第3回麻しん・風しんに関する小委員会 議事録

健康局 結核感染症課

日時

平成30年5月11日(金)14:00~16:00

場所

厚生労働省 共用第6会議室(3階)

議題

  1. 1.麻しん・風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて
  2. 2.報告事項
  3. 3.その他
  4.  

議事

 
○高倉結核感染症課長補佐 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第3回「麻しん・風しんに関する小委員会」を開催いたします。
本日の委員の出席状況を御報告いたします。本日は、調委員と中野委員より欠席の御連絡をいただいております。
続いて、配付資料の確認をいたします。議事次第のほか、名簿、座席図とございまして、資料1から資料3、参考資料1から参考資料7を御用意しております。不足している資料等がございましたら、事務局までお申しつけください。
それでは、申しわけございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
(カメラ退室)
○高倉結核感染症課長補佐 以降の議事運営につきましては、大石委員長にお願いいたします。
○大石委員長 国立感染症研究所の大石でございます。きょうは、よろしくお願いいたします。
それでは、本日の議題を確認したいと思います。議事次第をごらんください。本日の議題は、「1.麻しん・風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて」、「2.報告事項」、「3.その他」でございます。きょうの小委員会では、主に指針の見直しについて時間をとりたいと思いますので、最初に「報告事項」のほうから進めていきたいと思っております。
事務局より、報告事項について御説明をお願いいたします。
○高倉結核感染症課長補佐 それでは、まず資料2をごらんください。
1ページ目は、麻しんについての一般的な内容を記載しております。
麻しんの概要、真ん中の段に常時実施している対策、そして、下に現在の麻しんの排除状態について説明しております。
今回の沖縄県における麻しんの集団発生事例につきましては、2ページ目に概要をまとめてございます。
初発例は、台湾から沖縄への観光客(30歳代男性)でございました。3月中旬に発熱があった状態で17日に入国し、その後症状が出現いたしまして受診し、20日に麻しんと診断されております。それまでの間に、那覇市や糸満市等を中心とします観光地をめぐっていたということがわかっております。3月23日に、沖縄県が麻しん患者の発生についてプレスリリースを公表しております。
その後の発生状況ですけれども、右下に流行曲線を示しておりますが、3月下旬より多数の患者さんが発生されたという状況でしたので、4月7日には、那覇市の要請を受けて、国立感染症研究所がFETP、支援チームを派遣しております。
4月11日には、厚生労働省より各自治体及び医師会へ、広域発生の可能性がある旨の注意喚起をする事務連絡を発出いたしております。
その後ですけれども、沖縄を推定感染地とする麻しんの患者が、愛知県、あるいはその後、5月3日には川崎市より報告がなされております。
4月26日は、ゴールデンウィークのこともありまして、人の移動が活発化する時期であることを踏まえまして、改めて注意喚起の通知を発出しております。そちらにつきましては、参考資料5に4月11日の事務連絡及び4月26日の通知を添付しておりますので、御参照ください。
本事例の特徴といたしましては、初発例が海外からの帰国者ではなくて旅行客であるということ。
2つ目として、初発例が感染期間に人の多い観光地や大型商業施設等を利用しているということ。
3番目が、沖縄県が全都道府県のうち定期予防接種率が低い都道府県であったということ。
これらが関係して、今回の多数の発生に至ったものと推測しております。
概要は以上です。
引き続いて、資料3を予防接種室より説明をお願いします。
○坪井健康課予防接種室長補佐 それでは、資料3につきまして予防接種室より、麻しんの対策に使用するワクチン等についてとして御説明させていただきます。
麻しんの予防に使用できるワクチンといたしましては、乾燥弱毒生麻しんワクチン、いわゆる麻しんの単味ワクチンと、乾燥弱毒生麻しん風しん混合ワクチン、いわゆるMRワクチンの2種類がございます。この点、厚生労働省は、平成19年に麻しんに関する特定感染症予防指針を告示してございまして、その中で、麻しんの接種に用いるワクチンは、風しん対策の観点も考慮し、原則として、麻しん風しん混合ワクチンとするものとすると規定してございます。したがいまして、原則としてMRワクチンを使用するものと考えてございまして、MRワクチンの需給状況につきまして、これまで継続的に留意してきたところでございます。
現在、今般の麻しん発生事例を受けまして、MRワクチンの需給状況につきまして関心が高まっているものと考えられますけれども、結論を申し上げますと、現時点において、MRワクチンの全国的な不足は生じない見込みであると考えてございます。
詳細につきまして、次のページに記載のグラフで御説明したいと思います。裏のページをごらんいただければと思います。
この図は、MRワクチンの需給実績と見込みを、今年の3月から8月までの状況としてお示ししたものでございます。グラフの見方を簡単に御説明いたしますと、薄いほうの色の棒グラフが、それぞれの月の初めにおける在庫量と、その月1カ月間に新たに製造販売業者から出荷される量の和、すなわち供給側の量を示しておりまして、濃いほうの棒グラフが、その1カ月間に医療機関に納入されると考えられた量、すなわち需要側の量を示してございます。同じ月で比較した場合に、薄い色の供給側が濃い色の需要を上回っている場合、需給バランスが保たれていると考えられます。
図は、今年3月の実績、今年4月の暫定の実績、そして5月以降の需給の見込みということで示させていただいております。ご覧いただきますと、需要側を示します医療機関納入量の濃い色のバーですけれども、4月のところ、暫定値ながら、これはかなり増大しているところでございます。しかし、その需要増があっても、4月1カ月の需給バランスは保たれてございまして、月末の在庫も十分に存在する状況でございます。
また、5月以降の見込みは、例年の需要水準を踏まえて計算されてございますけれども、仮に5月の需要が少し伸びたとしても、まだ対応できる余力はあると考えられます。
このような状況から、MRワクチンについては、現時点において全国的な不足は生じない見込みであると考えているところでございます。
資料3に関する御説明は以上でございます。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
資料2、資料3について厚労省のほうから御説明をいただいたところでありますけれども、この資料につきまして御質問とか御意見等がありましたらお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
釜萢委員。
○釜萢委員 今、伺った結論については、私もそのように思うのですが、この資料3の2枚目の棒グラフの納入実績については、卸からの情報等が厚労省にもいち早く報告されると伺っておりますので、なるべく何日までというところの日を明示して、何日までにこれだけ納入されたというところがもう少し頻回にお示しいただけると、現場の混乱が大分回避されるのかなと思っております。
と申しますのは、東京などでも、医療現場では、麻しんの単身ワクチンは頼んでも来ないということで、みんなそこは承知しておりますが、MRワクチンを注文して、これは私も何度も申しておるところですが、医療機関としては注文してすぐに来るのが当たり前と思っているものですから、注文して来ないというと、すぐ不足と判断してしまうわけです。
そこは、全体の状況を見ながら冷静に対応してほしいということは、私どもも引き続き情報発信しなければいけないと思っておりますが、医療機関の現場では、何しろ卸に注文して、すぐに納入されなければ不足と思うわけでありまして、そこのところの情報が私どもにも毎日、いろいろなところから連絡が来るところを見ると、東京でも注文してもいつ入るかわからない、納入日の予測が立たないという訴えは聞こえてきております。だから、足りないとすぐ騒ぐ必要は決してないのですけれども、この5月の予測値はしようがないとしても、例えば5月10日時点での情報が数日後までに集計ができたものについては、暫定値という形で公表していただく。
そうすると、4月に比べて、5月はかなり納入数がふえていると思います。ですから、その辺の情報をかなりタイムリーにお示しいただけると、現場はさらに混乱が回避できるのかなと思っておりまして、お願い申し上げておきます。
○大石委員長 釜萢先生、確認ですけれども、タイムリーに時期的な報告が欲しいということが1点と地域的な情報も共有したいということですね。
○釜萢委員 はい。
○大石委員長 そういった御意見ですけれども、どうぞ。
○江浪健康課予防接種室長 我々もこの数年間、いろいろなワクチンについて供給の不安を現場の皆様に持たせてしまいまして、本当に申しわけないと思っております。そういった原因の中の一つに、今、委員から御指摘あったような、正確な情報を決まった段階でお伝えしようと意識する余り、納入日が決まった時点でないと、次の納入日をお伝えしないという考え方に立って、いつ入るかわかりませんと言ってしまうと、それが直ちに、もう来ないのだという話が伝わってしまうということも含めて、現場でのコミュニケーション。また、医師会を初めとする関係団体の皆様とどういう情報を共有するか。そのあたり、しっかり御意見いただきながら対応していきたいと思っております。
○大石委員長 今、江浪室長の回答ですけれども、要は、集計する時期が決まっていないということですか。あるいは決められないということですか。
○江浪健康課予防接種室長 このワクチンの供給に関しましては、モニターの頻度と集計の仕方に関しては、実はこれまでのワクチンごとに知見を蓄えて、それを活用しながらやっていっているという形であります。一番しっかり対応しなければということでやった例では、例えば2週間置きに非常に細かい単位でデータを集計してということをやったこともございます。
MRワクチンの関係に関しましては、今回、お手元の資料3のほうにお示ししておりますけれども、4月で見ましても、在庫量そのものは非常にたくさんあるという中で、今、御指摘のように、2週間に一遍とか、細かい医療機関単位での納入集計をしてという状況でやってきたわけではないですけれども、本日、御意見いただいておりますので、そういったことも含めて、一体どこまでやるかというのをしっかり検討して情報発信していきたいと思います。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
釜萢委員、よろしいでしょうか。
○釜萢委員 厚労省が一生懸命やっていただいていることは、よく承知しております。
メーカーに聞きますと、卸の納入実績はほぼリアルタイムでメーカーには全部上がりますので、その情報を厚労省がぜひ共有していただけば、後で修正していただくことは大いに結構ですけれども、ほとんどリアルタイムに厚労省に本日現在の納入量というものが上がってくるだろうと思います。ですから、そこをうまく生かしていただきたいというのがお願いでございます。
○大石委員長 よろしいでしょうか。
竹田委員、どうぞ。
○竹田委員 ワクチンのロット、国家検定を通じて深くかかわっているので。
私もこのグラフを最初はよく理解できなくて、ぱっと見て、生産量が使用量の4倍あるかに見えなくもないのですが、実際、生産量は使用する量を少し上回る程度で、在庫量がずっと一定程度、使用量と供給量が常に同じぐらいというデータです。なので、例えば4月だと、在庫量が2倍をちょっと上回る程度なので、偏りがあると手に入らないということが生じていて、それで不足感があるのだと思います。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
この点、よろしいでしょうか。
山中委員。
○山中委員 麻しん等のアウトブレークのときの対応というのは、保健所に大きく期待されているところですけれども、今回の沖縄県の集団発生事例、それ以前にも幾つかアウトブレークが国内でも起きております。保健所もかかわっているわけですけれども、実際の患者さんの数に比して、これまでの定点報告の時代と比べて、保健所の患者さんが発生した場合の業務量というのはかなりふえてきております。
例えば接触者の調査とか検体の調査とか、そういったことがふえてきておりまして、どう迅速に対応するべきかということを、保健所としても今回の事例なども通して、きちんと検証していきたいと思っておりますので、その結果をまたいろいろな場で厚生労働省のほうにも御提案できたらと考えております。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
この点について、どうぞ、館林委員。
○館林委員 先ほどのお話ですけれども、ワクチンの話で、仮に4月と同じぐらいに今後続いていくことは余り考えにくいかもしれませんけれども、使用量が4月ぐらいのペースでいくと、足りなくなったときに増産する方法というのは存在するのですか。
○大石委員長 どうぞ。
○江浪健康課予防接種室長 これは、これまでも何回か御説明申し上げたことがあるかもしれないのですけれども、ワクチンに関しましては、製造そのものに比較的時間がかかりますので、抜本的にその製造量をふやそうとするのを数カ月で達成することはできません。ただ、できることとしましては、例えば、これは竹田委員のところの御協力をいただきながらということになると思いますけれども、一定程度、出荷を前倒ししていくような努力をしていただいたり、検定のほうで倒していただいたりということで、これから出荷する予定のものを前倒しで出していただくことによって、可能な限り需要に対応していくという対応をとることになろうかと思います。
もちろん、今回、4月の供給量の伸びは、例えば2年前に供給量が伸びたことがありましたけれども、それよりも大分高い山です。これは、3月の在庫量の総量が非常に多くありましたので、潤沢に入れることができた結果として、4月の納入量が非常に多いということですけれどもね。なので、4月規模のものがこれからずっと1年間続いたら大変だろうということは、もちろん御指摘のとおりなので、5月は例年の出荷量も勘案して、この高さにしておりますけれども、今、御指摘のように、需要がもっと伸びる状態が続いた場合に、どういう努力ができるかということについては、検討しているところでございます。
○大石委員長 ありがとうございました。
済みません、ワクチンの流通のことに質問が戻ってしまいしまいましたけれども、先ほど山中委員がおっしゃった保健所の麻しん事例の対応について、皆さんから御意見、御質問はありませんでしょうか。
多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 今、保健所をはじめ、行政機関の方々や地衛研の方々、医療機関の方々が、1人出たときにすぐ対応というキャッチフレーズで努力してくださっているからこそ、この数でとめられているという現状があると思います。抗体保有率は確かに高くなっているのですけれども、抗体陰性者は数%、どの年齢層にもまだいますし、抗体価が低い人は一、二割いますので、できれば平時に抗体保有率を上げるような努力をしておく。そうすることで、自治体の皆様の負荷も少なくなると思います。
あと、今回のように、麻疹を発症したまま日本に観光に来られてお回りになられるということは、別に沖縄に限ったことではなく、日本全国どこでも起こり得ることかと思いますので、そういうことがあったときにすぐに対応できるように、今回の流行が落ち着いた後の平時に接種率を高め、抗体保有率を上げておくという国の施策が、今回のことをきっかけにできているといいのではないかなと思います。
○大石委員長 ありがとうございました。ごもっともな御意見だと思います。
麻しん排除認定後の今の麻しん対策ということが、ある意味少数例ではあるけれども、濃厚に保健所業務を圧迫している状況はあると思いますけれども、少しずつ対策のステップアップということが必要だろうと感じております。
ほかはございませんでしょうか。
どうぞ、館林委員。
○館林委員 認識として確認したいのですけれども、今回の流行程度のことというのは、排除状態でも起きるという理解でいいですか。
○大石委員長 はい。これは、2015年の排除後も2016年、17年と、一定のクラスターは発生しておりまして、排除認定の要件である、同一ウイルス株による1年以上の流行ということは、まだ確認されていない状態でありますので、大丈夫とは言いたいのですけれども、これが長引いてしまうと排除認定の取り消しということもあり得ることなので、今の排除認定下の対策というのはしっかり強化していくべきだと考えております。
ほか、いかがでしょうか。
多屋委員。
○多屋委員 今回のアウトブレイクを見ておりまして、どうしても医療の現場というのは患者さんと接触するリスクが高いものですから、医療関係者の発症というのも毎年のように起こっています。人が多く集まるところ、多くの方と接触するような御職業の方というのは、患者さんと接触する可能性が高いわけなので、特定感染症予防指針には、任意接種ではあるけれども、予防接種を推奨すると明記されているのですが、毎年、そういう方々の発症が続いているものですから、もう少しその部分を強化する体制がとれたほうがいいのではないかなと感じております。
○大石委員長 おっしゃるとおりで、指針には医療機関に従事する者に対する接種を推奨するということが書かれているのですけれども、どういうふうな仕組みで、それを現場におろしていくかというところが、まだできていないと思います。これは繰り返し議論されていることですけれども、次の指針の見直しについての議論でもいろいろ御意見いただければと思っております。よろしいでしょうか。
そうしましたら、資料についての説明はこれで終わりで、次の「麻しん・風しんに関する特定感染症予防指針の見直しについて」の議論に入っていきたいと思います。
事務局のほうから説明していただきたいと思います。
○高倉結核感染症課長補佐 資料1をごらんください。前回までの小委員会あるいは今までの御議論の中でも、この麻しん・風しん指針の改正について、いろいろな御意見をいただいておりますので、それらを踏まえまして、事務局のほうで、この方向性として、大きく4つの項目にまとめたものがこの資料1になります。これを順に説明させていただきます。
まず、マル1の定期予防接種実施率向上に向けた対策の強化につきましては、予防接種室のほうからお願いいたします。
○黒崎健康課予防接種室長補佐 それでは、予防接種室のほうから、マル1番、定期予防接種実施率向上に向けた対策の強化ということで御説明申し上げます。
まず、現状ということでございますが、麻しん・風しんの定期の予防接種は、第1期と第2期と実施されているものでございますが、特定感染症予防指針におきまして、その第1期・第2期の「それぞれの接種率が95%以上となることを目標とする」と書かれてございます。
今回、2016年度の国全体の接種率に関しましては、麻しんと風しんの予防接種ともに、第1期は97.2%ということで、95%以上を達成できてございますが、第2期が93.1%という結果でございました。
また、第1期の接種に関しては、国全体の接種率は97.2%ということでございますが、各市町村ごとに見てみますと、95%を達成できていない市町村が現在でも40%ほど存在してございます。第2期においては、95%に達していない市町村は55%存在しているということがわかってございます。
資料1 別添1として、赤い日本地図が描かれた資料がございますので、そちらをごらんください。こちらは、最近、平成28年度から平成24年度までのここ5年間の接種率の推移を都道府県別に示したものでございまして、1枚目が第1期に関してで、めくっていただきまして、裏面が第2期に関してのものでございます。第2期のほうで95%以上を達成できていない都道府県というものが幾つかあるということがおわかりいただけるかと思います。
その次のページ、表になっているものでございますが、これは接種率のデータを公表しているものに、市町村別の95%未満の自治体の数がどれだけあるかという数字を示させていただいているものでございます。接種率は今、お示ししたとおりでございますが、例えば1番の北海道でございますと、自治体の数が179ある中、第1期において接種率が95%未満である自治体が87自治体、49%で、第2期において95%を達成できていない自治体の数が66ございまして、37%ということでございます。このようにして市町村別に見ますと、それぞれ95%を達成できていない自治体が少なからずあるということが見てとれると思います。
その裏面においては、風しんワクチンの接種率ということで、同じことを書かせていただいてございます。
資料1のほうにお戻りいただきまして、課題ということでございますが、国全体の第2期の接種率も目標の95%を達成するために対策の強化が必要である。
今、御説明しましたとおり、国全体の接種率だけではなく、全ての市町村ごとの接種率においても、第1期と第2期の両方とも95%以上を達成するための対策の強化が必要であると考えてございます。
そこで、今回の改正の方針として、国全体の第2期の接種率向上のための取り組みが必要であるということと、各市町村の接種率を評価し、各市町村における定期の予防接種の第1期・第2期のそれぞれの接種率が95%以上となるように取り組みが必要であるという観点から、麻しん・風しんの両指針において、国と都道府県は、各市町村に対して、第1期・第2期それぞれの接種率が95%以上となるように働きかけるという旨の記載でありましたり、都道府県に設置されている麻しん風しん対策会議は、各市町村の接種率を評価し、第1期・第2期それぞれの接種率が95%以上となるように提言を行うという内容の記載を追加してはどうかと考えてございます。
マル1番の説明は以上でございます。
○高倉結核感染症課長補佐 続きまして、マル2番、児童福祉施設、医療機関等における対策の強化について御説明いたします。
現状といたしましては、先ほどのマル1でございましたように、麻しん・風しんの定期の予防接種対象の第1期は、生後12カ月から24カ月に至るまで、いわゆる1歳の段階。第2期につきましては、小学校就学の前の1年間となってございまして、0歳児については、免疫がつきにくいなどの理由から、定期接種の対象とはなっておりません。
一方、麻しん・風しん指針とも、幼児や児童、体力の弱い者等の風しんに罹患すると重症化しやすい者や妊婦と接する機会の多い医療関係者、児童福祉施設、学校等の職員に対する予防接種を推奨しております。
課題といたしまして、現状にございますように、定期接種による発生の予防ができない0歳児は重篤化する危険性が高いために、周囲の者への予防接種の推奨を徹底しておく必要があります。
麻しん・風しんとも、免疫不全や妊婦の方など予防接種の不可能な方、あるいは0歳児に接する機会の多い方に対する予防接種の重要性というものを、現在の指針で特別に強調しているかというと、そこには差は設けていないという状況がございます。
また、今般の沖縄に端を発する事例においても、医療施設内での感染例が認められております。
したがって、改正の方針といたしまして、風しん・麻しんともに、免疫不全者や妊婦などの予防接種の不可能な者や0歳児に接する機会の多い児童福祉施設や医療機関等で働く者に対する予防接種の推奨を強化したいと考えておりまして、具体的には、麻しん・風しんの両方におきまして、0歳児や予防接種不可能な者に接する機会の多い者に対し、特に強く予防接種を推奨する趣旨の記載を追加してはどうかと考えているところでございます。
続きまして、次のページ、マル3番、輸入症例への対策の強化についてでございます。
現状ですけれども、麻しんの予防指針については、予防接種法に基づかない予防接種、いわゆる任意接種の推奨対象者に「海外に渡航する者」が入っていない状況です。輸入症例への対策については、触れられておりません。
風しんの指針では、この任意接種の推奨対象者に「海外に渡航する者」は入っております。一方、輸入症例の対策については、触れられていません。
課題といたしまして、麻しんにつきましては、平成27年に排除が認定されておりますけれども、排除状態を維持するためには、輸入症例について対策を強化する必要がございます。
また、風しんにつきましては、2020年度までに排除達成するために、渡航者に対する対策とともに、輸入症例対策をより一層強化する必要がございます。
すなわち、現行の指針では、麻しん・風しんとも海外渡航者に関することにつきましては触れられている部分があるのですけれども、広く輸入症例に対する対策につきましての言及がないのが現状でございます。
したがいまして、改正の方向といたしましては、麻しんの排除状態を維持し、風しんの排除を達成するために、海外に渡航する者はもちろんのことですけれども、海外からの輸入症例に対して、より積極的な取り組みが求められると考えておりまして、この両指針におきまして、海外からの渡航者と接する機会の多い職業、例えば空港の従業員等に対する予防接種を推奨するとともに、海外に渡航する者のうち、罹患歴や予防接種歴が明らかでない者に対し、予防接種を推奨する趣旨の記載を追加してはどうかと考えているところでございます。
続きまして、次のページ、マル4番、風しん抗体検査から予防接種への結び付けについてでございます。
現状といたしまして、現行の風しんの指針におきましては、発生の予防に最も有効な対策は、予防接種により風しんへの免疫を獲得することとされておりまして、必要と認められる場合には積極的に抗体検査を実施することが推奨されております。しかしながら、抗体検査の結果、ワクチン接種が必要と判定された者に対して予防接種へ確実に結びつけるということまでは強調されておりません。
一方、国では、風しんの抗体検査事業におきまして、自治体が行う風しん検査費用について助成を行っております。
今のような現状に対する課題ですけれども、今回、自治体に対しまして、風しんの抗体検査のうち、どれだけ予防接種に結びつけられているかということのアンケート調査を行いました。
こちらにつきまして、詳細は参考資料4に示しておりますが、分量が多いので、その結果の中でマル4番に関係するところを御説明いたしますと、自治体のアンケートの結果によりますと、この抗体検査の助成事業で行った結果を把握している自治体は約75%でありました。また、その中で風しんの抗体検査の結果、ワクチン接種が必要と判定された者のうち、実際に予防接種を受けていることが確認されているのは、その約3分の1にとどまっておりました。
○大石委員長 アンケートの13ページですかね。
○高倉結核感染症課長補佐 薄いスライドの番号で申しますと23番になりますけれども、平成28年度風しん抗体検査助成事業で行った検査結果の内訳というところです。28年度、全助成件数は8万3,416あるのですが、結果が把握できているのは6万2,579で、75%でございました。
そして、その隣の25枚目になりますと、この抗体検査を把握している自治体が90自治体ございましたが、その中で、抗体陰性者に対してワクチン接種者を把握している自治体は32自治体にとどまっておりまして、その下、26枚目によりますと、抗体検査助成事業で抗体検査が把握されている2万1,984名のうち、ワクチン接種を確認している方というのは7,819名、36%ということでございました。
資料1の4に戻らせていただきますが、そのような状況であったということでございます。
さらに、幼少期に風しんに自然感染しておらず、風しんの定期の予防接種を受ける機会がなかった昭和37年度から昭和53年度に出生した男性の抗体保有率は約8割にとどまっております。
こちらは、その次のページに、我が国における年齢別の抗体保有率の状況を示しております。
このような状況を鑑みまして、今回の改正の方向性といたしましては、1回しかワクチンを接種していない世代であっても、約8割の抗体保有率がある以上、必要があると認められる者に対し、積極的に検査を実施することが、予防接種の効率的かつ効果的な実施につながっていくと考えておりまして、検査を行った場合に、ワクチン接種が必要と判定された者を確実に予防接種につなげることが重要であると考えております。
したがいまして、風しんの予防指針において、抗体検査の結果、陰性または判定保留の結果が出た場合に、確実に予防接種に結びつけることが重要であるという趣旨の記載を追加してはどうかと考えております。
以上が麻しん・風しん予防指針の改正の方向性の案でございます。
○大石委員長 ありがとうございました。
1点確認ですけれども、最後の4番目の説明で、144自治体が抗体検査を実施したとありましたけれども、これは全国の何%ぐらいになりますか。
○高倉結核感染症課長補佐 抗体検査助成を実施している自治体は144分の108です。
○大石委員長 いや、全体の自治体のどれ位が実施しているのでしょうか?
○高倉結核感染症課長補佐 これは、年によって若干の差はございますけれども、85%から90%の間ぐらいの自治体が実施しています。
○大石委員長 了解いたしました。
御説明どうもありがとうございました。
この指針の方向性案として4つの事項が示されたわけですけれども、これらの事項について一つ一つ議論していきたいと思います。中には御質問とかもあるかもしれませんけれども、そういう流れでこれからの小委員会の時間を使っていきたいと思っております。
まず最初に、1番の定期予防接種実施率向上に向けた対策の強化のところで、御意見とか御質問はいかがでしょうか?
館林委員。
○館林委員 95%以上になるように働きかけるというのがあるのですけれども、指針はこれでいいと思うのですけれども、少し抽象的な感じでイメージがわかないのです。接種率の高い自治体と低い自治体は何が違うのでしょうか。
○大石委員長 具体的にどうしたら95%に持っていけるのかということをお聞きになりたいと思うのですけれども、事務局、この点、いかがでしょうか。
○黒崎健康課予防接種室長補佐 予防接種室からお答え申し上げます。
今回、アンケートを詳細に分析しているところまで行っていないのですけれども、ここでどのようなことをしているかということを書いてあるところの番号がないのですが、アンケートに関する参考資料4の後ろから3枚目のところに、どのような取り組みをしているのかを書いているところがございます。自治体による回答例としては、保育園・幼稚園等へ周知依頼をしている。保育園等でチラシの配布、お便りへの掲載をするなど、いろいろな方法で積極的な勧奨をしていただいているという実態がわかってございます。
接種率が高い自治体と低い自治体とで、これが違っているのかどうかというのは、今後検討していきたいと思いますが、接種率が非常に高い自治体の取り組みなどを、今度、低い自治体へ周知していくなどを通じて、接種率の向上が達成できればいいかなと考えてございます。
○大石委員長 ありがとうございました。
館林委員、よろしいでしょうか。これまでにも各自治体、試みいろいろをされておるので、指針に95%を目標にするということを書き込むにしても、ある程度具体的にどういった取り組みをするべきだということが書ければいいのかなという思いですけれども、いかがでしょうか。
○黒崎健康課予防接種室長補佐 今後、具体的な改正の要綱を書くときに、また検討してまいりたいと思います。
○大石委員長 ほかはいかがでしょうか。
多屋委員も、これまでも感染研のほうで調査を行ってこられて、各自治体の御苦労もいろいろ御存じだと思うのですが、その辺も踏まえてお話しいただければと思います。
○多屋委員 リアルタイムにワクチンを受けていない人を把握して、直接、未接種者に頻回にわたって接種勧奨を実施してくださっている自治体では、非常に高い接種率が保たれていました。接種率が高い自治体と接種率が余り高くない自治体の傾向は余り変わらないことが今まで多かったのですけれども、今回、このように95%の接種率を達成していない市区町村という形で公表されましたが、恐らくこういうまとめ方をしたのは初めてのことだと思います。今も強化はしているのですけれども、2期でしたら、できれば、もうあと1カ月で定期接種が終わってしまうというタイミングで、市区町村別に接種率が公表されて、95%を達成しないところはあと1カ月もう少し強く強化するとか。
あと、小学校に入るときには接種の記録をきちんと提出するという規則をつくったほうがいいのかなと感じているところです。
○大石委員長 ちょっと質問ですけれども、現状は、2期の接種率の各県の状況というのは、年度内にわかっているのですか。
○多屋委員 今、2期の接種率については、厚生労働省のほうから上半期の接種率が11月ぐらいに集計依頼されて、結果が2月ぐらいに出て公表されます。残り1カ月というところで発表されるのですけれども、それに向けて接種率上昇に向けた対策を強化するのが見られるところと見られないところがあると思います。1期は年度途中の集計が行われていないので、全て終わった段階で7月に調査が行われて、夏に発表ということになっていますので、それを少し前倒しするということも必要なのかもしれません。
○大石委員長 要は、対策に反映されなければ、自治体にとっては余りメリットがないわけですね。ですから、もう少し早目に集計して周知し、それが実際の予防接種率の向上につながればいいということなのでしょうけれども、この点は予防接種室のほうはどうでしょうか。その辺は難しいのですか。
○江浪健康課予防接種室長 接種者数の把握に関して、これは麻しん・風しん対策は大分前に強化しようと、3期・4期をやっていこうという議論の中で、中間時点の数字を集計するという努力がされてきたものだと理解しております。昔は、予防接種台帳の整備みたいなことについても比較的課題がありまして、接種者の中間数を数えていただくというのは、手作業のような大変な作業だったのではないかと考えております。
一方で、予防接種台帳に関しましては、マイナンバーとの関係で磁気媒体化が非常に進んでおりまして、この何年間かで幾つか予防接種のワクチンの不足感が漂ったときに、接種率をモニターするという取り組みも、我々はやったりしております。そういった中では、恐らく自治体のほうで接種者数をカウントするという作業が大分負担軽減されているのではないかなと思っておりまして、1期も2期も含めて、中間時点の数字を整備することの可能性については、改めて確認してみたいと思っております。
ただ、時間のずれがどうしてもございまして、例えば9月末時点の接種者数を把握しようとしますと、医療機関のほうからこれだけ接種したよという報告を受けたものを自治体のほうで入力して、それを集計するということになりますので、例えば9月末のデータですと、2カ月ぐらいたたないと、自治体のほうでも手元のデータがなかなか整備されないという実態があると聞いております。そういったことを含めて、今、調査依頼をかけて、またそれを集計してということでちょっと時間がかかっていますけれども、きょうの御議論を踏まえまして、1回どういうふうに改善できるかを検討したいと思います。
○大石委員長 よろしいでしょうか。
館林委員。
○館林委員 私しかここに素人がいないので、一応申し上げておきますけれども、定期接種は努力義務なので、全員が受けろということではないのですけれども、それでも受けてもいいとか、受けたいと思う人が確実に高率に受けるようなアプローチで、しかも手間が一番かからないという結果とその対策を今、厚労省の人がやってくださっているのだと思いますけれども、そういう事例集も、先ほどおっしゃられたようにまとめたほうがいい。言っておきたかったのは、一応努力義務だということです。
○大石委員長 わかりました。調査がされているわけですから、できるだけ接種率上昇に反映できるような心がけをしてほしいと思いますし、また可能であれば、指針とかにもそういったことが書き込めればと思います。
ほかはいかがでしょうか。
山中委員。
○山中委員 先ほど江浪室長さんのほうからマイナンバーのお話がありました。もちろん、市町村においては接種率95%以上を目標にしていただくことになりますが、個別に接種したかどうかをマイナンバーに接種の状況をきちんと載せて把握しておくということも、アウトブレークが起きたときに感受性者かどうかを保健所が判断するのに、そういったデータも非常に参考になるものなので、それをぜひ市町村のほうにもマイナンバーを通してきちんと入力しておくというのを徹底していただくといいなと思います。言葉として入れられるかどうかは別ですけれども、働きかけることと、それから、市町村として接種の状況を把握しておくといった意味合いのことを入れていただけるとありがたいなと思います。
○大石委員長 大変貴重な御意見で、マイナンバーに予防接種歴をちゃんと載せてというのは理想ではあると思うのですが、現状はどうなのでしょうか。事務局のほう、コメントいただけますか。
○江浪健康課予防接種室長 別件で別の話をしていたので、うまくお答えできるかはあれですが。
今、マイナンバーと予防接種歴の関係で申し上げますと、予防接種台帳はマイナンバーを活用してつくっていただいております。マイナンバーを活用した取り組みの一つとして子育てワンストップという取り組みがございまして、これは子育てのためのいろいろな手続をマイナンバーを使って申請できるという取り組みですけれども、そのサービスの一つに、各個人の予防接種歴を情報提供できるという機能があります。そういった背景がありまして、各自治体におきましては、マイナンバーを活用した予防接種台帳をつくり、個人ごとに予防接種歴を管理していくという部分についての取り組みが大分進んでいるところでございます。
ですので、マイナンバーを活用して予防接種歴を把握できるといった形にはなっています。ただ、やったか、やらなかったかという形の入力ということにとどまっているところでございますので、それ以上、何か大きな情報があるということではないと考えております。
○大石委員長 わかりました。そうしますと、江浪室長がおっしゃったのは、個別のマイナンバーを使った接種歴の詳細がわかるわけでは、まだないのだということでしょうか。
○江浪健康課予防接種室長 丁寧に御説明しようとして、わかりにくくて申しわけございません。
予防接種台帳というのは、昔、紙でやったり、いろいろ大変だったという中で、個人ごとの予防接種歴というものがどれほど自治体で管理できていたのだろうか、結構疑問があるという意見もあります。制度上は整備することになっているのですけれどもね。ただ、マイナンバーの関係で、予防接種台帳に関しては全国的に磁気媒体による管理が進んでおりまして、自治体におきまして、各個人ごとに予防接種歴はどうなっているということについては、比較的わかるようになっています。例えば、自治体によっては、そういった取り組みを活用して、年度の途中で未接種の方に関して、その情報をもとに再勧奨したりしている自治体もございます。
○大石委員長 そうしますと、山中委員の御意見としては、指針の中にもそういったものが入れられたらいいということでしたけれども、それは可能なのですか。
○江浪健康課予防接種室長 はい。個人の予防接種歴を自治体としてしっかり把握して、例えば再勧奨をやっていくということは、1期・2期、両方とも接種率を高めていく取り組みの基本だと思いますので、そういったことについては検討したいと思います。
○大石委員長 ありがとうございました。
多屋委員。
○多屋委員 ありがとうございます。
予防接種台帳も電子化が大分進んできているのですけれども、現在のところ、予防接種台帳は5年間の保管ということで、6年たってしまいますと基本的に保管の義務がない状況になっています。以前のような紙のときは、それ以上保管するのは不可能だったと思うのですけれども、もし電子化が進んで全ての自治体で電子化がされているのであれば、5年と限らず、その人がいつでも自分の接種歴がわかるような保管をもうそろそろ考えていただくことができるのではないかと思うのですけれども、いかがでしょうか。
○大石委員長 事務局、いかがですか。
○江浪健康課予防接種室長 まさに御指摘の点、我々、非常に大事な点だと考えてございます。せっかく一人一人の予防接種歴のデータが蓄積しているという中で、それがなくなってしまうというのは非常にもったいない。これは、厚生労働省全体でデータヘルスに関する取り組みということで大きく進めている中に、予防接種歴についてどういうふうに活用し、やっていくかという課題も入っているところでございまして、保存年限に関します現状は把握したり、御報告したりしておりますけれども、可能な限り、それを長く持つ、あるいは国全体でデータを整備するといった取り組みについても、しっかりと検討していきたいと考えております。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
個人の予防接種情報というのは、生涯閲覧できるような状況になっているというのが一番理想的でしょうけれども、データベースのキャパシティーということもあるでしょうし、ぜひこれから検討していってほしいと思います。
どうぞ、高橋委員。
○高橋委員 今、個人の予防接種状況というお話がありました。事例となりますけれども、現在私は、勤務先の大学で入学時に学生の予防接種歴を確認しております。その中で、もう母子手帳を紛失してしまい確認できない場合は、今まで自分が住んでいた市町村の役場に電話をするよう指導しています。市町村役場から保健センターに御案内いただいた事例もあるようです。平成生まれの学生につきましては、今まで受けた予防接種一覧をいただくことができています。特に麻しん・風しんの定期予防接種などが2回接種が行われているかどうかを確認して実習に行くための準備をしています。
ただ、昭和生まれの学生につきましては、どうしてもそういう情報がないので、医療機関へ相談していただくという状況もございます。
別件でございますが、2期の予防接種率が上がらないのは何が原因なのかなと。考えてみますと、保護者または家族が予防接種会場に連れていかなければならないというところが大きいかと思います。そこで、毎年、医師会でやっていただいている予防接種週間というのは、非常にありがたいという意見を近くの保護者からも聞きました。その予防接種週間というのは、先生、1月でしたか。
○釜萢委員 3月です。
○高橋委員 3月ですか。最後のところで未接種にならないように実施していただいていますが、もう少し回数を増やしていただくなど、何か家族への応援の手だてをしていただけるとありがたいのですがいかがでしょうか。私も県教育委員会におりましたとき、3期・4期の予防接種のところにかかわりました。市町村が非常に努力していました。接種会場を学校の近くに持ってくるとか、さまざまな努力で100%を達成した地区もございました。2期の幼児をもつ家庭の事情があるかもしれませんが、予防接種を受けやすい環境づくりなどの工夫や手を差し延べていただければありがたいと思っております。
以上です。
○大石委員長 大変貴重な御意見だと思います。2期の接種率を上げるためには、いろいろな工夫が必要なのだなということだろうと思いますし、予防接種週間でも、もう少し前倒しすれば時間的にも猶予があるのかなという気もしました。
ほか、この1番について、釜萢委員。
○釜萢委員 今、大変大事な御指摘をいただきました。今、予防接種週間は3月の最初に1週間やっておりますが、これはそのときに拾い上げて、3月末までが麻しん・風しんの2期の接種期限でありますので、それに間に合わせようということで3月に設定しておりますが、さらにそういう啓発の期間をもう一回ぐらい設けられれば、それはさらにいいかなと思います。
きょう、先ほど御説明いただきました参考資料4の後ろから2枚目の自治体による回答例の中で、真ん中よりちょっと下ですかね。2期の接種は就学時健診での集団接種を実施するという試みが行われております。ただ、集団接種は接種を希望される方の体調を十分そこで把握できるかどうかというものもあるし、それから、就学時健診で子供たちが来るときは大分疲れているので、そこでまた予防接種というのはなかなか難しいかなと思うのですけれどもね。
私も日本医師会に来る前に、地元で2期の予防接種率を高めるようにするにはどうするかということは、一生懸命取り組んできたのですけれども、なかなか難しいですね。それで、その中では、就学時健診、学校へ入る前に10月とか11月に健診がありますので、そこで確実に拾い上げるということは極めて大事。先ほど多屋先生が言われましたように、それをもとに自治体がしっかりと接種勧奨するという体制をとることが極めて大事なのですが、これはちょっと調べてみますと、自治体によって随分やり方が違いますし、それから、就学時健診のときの予防接種歴の把握というのが必ずしも十分できていないところもあるということもわかりました。
それで、保護者と子供と一緒に内科健診へ回ってくるシステムになっている場合には、医師は必ずそこでうるさく申し上げるのですが、親は親、子は子だけという形の健診をとっているところでは、そこの情報を親御さんと共有することがなかなかできないということもあります。
これは文科省との連携ということも必要になるだろうと思いますけれども、就学時健診のときの情報をいかに接種率の向上につなげるかというところが、2期の95%を達成する上で私は非常に大事だろうと思っておりまして、そこのところを各自治体がほぼ横並びでできるように。やっているところ、やっていないところということではなくて、みんな同じような水準でそこができると、95%の達成というものが見えてくるように思います。
○大石委員長 貴重な御意見、ありがとうございました。
あと、時間のこともありますので、申しわけございませんが、2番の児童福祉施設、医療機関等における対策の強化のほうに入っていきたいと思います。この事項について、御意見、御質問等がありましたら挙手をお願いいたします。
多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 これにつきましては、先ほども少し触れてしまったのですけれども、医療機関におきましては、対策のとり方がかなり両極端化しておりまして、抗体価ありきの考え方から、抗体価がある一定数になるまで受け続けなければいけないという、かなり厳しい対応をとっているところもあれば、一方で、今回のようにワクチン未接種のままお仕事をされているところもあるという両極端である気がします。医療機関でお仕事をされる方につきましては、医師、看護師のみならず、事務的なお仕事、受付のお仕事をする人も含めて、入職時あるいは実習時には予防接種の記録を出すとか。
今は、抗体価ありきで、抗体価ばかりが先歩きしているような気がしますので、1歳以上で2回の記録をまず出す。それがない方の場合は抗体価しか仕方がないのですけれども、2回の予防接種を受けるということでもいいのではないかと思いますので、保育園の先生と医療機関にお勤めの方につきましては2回の記録を出すという、もう少し強い方策をとっていただけたならと思っています。
○大石委員長 ありがとうございます。
ここにある「児童福祉施設や医療機関等で働く者」。この文章も、ちょっとわかりにくくて、例えば医療機関であれば事務職の方とか、よく問題が起こっているのはそこなのですけれども、そういった方であるという対象をまずしっかりしておいて、そういった対象の方には接種歴を出すというか、確認するということですね。そういった手続を踏むべきではないかというのが多屋委員の御意見だと思います。
事務局、どうぞ。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。
予防接種を確実にということですので、そういった中には接種の記録が確認されているということももちろん含めますので、この指針の内容あるいはその後の対策の中で、そこも十分含められるような形で考えていきたいと思います。
あと、大石委員長から御指摘ございましたけれども、職種という形で、今、医療機関に働く方という中で、例えば医師とか看護師などに限定するようなことであると、対策として不十分であろうという認識はこちらも十分持っておりますので、「医療機関等で働く者」という記載にしておりますのは、そういったことで、例えば「医療関係者」となってくると、また漠然としてしまいますので、そのあたりは、この指針に基づいて施策を実際に実行するときに、そういった方々も含められるような形で出していきたいと考えております。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 これは、数を把握するのはなかなか難しいと思いますけれども、事務局としては、今、高倉さんが言われた対象をある程度はっきりさせたとして、どのくらいの数が予防接種の対象になると判断しておられますか。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。
現時点では、指針の改正案までというのが正直なところでございまして、実際の数というところまでの把握は、申しわけないですけれども、まだできておりません。しかしながら、各医療機関の中でどこまで含めるかというのは判断がなかなか難しくなる点だと思いますので、そのあたりは国立感染症研究所のほうで作成するガイドライン等の内容も含めまして、何らかの方向性を示せればと考えております。
○釜萢委員 と申しますのは、定期接種に関しては二百数十万の接種対象を毎年用意すれば、それでいいのですけれども、今回のこの➁のところがどのぐらいのボリュームになるのかということを考えて、それに合ったワクチンの手配というものが必要になってくるので、とても正確な数字まではいかないと思いますけれども、そこをどういうふうに考えるかということの整理をぜひしていただきたいと思います。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。十分検討させていただきます。
○大石委員長 私も、ぜひ概数だけは接種者数を出しておいてほしいと思います。
高橋委員、どうぞ。
○高橋委員 お勤めをしている方につきましては、毎年、健康診断をやっているわけですので、そこで1回確認すれば、毎年しなくても済むかと思います。予防接種状況を確認するとか、もしそれがない場合は、検査の中に一緒に含めてやってもらうというのはいかがなものでしょうか。
○大石委員長 事務局、どうでしょう。よろしくお願いします。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘のとおりだと思います。予防接種以外に、先ほど多屋委員から御指摘があったように、過去の歴を確認するということでも十分足りるわけですので、そのあたりも指針の後のガイドライン等のところで十分反映させられるように考えていきたいと思います。
○大石委員長 平原委員、どうぞ。
○平原委員 これは実務的には、今も大きな病院とか大学病院を含めて、地域の中核病院というのは、入職のときに必ずチェックしているのがほとんどだと思います。私の病院もそうですけれども、毎年のように職員をチェックします。ただ、問題なのは、職員の中にも非常勤の職員とか委託の職員とか、いろいろな者がまじるのです。こういう人たちが一律に対象として把握されているのかどうかというのは、難しいなと思っています。
多分、病院の職員を調べても、かなりの数でやっているだろうと思います。ただ、それ以外にどこまで広げればいいのか、どういう医療機関をハイリスクとしてターゲットを絞るべきなのか。全ての医療機関というのは、とても荒唐無稽な話だと思うので、そういったことを少し具体的に絞り込んで、行政から指導するという形がいいのではないかと思います。
○大石委員長 ありがとうございました。
非常勤の方の中には、派遣社員の方もおられたりするので、そうなると、派遣会社のほうからの健診があるのですかね。そういった全体をちゃんと把握しないと、なかなか難しいのかなという気がします。
ほか、ございませんでしょうか。
多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 医療機関における麻しん対応ガイドラインは、今、第7版をつくっておりまして、近日中にアップできるように準備しているところですが、医療機関のガイドラインでは、常勤職員も非常勤職員もそうですが、派遣職員の方やアルバイトや実習生も含めて、指導教官の方も含めて、医療機関で患者さんと直接接触する機会がある人、空間を共有する人は、麻しんについては全員対策をとるという内容となっていますので、事前に確認しておけば、あとずっと大丈夫なので、ぜひそこは今回の指針で強く盛り込んでいただけるとありがたいなと思います。
○大石委員長 事務局、よろしいでしょうか。
館林委員、どうぞ。
○館林委員 ここの※に「今般の事案を踏まえ、取り急ぎ現行指針の内容について、関係機関に改めて周知してはどうか」とあるのですけれども、これはそのようにされる御予定ですか。
○大石委員長 事務局、どうぞ。
○高倉結核感染症課長補佐 今回、先ほど報告いたしました沖縄県を端緒とする集団発生事例の中でも、医療機関で感染したという事例の報告がございましたので、この指針の改正を待つ前に、先に医療機関や児童福祉施設等への周知等を考えているといった意味でございます。
○大石委員長 どうぞ。
○館林委員 そうなると、今の御議論みたいに、脇のところというか、メーンじゃないところから事例が発生する可能性があるので、単にこれを周知するだけじゃなくて、今、御議論があったような、漏れそうなところがどこかとか、周知するにしても、もうちょっと注意喚起みたいなものがあったほうがいいのではないかと思います。
○大石委員長 今の議論ももうちょっと整理した上で、この情報を出していくべきだということですね。
事務局、いかがですか。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございました。
ごもっともだと思いますので、周知するときに十分に配慮させていただきます。
○大石委員長 課長、どうぞ。
○三宅結核感染症課長 今のお話ですと、第7版はいつ出るのか。
○多屋委員 近日中です。
○三宅結核感染症課長 そういうものを別添で考え方を整理して、それをつけるとかにするとわかりやすいということですかね。そういう方向でなるべく早く。
○大石委員長 どうぞ。
○館林委員 それは医療機関だけじゃなくて、保育園とか学校とかもですか。
○大石委員長 どうぞ。
○多屋委員 保育園に関しましては、つい先日、釜萢先生も委員でいらっしゃるのですが、保育所における感染症対策ガイドラインが改訂されましたので、保育園の先生は、職員もワクチンをということが明記されているので、それを御活用いただきたいなと思っています。ただ、こういう指針でも、もう少し強く推奨していただく、もう少し強く書いていただくことも大事かなと思っています。
○大石委員長 質問ですけれども、その保育園のガイドラインでは、職員の方について接種歴を確認するということの記載はあるのですか。
○多屋委員 保育園の職員は、必要回数である2回の予防接種の記録を確認する。それがない場合は抗体価を確認する等が書かれておりまして、職員への予防接種を推奨するというところまでは、しっかり明記されていますが、まだ、なかなか広がっていない部分もあるかと思いますので。
○大石委員長 周知はまだこれからということですね。ありがとうございます。
いろいろ議論も出ておりますけれども、ほかはございませんでしょうか。
どうぞ。
○平原委員 各病院、地域のある程度の中核的な病院だと、厚労省の立ち入りとか地元の保健所の立ち入りが来るのですけれども、今の医療の立ち入りで見るのは、医療安全の講習に全部出たかとか、そういうのはとことんやるのですね。だけれども、全部ワクチンをチェックしたかとなると、これははっきり言って甘いです。だから、そういうところへ、むしろからめ手からいろいろなことをやると。指導が厳しくなってくると、当然医療機関は必死になってやりますから、医療安全の講習は、みんな必死になってお尻をたたいて聞かせるのですね。
だから、そういうやり方も一つの方法で、ある程度の基幹病院的なところはカバーしていけるかなと思います。今回、基幹病院から出ていますからね。
○大石委員長 それは、医政局なども関係する事項なのでしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 関係する部局のほうと十分に話し合いをして、情報交換しながら進めていきたいと思います。
ありがとうございます。
○大石委員長 どうぞ。
○山中委員 立ち入り検査に行っている保健所ですけれども、私の保健所では、こういう感染症に関しては、抗体の検査を入職時にやっているかとか予防接種率を確認しているかというのは聞いております。それは、実際アウトブレークが起きたときに、どの病院に患者さんを紹介したらいいかというのを頭の中に想定することも可能なので、それは両方の意味で指導させていただいております。ただ、それを全ての保健所でやっていないということであれば、いろいろな所長会を通じてお願いは可能です。
○大石委員長 どうぞよろしくお願いします。
あと、議論の中で、0歳児や予防接種が不可能な者に接する機会の多い者に対し、推奨するというポイントがあるのですけれども、この点についての御意見はいかがでしょうか。恐らく小児科あるいは妊婦さんも意味しているだろうと思いますけれどもね。
多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 この点はとても大事なポイントだと思います。4月の半ばに感染症疫学センターから出しました「MRワクチン接種の考え方」でも、接種を受けたくても受けられない人々の周りにいる人が、しっかり予防接種を受けることはとても大事なことだと思いますので、医療機関や児童福祉施設にお勤めの方につきましては、ぜひ明記する方向でお願いしたいなと思います。
○大石委員長 小児科医院とか産婦人科医院といったところの従業員は、より重要だということですかね。
○多屋委員 はい。最近、麻しんといいますと、内科あるいは皮膚科、そして昨年は眼科、耳鼻咽喉科、どこの診療科という区切りなく、昨年は整形外科の理学療法士さんの発症等もございましたので、余り何科とこだわることなく、医療機関に勤める方はワクチンをしっかり受けておくということは大事なのではないかと思います。
○大石委員長 わかりました。全医療機関は、そういう意識を持たなければいけないということですね。
平原委員。
○平原委員 2004年のときも、妊婦は打てないのだから、妊婦さんの周辺はとことん打ってくれと書いたのですね。だから、これも何かの形で伝えるような、なお一層伝わるような形はあったらいいと思います。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
どうぞ。
○館林委員 0歳のときにはしかにかかって、その後、SSPEになったお子さんを私も取材したことがあるので、0歳の感染というのは絶対にやめてほしいと思っています。ここに書いてあることだと、小児科・産婦人科以外の医療機関は入らないと読めるのではないかという御指摘だったと思うのですけれども、そこはどういうふうなことになるでしょうか。
○大石委員長 それは、多屋委員もおっしゃったように、ここだけではなくて、全医療機関で意識していくということが必要。
○館林委員 ここの解釈ではそうかもしれないですけれども、この文章でそういう解釈が伝わるという理解でしょうか。
○大石委員長 一般的な考え方として、全医療機関の注意が必要であって、とりわけ0歳児、妊婦さんといったところは、より慎重に対象者を守るという意識が大事であるということだろうと思います。よろしいでしょうか。
はい。
○野田結核感染症課長補佐 本日いただいた御意見を踏まえまして、次回以降、案を作成する形になりますので、そのときに今回、伺った意見を踏まえて作成させていただきたいと思います。
○大石委員長 ありがとうございました。
それでは、3番目の輸入症例への対策の強化というポイントに移っていきたいと思います。この点につきまして御意見を伺えればと思いますが、いかがでしょうか。
多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 日本は、麻しんは排除認定されましたが、海外にはまだまだ麻しんが流行している国が多くあります。海外に行くときに、例えば黄熱ワクチンを受けていかなければいけないとか、狂犬病ワクチンやA型肝炎ワクチンなどを受けようと思う方は多いのですが。
海外渡航に対して推奨するワクチンの種類ということで、厚生労働省の検疫所の表の中に昨年の夏に風しんが入り、おととしの夏に麻しんが二重丸で入れていただきました。そこに書いていただいていることで、企業さんの費用助成などもできたりするということで、とてもありがたく思っているのですが、海外に渡航する前には、麻しん風しん混合ワクチンがトラベラーズワクチンの一つであるということを、もう少し強く多くの国民の方にも認識していただけるような工夫・行動をお願いできればと思っています。
○大石委員長 この辺の認識も、昨年以降、大分進みつつあると思うのですけれども、ひょっとするとまだまだなのかもしれません。
ほかはいかがでしょうか。どうぞ。
○平原委員 これは、結局、外国人の方が来るということに対しては、何か対策がとれるのですか。それが1つと。
もう一つ、日本人も行くときにワクチンをきちんと打っていってくれれば、帰ってくるときにはそんなに心配ないのだけれども、いまだに危ない人たちがいっぱい外国へ出ていって、帰ってきたときに持ち込んでくるというのがいっぱいあるわけですね。この前の「風疹ゼロの日」のときに聞いた話も、ちょうど3月ぐらいに人事異動で海外の職場へ出ていった人たちが一斉に帰ってきたときに、職場でぽちぽちと風しんがはやり始めましたという話だったのです。
だから、どういう人たちがハイリスクなのかということをより伝えないと、のべつ幕なし、みんな危ないと言っても漠然としているので、海外ということをキーワードにしたときに、行く場合、帰ってくる場合も含めて、もうちょっと具体的な形のアナウンスメントを、できれば外務省とか、いろいろなところと協力して絞り込んでいかないと、何となく海外は危ないという程度の認識でみんな甘く考えているだけだと、なかなか効果が出てこないのかなと感じました。
○大石委員長 ありがとうございました。
事務局、どうぞ。
○高倉結核感染症課長補佐 ありがとうございます。
いろいろなパターンというものがあろうことを見越して、渡航者対象というところから、より広く輸入症例への対策というところに、今回の指針の改正の案として示したところでございます。実際にどのようなパターンといいましょうか、どういった場所で、どういったタイミングで、そういう機会がふえるのかというところは、今の平原委員の御指摘も含めまして情報を得た上で、それぞれに応じた関係の機関等と協力しながら進めていかなければならないと考えております。
○大石委員長 ありがとうございました。
日本人に海外渡航に注意しましょう、感染を受けて帰ってくる事例を減らしましょうということは恐らく言いやすいでしょうけれども、海外から入ってくる人が感染した場合は、対策は難しいですね。
○高倉結核感染症課長補佐 おっしゃるとおりで、一方で、海外の方に打ってくれと直接訴えることも難しいですから。そこで、今回の改正の方針に示しましたように、海外からの渡航者と接する機会の多い方のところで十分に意識を上げていっていただいて、予防接種を含みました対策をとっていただきたいと考えているところです。
○大石委員長 今、高倉補佐のほうからお話がありました、「海外からの渡航者と接する機会の多い職業(空港の従業員等)」と書かれています。これは2016年の関空の事例でいろいろ注目を浴びたところではあるのですけれども、この点につきましてもう少し明確に対象を絞ることは大事なのかなと、2016年当時もいろいろ議論したところですけれども、御意見いかがでしょうか。
はい。
○平原委員 今、海外からの旅行者がふえているわけですね。だから、どこへ行っても危ないのかもしれないけれども、特段、固まりとして人が来るようなイベントがあります。今度のオリンピックはまさにそうかもしれませんし、ワールドカップもそうかもしれない。それで、各地区、例えば大分などはラグビーの誘致をして、そこにいっぱい人が集まるような仕掛けをしているのですね。
だから、これは指針に盛り込める内容じゃないかもしれませんけれども、具体的な指導としては、そういうオリンピックの練習サイトでいろいろな都道府県が手を挙げていて、そこに外国の人の固まりが来るというのは、それなりに注視しておかないと危ないのではないか。あなた方の県、危ないですよということを特段言っておかないと、そういうところでわっと発生するとまずいのではないかなという気がします。
○大石委員長 野田室長。
○野田結核感染症課長補佐 ありがとうございます。
まさにオリンピック・パラリンピックに向けた対策、そして、その前年のラグビーというものがございますので、そこについては、特にオリンピック・パラリンピックに向けた対策という形で、感染症が入ってくる感染ももちろんありますので、現状、関係する自治体についてはリスクアセスメントを感染研と協力してやっていただいているという状況です。そこをやっていただいた上で、各自治体がどうやっていくかというところを考えていただいて、また国としても、それをどう支援していくかというところを今後、構築していきたいと考えております。
○大石委員長 ありがとうございます。
まさにマスギャザリングというイベントを対象として対策をしていくべきだということを指針に盛り込むということは、大変重要なことじゃないかと思います。
ほかはいかがでしょうか。
どうぞ。
○平原委員 これも前の特定指針のときにも議論が出ていたのですけれども、結局、企業がある程度本格的に動いてくれないと、海外へ行くにしても、海外から帰ってきた人たちにしばらく健康に注意しなさいよ、熱があったら気軽に会社に出てくることはやめなさいという指導というのは、ワクチンは打てないにしても、口で言う指導だからできるのではないかと思うのですけれども、そういったこと自体の周知徹底も余りできていないのではないか。何かいい方法があればいいのですけれども、要するに海外と交流のある会社の人たちの当然の心得として、こういうことは気をつけなさいねと。
海外へ行ったときは、風しん・麻しんだけじゃなくて、いろいろな病気があるわけですね。ですから、そういったものに対してのケアも注意しなければいけない。というので、産業医がどういう役割をどこまで担っていただけるのかもちょっとよくわからないですけれども、いわゆる企業の健康管理者に対しての、そういったことへの周知徹底をもうちょっと進められないのかなということで、何かいい方法があればと思います。
○大石委員長 ありがとうございました。
2013年の風しん国内流行の後に職場における風しん対策のガイドラインを出して、職場関係、企業団体の方々ともいろいろ議論したところだったのですけれども、多分、厚生労働省の中の労働部局との話し合いということが必要になるだろうと思うのですけれども、その辺はどうでしょうか。事務局として何かコメントできますか。
○野田結核感染症課長補佐 今は労働部局との交渉もありますが、それ以上に、これまで麻しんの対策会議のほうであったと思いますけれども、東京都の取り組みとして、自治体の業務継続計画につくり方みたいなものをつくっていったり、そういうこともやっているという話も聞いております。
恐らく各企業自体も意識があり、なおかつ、今までやってきた企業と、これからどうしようという企業もいろいろとあると思います。そういうところで事例として示すというところは、感染研のガイドラインとかもあると思いますけれども、そういうところで記載していくということで企業を支援していくというのは1つあると思っております。
○大石委員長 ありがとうございます。なかなか難しいところなのかなと思いますけれども、ぜひ今後も企業の方針決定にこういう指針が影響してくればなと思っております。
ほか、よろしいでしょうか。
そうしましたら、4番目のテーマに移っていきたいと思います。風しん抗体検査から予防接種への結び付けというところです。
○高倉結核感染症課長補佐 すみません、この4番の項目を御議論いただく前に、先ほど事務局のほうから説明しましたデータにつきまして、少し訂正と申しますか、注意がございますので、参考資料4番の、スライドの番号23から26でございます。こちらの説明の中で、最後の26枚目のところで、36%がワクチン接種を確認されていると説明いたしました。
これは、調査上、抗体検査事業を行い、なおかつ、抗体検査の結果を把握した上で、さらにワクチン接種を把握している割合というふうに、どんどん絞っていきますと、このパーセンテージになるわけでございますけれども、実際には、抗体検査の結果を把握している自治体の中には、ワクチン接種までは追っていないけれども、勧奨したり、助成するなどしながらワクチン接種を受けている方というのはもっといるであろうということは予想されますので、こちらの36%の値というのは、自治体が助成事業の中で接種歴まで確認するところまで含めた上での把握の率ということで、実際に予防接種を受けた方は、このパーセンテージよりは高いだろうと。
○大石委員長 少なくとも36%。
○高倉結核感染症課長補佐 そういうふうに御理解いただければと思います。
○大石委員長 ということです。
それでは、議論に入っていきたいと思います。御意見いただきたいと思います。
はい。
○平原委員 これは、本当に2013年の後、抗体検査の助成事業として厚労省が大変取り組んでいただいていて、すばらしい事業だなと思っています。ただ、現実問題としては、妊娠する予定であるとか、妊娠した人のパートナーとか配偶者というのがほとんどの対象者なので、いわゆる30代後半から50という人たちは余り入らないですね。ある意味防御側というか、自分たちがうつらないようにするためにしましょうねというディフェンス側のほうの体制だと思います。
このディフェンス側のほうの体制ですけれども、ポピュレーションベースのデータじゃないので、ちょっとわかりにくいのですけれども、現実問題として、日本産婦人科医会で全国の各支部で調べた、非常にアバウトな調査ですけれども、その年度に生まれるお子さんたちが100万人ぐらいいるわけですけれども、その人たちの中で、これを受けている人たちは10%を超えていないです。県によっては、二、三%の県もあるのです。私どもの横浜市などは2割以上を超えている。温度差がすごくあるわけですね。
ですから、抗体助成事業は9割以上のところで確かにやっています。だけれども、実際のされ方はすごく温度差があって、一生懸命になってやっているところもあれば、一応制度がありますよというだけで、希望者があったときだけやってあげましょうねというサービスになっているところもあるという感じがしますので、それを補完するために、麻しん・風しん対策会議というものが行われているのだと思うのですけれども、この麻しん・風しん対策会議も、どっちかというと定期接種がちゃんと行われていましたか、どうですかというのを1年間に1回チェックしておしまいにしているような雰囲気がなきにしもあらずのような感じがいたします。
ですから、これをもうちょっと活性化させて生き生きとさせていかないと、その地域地域で本当に足らない人たちに対してどうするのかというのが、なかなかできてこないなという感じがしますので、その辺も含めた包括的な、この助成事業に対してだけ頑張りなさいねじゃなくて、もうちょっと地域でどういう人たちがハイリスクで、そのハイリスクな人たちが海外に行く企業がここにある。ここに対しても、よりアプローチしてくださいということがわかるような形の指針になっていただけるとありがたいなと思います。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
事務局、何かありますか。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。
今、おっしゃられたように、対象者をどうするかという観点もございますし、各自治体での取り組みの温度差と申しますか、それがあるのも、我々も実際の実績値等を見ますとよくわかってまいりますので、このあたりは、よい事例を共有するといったことも含めながら、実施されている自治体の実際に受けられる方をふやしていくような形というのは、周知していきたいなと考えております。
あと、もう一点、対策会議についてでございますけれども、こちらもアンケートのほうを見ますと、13枚目などで、実際に対策会議が開かれているということは、ある程度多くの自治体が行われているということは確認できましたけれども、その中でどのような内容を評価あるいは検討、議論していただくかというところまでは、現行の指針の中では余り記載がございませんので、そういったところも含めた、より実質的なものにつながりやすいような記載を、この指針の中でも検討していきたいと思います。
また、こちらも国立感染症研究所のほうで対策会議に関するガイドラインというものもございますので、こちらのほうでも会議の中身がより活発になるようなということで、内容を調整させていただければと思います。
○大石委員長 ありがとうございます。
改正の方針として、ここに書かれているように、風しん指針については、抗体検査の結果、陰性又は判定保留の結果が出た場合に、確実に接種に結びつけることが重要である趣旨を記載してはどうか。これは、特に皆さん、異議はないかと思うのですけれども、よろしいですね。
ほか、追加の意見があれば。はい。
○館林委員 意見じゃないのですけれども、平原先生のお話を聞いて、ちょっと質問があるのです。
スライドの23番の抗体検査事業の結果の内訳というものがあるのですけれども、男性も女性も3分の1がいわゆる抗体陰性で、性別の違いなく、同じぐらいの方が陰性と理解するのですけれども、そうすると、この抗体検査をそもそも受けた人は、接種歴不明もしくは接種していないことが明らかな人であるということなのか。そうなると、抗体検査を受けるまでのスキームというものがそもそも存在しているのか。そうすると、今度、抗体検査を結びつけてはどうかの前に、こういう方がそもそも抗体検査を受けるような流れというのはあるのか、ないのか、つくったほうがいいのか、ちょっとわからなかったので、質問です。
○大石委員長 事務局、いかがでしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 一人一人の詳細までは確認できてはいないのですが、この抗体検査事業は、ほとんどの自治体が妊娠を希望されている女性とその配偶者の方、パートナーの方を対象にしておりまして、その中で、先ほど平原委員から御指摘があったように、1割ぐらいの方が仮に受けていらっしゃるということで考えると、御自身の予防接種歴等に不安があると申しますか、そういった方がより受けやすいであろうということは予測されますので、それで高いパーセンテージになっているだろうということが1つです。
もう一つは、流行予測調査においては、風しん抗体の陰性というのは8倍未満と設定しておりますので、それよりはいわゆる16といった判定保留に当たるような方というのも、予防接種の接種対象としては考えられますので、それでここのパーセントとしては、実際の人口から考えるよりは高目になっているのではないか。この2つの要因が主ではないかと考えております。
○大石委員長 よろしいでしょうか。
○館林委員 男女差がないことが気になりました。最初から整理して、妊婦さんの中で接種歴がわかっていますか、わかっていませんか。では、不明な人は抗体検査を受けてください。抗体検査を受けて陰性な人は、少なくともディフェンス側の方は確実に予防接種を受けてくださいみたいな周知徹底があればいいのかなと思っただけです。
○大石委員長 そのとおりですね。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘のとおりですので、検討させていただきます。
○大石委員長 多屋委員、どうぞ。
○多屋委員 私はちょっと意見が違っていて申しわけないのですけれども、抗体検査事業も確かにやっていただいて、御努力していただいて、ありがたいのですが、感染症流行予測調査事業の結果を見ますと、残念ながら30代から50代の男性の抗体陰性者が2割いるというのは、この5年間、何も変わりませんでした。ですので、抗体検査を受けなければ予防接種を受けられないのではなくて、30代、40代、50代の人はワクチンを1回受けるのだというぐらいのメッセージがあっても、もういいのではないかというのが私がずっと思っているところです。
10年かかってもいいじゃないかと思っているのです。30、40、50歳になる人に1回、MRワクチンを接種するというのが10年できるとなると、あらかじめワクチンをつくっていただけるでしょうし、あらかじめ予算も考えていただけるでしょうし。抗体検査を受けに行くこともなかなか難しいし、それを受けて結果を聞きに行って、陰性だったら、またワクチンを受ける。何回も大人に受診行動を求めること自体が、そもそも難しいというのがこの5年間でわかってきたのではないかと思うので、もし抗体検査を続けるのであれば、わざわざ行くことなく、職場健診の中に1回、自動的に入っているとか、そういうことでないと、ちょっと考え方を変える必要があるのではないかと。
30代、40代の人は麻しんだって不十分であることが今回わかったわけなので、あと1回だけMRワクチンを接種するチャンスをもらえないでしょうかというのは、考えてみていただきたいなと思っています。
○大石委員長 まず、多屋先生の御意見に事務局は御意見ありますでしょうか。
○江浪健康課予防接種室長 主に風しん対策の観点から、今回、資料としても配られております、男性におきます抗体保有率が低い世代、80%ぐらいの世代について、どういうふうに穴を埋めていくかという課題があるということの御指摘をいただいております。
この課題に関しましては、過去に、これはもう皆様方、御存じの経緯でございますけれども、平成25年当時の、これは風しんに関する小委員会の中でも議論があって、当時は数理モデルのようなものが示されながら、一体どういった対象に対して接種を行うことが効率的なのかという議論の中で、ハイリスク者に対する接種を優先すべきであるという意見があった中で、今のこの対策になっているのだろうと理解しております。
ただ、ここの世代がある限り、常に流行が起こるのではないかというリスクを持っているのではないかという御指摘はそのとおりでございますし、予防接種法上、ずっとこれまで課題でありましたワクチンギャップを解消していくということの成果、たくさんのワクチンが定期接種化されていく中で、こういう排除を目指すワクチンについて、さらにどういうふうに仕上げていくのかということについては、引き続き非常に大事な課題だと思います。
これは、対象者が非常にたくさんいらっしゃいまして、過去の議論の中でも、流行の中心となっている20代から40代の成人の男女に、人口が4,800万人ぐらいいらして、それに全員接種ということになると、予算で4,800億円必要ですねみたいな話もあった中で、一体どういうふうに効率的にやっていけるかという中で議論があったということで、直ちに今、すぐこの場でやりますということを申し上げるのは難しいところではございますが、非常に大きな課題としてしっかり検討していきたいと考えてございます。
○大石委員長 どうもありがとうございました。引き続き御検討いただきたいと思います。
山中委員。
○山中委員 先ほどの多屋委員の御発言のとおり、いわゆる抗体の保有の低い年齢層にきちんとワクチンを接種するというのは、どなたも異論がないところだと思いますけれども、先ほど室長がおっしゃったように、たくさんの対象者に対して、どういう優先度をつけてやっていくかというのが課題で、なかなか進まないところだと思います。
例えば麻しんのほうでも、海外渡航者に対して推奨すべきという熱いメッセージがありますが、海外渡航される予定の方に関しては、抗体保有されているかどうかの検査を助成していく。妊婦さんとか妊婦さんの夫に対しての対応というのは、CRSを予防することになりますけれども、違う年齢層に対しては、そういう切り口での助成というのは考えられないものでしょうか。
○大石委員長 いかがでしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 御指摘ありがとうございます。
今の山中委員の御指摘のことは、我々も十分に問題意識として持っておりまして、今回の方向性の中で、マル3番あるいはマル2番もそうですけれども、予防接種がより接種の必要性が高いと思われる方の中で、実際職場や企業等で対応できるところに関しては、やっていただくことのほうが優先的かなと考えておりますが、そうしたところから漏れる、外れるような形。特に、海外渡航というのは、必ずしも企業等からの派遣で行くわけではございませんので、そういったところの対象者というのを、このような検査の事業等の対象に含めるというのは十分に検討に値すると思いますので、今後、実際に進めていく上で、抗体検査事業等の中でも対象に含める方向で検討していきたいと思います。
○大石委員長 ありがとうございました。
平原委員。
○平原委員 感染研で出している職場のガイドラインもありますね。あれも、既に海外へ行く企業はとにかくちゃんとワクチンを打ちなさいと書いてあるわけですね。ですから、既にガイドラインというのはできているわけですね。ただ、それが実施されないという問題点があって、専門家がこれだけ言っている。だけれども、実際する人はしない。しない理由が、先ほど話が出ましたように、抗体検査して、また結果を聞きに行ってワクチンを打って。そんな休暇を一々とるわけにいかないですという実際の使い勝手の悪さがあったりするわけです。
ですから、職場が本格的にプロモーションしてくれない限りは、先に進まないだろうと思います。ストラテジはもうわかっているわけですけれども、それをどういうふうにすれば、より実行段階に移せるかというところも指針に書き込んでいただければと思います。実際には、これはガイドラインで出ているわけですから、指針といえば職場に対してのメッセージですから。2013年の大流行を見て、職場で罹患された妊婦さんたちが大勢いたわけですから、実際それを踏まえた上での話なので、これの答えはわかっているのですけれども、どうすればそれが実行段階としてふえるか、そこのところを何か一工夫いただけないかなと思います。
○大石委員長 どうぞ。
○野田結核感染症課長補佐 まさに職場で、特に予防接種を含めて、どういう形で対策を進めていくかというところは、前回の改正のときからも随分議論があったと認識しております。予防指針に書いたらできるかというと、そういうわけではなく、ガイドラインも既に書いてあることでもあり、また、そこをもうちょっと実際にどうやっていただくかという実行面でどうしていくかという問題のフェーズに入っているのかなと思っております。
一応、こちらのほうでもいろいろな問題点、また企業がどういう形でよりやっていただけるようになっていくかというところは調べているところでございまして、例えば企業の支援という言葉がどうかというところはありますけれども、こちらもいろいろと調べていきますと、仮に企業が業務上または福利厚生上やった場合には、それは福利厚生費に入る。基本的にそこは損金に入りますので、所得税とか法人税上は入らないというところは、先日、国税庁に確認したところでございます。
現状、いろいろと散らばっている、世の中には既にあるのだけれども、皆さんが知らないということ、企業の方が知らないということで、なかなか進んでいかないというところもあると思いますので、そういうところがわかりやすくできるようなところで、それは多分、感染研のガイドラインとかに、よりこういうふうにやったらいいですよとか、あとは先ほども申しましたように、業務継続計画、こういう形で書いていくといいですよとか、そういうことがわかりやすいものをつくっていくということ。
また、ことしの2月に風しんの日をやりましたけれども、そういうことを含めて、さまざま実行段階で企業に浸透していけるようなところはやっていきたいと考えております。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
野田補佐がおっしゃるように、指針に書き込むだけじゃなくて、次の施策を落とし込んでいくということが大事なところで、そこが一番労力がかかる、また難しいところなのかなと思います。ぜひ、その辺も踏まえた上で御検討いただきたいと思います。
どうぞ、館林委員。
○館林委員 さっき山中委員がおっしゃられたことがちょっと気になったのですけれども、検査だけじゃなくて、予防接種の助成というのはどうなのでしょうか。先ほどのような、ちょっとハイリスクの方が抗体陰性だったときとか。そこまでやれば、もっと受けやすいのかなと思います。
○大石委員長 事務局。
○高倉結核感染症課長補佐 現在のところは、抗体検査のみということになっております。ただ、自治体によっては、予防接種の助成を行っている自治体もあるという状況でございますので、もう少し情報を整理しながら可能性のある手段というのを考えていきたいと思います。
ありがとうございます。
○大石委員長 かなり議論もされてきたところですけれども、1番から4番のトピックスについて何か御意見、言い残したことがある方はありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
釜萢委員、どうぞ。
○釜萢委員 企業が独自に対応しなければいけない部分は、企業に対するお願い、啓発を続けていく必要があると思いますけれども、先ほど多屋先生が発言されたのと私も同じ意見でありまして、ある年齢の男性に対して、予算の限りもありますから、時間をかけて住民接種の形で、この年齢に達した人は必ずワクチンを受けなさいという形で、それでももちろん接種率100にはならないですけれども、そこで拾っていくというのが、ずっと見てきた、これまでの経緯を考えると、それが一番早くに解決する手段ではないかなと感じます。
MRワクチンの3期・4期というのは画期的でしたね。あれによって、ワクチンギャップはかなり解消されたと思います。だから、あのときは、こういうふうにやればいいのだなという感じで、お金もかかりましたでしょうけれども、その形の決断をもうすべき時期に来ているのではないかなと感じます。
○大石委員長 ありがとうございました。
事務局のほう、いかがですか。
○江浪健康課予防接種室長 実際にかつて風しんが平成25年に流行したときにも、この予防接種によって守り切れていない世代に対して、一体どのように介入していくかということが議論になったということは、先ほど御紹介申し上げたとおりであります。実際にこういった世代の人たちに対して、例えば定期接種でゲートをつくって接種を進めた場合に、接種率がどのぐらいになり得るのだろうかとか、仮にやるということを考えたとしても、課題はたくさんあるだろうなと。
先ほど職場での取り組み、例えば予防接種を受けに行くために休暇をとるということのハードルみたいなことを考えても、定期接種化したとしても、どのぐらいの予防接種者が期待できるかどうかということも含めて、総合的に議論していきたいと思います。
予防接種で防げる疾患を予防接種で防ぐということが予防接種法の基本的な考え方という中で、たくさん定期接種化しなければならない疾患があるのではないかという御意見をいただいておりまして、それについては技術的な評価をしながら、どのように進めていけるかという中で、今、いただいたような御意見についても検討していきたいと思います。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
きょうの小委員会の中では、4項目についてしっかり議論ができたと思います。これらの委員の意見を踏まえた上で、改正案を事務局のほうで作成していただき、また次回の小委員会で議論していただくという流れになると思います。
その他、事務局のほうから何かございますでしょうか。
○高倉結核感染症課長補佐 次回、第4回につきましては、6月8日金曜日、14時からの予定としております。
事務局からは以上です。
○大石委員長 どうもありがとうございました。
皆さんの御協力のおかげで、ほぼ時間内でおさめることができました。
また、次の小委員会でこの議論をつなげていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
きょうは、どうもありがとうございました。