第5回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事)

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

日時

平成29年11月24日(金)13:30~16:30

場所

厚生労働省共用第7会議室(6階)
(東京都千代田区霞ヶ関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)

議事

○阿部座長 それでは、ただいまから、第5回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催したいと思います。
まず、本日欠席の委員ですが、加賀委員、栗原委員、塩野委員、長谷川委員となっております。
それでは、早速議事に入りたいと思います。
まず、事務局から本日の進め方を説明してください。
○障害者雇用対策課長 事務局でございます。
今回も、前回から引き続いて、関係の方々からのヒアリングということで、本日、議事次第に書いてございます5つの団体様より、この順序で御発表いただきます。その上で、各団体様からのヒアリングごとに、事実関係の確認等につきまして、質疑の時間を5分から10分程度とりたいと考えております。
各団体様からの発表、質疑が一通り終わりましたら、最後に全体を踏まえた質疑応答を行うことといたします。各団体の皆様方には、御提出いただいた発表の様式に沿って御発表いただければと思います。
なお、各団体様にお願いしたいことでございますけれども、発表後の意見交換の時間を十分に確保し、よりよい議論にいたしたいと考えておりますので、発表時間は各団体様15分以内ということでお願いいたします。
なお、この点に関しまして、御説明時間が10分経過した時点で、事務局の者がベルを1回鳴らします。また、15分経過した時点で、ベルを2回鳴らしますので、その場合には、恐縮でございますけれども、時間いっぱいということで速やかに意見をまとめていただきますようお願いいたします。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
先ほど、私、御案内するのを失念してしまいましたが、久保委員が途中で退席されるということですので、御了解ください。
それでは、議事次第の順に、まず社会福祉法人日本身体障害者団体連合会理事 中原義隆様より御発表をお願いします。よろしくお願いいたします。
○中原氏 ただいま御紹介いただきました、私、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会の理事をしております中原と申します。所属は、福岡市身体障害者福祉協会の会長をしております。今回、こういう席に初めて出席させていただきますので、流れがよく理解できておりませんけれども、発表させていただきたいと思います。
私どもの協会は、全国に65団体の当事者団体がございまして、加盟団体としましては、市町村の1,400団体を抱えております。よろしくお願いします。
それでは、限られた時間でございますので、お手元にお配りしております、私どもからの書類に目を通していただきたいと思います。
論点1につきまして、とるべき対応、方向性は、ここに書いておりますように、可能であれば、雇用率算定のための企業報告に男女別、勤務地別の資料なども組み込めるようにしていただきたいということ。これは、特に女性問題でございますけれども、今、男女別と分かれておりますけれども、女性の雇用の方向性がなかなか見えてこないのがはっきりしておるところでございますし、障害者権利条約第6条にも、特に女性のことについてしっかり明記してありますので、ぜひここをもっとお願いしたいなと思っております。
それから、複合的なニーズのある女性障害者の雇用の促進についてということで、これは特に女性にかかわるいろいろなバリアの問題を払拭して、働きやすい環境にしていただければと、促進をお願いしたいところでございます。
続きまして、論点2でございますけれども、これもとるべき対応、それから対応の方向性ということで、加齢により、それまでの就労形態から、30時間を切ることがあったとしてもカウントは1として継続し、働きやすい環境を整えてくださいということでございます。障害者の就労の中で、加齢に伴う問題は大きな問題であろうかと思っておりますし、健常者と違うところは、ここでございます。
それから、企業内で、容易に相談できる仕組みをつくり、合理的配慮の提供について周知するとともに、合理的配慮の提供自体が、働きやすい環境をつくることであるという認識を関係者に持ってもらうことが必要であるということでございます。これも先ほどのものと同じように、こういう合理的配慮の提供についてということをしっかり御理解いただきながら、それを周知していただければなと思っておるところでございます。
それから、論点3、ICT技術の発展に伴いというところでございます。これも対応、方向性としまして、テレワークに我々は非常に着眼しておるところでございまして、何が問題かということがございますけれども、セキュリティの充実をしっかりしていただければなと思っております。このテレワークにつきましても、障害者雇用の好事例を発信していただいて、これに期待するところが非常に多うございますので、働く場所、働き方、その内容をもっと明確にして、いろいろな条件下で働けるような仕組みにしていただければと望んでいるところでございます。
それから、論点4、中小企業の問題でございます。これも、とるべき対応、対応の方向性ということで、我々が特に望んでいるところは、従業員の障害及び障害者理解、そして合理的配慮に関する理解とその活用の促進というところでございます。働く中で、どれだけ周りを含めて、障害を持っている我々を理解していただくか。そして、どれだけの合理的配慮を提供していただく。そして、働きやすい職場になるかということを大きく期待するところであります。
次に、障害者雇用の経験のない企業に対して、実習の受け入れ支援や障害者雇用に関する研修、障害者雇用に取り組んでいる企業の好事例に関する情報が共有できるようにする必要があるとしていただければ、こうすれば働きやすい、また働ける条件になっていくのかなと、企業の方も障害者とのかかわり方が非常にわかりにくいところがあろうと思いますので、好事例の情報を共有しながら働く環境を改善していただければなと思っておるところでございます。
それから、論点5でございます。これもとるべき対応でございますが、障害の特性及び個別的な環境に基づき、一律ではない支援が必要になろうかなと思っております。直接ハローワークでの登録に基づく就労もありますが、さまざまな関係機関の連携が求められて就労の実現になる場合も多くあるところでございます。情報が本当に必要かなと思っておるところです。
最後でございますけれども、論点6です。これもとるべき対応としまして、雇用率算定のための企業報告に、先ほどもございましたけれども、男女別、あと、勤務地別の資料なども組み込んで課題の分析を行えるようにしていただきたい。これは、地域差がこの就労については相当出ますので、その地域に根ざした雇用体系を特に考えていただければなと思っております。
あとは、障害者雇用に関する助成制度、これも地域差によって多少違ってくるかと思いますけれども、行政の窓口、就労関係機関が必要な場合には企業などにわかりやすく説明し、その活用につなげるように。就労に関しては、情報が一番大事でありまして、働く場、それから企業側との、障害者に対する就労だけではございませんで、障害者とどう向き合えばいいか、障害者の方はどんな仕事ができるのか。また、ただの雇用率の数字の埋め方だけではなくて、人材として障害者の方々がどれだけ企業の中で位置を占めるのかということを企業の方もよく御理解いただければ、雇用は非常に広がってくるのではなかろうかと思っております。
私は、以前、ある企業に行ったときに、障害を持っている方でもその人に能力があれば役職になっていく。往々にして、雇用するほうはほとんど健常者の方、そして雇用されるほうは障害者の方という一つの壁が以前はあったのですけれども、能力があればどんどん管理職にしていくというのが本当に障害者雇用の目指すところではなかろうかと思っておるところでございます。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
最後にまとめて質疑の時間をとっておりますが、ただいまの御発表につきまして、事実関係の確認などありましたら、挙手をお願いしたいと思います。
なお、いつもと同じですけれども、発言の際は必ず最初にお名前をおっしゃってから御発言いただきたいと思います。
それでは、いかがでしょうか。
漆原委員、どうぞ。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
論点3のICT技術の点について、ちょっと御質問させていただきたいと思います。筋ジスの方の長期入院中の障害者の件ですけれども、これは病院内に執務スペースを設けるような対応というお考えなのか、あるいは個々のベッドでというお考えなのかということが1点と。
とるべき対応の移動支援システムの構築という記載があるのですけれども、どういった形のシステムを想定されているのか、お伺いできればと思います。
よろしくお願いいたします。
○阿部座長 では、お願いします。
○中原氏 長期入院中の重度障害者の方でも働ける機会持てるような制度、システムということですね。
これは、障害者の特に重度の方で就労するということになりますと、いろいろな場面が想定されると思います。長期入院中の重度障害者の方も働く機会を持つということは、病院の中というのは少し困難かなと思っております。そこのところは、働く障害者の方とのコミュニケーションがどういった流れにすればとれるかというのは、研究課題があるかなと思っております。
あと、論点3の移動ですかね。
○漆原委員 とるべき対応、今後の。
○中原氏 必要な場合には、移動支援のシステムの構築が求められている。あとはセキュリティの問題ですけれども、勤務する場合には、会社や顧問との打ち合わせを可能にするテレビ電話などの活用。そして、必要な場合には移動支援のシステムの構築が求められる。移動支援システムの構築といいますと、移動というのは、どうしても就労には欠かせないものがございますので、移動のシステムをどう構築していけばいいかということは、これもまだ課題になろうかと思います。
このテレワークに限らず、就労するということの中では、移動支援システムが大きな課題かなと思っておる。これは、みんな共通するところでございます。これも、具体的にはまだこれがいいというものは考えておりませんけれども、ここもちょっと研究課題かなと思っております。
○阿部座長 そのほか、いかがですか。
では、本條委員。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。
2点ほど御質問したいと思います。論点2と論点3、1点ずつ質問したいと思います。
論点2のほうは、とるべき対応、対応の方向性等について、加齢により、それまでの就労形態から30時間を切ることがあったとしてもと書いてあるわけでありますけれども、これは、あくまでもそれまで30時間以上働いていた人が、加齢等によって働きにくくなって、30時間を切ることがあっても、従来どおり1としてカウントする。文字どおり読めば、そういうように捉えられるわけでありますけれども、それも含めて、30時間を切る、例えば25時間とか26時間であっても、短時間就労もある程度の時間であれば1とするという御意見なのか、ちょっと御確認したいと思います。
2点目は、先ほどの質問ともかかわりますけれども、論点3のとるべき対応の方向性の1行目から、会社や顧問との打ち合わせを可能にするテレビ電話などの活用。これは、非常にいいことだと思うのですけれども、この場合の職場は、例えば自宅、在宅勤務なども含まれるのかどうかという2点、御質問したいと思います。
○阿部座長 では、お願いします。
○中原氏 加齢により、それまでの就労形態から、30時間を切ることがあったとしてもカウント1として継続。今、御質問のありましたとおりでございまして、そのような形にして、働きやすい環境を整えていただいたら、高齢になっても、もっと働きやすい職場になるかなという思いでございます。
そして、論点3の部分でございますけれども、これも御質問のとおりでございまして、会社や顧客との打ち合わせを可能にするテレビ電話などを活用し、必要な場合には。そのとおりでございます。これは、自宅でも働けるような環境にということでございます。
○阿部座長 多分、本條委員が御質問になっている趣旨は、会社でテレビ会議を利用して、顧客あるいは同僚との打ち合わせをということを念頭に置かれて、質問としては、自宅で在宅勤務の際にも、そういったテレビ会議システムを利用可能にしたいのかということだったと思うのですが。
○中原氏 そうです。
○阿部座長 本條委員、そもそも中原さんが言おうとしているのは、テレワークにおいてなので、在宅勤務中にテレビ会議システムを利用したいということだったろうと思います。それでよろしいでしょうか。
○本條委員 それだったら結構です。
○阿部座長 それから、最初の質問で、30時間のところですけれども、もともと30時間の人が加齢によって短くなった場合ということなのか、そもそも短時間だった人も1カウントにするのか。そのあたりはどっちかという、それはどうなのかという御質問の意味だと思います。
○中原氏 加齢が原因でということで。
○阿部座長 なので、もともと30時間以上の方だけを対象に1カウントするのか、ある年齢を越えると、もともと短時間勤務の人も1カウントにするのか、どちらなのかということだと思います。
○中原氏 これは、もともと30時間を超えた方ですね。
○阿部座長 本條委員、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それ以外でいかがでしょうか。
それでは、私も1点だけお伺いしたいのですが、論点3のとるべき対応の3つ目の部分で、自営する場合には、顧客からの仕事を得るための営業活動、機器やソフトのバージョンアップなど、そして顧客との打ち合わせや業務終了後の企業情報の廃棄などを1人で行うことは極めて困難という部分ですが、この極めて困難なのは、障害があるゆえに困難なのか、それともそうではなくて困難なのか。障害の有無による困難なのかどうなのかというのを少しお聞きしたいのです。もし障害があって、こういうことが困難だというのであれば、どういうケースが当てはまるのかというのをお聞きしたいということです。
○中原氏 もともと障害を持って自営する場合は、我々の経験からしますと、若いときはもちろん体が動いて、いろいろな機能があれするのですけれども、ある程度の年齢が来ますと、そこがなかなかうまくいきません。例えば営業活動、機器やソフトバージョンアップなどがうまく使えるうちはよろしいのですけれども、それではうまく機能しなくなってきますと、1人でいろいろなことを行うことが極めて困難になっていく可能性がありますね。まず、体力の低下というのが、障害を持っていれば非常に早く進んでくるし、そういうことをここで明記しているのです。
○阿部座長 済みません、私自身も加齢によって、こういったことが困難になりつつあるので、障害のある方がどのあたりが違うのかなと思っているところです。
○中原氏 障害の進み方が。
○阿部座長 早いということですね。わかりました。ありがとうございました。
その他、いかがですか。なければ、最後にまた御質問の時間をまとめてとりたいと思いますので、ありがとうございました。
続きまして、一般社団法人障害者雇用企業支援協会専務理事 畠山千蔭様より発表をお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○畠山氏 一般社団法人障害者雇用企業支援協会の畠山でございます。よろしくお願いいたします。
今回、お出ししております資料の現状認識並びに意見につきましては、企業から承ったさまざまな考えをかねてから整理してきたものでありまして、いわばパブリックオピニオンとも考えられるものであります。時間の関係で、以下、特に御説明したい項目の要点のみを申し上げますので、趣旨の詳細につきましては、本文を十分お読みいただければありがたく存じます。
まず、論点1でございますが、1つは、障害者雇用に関し、その意義について一段の重要視を求めます。
総論的に申し上げますと、障害者も社会的弱者とされる1人でありますが、ほとんどが終生ハンディキャップと相対さなければならない立場でありまして、同じ弱者であっても脱却する可能性を持つ者に比べますと、より強い社会的支援があることで、初めてそれとバランスすると考えることには合理性があると考えます。
障害者の自立、自活の提供の主役である民間企業が、より一層雇用しやすさを感じることが必要であり、昨今の急速な法定雇用率上昇に対応する中で追随の意欲を失い、万一にも雇用納付金の負担によって状況を糊塗するような傾向を生じないようにすべきであります。
2つ目としまして、公務部門での知的・精神障害者の無期限雇用契約の実現~率先垂範をぜひお願いしたいということですが、この点については、趣旨につきましては本文をごらんいただきたいと存じます。
それから、論点2でございます。障害者を包括した人事管理制度の確立についてでございます。
民間企業にとどまらず、あらゆるセクターにおいて障害者を包括して、障害の有無にかかわらない公正な基準のもと、投入された労力と成果とを正確に把握し、正当に処遇に反映させる制度の確立を官民で努力する必要があります。
2つ目としまして、精神障害者保健福祉手帳による管理制度の改善でございます。
精神保健福祉手帳による管理方式は、その所持が疾患状況を示すものではなく、また労働能力の程度と方向性や、持続可能性等、労働適性を保証するものでもないことから、本来疾患の判定機能を持たない企業の人事担当者自身が判断しなければならないことについて、企業の不満があることのみ、ここで申し上げておきます。
それから、3つ目といたしまして、精神障害者のカウントの取り扱いの改定でございます。
ほかの方からも同じ趣旨の意見が出されているようですので、ここでは、企業にとって、短時間勤務が雇用管理面での負担軽減を意味するものでは全くないということを申し上げておきます。
4つ目といたしまして、定着あるいは雇用維持のための雇用カウントの措置についてでございます。
これも認識の趣旨は、既にほかの方からも提起されているようでありまして、一定以上の年齢または定置(勤続)度である該当者について雇用カウントを2分の1としない措置を求める。すなわち、1から0.5とか、あるいは重度の場合、2から1ということをしない措置を求めるという意見のみ申し上げたいと思います。
5番目としましては、長期継続雇用事業主に対するインセンティブの付与でございますが、本件については本文のとおりでございます。
6番目としまして、療育手帳に関する程度区分等の全国的統一ということでございますが、これも本文のとおりでございます。
7番目としまして、障害者職業センターの職業評価の活用度を高めるということでございます。
精神保健福祉手帳が労働適性を示すものではないことが避けられないのであれば、障害者職業センターでの職業評価にその機能を期待いたします。これは、精神障害者について、重度判定を求めるというものではなくして、知的障害者に対すると同様に、検査によって判定される労働能力の特性を助言することであります。
精神障害者につきましては、本人の同意によって提出される主治医の診断書に加えまして、障害者職業センターにおける職業評価により企業に職業能力特性の情報を供給することで、本人の就労に寄与する仕組みを求めたいと思います。
8番目でございますが、障害者雇用における定着調査制度の創設でございます。
精神障害者雇用の進展に対する最大の阻害要因は、日課業務処理面での安定性と出退勤、継続勤務面での定着性への不安であります。定着実態につきまして、もっと徹底した調査が定期的に行われることで、企業は少なくとも現状に比べて定着性の実態を知り、対策の焦点を絞ることも可能となることが期待できます。実態確認に有効な調査手法といたしまして、例えば勤務事業所の創立後期間を反映しかねない勤続年数の調査ではなく、退職者について在籍期間と退職理由及び障害区分を把握するという定期調査を求めたいと思います。
9番目でございますが、雇用機会拡大と均等化を目指すための職業紹介状況の毎月公表、離職統計の新設等でございます。
今後は、雇用機会の多寡に応じた労働力移動、企業が地方の事業所を活用した雇用を進めること、及び論点3の在宅勤務重視の各措置を進めることが必要と考えられますが、そのためには、地域別に細分化され、頻度を高めた求職・求人情報の提供が求められます。
職業紹介状況が地域別に毎月公表されること、離職統計の新設、就職数、離職数とも人数表示とすることなど、企業の障害者雇用戦略資料としての価値を高めることと、労働力移動に備えたグループホーム等、施設の充実などの対策への助成充実を求めるということであります。
論点3でございます。在宅勤務をさらに有効活用するということです。通勤が困難な障害者の就労形態というイメージが先行している在宅勤務を、地域的な雇用機会の多少に対応する見地から、全ての障害者が対象の就労形態の一つと位置づけることによって、就労機会の均等化を期待し、その進展のために、少なくとも当初の体制構築に要する費用を助成することが望まれます。
論点4でございますが、小規模事業所が雇用を進めやすくするための方策でございます。
小規模事業主が受け入れやすい雇用の仕組みを開発するとともに、行政が単なる要請にとどまらず、訪問と対話によって個別事情を把握し、最適な支援策を処方するなどの努力を求めます。
論点5でございますが、雇用側の立場での精神疾患判定等に関する助言体制(精神科医及びPSW)等の整備でございます。
さきに述べましたように、精神障害者の労働適性については、手帳の記載からの情報取得は困難でございまして、全て企業の責任において判断を求められており、多くの企業が精神科医を主治医の立場だけではなく、産業医もしくは嘱託医として企業側に立った意見を与えられる体制、少なくとも精神保健福祉士(PSW)が助言する体制を求めております。
少なくとも全ての企業が、単独もしくは共同で委嘱(雇用)し得る規模の精神科医及びPSWの養成が急務と考えますとともに、当面の策として、公的に委嘱した医師及びPSWのチームを障害者職業センターに配置して、企業の相談に対応するなどの体制整備を求めます。
2番目としまして、雇用間、雇用~福祉等状況に応じた転身を可能とする体制構築。
企業は従業員の定着を第一義として適職を考慮する努力を行いますが、自社内においては限界に達する場合、有志の就労支援機関が仲立ちをしまして、適職または福祉支援への移動をあっせんする事例も見られます。これは、適切な生活機会の獲得のためにシステム化されるべきではないかと思います。
就労・定着支援機関にハローワークへの報告を伴う転身あっせんの公的な立場を併設することと、企業自身が自己の転身者に限定するなど厳格な制約のもとで就労継続支援A型事業所を経営し、職業生活からの緩やかなリタイアを果たす方式が求められます。
論点6でございます。法定雇用率算出方式を基本的に見直す必要はないかということ。
算式の分子について、雇用成果が法定雇用率を押し上げること。労働可能性が未知数でアンコントローラブルな求職者増が上昇要因である点、公的な給付により経営され、事業会社とは異質のA型事業所の就労人数が算入される点への違和感が強いので、現行方式の継続のみが選択肢かどうか、重要課題であると考えます。
2として、法定雇用率算定式の数値はもっと詳細に開示されるべきではないか。
他者に何らかの行為を要請する場合、できる限り背景事情を説明し、根拠データを開陳することは社会的な常識であります。政府の基本方針が国民に対する情報の丁寧な説明という点にあると考えられる今日、企業が仮にも算出根拠に疑問を持つようなことがあってはならないので、詳細な開示により、関係者の理解、共感と納得を得ての推進が行政目的の遂行にとって重要と思われます。
3として、除外率制度の今後の進め方について。
これまでの縮小により非対象とされた業種と比較しまして、現状の適応業種は相対的に適用の効果と影響度は高く、次第に上昇する法定雇用率への対処のためもあって、制度適用の有無が深刻な問題となっていることについて、雇用意欲維持の観点から慎重な対処が必要と考えます。
4として、助成金制度の改善。
項目統合と雇用保険二事業への移管によってわかりにくさが増し、全ての事業主が負担し、総合的な雇用安定等に資することを目的とする雇用保険二事業と、障害者雇用に特化した納付金制度と助成金制度を二重構造にしなければならない積極的理由についての疑問があります。
特別法である障害者雇用促進法に規定を集中一本化し、必要な場合、雇用保険二事業が納付金会計を支援するといったことが、理解と活用を容易にする本質的な整備ではないかと考えます。
5としまして、助成金支給期間の極力延長について。
付加価値創出面で厳しい傾向を持つ特例子会社では、受給の終了が経営上、極めて大きい影響を与えることを考慮し、より長期に平準化された支給方式が考えられるべきであります。
6番目として、助成金を伴わないトライアル雇用制度の併設。
この制度への企業の最大の評価理由は、障害者のパフォーマンス理解と力量把握にとって極めて的を射た仕組みであるということです。公的な金銭給付に厳格な規制が伴うのは当然ですが、それが仕組みの利用を制約し、企業にとって使いにくさを感じることになってしまうという意見に対処する必要があります。仕組みと奨励金のセットが崩せないという理由のために、企業に最も有効と受けとめられている支援措置の申請敬遠に追いやってはならないのであって、助成金を伴わず、仕組みの活用のみとして利用上の制約を少なくしたトライアル雇用制度を併設すべきであります。
7としまして、助成金の継続雇用要件の明示。
企業には、障害者雇用において労働能力確認という不可避な過程がありまして、通常一定期間を有効雇用契約で対処しますが、多くの助成金支給に継続雇用要件があり、対象労働者の年齢が65歳以上に達するまで継続して雇用することが確実と説明されています。
雇用当初の有期契約という外形的条件が助成金申請手続上、排除されないと明示される必要があります。
最後に、特例子会社の事業基盤強化及び障害者福祉事業への支援。
特例子会社に共通する条件は、高度な生産性や付加価値を実現することが困難なのに対し、雇用上の配慮に必要な財的負担を免れず、株式会社の最大要件たる利潤の確保について、多くの場合、維持拡大に困難を感じている。
特例子会社の経営に基本的な責任を有する親会社及び同系列グループ各社の努力だけではなく、支配関係のない同系列、または異なる資本系列下企業からの特例子会社に対する業務発注へのメリットを与えることで、特例子会社の商圏、業容拡大、経営の安定を図り、障害者雇用を推進させるべきであります。
以上、要点のみの御説明となりましたが、それぞれの事項につきましては、詳細について、お手元の資料をお読みいただければ幸いです。
ありがとうございました。
○阿部座長 ありがとうございました。
ただいまの発表につきまして、事実関係の確認など、ございましたら挙手をお願いいたします。
では、漆原委員、お願いします。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
論点5の1の精神科医及びPSWのところのとるべき対応のところについて、ちょっと質問させていただければと思います。
精神科医とPSWの養成というところですけれども、単独もしくは共同で嘱託し得る規模の養成というと、時間的にはかなり長い期間を要すると思うのですけれども、タイムテーブルというか、スケジュールはどのぐらいの期間をお考えでしょうか。
○阿部座長 では、お願いします。
○丹下氏 障害者雇用企業支援協会の丹下でございます。お答えいたします。
特に医師の養成は非常に中長期的な計画のもとに行われなければならないと思います。現在、統計によりますと、精神科医は全国で1万五、六千人いらっしゃると思いますけれども、それを何人ぐらいの規模にするのが妥当であるか、その検討から始めなければならないと思います。従って企業が直面している現状には、なかなか急には追いつきませんので、当面の措置として例えばと述べた対応の考えがあると理解いただきたいと思います。
○阿部座長 よろしいですか。
その他、いかがでしょうか。
では、特段なければ、最後にまとめて御質問等、承りたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、一般社団法人日本経済団体連合会労働政策本部副本部長 遠藤和夫様より御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○遠藤氏 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。経団連としての考え方を資料1-3に基づいて御説明させていただければと存じます。お時間の制約がございますので、団体概要については省略させていただければと思います。
2ページです。論点1、障害者雇用の現状について、どのように評価することができるかということです。
現状認識につきましては、データをなぞるような形で、雇用障害者数は13年連続過去最高を更新し、実雇用率も5年連続で過去最高を更新しています。一方で、法定雇用率の達成企業割合は48.8%、過半数にとどかないという現状です。そういった中で、2018年4月より段階的に、過去最大の引き上げが予定されています。
具体的には、2018年4月以降、2.2%、さらには2.3%という高次元の雇用率達成が求められることになります。障害者雇用を牽引してきた大手企業、とりわけ従業員規模が1万人を超える企業からは、現行の実雇用率の水準を維持することさえ難しいといった声さえ出ています。民間企業は、規模を問うことなく、採用難、早期離職、高齢化対応など、課題が山積しています。
今後は、精神障害者の雇用推進や、高齢障害者への柔軟な対応に向けて、働き方の選択肢を拡大し、就業環境を継続的に改善することが重要となってきます。こうした企業の取り組みに対する一層の政策的な支援をお願いしたいと存じます。
論点2です。希望に応じた働き方を実現するため、どのような対応が求められているのかということです。
現状認識です。精神障害者の雇用が増大していますが、その能力や適性の把握が難しい実態があり、また、障害特性自体が多様化しており、そのため早期の離職者が多い状況です。精神障害者の場合は、他の障害者よりも短時間労働を希望する者の割合が高くなっています。身体障害者の場合につきましては、大手企業を中心に、高齢期を迎えて退職する者が出ており、高齢障害者が働き続けるためには、仕事の見直しや就業環境の改善などが課題となっています。
とるべき対応につきましては、1つ目として、精神障害者の職業能力や適性などを把握・認定する基準づくりが求められています。早急に有識者の研究会を立ち上げ、議論を始めるべきだと考えます。その際、当該認定基準によって、例えば手帳がなくても雇用率の対象者とするのかどうか、その適否を判断することについての枠組みもあわせて検討すべきであると考えます。
2つ目として、精神障害者の短時間労働への対応です。週所定20時間以上の短時間労働については、0.5ではなく1.0カウントとすべきであると考えます。その際、いわゆる「短時間労働への安易な代替」といったことが助長されることがないように、別途、医療機関の証明が必要であると考えます。
4ページ目をご覧いただけますでしょうか。3つ目として、障害者が加齢や状態変化等に伴って、これまでできていた仕事ができなくなっていく。その場合には、本人の了解のもとで週所定30時間以上の労働から、週所定20時間以上の短時間労働に移行しても、0.5ではなく1.0カウントとすべきであると考えます。無理することなく、休職や離職を避けるような柔軟な対応が必要かと思います。
また、障害者が長く働き続けるためには、本人の努力がまずもって必要でありますが、加えて、施設・設備の改修や仕事内容の見直しなど、継続的な就業環境の改善が求められることになります。4つ目として、一定期間以上の勤続年数を超えた場合には、1.0ではなく1.5カウントとするなど、インセンティブが必要かと考えます。
さらに、5つ目ですが、加齢や状態変化等に伴って働き方を見直す必要性が生じた場合、同一の企業で働き続けられないといったことも想定されます。本人の了解のもとで、A型、B型事業所へ円滑な移行ができる仕組みも構築するべきだと考えます。この仕組みが整えば、場合によっては、また一般就労に戻ってくる、双方向の仕組みが必要になってくると思います。
精神障害者保健福祉手帳に関して申し上げれば、返却する、あるいは更新されなかった場合についても、本人が再発の恐れがあるなど、希望する場合には、一定期間、雇用率・納付金の対象にすべきだと考えます。
さらには、障害者がスポーツあるいは文化芸術活動を行う場合についても、企業を支援することによって、競技をやめる、あるいは活動を終了しても雇用継続を前提にする形で優遇措置が必要であると思います。
続きまして、5ページ目、論点3です。障害のある方についても、柔軟な働き方を実現するためにはどのような対応が求められているかということです。
とるべき対応です。円滑な対応を図るためには、例えば、好事例の収集・周知や公的な相談窓口の設置、さらにはコーディネーターを委嘱する場合の助成など、企業への支援策を検討する必要があると考えます。
加えて、在宅での生活支援サービスは、日常生活において不可欠なものです。現状では、併給調整がなされていますが、併給調整のあり方について早急な改善が望まれると考えます。
続きまして、6ページをご覧いただけますでしょうか。中小企業等に対して、どのような対応が求められているのかということです。
現状認識の2つ目ですが、100人未満の中小企業では、一般求人による障害者採用が6割強を占めており、そのうち、障害を開示しない割合が3割弱となっています。入社後の対応の遅れが、早期離職の要因になっていると言えます。
こういった状況を踏まえて、とるべき対応ですが、先ほど指摘させていただきました精神障害者の職業能力や適性を認定する判断基準が構築されます。その基準に照らして、就職前に訓練を受講したほうがいいような場合もあろうかと思います。1つ目として、そういった場合は、公的訓練を受講推奨できる仕組みについても、あわせて検討すべきだと考えます。
2つ目としては、地域の就労支援ネットワークの中で、公的な機関の役割とは別に、企業間の地域連携を促していく施策も必要かと考えます。
7ページ、論点5につきましては、地域の就労支援のあり方、連携のあり方ですが、特段のコメントを今回は御用意しておりません。資料の8ページの論点6です。雇用率制度、納付金制度といった障害者雇用促進制度には、どのような対応が求められているのかということです。
とるべき対応につきましては、大きく柱を3つ御用意しています。
1つ目の柱としては、障害者雇用率の算定・運用について、次のような見直しの必要があると考えます。
1つ目としては、現行の算定式が企業現場の実態と乖離しないように、マル1算定基礎の「失業している障害者の数」に関し、基本的には手帳所持者であり、週所定20時間以上の就労可能な者であるという趣旨を明示し、はっきりさせていく。マル2一般就労とは必ずしも言えない実態があるA型事業所で働いている障害者の数については、除外する。除外ということでなくても、例えば平均の移行率に応じて按分していくことです。
こういった算定基礎項目を整えた上で、2つ目です。現行の運用は機械的に算出された数値をそのまま当てはめていますが、法定雇用率の決定に際しては、例えば達成企業の全体割合が50%を下回っている場合などは、その引き上げ幅を審議会の中で議論し、柔軟な調整ができる仕組みを導入していく必要があると考えます。2018年4月の引き上げに伴う1回限りの経過措置を、恒久化していくという趣旨です。
2つ目としては、納付金制度のあり方についての見直しです。次の9ページをご覧いただけますでしょうか。5つ御用意しています。
まず、納付金額は、一律定額になっていますが、実雇用率に応じて努力している場合は減額していくなど、変動させる必要があると考えます。
次は、福祉施設等への発注がある場合について、一部納付金に充当可能としていく仕組みが必要であると考えます。
次は、調整金の水準を引き下げていくとともに、支給期間と支給対象者数の上限を設定するなど、運用面の改善を図る必要があります。
次です。A型事業所につきましては、納付金・調整金・報奨金の対象外としていくということです。
最後に、ただ今、申し上げたような施策を講じることで助成金の予算を十分確保することによって、企業が望む形での助成措置を拡充していく必要があります。
3つ目の柱です。どんな制度であったとしても、どんな法律であったとしても、未来永劫、そのままといったことはあり得ないわけです。今後、障害者雇用の進展に伴って、現行のあり方の再検討が必要になってくるかと思います。基礎データを収集・分析しながら、安定的な働き方ができるような雇用の質的向上への企業努力も、ますます必要になってくると思います。例えば、目標達成や雇用管理改善を評価していく仕組みの導入について、中長期的な観点から検討していくべきではないかと考えます。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、ただいまの発表につきまして、事実関係の確認などございましたら、挙手をお願いいたします。
それでは、志賀委員、お願いします。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。よろしくお願いします。
論点6で、障害者雇用率の算定・運用について、とるべき方向性のほうで、今回の法改正のときに柔軟な運用をするというのを、ある程度恒久的という中で書かれているのは、障害者雇用の状況その他の事情を勘案して政令で定めるということは、基本的には例えば労働局単位とか各都道府県単位といった状況も見ながら考えるというところまで考えていらっしゃるのかどうかというのを、ちょっと教えていただければと思います。
○阿部座長 では、お願いします。
○遠藤氏 ありがとうございます。
まず、そもそも論といたしまして、法定雇用率がこれまで機械的に算出され、小数点第2位以下をカットする形で当てはめてきたということが、ある程度、雇用実態で受けとめられる環境があったというのは過去の話と思っています。今後の状況等を踏まえますと、その都度、必要な情報を皆さんと共有しながら柔軟な対応を図っていくべきです。ただ今、志賀委員がおっしゃったことも1つあろうかと思います。
私どもが先ほど申し上げましたとおり、全体の法定雇用率の達成企業割合が過半数を割っている場合だけではなくて、大変小さい字で恐縮ですが、例示しています。5年、5年という形で2期連続して法定雇用率を引き上げていく場合は、企業の準備がなかなか整わないということもあろうかと思います。さらには、引き上げたときの向こう5年間を見通したときに、実雇用率が実際、どのぐらい伸びていくのだろうか。そういう推定値も抱き合わせながら、企業の体力あるいは働く側の状況等も十分踏まえながら、双方が支え合うことができる仕組みづくりということで、今回、御提案させていただきました。
○阿部座長 その他、いかがですか。
では、本條委員、お願いします。
○本條委員 全国精神保健福祉会連合会の本條でございます。
9ページのマル2でございます。福祉施設等への発注額の一定割合を納付金に充当可能とする。こういう視点は、今までのヒアリングでなかったと思うのですけれども、評価したいと思います。具体的に発注といいましても、物品の発注、また役務の発注があると思いますが、私はお仕事を与えていく。また、役務の購入ということがより就労に近いと思うのですけれども、その辺はどのように考えておられますか。
○阿部座長 では、お願いします。
○遠藤氏 ありがとうございます。
本條委員から御指摘がございましたように、発注額の一定割合という形で書いていますけれども、御存じのように、ドイツ、フランスでもこの仕組みが入っています。その辺、諸外国の状況も踏まえつつ、いろいろなバリエーションも含めて、この施策が適当なのかどうかということは今後の議論に委ねたいと思います。
ただし、ここで大事なことを2つだけ申し上げさせてください。
1つは、この仕組みを御提案させていただきました背景は、福祉的な就労場面から一般就労に移行しますと、なかなか定着し切れない。そこで頑張り過ぎてしまうことがあると、再挑戦もできなくなってしまいます。そういった場合には、もう一回戻ってください。元に戻れるような福祉的就労の環境づくりがなされていることで、本人も再チャレンジできると思いますし、勇気を持って背中を押してあげることもできると思います。それが1つ目です。
もう一つは、この提案に当たって議論させていただきましたのは、みなし雇用を入れていくべきなのかどうかという点です。経団連といたしましては、今やるべきことは、実際に雇用する障害者の数をどうやってふやしていくかという立場ですので、この仕組みにかかわるところでの「みなし雇用」については、慎重でありたいと思います。
○阿部座長 それでは、よろしければ、次の発表に移りたいと思います。ありがとうございました。
続きまして、日本商工会議所から利恵産業株式会社顧問 石田彌様、そして日本商工会議所産業政策第2部課長 高野晶子様より御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○高野氏 日本商工会議所の高野と申します。きょうは、このような場での発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
これから、まず、個別の論点について、私から説明させていただき、その後、障害者雇用促進策全般について、障害者雇用分科会の委員でもございます石田さんから御発言いただくという形で進めさせていただきます。資料は1-4をごらんくださいませ。
早速ですが、論点2をごらんください。障害のある社員の高齢化への対応については、企業と本人が相談し、業務の変更や配属先の見直し等の対応で問題を解決していくことが望ましいと思います。ただし、多くの企業には障害者雇用のノウハウがなく、本人と十分なコミュニケーションがとれない可能性もございますので、就労移行支援事業者やジョブコーチなどが中立的な立場で参加する相談体制をいつでもつくれるよう、それらの支援サービスの拡充を御検討いただきたいと思います。
また、就職前の段階で適性や能力を把握し、本人に合った就職先を見つけることへの支援は非常に大事だと思います。就労移行支援事業者からよりよいサービスが多く提供されるよう、報酬の仕組みを工夫していただければと思います。
次に、論点3でございます。ICTの活用は、障害者の就労機会を拡大できる可能性があると考えています。これまでICT分野での仕事は難しいと思われていた障害者であっても、その理解を助けるプログラムを使うことで、ホームページの作成などの業務も可能になったという例をお聞きしています。そのような支援プログラムの開発を公的資金で後押しするということも、障害者雇用促進策の一つになると思います。また、企業ではペーパーレス化や作業の自動化など、仕事の進め方が変化しておりますので、障害者が従事する仕事の幅を広げていくことは不可欠だと思います。
次に、論点4をごらんください。
中小企業による障害者雇用の最初の壁は、企業経営者の多くが障害者と接した経験がないということだと考えています。まずは、障害者が地域社会に普通に存在している環境をつくり、知らないことによる不安を解消させていくことが必要だと思います。
また、障害者雇用に関心は持っているけれども、雇用に向けた一歩を踏み出せない企業も存在していると考えております。そのような企業には、就労の現場を見学する機会や、就労可能な業務についてアドバイスを行うなどの支援の提供が有効だと思います。
次に、論点5をごらんください。教育、福祉、雇用、医療の連携が必要であることは言うまでもありませんが、特に福祉的就労と一般の就労の間が、もっと柔軟で連続性のある関係になればよいのではないかと思います。例えば、学校修了後、福祉的就労で就労体験を積んでから企業に就職するというキャリアアップの段階を踏むほうが、就職先での定着率も上がるのではないかと思います。
また、企業に就労している障害者についても、体調の変化などを考慮して、一旦、福祉的就労に移行し、回復した後に再び企業に就職するというパターンがあってもよいと思います。このような柔軟な選択を可能にしておくことは、企業にも本人にもメリットがあるのではないかと思います。
次に、論点6をごらんください。
現在、障害者を雇用していない中小企業の中には、新規に雇用を増やす余力自体がないという企業もあります。また、納付金制度の運用を強化しても、さまざまな不安から、障害者を雇用することよりも、納付金の納付を選択する企業もあると思います。したがって、納付金制度の運用強化を図っても、障害者の雇用が劇的にふえることにはならない可能性があると考えております。
当然、企業において雇用される形が望ましいと思いますが、現在の納付金制度を今後も推し進めるのであれば、障害者を雇用することが特に難しいと判断される中小企業については、障害者が就労する法人や事業所への業務委託を雇用とみなす仕組みも検討が必要ではないかと思います。
次に、障害者雇用をめぐる全体的な考え方について、石田さんからお話しいただきます。
○石田氏 私は世田谷区の障害者雇用促進協議会の会長をやらせていただいているのですが、そこでの初会議の日に、世田谷区の各課の障害者雇用率を発表してくださいと言ったら、全く数字が出てきませんでした。世田谷区トータルでは出ているのですが、各課単位では把握されていないのです。中小企業の中には、厚労省さんの例をとっても、本庁の課の何分の1、何十分の1という規模のところもあると思います。そうしますと、企業による特性(注:社内にある業務内容が特定のものに偏っているなど)が非常に大きいので、一律に障害者を雇用させることが適切かについては非常に難しい部分があると思います。ですから、中小企業にとっては、企業特性を反映するような方法が何かないかなと思います。
事実、私の会社も、私が現役でやっているころは380人ほどおりましたけれども、200人を超してくるといろいろな部署ができてきて、雇用した障害者に適した業務を当てはめていきやすいのです。そういう点で、大企業と中小企業には大きな差があります。
中小企業の中には本庁の課の半分ぐらいしかない規模の会社もあるかもしれません。会社の規模が小さいことによって特性が大きく表れます。例えば、運送業の会社の場合、運転手さんはたくさんいるけれども、事務員さんは3人しかいないということがあります。そうすると、障害者に運転手さんはできないということで、障害者を雇用できる業務が限られ雇用が難しいという場合もあります。このように、障害者の方が働く可能性が低い仕事に偏っているなどの特性が中小企業は出やすいということを踏まえて、どのように支援していくか考える必要があります。特定の業務に適した人については優先的にその業務での就労を勧めていただくというのもいいかもしれません。中小企業への支援についてはいろいろな形があると思います。
それから、法定雇用率を算出する際の1人はどういう基準でカウントするのでしょうか。
○障害者雇用対策課長補佐 常用労働者の週30時間以上働いている方が1名カウントです。
○石田氏 私は惣菜協会の会長をやっていたのですけれども、惣菜業界は、多分、社員よりもパートさんとかアルバイトさんの数が多いのです。そして、私の経験ですと、1日2時間だけ仕事してほしい時間帯がありまして、そのために8人ぐらい採用している。これをまとめて採用1人にすることはなかなかできないのです。ですから、従業員人数のカウント方法を、業種など考慮して検討する余地はあるのではないかと思います。しなさいということではなくて、そのような可能性もあるのではないかということで御検討いただければと思います。多分、大きな企業でも、課ごとに、あるいは班ごとにどれだけの障害者雇用率になっているかというのを割り出していくと、業務内容の違いの影響はすぐわかると思います。
それから、中小企業の経営は、論理的に判断するのではなくて、感性で判断することが多いのです。したがって、経営者が「そうだ」と決めると進みます。ですから、障害者雇用に取り組もうと思う経営者を育てるという下地づくりもいいかなと思います。そのためには、その本人を直接褒めることよりも、その企業が活動した結果を別の場面で、この企業さんはこういうふうにやっているということをアピールしてあげるような方策が良いのではないかと思います。
それから、障害者さんにとっては、生活の場所と仕事の場所が近いほうがいいでしょうし、また通勤の負担が小さいなら働きやすくなるという対象の方はたくさんいらっしゃると思います。ですから、より生活の場所の近くで仕事ができるための方策も考えていくのが良いと思います。例えば、組合組織をつくって組合で雇用するという方法もあるそうですけれどもそれに似た考え方で、駅の近くに公共のワーキングスペース施設をつくって、いろいろな企業に雇用されている障害者の方がそこに来て仕事をする。その施設の管理そのものは全体を管理する企業でもいいし、行政でもいいのですけれども、そういうものを準備するという形で、生活の場所と仕事の場所をなるべく近づけてあげるという取り組みがあったらいいのではないかと思います。
次に、世田谷区の場合には、行政と、採用する側と、育成する支援学校や職業訓練の団体、ジョブコーチなどで協議会をつくり、1年に何回か会合して好事例の発表をやっています。そのときには、企業にも発表もしていただきます。その発表のなかで共通することは、障害者さんを採用したことによって、健常者の方がすごく勉強するようになったとか、前向きになったという声です。企業の経営者は、日常、障害者の方と接することがないので、なかなか雇用に対して積極的になれないのですが、一旦採用してみると、そういうすばらしい発見があったという声が聞こえてきます。そういう事例が広がっていけば、小規模企業における障害者の雇用が増えていくのではないかと思います。
そのためには、既にいろいろな方のお話で出ていることですけれども、ケーススタディーをつくって知らしめていく、広げていく、啓蒙していくことも、中小企業における障害者雇用を進めるためには有効ではないかと思います。
以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、お二方の発表に関して、事実確認等がございましたら、挙手をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
志賀委員、お願いします。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。
論点6のとるべき対応のところですが、質問というより確認になりますけれども、ここに書かれているのは、中小企業には納付金制度は不公平感がある。なかなか雇用ができなかった場合ということですが、そういった面では、企業の事業活動の利益につながるインセンティブとなる制度が必要ということは、雇用するのはかなり難しいが、それでも雇用を頑張ったところに、この下にあるような入札時の加点評価、税の減免措置という趣旨で書かれているのかどうかの確認だけですけれども、よろしくお願いいたします。
○石田氏 石田でございます。
中小企業は、なかなか上を向いて走れないのです。視野が狭くなるし、下を向くし、自分の専業になりやすい。ですから、目線を上げていただくための一つの方策としてインセンティブという言葉を使っています。極端な例を言いますと、採用はできないという企業であっても、障害者の方たちの支援事業に対して社員を派遣して参加していくとか、そういう取り組みをプラスの単位に捉えるような方法がないかなということです。
○阿部座長 よろしいですか。ありがとうございます。
ほかに。
また、最後に御質問の時間をとっておりますので、それでは、日本労働組合総連合会雇用対策局長 漆原肇様より御発表をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○漆原委員 連合の漆原と申します。きょうは、このような発表の場を与えていただきまして、どうもありがとうございます。
連合は、労働組合ですので、これまで発表いただいた障害者団体ですとか、きょう発表いただいた経営団体とはちょっと主張が異なっておりまして、1ページ目の2ポツをごらんいただければと思いますけれども、我々の障害者の雇用の分野での一番のポイントは、生き生きと働くことのできる事業場をつくる、職場をつくっていくという観点です。きょうの発表全体を通して、論点ごとで区分けの中でも意見が重複して再掲になっている部分がございますが、それを御勘弁いただければと思います。
そして、冒頭に、1ページ目の団体概要の下のほうにポチが幾つかついていますが、そこを少し紹介させていただきますと、ポチの上から3つ目の定期的な労使の協議というのはどういうところかご説明しますと、障害者を雇用した場合でも、時間が経過すると、事業場における障害者への配慮が薄れてくる事例がありますので、労使で定期的に協議していく、あるいは職場の雰囲気を改善する取り組みを考えていくことが重要であると考えているところでございます。
また、その下のパワハラについては、障害者の方が一般企業を退職する際に、ハラスメントを含む職場の人間関係退職の理由にしている方も少なくないため、とりわけ、悪質かつ継続的な差別やいじめ、嫌がらせが生じていないかどうかについて、そのチェック体制が必要だと考えております。
また、一番最後のオリンピック・パラリンピック、とりわけパラリンピックの支援については、組織委員会からも日商様、東商様にも依頼がなされていると思いますけれども、私どもにもその話がきております。インフラと心の垣根をなくすという意識の醸成が今回の大会の成功をもたらし、その後の共生社会ですとか障害者の雇用の促進につながるという観点から、連合としても、とりわけパラリンピックに対してボランティアを積極的に要請したり、あるいは観戦するなど、しっかり支援をしていきたいと思っているところでございます。
では、ページをめくっていただきまして、論点1でございます。
現状、課題のポツの3つ目でございますが、地方公務員や教員の採用試験の場でも、募集する段階での差別的な文言の記載がありまして、私ども、連合の地域の加盟組織から、募集段階からそうした記載があることは、さすがに問題であろうということで、そういったものをなくすような働きをしているところでございます。
とるべき対応、対応の方向性のところを見ていただきますと、教育委員会が、確かに小学校の場合は除外があるにしても、法定雇用率が未達成になっているところが結構多くて、そういった公的部門については、一層の合理的配慮ですとか、無理な場合でも代替措置を実施して、障害者雇用を促進する施策が必要ではないかということを一つのポイントにしているところでございます。
次の論点2に行っていただきますと、現状と課題のところにありますように、在職中に事故や疾病などで障害が残る労働者もおりますし、障害が悪化する労働者の雇用継続に向けても、これは同じ厚労省であっても担当する部局が違うのですが、「事業場における治療と職業生活の両立のためのガイドライン」というものが定められております。こうした考え方なども取り入れた適切な合理的配慮も必要なのではないかと思っております。
そして、とるべき対応のところでございますけれども、すでにいろいろな団体が発表されているところでもございますけれども、企業におけるジョブコーチの配置とかジョブコーチの養成促進、実稼働率を高めるということが必要だと考えております。
その次のポチのところですけれども、主治医・産業医及び産業保健スタッフ、ここで言えば保健師のような人たちの連携ですとか、あるいはリハビリテーションの専門職、理学療法士とか作業療法士、言語聴覚士などを積極的に活用することによって、就労につなげる支援、あるいは就労継続のための支援といったことを強化することによって、長く、安定的に働き続けられるようにできないかということを考えているところでございます。
あと、その次のポツのところですけれども、有期労働者の無期転換についてです。5年を超えて雇用されている場合は、無期に転換する。これは、健常者と障害者の区別なく無期に転換されるということについて、もちろん我々労働組合も周知をしていきますけれども、さらに周知をしていくことが重要と考えているところでございます。
ページをめくっていただきまして、論点3でございます。
連合としては、一般的にテレワークを推進しているわけではありませんし、そこには慎重に考えるべき課題もあるというスタンスではありますが、とりわけ、障害者の雇用の分野については、一定の進展が必要であると考えております。
とるべき対応、対応の方向性のところにありますように、通勤が困難な障害者にとって、ICT技術を活用したテレワークということは、働き方の選択肢の一つとしては重要であると、もちろん我々も認識しております。ただ、障害者によるテレワークを可能とする環境整備、通信環境といった問題にプラスして、障害に応じて入力しやすい機器などが家庭にあるかとどうか。そういったものが整っている方が果たしてどれだけいるのだろうか。そうした整備をさらに推進していく必要があるのではないかと考えております。
もちろん、これまで働けなかった人が家庭で働く、あるいはどこかサテライトオフィスで働くに当たっての職業訓練とかスキルアップということは、当然に必要になってくると思っております。
ページをめくっていただきまして、論点4でございます。
これは少々古い2013年の調査になるのですけれども、現状認識、課題のところにありますように、障害者職業総合センターの調査、中小企業における障害者雇用の経路を調べた調査によりますと、疾病・事故などで受障した労働者の継続雇用の部分が大きくなっているところがありまして、それから考えますと、とるべき対応のところにもございますけれども、とりわけ、中小企業で雇用していただくというのは、地域の経済とか産業活動についてもプラスになりますし、ハローワークを中心とした省庁が密接に連携・協力して、これまで障害者を受け入れたことのない中小企業に対する受け入れ促進策を図っていく必要があるのではないか。
また、バリアフリー化のところは、企業だけで努力しても、通勤経路が対応されていないとなかなか難しい場面もあるので、そういったところは、地方自治体とも協力しつつ、通勤経路のバリアフリー化といったこともあわせて進めていただければというところでございます。もちろん、中小企業の事業場内でのバリアフリー化といったことについても、それなりの援助とか支援が必要になるのではないかというところでございます。
論点5でございます。ここは少々重複感もございますが、とるべき対応、対応の方向性のところを見ていただきますと、ハローワークが、福祉、教育。就職もそうですけれども、医療の現場と連携して「雇用への移行」を推進するコーディネート役を果たしていただくことが重要であって、そのためには、専門援助部門の機能をより一層強化していく必要があるというところでございます。例えば、地域障害者職業センターといった就労支援機関との連携ですとか、そういったところの人的配置の強化が必要になっていくと考えております。
また、さっきもお話ししましたけれども、産業医や地域の医師、リハビリテーション専門職が協力して、例えば、この障害を持つ人には、机の高さを何cmにすればいい、あるいは椅子を何cmに調整すれば、もっと負担がかからずに働ける、といったエルゴノミクスの観点からの支援を、こういった専門職の方と協力しながら、障害者にとって無理なく、負担の少ない就労環境、職場環境を整備する必要があると思っております。もちろん、その整備に係る費用については、一定程度の支援とか援助が必要なのではないかというところでございます。
ページをめくっていただきまして、最後のところでございます。
現状認識、課題の最初のポツで記載させていただいておりますが、派遣で働いている障害者がどれだけいるか、現状ではまだわかりませんが、調査したのは10年前ですので、それからふえているか、減っているかという調査をしてはどうかというのを記載させていただいているところでございます。
また、とるべき対応のところで、事業場内での苦情処理の体制整備をどういうふうにするのか。具体的にどういう体制でどうあるべきかというところも検討してはどうかという点と。
さらに、合理的配慮を求める方法として、これも苦情と関連するところもあると思うのですけれども、本人ではなくて、例えば先ほど話をさせていただきましたリハビリテーションの専門職ですとか産業医、産業保健スタッフといった方からも申請できるような、第三者からの申し出を許可してはどうかというところでございます。
また、やや、抽象的な書き方をしている、その下のポチですけれども、雇用促進法独自の障害の認定のあり方、これは手帳に頼るか、頼らないかというところでございます。それは、現場の実態を踏まえながら、今後、丁寧に検討してみてはどうかということを提起させていただいているところでございます。
最後になりますけれども、そういった産業医やリハビリテーション専門職の方、あるいはジョブコーチの方について。これは、障害者雇用企業支援協会のプレゼンのところでPSWの話もございましたが、時間軸としてどれだけ長さをとればいいのか、我々も正直わからないところもございます。とりわけ、リハビリテーションの専門職もかなり人数が限られておりますので、それは丁寧に数をふやしていくといった努力がまず必要であって、その上で現場の環境をさらに改善していければいいと思っているところでございます。
以上でございます。ありがとうございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの発表に関連しまして、事実確認等がございましたら御発言をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
では、御質問は最後にまとめてできますので、その際にお願いしたいと思います。ありがとうございました。
それでは、皆様のお手元に参考資料があると思います。これにつきまして事務局から説明があるということですので、お願いしたいと思います。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。参考資料としてお配りしておりますけれども、本日、全日本ろうあ連盟様から資料の提出がございましたので、簡単にではございますけれども、事務局から概要について御説明したいと思います。概要についても、全日本ろうあ連盟様からいただいているものを、こちらで簡単に整理したものでございます。
御趣旨としては、聴覚障害者の方の就労先が医師法の欠格条項の撤廃などを受けて、専門性の高い職域への進出が進んでいる状況ではあるもの、依然として広範な、かつ複雑なコミュニケーションが求められるような状況において、適切には進んでいないのではないか。職場定着上の問題なども課題となっている中にあって、公的な就労支援機関が体制として整っていないといった課題があるところでございます。
また、加えて、障害者を対象とした就労支援機関においては、聴覚障害者の就労問題に的確に対応できる専門家が欠如しているといった問題なども踏まえ、ハローワークにおいて、さらなる聴覚障害に対応できるスタッフの配置等が課題ではないかということでございます。
加えて、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構において支給している助成金制度において、手話通訳担当者の委嘱助成金について、限度額や利用可能年限が抑えられている点や、要約筆記者についても対象とすべきではないかということも御意見としていただいております。
加えて、近年、精神発達障害者等の支援が充実する中にあって、身体障害者の雇用促進についてもさらなる対策をとるべきであるという点。
最後に、雇用率についても、障害種別において生じている雇用格差を解消できるように、障害種別ごとに雇用率を算出するなどの方法をとってはどうか、といった御意見をいただいております。
以上、御紹介でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまから全体の質疑に移りたいと思います。時間も限られておりますので、質問はポイントを絞ってお願いしたいと思います。
それでは、委員の皆様から御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 全体が非常に分量が多くて、テキストも読み切っていないのですが。その前に、手話通訳さんが入っていて、それから、それを聴覚障害の当事者の方がずっと手話を見ているのですけれども、もう1時間相当、集中してやっていると、相当疲れているのではないかと思いましたので、こういう場合に途中で少しでもリラックスできるような休憩があったらいいかなと思ったのが1つです。
それと、感想的なことをまず大ざっぱに申し上げますと、一番直近のところからいくと、どうしても私たちは働く労働者として、働いている障害者からの相談が多いわけですけれども、そういう意味では、連合さんがきょう提起されたこと、ほぼ100%という形で、産業保健との連携のことであるとか。それから、今、無期転換ルールのことだとか、そういうことも私たち視覚障害者はなかなか周知されていなくて、法律では65歳定年まで働けるとなっても、それでも今でも雇用継続が大丈夫なのかという相談もありますので、それが1つ連合さんの、それに対する私たちの考えが反映された意見書だと受けとめました。
それから、経団連さんについては、雇用率がこのまま機械的にどんどん上がっていくと、それについても労働の質ではないかと思ったのです。ですから、雇用率が上がればいいというものではないだろう。視覚障害者、聴覚障害者というところは数も非常に少ないので、その人たちが安心して働けるような、単なる雇用率と納付金をいじるだけでいいのかというところでの、もっと幅広い現場の実態に基づいた議論があってほしいと思いました。
もう一つ、これはたくさんあるのですが、日身連さんのところで、障害がありながら女性という、2つの働きづらさがあるという問題とか。資料の中には、本社があるところで雇用率は大体カウントされるので、支店とかの本当に地域の労働市場の状況が反映されているのかという指摘もペーパーの中にありました。
それと、福祉型の就労支援と労働政策の雇用施策の問題点についても触れておりましたけれども、そういう実態がまずどうなのかを把握して、それらを分析して、それと実際の政策を踏まえて、雇用率、納付金制度という意味での議論を展開してほしい。日身連さんは、多分そういう趣旨で論点1の問題提起をされたのではないかなと思って聞いておりました。
ほかにもたくさんありますけれども、おいおい、また思い出しながら、点字のメモを整理して、後で質問したいと思います。以上です。
○阿部座長 それでは、ほかの方、いかがでしょうか。
眞保委員、どうぞ。
○眞保委員 法政大学の眞保でございます。
本日、御欠席の委員でいらっしゃいます長谷川委員のほうから、少しお聞きしたいことを、事前の資料に基づいてお預かりしておりますので、まずそれをお聞きしたいと思います。
ただいま御報告いただいた各団体、特に経営者の方々の団体のほうから、短時間労働者で、週20時間から30時間の労働者であります精神の障害のある方々のカウントを、0.5ではなく、1にしていただきたいという御要望が多く寄せられているかと思います。
それに関連しまして、御質問でございます。採用時に週の所定労働時間を30時間未満とする雇用契約を締結していた場合、仮に仕事の現場で職場定着が図られまして、その労働者の方が30時間以上、あるいはフルタイムで働きたいと希望されまして、そして同時に、御発表にもありましたけれども、医師の証明等を持ちまして、そういった御要望が出た場合に、使用者側としてどのような対応をとることが予想されるかということと。
あと、これは障害者団体の方と労働組合、連合さんに御質問ですけれども、その場合、障害者の方々はどのような対応を望まれるかということをお聞きしたいと思います。
○阿部座長 それぞれお聞きしたほうがよろしいですか。
では、遠藤さん、お願いします。
○遠藤氏 御質問、ありがとうございます。
精神障害者の対応につきましては、皆さんの記憶を少し戻していただくことができれば幸いですが、直近の法改正が2013年にありました。今後、精神障害者の方々の採用件数はどんどん伸びていくだろう。その対応をどう図っていけばよいかということが議論になりました。企業側として、雇用管理ノウハウの蓄積が足りないことを申し上げました。
その後、蓄積した企業もありますが、おおむね聞こえてくる中身としましては、障害者の中で身体・知的の方については、ある程度類似の対応でノウハウが蓄積していくのだけれども、精神の方々は、簡単に言ってしまえば1対1対応であり、他社の事例がなかなか当てはまらないというものです。
これは、私どもの整理では、個別支援の多様化という言い方をしています。障害の特性から個別支援が多様化していますので、そういう実態を考えると、労働時間の長さで労務管理上の負荷をはかることができないということがあり、短時間労働の取り扱いについては1.0ということを申し上げました。眞保委員がおっしゃるように、本人の希望もあり、また、医療機関のサポートもあって、時間の延長が望めるということであれば、まずもって、そういうことをトライしていくというのはあろうかと思います。
もう一つ、精神の方の大きな特徴は、症状が安定しないということです。一時期は、安定した対応ができるかもしれませんが、長く働いていただくためには、場合によっては、また30時間を下回るといったことも十分想定でき得るわけです。仮にそうなったとしても、労務管理上、サポートを十分していくということを考えれば、時間の中で区切って対応を変えるというよりは、一本にまとめて対応していくことが、御本人の働き続ける状況と実務に十分合致しているのではないかということで御提案させていただきました。
○阿部座長 今、眞保委員というよりは長谷川委員なのかもしれませんが、質問の真意は、どう対応できるかということなのですが、カウントの仕方がどうなのかという点はどうなのでしょう。短時間で1カウントだったのが、長時間になったときにも1カウントでいいのか、それとも、例えば1.5とか2としたいのか、そのあたりはいかがでしょうか。
○遠藤氏 ありがとうございます。
私どもは、それぞれの種別に応じて、精神、知的、身体で分けて考え、そのうち種別を問うことなくということであれば、「障害者は」という形で今回、整理しています。したがって、精神の短時間労働については1.0にして、そのまま30時間以上の労働でも1本でいくという形です。
もう一つ、「障害者は」という括りで言えば、身体の方も知的の方も精神の方も、一定期間に勤続年数が達した場合については、インセンティブをつけてください。その場合、仮に20年と置きましたのは、実態調査を見ると、身体については平均10年が勤続年数となっていますから、その倍ということで20年にしました。ですから、身体以外の知的の方や精神の方は、これからいろいろデータがそろってきた段階で、インセンティブは勤続年数何年以上なのかとなりますので、今後の議論に委ねたいと思います。
○阿部座長 ありがとうございました。
今のことに関連して、その他。
では、畠山さん。
○畠山氏 精神障害者雇用の問題につきましては、身体、知的とは明らかに違うところがあるのですが、非常に不安定だということですね。それで、障害特性は障害によっていろいろ違うわけですけれども、雇用する企業のほうから見ますと、面接をしまして、この人は短時間でスタートするほうがいいとか、フル勤務でスタートしていいという判断は非常に難しい。現実に雇用した人が、3カ月たつと4分の1ぐらいやめてしまっている。1年たつと半分になっているというのが現実なわけですね。
それで、かつてはトライアル雇用が3カ月ということでしたけれども、精神障害の場合にはそういう特性にも配慮して1年まで認めようということになったわけですが、実は雇用している企業からの声としては、1年でも足りないケースもよくあるということなのです。ですから、採用面接のときに来られる精神障害の方は、非常に調子のいいときに面接に来られるのですね。ですから、会社は行けそうだなと思って採用するのですが、その後うまくいかないというケースがよくあります。
それと、短時間でスタートしますと、本人も自分はもっとできる。もっとやりたい。フル勤務にしてほしい。やる気があるのだなと思ってフル勤務にしますと、逆にそれが原因で途中で挫折してしまうケースとか、いろいろなケースがあるのですね。
ですから、精神障害の人が離職する背景はいろいろありますけれども、非常に多いのが職場環境に合わない。人間関係がうまくいかない。この2つが圧倒的に多いのと、それから処遇に不満がある。自分はもっとできるのに、何でこんなという思いとか。それから、仕事そのものが合わない、アンマッチングだということ。その他もろもろ、いろいろな理由があります。ですから、それを見きわめるのが非常に難しいことと。
それから、先ほど御報告もいたしましたけれども、精神障害者のそういう難しいところをカバーするために、本当は精神科医とかPSWの人とか、そういう方々との連携をしながら雇用管理できればいいのですけれども、なかなかうまくいかないということもあって、結局、本人が途中で挫折してしまう。そういう人がまた就職登録して、再度、どこかに就職する。繰り返しになりますと、結局、リバウンドが大きくなるだけであって、もっと前に職場を定着させる必要があるわけです。
ですから、そういうところの配慮をもっとしていかないと、精神障害者の雇用義務化というのが始まるわけですけれども、今まで失敗してしまった企業だから、精神障害の人を余り雇用したくない。現実にうちの会社には、手帳を持っているか、持っていないかわからないけれども、それが原因で休職している人も、大企業だから、そういう方は結構いるのですね。そういうものを無視しておいて、新たにこちらを雇用するというと、なぜなのだということになってしまうわけですので、既存の在籍している精神障害の人をいかに救っていくか。
もう一方では、新たに雇用する人に対して、どう取り組んでいくか。企業で自分で考えなさいと言っても難しいので、だからこそ、主治医の診断書はもっと正確なものであってほしい。就労する、働くということについてのコメントもぜひ欲しいということ。そうでなければ、先ほど申し上げたサポートする人員をもっと制度的にも強化してほしい。そうしますと、企業ももうちょっと雇用に前向きになっていくのではないかと私は思います。
○阿部座長 ありがとうございました。
2番目の長谷川委員の質問内容を、眞保委員、もう一度。
○眞保委員 労働者側としては、そうした場合、どのような対応を求めるのかということですね。30時間以上働けるようになったら。
○阿部座長 本條委員、今の点でよろしいですか。では、本條委員からお願いします。
○本條委員 これについては、前々回ですか、既にお話ししましたけれども、雇用者側から言えば、短時間であっても支援をしながら雇用していくということが必要でありますので、そういう点から見ますと、短時間であるからといって、短時間の支援で済むかというと、そうではない。むしろ、重度の人と短時間と比較しますと、4人の短時間労働者を支援していくということから考えますと、そちらのほうがかえって不公平ではないかということです。
それから、働く側に立って言えば、もちろんある程度長時間にたえる人もいらっしゃるでしょうけれども、精神の障害というのは、先ほどもお話がありましたように、変化する障害であり、また病でありまして、障害と疾病をあわせ持つわけでありますから、その病気も変化するわけですけれども、病気が改善されたからといって、障害がそれに比例して軽減していくというものでもないわけです。そういうことから考えますと、また社会参加という点から考えましても、短い時間であっても社会参加できる、働くことができるほうが、より社会参加に近いのではないかと思っています。
また、そうなれば、雇用する側からいっても雇用しやすいのではないかということで、これについては、雇用する側、雇用される側、決して利害が対立するのではなくて、マッチングするのではないかと思います。
○阿部座長 よろしいですか。
では、その他、いかがでしょうか。
志賀委員、お願いします。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。
今回、障害者団体や支援をしている事業者とは違い、雇用しているほうからの意見がたくさん聞けたので、少し頭の中を整理しながらと思っておりましたけれども、聞いていて、企業等における法定雇用率の上昇を追従する意欲を失わないようにと、企業支援協会様のほうで言われておりました。
とは言いながら、今後も制度自体はある程度尊重して、それがある程度いい方向に行くだろうという趣旨の発言であったと聞かせていただきました。雇用のカウントの方法であったり、雇用を継続するためのいろいろな教育や医療との連携であったり、あるいは企業の中の人材養成であったり。さらには、実際に精神障害の問題が特に中心でしたけれども、労働能力の強化の方法をどうするか。そういった面では、継続的な雇用を促進するために、いろいろな提案がなされていました。
基本的な法定雇用率を決定する際のデータの話もちょっと触れておられました。その辺、細かく説明していただければと思いますけれども、計算式をつくる前段のデータが書かれていましたけれども、一度説明していただきたいなというのと。
あと、日本経団連さんのほうからは、全体の計算式はあるけれども、よりきめ細かな地域別なのか、何なのかは別ですけれども、そういった方法も、ベースの計算式はいいけれども、未達成企業が50%を超えたらどうするか。具体的にどんな感じまで想定されているのかというのを教えていただければと思います。
○阿部座長 丹下さん、お願いします。
○丹下氏 障害者雇用企業支援協会の丹下でございます。
大変包括的で難しい御質問でございますので、うまくお答えできるかどうかわかりませんけれども。
まず、障害者雇用義務というのは何なのかというということを考えてみますと、これは明らかに現在、法律で強制されている制度でありますけれども、特に民間企業というノーマライゼーションの実現のために最も有力な存在の雇用が重要であって、しかもその雇用はすぐれて企業の理念や責任感と意欲によって実現されていることが、障害者雇用義務の実質的な姿として存在しているのだと。これをまず申し上げなければいけないと思います。ですから、企業がもし雇用意欲を失うようなことがありますと、現在の方式に限らず、どんな方式をとっても、障害者雇用というものが根底から崩れる危険があるだろう。
そこで、障害者雇用という行為に対して、社会は相当程度の支援を行う必要があるだろう。多少甘えかもしれませんけれども、そういう考え方がございます。そう考えてみた場合に、意欲に対して一番影響を与えているのが、現在の法定雇用率の算定式であるということは申し上げなければならないと思います。分母につきましては、我が国の雇用労働者をベースにして、それに除外率とか、いろいろな条件がつきます、それと失業者ですね。分母については、趨勢としては、日本の産業界が劇的な変化を起こさない限りは、安定的に今後も続いていくだろうと思います。
それに比べて、分子のほうはどうかということになりますと、企業が雇用努力をして成果を上げれば上げるほど、法定雇用率の分子の増加につながっていく。この点に企業が非常に矛盾を感じているということは、1点申し上げなければならないと思います。
分子についてもう一つは、いわゆる失業者、雇用待機者の方々は、企業の側からすると、質的にも内容がよくわからない上、量的にはアンコントローラブルだと申し上げました。そういうことでどんどんふえてくると、これは将来、一体どういうことになるのだということがあるわけです。
そこで、これも先ほど申し上げましたけれども、法定雇用率の算定式について、もう少し詳細な御説明があって、なぜこういう組み立てになっているのか。根拠は何なのか、バックデータは何なのかという御説明が正確に行われて、雇用側に限りません、これは関係する全員だと思いますけれども、納得して、ああ、なるほどそうなのか。だから、現在の雇用算定式は正確であり、正しい方向なのだということを理解すれば、意欲の減退とは全く正反対の方向に行くだろうと思うのです。それをまず私どもの考えとして申し上げなければならないと思います。ですから、現在の方式を否定するということは全くございません。その中身をもっと改善していく余地はないのか。
それから、制度の開始当初から、直接雇用に限定された方式でやっておりますけれども、私は直接雇用という方式は正しいと思いますが、直接雇用だけで賄えないとか、あるいは違うシステムもあるべきだということになった場合には、それは正しい方向へ向けて検討を行わなければいけないだろうと思います。その検討というのは、昭和35年に促進法が制定されて以来、根源的な問題を議論されたことはないと思います。それを今やるべきではないかということを申し上げているわけです。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、遠藤さん。
○遠藤氏 3点に整理できるかと思います。
1つは、誤解があるといけないのですが、経団連の考え方は、障害者雇用の促進に向けて、どうあるべきかという議論の中から出てきたものであり、現行の算定式そのものを変えていこうということを現時点で申し上げているわけではなくて、現時点の運用を正していきたい。その上で、2つ目の仕組みとしては、今回の1回限りの経過措置を恒久化していきましょうということです。
1つ目につきまして、繰り返しの部分をお許しいただきたいのですが、この算定式というのは、障害のある人と障害のない人が同じ水準の中で、常用雇用になり得る機会を提供するための仕組みです。整理していけば、常用雇用、安定的な働き方ができるような形で、まず一定のラインを引きましょうとなり、実際に失業している人がどういう状況にあるのかということを、運用の中で改めて明示するなり、確認するという作業が必要ではないか。もちろん、データについての根拠も必要になってくるかと思います。
2つ目に関しましては、ではなぜ、経過措置を恒久化するという提案を行うのでしょうか。それは、18年4月の見直しが、過去の例から見ると大きく異なっていたということです。引き上げ幅ですが、過去最大で引き上げても0.2ポイントであったのに、今回は段階的とはいえ、0.3ポイントまで引き上げる。13年4月が15年ぶりの引き上げであったにもかかわらず、今回は2期続けて、5年間しか経過していないのに、さらにまた引き上げていくといった状況にあります。
3つ目としては、繰り返しですが、企業が抱えている課題が山積し、さらに合理的な配慮の進展が、今後、期待される状況下で、雇用者数をふやしていこうということです。過去に経験していない状況下での取組みに加え、23年4月を見通したときに、企業側の抱えている不安の大きさといったものも御理解いただきたい。そういう意味で、一旦落ち着いて、もう一度前を向いて考えていきましょう。そのための仕組みづくりとして、恒久化という形で、その時点で必要な議論を審議会でもう一回やらせてくださいという趣旨で御提案申し上げた次第でございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
そのほかでいかがですか。
では、工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤と申します。
障害者雇用企業支援協会さん、SACECさんの先ほどの論点6の納付金制度のあり方みたいなところで、財源論について御指摘されていたのですね。そこを非常に興味を持って聞いておりました。すなわち、今、納付金と雇用保険二事業というところで、助成金の関係が運用されているのですけれども、日盲連の意見書というか、要望書の中で提案していることですけれども、失業の防止をするというところで、仮に例えば失業予防給付というものがあってもいいのではないかなと思いました。
というのは、きょうの中でも、中途障害者の雇用継続の重要さということも指摘されていたと思います。そうすると、働いている途中で、視覚障害者の場合には中途で失明する方もいるわけですし、働いている途中で精神を病む方もたくさんおられるのですね。そのほかに、例えば介護が必要になるとか、最近はがんを発症しても、早期治療で結構改善、治って、病気を持ちながらでも働ける。そういうことを考えると、離職を防止するというか、失業を予防する助成金というか、企業というよりも当事者サイドに立った寄附制度のようなことも検討していいかなと思ったのですが、この辺について、SACECさんの御意見をどう思われるか。
それから、経団連さんと連合さんにも、今、言った失業の予防給付のようなことを、助成金の見直しの中で創設していく。それについて、どんな御意見というか、感想をお持ちか、お尋ねしたいと思います。
以上です。
○阿部座長 では、御質問ですので、丹下さん、よろしくお願いします。
○丹下氏 障害者雇用企業協会の丹下でございます。
まず、納付金制度の話でございますけれども、この意見書の中に書かせていただきました。
まず、障害者に対する雇用面のいろいろな支援策は、促進法が特別法として制定しているわけですね。それに対し障害者に限らない雇用安定の全般論については、雇用保険法が担っているという役割分担だと思います。そして促進法におきましては、例えば助成金について、本文のほうで非常に詳細に規定しております。それに比べて、雇用保険法のほうでは、障害者に対する助成金給付については、省令にその細部を委ねているということでございまして、後者のほうが非常に柔軟で弾力的な運用が可能だということだと思います。
それで、これは私どもの推察でございますから、事実と異なっていたら御指摘いただきたいと思いますけれども、納付金財政が雇用の進展によりまして、非常に危機に陥った時期があったと思います。それを契機に特別法である促進法で決めた助成金の多くが雇用保険二事業のほうに移管された。これは、その点でやむを得ない意味があったと思いますけれども、考えますと、これは勘繰りかもしれませんが、運用上の難易によって、二事業に移したほうが弾力的、柔軟に運用できるから、そっちへ移すのだというお考えもなかったわけではないのではないかと私ども、受けとめているわけでございます。
そういうことも考えてみた場合に、雇用保険が雇用の安定ということ全般を見る法律である。促進法は障害者の雇用に専念するべき法律である。そういうことを考えますと、障害者雇用に対する助成制度というのは、促進法に一元的に集中して運用されていいのではないだろうか。そこで例えば財政的に及ばないときに雇用保険が救助に当たるということにすれば、いろいろ改変されて、受給されるほうではわかりにくくなったこの制度がもう少しクリアになって、しかも利用手続も機構に一本化され簡単になるのではないかということを申し上げているということでございます。
それから、御指摘のあった失業を防止するための給付というのは、いわゆる雇用安定事業そのものがその役割を果たしているのではないだろうかという気がいたしますので、個々の失業について、それを防止する助成金というのは、私どもはそういうことを主張させていただいておりませんし、意味がよくわからないというのが本音でございます。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございます。
遠藤さん、お願いします。
○遠藤氏 ありがとうございます。
工藤委員の御指摘の根底にあることとして、データの紹介ですが、納付金に基づく助成金の使われ方がどうなっているのか。2009年度の実績で77億円あったものが、16年度実績で12億円になっています。このデータだけを見てもわかるように、納付金に基づく助成金が十分活用されていない現状は改善していく必要があり、今回、経団連としては幾つかの提言をさせていただきました。
もう一つは、臆測の域を出ないのですが、団体ヒアリングを聞いていたときの状況もあわせて推察させていただくと、工藤委員がおっしゃっているのは、失業を予防するための助成金を、当該事業主ではなくて、当該失業者に対して給付したらどうだろうかということではないかと考えます。雇用保険二事業は、御案内のとおり、事業主の保険料で賄われているものですので、それは事業主に対する助成で整理するということしか、理屈的には成り立ち得ないと思います。いずれにしましても、助成金が有効かつ効果的な使われ方をするという方向性で見直していくということについては、賛同するところでございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、漆原委員。
○漆原委員 連合の漆原でございます。御質問ありがとうございます。
納付金で集めたお金がどう活用されるかというところについては、しっかり精査していく必要があると考えています。ただ、それとは別に、失業を防止する助成金という形での御質問については、これはまさに我々が今回、話をさせていただいた、例えばエルゴノミクスの観点から、例えば年齢が高くなれば体に負荷がかからない。そういった観点の支援ということであれば、仮に納付金とは別に何か支援や助成を考えてもいいのではないかなと思っているところです。それが長期雇用につながれば、それはそれでいいことであるので、そこが納付金と連動するかどうかというところについては、精査した上で考えたほうがいいのかなと思っているところでございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
工藤委員。
○工藤委員 工藤です。
納付金と助成金と給付金という、もともと性格の違うもの。私自身も多少混同していたようなところもありますけれども、これを全体を通して、また論点整理とかされると思いますので、そのときに私どものほうも整理して問題提起していきたいと思っています。
以上です。
○阿部座長 その他、いかがでしょうか。
では、眞保委員、どうぞ。
○眞保委員 法政大学の眞保です。
経団連の遠藤さんのペーパーにもございましたけれども、従業員の高齢化に伴って、就労継続支援A型、B型事業所への円滑な移行を可能とする仕組みというのは、他の団体さんからも高齢化の問題が少し出ていたわけですけれども、具体的にどのような仕組みを今の時点で想定されているのか、お伺いしたいと思います。
○阿部座長 では、お願いします。
○遠藤氏 ありがとうございます。
企業の皆さん方との議論の中で、幾つか確認しなければいけないだろうということがありましたので、御紹介することでお答えになるのではないかと思います。
1つは、追い出すようなことにはならないようにしよう。本人と御相談しながら、本人の了解を得る形をまずもって考えていこうというのが1点目です。
2つ目として、A型事業所も多数ございます。可能であれば、当該事業主側が、働きぶり、状況を考えたときに、こういったA型事業所であれば、この人の働き方がそこで続けることができるのではないだろうか。そういったことに少しでもかかわってもらえたらいいのではないだろうか。ただし、これは状況がいろいろありますので、どこまで求めていいかといったことはあろうかと思います。
3つ目として、繰り返しになりますが、A型に行ったら行きっ放しということではなくて、再挑戦したいといった状況に至ったときには、可能であれば元の職場もあるでしょうし、また地域の中であれば、他の企業といった選択肢もあろうかと思います。個々の働き方を踏まえながら長く働き続けていく環境を地域の中で実現していこう、地域全体の中で雇用の機会を確保していこうという考え方を皆さんと確認しているところです。
○阿部座長 よろしいでしょうか。
その他、いかがでしょうか。
本日、出席されている委員の数が若干少ない。特に、使用者側の委員の方々の出席がございませんので、先ほど石田氏が御質問したいという御意向がありましたので、もしあれば。それ以外にも、本日、御発表の皆さんからも何か御質問等がございましたら、御発言いただいて結構かと思いますので、よろしくお願いします。
では、石田様。
○石田氏 石田でございます。
質問ですが、採用試験の段階で募集条件に差別表現がある例があったとおっしゃっていましたが、これについて具体的に教えていただけますか。
○阿部座長 今のは、連合の報告に対してですね。
○石田氏 はい。
○阿部座長 では、漆原さん、よろしくお願いします。
○漆原委員 多分、そういうご質問が出るかと思いまして、原本を持参してまいりました。今、手元に持っておりますのが、都道府県の教員採用試験のものでして、特別選考の中に、身体障害者を対象とした特別選考というところがありまして、その中には1から3までの要件があります。「自力通勤ができ、かつ介助者なしに職務遂行できる者」といったことが記載されており、採用するかどうかはともかくとして、募集段階にそれはさすがにまずいのではないかということで、ある県で私どもの組合が県庁と話をして、それを撤廃していただいたということがありまして、一つの県でできるのであれば、ほかの県でもできるのではないかといったものです。もしよろしければ御参考までに。
○石田氏 私どもの業界でなくてよかった。ありがとうございました。いずれにせよ、注意はさせていただきます。
○阿部座長 ありがとうございます。
その他、いかがでしょうか。
では、工藤委員、お願いします。
○工藤委員 これは、私が知らなかったのかもしれないですけれども、連合さんのほうから職業生活相談員が義務化されるとなっているのですが、職業生活相談員は5人以上雇用している企業。これは、既にそうなっているのかなと思っていたので、どういうことかな。多分、私が思っていることと違うことかなと思いましたので、御説明いただければうれしいです。
○阿部座長 漆原委員、いいですか。もし事務局のほうも何か参考になるものがあれば、お願いします。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
申しわけございません。多分、義務化されているということですけれども、私どものほうの分野から見ますと、職場でどういう問題があるか、相談窓口をどうするかというところで以前から検討されているところがありまして、それが前の記載が入ってしまったのかもしれないと思っているところでございます。これは、最後の論点6の職場内の苦情処理の体制と関連するのですけれども、何か問題があったときは、どういう流れで、どういうふうに話を持っていくのか。それを相談員に最初にアプローチするのか、あるいはどこかほかの窓口を使うのかという論点のつながりで、前の記載をしてしまいました。申しわけございませんでした。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤です。ありがとうございました。
例えば、合理的配慮を求めるときに申し出る先であるとか、どなたからそれを申し出るのか。たしか連合さんの中には、第三者のほうからの申し出ということもあったと思いますので、私たちとしては非常に大歓迎する提案であると思います。
以上です。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
義務化されるというのは、もともとというのがございますが、もしこういう御意見があったとすると、恐らく法定雇用率が上がることによって、当然5人雇わなければならない会社がふえてきますので、結果的に義務の対象になるようなところがふえてくるということで、そういう御意見があるのかなと思っております。
○阿部座長 ほかに御質問、あるいは何かございますか。
では、本條委員、どうぞ。
○本條委員 事務局に対する質問でもよろしいですか。
○阿部座長 はい。
○本條委員 実は、きょうの御意見の中で、有期雇用労働者の無期転換ということについて、2つの団体から御意見があったわけでありますけれども、健常者と言ったらあれですけれども、法制度上はどうなっているか。当然のことながら、障害者であったら別だということはないと思いますので、1年契約でという問題です。
○阿部座長 では、よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
制度の詳細については、しっかりお答えすることはなかなか難しいところがありますが、いずれにしても、障害がある人について、制度上、分離しているということはないと承知しています。
○阿部座長 本條委員、よろしいですか。
○本條委員 連合さんから、有期雇用の障害者にも適用されることを事業者、労働者に対して広く周知していくことが重要と書かれていますので、ぜひ周知を。
○阿部座長 私が言うのも何なのですけれども、全般的に有期から無期への話というのは、周知がなかなか進んでいない。健常者、障害者に関係なく、全般的にということをお伝えしたかったのかなという感じがしますが、中でも障害者の方にはまだまだ周知されていないところがあるという御意見は伺っているということだろうと思います。
では、遠藤さん、どうぞ。
○遠藤氏 御参考となる情報でもないのですが、先ほどの募集採用にかかわる部分につきましては、去年だったかと思います。一般求人にかかわる書きぶりとして、心身ともに健全な方であるといった書き方をすると、それは障害のある方々にとって応募する機会が失われるのではないかという指摘が注目されました。
募集採用情報のスペースが十分でない場合の制約もありますけれども、可能な限り、具体的にどんな仕事をしてもらう方を求めているのかを明示していく。心身の健全な方にとどめないで、その後に括弧書きで、障害があっても、こういう仕事ができるのであれば応募できるということがわかるように、行政サイドで調整し、そして周知が図られたと記憶しています。
○阿部座長 石田さん。
○石田氏 1つ、経団連の遠藤さんにお聞きしたいです。経団連さんの資料に「目標達成や雇用管理改善を評価するなどの制度を目指して」と書いてありますが、具体的に何かイメージされていることがあったら、参考のためにお聞かせください。
○遠藤氏 これは3本目の柱ということで、中長期的な観点から検討していきましょうという趣旨です。その方向性については、経団連として、こういう形で行こうというところまで議論が詰められているものではございません。冒頭申し上げましたように、まずは、現行の運用のあり方等についてどうしていくのか。次に、納付金のあり方については、助成金の予算確保をするための御提案を幾つかさせていただきましたので、私どもとしては強力に推進していきたいと思います。
○石田氏 ありがとうございました。
○阿部座長 その他、いかがでしょうか。
では、志賀委員、どうぞ。
○志賀委員 のぞみの園の志賀です。
質問する内容なのか、悩みながら考えていたのですけれども、雇用の分野における合理的配慮の問題に関係することで、連合さんのほうから苦情処理の体制整備、いわゆる相談窓口等という話だったと思います。雇用保険の話とか、全部そうだと思いますけれども、障害者だからというのがなかなか難しい中で、すごく悩ましい問題かなと思います。実は、違う分野になりますけれども、障害者の虐待防止のほうは、障害者対象で、法律上も使用者は体制整備しなさいと書かれてあるのです。あれをそのまま障害者のみにという体制整備がなかなかできないのが現状だと思います。そういった意味で、多くの会社ではハラスメントの窓口等を使いながらという話だと思います。
そうなると、ここに書いてあるように、第三者からの通報といったものがなかなか入りづらい。本人からでないと難しいという課題があるのかなと思って聞いておりました。質問というわけではないのですけれども、この辺は、障害者のみにすると、意外と間口を広げるものはできるのだけれども、実態としては、制度上、事業所内あるいは地域単位ではなかなか難しい課題で、この辺の権利を守る部分、合理的配慮を守る部分というのは、言われるほど簡単ではないのだなと思って、きょうも聞かせていただきました。感想です。
○阿部座長 何か言われますか。では、漆原委員。
○漆原委員 連合の漆原でございます。
そこが難しいという意識をこちらとして持っておりまして、ですので、第三者からの申し出を可能にしてはどうかと、最後に記載させていただいたところでございます。
確かに、ハラスメントの窓口、パワハラはともかくとして、セクハラとかマタハラといったところは、外部に窓口を用意しているところもありまして、一括して受け付けているところもあると思いますが、苦情処理の体制と合理的配慮を求めるところは、多分違う分野だと思うので、そこのつくり込みというのは、確かに課題は多いと思います。そもそも合理的配慮をしてほしいのだけれども、なかなか言い出せないという障害者が多いというのも、アンケート等でこちらも把握しておりまして、しかるべき対応が必要だとして、誰がそれを担うことができるのかといったときに、こういう記載をさせていただいたところでございます。
あと、苦情処理のところも、合理的配慮と重なる部分もあるのかもしれないですけれども、労働組合が一部担っているところと、労働組合がない事業所も多い中で、そうした苦情処理を誰が体制を整備していって、どういうふうにするのが望ましいのかというのを示していただくことでもちょっと変わってくると思いますので、そうした対応を規定してはどうかという記載をさせていただいたところでございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
それでは、眞保委員、どうぞ。
○眞保委員 法政大学の眞保でございます。
日本商工会議所さんの資料についての質問でございます。さまざまなところで中立的なアドバイスをする中間者という言葉が使われているのですが、現段階で具体的に中間者となり得る団体なり、あるいはそうした人の資質なり、具体的イメージがあればお教えいただきたいなと思いました。
○阿部座長 では、お願いします。
○高野氏 日本商工会議所の高野です。御質問ありがとうございます。
就労移行支援事業者やジョブコーチをイメージしています。既に制度上、中立の立場でアドバイスをしてくれる支援者として存在していると認識はしているのですが、もっと活躍して頂くことが必要ではないかと考えています。
○阿部座長 よろしいですか。はい。
では、遠藤さん、どうぞ。
○遠藤氏 確かに地域は地域なりのネットワークがあって、それをどこまで当該企業が使っているかというところに、恐らく濃淡があるのだと思います。そういったことも踏まえつつ、今回、御提案をさせていただいたのは、公的機関の役割とは別に、例えば地域の中で経験豊富な中堅企業が、経験の乏しい企業に対してアドバイスをしていく。場合によっては、手取り足取り、いろいろお話をしてあげるといったことまでも含めて、地域内の連携です。それは、企業間ということを前提にした形の仕組みづくりであり、今後は必要ではないかと考えています。
○阿部座長 ありがとうございます。
いかがですか。
では、本條委員、どうぞ。
○本條委員 事務局等に対する要望なのですが、きょうは経団連さん、商工会議所さんから、福祉施設等への発注額を雇用率に換算するということを考えてほしいという貴重な御意見がありました。御検討いただきたい。
○阿部座長 それは、また後ほど我々で議論する場があると思います。
では、遠藤さん。
○遠藤氏 誤解があるようでしたので、もう一度確認したいのですが、発注した部分について、仮に納付金を支払う場合は、一定割合を充当しようという御提案をしています。雇用率換算のみなし雇用については一切提案しておりませんので、申しわけございません。
○本條委員 わかりました。
○阿部座長 どうぞ。
○中原氏 先ほど発表させていただきまして、ちょっと要領がわからなくて、たくさんまとめてはきたのですけれども、それは言わなかったのです。私、福岡市ですが、福岡市から、きょう、ここに来るに当たって、障害者当事者と障害者の就労支援をやっている事業者と、いろいろお話させてもらったのですが、幾つか、今後の進め方ということで、お願いということでまとめてきたのです。
障害者雇用が今後進んでいくためにはというテーマで、代表して書いてきたのですが、障害当事者が就労に対する意欲を高め、就労に必要とされる能力の開発向上が必要である。これは、我々、働きたいという当事者がもっとスキルを上げていくというのが一番のことです。
それから、障害の特性を理解し、企業とのマッチングを図り、作業支援やコミュニケーション支援、また職場環境を整えていくための支援など、ジョブコーチを活用した就労支援を提供するために、その人材の育成が必要であるということですね。
それから、福祉的就労と一般就労など、これからの雇用の考え方の整理が必要であるということです。これは、先ほどからお話が出ておりました。
それから、企業への障害者雇用に係る啓発、周知を図ることが必要ということです。
それから、企業に対する障害者雇用支援を提供することが必要。
次に、就労支援の現場においては、予算の縮小に伴い、支援者がふえず、続かず、専門家が育ちにくい土壌になっている。支援者が継続して就労支援にかかわれるよう、労働環境の整備など行政のバックアップが必要ではないかということ。
あと、教育、医療、福祉、労働などの専門機関が効果的に、また有機的に機能できるネットワーク体制づくりが必要。
こういうふうに障害者が安心して意欲を持って就労し、働き続けられる環境を整えていくこと。それが、企業が社会的責任を果たす中で、企業自身が自主的に障害者雇用に取り組み、人材として戦力化していくことができるよう、相互への支援が必要ではないでしょうかということですね。まだ十分とは言えませんが、障害のある方も勤労の義務を果たすべく、職につく権利がしっかりと構築できるよう、よりよい支援を提供できるようになればありがたい。
これは障害当事者と支援業者で、お願いと、これからの進め方ということでまとめてきました。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
工藤委員、どうぞ。
○工藤委員 日盲連の工藤と申します。
日身連さんの論点1で、手帳を所持していない障害者というところがありまして、いろいろな助成金が使えるのに、まだまだ周知されていないということ。
それと直接は関係ないのですが、視覚障害者の場合、例えば中心が見えない中心暗点とか、羞明、まぶしい。それから、眼瞼けいれん。手帳には該当しないのですね。でも、就労は非常に困難なのです。そういう方は、実際、医師の意見書で職業訓練とか、そこまで受けられる。ところが、雇用率にはカウントされないというところで、それだけでも在職して中途の場合はそれで救われるケースが結構あるのですが、新規の就職ということになると、手帳がないと非常に難しい事例があります。その辺は、日身連さんが手帳を所持していない人というところでは、今、言ったように、助成金の周知だけで十分なのか、雇用率まで検討してほしいのか。その辺の御意見をちょっとお聞かせいただければと思います。
以上です。
○阿部座長 では、お願いします。
○中原氏 御質問ありがとうございます。
私どもは、基本的には当事者としては、手帳は関係なく、全障害ということを対象にしているのですけれども、いろいろな政策、サービスを利用するに当たっては、どうしても手帳が必要という状況でございます。もっと門戸を広げていきたい。これは視覚障害者だけの問題ではなくて、先ほどからお話が出ております精神障害の方々がこの分野に入ってこようかと思っておりますので、そこのところの門戸も今から広げていただく課題ではなかろうかと思っておるところでございます。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
その他、なければ、きょうはこのあたりで終了とさせていただきたいと思います。
私、きょう、長丁場だったので、確かに工藤委員がおっしゃるように、一旦休憩を挟んでというのもあってもよかったかなと思っております。今後、少しこの点、事務局と考えていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
それでは、次回の開催について、事務局よりお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
次回は、12月22日金曜日、13時からを予定しておりますので、よろしくお願いいたします。
○阿部座長 お忙しい中、御発表の皆様には検討会に御足労いただきまして、ありがとうございました。御礼申し上げます。
それでは、これをもちまして本日の研究会は終了させていただきます。本日は、お忙しい中、ありがとうございました。