第6回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事)

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

日時

平成29年12月22日(金)13:00~15:00

場所

厚生労働省専用第21会議室(17階)
(東京都千代田区霞ヶ関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)

議事

○阿部座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから、第6回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。
まず、本日欠席の委員ですが、塩野委員、加賀委員です。
また、坂根雇用開発部長が本日公務のため、途中で退席されるとのことです。
本日、この研究会における今後の議論の円滑化及び明確化に資する観点から、これまで出されたとるべき対応、対応の方向性や意見等について、暫定的に整理、集約した資料を事務局に用意していただきました。基本的には、これまでに出されたあらゆる御意見を含むものとして整理、集約し、作成したものです。事務局より全体を一読していただいた後で、項目ごとに小分けにして委員の皆様に自由に御意見、御議論をいただきたいと思っております。
この研究会は中長期的な課題の対応を検討するものでありますが、初回の研究会で事務局より説明があったとおり、来年夏ごろをめどに一旦取りまとめを行う予定であります。
そうした状況も踏まえて、個別の論点について、夏の取りまとめにおいて速やかに方向性を示すことが望ましいものとか、方向性としては賛成だけれども、もう少し時間をかけて状況を見た上で方向性を決めていったほうがいいといった御意見もあわせていただければと思っております。
それでは、事務局から用意していただいた資料について説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
今、座長より御説明をいただきましたとおり、本日、資料1としてお配りしている資料については、これまで15団体についてヒアリング及び意見書の提出で対応いただいてきたものと、一部委員の皆様から当日御意見をいただいたものについて、全体を整理したものでございます。したがって、これ自体が何か今後の研究会の方向性を示しているものではございませんが、来年夏までの間に個別の論点について御議論いただく上で、どういった意見があったかをまとめておいたほうが議論の円滑化に資するであろうという観点からまとめたものでございます。
また、今、座長からも御説明いただきましたとおり、制度の検討自体は今後とも継続して行っていく必要があるかもしれませんが、一旦夏ごろまでを取りまとめのめどと考えていることもございますので、時間軸に沿って、より速やかな対応のものであるとか、もう少しいろいろな制度施行の状況を見たほうがいいのではないかといったことも含めて御意見をいただけますと、今後どういった優先順位で議論していくかを考えていく上でも大変参考になろうかと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
資料のほうは少し多いので、傍聴の方には大変申しわけないのですが、委員の方には事前にお送りしているということもございますので、若干省略しながら説明を申し上げたいと思います。
1ページ、目次をごらんいただきますと、基本的にはヒアリング項目でお願いしてきた順に沿って書いてございますが「○障害者雇用全般について」から始まりまして「○障害者雇用の質の向上について」「○多様な働き方の支援について」「○中小企業における障害者雇用の推進について」「○福祉・医療・教育等の支援機関等との連携の在り方」、最後に「障害者雇用納付金制度及び雇用率制度について」「○その他について」ということでまとめてございます。
早速ですが、時間もありませんので2ページをお開きいただきますと、まず「○障害者雇用全般について」でございますが、いただきました御意見の中で、まさに障害者雇用を考える上での基本的な考え方とか、どういった社会を目指していくのかという御意見がありました。
また、3つ目のポツですが、この会自体はいわば労働行政の研究会でありますけれども、福祉行政とか教育、医療などの関係機関あるいは行政ともしっかり連携を図っていく必要があるのではないかということ。
4つ目のポツについては、一まとめにしておりますが、実態を把握する必要ということで、就労定着・離職の状況とか、より詳細な障害種別、男女別、地域別、派遣労働の現状、福祉的就労の利用者、中小企業の実態等ということで、全体を全部調べるといってもなかなか大変なところはあろうかと思いますけれども、そういった御意見もありましたので、そういうところでどのような方法があるのかも御議論いただくことかと思っております。
次は「○障害者雇用の質の向上について」ですが、全体的な取り組みについては、まさに1つ目、2つ目は制度の周知ということで、合理的配慮とか差別禁止、改正労働契約法についてしっかりと周知していく必要があるということとか、3点目については障害者のキャリア形成を促すために、週40時間勤務とか正規雇用契約などについても、現状時間で区切っている雇用率制度について、待遇面とかさらなる時間延長についてメリットを付与するということも御意見としてありました。
そのほか、実習とかトライアル雇用の利用推進とか、企業在籍型ジョブコーチについての体制整備ということも御意見としてはございました。
その次の障害者の職場定着を目指す中にあってということでは、現行の助成金は雇い入れ後の短期の間に多く偏っているという御意見もありまして、そうした中で、今後継続雇用ということを考えると、より長期の支援を行う仕組みにしていく必要があるのではないかという御意見もありました。
その次ですが、障害者雇用促進制度の本来の趣旨である統合された環境で働くことを促していくという観点から、特例子会社から一般の事業所への異動出向を促進するとか、特例子会社から一般の事業所あるいはグループ外の会社にさまざまな支援を行うことについての制度上のメリットを付与するという御意見もあったかと思っております。
また、地方部においては、都市部と比較して雇用の実態が厳しいということもありますので、そもそも地方部における雇用に対するメリットを講ずべきという御意見もありましたし、通勤のための環境が整備されていない実態等を踏まえた対応が必要であるという御意見もありました。
精神障害者等の雇用については、1つ目については就労困難性とか職業適性について統一的な判定ができるような仕組みが必要であるとか、そのための検討会を立ち上げてもらいたいという御意見がありました。
2つ目の定着支援については、現状さまざまな支援ツールが出てきておりますので、そうしたものをより全国に広げていく必要性というものも御意見としてはございました。
3点目は後ほど追加で御説明しますが、週20時間から30時間の短時間での雇用についても、雇用率制度上での何らかの対応が必要なのではないか。また、医師によりフルタイムでの勤務が困難であるという人に限定するという考え方もあるということをいただきました。
4ページ目は、かなり多くの団体から御意見をいただいたところではございますが、精神障害の方とか、重度の身体障害の方を中心として、一定時間以内、すなわち週20時間未満であれば働けるあるいは働いている方も、以前に比べて大分増えてきている。また、それが雇用契約によるものであるという条件もありますので、そういった方への対応を検討する必要もあるのではないか。
ただし、方法としては雇用率でのカウントというものもあれば、当面は納付金、助成金等で支援を行いつつ、様子を見た上で雇用率にカウントするとか、方法論としては幾つか御意見があったところでございます。
そのほかに、精神障害者手帳を希望されない方とか返還された方もそれぞれいらっしゃるものの、症状には不安定性が残る方もいらっしゃるので、雇用率への何らかの対応が必要だという意見も、その後の2つのポツですがございました。
また、高齢障害者の方の雇用継続についてもさまざまな御意見をいただきましたけれども、職場定着に一定の取り組みや効果を生み出しているような企業に対しては、雇用率上のメリットとか助成金の措置、助成期間の延長等を講じる必要があるというところとか、これも雇用率制度上の対応として2つ目ですが、加齢によって長時間勤務が困難となった場合に、一定の要件のもとで短時間に移行しても雇用率を維持する方法もあるのではないかとか、3つ目についても同じような話でありますが、就労能力とかさまざまな点に課題を抱えてきたときに、直ちに職を失うことがないようにA型事業所に移行するとか、福祉就労と一般雇用のさらに中間的な働き方を整備するとか、さまざまな御意見もありました。
また、事業主としても「できる仕事」の提供をしっかり配慮してほしいということとか、支援者も介在する形で移行支援を推進する必要があるという御意見もありました。
最後のポツですが、中途障害の場合などに、事業主による復職訓練に対する支援だけではなくて、当事者が自ら積極的に訓練を受けやすくするための支援のあり方も検討する必要があるのではないかという御意見がありました。
多様な働き方については、大きくテレワークと在宅就業支援制度と書いておりますが、1点目のテレワークについて、コミュニケーション機器とか移動支援などのさまざまな支援の枠組みを増やしてほしいという話であるとか、2つ目は必ずしも雇用率制度の話ではございませんが、福祉サービス、訪問介護サービスが利用できないという制度になっておりますので、そういった仕組みについても、就労中であっても福祉サービスを併用できるような仕組みを考えるべきであるという御意見もありました。
一方で、テレワークを進めるに当たっては、ノーマライゼーションの観点からのさまざまな懸念点もある中で、どういった方にはテレワークという働き方が望ましいのかということも考える必要があるのではないかとか、安易に在宅に導くのではなくて、やむを得ない場合であっても社員との連帯感などをしっかり醸成する必要性があるということも御意見としてはありました。
加えて、これは一般的なテレワークの課題でもございますが、労働時間管理とか労災認定のあり方についても検討が必要であるという御意見がありました。
また、現行の在宅就業支援制度についても4つございましたが、現在でも一定要件のもとで施設就労への発注も対象になってくるということもございますので、周知の観点からも、在宅に限定されているかのような名称は改正したほうが、より一層広がっていくことに資するのではないかという御意見がありました。
2ポツ目、3ポツ目については、障害者の就労機会の拡大に向けて発注は有効であるという前提のもとで、発注額に応じて雇用とみなす、いわゆるみなし雇用制度を創設すべきだという御意見もありましたし、一方では、発注自体は必要ではあるけれども、雇用の阻害になりかねないという観点から、雇用率には直ちにみなすのではなくて、障害者雇用納付金との相殺など、経済的なメリットに限定した支援を行うべきという御意見もありました。
6ページ目、これも必ずしも障害の方に限らないとは思いますけれども、自営で働いている方について、事業主のとのマッチングとか営業活動の支援という取り組みを進めることが、自営の障害者の方の経済的自立に資するのではないかという御意見もありました。
また、多様な就業という意味では、先ほども御説明した週20時間未満の雇用率への対応といったところも、御意見としては含まれてくるかと思っております。
続きまして、中小企業における障害者雇用の推進についても何点か御意見がありましたが、特にジョブコーチ支援等を、中小企業がしっかり使えるような体制を整備してほしいとか、特に経営者層の意思が重要になってくるということで、見学会とか、まさに経営者層の基本的な考え方というところから動かしていくような仕組みも必要なのではないかという御意見がありました。
また、障害者の雇用以外であっても、実習の受け入れとか施設外就労の機会などを積極的に提供している中小企業も多く見られるという中にあって、単に雇用だけではなくて、そういったことも評価の対象にしていくことが、さらなる中小企業の雇用の促進につながるのではないかとか、あるいは施設外就労を受け入れて、障害がある方の一般雇用の移行に貢献されているような取り組みもカウントするということがあるのではないかという御意見がありました。
他方で、中小企業においてはまだまだ障害者雇用がまだまだ十分には進んでいないという現状もございますので、現状対象になっていない100人以下の企業についても、雇用義務がかかっている範囲においては納付金の義務を課す必要があるのではないかとか、障害者雇用に係る負担感を公平に調整するために、調整金の額を賃金相当額にまで引き上げる、現状の額より上げる必要もあるという御意見がありました。
場合によっては、そうしたこととセットかもしれませんが、他方で、現状の障害者雇用報奨金については、6人超の場合にのみ支給されるという制度でして、中小企業の場合に、一般に障害者を雇用している場合、例えば50人の会社が3、4人雇っている場合にはこういった制度の対象になりませんので、そういったところの支援を手厚くしていくということも御意見としてはございました。
また、御意見としては、単独の中小企業で障害者雇用を進める難しさもあるという前提のもとで、中小企業が短時間での業務を切り出して合同で雇用を進める仕組みの創設も考えられるのではないかという御意見もいただきました。
加えて、いわゆる障害者雇用のノウハウを親会社とか特に大企業がある程度持っているという状況もございますので、しっかりとノウハウが移転されるような仕組みも講ずるべきではないかという御意見もありました。また、ノウハウを移転するための支援としては、雇用率でのカウントなども一つのアイデアとしてはあるのではないかという御意見でした。
最後ですが、中小企業の場合には就業を希望する障害者とのマッチングがなかなか難しくて、採用に届かない場合も多くあるということで、罰則的な対応だけではなくて、公共事業の入札時での加点評価とか、税の減免措置などのプラスのインセンティブ措置を講ずるようなこともさらに必要ではないかという御意見もありました。
7ページの「○福祉・医療・教育等の支援機関等との連携の在り方」では、幾つか御意見がございましたが、さまざまな支援機関との連携を図っていくべきだということで、1つ目は精神保健福祉士、ジョブコーチ、産業医など現状でもある程度関わっている方について義務づけるという御意見もいただいたところでございますが、加えて障害者の就労状況に関する情報がなかなか円滑に行き届かないということもございますので、企業、支援機関、医療機関が共有できるような仕組みを創設していくということも、考えてとして必要になってくるのではないかという御意見がありました。
2ポツ目ですが、主治医だけではなくて職場の産業医とかリハビリテーション専門職といった方々との連携、あるいはそういった方々の御意見を実際に職場に反映するような仕組みの創設も必要だろうという御意見がございました。
3つ目は、身体障害の方であっても、特に聴覚障害とか視覚障害の方などの場合に、それぞれ特別な困難性を抱えている。あるいは、それぞれさまざまな支援が必要であるということもございますので、個別の障害ごとに見識のある人を、できる限り、地域の専門家として配置するあるいは就労支援の専門家として育成していく必要性もあるという御意見がありました。
4つ目ですが、自治体とか商工会議所なども一体となった支援が必要であるという御意見とか、5つ目ですが、高等教育機関に進まれる障害の方も増えてきている中で、高等教育機関などとの連携を増やしていくという御意見もございました。
最後、6ポツ目ですが、就労支援機関においても特に対応力に差があるということで、その差を解消するための研修などを積極的に支援する必要があるのではないかとか、支援をしている側もケアが必要な場合が多いので、そういった方へのケア体制の構築も必要だという御意見もありました。
7ページ目の下からは制度のことでございます。障害者雇用納付金制度につきましては幾つかありますが、1つ目は法定雇用率未達成の企業が納付すべき額を大幅に増額してはどうかという御意見がございました。2つ目のポツも、中身としては同じようなことでございますが、少なくとも最低賃金で就労した場合の月額賃金分に引き上げるべきだという御意見もあったかと思います。
他方で、法定雇用率を超えて雇用されている障害者数に応じて、支給額にメリハリをつけることも考えられるということとか、4つ目ですが、未達成の中でもいわゆるゼロ人雇用のような場合と、ある程度は雇用している場合で、ある程度雇用していれば1人当たりの納付金の額も減額するということで、徐々に努力に対するインセンティブを増やすという措置も必要だという御意見がございました。
また、調整金についても、いわゆる使途の明確な助成金などと比べて明確ではないということもございますので、優先順位として、まずは助成金をしっかりと確保すべきだという御意見もありましたし、そうした中で調整金の額の引き下げとか支給期間、対象者の上限設定という御意見もいただきました。
加えて、障害者雇用における合理的配慮の対応とかキャリア形成なども、いわゆる質的な配慮についても納付金の額に反映させることが必要だという御意見もございました。
最後ですが、就労継続支援A型については、障害福祉報酬と労働政策の双方から支援措置が講じられているという点を踏まえて、その利用者については通常の一般雇用とは異なるということもございますので、調整金・報奨金の対象から除外することが考えられるという御意見もございました。
その次は、障害者雇用率制度についてです。
こちらも1点目については、雇用率の算定に当たってさまざまな質的な点も配慮した上で、各会社の実雇用率の算定を行うということが考えられるのではないかであるとか、派遣されている労働者については、派遣先で障害者の雇用率に算定するという御意見もありました。
3つ目ですが、法定雇用率が急激に引き上げられていることで、特に事業主における障害者雇用の意欲がそがれるようなことがあってはならないのではないかという御意見もありましたし、同じような御意見として、現行制度では機械的に引き上げられることとなっている雇用率について、企業等への影響が大きいことから、達成企業割合に一定の要件を課すなどの柔軟な調整を認める必要があるのではないかという御意見もありました。
加えて、法定雇用率の検討の際に用いる数式において、失業者が入ってくるわけですが、その定義などを含めて、より具体的に情報をオープンにしていく必要があるのではないかという御意見もありました。
先ほど納付金でも同様の御意見がありましたが、就労継続支援A型の利用者については一般雇用とは異なることから、これは法定雇用率の検討の話ですけれども、その分子から除外するという御意見もありました。
除外率については、現行の障害者雇用促進法の規定において既に廃止されている。そうした中で、暫定的な措置とされていることを踏まえて、順次引き下げていくべきだという御意見もありましたが、他方で、硬直的に進めていくことは雇用意欲を維持する観点から慎重さが必要であるという御意見もございました。
「○その他について」ということで書かせていただいておりますが、1つ目としては、雇用対策の支援対象となる範囲について、従来のいわゆる手帳等による厳格な対応ではなくて、就労困難性に着目した新たな枠組みも必要なのではないかといった対応が、結果として、いわゆる障害特性以外の背景によって就労困難性を抱える方への支援にもつながっていくのではないかという御意見がありました。
難病患者については、福祉サービスと雇用政策がより一体となった支援が必要であるということとか、障害者手帳と同等の効力を有する証明書の発行なども考えられるのではないかという御意見がありました。また、難病患者の方について、障害者雇用率制度の対象に追加することとか、通院やリハビリなどの病気休暇制度の充実が必要であるという御意見もありました。
最後ですが、公務員についても障害者雇用の配慮を進めるために財源を確保して、ジョブコーチの配置等を進めるべきであるという御意見とか、精神障害や知的障害の方の障害者雇用を促進する必要があるという御意見がございました。
以上がこれまでの研究会で出てきた御意見でございます。
最後に、参考資料としてお配りしている2つについて御説明しますが、参考資料1は先日12月12日に公表いたしました障害者雇用状況の集計結果でございまして、実雇用率が1.97%で、法定雇用率達成企業の割合が50%となりましたので御報告いたします。
参考資料2は、本日午前中の障害者雇用分科会において、妥当であるという答申をいただいた省令改正案でございますが、精神障害者である短時間労働者の方について、研究会においてもさまざまな御意見が出ていたところではありますが、今般、義務化に当たって速やかな対応が必要であるということを、分科会でも既に5月の段階で御意見をいただいたことを踏まえまして、新規雇い入れから3年以内または精神障害者保健福祉手帳の取得から3年以内の方については、雇用率のカウントによって、1人をもって1人とみなす制度を導入することとしたいと思っております。
ただしということで申し上げれば、当面こういった措置がどういった影響を及ぼすかはまだまだ見えないところもございますので、平成35年3月31日までに雇い入れられた方までを対象にするということで、当面5年間の暫定措置ということで考えております。
以上、早足で申しわけありませんが、御説明は以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
これまで関係者ヒアリングにおいて、皆様から意見をいただきましたが、それをまとめたペーパーが資料1で、これから皆様とこれについて議論して、御意見を頂戴していきたいと思っていますが、先ほど申しましたとおり、時間軸についても御意見をいただければと思います。例えば、これは速やかに施策として考えるべきであるとか、もう少し長目に議論してもよいのではないかとか、そういった意見についてもいただければと思います。
9ページにわたって長いので、それぞれ細かく見ていきたいと思います。
まずは2ページ目の障害者雇用全般について御議論をいただきたいと思います。
なお、毎回お願いしておりますが、発言される際は挙手をしていただいて、まず名前を名乗ってから御発言いただくようお願い申し上げます。
それでは、2ページ目の障害者雇用全般について御意見等があれば、御発言ください。
工藤委員、お願いします。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤と申します。
障害者の実態把握のためのデータ開示というところに関連してですけれども、実はきょうの午前中の障害者雇用分科会を傍聴していまして、そうだなと思ったことがあります。それは調査結果をただ報告するだけではなくて、元データをぜひ出してほしいということです。恐らくここの研究会でも、そのような形で対応していただけると非常にありがたいと思います。
もう一つは、以前私が発言したことですが、過去の研究会の経過とか成果、結果がどうなっているのかを、ここにも障害の特性に応じた支援が必要であるということが前提になっていますので、一つは「地域の就労支援の在り方に関する研究会」で、特に知覚障害と聴覚障害についてのジョブコーチが非常に少ない。そういう人材を養成して配置してという報告書が出ていますので、それについて今後、今、言ったような形で情報提供していただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
工藤委員から最初にいただいたデータの公表についてですが、これはこの研究会で議論する内容ではないと私は思っております。というのは、これは統計法で決められていることなので、統計法そのものを改めていかないと、個別の統計表情報を開示することは、多分かなり難しいことですので、意見としてお聞きはしますけれども、ここですぐに議論して、何かができるということではないように個人的には思います。
○工藤委員 了解しました。なるべく実態がわかるようなデータということで、現状で出せる可能なところでということで御理解していただければ結構です。
以上です。
○阿部座長 わかりました。
それ以外について、事務局は何かありますか。特になければいいですか。
それ以外はいかがでしょうか。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。
3つ目のところで、労働行政の中だけで話をしていても解決できない問題があるので、さまざまなところと連携していく必要があるというのは、本当にそのとおりだと思うのですが、夏までの間に何か新しく体制をつくることは非常に難しいと思いますので、だからといってまた今度としてしまうと全然前に進みませんから、例えば、何が問題になり得るのか、どういう問題が連携を必要としているのかを労働行政の側から、少なくともこれとこれはこういうところとの連携が必要ですねという提案をするとか、あるいは具体的に、将来的にこういった問題を話し合うための体制づくりとしてはどういったものがあり得るのかみたいなことを、アイデアを出すということも重要なのではないかと思います。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 資料1の記載の項目が余りにも多く、しかも、細かいテーマと大きなテーマの両方がありますので、夏までに取りまとめることを考えると、私もある程度区分けが必要かと思います。
一方で、夏にまとめた際に、まとめたものの、その後の扱いがどうなるのかによって、入れるのか、入れないのかについても検討する必要があると思います。そこで、夏までにまとめたものは、その後どういう対応をとるのかお教えいただければと思います。
○阿部座長 それでは、まとめたものは中間取りまとめという位置づけだとは思うのですが、それについてどのように取り扱うかということなので、事務局からお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
私が答えられる範囲を超えているような気もしますが、おっしゃるとおり、確かにどういう対応かによってどういった内容がというのもあると思いますが、当然、制度改正が必要なものであれば、できる限り可能な範囲において速やかに対応するということだと思いますし、また予算措置についても夏までの一旦の取りまとめということであれば、早ければ平成31年度予算要求にできる限り反映していくことをまずは目指すというところでございますが、ただ、その中に入ってきたからといって、全てをそれに入れるかというと、またそれはそのとき次第ということもございますし、今、座長からもお話しいただきましたが、どういう形をとるにしても、これ自体でそのまま全部終わりというよりは、残った課題についても継続して議論していく必要は当然あろうかとは思っております。
○阿部座長 私個人としては、ここの中間取りまとめはぜひ審議会に上げていただいて、審議会でさらに議論を深めていただければと思っております。
ほかにいかがでしょうか。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。
3番目のポツで長谷川委員からもお話がありましたように、連携は非常に大事であります。しかしながら、夏までにとなると時間的な制約から難しいとは思いますが、1点だけ今までにない視点を申し上げたいと思います。
労働、福祉、教育、医療の関係機関がとありますが、今までも社保審の障害者部会等でも、福祉だけではなく医療、教育あるいは雇用との連携が言われていたわけであります。残念ながら、障害のある方に対する教育は随分議論されておりますけれども、私は障害というものが、障害のある方の個人因子だけではなくて、環境の作用といいますか、そういうものからいって一般市民あるいは児童、生徒、あらゆる教育、発達段階、習熟段階に応じて、障害とか精神疾患というような疾病、それから人権というものを教育していくことが、長い道のりのように見えますけれども、一番近道ではないかと考えておりますので、方向性だけでも提案していきたいと思っております。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかはいかがですか。
栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です。
まず、15団体の発言をこれだけすばらしくまとめられたことに敬意を表したいと思います。
それだけに、ちょっと中身が粗いところがあるなというのを言わざるを得ないのかなという感じもいたします。先ほど長谷川委員が言われたように、本当に、中身を8月までにまとめられるのかという気もしているのです。
中身を見るとすごく内容が濃い、中身が多過ぎる。それだけに、専門の方も含めまして、できれば非公式でも構わないと思うので、いろいろな話し合いを次の会までに時間がとれる方にやってもらうとか、もちろん阿部座長の采配でやっていただければ非常にすばらしいと思うのですが、どちらにしても、このままだと何となくすっと流れてしまうような気がして、もうちょっと中身の深い提案ができるような時間が欲しいというのが、率直な考えでございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
栗原委員、長谷川委員から御指摘がありましたが、確かにいろいろたくさんの内容があるのですが、裏を返せば、これはこれまでヒアリングした全てを網羅したということでして、取捨選択を現段階では何も行っていないということであります。言葉が適切かどうかはわかりませんが、ここから取捨選択するのが我々研究会の役目かと思っているところです。
ですから今、栗原委員、長谷川委員がおっしゃられたとおり、これの全てをやっていくということはどだい難しいと思いますので、先ほどから申し上げますとおり、これは重要だ、これはもう少し時間をかけて議論して、もっと詰めていったほうがいいといった取捨選択も考えていただきたいということであります。
また、栗原委員から御提案いただいた、非公式に集まって皆さんとざっくばらんにお話しするということもあっていいかと思いましたので、少し事務局と相談させていただきたいと思います。ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
それでは、最後にまた戻ってお話しいただいても構わないと思いますが、時間もありますので、次の項目の障害者雇用の質の向上について御意見をいただければと思いますが、いかがでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 まず、1つ質問があります。
4番目の障害者の職場定着を進めるために、不本意就労を避けるためにという、この不本位就労はどういうことなのかと思いました。
○阿部座長 それでは、御質問ですので、事務局、お願いしてもよろしいですか。
○障害者雇用対策課長補佐 先ほど来御説明しているとおり、こちらとして意見をつくったわけではないので、必ずしもどういう御意見であったかは、私が断定的に申し上げることはできませんが、すなわち御本人からしても思っていたような働き方ではなかったということを避ける必要があるのではないかという御意見だと思います。
要は、事業主だけではなくて、本人からしても入ってみたら、事務と聞いていたけれども実際には事務ではなかったとか、これは障害者雇用に限らないですが、そのようなことも当然ある中で、実習とかトライアル雇用などの推進も必要なのではないかとか、あるいは職場環境も実習を受ける中である程度自分に合っている環境なのかがわかるようなこともあるのではないかということで、こういった単語を使われたということかと推察しています。
○工藤委員 ありがとうございました。
1つ2つ意見を述べさせていただきます。
まず、ここに好事例を収集したりとか、それをもって啓発とか、そういう趣旨のことがありました。それから、無期転換の周知徹底だとか、それについては本当にそのとおりで、大歓迎したいと思います。
視覚障害者の立場から言うと、全体的なところで、視覚障害者がその人らしく定年まで働くことを考えたときに、数は非常に少ないのですけれども、全国のあちこちに困っている人、支援を求めている人はたくさんいるのです。ただ、ジョブコーチとか、訓練施設の場所とか、雇用の求人も少ないとか、いろいろな悪条件もあるわけです。
そういったときに、日盲連のほうで、障害の特性とか種別によっては、ここは特別対策のようなものがあってもいいのではないかということも論点の一つです。
例えば、障害者に対する普通の対策では救えない人、確かに障害者雇用対策という全体のメニューはあるのだけれども、それが容易にというか、それにアクセスできない。実際あっても利用できない。そういう障害者に対しては、特別対策は必要ないのか。あるとすればどういうものなのかという論点が一つ欲しいと思いました。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
その他、いかがですか。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 長谷川です。
2ページの下の2つのポツなのですけれども、下から2つ目の労契法の改正で有期契約が繰り返されて5年を超えた場合に無期転換するというのは、本当に重要なルールだと思うので、ぜひ障害者の方々に周知していただきたいと思っております。
ただ、その際に、一般的にもこのルールはなかなか理解が難しいところである中で、知的障害の方とか、そういった方々にどのような形で周知することが適切なのかというのは、よく考えないといけないと思いました。
一番下のポツは、最初の障害者雇用全般についての実態調査のところにも絡んでくることかと思いますが、ここでは無期雇用契約の人には雇用率制度上のメリットを付与すればいいのではないかというお話ですが、確かにそれも一案かと思いますけれども、その前提として、実態調査される際に、労働契約が有期なのか無期なのかといったところについても調査の対象にしていただけるとありがたいかと思います。
今は期間の定めがある場合でも、1年以上見込まれている場合には全て常用雇用でカウントされているので、そうすると有期契約だと雇用も不安定になって、定着も図りにくいということにもつながってくる可能性があるので、調査の際にそのあたりもぜひ調べていただきたいと思います。
○阿部座長 ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。
この場所でというのがよくわからないのですが、3ページの最後の地方部においては、都市部と比較してという問題で、地方と都市の話の延長線上でと思っております。
こちらは就労の機会や実習ということですけれども、ほかのところにも出てきますが、職業能力等のアセスメントを含めた機会が非常に大切であるというのは昔から言われており、かつては各都道府県に1個の職業センターであったり、数の少ない障害者を対象にする能力開発校等が、福祉の制度で就労移行支援事業所ということで十数年前にできて、かなりの数ができて、現在は3万人ぐらいの月々の利用でとどまっておりますが、行われてきております。
ところが、身近な地域でこういった場所ができ、就労移行支援事業所では施設外就労とか、いろいろな実際の機関、働く場を使いながらマッチングをしていく、あるいはセツルメントをしてはいるのですが、現状としては、十数年の間で、現実的には都市部中心でしか事業所がないという現状に陥っていると思います。
例えば今、私がいる群馬県では、いわゆる障害者就業生活支援センターは県域に8カ所ありますけれども、その8カ所全てには就労移行支援事業所はありません。半分ぐらいしかないです。ある程度の都市部でないとない。実際には名簿を見るとあるのですけれども、休止をしている事業所もかなりの数ございます。そういった面では、福祉型の就労移行支援事業所は給付で、お客さん、利用者がいないと経営としては成り立たないのでやっていけないということで、どうしても遍在してきてしまっているという問題で、数ができればよかったかというと、都市部と地方部の大きい問題は、これがいまだに全く解決できていないということです。
さらに、もし何らかの実習を受ける機関があったからといっても、もちろんここにも通勤の問題も出てきておりますので、必ずしも地方の問題を考える場合の就労というのは、住まいも含めて、地域で考えるというのは現実的ではないような気がします。
それは必ずしも福祉行政だけの問題ではなくて、労働のほうでも考えていかなくてはならない。そうでないと、なかなか職を見つけるというのは現実は難しいというのが何となくはっきりしてきたように思いますので、これについてもはっきりしたデータがあるかどうかは別として、検討していかなくてはならない課題かと思っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 論点2は3つぐらいに分かれているのですが、論点2の後半のほうです。高齢化の最後のところで書かれているのですが、例えば中途障害者の復職とか職場復帰となっていると思うのですが、みずからそういう訓練だとかを選択して受けられるようなと受け取ったのですが、そういうことについても必要ではないかとか、そういうのがあります。
これについては、雇用保険を利用して、失業の防止という観点から本人給付という主張をしたことがあるのですが、それがこの対象に入っているかどうかは別として、職場復帰とか自分の技能を身につける向上訓練のために、自主的に復職を容易にする訓練等を受けやすくする。これについて、ぜひ掘り下げた議論をできればと思っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
それでは、続きまして3ページの後段の精神障害者等の雇用について御議論いただきたいと思います。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
3ポツ目の精神障害者の職場定着ということで、短時間雇用(週20時間以上・30時間未満)の雇用率制度について、要はコンマ1にするというようなことだと思うのですが、これは20時間以下もという話も前に出ていたと思うのですけれども、その場合はどうするとか、この内容については、非常にこれ自体が難しいと思うのです。ですから、皆さんが賛成と言って簡単に決まる話ではないのではないか。この問題についてはもうちょっと具体的に、時間をかけたほうがいいのかなと思っています。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 精神の1ポツ目のところに、速やかに有識者による検討会を立ち上げてというのがありますけれども、きょう午前中に雇用率を0.5から1.0に、短時間も引き上げるという話が認められたわけですが、私は雇用率をいじったからということではないと思っているのです。精神障害に限らないのですが、安定して、本当に長く働くためには、波もあったり、そういうときにどういう支援をしていけばいいのか、雇用管理をどうすればいいのかという、その辺のところに予算、財源もつぎ込むような、そうして長期的に安定して働けるようなことに持っていかないと、その人が人らしく、働いてよかったという働き方の面で満足いかないのではないかと思っているのです。
そういう意味で、1ポツ目の有識者による検討会というのはぜひ実現してほしいと思いました。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 志賀です。
今、工藤委員から有識者の検討会の話が出ましたが、同じくそれについての話です。
障害をオープンにして雇用される方の雇用率とか、職業リハビリテーションにかかっている人たちの問題というのは、比較的データとしてもあったりとか、いろいろな調査をされていたりするのですが、例えばハローワークの発達障害のナビゲーターのところに相談に行かれた方が、今後どういった形で就職しているかであったり、私のほうでは、例えば全国の発達障害者支援センターに成人で相談に来られる方は、8割以上の方は障害者の手帳を持っていない方が来られます。半分ぐらいは診断も受けていない方がいらっしゃるというのが現状なのだと思います。
それでは、なぜ相談に来るかといったら、就業面等で困難を抱えている。発達障害者支援センターに相談に来られる方は多分、障害福祉サービスとか障害者雇用の対象になっている方は1割もいらっしゃらないはずなのです。その人たちの問題は就業面で全くないのかというと、何らかの課題があるから当然相談に行っており、その後に休職されている方とか、いろいろな方も含めて何らかの対応をしているので、その辺については全く現状としてはわかっていないですし、その問題は雇用管理の問題であったりとか、今後の就労支援の施策はすごく大切な問題で、これは発達障害の話をしましたが、多分ほかの精神的な障害を持たれている方の問題も結局同じだと思います。
ここの場ではなかなかそういった専門的なところまでは行かないですけれども、この問題は大きく扱わないと、今後の障害者の対象をどう考えるかも含めて、非常に大きい問題だと思います。これはぜひよろしくお願いします。
○阿部座長 ありがとうございます。
それでは、高齢障害者等の雇用継続についてはいかがでしょうか。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 志賀です。
障害者の雇用カウントの問題、ダブルカウント、ハーフカウントが出ているのですが、私は長く知的障害の分野にかかわっていて、現実的によく起き得ることなのですけれども、加齢により労働力としてはかなり落ちてきていると思われる、あるいは一旦離職をされて再就職をするとき、知的障害の判定というのは、原則的には人生のうちで最も知的な能力が高いときの判定が落ちていくことは、判定としてはない。私たちも加齢すると当然、知的な能力は落ちていくわけですけれども、だからといって50、60歳になって、もとの力の半分になったからといって、手帳の判定が重度になったりすることは余りないですので、余り変わらない。プラス、身体的な機能は身体障害としての機能低下までではないのですけれども、かなり落ちている方も結構いらっしゃるのです。
ダブルカウントとかがあればいいのになと思うことが結構あったのですが、高齢のところだけではないのですけれども、ダブルカウントは本当にどこが妥当なのだろうか。ハーフカウントの問題も先ほど時間の問題で出ておりましたけれども、ダブルカウントは実態としてはどうなのだろうかということも、かなり専門的な話になるのですけれども、これについてはもう一度考え直さないといけない。
特に、高齢化の問題で定着を図っていくとなると、カウントのやり方の問題になりそうな気がするので、ダブルカウントであったりとか、重度障害者をどう考えるのかは、かなり大きい問題になるかと思っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
私も今の御意見に非常に賛同したいのですが、障害を持たれた方が加齢されて、それで体力が落ちてきた。そのときに、企業としてどのような扱いをするのか。例えば、大企業または中小企業によっておのおの違うと思うのです。ある程度大企業ならば、企業の中で職場を変えることができるけれども、中小企業の場合はなかなかそこができない。
そのときにどうしてあげればいいのか。この前お話しさせていただきましたけども、すぐにA型のほうにシフトできるのですか。なかなかそれも難しいのであれば、A型のほうで受け入れればこれだけのインセンティブがあるとか、そのようなものが全体的に循環できるようなシステムをつくってあげられれば、少しずつでも雇用の年齢も上がってくるし、働ける期間が長くなってくることもあるのではないか。
また、例えば加齢化するためには、ある程度年数を経るわけですから、働いて10年、20年、30年、何年になるかは別としても、例えば20年なら20年を一つの区切りにして、それ以上働いていて、ある程度の年齢に行ったらその時点で選択ができるとか、今ちょっと出ていましたけれども、ダブルカウントにしてもらえるとか、それは法定雇用率とは全然別枠で、カウントのほうに乗らないような方法でダブルカウントにしてもらえるとか、そうすると多少はその後、働く期間が延びるのではないかとか、いろいろなことを考えられるのですが、何かそういうことを一つ提言できないかと考えているのです。
○阿部座長 ありがとうございます。
漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
高齢者の雇用の継続については、障害者だけでなく健常者についても体力の低下がみられ、また、65歳以上の就労や年金との接続など、その後の生活をどうするかという課題もあるわけでして、ここにございますように、カウントの見直しも確かに重要ですが、高齢者に対するそれ以外の制度上の配慮も必要となるなど、かなり大きな問題であることから、夏までに区切って一定の方向性を出せと言われると、なかなか難しいと思っております。
例えば、働いている方に、体力の衰えを緩和できるようなエルゴノミクスにもとづいた対応もあると思いますし、また、制度以外対応も考えられますので、これも先ほどの精神障害者のところに検討会とあるように、その別途改めて検討するレベルの内容なのかなとも思っているところでございます。
さらには、中途障害への対応もございます。れも長いスパンで考えたほうがいいのではないかと思っているところです。
○阿部座長 ありがとうございます。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 福島大学の長谷川です。
どのタイミングでこういう話をすればいいのかよくわからないのですけれど、今回は各団体の方から要望を受けて、それをまとめてこういう形になっているので、それぞれの立場からさまざまな要望が出ていて、それぞれ本当にもっともで、ちゃんと考えていかなければならない問題ばかりだと思います。
ただ、その中で比較的早目に対応できるものとそうでないものとがあって、優先順位をこの研究でつけていこうというのはそのとおりだと思うのですが、部分部分をちょっとずつ変えていくと、制度がどんどん複雑になっていってしまって、後から整合性を図ろうとしたとしても、既にその制度が動き出していて、事業主はもちろん、その制度の下で働いていらっしゃる方のことを考えると、後から制度を変更することはすごく難しくなると思うのです。
そういった中で、できるところからやっていこうというのも確かにそのとおりだと思いつつ、他方で、もう一度、雇用率制度、納付金制度、雇用義務制度は一体どういうものなのかをしっかり考えて、まずその全体的な方向性を示すというのも一つのあり方なのかなと思うのですが、研究会としては何かできて、何をすればいいのだろうと思いながら今、いろいろ考えていたのですが、どうなのでしょうか。
漠然とした質問で済みません。
○阿部座長 まず、事務局からどうぞ。
○障害者雇用対策課長補佐 最初に漆原委員から御質問をいただいたものに、答え方がよくなかったと思ったので、その関係も含めてなのですが、どういう対応をとるのかという意味で、先ほど制度改正などと言ったわけですが、この研究会で、もうこの制度改正はこういう形で行くのだということでかっちり出さなければならないということでは必ずしもないと思っていまして、当然、制度改正を議論するには、最後に座長からも言っていただいたとおり、それを分科会につなげていって、分科会で議論して制度をつくっていくことになりますから、そういう意味では、優先順位をつけることは一つ重要ではあるかなと思いつつも、一方で長谷川委員からもおっしゃっていただいたとおり、基本のところからやっていくということもあるでしょうし、加えて最後、夏までということにおいても、この研究会の委員の皆さんで、11人全員で合意で、これで行きますというA案だけで行くということだけを、必ずしも出口だと考えていただく必要はないのかなと思っております。
したがって、両論併記ということもあるでしょうし、議論した上で、やはりこれは難しいということを結論として出すということもあると思いますし、何もこういう法律案で行きますというようなかっちりしたものだけが必ずしも出口ではないということを念のため申し上げておきたいと思っております。
○阿部座長 ありがとうございます。
余り私がここでどうこう言うのはどうかと思っているのですが、この研究会のタイトルが示すとおり、今後の障害者雇用促進制度のあり方ということで、当然、長谷川委員がおっしゃるとおり、一旦ここで今後の雇用促進制度をどのようにしていくのかというグランドデザインみたいなものも、描けるならば描いてもいい。ただ、それには相当の力わざも必要かなとも思っています。
きょうの午前中の審議会でも、ぜひグランドデザインを描いてくださいというお話もいただきましたから、できるならばそういうことをやっていきたいのですが、夏までにまとまるかどうかは、皆さんとも少し相談させていただきながら、ただ、べき論としては長谷川委員の言うとおりかなと。余り複雑な制度にしてしまうといけないので、一回ここで、これからどのようなことが起こり得るのかを議論した上でグラインドデザインを描く。そういった意味で、今も出てきましたけれども、地方の現状あるいは高齢化の現状はかなりすさまじい勢いで進んでいますので、これを考えないと、ちゃんとしたものはできないのかなとは思っています。
ただ、今の段階で余りぎちぎち、ここをやりましょう、あれをやりましょうと言うと、そちらの方向ばかりになってしまうので、どのようにしていくのかはできればもう少し、また後で皆さんと、栗原委員からお話があった非公式にでも何回かお集まりいただいて、議論させていただければと思っているところです。
その他、いかがでしょうか。
もしなければ、次の項目です。次が多様な働き方の支援についてということで、テレワーク等のあり方、在宅就業支援制度のあり方のあたりを御議論いただければと思います。
いかがでしょうか。
眞保委員、どうぞ。
○眞保委員 法政大学の眞保です。
テレワークについては、これから重要に考えていかなくてはいけないテーマだと思っております。
ただ、雇用管理の問題もすごく重要な問題だと思っていて、これは障害者に限らず、事業主の直接的な監督の目がなかなか行き届かない中で、能力開発についてどのような形にしていくのかも大切な問題だと思っていますので、これは少し時間のかかるテーマなのかなと思っています。
ただ、テレワークは必要で、これから精神障害者とか、先ほど地方の議論がありましたけれども、地方の方で、まだまだお力があるのに通勤のすべがないとか、そうした障害がある方はどうやらたくさんいらっしゃるようですので、そうした方に働く機会を広げていくという意味では非常に重要なものだと考えています。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、次に行きまして、中小企業における障害者雇用の推進についてです。
御意見があれば御発言ください。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 中小企業のところで、私の記憶だと、中小企業は福祉制度も併用できるようにしてほしいという要望というか意見があったかと思うのです。そのことを追加していただければと思ったのです。
そして、今のテレワークのところに戻りますけれども、日盲連として移動の支援のことを書いたのです。そこには移動支援システムとか、福祉制度を併用できるようにとか、移動という感じのキーワードが3つ出てくるのです。視覚障害者にとっては、通勤だとか移動は非常に重要な点でもあり、また働く上での要素なのです。それに、現実に働いていると、そういう福祉制度を使えないという制限がありますので、これもここに論点で入っているように、ぜひ深めていただきたいというか、例えば同行援護制度とか地域の移動支援事業というのが、福祉制度で移動に関して2つあるのですが、そういうことも使えるようにできないのかというあたりも、障害福祉のほうも交えて検討できるような場にしていただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 志賀です。
地域の就労支援のあり方に関する検討会が2回行われていて、最初が中小企業の中でハローワークであったりとか、なかぽつであったり、ジョブコーチであったりということで、2回目でなかぽつとジョブコーチ中心にとされておりますので、中小企業の問題とジョブコーチの問題は結構大きな、特に訪問型については関係するかなと思っております。
私も少しかかわっておりますけれども、機構で行われている以外の職場適応援助者の養成団体で修了している、びっしり丸6日間、実習も含めてということで、障害福祉の現場、私がふだんいる現場からすると、すごく充実したプログラムの研修なのですけれども、実際に修了された方で、職場適応援助者として稼働される方が非常に少ない現状がまだほとんど変わっていないですし、最近のニーズを受講者の方に聞いても、稼働されますかと言うと、例えば60~70人いても数人というのが現状なのです。
これは、養成をしてもなかなか、いわゆる事業所側としては運営がうまくできないというのがずっと変わらずにあるのだと思いますし、ジョブコーチとして受講された方も、そういった就労支援の現場、働く現場で障害者を支えたいという思いはあっても、なかなか業務で職業が成り立たない。さらには、その上のキャリアアップもないという問題は全然変わっていないのかなと思います。
この辺についてはニーズはありますし、もちろん人材であったり事業所の質といった問題、課題はたくさんあると思うのですけども、その辺は何らかのなかぽつの支援定着の話も含めてなのですが、少し稼働できるような形に、ジョブコーチの年間の実績も上がるようにしていかないと、結局、中小企業の雇用の実績も上がっていかないと思っておりますので、中小企業の問題だけではないのですけれども、ベースとしては中小企業の問題は非常に大きいと思いますので、ぜひ、ここら辺については議論を続けていただければと思っております。
○阿部座長 ありがとうございます。
眞保委員、どうぞ。
○眞保委員 法政大学の眞保です。
今、中小企業の問題と、ジョブコーチの養成の問題が志賀委員から出たわけですけれども、企業配置型ジョブコーチと、訪問型ジョブコーチと分かれている制度の中で、中小企業の雇用の促進に資するのはどちらなのかと考えますと、今は現実、実態的には企業配置型ジョブコーチ、かつての2号ジョブコーチになりますけれども、企業の中で御経験されていた方が、中小企業等の支援をされているほうが、実態であり、成果も期待できると考えております。
中小企業の方があえて訪問型ジョブコーチにつながるルートがなかなか難しい。それよりは、例えば地方であれば経営者協会などを通じて、既に雇用している、企業で御経験のある方を御紹介いただいて、それで支援しているという実態がありますので、訪問型ジョブコーチは実際に大変数多く養成されているわけですけれども、今後は、もう少し企業配置型ジョブコーチにも光を当てたほうがいいのではないか。中小企業の雇用促進と考えた場合は、私はそちらもあるのではないかと考えております。
○阿部座長 ありがとうございます。
栗原委員、何かございますか。
○栗原委員 栗原です。今のお話を伺っていまして、まず、ジョブコーチを設置したくてもなかなか受けられないというか、申し込みが多くすぐに定員がいっぱいになってしまうという話もよく伺うのです。
それでは、企業としてはどうして受けさせるのかというと、どちらかというと配置型ということで、そちらで勉強していただいた方に、中でもって指導してもらいたい。そのために受けさせたいということなのですが、それが最近、受けさせたくてもなかなか応募者が多くて受けられないという話をよく聞くのです。
それは別にしまして、ジョブコーチはある程度、経験がないと、資格を取ってもらっても余り効果はないのではないかと思います。ですから、ある程度企業で、障害者と一緒に仕事を3年、5年以上経験している方が、そこで新たにまた勉強していただいて、それでいろいろな知識を得てもらって、またそれを中に戻してもらうことが循環でできるのであれば、これは非常にいい制度なのですが、私は、ただ受けるだけではどうなのかなという気がしてしようがないのです。
○阿部座長 ありがとうございました。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 ジョブコーチというのは非常に切実な問題で、欲しい欲しいということはいつも聞かれて、ところが、実態はなかなかそれが充足していない。満足だという話は聞かないのです。
この前、ジョブコーチには大きく3つあるということを説明していただいたのです。これはまた改めて事務局から、それぞれのジョブコーチの養成の状況とか、実際どういうところに配置して、その稼働状況だとか、そういうことをお示ししていただきながら御議論できたらいいと思っています。
それから、中小企業を本気で支援していく必要があると思っているのです。昔、今から30年くらい前のことをよく知っているというか、たまたま職場復帰したところがそういうところだったものですから、当時は、障害者雇用を本当にたくさんしていたのは、まさに中小企業だったのです。
それが、その後、特例子会社をつくったりとか、除外率もそうですけれども、雇用率を引き上げるだけではなくて、納付金をたくさん出すようにして、それもどちらかというと、大企業のほうはそういうことを活用してどんどん障害者をたくさん雇用していった。その結果、今、中小企業のほうは非常に厳しい。数だけ見ると中小企業のほうが雇用率も未達成が多いわけです。
これはやはり、昔はこうではなかったということを思うと、何となく今までの雇用率と納付金だけでやる雇用政策でいいのかなという感じを持っているのです。
それで、日盲連の意見の中で、今、中小企業の実態がどうなのか、どのようなニーズがあるのかということを、中小企業といっても50人未満、100人未満、300人未満とか、恐らく規模によっても違うと思うのです。規模別の実態とニーズ調査みたいなことをやってほしいということを改めて要望というか意見として述べたいと思います。
ただ、これも先ほど来出ているように、こういうことをやって、これをまた報告にまとめてということになると、そんな簡単に行くのかなということもありますので、中長期的なとかいろいろな意見が出ていますけれども、いずれにしてもそういう検討をしていただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
これまでに、今、工藤委員がおっしゃったような中小企業に関しての障害者雇用の実態あるいはニーズを調査された資料はどうですか。
○障害者雇用対策課長補佐 独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構で、中小企業の雇用の実態とか課題について調査した調査資料といいますか報告書は、少なくとも何種類はあろうかと思います。
私自身も分科会か研究会か忘れましたけれども、どこかの段階でそうした資料も引用させていただいたこともありますので、そうしたところも必要に応じて整理して、また御報告するような機会も設けようとは思います。
○阿部座長 よろしくお願いいたします。
いろいろと御意見はありましたけれども、また戻ってまいりますので、福祉・医療・教育等の支援機関等との連携のあり方という観点から御意見があれば御発言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 たびたびで済みません。
前々から、この連携というところでは、医療と医療からの連携というところで、特に視覚障害にとっては眼科医と産業医の連携ということで事例を出してお話ししたことがあるのですが、連合さんのほうから御提起されていたように、産業医の役割も含めてもう少し広く、産業医も含めた連携のあり方ということをキーワードに、例えば障害者雇用に発達産業医の役割、産業保健スタッフの役割とか、そういうことでのヒアリングなり勉強会をぜひやってほしいと思いました。
とりあえずは以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 志賀です。
連携の問題は、個々の事例とか事業としての就労の問題もあるのですが、地方自治体で、障害福祉計画とか、障害者プランといった体制整備の会議に顔を出す機会があるのですけれども、雇用の分野の方がいらっしゃる場合もあるし、全くいない場合もあるので、なかなかその辺が実態としてはできていないのが現状で、障害福祉計画が最初に立ち上がるときとかも結構、地元の自治体でそういったのをやりましょうと頑張っていた記憶はあるのですけれども、なかなか続かないのが現状なのだと思います。
例えば自治体にあるハローワークの実績からどうだろうかというデータも出て検討されることも、全国的にはほとんどないと思いますし、自治体とハローワーク、地域がずれるという問題もあるのですけれども、マクロ的に、それぞれの福祉あるいは医療等を含めた計画の中にもなかなか入らないというのは非常に大きい問題なのかなと思います。
一方、自治体の中では、例えば精神障害の方、知的障害の方の働くためのセルフチェックのシートを自治体で共通で使いましょうとか、そういった形で事業主あるいは支援者もこういった方法を研修しながら学んでいきましょうということをやっているところもあります。
成功ではないですけれども、いろいろな連携で取り組みをやっているところもあるということで、この辺は地域の差はあると思いますけれども、実態としてはなかなかできていない。わずかな幾つかの取り組みがあるというところなので、この辺をもう少し調べてみないと、なかなか議論が進まないのかなと思います。
○阿部座長 ありがとうございました。
漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
今、工藤委員からもありましたが、我々としては地域に存在する多様な関係者による連携を通じて、職場環境の改善を推進いただければというところから発言をさせていただいておりました。産業医に限らず、職場の環境改善を実現していただける職種の方とうまく連携できればという思いはございます。
その連携のところで言えば、下から2つ目のポツの学校との連携について、学校を卒業して就職する際に、生徒がどういう障害を持っていて、どういう事業場だと能力を発揮できるか、などがうまくマッチングできるような、あるいはリハビリテーションも含めて支援できるような地域での連携があると、その後の就労をより長く継続できるのではないかと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○阿部座長 ありがとうございます。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。
最初のポツのところです。企業内において精神障害者等の適切な就労環境を整備するためには、産業医や精神保健福祉士、ジョブコーチの資格を有する者等であってと書いてあります。これは非常に重要な視点で、これからも大いに議論していくべきだと思います。
ただ、イギリス等では精神科医というより心理職の方、また精神科看護師等が活躍されておるようであります。日本でも幸い心理職、公認心理士という国家資格が制度化されているわけでありますから、そういうところも検討していったらいいのではないかと思います。
それから、ジョブコーチにつきましては今までいろいろ議論がありましたが、余り議論されていなかった点を申し上げますと、障害のある方を訓練することも非常に大事でありますけれども、環境整備ということになりますと、企業側に対する支援も非常に大事になっていくのではないか。
もう一点は、個人を変えていくことも大事でありますけれども、そうではなくマッチング、どのような職場がその人に適しているかということもジョブコーチの方が担っていただいたらいいのではないか。前々回、IPSモデルを提唱させていただきましたけれども、その就労スペシャリストという方は、本人を支援することも大事でありますけれども、半分以上は企業を探していくことがお仕事だと聞いておりますので、そういう視点も検討していくべきではないかと思います。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、もしまたあれば後で御発言いただくことにしまして、障害者雇用納付金制度及び雇用率制度について、7ページから9ページにかけてお願いしたいと思います。
まず、1つ目の障害者雇用納付金制度について御意見があればお願いします。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。
非常に共感を覚えることばかりで、反対する意見は全然ないような感じもするのですが、今、障害者納付金が1人毎月5万円ですか。これが少ないというのはそのとおりだなという感じも今、しております。
ただ、企業規模によってもそれは違ってくるのではないか。というのは、大会社と中小企業を同列にするのはどうなのかとか、これは全体的にそういう見方でないと、一律な見方というのはなかなか難しいのかなという感じもします。
それと、就労継続支援のA型を調整金・報奨金の対象から除外する。内容によって、そういうこともあり得るのかなと思っています。ですから、企業並みにちゃんとした訓練をしながら、表に就労実績も出せるという運営をしているところであれば、それは構わないと思うのですが、なかなかそうでないところも多いと伺っておりますので、そこに対して、いろいろな恩典が与えられていることは問題かなという感じがしておりますので、この辺も一つ検討の課題にはなるのではないかと思います。
○阿部座長 ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 長谷川です。
8ページの真ん中あたり、就労継続支援A型は、障害福祉報酬と調整金・報奨金の双方から支援措置を講じられている現状であることについては、私が全Aネットの方がいらっしゃっているときに発言した部分かと思うのですけれども、確かに制度上、両方得ているからといって、直ちにそれが不合理かというと、そこまでは言えないのかもしれないですけれども、この点でもう少し整理する必要があるのかと思っています。
そのときに、例えば調整金・報奨金の対象から外すといった場合に、単に外すだけということももちろんあり得るかと思うのですけれども、雇用率制度のほうにも絡んできますが、法定雇用率を算定するときに、実際に雇用されている障害者数などが分子に来ますね。そのときに、A型の人は今も入っていますね。
そうすると、就労継続支援Aの人は、そういう計算式にはもう入れないみたいな話になるのか、それとも法定雇用率を計算するときには入れていても制度上おかしくないということになるのか、そのあたりはどうなるのだろうと思ったのです。今すぐでなくても、検討課題なのかなとも思いますが、何か御意見というかお考えがあればお聞かせください。
○阿部座長 それでは、質問ですのでお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
少なくとも、おっしゃるとおり連動して考えるべき問題なのかなと思います。法定雇用率の算定式に入れるかどうか。当然それぞれの会社というか法人の実雇用率を出す上で利用者を入れるかどうか。納付金、調整金、報奨金の対象にするかどうか。結果としてそれぞれずれることはあるかもしれませんけれども、当然ばらばらに考えていいということではなくて、全体を考えた上で、結果としてそれぞれの趣旨に基づいて、ここは入れる、ここは入れないというのは当然起こり得ると思いますが、検討するならば、全体を考えるべき問題だと思っております。
○阿部座長 長谷川委員、どうぞ。
○長谷川委員 もしA型をこういう制度から外すとなると、法定雇用率以外にもどこか影響してくるところはありますか。
制度的にです。
○障害者雇用対策課長補佐 確認が必要ではありますけれども、基本的にはこの法定雇用率制度から外すときにどのような影響が出るかといえば、法定雇用率制度上においてのみ影響が出るということかと思いますが、当然、調整金・報奨金の対象から除外することになれば経営にも影響が出るとか、そういういろいろな影響は出るとは思います。
○長谷川委員 ありがとうございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
それでは、雇用率制度についても御議論いただければと思いますが、御意見があれば。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 除外率のところですけれども、これは単純に両論併記になっていますが、恐らく実際には、これはもうゼロ、廃止の方向でということは決定されていることなのです。ですから、これをしないことが硬直化とかいうことでは決してないと思うのです。むしろ、できるだけ早く、それから大阪のほうから参加した方が発言した中では、除外率の廃止の方向に向けてスケジュール感を出してほしいということも出ていましたし、明記してもいいのではないかと思いました。
除外率については、多分これがなくなることで、雇用は進むと思うのです。そして、除外率について廃止することにはということで若干異論を唱えたのが、障害者雇用支援協会、SACECさんだと思うのですが、SACECさんが特例子会社の連絡会の事務局をやっていて、その中でも、企業の間でも除外率にしては不公平感があるというのを漏れ聞いたりしておりますので、ここはスケジュール感を持って、廃止の方向で検討するということを私の意見として述べておきたいと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
ほかはいかがですか。
それでは、その他について9ページに3点ほど挙がっておりますけれども、いかがでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日盲連の工藤です。
ここは日盲連がお願いしたことがほとんど入っているということで、ありがとうございました。
この中で、難病者と視覚障害者は非常に似た状況があるのです。そういう意味では、難病の人も雇用率にカウントできるようにということは、ぜひこうなってほしいと思っています。
視覚障害者の中でも、眼瞼けいれんだとか羞明が強いということで、実質、目が使えない眼球使用困難症という病名が、これは括弧つきですけれどもそういうものもあるくらいで、実際は視覚障害者とほとんど変わりない。したがって、手帳に該当しないので福祉制度も使えないのです。
そういう方を救うために、雇用率にカウントしてもいいような、それをどういうところでお墨つきを与えるかといったときに、医師の意見書またはそれを証明するに足るような何かをお示しできるような形になればいいなと思っています。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
それでは、全体を通して、どの点からでも結構ですので、何かお気づきの点があれば御意見をいただければと思います。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 2つほど、最初に特別対策という話をしましたけれども、例えば地域格差とも関係あるのですが、地域の中にそういう資源というか支援の体制が弱いのであれば、アウトリーチというか、出向いていって支援するという仕組みも、どこかのところで検討の課題にしていただければと思います。
それから、連携のところでは、地域の中での連携、いろいろな機関が連携するために、ある意味では共通言語的な、その人にとってのキャリアシートみたいなものも、もう既にあるかもしれないですね。そういうことを活用する。そのときに、それぞれのところの、どういう人がキーパーソンになるかというのは非常に大事な点だと思うのです。そういうことも、その中で御検討していただく。
それから、これは雇用ですので、ハローワークの役割は非常に重要だと思うのです。最終的なところでは、ハローワークが雇用に責任を負う。それを具体的にいろいろな面でサポートしたりというところでは、いろいろな関係機関が周りを取り囲むことになると思うのです。
そのときに、今、地域の中でいろいろな障害者計画だとか、今度は第5次の計画に進められていますので、ハローワークがそういうところに出向いていって、顔を見せる。顔つなぎになる。ハローワークの役割は、何もハローワークで来るのを待っているだけではなくて、企業に出向くのはもちろんですけれども、地域の中に出ていって、そういうことも連携の中では大事なポイントではないかと思っています。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
その他、いかがですか。
志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 志賀です。
この研究課のテーマなのかどうなのかはわからないのですけれども、障害者雇用で最後に、いわゆる公務員並びに公務部門で働く障害者の問題が出ておりました。他機関との連携の話にもなるのですが、公務部門で働く障害者がふえていることはすごくありがたくて、やはり精神障害、知的障害の方は労働条件が有期限であったりとかいろいろな問題はありますが、そういった場があることはすごくありがたいです。
今、地域の虐待防止の関係で、相談として上がってくる件数が出てくるのですが、いわゆる使用者の虐待から官公庁が外れているので対象にならない、カウントされないですし、どこでどのように解決するかというスキームが今はないのです。
障害者雇用の議論を広くというのでしたら、その辺のところも少し考えないと、公務員の方とはちょっと違う環境のような気がしますので、定着支援の中での本人の権利の話ですけれども、その辺もすごく大切な問題ですので、ここで議論するという話ではないかもいれないですけれども、定着支援の中の一環としてはある問題かなと思っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
本條委員、どうぞ。
○本條委員 ここには記載のない事項なのですけれども、障害があることによって労働能力がないということで、最低賃金を下回って雇用という減免制度というのがあると思うのですけれども、その制度の御説明をお願いします。
○阿部座長 お願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
所管ではないので正確な説明ではないかもしれませんが、最低賃金法において、本来であれば都道府県ごとに最低賃金の額が決められるという手続になっているわけですが、障害がある方については、その障害によって能力が低いということを事業主の方が申請された場合に、手続的に申し上げれば、監督署が出向いて確認の上で減免の割合を決定して、その額での賃金を認めていという制度はあろうかと思います。
○本條委員 そういうことも議論していただきたい。障害者差別に抵触するというか、私はそのようにも思うのです。
もちろん、雇ってくださる方を責めるのではなくて、恐らく零細なところとかが多いと思いますので、それに対する支援をしていけば雇用が進むのではないかと思いますので、論点に入れていただいたらどうかと思います。
○阿部座長 事務局と相談させていただいて、議論することは構わないと思うのですが、ただ法律の所管が多分違うと思いますので、審議会に上げたときにも、そこで議論できるかどうかも、ちょっと調整が必要かもしれません。
ありがとうございます。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日盲連の工藤です。
公務員の関係ですけれども、公務員も財源を確保して、民間並みの支援をということ。本当にそうなってほしいと思います。
国家公務員、地方公務員に分かれますけれども、地方公務員の場合は総務省が中心になっているわけです。それを束ねている。それから、その脇には今、内閣府がありますので、そういったときに、例えば機器を用意しないといけない。視覚障害者の場合は拡大読書器であるとか、なかなか実際は用意してもらえないということがあるわけです。
今、差別禁止・合理的配慮が義務づけられていますので、そういうことをお願いしても、すぐには対応してもらえない。
今、民間の場合には機構の貸出制度とか、納付金制度の助成金で整備できるわけなのですが、合理的配慮はもう義務化はされているわけです。そういったときに、待ってくださいということのないように、総務省と雇用の大もとである雇用促進法の厚労省と早急にそういうところを詰めて、経過措置でもいいので、民間のそういう制度が使えないのかどうかということをどこにどうすればいいのか。厚労省と総務省、それから内閣府で公務員対策をぜひ話し合っていただきたいということが一つです。
それから、実際に差別を受けたり、いじめられたりしているという相談も公務員から受けるのです。その公務員も正職員の場合と非正規職員の場合もあるのです。身分は非正規であっても、国、地方公務員は公的な仕事を担っているわけですから、一応、雇用保険だとかは掛けている人もいるし、共済組合の人もいる。そういったときに、どこに相談すればいいのかがはっきりしないのです。
監督署に行って相談しなさいと言うと、公務員だからということで、うちではないですねと言われたり、そういうときの訴えを聞いてもらえるところがどこなのか。そういうことが、どこかで論点としてあったかもしれないですね。合理的配慮だとか差別禁止、差別を受けたときの相談機関だとか、その辺のところで公務員の場合、あるのかもしれないのですが、私が知らないだけかもしれませんけれども、そういう問題があるということをぜひ知っておいていただいて、それを解決するにはこうすればいいのだということを、回答なりを今後いただければと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
現段階で何かありますか。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
おっしゃるような御意見はよくいただいているところですが、これも縦割りというわけではないのですが、所管が総務省でございますし、国家公務員自体は労働基準法の適用対象でもありませんので、そういったところも含めて、総務省にも話は伝えた上で、今後の対応は考えたいと思います。
○阿部座長 ほかはいかがでしょうか。
栗原委員、どうぞ。
○栗原委員 栗原です。 先ほど本條委員に言われた減額申請の件なのですが、私なりの意見で申しわけないのですが、最初から、例えば雇用されるときに減額を申請される方もいます。当然のことながら、これは問題だと思います。
ただ、ある程度、10年、20年、30年して体力的なものが落ちてきたときに、企業が持ちこたえられなくなるというか、福祉のほうにふれるときに、それができれば、それが有効な手段にもなると私は思います。
問題なのはA型のほうで、補助があるのに、減額申請をして通るというのは問題だと思っています。
一概に減額申請が悪いというのはちょっとどうなのかなということを思いました。
○阿部座長 ありがとうございます。
この点は、議論はしていいのではないかと思っていますので、またいろいろと御意見を御開陳いただければと思います。
漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
今の最低賃金についてですが、最低賃金法の改正については労働政策審議会ではなく、中央最低賃金審議会が厚労省の中にありますので、議論としてはそこが実施主体になるのかなと思います。確かに言われてみますと、減額制度の導入が決まったときにはまだ差別解消法はなかったと思いますので、ここで議論するのかどうかはともかくとして、改めて最低賃金の分野で議論をしてはどうかという提起はあるのかなと思いますし、今、栗原委員のほうから話がありましたが、高齢になって体力が低下してきたときの議論もあると思います。高齢化と賃金の減額については、なかなか複雑なところはございますので、長い時間をかけて議論をしないとなかなか難しいかなと思っているところでございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。
きょう、これでまとめるというわけでもございませんので、この後、またいろいろと皆さんと論点について御議論していきたいと思っておるところです。
何か言い残したことがあれば御発言いただいて結構なのですが、よろしいでしょうか。
それでは、本日はこのあたりで終了させていただきたいと思います。
また、きょういただいた御意見を踏まえて、事務局と相談をして、次回以降、具体的な議論につながるようにさせていただきたいと思っているところです。
それでは、次回の日程について、事務局より説明をお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
今年はありがとうございました。
第7回については来年の実施となりますが、日時、場所については改めて御連絡いたしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、これをもちまして本日の研究会は終了させていただきます。本日は年末のお忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。