第7回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事)

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

日時

平成30年2月23日(金)15:30~17:30

場所

厚生労働省専用第22会議室(18階)
(東京都千代田区霞ヶ関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)

議事

○阿部座長 皆さん、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから、第7回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。
まず、本日の欠席委員は、眞保委員、塩野委員です。
また、久保委員が途中で退席されます。
そのほか、坂根雇用開発部長は本日公務のため、おくれて参加されます。
本條委員も後で、おくれて参加と聞いておりますので、よろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、本日の議事に入りたいと思います。
本日は、最初に、事務局から、日本と類似の雇用率制度を有するフランスやドイツの制度を説明していただいて、その上で、日本の制度について個々の仕組みの概要と、それが設けられた趣旨、それぞれの仕組みごとに研究会でこれまで出された意見をあわせて説明していただきたいと思います。その後、それぞれの項目ごとに委員の皆様から御意見をいただきたいと考えております。
本日も、これまでヒアリングで出された意見等も踏まえながら、幅広く御議論いただきますようお願いいたします。
それでは、まず、資料1について、事務局から説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
資料1に沿ってまずは御説明したいと思います。時間もありませんので一部省略いたしますが、その点御容赦いただければということと、あとは表紙に書いてありますとおり、基本的には独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構で以前作成したレポートがございますが、そうしたものを踏まえながら、我々のほうでも関係各国に一部当局に現状を確認したものであります。その上で厚生労働省において整理したものでございますので、一部直近の動向等を反映できていないものもあるかもしれませんが、その点は御容赦いただければと思っております。
それでは、資料の2ページをごらんいただければと思います。今回、フランス、ドイツの制度を御説明しますのは、座長からも御紹介いただきましたとおり、類似の制度が設けられているという点と、これまで研究会で出されたような御意見についても、ある意味で同様の趣旨等であったり、あるいは同様の制度を設けている経緯があるということで御説明するところでございますので、よろしくお願いします。
まず、2ページでございますが、フランスの障害者雇用率制度の枠組みでございます。従業員20名以上の事業所ごとに、全従業員の6%に該当する数の障害者を雇用するということになっておりますとおり、フランスの場合には、会社単位ではなくて事業所単位で雇用義務を課しているところでございます。したがって、少人数の事業所については、全体として会社の単位が、会社に雇用義務がかかっていたとしても、それは雇用義務の対象にはならないというものでございます。
その上で、雇用義務の対象者についてですが、例えばマル3の障害年金の受給者であるとか、マル2の労災年金受給者などに加えて、マル1の障害者権利自立委員会によって障害労働者認定を受けた方についても雇用義務の対象になるということになっております。また、マル1については後ほども御説明しますが、それぞれの障害について認定をするという仕組みになっておりまして、当事者あるいは労使も入ったある種の三者構成の委員会によって決定されているというものでございます。
雇用率制度については短時間カウント制度がございますが、日本の場合ですと、40時間フルタイムに対して20時間以上というのがまずは前提になっております。フランスの場合には、1カ月の労働時間が半分以上の場合には1単位とした上で、半分未満については0.5単位となっております。確認したところによれば、例えば週1時間、2時間であっても0.5カウントとしてカウントされるということでございます。
また、日本のようなダブルカウント制度については2005年に廃止したということでございますが、雇用率制度上は廃止しておりますけれども、納付金制度上は障害者1人当たりで場合によっては1.5倍、2.5倍などとカウントする制度も設けられているということでございます。
続きまして、3ページでございますが、障害労働者認定についてです。こちらは日本と同様に身体、知的、精神等の障害についてということでありますが、雇用を獲得し維持する可能性が現実に減退している全ての人を指すということになっております。ここで個別具体には御説明を特にしませんが、いずれにしましても、先ほど御説明したとおり、三者を含む委員会によって個別に判定されるということでございまして、1年から5年の有効期限が設けられているというところでございます。
その上で、障害認定をされた方について、4ページにございますけれども、納付金の関係等で、重度障害認定という制度が別途設けられております。重度障害については、納付金の場合のダブルカウントのような形のものに反映させる仕組みでございますが、見ていただければわかりますとおり、※の2つ目ですけれども、具体的には障害労働者の生産性の減退に関する負担であるとか、チューターや第三者による支援に関連する負担が該当するということで、日本の場合には、後ほど御説明しますとおり、チューターや第三者による支援に関連する負担はある種、勘案しているところでございますが、障害労働者の生産性の減退には特に着目していない制度になっているかと思います。
2つ目ですが、重度障害認定を受けた障害者を雇用している使用者に対しては、納付金の額の割り引き等の措置が講じられるということになっております。
有効期限は最大3年となっておりますが、認定の仕方といたしましては、一番下にありますとおり、重度障害であるか否かはあくまでも障害者がついているポストとの関係で決定されるというところでございまして、かつ、労働環境について適切な措置がなされた後に実施されるということでございますので、日本のように、雇う前にダブルカウントかどうか、重度障害かどうかが決定されているわけではなく、あくまでも雇われた上で、その職場環境との関係において重度障害かどうかが決定されるという仕組みになっております。そのため、一部の意見としては、労働環境がよいと、合理的配慮がしっかりとされている場合に、逆に重度障害認定がされないというようなケースもあるという指摘もあると聞いております。いずれにしましても、あくまでも職場と障害の関係で決定されるという事情がございますので、有効期限は最大3年でして、さらに申し上げれば、初めて重度障害認定の申請を行った場合には、まずは1年間の認定に限定されるということで聞いております。
続きまして、5ページですけれども、障害者雇用義務の履行方法ということで、後ほど御説明いたしますとおり、日本の場合には、あくまでも直接雇用による方法のみが認められておりますが、フランスの場合はマル1からマル5のとおり、障害者の雇用義務の履行方法がさまざまな方法によって認められているというものでございます。マル1の直接雇用以外の方法としましては、例えばマル2の保護労働セクターへの発注ということで、日本で言うところのA型事業所であるとかB型事業所のようなところに仕事を発注した場合に、雇用義務の50%分までをみなしによって雇用義務の履行とみなすことが可能とされております。
ただし、みなし分については、額の計算方法、1人当たりの計算方法としては、発注額から原材料費であるとか販売経費等を差し引きまして、すなわちおおむね人件費みなしといいますか、人件費相当分が最低賃金掛ける2,000倍に該当した場合に初めて1人としてみなされるという仕組みになっておりますので、後ほど御説明します納付金とのバランスにおいては、相当高額の発注をした場合に初めてみなしになるということかと思います。
研修での障害者の受け入れについても、同様に雇用労働者としてみなす仕組みを設けております。
加えて、フランスの場合には、納付金の支払いによって雇用義務を履行しているというように一旦は認定される仕組みもございますが、納付金の額については従業員の規模に応じて1人当たりの額が決定されるようになっていまして、大企業であればあるほど1人当たりの額が引き上げられていくという仕組みになっております。次の場合には不足人数からそれぞれの場合に応じた数を引いて算定するとなっておりますが、26歳未満または51歳以上ということで、若年者または高齢者。あるいは初めての障害労働者を雇用した場合であるとか、重度障害認定を受けた方については、それぞれダブルカウントあるいは1.5カウントという仕組みが設けられているということでございます。
加えて、こうした方法とは独立した方法としまして、障害者のための1年から数カ年での、雇用した上での研修、能力開発を行って、しっかりと着実に雇用に結びつけていくようなプログラムを設けた場合には、不足人数分を、そのプログラムによって雇用義務を履行しているとみなす制度があるということになっております。
続きまして、6ページですが、助成金・支援金については、納付金を原資としまして、さまざまな助成金・支援金があるということでございます。こちらは特段特徴的なこともないかと思いますので、説明は省略いたします。1点、日本との違いで申し上げれば、特にここには書いておりませんが、日本の場合には納付金を原資として、まずは調整金という形で、雇用義務を超過している事業主に対して一律に経済的負担を調整するための資金が支給されるわけですが、そうした仕組みはフランスには設けられていないということでございます。
また、制裁的納付金・罰金等ということで、その下に書いてありますが、先ほど雇用義務については納付金を支払うことによって雇用義務を履行しているとみなされるということがございましたが、あくまでも当面の措置として認められているということでございまして、例えば3年以上にわたって納付金以外の方法によって一切雇用義務を果たしていないという場合には、法定最低賃金時給の1,500倍の納付金が課せられるというような仕組みが設けられております。
続きまして、7ページは障害者の働く場ということで、マル1からマル3について記載がございます。こちらはマル1がいわゆる一般雇用、一般企業でございます。マル2は日本で言うところのA型事業所のような形のもので、マル3が日本で言うところのB型事業所のような形のものでございます。1点、日本との助成金等の違いで申し上げますと、マル1の通常の民間企業・公的部門のところにありますとおり、適応企業、すなわちA型事業所から退出した障害労働者を一般企業が採用した場合には、一定の条件のもとで助成金が支給されるような仕組みを設けておりまして、したがって、A型事業所あるいはB型事業所等からの一般雇用への移転を、福祉サイドではなくて労働政策サイドからも後押しをするような仕組みが設けられているということかと思っております。
続きまして、8ページ以降はドイツの仕組みでございます。ドイツにつきましては、従業員20人以上の、こちらは企業ごとにということですので、日本と同様に会社単位でのカウントになりますが、5%の法定雇用率を義務づけているということでございます。雇用義務の対象者は次のとおりとなっておりますが、基本的には重度障害の方に限定されるという仕組みになっておりまして、重度障害の方あるいは重度障害と同等の方ということが雇用義務の対象になる上での前提となります。
すなわちドイツの場合には、後ほどの資料でも出てきますが、障害の認定がゼロから100までで、ゼロ、10、20、30という形で11段階に応じて障害認定がされる仕組みがございますが、重度障害ということで50以上の障害程度が認められている場合であるとか、あるいは障害の程度が30または40のものであって、重度障害としての取り扱いがない場合には適切なポストを得られないような場合、あるいは重度障害ではないものの青年・若年であるというような場合に、雇用義務の対象になることが可能になっております。ただし、次の場合は雇用義務の対象外となっておりまして、1つ目は、期限つきの雇用の場合ということで、8週間以下の場合には対象にならないということですので、逆に申し上げれば2カ月を超える雇用契約の場合には雇用義務の対象になるということでございます。加えて、週労働時間が18時間未満の場合も対象にならないということで、いわゆる短時間労働者は対象にならないということでございますが、特例としまして、高齢を理由として週18時間未満に減らした場合であるとか、週18時間未満での労働が必要であると判断される重度障害者の場合には、雇用義務の対象になるといった仕組みがございます。
また、複数カウント制度がございますが、最大3カウント、トリプルカウントまで認められるという制度がございまして、重度障害のうちの労働生活の参画にとりわけ困難を伴うという方には、認定によって最大3カウントが認められるというものでございます。具体的には、※に書いてあるとおりでございますが、重度障害に該当する者として、例えば仕事をするのに恒常的に特別な補助者、日本で申し上げればジョブコーチとかに当たると思いますが、それを必要とする場合であるとか、雇用によって恒常的に尋常ではない出費を要する者、あるいは大幅に少ない労務提供しかできない者、知的障害または精神障害、すなわち身体障害を除外するということでございますが、知的障害か精神障害であって重度障害とされている者で障害の程度が50以上の者であるとかいった、幾つかの要件に該当する場合には、最大3カウントが認められるという制度がございます。
民間企業の実雇用率は4.1%となっております。これは申し上げるまでもないことでありますが、ドイツあるいはフランスの場合には、障害者の範囲自体が日本と大分異なっておりますので、その点は雇用率あるいは法定雇用率の数字そのものについては差し引いてといいますか、全く別条件のものとして考える必要があるかと思っております。
続きまして、9ページにつきましては、先ほど御説明したとおりですが、障害の程度については、身体的、知的あるいは精神的な能力の欠如による影響の程度をはかるということでございますが、ゼロから100を10単位ずつで区切った、すなわち11段階で判定されるという仕組みになっております。認定に当たっては、医学的な機能障害のみならず社会生活への影響を審査するということになっておりますが、フランスのような第三者による委員会ではなくて、行政当局において決定されるという仕組みになっております。
続きまして、10ページですが、障害者雇用率の対象者のうち特に重度障害と同等にされる者についてということでございますが、先ほど御説明しましたとおり、ドイツの場合、重度障害と認められる場合の一つの要件は障害の程度が50以上というふうに審査の判定がおりた場合でございます。そのほかに30または40であるとされた場合であっても、例えば下から2つ目の大きな●ですが、ポストを得られない場合ということで、障害者の採用に当たって職業紹介のあっせん行為が成功しなかった場合であるとか、あるいはポストを維持できないということで疾病に基づく解雇が可能な場合であるとか、欠勤が多い場合で治癒の見込みがない、アシスタントが必要な場合といった各種事情に該当するような場合に、障害の程度が30または40であっても重度障害ということで対象になることがございます。
続きまして11ページでございますが、給付金・助成金につきましては、後ほど12ページ以降で御説明します納付金を原資として各州が運営する給付金制度のほかに、各種助成金制度が設けられております。ただ、こちらも日本と同様に、納付金を原資とする形での、いわゆる調整金のようなものは用意されていないということでございまして、それぞれ政策目的に該当した場合の給付金あるいは助成金が納付金を原資として支給されるという仕組みになっております。中身については日本と同様の仕組みになっておりますので、説明は割愛いたします。
続きまして、12ページは納付金制度についてでございますけれども、ドイツの場合には、日本と同様に、雇用義務の履行自体はあくまでも納付金によっては達成されないということでございまして、雇用義務を達成しているかどうかと納付金の支払いは、それぞれ別の仕組みであるということが前提になっております。その上で、納付金の額については次のとおりとなっておりますが、ドイツの場合には、フランスとはまた異なる制度がございます。実雇用率の達成の程度に応じて1人当たりの納付金の額が変わってくるという仕組みをとっておりまして、ドイツの場合、例えば雇用率が5%未満であっても3%以上であれば1人当たり月125ユーロとなっていますが、仮に全く雇用していないということになった場合には、1人当たり320ユーロというような仕組みをとっております。
ドイツの場合には、納付金の額が、こちらに社会保障の基礎額と書いてありますが、基本的には、労働者の平均賃金と考えていただければよいかと思います。労働者の平均賃金が10%以上上昇する都度に納付金の額を引き上げるという仕組みをとっておりまして、直近では2012年と2016年でそれぞれ10%ずつ引き上げられてきているところでございます。
中小企業についても同様に、40から60人の場合には、不足人数が多い場合のほうが1人当たりの納付金の額がふえるという仕組みをとっております。
加えて納付金の制度においては、障害者作業所に仕事を委託した事業者については、業務委託代金の50%を納付金から減額できるというような仕組みもとっております。
最後に13ページでございますけれども、ドイツの場合にも、マル1、マル2、マル3とありますとおり、一般雇用、A型、B型ということで、それぞれ日本あるいはフランスと同様の仕組みをとっておりますが、こちらにも書いてありますとおり、A型事業所あるいはB型事業所に対して一般の会社が発注した場合には、50%については納付金から減額できるというような仕組みをとっております。
説明については、以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、フランスとドイツの障害者雇用促進制度について、事務局から説明がございましたが、まず、先に確認しておきたい点あるいは質問等がございましたら、そちらをお願いしたいと思います。事実の確認あるいは質問があれば、どうぞ、お願いします。
○漆原委員 御説明ありがとうございます。フランスの制度について、とりわけ納付金の金額が最低賃金の数百倍とか、あるいは全く雇用されなかった場合の支払いの制裁ですとか、かなり高額であるというイメージを受けるのですけれども、実際にどのくらいこれが支払われたかはおわかりになりますでしょうか。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。データは今、手元に持ち合わせていないのでお答えできませんが、納付金の納付によって一定程度義務を履行している企業があるというのは確かだと思っております。
○阿部座長 ほかにはいかがですか。
どうぞ、長谷川委員。
○長谷川委員 長谷川です。今の御質問なのですけれども、納付金の額は、フランスは年額なので、一人も障害者を雇っていない場合は制裁的に非常に高い納付金額になっていると思いますが、そうではない金額については、そこまで日本と比べ変わらないのかなという印象があります。
○漆原委員 ちょっと今、スマホで現時点のSMICを調べたら、2018年が9.88ユーロになっていて、それの1,875倍だとすると、ドイツの倍ぐらいの制裁金がかかっているのかなと思いました。これによるトータルの「収入」というのはおかしいのですけれども、どのくらいの額になっているのかを聞きたかったのですが、ドイツと比べたときの高さという意味でございます。
○阿部座長 どうぞ、長谷川委員。
○長谷川委員 最賃で人を1人雇ったぐらいの程度というようにフランスでは思われているのではないですか。1,500のほうはそうだと伺っています。1,800の方は、さらに制裁の部分がかかっているのかなと思います。
私は質問が2カ所あります。フランスの制度に関してなのですが、2ページで短時間の方のカウント方法として、半分未満であれば0.5単位としてカウントするということなのですが、これは下限が一切ないのかどうかということが一つ。続けて質問してしまっていいですか。
もう一つは、5ページで雇用義務の履行方法が幾つか書いてあるのですけれども、実雇用率が3.3%だというのが別のページに説明があって、それは直接雇用しているのが3.3%という意味なのだろうと思うのです。違ったら違うということで、続けて説明していただきたいのですが、そうだとすると、マル2からマル4の形で雇用率を達成、履行しているものがどの程度の割合なのか。例えば保護セクターへの仕事の発注によって、どの程度雇用義務を満たしているのかということがわかれば教えてください。
以上です。
○阿部座長 お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。まず、1点目の短時間のカウントについてですけれども、こちらはまさに我々も最も疑問に思った点でございますが、フランスの労働当局に確認したところ、下限はないということでございました。ただ、一応行政指導として、本人の希望しない中で、例えば週1時間みたいなことに抑制するようなことがないようにという指導は行っているということでございましたが、制度上はあくまでも含むということでして、導入した当時の首相の説明要旨を読んだところでも、すなわち経済的自立というだけではなくて、まさに短時間でなければ働けない障害者の働く場をつくるのが目的であるという説明をしていると読めると思いますので、恐らくそういう趣旨で設けている関係で、下限を設けていないということだと承知しています。
2点目ですけれども、3.3%については、確認している限りでは、おっしゃるとおり、雇用によって達成しているということだと思っておりますが、マル2の保護労働セクター分でどれぐらいの企業が達成しているようになっているのかは、データを我々も持っていないものですから、お答えできません。もし確認できれば改めて御説明したいとは思います。
○長谷川委員 お願いします。
○阿部座長 そのほかはいかがでしょうか。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。この調査のデータ自体ではないのですが、いつもこういうデータを見るときに気になるのが、それぞれの国の文化、歴史の中での障害者という概念になりますので、記憶がはっきりしていないのですけれども、OECD諸国の平均の障害者率は現役世代の14%ぐらいと聞いておりますし、日本で障害者雇用率になる方は、最初の資料で三百何十万人ぐらいということですが、実際、精神障害の方は手帳を持っていらっしゃる方を考えると、全部あわせて三障害で200万人ぐらいの対象になると思われます。ですから、現役世代の中で何%かというと、2%の雇用率というのはどれくらい大きい数字なのかが気になります。
そういう面では、障害の概念が随分違う中で、こういった雇用率制度並びに納付金等をどう考えるか議論する必要があります。日本の言ういわゆる生活困窮であったりとか、若年のいろいろな問題とかを含めて障害の概念で障害者の雇用義務制度が行われているかも知れません。一概に雇用率制度だけで、このデータだけを比較しても難しいのかなという印象を持っております。
以上です。
○阿部座長 それでは、よろしいですか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤です。私もフランスとドイツの説明を聞いて、今の志賀委員と同じような感想を抱いたのですけれども、確かにこれは参考にはなると思ったのです。本当に経済状況、歴史、文化とおっしゃいましたけれども、労働価値観だとか、そういうことも当然違うわけで、これがこのまま日本の雇用率制度と納付金制度について、これを連動して、参考にはなるけれども、これからの議論にかかってくると思うのですが、今までいろいろな、ここでも出されたことなのですけれども、現場の実態です。いろいろな方から、まずはデータ、数値を出して、その上で我が国における今後の雇用促進制度と納付金制度のあり方というような議論になっていくのではないかと思っています。
これから、資料2のほうで論点についての事務局の説明があると思うのですが、とりあえず私の感想です。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
その他、事実確認とかはよろしいですか。では、後でまた資料1についても御意見は頂戴したいと思いますので、よろしくお願いいたします。
続きまして、資料2について、事務局から説明をお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。資料2で、日本の障害者雇用促進制度と本研究会でこれまでに出された意見等について、御説明したいと思います。
先ほどのフランス、ドイツの資料と同様にそれぞれ制度について少しずつ細切れに書いた上で、これまでのヒアリングで出された意見等について同じページに書いているというものでございますので、そちらをある意味では見比べながら、その中で御確認いただければと思ってございます。
まず、2ページでございますが、障害者雇用促進制度の趣旨でございます。こちらは既に御存じの方が大部分かもしれませんが、障害がある方が職業生活において自立することを促進するための措置ということで、本法が設けられておるわけでございます。3つ目にありますように、こうした働き方の実現のためには、まさに障害がある方が職業生活において能力を発揮する機会を得られるようにするためには、国民特に事業主の理解や協力が必要不可欠であると。特に現代社会における雇用労働の比重を踏まえますと、社会連帯という高い理念に立って、全ての事業主に雇用の安定を図るための雇用義務を課すというところが必要であろうということで、本法が設けられているというものでございます。
そうしたところに関連する御意見としまして、ヒアリングにおいては、障害者雇用全般について、障害者雇用のあり方として、多様化する障害特性に対応した就労支援を進めるべきであるとか、あるいは障害者に対する差別感を排除した上で、ともに働くことが当たり前であるという精神を市民の間に醸成すべきであるとか、雇用管理を行う上で、障害者雇用を進めることによって、むしろ会社側が得られる効果等にも着目すべきではないかとか、就労を希望する障害者の方について、一人一人のライフステージ全体を支えていく必要があることから、各種行政サービスがしっかりと連携していく必要があるというような理念に関する全般的なお話でありますとか、その下の企業の雇用義務についてというところでございますが、例えば1つ目の障害者の就労機会の発注機会の拡充に向けて、発注額に応じて障害者雇用というように発注額に応じてみなすということで、いわゆるみなし雇用の議論でありますとか、同様に中小企業が一社一社で雇用するのではなくて、ある種合同体として雇用するような仕組みを認めたらどうかとか、雇用以外の方法であっても、さまざまな形で障害者雇用に寄与している中小企業等もありますので、そうしたことを評価した上で、施設外就労を受け入れた場合には雇用率上のカウントに入れるであるとか、何らかの形で、雇用以外の方法においても障害者の就労に寄与している場合に、雇用率においても評価するようなことも考えられるのではないかという御意見をいただきました。
続きまして、3ページでございますが、障害者雇用率制度の枠組みにつきましては、現状では常用労働者が50名以上、30年4月からは45.5名となりますが、それごとに障害者雇用率以上の障害者の方を雇用するということが義務づけられているものでございます。
算定に当たっては、法定雇用率がまさに基準となる労働者数であるとか障害のある方の数の状況の変化に対応するために、5年に一度見直しをして、決定されてきているわけでございます。労働市場において障害の有無に関係なく同等に雇用機会が提供されるようにするという観点から、法定雇用率が設定されているというものでございまして、さらに申し上げれば、今回の暫定措置の場合を除けば、基本的にはその計算式どおりの数値を法定雇用率として設定するというようなことが、これまで、通例行われてきているわけでございます。
そうしたところにつきましては、御意見として、法定雇用率が急激に引き上げられていることによって障害者雇用に対する意欲がそがれることがないようにすべきであるとか、法定雇用率については、現行制度では機械的に引き上げられていくようになっているわけですが、平成30年、今回の措置のような形で柔軟な調整を認める必要があるのではないか。法定雇用率の検討の際に用いる定義についても、具体的に示す必要があるとか、A型事業所については、利用者という場合には一般雇用の働いている方とは少し異なってくるというところがございますので、法定雇用率の算定に当たっての分子の数値から除外することも考えられるのではないか。その除外率については、現行の障害者雇用促進法の規定において既に廃止となっておりますので、その前提を踏まえた上での引き下げ等を実施すべきという一方で、硬直的な対応は慎重な対応が必要であるという御意見もございました。
続きまして、4ページからが障害者雇用率制度の枠組みということで、その対象についてでございますけれども、まず、4ページは雇用義務の対象者についてでございます。日本の制度の場合には、雇用義務の対象者は身体障害者、知的障害者または精神障害者の方で、精神の方については手帳所持者に限るという形になっておりますが、その三障害の方のうちの常用労働者であって、少なくとも週所定労働時間が20時間以上である方が本制度の対象になっております。その趣旨としましては、特に時間数については、障害者の方の職業生活における自立という観点から、通常の労働者の週所定労働時間の少なくとも半分以上ということを設定すべきだろうということで、設けられているわけでございます。
これまでヒアリング等で出された御意見については、例えば1つ目のポツ、2つ目のポツについては、まさに今回、平成30年度から雇用義務の対象になります精神障害の方について、就労能力であるとか職業適性に関する判断が困難であるということから、統一的に困難性等を判定できるような支援が必要であるのではないかという御意見、3つ目、4つ目でございますが、特に精神障害者保健福祉手帳については、取得を希望しなかったり、あるいはできる限り返還したいと希望される方もいらっしゃるという事情がございますが、他方で申し上げれば、事業主の観点からすると、雇用義務、雇用管理上のさまざまな配慮を要する場合もあるということで、手帳を有していない場合であっても雇用率上でカウントできるようにしたらどうかとか、手帳を返還した後も一定期間は雇用率にそのままカウントすることが考えられるのではないかというような御意見がありました。
加えて、時間数については、特に精神障害の方であるとか、重度の身体障害の方について、一定程度の時間であれば、すなわち20時間未満であれば就労可能な方も一定程度見られるということもありますので、20時間未満での雇用契約についても雇用率制度上でカウントするとか、助成金その他調整金等による経済的なインセンティブを付加するなど、さまざまな方法が考えられるのではないかという御意見がございました。
最後のポツですが、難病患者の方についても、障害者手帳等と同等の効力を有する証明書を発行した上で、障害者雇用率制度の対象に追加するということも必要ではないかという御意見がございました。
続いて、5ページでございますが、障害者雇用率制度の枠組みのうちの短時間労働者ですが、現行、日本の制度においては短時間労働者ということで、フルタイムである40時間のうちの半分以上4分の3未満ということで、週20時間から30時間の労働者について0.5カウントにするという仕組みになっております。短時間労働者のカウントについては、あくまでも当事者の方がフルタイム常用雇用を希望するとか、できれば移行したいという方が一定数はいらっしゃるということを前提に、そうしたフルタイムに移行したいという動きが阻害されることがないように、0.5カウントに抑制するということをとっております。
そちらについては、ヒアリングの中では、例えば1つ目が、これは平成30年年4月から当面5年間の措置として実施することが既に決定されておりますけれども、短時間雇用、週20時間から30時間未満の精神障害者の方については、雇用率制度上の対応について何らかの検討が必要ではないかということで、今回は雇い入れから3年について、当面1とするという措置を設けることとしておりますが、そうしたことについても御意見がありました。
加えて、2つ目は、先ほども御説明しましたが、20時間未満の短時間労働者についても雇用率制度上、あるいはその他の経済的な政策において何らかの支援が必要ではないか。最後は高齢になった場合でございますが、加齢によって長時間勤務が困難となって就労形態が短時間になった場合なども、以前の働き方による雇用率カウントを維持するというようなことも必要ではないかという御意見がございました。
続きまして、6ページについては、重度障害のいわゆるダブルカウントの制度についてでございます。現行制度上は、身体障害と知的障害の方について、手帳の等級に応じて重度障害となった場合にはダブルカウントという仕組みを設けておりますが、その趣旨については、重度障害者の方については、その雇用をするに際して施設、設備等の整備であるとか、現場指導等の人員整備が必要であるといった、いわば経済的な負担というようなものに着目してダブルカウントの制度が設けられているというところでございます。他方で、精神障害の方については、今般義務化されるばかりであるということもございますが、精神障害の程度と就労困難性との間で相関関係が現状はまだ見えていないのではないかといった御意見があったことから、現時点では重度障害者の概念を導入していないというものでございます。
他方で、関係者ヒアリング等においては、どちらかといいますと、そうした経済的な負担感というよりは政策的なインセンティブを導入するような形で、よりさまざまな措置を重度カウントで導入したらどうかという御意見が幾つかございました。具体的には、障害者のキャリア形成を促すために、例えば週40時間勤務であるとか、正規雇用契約を結んだ場合に雇用率メリットを付与するであるとか、2つ目も同様ですが、就労の充実度であるとか長期雇用継続を配慮した上で算定したらどうか。3点目も、長期雇用継続を図るために職場定着に一定の取り組みを行っているような事業主に対して何らかのメリットを講じたらどうかとか、1つ飛んで5個目については、合理的配慮などの対応についても納付金の額などに反映させたらどうかという御意見がありました。加えて4点目ですが、加齢によって長時間勤務が困難となった場合には、以前の働き方によるカウントを維持するということで、こちらも仮にそうした場合には、結果としてダブルカウントと同様の措置になるということかと思います。
いずれにしましても、そうした形で、政策的なインセンティブを持つ形で、ダブルカウントを導入したらどうかという御意見がございました。
続きまして、7ページですけれども、障害者雇用率制度の枠組みということで、現状、毎年6月1日に調査を行いまして、1.97%という数字が判明しているわけでございますが、ヒアリングにおいては、障害者雇用に関して、その課題を把握するためにできる限り詳細な実態調査ということで、就労定着・離職の状況であるとか男女別、地域別、派遣労働、福祉的就労などについてしっかり把握していく必要があるのではないかという御意見もありました。
その下ですけれども、障害者雇用義務の履行については、これは先ほど来御説明しておりますとおり、日本の場合には、障害者の雇用による方法のみが雇用義務の履行方法として認められているということでございまして、納付金の納付であるとか発注によって雇用義務の免除が行われないわけでございますが、特例として、特例子会社制度というものがございます。趣旨としては、障害者の雇用機会を確保するためには、原則である個々の事業主ごとの義務だけではなくて、特定の配慮されているような子会社を設立して、障害者の方を雇いやすいような環境を整えたほうがよいのではないかという御意見もある中で、特例子会社制度が設けられているわけでございます。
その関係については、関係者ヒアリングにおいては、これは特例子会社に限定されませんが、例えば障害者雇用のノウハウを有しているような会社が、その他の中小企業であるとか子会社等に障害者雇用を進めるためのノウハウ、研修等を行った場合に支援措置を講じたらどうかとか、本来の趣旨である統合された環境で働くということを促すためには、特例子会社でずっと働くということではなくて、特例子会社から一般の事業所、すなわち親会社等への異動出向を促進するようなことも必要ではないかということが御意見としてありました。
続きまして、8ページでございますが、障害者雇用義務の履行について、フランスあるいはドイツ等の場合には罰則的な、あるいは罰金的な制度が幾つか設けられておりますが、日本の場合には、雇用義務違反について、いわゆる罰則は設けていないという形になっております。趣旨としては、あくまでも障害者雇用を刑罰的な制裁によって実現しようとすることは必ずしも適切ではないという観点から、そうした刑事罰的なものは設けていないというものになっております。他方で、法定雇用率の達成に向けた一定の担保は必要であるということの中で、実雇用率の低い事業主については、マル1にありますとおり、雇い入れ計画を作成させるということを行いまして、合計3カ年をかけて達成指導及び特別指導を行った上で、結果として効果が見られなかった場合には企業名公表という措置を講じているということでございます。
障害者雇用義務の履行方法については、ヒアリングの中では、1つ目のポツにありますように、先進的な事例をしっかり収集することとか、合理的配慮に関する窓口の設置義務などについて、しっかりと事業主、障害者双方に周知していく必要。これは本法とは必ずしも関係ありませんが、改正労働契約法等についてもしっかりと周知していく必要があるということ。加えて3点目ですが、特に中小企業の場合には、就業を希望する障害者の方とのマッチングが困難であるという結果として、事業主が雇用をしようと思っても、なかなか雇用ができないケースもあるという御意見がある中で、いわゆる罰則的な対応ではなくて、例えば公共事業入札時の加点評価であるとか、税の減免措置、厚生労働省を初めとして各行政機関でさまざまな認定、認証制度等がありますが、そうした制度の認定、認証等を行う場合のインセンティブとして用いるというようなことも含めて、さまざまな方法を考えるべきではないかという御意見がございました。
9ページと10ページが納付金制度でございます。9ページは、まず、対象についてです。現状は常用労働者100人超の事業主に限って対象としているというところでございます。納付金制度は、障害者の方を雇用することは事業主が共同して果たしていくべき責任であるという社会連帯責任の理念に立って、経済的負担を調整するためのものでございますが、現状は100人超の事業主に限るということになっております。
その結果として、現状100人以下の事業主に対しては、障害者雇用報奨金ということで、一部支給を行っておりますけれども、障害者雇用報奨金については、障害者の方を6人を超えて雇用している場合に限定しているということでありまして、通常の雇用をしているような会社の場合には対象にならないということもございますので、その支援内容を手厚くしていくことによって、さらに中小企業の障害者雇用を進めたらどうかという御意見、逆に、中小企業についても障害者雇用に積極的に取り組むように、全ての雇用義務企業に対して障害者雇用納付金の納付義務を課したらどうかとか、あるいは賃金相当分まで額を引き上げることによって適切な対応をとってもらうようにしたらいいのではないかという御意見もありました。
ただ、これは反射的な効果として申し上げれば、仮に納付金を全ての事業主に課す場合には、結果として調整金も全ての事業主が対象になるということになりますので、調整金による支援が中小企業にも行き届くことになるということかと思っております。
続きまして、10ページでございますが、納付金あるいは調整金の額について、それぞれ納付金の場合には、1人当たり月額5万円、調整金については、1人当たり月額2万7,000円となっております。それぞれ決定方法としては、障害者の方を1人雇う場合に、通常必要とされる特別な費用ということで、わかりやすい例で申し上げればスロープを設置するとかジョブコーチを雇用するというようなところで、追加的にかかる費用をもとに、この5万円であるとか2万7,000円というものは算定しているというものでございます。
一方で、関係者ヒアリングにおいては、そうした実態面での額というよりは政策的な効果をもたらすための額設定をしたらどうかという御意見が多かったかと思います。幾つか申し上げれば、1つ目については、雇用している障害者数に応じて支給額にメリハリをつけたらどうかとか、納付金の額についても、雇用率に達成が近づいている会社は減額したらどうか。3点目ですが、納付金の額を大幅に増額して経済的なディスインセンティブを明確にしたらどうか、あるいは納付金の額を少なくとも最低賃金並びにすべきではないかとか、一方で、合理的配慮の対応とかキャリア形成等の実績を積み上げている場合には納付金の額に反映させたらどうかというインセンティブのような話もございました。
加えて、日本の場合には調整金という制度がございますが、障害者雇用調整金よりも使途の明確な助成金を優先すべきであるという御意見とか、最後の6個目については、就労継続支援A型については障害福祉サービスと労働政策の双方から支援措置が講じられているということから、調整金・報奨の対象から除外することが考えられるのではないかという御意見もございました。
そのほかということで、11ページですけれども、現行制度においても、在宅就業障害者の方に対して仕事を発注した場合には、特例調整金・特例報奨金という制度を活用しております。ヒアリングにおいては、例えば在宅就業障害者支援制度については、現状は施設就労、これは一部B型の施設であっても本法の制度の対象になっている場合がございますが、そうした場合も含まれることから、在宅に限定されているかのような名称を改正すべきであるとか、まさに在宅就業障害者支援制度をさらに拡充することによって、発注額に応じて障害者雇用とみなすといういわゆるみなし雇用を導入したらどうか。逆に、みなし雇用を導入すること自体は障害者雇用の阻害になるという観点から、とはいえ発注促進が必要であるということも踏まえて、発注額の一定割合について納付金との相殺に充当するというような形で、在宅就業障害者支援制度の額であるとか要件をさらに緩和する、あるいは拡充するという御意見もございました。
加えてテレワーク関係についても何点か意見がございましたが、テレワークを推進する上で必要になってくるような支援機器であるとか、スキルアップ研修の提供等が必要であるということ。在宅で働いている場合には訪問介護サービスを利用できない場合があるということで、そうしたサービスも併用できるような仕組みが必要ではないかという御意見。最後ですけれども、柔軟な働き方を進めるに当たって、ノーマライゼーションの観点をしっかり踏まえるべきであるということで、いわゆるテレワークのような働き方が望ましいと考えられる障害者の範囲がどういったところなのかとか、そうした働き方がやむを得ない場合も社員との連帯感をしっかり醸成する必要がある。テレワークにおける労働時間管理とか労災認定のあり方などについても検討が必要であるという御意見がございました。
続きまして、12ページでございますけれども、我が国の助成金についても何点か御指摘がございましたが、ヒアリングにおいて出された御意見としましては、1つ目が障害者の職場定着を目指す中にあって、現行の助成金が雇い入れ後の短期間の支給にとどまっているということで、より長期間の雇用継続に資するような形の助成金に移行していくべきではないかとか、障害者の職場定着を進めるためには不本意就労を避けることが大切であるということで、実習、トライアル雇用をさらに進めるべき。地方部においては、都市部と比較して障害者の働く機会が少ないあるいは通勤のための環境が整備されていないという実態等を踏まえた対応が必要であるという御意見がございました。加えて中途障害の方の場合には、事業主による支援だけではなくて、当事者がみずから復職訓練を受けるような場合にも、本助成金制度等の支援の対象にするようなことも考えられるのではないかという御意見がございました。
最後、13ページですが、そのほかということで、関係者ヒアリングにおいては、各種地域の就労支援機関であるとか医療機関等々の連携の方法について、さまざまな御意見がございました。こちらについても、いずれ御議論いただきたいと思っておりますが、本日は制度についてということでございますので、特段説明は割愛したいと思っております。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、意見交換に移りたいと思います。先ほど言うのを忘れましたけれども、発言される際には挙手をしていただき、名前を名乗ってから御発言をしていただくようお願いいたします。
それから、この時間の最後にまた全体を通じた質疑の時間もとりたいと思いますので、初めは項目ごとに皆様から御意見を頂戴したいと思います。
資料2の2ページ目、障害者雇用促進制度の趣旨の1ページ分について、皆様から御意見を頂戴できればとまずは思いますが、どなたでも結構ですが、何か御意見はございますでしょうか。障害者雇用促進制度の趣旨のパートについてです。
趣旨ですからね。ここで御意見というのもなかなか難しいかもしれないので、またもし最後にあれば、長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。今、条文が手元にないのでわからないこともあるのですが、確かに障害者雇用促進法が制定された当時は、ここの趣旨に書かれているように、雇用労働の比重が非常に重かった、高かったと思うのですけれども、必ずしも雇用されて働くという形ではないものが広がってきている中で、働き方の多様化と言われているような中で、必ずしも障害者を雇用するということだけに対して促進する制度ではなくてもよくなってきているのかなというような感じがしました。
ですから、後の議論に続くかもしれませんけれども、発注制度を広げていく。それを実雇用率にカウントするかどうかは別の話だと思いますが、そういった、時代が変わってきているということも踏まえていく必要があるのかなと思いました。
以上です。
○阿部座長 御意見ですね。ありがとうございました。
それでは、次の3ページ目から6ページ目、障害者雇用率制度の枠組みで、御意見がございましたら、お願いしたいと思います。
では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原でございます。現在、法定雇用率が2%。ことしの4月から2.2に上がるということで、50人に1人雇用していたのが45.5人に1人と、だんだん下がってくるわけでございます。まだ納付金とか、そういうものは、中小には入っていませんが、先ほど前段でお伺いしましたフランスとドイツが20人に1人とかいうようなお話を聞きますと、何となく恐ろしいという言い方はおかしいのですが、これはどこまでいくのかなと。やはり法定雇用率の制度自身も考えないとまずいのではないかという感じがいたしました。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
どうぞ、工藤委員。
○工藤委員 日盲連の工藤です。今のところなのか、次なのか、点字をすらすら読めないので、除外率はどこで出てくるのでしょうか。
○阿部座長 ここでいいです。
○工藤委員 ここでよろしいのですか。先ほど聞いていて、その書きぶりですけれども、除外率を余り厳しく拙速にやると、雇用意欲というか、意欲を削ぐような、そういう意見があったと書かれているのですが、これまで出された意見の中には、むしろ除外率の廃止は決定事項であって、できるだけ速やかに、着実に実行すべきだと。そういう意見が多かったように思うのです。行政として、これは国民にも決定事項、約束をしているわけですから、ずるずるこのまま延ばすということは、行政の信頼にもつながってくると思いますので、今回、そういう意見もあったということですが、その前のところに、今言ったように除外率についてはノーマライゼーションの観点から、もう既にこれは廃止の方向で決定して、それに向かって早期、着実に実行していく。そういう中でこのように、余りそれを厳格にというか、強行してやると意欲をそぐとか、そのような表現にしたほうがいいかなと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
その他、志賀委員、お願いします。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。障害者雇用率制度の枠組みで、今後、比較的急激に法定雇用率が上がっていくと見込まれる。先ほど雇用義務の対象企業もだんだん小さくなっていくという話が出ておりましたが、その傾向はもう明らかになっていて、雇用をする側のほうも、あるいは障害者を送り出す職業訓練や就労支援機関等も、その辺が不信感をお互いに持たないというか、しっかり考えられる割合が大切で、失業率の定義の問題がここに出ておりますが、障害の数、計算式自体をどう考えればいいのかは、なかなか根拠がわからない現状があり、統計の問題はそんなに簡単ではないのもよくわかるのですけれども、これについてはもう一歩考えていかないと、この辺の不信感はなかなかなくなっていかない。ベースの部分はなくなっていかないような気がしますので、一番根幹の部分だと思いますけれども、誰にとっても現状はこういう状況であり、こういう方向に一歩進みたいというのがわかるような仕組みをつくっていくのが一番大切なのかなと思っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 補足しますと、除外率については、単に決定事項だから速やかにというだけではなくて、現に特例子会社連絡会議というところでは、企業の間でも不公平感が取り沙汰されている。そういうことが表に出てきているようにも聞いています。現に、運輸とかそういったところであっても、除外率がかなり高くかかっているところであっても、農業分野に参入したりとか、いろいろな分野で雇用の場だとか、そういうことも現実に拡大していますので、そういうことを補足しておきたいと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。1つ意見と、1つは質問です。
まず、意見のほうからですが、4ページの最初のポツで、精神障害者については就労能力等を判定するための支援、そういった仕組みをつくっていくために検討会を立ち上げることが考えられると書かれておりますけれども、知的障害者や、特に身体障害者についても、今、手帳制度で制度の対象になる、ならないが決まっていますが、手帳を持っているからといって必ずしも就労能力が低いわけではない人がいらっしゃると思います。ですので、新たに検討会を立ち上げるということであれば、精神障害者に限らず知的障害者、身体障害者も含めて検討していくべきなのではないかと思っております。
さらに言わせていただくと、今回、障害者雇用制度のあり方を見直すに当たって、福祉的就労との接点をどうしていくかということについては、いろいろと検討課題として挙げられていると思うのですが、差別禁止規定とか合理的配慮の規定が入ったこととの関係では余り意見が出ていないというのでしょうか、そういった観点からの議論がないので、雇用義務制度として誰を対象にしていくのかと考えるときに、差別禁止規定とか合理的配慮の影響も考えた上で、障害者の範囲、雇用義務制度の対象者の範囲を考えていくべきなのかなと思っています。これは意見です。
もう一つは質問なのですけれども、4ページで書かれていますように、対象となる障害者の範囲を考え直していく必要があるのではないかといったときに、技術的なことかもしれないのですが、対象者を広げるのと、法定雇用率を決定するのと、どちらが先で、どのタイミングでどう変えていけばうまくいくのかなと思いまして、今は現に雇われている人が分子に来て、プラス失業者ということになっていると思うのです。対象になっていて、かつ、現に雇われているということなので、新たに対象になる可能性のある人は、どのように計算していけば法定雇用率が出てくるのだろうと、自分で考えていてもわからなかったので、質問の意味は伝わっていますか。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。法定雇用率が先に決まるということではないと思うのですが、どういう対象というので、余り個別には。
○阿部座長 言っていることは、多分、こういうことだと思うのですけれども、法定雇用率を算定するところでは、そのときのストックとしての失業者とか就業者を使っていますね。だけれども、雇用率が実際に施行されるというか、有効になっていくのは、その先5年間ですね。この5年間のところは考慮されていませんよねということをおっしゃりたいのですね。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○阿部座長 わかりますか。ここの5年間に、例えばどれぐらい障害者がふえるのだろうとか、減るのだろうみたいなことは考慮の外ですね。
でも、それは、御意見としては伺いますけれども、わかりましたか。
○障害者雇用対策課長補佐 おっしゃっていることはわかりました。まず、やはりどうしてもなかなかフローというか、5年後のストックをはかるというのは現実的に難しいということもありますが、お答えになっているかはわかりませんが、一つは失業者。もちろん潜在的失業者がいるわけですけれども、基本的には失業者についてはカウントするということになりますので、そこで一定程度カウントしている。最初の動きとしては、基本的には失業者が労働市場に入っている中で、労働者に移行していくということだと思いますから、そういう意味では、5年後の動きについても一定程度現状でカウントしているということかと思っておりますが、答えになっているかわかりませんけれども。
○阿部座長 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 長谷川です。この議論をずっと続けたいわけではありませんので、今の答えでわかりました。ただ、ちょっとわからないところがあるので、また機会があればお話しさせていただければと思います。ありがとうございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
加賀委員、どうぞ。
○加賀委員 日身連合の加賀ですけれども、日身連そのものより、私は個人的に障害者、知的障害だとか精神障害、身体障害の子供たちを雇用して仕事をしております。こういう法律がいろいろ変わってきて、難しい法律もあったりいろいろなことがあるのですけれども、地区の行政が協力をしてくれて、雇用に対することをやってくれるのが一番ありがたいのです。
いざ大きな会社というのは、本当に障害者をA型、B型でちょっとつくってみて、もうかるような気になって、金もうけのような気になって、A型だ、B型だなどとつくる会社もあるのです。あれはもってのほかでございまして、A型でやっていて、もうだめになったからB型にしてしまうのだとか、では、そこにいる子供はどこに行くのだということになるのですけれども、A型で勉強しても雇ってもらえるところが少なくて、なかなか雇用ができないということで苦しんでいる方があると思います。
私も老人ですけれども、シルバーを使うより知的障害の子供のほうが、元気がよくて一生懸命働いてくれるのです。だから、そういう子たちに本当に給料をたくさんやろうと思うのですが、いろんな話でいきますと、一般の人は1万円、障害者が9,000円、知的障害者は8,000円というような、そういう値段が起きてくるものですから、そういう契約で契約をされますと、本当に四苦八苦しているのです。8,000円の子のほうが1万円の子よりもよく働くのだけれども、そういうことが、現実がわかっていない方がたくさんありますね。基準局とかそういう人を呼んできていろいろ見てもらって、この人にはもっと給料をやりたいとか、この子は800ぐらい最低限がありますけれども、800ぐらいを払うわけにはちょっといかないのではないかというような子もおるのですが、いざ基準局が来ますと、そういう子は一生懸命仕事をやるのです。間はのんびりしていても、検査が来ると、ああいうことはわかるのだね。
だから、そういう面においても本当に行政が協力していただいて、それから、大きい会社が障害者を雇わなかったら罰金ではないのですけれども、お金をどんどん取ってもらって、そういうものを雇用のほうに回してもらえば、我々も楽になるかと思いますので、ちょっとこの指針に合わないかもわかりませんが、そういうことを私はやっております。
よろしくお願いいたします。
○阿部座長 ありがとうございます。
今、加賀委員がおっしゃったのは、先ほど長谷川委員もおっしゃいましたけれども、障害の重度の把握とは別に、障害者の方々の職業能力だとかの把握が大事だという御意見かなと思いますので、それは4ページ目の御意見の一番上のところかなと思いました。私も加賀委員のお話をお伺いして、就労能力だとか、あるいは職業能力の把握は、障害の把握とはまた別にしていく必要もあるのかなという感想を持ちました。ありがとうございます。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。今の話の延長になるかもしれませんが、障害者雇用率制度の枠組みで、いわゆる雇用義務の対象者の話なのですけれども、多い人数の問題ではないのですが、今、把握されていると思いますので、ぜひ知りたいのが、以前、精神障害者の雇用率がカウントされる前は、障害者基本法と雇用促進法の障害の定義が違う関係で、知的障害の方の場合、療育手帳の判定を持っていない方についても職業センターにおいて職業能力判定が、重度判定ではなくて、いわゆる知的障害とみなすという判定での雇用率が行われており、この制度自体はなくなっていないと思うのです。
ただ、精神障害の手帳がとれるようになったので余り使われなくなったと思います。そういう面では、厳密な意味での手帳制度だけではなくて、身体、知的は運用されているわけですので、そういった実数が現状はどれぐらいあるのかなというのを、もし数値としてわかりましたら教えていただければと思います。
○障害者雇用対策課長補佐 手元では把握しておりません。おっしゃるとおり、制度としては今でも残っておりますし、使われるケースもあると聞いていますが、ごく若干だと思っております。
○阿部座長 その他、よろしいですか。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。今、これを見ていましてちょっと思い出してしまったのですが、実は、手帳の件なのですが、ハローワークから、前にお話ししたかもわからないのですけれども、精神、統合失調症だということで紹介いただいて、面接をしたときに、手帳を見せていただいたら、知的になっていたのです。そうなると、もしここで雇用した場合、精神のトライアルがかかりませんね。そのようなことは、ハローワークが言っていることと手帳のどちらを優先するのかなという疑問が浮かんできたものですから、済みません。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。その個別ケースを把握していませんので、今、聞いている限りではありますけれども、その方が療育手帳のみを持っているということであれば、当然それは療育手帳の対象として制度の中で対応するということになると思います。したがって、精神という対応にはならないと思いますが、それはその方がどういう場合になるか、両方持っているとかいろいろな場合があるので、ここでその方がどうだったかということはお答えできませんけれども、もしその方がその手帳だけということであれば、そうなると思います。
○栗原委員 もう一度、栗原です。精神の方は、要は、手帳をとられない方が結構いらっしゃるというようなお話も伺っていますので、昔、もし知的をとって、その後に精神に移行しなければ、そのままずっとこれが続いてしまうものなのですか。どうなのでしょうか。精神に移行できるものなのでしょうか。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。もとより手帳制度自体が、本人が取得を希望されるかどうかということが前提になりますので、あくまでもその上でのことかと思います。
○阿部座長 関係者のヒアリングの際にも、そういう話はあったかと思いますので、また議論を深めていくことができればあってもいいかなと思いますが、なかなか難しいところがありますね。そういう気が個人的には今のところはしています。ありがとうございます。
それでは、また最後にもしあれば御発言いただいて構いませんので、7ページから8ページ目の障害者雇用義務の履行のところに移りたいと思います。7ページ、8ページで御意見があれば御発言ください。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。前にも一度聞いたことがあるのですが、7ページの中で、関係者のヒアリングで出てきた内容で、グループ算定に当たって特例子会社の要件を緩和するという要望についてイメージが湧きません。グループ算定自体は特例子会社でなくてもできて、特例子会社は、どのような子会社をグループにするかを選ぶというようなことがあることはわかってはいるのですが、ここで書かれている、「緩和する」とはどのようなことが想定されているのか、趣旨がわかりましたらお聞きしたいのですけれども、よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 発言された団体の方に確認した限りでは、私の受けとめとしては、まさに今、おっしゃったとおり、特例子会社がある場合には個別にどの子会社を選択するかという制度になるのに対して、特例子会社がない場合には、対象になる子会社全てが対象になるということでございますから、特例子会社がない場合であっても、どの子会社を対象にするかを自分で選択できる制度にしたらどうかということだと承知しております。
○志賀委員 ありがとうございます。特例子会社の要件の緩和ではなくて、グループ適用の緩和ということなのですね。
○障害者雇用対策課長補佐 ただ、そこは済みません。そういう意味でおっしゃっていたのは間違いないと思うのですが、特例子会社の緩和とおっしゃっていたので、そのように書いているということと、あとはもちろんそのために特例子会社側の要件を緩和するという方法もやり方としてはあると思いますので、特例子会社の要件を緩和することによって簡単に選別できる仕組みにしたいということをおっしゃったのかもしれないので、それは文字どおりやっていますが、効果としてはおっしゃっていることと同じだと思います。
○志賀委員 ありがとうございます。
○阿部座長 ほかにはいかがですか。
漆原委員。
○漆原委員 8ページの障害者の雇用義務の履行についてでございます。折しも先ほどフランス、ドイツで違反の罰則金の記載がございましたが、私どもとしては、障害者を雇いたくてもなかなか雇えない企業があるということも考えますと、罰則的な対応というのは現下ではなかなか難しくて、意見の一番下にある措置がどうかというのはともかくとして、むしろそれよりも、何かしらのインセンティブを設けて、率先して障害者を雇うようにという方向が良い結果につながるのではないかと考えているところでございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかはいかがですか。よろしいですか。また何かあれば最後に御発言いただいて、次が納付金制度です。9ページから11ページにかけての納付金制度について御意見があればお願いしたいと思います。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 ここで意見が幾つも出ておりますけれども、納付金と調整金の中で、近年、集まった納付金の大多数が調整金で戻っていくという収支になっています。昔から比べると助成金については、随分、金額も減っていますけれども割合が物すごく減っている。納付金会計では、助成金がほとんど使われず、調整金で回っている。これについてはどこかでどう考えるかの問題のような気もしますので、割合として納付金の制度はよし、調整金もある程度あることはよし。それについてはきっと誰も反対しないのだと思いますが、会計の収支を見てみる中での、雇用率の低い企業から高い企業にお金が回っているだけの会計というのは、本当に雇用促進として次の障害者あるいは新しい障害者の雇用拡大、働く障害者の充実に向かってのお金の使われ方として適切なのでしょうか。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
栗原委員。
○栗原委員 栗原です。納付金の件なのですが、常用労働者100人以下では、超過していれば1人あたり2万1,000円の報奨金と。その後、※で、障害者を6人超雇用している事業所に限るとなっていますが、中小企業に雇用を勧めるのであれば、もう少しこの辺のハードルを下げられないかなというような考えを持っています。7人ではちょっとハードルが高いのかなと。もう少しハードルを下げていただければ、雇用も進むのではないかと思っています。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。今、栗原委員がおっしゃいましたが、これは、常用雇用労働者数が100人なのか101人なのかで明らかに逆転現象が起きるのですね。そこもすごく不合理だと思いますし、6人のままとしていることも疑問に思っていたので、見直す必要があるだろうと私も思います。
もう一つは、質問なのですが、質問というか意見なのかもしれませんけれども、6人超の下の趣旨等のところで書いてある納付金の金額がどうやって算出されているかというと、特別費用という額から算出してきているということなのです。この特別費用をどのように計算しているのか、わかる範囲で教えていただきたいと思います。
障害者を雇用する上での経済的負担は、目に見えて出て行くお金だけではなく、周りの人たちがそれをサポートすることによって障害者雇用が成り立っているのだとすれば、手伝った人たちの人件費も、本来だったら特別費用なのかなと思ったりするのですが、そういったものが含まれているのだろうかというのもあわせて教えていただければと思います。
○阿部座長 お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。特別費用調査につきましては、5年に1度納付金・調整金の見直しの際に、全国の事業所に対して厚生労働省から調査を行っております。内訳としては、いわゆる設備整備、施設整備のようなものと、おっしゃったような人的な配置というものも調査をしておりまして、それぞれの合計の中で障害者の方を1人雇う際に追加的にかかる費用が幾らかを、平均として出した上で、それを数値として活用しているというものでございます。
○阿部座長 よろしいですか。
どうぞ、長谷川委員。
○長谷川委員 長谷川です。人的な配置といったときに、外部からジョブコーチに来ていただきました。その方のコストというのであればわかるのですけれども、もっと身近なサポートというのでしょうか、あえてその方のために配置しているわけではないのですが、当然周りのみんなは手伝うというようなものまで含んでいるのかどうかとか、もう少し計算の中身がわかる資料があれば出していただきたいと思います。
○阿部座長 ありますか。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。現状どういう資料があるのかは、担当に確認する必要がありますが、今お答えできることとしては、おっしゃるような一般に周りの方も配慮して時間を実際に使っているというようなことは、少なくとも算定式には入れていないと思います。すなわち障害がある方、いわゆるジョブコーチを配置するということであれば、当然障害者雇用の上で必要な配置であるということになると思いますが、そのほかの周りの方がOJTのようないろいろな指導をするというのは、これは別に障害に限らないこととして一般にあるものだと思いますので、どういった線引きを事業主にアンケートの際に示しているのかという確認は必要ですが、いずれにしても、そういったものは含まない調査になっていると承知しています。
○阿部座長 ありがとうございます。
今のやりとりをお聞きしていてちょっと思ったのは、時代とともにコストは相当変わっていくのではないか。特に今、注目されている精神障害の方々のコストは、どのように捉えていくのかを考えていくと、今後、精神障害の方は、ある意味ウエートが大きくなったときに、どのようにこの調整金の額を決めていったりするのかというのが、結構ポイントになるのかなと。設備とかはなかなか想定しづらいですね。特殊な設備とかはね。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。一応事例としてはパーティションとかは出てきてはいますが、基本的にはおっしゃるとおり人的な配置のほうが手厚くなっているということです。
○阿部座長 パーティションをつくるとか、そういうことですか。だから、そういうものでどのようにしていくのかは、結構考慮していく必要はあるかもしれませんね。ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
阿部です。私から1点だけ、10ページのヒアリングの真ん中あたりなのです。上から3つ目のポツなのですけれども、法定雇用率を未達成の企業が納付すべき障害者雇用納付金の額を大幅に増額と書いてあって、例えばきょう、フランス、ドイツの例なども見ていますけれども、最賃程度とか、人1人雇った程度までというようなお話もあったかと思います。ただ、そうすると、実質お金を払うのと雇うのとが同じレベルになってしまうと、もしかしたら、探すのは大変、雇って管理するのも大変ということになったら、お金を払って終わりというふうな企業も逆にふえる可能性があるのです。
この例に合うかどうかは別ですが、保育所の延長保育の際に罰金を払うような仕組みを入れたら、お金を払って延長保育がふえたというある保育園の例があるのです。お金を払わないときには、申しわけないと。できるだけ早く迎えに次から来るようにしますと言って延長保育をしなかったのですけれども、お金を払えば延長保育がいつでも大丈夫となったら、延長保育の量が物すごくふえてしまったということが実例としてあるのです。それと同じようなことが起こりはしないかということをちょっと危惧します。
この前の納付金制度ではなくて、雇用義務の履行のところで罰則がありましたけれども、人を1人雇うのと一緒にしてしまうと罰金になってしまうので、そうすると、そういうことを危惧していますので、このあたりも納付金の額をどのように決めるかは、いろいろと慎重に考えていく必要があるのではないかと思います。
以上です。
では、また御発言があれば後から戻ってくることとしまして、12ページ目の助成金、13ページ、本日は特にその他ということで説明は余りされていませんが、もしあればこのあたりからも御意見をいただければと思います。12ページ目、13ページ目です。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。12ページ目ですが、2つありまして、1つは通勤の配慮を行った助成金ですが、地方へ行きますと、働きたくて実習に行きたいのだけれども手段がないと。一部では、グループホームを使えばというようなことで、グループホームを使えるようなところもあるらしいのですが、基本的には、定員の制約もありグループホームはまず無理だと。交通手段のない方々が働くための実習をやる方法は、今、多分、出てこないとないと思うのです。そうなると、そのあたりを何とか働けるような、例えばグループホームや他の施設が使えるようになるとか、できないものかということが一つ。
もう一つは、中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金なのですが、これは非常に有効だということで、すばらしいものだと思うのですが、ただ、残念なことに原資がないのはわかっているので、なかなか言いづらいのですけれども、今、中小企業は申請してもほとんど使えないと聞いています。お話ししたように原資がないためにこれが使いづらくなっている。ゼロという話ではないのですが、ただ、特例子会社とか、そういうところは使えるみたいなのですが、中小がなかなか使いづらいということを伺っています。その辺でもしおわかりになるのであれば、状況を教えていただければと。
○阿部座長 お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金についてですね。おっしゃるとおり、確かに毎年件数がそれほど出ていないという状態もありますので、今年度から要件の緩和をしているところでございまして、今の状況がまずはどういう形になるかを見ているところでもありますので、要件の緩和の影響が件数増につながるかどうかとか、あるいはどういった効果的な取り組みにつながるのかを見た上で、今後の対応は考えたいと思っております。
ただ、1点申し上げると、中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金については、少なくとも現状は、特例子会社は使えない仕組みになっておりまして、いわゆる中小企業だけが使える仕組みとして残っておりますので、そこは念のため申し上げたいと思います。
○栗原委員 栗原です。要は、もう難しいということが先に出てきて、それでなかなか申し込めないということなのです。申し込んでも、まず無理だということが先に立ってしまうという話をよく聞くのですけれども、今の状況、お話を伺っていると、なかなか難しそうですね。
○障害者雇用対策課長補佐 個別におっしゃっていることによるかもしれませんが、基本的にはそういう方向に向かっているものではなくて、むしろ要件緩和を今年度から行っているものでございます。
○阿部座長 わかりました。その他はいかがですか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日盲連の工藤です。助成金のところでいろいろ施設、設備の設置だとか、助成金の種類が挙がっていますので、この中に、意見としては、日盲連のほうから中途の障害者の雇用継続のことだとかを御意見として出しておりますので、職場復帰のための助成金であるとか雇用を継続するためには委託訓練の中の在職者訓練。これは助成金ではないのかもしれませんが、そういうことについても、実態がどうなのかということをわかるように膨らませていただければと思います。
ジョブコーチだとかについては、その他のところなのですか。
○阿部座長 そうです。
○工藤委員 その他ですか。その他のところがそっくりはしょられてしまったので、どうなのかなと思って、ジョブコーチについては、たびたびこれまでも発言してきましたけれども、視覚障害については非常に少ないということで、今後、どういう計画があるのかというあたりも、私たちとしては知りたいところなのです。ここは研究会の場ですから、今後、平成30年にジョブコーチだとか、どうなるのかということについて、きょうでなくてもいいのですけれども、もしわかるものであれば、今後、30年度の施策はどうなっていくのかというあたりも知りたいところです。ジョブコーチについては、訪問型のジョブコーチと、視覚障害については障害の特性に対応できるジョブコーチを計画的にふやしてほしい。そして、職業センターへの配置型のジョブコーチと、施設等からの派遣型のジョブコーチ。派遣型のジョブコーチであっても、障害の種類によっては研修、講習を受けて、資格は取ったけれども実際は活動していないという実態があったりすると聞いているのです。ですから、今までも、第2次地域の就労支援の在り方に関する研究会報告書なども出ていますので、改めて抜本的な提案を、今後に向けてそういうことを出していただければと思います。
そのほかでも、その他でもよろしいのですね。その他のところで、例えば難病のところだったと思うのですが、通院の休暇だとか、そういうことについての意見もありましたということで書かれているのですが、実は、たまたまフランスのこの法律は2005年2月11日法という法律だと思うのです。障害のある人々の権利と機会の平等、それから、参加と市民権に関する法律で、これは2005年2月11日法という法律だと思うのです。その中に、リハビリテーション休暇制度のこととかが、その法律の中で定められているということを、職業センターの研究会の報告、発表会で、そういうところで聞いた記憶があるのです。それはまさに中途で視覚障害、中途で障害になった人にとっては、職場復帰をしていくというためには、在職者の訓練だとか通院の休暇だけではなくて、リハビリテーションのための休暇。そういうことも非常に重要だと考えております。
これまで意見の中で、日盲連のほうでも、公務員に対することについて、随分、毎回審議会の場でもそうですし、今回の研究会の意見の中でも述べてきたのです。そういうことが、今回、この中に一切出てこないということで、これで本当にいいのかなということを感じております。例えばフランスとドイツで、今回は諸外国の状況を出していただきましたけれども、その中で公務員はどうなっているのかということも、今後、次回でもわかるようにしていただければと思います。雇用促進法で、公務員についても雇用率の義務は課しているわけです。もう一方、実際に公務員としての障害者雇用をどのようにして拡大していくのか。または障害のある公務員に対する具体的な支援というところでは、納付金に基づく支援は全然受けられないわけです。機器の整備もしかりですし、雇用支援機構の機器の貸出制度も公務員には適用されない。そういうことも含めて、今後、この制度の見直しの中で、同じ障害がありながら、同じ障害者雇用促進法の中で雇用率が定められていながらそういう実態があるということも、今後は是正していってほしい。そのような見直しもぜひ検討してほしいと思います。
いろいろ項目に沿って議論されてきたのですが、実態として、都道府県別、障害別の就職状況だとか障害者の求職者の数、状況だとか有効求職者の数、就職の状況だとか、その中でA型の状況、A型に対する就職がどうなのかとか、そういう数値だとかデータは今まで一切出ていないのです。これまでも私、日盲連だけからではなくて、ほかのところからもそういう数値、データは出してほしいという意見があったのです。このまま、それがないまま進んでいってしまうのかということをちょっと心配しております。
以上です。
○阿部座長 御意見として承ります。ただ、公務員のお話が出てきたとは思うのですが、我々の中で公務員の問題について取り上げるのはやぶさかではないのですけれども、労働政策としては、現状として公務員までは範疇にないように私は理解しています。
あと、統計数字は大事だと思うので、もしあればお出しいただいて、どういう議論をするのか、すぐには想像できないのですけれども、実際にどのぐらいの方々がハローワークを通じて求職をされているのかという把握は可能だと思いますので、もし準備ができるのであれば、準備していただいてと思います。
○工藤委員 工藤です。公務員はやぶさかではないということですけれども、議論はちゃんとしてほしいと思うのです。それと、データについては出してほしいと思います。納付金の納付状況であるとか、あとはそれをどのような形で助成金として使われていたのかという数値、データなども、できるだけ出してほしいと思います。
以上です。
○阿部座長 わかりました。余り長くしてもしようがないのですけれども、公務員の話を議論してもいいのですが、議論するというのは、一体何を議論すべきなのか。例えば制度を我々はここで議論していたりとか、あるいは助成金の仕組みを議論していたりしているわけなのです。障害者雇用をふやしていくのだとか、そういう話は幾らでもできると思うのですけれども、それを実現するためにどういう整備をしていくべきかとか、そういうところは、公務員制度を議論するそのものは、この審議会はそういった範疇にないのではないかというように私は理解しているということであります。
○工藤委員 少なくとも、同じ視覚障害、ほかの障害でもそうなのですが、例えば拡大読書器であるとか音声の出るパソコンであるとか、そういうものが必要なわけです。それが受けられない視覚障害の方は結構いるのです。それでいいのかということ。これは公務員でも同じようにそういう機会、制度として、民間企業の場合は受けられているのだったら、どうして公務員がそれを受けられないのか。率先、垂範して公務員の場合は、行政の責任でやるべきだといっても、実際はそうなっていない。今までずっと何十年もそういう状態が続いているわけですから、それを何とかしてほしいということです。公務員制度をどうのこうのということではないのです。
以上です。
○阿部座長 お話はわかりました。
それでは、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。
特になければ、きょういただいた御意見を踏まえて、次回以降具体的な議論につなげていただけるように、資料ですとか準備を事務局にはお願いしたいと思います。
次回の日程について、事務局より説明をお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。次回、第8回については、日時、場所については改めて御相談、御連絡いたしたいと思いますが、いずれにしましても、本日出された御意見も踏まえた上で、個別の論点について整理をした上で、御議論に結びつけたいと思っております。よろしくお願いします。
○阿部座長 ありがとうございました。
これをもちまして本日の研究会は終了としたいと思います。お忙しい中、本日もありがとうございました。