い合わせはもう原則しないと書いていいものなのか。これは現場の御意見も伺いつつ、確認をさせていただきたいと思っております。
○松田参考人 私のほうから、現場の声ですとかこれまでの地域がん登録での安全管理ということを踏まえて御回答申し上げますと、本当に理想的なのは届け出をされるオンラインシステムを使って、例えば電子的なメールに類するようなもののやりとりで問い合わせをするとか、そういった形で閉じた領域でのやりとりがふさわしいとは思いますが、現行、届け出られたがん登録の情報に関して何か疑義があった場合に照会する方法として、郵送ですとかファクス、電話、幾つか方法があるうち、どれが一番確実かといいますと、郵送かということで、それをメーンに書いてはおりますが、必ずしもそれが完全な方法ではないとも考えております。例えば、そういう文章による作業ですと、単純に効率が悪いというだけではなくて、届いた先できちんとそれが担当者に届けられるかどうかということについて、届け出と同じようなやり方できちんと宛先を追跡可能な方法で問い合わせするということは必要だと思うのですけれども、その方法自体が効率を考えた場合にふさわしくない場合、例えばファクスならいいのかという話であれば、誤配送をしてしまう可能性ですとか、出力された紙を誰かが見る可能性もあります。メールについては、誤配送ですとか、メーリングリストや他人が見るようなメールアドレスに配信される可能性もありまして、そういったほかの方法についてのデメリットを考えた場合に、電話というのは、ある一定のここに書かれたような条件を満たせば、必ずしもセキュリティーレベルとしては低くないのではないかという認識で、これまでもこういった条件を満たした場合にのみ可能だと書いております。
幾つか安全管理の観点からセキュリティーレベルを確保したという条件について挙げてあるわけですけれども、監査等の際でも、例えば相手が本当に担当者かどうかということを判断する方法がなかなかないのではないかと。銀行などの照会ですと、例えば生年月日を言うですとか、住所を言うですとか、本人がわかることについては本人確認で答えられるのですが、がん登録の相手となりますと、なかなかそういった個人情報を担当者、お互いが知り得る情報を共有するのは難しいということで、今現在、監査を担当していらっしゃる先生方からいただいている意見としては、例えば、届け出情報を送付した日付ですとか、その封筒に入っている枚数ですとか、送った担当者、受け取った都道府県がん登録室の実務者のみが知り得る情報をお互いに交換した上で、かつ、電話上では、例えば山田さんという担当者であれば、何となく山田さんの声であるというような、それ自身は確実ではないですけれども、そういうことを確認した上で、電話上で、もちろんがんの情報についてやりとりする際に必要以上の患者さんの情報を電話口で大声でやりとりするわけではなくて、例えば患者番号ですとかカルテ番号、そういったもので極力、登録室内であっても患者情報について音として発しないようなやり方でやる限りにおいては、電話というのは方法論としては残しておいたほうが、がん登録事業自体を円滑に進めるためには必要ではないかと私は考えております。
○辻部会長 よろしいですか。どうぞ。
○薄井委員 ありがとうございます。
非常に瑣末なことかもしれませんが、17ページに人的安全管理対策とありますね。こういう情報漏えい等々は人に依存してくるので、教育は非常に大事だと思うのです。ここに赤字でテストという言葉がいっぱい入っておりますけれども、テストするのはいいのですが、テストをしたということでそれだけ評価にならないのですけれども、その辺のところをきちんと評価するノウハウみたいなもの、例えばサーティフィケートを出すとか、そんなことも含めて考えていいのでしょうか。
○松田参考人 ここでの表記としては、テストの実施という簡単なものにとどまっておりますが、薄井委員がおっしゃるようにきちんと評価をして、もちろんそのテストで理解が満たなければ再教育をして再試験をするとか、テストについても定期的に繰り返す。テストについてもどんなものでもいいわけではもちろんないと思いますので、例えば例題のようなものを提示した上で、こういったものから出題するとか、そういった質の確保というのは必要だと思います。
○薄井委員 その辺のところは書き込まなくてもよろしいでしょうか。
○松田参考人 そのあたりをきちんと書いたほうがいいという御意見については検討いたします。ありがとうございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか。有賀委員。
○有賀委員 帝京大学の有賀です。ありがとうございます。
質問が2点ございます。1つは、災害等でサーバーダウンをしたような場合には、どのような手順で実施していくことになるのか。それが私の読み込み不足なのか、どちらかに記載されているか、教えていただきたいということが1点。
もう一点が、インシデント・アクシデント報告などを集約させて、それを分析するような機能をどこかに持たせることが予定されているかどうかを教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○松田参考人 本マニュアルにつきましては、都道府県がん登録室において実務の立場の職員が対応するマニュアルとなっておりまして、有賀委員の今の御質問でいいますと、かなり大部分は、システムのほうでいかにそういった対応ができているかということになっているかと思います。災害等でシステムがダウンした際にどうなるかという話でいいますと、全体のシステム自体が冗長化されておりまして、片方のシステムがダウンした場合でも、遠隔地にあるほかのサーバーにおいて作業を続けることができるような仕組みになっております。このマニュアル上ではそういったシステムの仕様についてきちんとした書き込みはされていないのですけれども、システムとしては担保されております。システム、サーバー、もしくはクライアントからの操作について、遠隔のきちんとした監視、モニタリングが随時されておりまして、何かしら問題があった際にはアラートが出て、遠隔地できちんとモニタリングをしている業者からの連絡があって、しかるべき対応がされることになっています。
○東参考人 1点補足です。がん登録センター長の東ですが、システムの件については、BCPのルールを国立がん研究センターのほうで整備いたしまして、別途まとめている状況です。ありがとうございます。
○辻部会長 よろしいでしょうか。
ほかにはどなたかいらっしゃいますか。まだですか。
○有賀委員 先ほどの2つ目のインシデント・アクシデント報告等を集約させて改善計画を立てるような機能をどちらかに持たせるような予定はありますでしょうか。
○東参考人 何かしらのインシデントが起きた場合ということに関しては、緊急連絡網を整備しておりまして、厚生労働省と我々のほうで流れをフロー図でまとめております。そもそもこのシステムの流れというものについては、都道府県のほうで管理をされている部分はシンクライアントということで、そちらには余り何も残っておらず、中央のほうで全て整備をしているというシステムになっております。もちろん、何かが起きたらそれは検討するという体制はとっておりますけれども、何か起きるのはできるだけ少ないようにという設計もしている状況です。
○辻部会長 よろしいですか。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。黒田委員、どうぞ。
○黒田委員 16ページ、先ほどちらっとお話のあったパスワードの定期変更の話ですが、厚生労働省の中で一般的に使われている情報システムの安全性ガイドラインにそこが書いてあるので、上位規程の縛りからするとそうならざるを得ないという議論は組織全体としての一つの固まりとしてはわからなくはないのですけれども、根本的な話として、2015年9月には、総務省の下部機関のIPAがパスワードの定期変更をするべきだという文言を既にレコメンデーションから外していて、2017年にはアメリカNIST、アメリカのセキュリティーに関すること等を述べているところが、パスワードの定期変更はshould not、求めるべきではないという表現をしているという事実が現実の問題としてはあります。やはりそのあたりはちょっと、全体として統一して考えられて一つの筋を通すのは大事なことですけれども、一番根本のところからそのありようを考えていただかないと、技術的に正しくない議論を強くいろいろなところに書き込んでいくのは正しくないかと思います。ここだけで議論することではないですが、全体の問題として、厚生労働省全体で考えていただければと思います。
○がん対策推進官 御指摘ありがとうございます。しっかり受けとめて検討したいと思います。
○辻部会長 山本先生、どうぞ。
○山本委員 今、黒田先生がおっしゃった安全管理のガイドラインの最新版は、そもそもパスワード認証をやめるべきであるということを大前提にしているのですね。セキュリティーというのはやはり人間が問題なので、その人間側にある程度は強制できても、どうしても絶対守れないところが出てきますし、絶対守れないようなことを進めるというのはそれこそセキュリティーの穴になってしまうのですね。
今の医療情報システムの安全管理のガイドラインは、10年以内に二要素認証に切りかえなさいと、10年後にはそれを必須にしますということを去年、宣言しているのです。10年というのは、一般には病院における病院情報システムですから、病院が自分たちのお金でそのシステムをリプレースしていきますので、そのリプレースするタイミングではないときにそこを変えるというのは相当な負荷になってできないと思いますので、次のリプレースのタイミングで必ず変えてくださいということをお伝えしているのです。
そういう意味では、黒田先生のおっしゃることも一理ある。一理だと思いますけれども、当面はこれで進むとしても、早い時期にパスワードの強度に余り依存しないような確実な認証方式に切りかえていくという全体としての方針は必要だと思うのです。このシステム自体はがんセンターにほとんどのシステムがあって、クライアント側はほとんどシンクライアントですから、そういう意味では、普通の病院の病院情報システムや電子カルテを変えるよりははるかに簡単に変えることができると思いますので、そういった方針を共有しておいた上で、現状はやむを得ないのでこうするという形にしておくほうがいいのではないかと思います。
○辻部会長 ありがとうございました。そのようにまた御検討いただければと思います。よろしくお願いします。
ほかにどなたかいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。
それでは、御意見をいろいろいただきましたので、事務局におかれましては、今、先生方からいただいた御意見を踏まえて最終調整を行っていただいて、本マニュアルの改定版の発出について準備を進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
それでは、議題4「全国がん登録 情報の提供マニュアル(仮称)(案)について」、参考人の国立がん研究センター、柴田室長より資料6-1、資料6-2の説明をお願いします。
○柴田参考人 柴田より、資料6-1と資料6-2を適宜参考にしながら御説明させていただきます。
第8回がん登録部会では、全国がん登録情報の提供に関しての骨子案を見ていただきまして、それについて御意見をいただきました。今回は、そこでいただいた御意見を踏まえながら、それを全部文章化して最終稿に近い形に初めて御提案さしあげるものです。ただし、骨子案でもかなり内容に踏み込んで御説明をして御意見をいただいていましたので、その修正、骨子案で御説明した中からの大きな変更があるところに限って、今から中心的に御説明してまいります。
まず、タイトルなのですけれども、「全国がん登録情報等の利用と提供に関するマニュアル」というのが骨子案でお示ししたときのタイトルになりますが、今回は「全国がん登録 情報の提供マニュアル」とさせていただいております。こちらは、がん登録推進法上、情報を利用できる者は厚生労働大臣と都道府県知事だけであって、ここは一般の利用という言葉からイメージするものと法律上の言葉が、乖離はされると思うのですけれども、紛らわしいので、本マニュアルにおいては、まず提供ということを主体に置いていますということを明確にするために、提供マニュアルとさせていただこうということでタイトルの変更を提案しております。
ただ、厚生労働大臣と都道府県知事が情報をみずから利用する状況もありますし、その場合にはここで決めた「全国がん登録 情報の提供マニュアル」の内容に従って、厚生労働省と都道府県知事、都道府県がみずから内規等をつくって、それに沿った形で利用していただくことを想定しています。
そして、小さなことでございますが、全国がん登録、スペース、情報の提供マニュアルという形で表記させていただいていることについては、ちょっとみっともないのではないかという御意見をいただいているのですけれども、こちらは先に公開しております全国がん登録の届け出マニュアルも同じような形で、全国がん登録、スペース、届け出マニュアルという形で表現していますので、それと表記をそろえてのことでございます。何かいい案がございましたら採用させていただきますので、小さなことですけれども、御意見いただければと思います。
続きまして、中身に入りたいと思います。
大きな変更点の2点目は、「第2 用語の定義」、1ページになります。用語の定義の中でも、第8回の提案のときには、法律において使用する用語の定義の再掲はしていなかったのですけれども、本マニュアルだけで用語の定義がわかるほうが簡単ですし、親切だろうという意見を多くいただきました。そこで、法律の条文そのままの定義を使っているものについては、引用元の条文番号とともに、今回再掲しております。本マニュアル独自に定義する用語としましては、「(6)情報」「(8)提供依頼申出者」「(9)利用者」「(10)審議会等」「(11)定義情報等」「(12)電子計算機」がございます。第8回部会において用語の使い分け、統一をしてください、あとは「等」に含まれる内容が明確ではないところがありますという御意見をいただいたことを受けまして、この用語の定義を改めて整理しております。特にたくさん御意見をいただきました「(8)提供依頼申出者」と「(9)利用者」という文言については、提供の承認というポイントを境に使い分けるように、今回、意識して使い分けをしております。
続きまして、3ページの「第3 情報の提供に当たっての事務処理要綱の作成」については、大きな変更はございませんが、第3の2の2つ以上の都道府県の都道府県がん情報の提供について、以前はそこで共管するという言葉を使っておったのですけれども、全国がん登録においては共管するという言葉は不適切でしたので、見直させていただいて、より具体的な今回の表現にさせていただいております。
次に、「第4 事務処理の流れの概要」、タイトルだけ先に申しますと「第5 運用体制等の整備」「第6 情報及び定義情報等の保管、整備」「第7 事前相談への対応」につきましては、骨子からの大きな変更はございません。用語の統一、表記の平易化の修正をしております。ただ、例えば「第5 運用体制等の整備」について、4ページをごらんください。こちらは窓口組織の十分な個人情報保護体制を求める記述の追加をという意見を第8回部会においていただいておりましたが、全国がん登録の業務にかかわる全ての者にがん登録推進法が定める情報の保護等に関する規定が適用されますことから、全国がん登録における個人情報保護のための具体的な安全管理措置については、先ほど説明のあったとおり別途のマニュアルが整備されておりますこともあり、ここではそういうことの明記をする対応とさせていただきました。
つまり、全国がん登録の業務にかかわる全ての者に法律の中での秘密保持義務等の規定が適用されること、そして、通常業務においては全国がん登録における個人情報保護等のための安全管理マニュアルに基づいて行うということで、個人情報に十分配慮することがわかるようにさせていただきました。
次に、「第6 情報及び定義情報等の保管、整備」につきまして、第6の当該機関内における情報及び定義情報等の存在の有無、所在とその保管状況をまとめる案を資料6-2、様式第1号のように、具体的にはこういうものが保管情報等のリストですよということを示しております。今ここには本当に少数のものしか準備しておりませんけれども、これから全国がん登録情報及び匿名化が行われた情報が具体化してきましたら、ここに管理リストが追記されていくことになり、提供に携わるところでは、少なくとも年に1度はこのリストの見直しをして管理していくことになります。
続きまして、5ページをごらんください。「第8 提供依頼申出者からの申出文書の受付」については、今回、骨子案から大きな修正を幾つか御提案させていただいております。特に第8の「2.提供依頼申出者の別と利用目的」、8ページの「(4)同意について」を追記させていただいております。当初は法律施行以前の調査研究への情報提供を想定した同意代替措置に関する記述を主体に検討していたのですけれども、がん登録推進法上の同意の考え方の明記も必要ではないかという御意見を承りましたこともあり、また、小児等の代諾についてもどう考えたらいいのですかという御意見をいただいたこともありまして、こちらにそのことについて明記する項を追加しております。
がん登録推進法上の同意の考え方は、提供される情報が要配慮個人情報にもかかわらず、本人同意を必要とせずに実際的に収集されている特別な情報で、その情報の二次利用に当たる提供に当たっても、最も明示的な本人同意を要するのではないかということで、そういうスタンスでこの同意の取得については書面上の同意を求めるということを明記させていただいております。
また、小児がん患者等の代諾者からの同意の取得が必要な場合については、このことについて現時点で最も明確な指針が示されているものは、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針でありまして、そちらの考え方に準じてはどうかということを御提案させていただいております。
こちらが同意に関する御説明になります。
次に、10ページの第8の「3.申出文書に記載を要する事項」の「(2)情報の利用目的」に記載していただく内容に変更がございます。詳しくは、11ページの「(2)情報の利用目的」をごらんください。窓口組織や審議会等が当該申し出について提供できる根拠と提供できる情報に矛盾がないかを判断するためには、当該申し出文書に記載を裏づける研究計画書等の確認がどうしても必要になるのではないかと考えまして、こちらで申し出時に必要な添付していただきたい書類として研究計画書等を位置づけております。詳細な研究計画書等があれば、申し出文書の利用目的欄の記載は簡単にできるという運用の仕方で、提供依頼申出者の書類作成に係る手間を省くという狙いもあってのことです。
また、法第21条に規定されている目的の調査研究である場合、これが行政利用以外の一般的な全ての人に対する情報提供の形になるのですけれども、当該研究計画についての倫理審査委員会での審査状況の確認を新たに提案しています。これは申し出に係る調査研究に倫理審査委員会の承認を必ずしも求めるものではなく、ここで問うのは、今この申請の段階で、提供申出の段階で当該研究結果について倫理審査委員会での審査状況はいかがですかというものを問う内容になっています。
次に、「(6)利用期間」には、第8回部会で御意見を伺ったのですけれども、長期大規模コホートの研究におけるリンケージ番号の保管の特例について、場所をここに移して記載させていただいております。「なお」以下のところに、なお、長期大規模コホートの研究など、提供時に割り振られた番号などの保管を願い出たい場合には、その旨申請し、審査委員会の意見を聞くこととするという形で表現させていただいております。
次に、「(7)利用場所、利用する環境、保管場所及び管理方法」になりますが、ここについては、提供依頼申出者の利便を考えて、個人情報保護のための具体的な安全管理措置の追記をしてはどうかという御意見をいただいておりましたが、こちらも全国がん登録では別途、個人情報保護のための具体的な安全管理措置マニュアルが整備されていることから、その必要箇所を引用した本マニュアル、別添をつくる形で、いただいた御意見を反映させていただければと思い、ここへの記載は今回はしておりません。
以上、今御説明したことを反映した提供依頼申出文書の例を様式集の2-1から2-3のとおり作成しております。
様式の2-1をごらんください。「1 申出に係る情報の名称」というところに、※1で、がんに係る調査研究を行う者が顕名情報の提供を求める場合、生存者については、がんに罹患した者の同意を得ていることがわかる書類を添付することというような形で注釈をつけております。
また、「2 情報の利用目的」のイに、先ほど御説明した倫理審査の審査状況を記載することを、この倫理審査進捗状況が承認済みであるのか、審査中であるのかから選択。そして、かけている倫理審査委員会の名称を記載していただくという想定をしております。
「3 利用者の範囲」については、様式2-3の形での誓約書の添付を求めることを想定しています。
様式2-3は、様式集の11ページになりますが、「情報の提供の申出に係る誓約書」というタイトルで、標記について、別紙に署名または記名押印した者が、別添の利用規約の内容を遵守いたしますというかがみのもとに、12ページに書いてあるような別紙で、利用予定者と押印、所属を記載していただくという想定をしております。
ついでに、ここで様式3と4を御説明させていただきます。様式3-1は、国、都道府県、市町村のがん対策の企画立案または実施に必要ながんの調査研究に関する利用申し出の場合に、情報の利用の必要性をわかる書類を添付していただくか、あるいは下記のところの「記」に記載していただくことを求める書類になっています。こちらは様式2-1と同時に添付していただく書類の一つになります。
様式3-2は、法施行前の研究に係る同意代替措置の対象になる研究であることの認定に関する申請のための様式の例になります。つまり、法施行日後に同意を得ることが困難であることの認定に係る申し出文書になります。
様式4は、特別な状況下での申請の際に必要となる添付文書でして、こちらは申し出時に委託契約関係のあるところからの申し出だった場合に、契約関係書類をまだ準備できていなくて添付できないときに代替的に添付していただく文書例になります。
今のところ、申し出に関し、様式2-1~様式4の様式集を御準備しております。
次に、マニュアル本文のほうに戻らせていただきます。13ページ、「第9 申出文書に基づく審査」の部分をごらんください。14ページの「3.申出に対する審査の基本的な考え方」になりますが、第8回部会でいただいた御意見を踏まえ、個々の申し出については、第8の「3.申出文書に記載を要する事項」ごとに、「表 申出に対する審査の基本的な考え方及び窓口組織における形式点検事項」に基づいて窓口組織が形式の点検を行い、基準を満たす場合には審議会等において本マニュアルの別添として定める審査基準を参考に審査を行うという形で表現しております。窓口組織における形式の点検の内容につきましては、今回の御提案で申し出に必要な添付書類がふえましたので、必要な添付書類等の有無の確認ボックスを設けるような形での追加をしております。
そちらは資料6-2の、16ページの5-1になります。様式第5-1、提供の申し出に係る形式点検書は、研究計画の申し出番号ごとにこのような形式点検書を窓口組織が準備し、点検審査事項の(1)~(9)の主な点検事項の内容に従ってチェックをしていくという形になります。こちらは全ての都道府県に設置される窓口組織が同じ基準で審査をできる内容にとどめる必要があったことから、必要とされている書類が添付されているかとか、明らかに客観的事実に基づいた判断ができる内容にとどまっています。
それから、骨子案のときに論点事項として、結果の公表等、あるいは少数集計値の扱いということを記載していたのですけれども、こちらについては、申し出文書に記載された内容から少数集計値を窓口組織が予測して点検するという行為はかなり難しいと今の段階では想定されたため、点検項目からは削除させていただいております。
つきまして、新たに1ページ、様式5-2のところに、今度は窓口組織の点検では問題なく、審議会等の審査に進んだときの審議会等における審査内容を記録に残る形にしていただくための審査報告書案を作成しております。こちらは今後、また御意見をいただきながら洗練されていくものと考えておりますが、今のところの案としてこのようなものを提示させていただいております。
またマニュアルに戻っていただきまして、「第10 審査結果の通知」、17ページになります。ここから「第15 提供状況の厚生労働大臣への報告」まで、「第11 情報及び定義情報等の提供」「第12 調査研究成果の公表前の確認」「第13 利用期間中の対応及び終了後の処置の確認」「第14 不適切利用への対応」があるのですけれども、こちらについては骨子案から大きな方針の変更はございません。
1点だけ、19ページの「第12 調査研究成果の公表前の確認」をごらんください。こちらは第8回部会での御意見を踏まえて、調査研究成果の公表の予定が決まり次第、公表前に窓口組織に報告をさせるものとし、窓口組織が内容確認を行うこととするという方針を記載させていただいております。
以上、マニュアル本文のほうにおける第8回部会において御説明した骨子案と大きく内容の変更があった点を中心に説明をさせていただきました。
最後に、様式集のほうに戻りまして、残りの様式案について簡単に確認させていただきます。様式集の第6-1、6-2が、審査を経て提供を応諾されたか却下されたかというものに関する通知書になります。6-1が応諾の通知書、6-2が不応諾の通知書の例として提案させていただいております。
6-2の不応諾の場合の通知書につきましては、様式5-2の審査報告書を参考に、下の欄に情報の提供を応諾しない理由を記載していただくという想定をしております。
様式7は、廃棄処置報告書の、マニュアルのほうで言うと利用期間終了後の措置の記載に対応する様式でして、様式集の最後は、利用実績の報告に対応する実績報告書例をつけさせていただいております。
以上、文言、表記を整理した結果、全体で20ページと薄くなっているのですけれども、内容的にはかなり充実した内容が入っておりまして、いろいろお気づきになられたことがあるのではないかと思いますので、御意見をいただければ幸いに存じます。
以上です。ありがとうございます。
○辻部会長 ありがとうございました。
今の説明の中で事務局から補足はありますでしょうか。
○事務局(安藤) 事務局の安藤でございます。
今の資料6-1、6-2に関しまして、柴田先生からの御説明に加えて、事務局より補足させていただきます。
まず、本マニュアルについてですけれども、第8回がん登録部会でも御説明したとおり、都道府県の準備もあることから、本マニュアルは事務に関する事項を中心に記載した内容で、年度内の策定を目指しているところでございます。基本的に窓口組織が使用するマニュアルとして作成しておりますが、提供依頼申出者が提供の申し出をする際にも参考としていただけるようにしております。
内容に関しまして数点補足をさせていただきます。8ページをごらんください。「(4)同意について」ですけれども、がん登録法の中で同意を得ていることが情報の提供の要件となっているのは、法第21条第3項と第8項に該当する提供の場合でございます。国や都道府県の企画立案または実施に必要なものではないですけれども、がんに係る調査研究を目的とする研究者が全国がん登録情報、都道府県がん情報の匿名化されていない情報を提供依頼する場合、がんに罹患した者が生存している場合にあっては、その調査研究のために当該全国がん登録情報が提供されることについて同意を得ていることと定められております。法律では、同意を得ていることという記載のみで、同意の取得方法については定めがございません。本マニュアルでは、該当する研究者が申請をする際に添付すべき書類についても記載をしているため、同意を得ていることを確認するためにどのような書類が必要かを記載する必要があると判断いたしました。
おめくりいただきまして、9ページですけれども、「1 同意の取得について」というところで、以上の理由より、全国がん登録情報、都道府県がん情報は大変機微な情報でございますので、研究者の方には書面等の形式で同意を取得していただくことを要件といたしました。ただし書き以降につきましては、小児がん患者等の代諾者からの同意が必要な場合には、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に準じて代諾者の選定等を行っていただきたいと考えております。
次に、11ページ、「(2)情報の利用目的」のところでございます。まず、研究計画書の添付について、柴田室長の御説明にもあったとおり、申し出文書で具体的に記載していただくこととしておりますが、加えて、記載内容を裏づける研究計画書等の添付をすることといたしました。審査を行う上で、より具体的な研究計画書が添付されることにより、審査を円滑に運営することができると考えております。
次に、倫理審査委員会についてです。第8回がん登録部会で倫理審査委員会についての御意見をいただいておりました。全国がん登録情報や都道府県がん登録情報を扱う研究については、基本的に各機関で倫理審査委員会を経て申請される研究が多いと想定しております。提供の審査を行う上で、その研究の倫理審査委員会の進捗状況が参考情報としてあったほうが円滑に審査を行えると考えました。現時点では、この記載によって倫理審査委員会を必須とするかどうかを定めているものではないことを御留意いただきたいと思います。
また、法第21条に基づく全ての研究において、倫理審査委員会の承認を必須とするかどうかにつきましては、さまざまな御意見があることは承知しております。次回以降に予定しております本マニュアル別添の審査基準に関する議題の中で改めて御議論していただきたいと思います。
最後に、今後の流れでございますが、本日お示しした本マニュアル(案)は、事務的な事項を中心として作成しており、年度内の策定を考えております。次回以降、本マニュアル別添の利用規約、安全管理対策、審査基準の3つについて御議論いただき、それぞれ策定していく予定です。
繰り返しになりますが、本マニュアルについては、本日の議論をもって年度内に策定したいと考えておりますので、こうしたことを念頭に置き、活発な御議論をいただきたいと存じます。
事務局からの補足は以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
ただいま御説明いただきました内容につきまして、委員の皆様から御質問、御意見をいただきたいと思います。どうぞ。
○薄井委員 薄井でございます。
8ページの同意についてですけれども、今、御説明があったことはよくわかりました。ここに書いてあるのは生存者についての同意ということなのですけれども、がんの患者さんは残念ながら亡くなる方もいらっしゃると思うのですが、そういう亡くなった方たちの同意のとり方とか、同意をとらなくていいとか、そういうことを記載しなくてもよろしいのでしょうか。その辺のところはどう扱うのか、教えていただければと思います。
○柴田参考人 こちらについて、同意を必要とする者は生存者にあってはという表記は、がん登録推進法における表記とそろえております。ここに限らず全てのことなのですが、法律に明確な記載のない場合は対象にはならないということで、つまり死亡者にあっては同意を取得する対象ではないと判断されます。
○薄井委員 ありがとうございました。
○辻部会長 小俣委員、どうぞ。
○小俣委員 御説明ありがとうございました。
同じく同意のことについてですけれども、今、対象者が死亡者の場合というのがありましたが、小児がんの患者さんが研究対象になった場合にどうなるかということについて、この文言を確認させていただきたいと思っております。マニュアルでは9ページの「1 同意の取得について」ということで後半に、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針の第5章第13で、資料の128ページに書いてございますが、この解釈が合っているかどうかということで確認いたします。
2点ほどありまして、1つは、16歳以下で小児がんに罹患した場合には、多分、保護者であるとか保護者に準ずるような方が代諾者となってインフォームドコンセントを受けるのかと思うのですけれども、そのときに取得した情報の扱いについては、既に取得済みの資料、情報について、その同意の範囲内で解析する場合はこの限りではないということなので、その範囲内であれば、それは本人の同意はなく使っていいですよということでよろしいのかというのが1点です。
2点目なのですけれども、これはこの文言でどう読んでいいのかわからなくて、小児がんの場合は大人になっていきますので、16歳以上になったときに、代諾者ではなく本人の承諾を得るといった場合にはどんな形になっていくのか。マニュアルではインフォームドコンセントを受ける必要があると書いてあります。ただ、先ほど松本委員からもありましたが、事務が繁雑になってしまってはということがあると思うのです。かなり大勢の対象者の研究になった場合に、研究対象者の承諾を得ることはかなり大変なのかなということも一方では思っているのですが、このことについてどんな展開になっていくのか、教えていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○辻部会長 どうぞ。
○がん対策推進官 まず、お示しいただいた倫理指針、お手元の参考資料10の128ページの9の段落の下から2行目、「なお」以下ですけれども、代諾者から受けた同意に基づいて当該研究対象者から既に取得済みの資料、情報について、その同意の範囲内で解析等をする場合には、この限りではないということで、御指摘のとおり、このがん登録法において必要とされている同意につきましては、調査研究のための研究対象者の全国がん登録情報が研究者に提供されることについての同意ということでありますので、研究継続するにしても、既に取得済みの資料情報について解析するということであれば、こちらのなお書き以下のところに該当すると想定されますので、その場合、研究対象者が16歳に達したときにまた別途、同意を取得することは必要ないのではないかと考えられます。
○小俣委員 16歳までに取得した情報についてはそうかと思うのですが、研究対象者である小児がん患者が16歳以上に、例えば17歳になって研究が継続している場合には、インフォームドコンセントを受ける必要があるということでよろしいのでしょうか。
○がん対策推進官 16歳までに代諾者からインフォームドコンセントをとってデータを取得していればそうですけれども、16歳以降にデータを取得する場合には、ここにあるとおり、とる必要があると考えられますが、いかがでしょうか。
○小俣委員 多分、16歳以上、17歳になった場合には、知らない間に親が代諾しているということがあるので、本人への説明が必要なのではないかと考えているのですが、その場合は先ほどの事務が繁雑になってしまうとかそういうこともあると思いますし、どんな状況になるのかということを御検討いただけたらと思っております。
○がん対策推進官 おっしゃるとおりでして、場合によっては、同意がとれていない場合にはとることが必要であると思われますので、そこは何らかの対応が必要だとも思われます。おっしゃるとおり検討する必要があると思います。
○辻部会長 よろしいですか。
丸山委員、どうぞ。
○丸山委員 今の小俣委員の御意見あるいは御質問は、本人が16歳未満あるいは15歳の義務教育修了までの間に代諾者の同意でがん情報の提供がなされていて、その後、本人が16歳あるいは義務教育修了の15歳になって新たに情報が提供される場合には、新たに本人の同意も必要というのが指針なので、事務が繁雑になるということでも、その指針の要件に応ずるのですねという確認です。そのあたり、確認をするということで理解してよろしいですね。
○がん対策推進官 確認が必要だということだと思います。
○丸山委員 ちょっと気になりましたので。
○辻部会長 中西先生。
○中西委員 一般的な御質問になるかと思いますけれども、法律の中で存命の方の個人情報をきちんと守るために同意が必要であることをよく理解しておりますし、その上で実施すべきことは理解できているのですけれども、この条文は実際に研究の目的や中身まで申請して、そしてそれについての提供の同意というようなたてつけになっていると思うのですが、実際に現場の感覚からしますと、情報を提供されようとする者というのは、本人とアクセスすることは極めて可能性が低いと思います。つまり、全く知らない同士でどうやって同意をとるのかということについて、現場の人間としては若干戸惑いがあるのが一点。
もう一つは、例えばこういったがん登録に関することについて、包括同意が得られていて、その上で、対象となる方がどこにいて、どういう状況にあるか把握できていれば、改めてご本人から同意がいただけるのではないかということを、現場の人間としては思うのですけれども、誰が、どういう形で同意をとっていくと想定されているのかについてはどうなっているのでしょうか。
それから、たくさんの地域からの活用に関しては、全て毎回特化したものとしてとるべきなのか、そのあたりがどうなっているのか教えていただければと思います。
○がん対策推進官 そこはまさしく研究の内容というかデザインによるところが大きいと思います。必要な同意につきましては、そこはしっかりとるべきというところはがん登録法にもありますので、そこは必ず必要な部分ではないかと考えております。
○中西委員 ぜひ研究者というものを、必ずPIに限定せずに、研究をする一つの組織として見ていただいて、その上で、御本人の御理解がいただければ柔軟に、あるいは活用する方向で、そういう運用をぜひお考えいただきたいと思いますので、発言させていただきました。
○辻部会長 それでは、本田委員、それから松本委員の順番でお願いします。
○本田委員 今の御質問にもちょっと関係するというか、研究者でない一般人の素朴な疑問なのですけれども、このがん登録の情報を用いてする研究というもので、匿名で全体のトレンドを見るとか、そういうことはすごくわかるのですけれども、名前が全部必要な研究とは、例えばどういうものを想定して議論されているのかがわからないのです。その必要性のレベルとか、そういうことがちょっとぴんとこない部分もあるので、それを教えていただけないかと思ったのです。
○柴田参考人 第21条3項で規定しておりますのが、一般的に言えば顕名情報の提供に関する規定なのですけれども、第21条3項のような成り立ちになった背景においては、やはり全国がん登録の個人情報はかなり特殊な情報であって、先ほども申し上げたのですけれども、本人の同意を得ないところで収集されていて、さらにそれをまた二次利用の形で提供するものですから、慎重の上に慎重にという御意見が多数、法律をつくる段階でございました。
その中で出てきた一つの案としては、まずは利用できるものを制限してはどうかという案も最初のころにはございました。ただし、そうしますと自由な研究を阻害するということもありますので、それでは慎重にということをどう表現するかということで、それならば当該研究に対して同意をもちろん得ている人、そして、さらにその研究計画の中で、いずれ全国がん登録の情報からも提供を受けることに関して同意を得ているということに限ってはどうかという案が出て、この21条3項のような条文になった次第です。
ということから、実は想定している研究は、いわゆる疫学的なコホート研究になります。つまり、既にコホート研究の場合は研究計画の時点で、あなたはずっとこれからこういう目的でいろいろな資料、いろいろな情報をあちこちからもらいながら追跡していきます、そういう研究計画に、医療のために、これからの医学の発展のために研究の対象者となることに同意していただけますかということを必ずとっているものでございます。これは研究倫理指針においても必ずそのようにするものとされています。その中に、今回、今まで存在しなかった追跡方法の一つとして全国がん登録情報というものが加わる形になります。
したがいまして、第21条3項で想定されているのは、いざ研究をしようとしたときに、どこの誰かわからない人に対して、全国がん登録情報を使いますということの同意をとるというものではなく、既に研究の対象者となっている人に対して全国がん登録情報の提供を後から受ける可能性があることについて同意を得ることを想定しているものです。
なかなかこの21条3項自体からはそこが読みにくいとは思うのですけれども、この場にいらっしゃる委員の先生方は法律の条文をつくる段階からかなり御意見いただいていた方もいらっしゃると思うので、私のつたない説明でわかりにくいところがあれば、また追加で説明させていただきますが、そういう経緯をもっての同意の取得ということであることを御理解いただければと思います。
以上です。
○辻部会長 では、松本さん、どうぞ。
○松本委員 ありがとうございます。今のやりとりにやや関連をするのですけれども、今の柴田先生の御説明で、既に研究の対象となっている人を前提にしてこの同意をとるということですので、一定程度、その患者は説明を受けているものと承知しましたけれども、その上で、全国がん登録の情報を使って云々という説明が加わってくることになるのだろうと思います。残念ながら、やはり今の時点で多くの患者、家族は、がん登録というものの意義についての理解がなかなか難しいですから、そこをどれだけ丁寧に説明するのか、それでありつつ、なお不安を与えないというか、いかにこれが今後のがん医療に役に立つものであるということをわかってもらえるような文案にするのかというのは非常に難しいところだとは思うのですが、そこは丁寧に御協議をいただきまして、できれば当事者の意見も入れていただいて、御検討いただければと思っております。
○辻部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたか御意見、御質問ございませんか。名越委員、どうぞ。
○名越委員 先ほどは御説明どうもありがとうございました。
1点確認したいのですけれども、11ページで先ほどの倫理審査委員会の申請に関しては必須とするものではないというお話だったのですが、これは申請を必須とするものではないということなのか、そこがはっきりしません。と申し上げますのは、様式第2-1号の「2 情報の利用目的」のイの倫理審査進捗状況のところには、承認済みと審査中という2つの項目しかございませんので、とにかく申請をすることは必須であると理解してよろしいでしょうか。御説明をお願いいたします。
○がん対策推進官 現在、それぞれの大学ですとか研究機関、病院に設置されている倫理委員会の中で、これからがん登録情報を取得するに当たって研究計画書を確認していただくことは非常に意味があると考えます。例えば、さまざまな同意書ですとか、患者さんに与える影響ですとか、その考え方についてそこできちんと倫理的に審査できる仕組みがあるということで、当然それを利用するべきと考えてはいます。ただ、倫理委員会によっては、まさに参考資料10に御用意したような指針にのっとれば、必ずしも全ての倫理委員会ががん登録情報を得るための研究について審査する体制になっていないという御指摘ございます。そのあたりについてはこれから検討していくことになろうと思いますけれども、私が冒頭申し上げたように、それぞれの倫理委員会でがん登録情報を取得する研究内容について吟味していただくことは非常に意味があるものではないかと思っております。
○名越委員 そうしますと、この2つの項目ではなく、様式2-1にもう一つ何かつけておかなくてはいけないのではないでしょうか。
○がん対策推進官 そこは検討させていただきます。
○辻部会長 ありがとうございました。
ほかにどなたかございますか。永井先生、どうぞ。
○永井委員 ちょっと私、不勉強で申しわけないのですけれども、この間も事務局には話したのですが、この文面の中で割と、匿名化情報と匿名化が行われた情報という文言があるのです。多分これは法律の縛りがあって、この文言を使わざるを得ないとは思うのですけれども、読んでいますと、具体的に特定匿名化情報と匿名化される、もしくは匿名化された後の情報というのは、なかなか印象としてきちんと入ってこないところがあるのです。例えば、2都道府県にまたがって云々というのは匿名化しなければだめですね。そのあたりのところはきちんと認識・判別した上でこのマニュアルの文章が書かれているということですか。
○がん対策推進官 そこは判別した上で書いているところです。
○永井委員 そうすると、例えば、1ページ目の一番下の特定匿名化情報のところは、匿名化が行われた全国がん登録情報と、匿名化が行われた後に全国がん登録データベースに記録された情報を言うとなっているのですけれども、3ページ目の第3の2、2つ以上の都道府県の都道府県がん情報またはその匿名化が行われた情報の提供、もしくは4ページ目の第5の(1)と(2)で、全国がん登録情報及び匿名化が行われた全国がん登録情報とあるのですが。この匿名化が行われた全国がん登録情報とは、特定匿名化情報とイコールになるのですか。
○辻部会長 どうぞ。
○事務局(安藤) 用語の定義の特定匿名化情報のところなのですけれども、こちらに記載されているように、全国がん登録情報の匿名化が行われた情報に関して、全国がん登録データベースに記録されたものを特定匿名化情報といいまして、提供の際に匿名化された情報としてまだ全国がん登録データベースに記録されていないものについて、研究者の依頼でこの部分について匿名化したものを下さいと言われたときには、その時点ではまだ匿名化されていない情報でして、提供の際に改めて匿名化して提供いたしますので、その2つを合わせたものとして書き分けをしているところです。
○永井委員 新たに申請をしてということですか。
○事務局(安藤) はい。
○辻部会長 いかがでしょうか。ほかにはございますか。丸山先生、どうぞ。
○丸山委員 今の資料の近くなのですけれども、3ページの中ほど、第3の2のところ、2つ以上というのが2カ所出てくるのですが、これは法令用語のスタイルだと、2以上ので「つ」がない書き方だと思うので、合わせる必要はないかもしれないですが、合わせたほうが締まりがよくなるのではないかと思います。
○辻部会長 どうもありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。有賀先生、どうぞ。
○有賀委員 御質問させていただきたいのですけれども、申し出の際に、成果物と成果の公表方法、成果予定の時期及び利用後の処置については記載する欄がございますが、これは最終的に公表した成果物の提出は求めないということになりますか。
○柴田参考人 最終的に成果物の提出は第13のところで行うことになります。実績報告という形で、様式集で言うと最後の様式を使って実績報告をしていただくことになります。
○辻部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。大木先生、どうぞ。
○大木委員 都道府県やがん登録室の立場からなのですけれども、4ページの運用体制の整備窓口組織について、今日きちんと事務的なスケジュール等を示していただいて、現場の者は大変助かると思います。これに引き続いて、運用についても次回、詳しく検討していただき、どこの都道府県でも同じようにできるように配慮していただくことをお願いしたいと思います。
以上です。
○辻部会長 ありがとうございました。
それでは、時間も大分迫ってきましたので、本日いただいた意見を踏まえまして、事務局で再度整理を行っていただいて、これはマニュアルとして今年度中に発出ということになっておりますので、その整理あるいは修正につきましては部会長預かりとさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
それでは、事務局は、次回の部会までにマニュアルを発出できるように作業を続けていただきたいと思います。
議題5「その他」でありますけれども、事務局から1点あるようですので、御説明をお願いします。
○事務局(安藤) 事務局の安藤でございます。
資料7をごらんください。全国がん登録では、現在、病院等から届け出を行っていただく際に、届け出の必要ながんについて、国際疾病分類-腫瘍学(ICD-O)を用いて分類していただいております。昨年までは、2011年にWHOから発表された改正内容について、邦訳版として公表されたICD-O-3(2012年改正版)を使用していただいておりました。昨年、第20回社会保障審議会統計分科会疾病、障害及び死因分類専門委員会において、これらの改正内容についてWHOから刊行されたICD-O-3(3.1版)と2012年改正版の比較表が報告されました。ICD-O-3(3.1版)の邦訳版も刊行が予定されていることから、2018年1月1日以降の診断症例については、ICD-O-3(3.1版)を使用していただくことといたしました。なお、今回の変更による全国がん登録における届け出の必要ながんの種類の変更はありません。
これについて、昨年12月に全ての病院と指定された診療所に周知を行っておりますことを御報告いたします。
以上です。
○辻部会長 こちらにつきましては、とりあえずの報告ということでよろしいでしょうか。
ほかに何か御意見のある先生方はいらっしゃいますでしょうか。天野先生、どうぞ。
○天野委員 ありがとうございます。1点質問でございます。全国がん登録は今、関係者の方々により精力的に取りまとめしていただいていると思うのですが、その進捗状況は今どういった状況なのか、公開の予定等も含めて教えていただくことは可能でしょうか。
○柴田参考人 2016年診断が全国がん登録事業として初めての報告になりますが、これまで御説明したかと思うのですが、今のところは今までの御説明どおり、2018年度内に報告をさせていただく予定で順調に進んでおります。
○辻部会長 よろしいでしょうか。どうぞ。
○がん対策推進官 年度ではなくて、報告自体は年内ですから、2018年、平成30年末の公表に向けて、今、準備を進めている状況でございます。
○辻部会長 よろしいですかね。それでは、本日の議論はこれまでといたしたいと思います。事務局におきましては、本日の議論を踏まえて、次回の部会に向けて必要な作業をお願いします。
最後に、事務局から連絡事項をお願いいたします。
○がん・疾病対策課長 がん疾病対策課長の佐々木です。
本日も活発な御議論をありがとうございました。まず、本日の議題につきましては、議題1、議題2の組織設置関係につきましては御了承いただき、議題3、議題4のマニュアルにつきましてもおおむね御了承いただきましたことに厚くお礼を申し上げます。
特に議題4の情報の提供マニュアルでございますけれども、3点気をつけなければなということを御議論を伺って思いました。1つ目のキーワードは、場合分けだろうと思います。例えば、同意のところでもそうでしたし、顕名ならどうか、匿名ならどうか、またそれがどういう範囲にまたがればどうなのか、子供の場合だったらなお書きはどういう場合に適用されるのか。あと、本田委員ですかね。具体的なイメージがないとわかりにくいという場合もあろうかと思いますので、このマニュアルに直接つけるというよりは、何らかの利用に供するのにふさわしい形で場合分けをして、国民の方も、申請される方も、審査をする側の方もある程度そこで迷わないようにする場合分けの作業は、またそれをちゃんと、例えばフローチャート的にするとか、そういうことの工夫の必要性を感じました。これが1点目です。
2つ目が、これは名越委員でしたか、倫理委員会の取り扱いというのは多分にその時々の趨勢によりますけれども、恐らく今の趨勢からすると、倫理委員会を通していないものはそもそも論文を書いてもアクセプトされないでしょうから、そこは書き方としては先ほどのような書き方にしましたけれども、その時々の趨勢に。今だと恐らく倫理委員会を通すというのはマストだろうと。ただ、前回御議論いただいたように、申請する段階で倫理委員会を通っていなければならないのかというところは、恐らく同時並行しながら進めていくということが現実的でしょうから、それで様式のように、もう通ったものなのか、並行して審査を行ってもらっているものなのか、そこはわかるような工夫をしたいと思います。
最後に3点目ですけれども、丸山委員から御指摘いただいた表記のところで、もっとさらに気づかないところもあろうかと思いますので、もしお気づきの点があれば、また御指摘をいただきたいと思います。
以上でございます。
○辻部会長 ほかに事務局から何かございませんか。追加はよろしいですか。どうぞ。
○がん対策推進官 次回の日程につきましては、また改めて調整させていただきますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。
また、机上のファイルにおきましては次回以降も使用しますので、そのまま机上に置いていただければと思います。
事務局からは以上です。
○辻部会長 それでは、本日の部会を終了したいと思います。委員の皆様、長時間にわたりどうもありがとうございました。

照会先

健康局がん・疾病対策課

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