第1回今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会(議事)

職業安定局雇用開発部障害者雇用対策課

日時

平成29年9月20日(水)15:00~17:00

場所

厚生労働省職業安定局第1・第2会議室(12階)
(東京都千代田区霞ヶ関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館)

議事

 ○障害者雇用対策課長補佐 ただいまから、第1回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。
参集者の皆様方には、本日、御多忙のところ御参集いただきまして、大変ありがとうございます。
座長が選出されるまでの間、事務局で司会を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。私、厚生労働省の障害者雇用対策課の課長補佐の高沢と申します。よろしくお願いいたします。
まず、研究会の開催に当たり、当部の雇用開発部長より御挨拶申し上げます。
○雇用開発部長 皆さん、大変お世話になります。
今回、「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」を開催させていただくに当たりまして、御多用のところ御参集いただきまして、ありがとうございます。
障害者雇用につきましては、関係各位の皆様の御努力もありまして、最近、非常に進んでいるというのが我々の認識でございます。就業を希望される方も増えていますし、また、企業の理解も相当進んできているなという認識を持ちます。それに加えて、地域の各関係団体、就労支援団体の活躍であったり、連携も進んできているのが今の状況であろうと思います。
そういった状況の中で、私ども、障害者雇用促進法を所管しているわけですけれども、来年4月から精神障害者の方の雇用を義務化することによって、雇用率を2.2%へ引き上げるところであり、3年を経過する日より前に2.3%まで引き上げるというのが今の我々の立っている状況であります。
今後とも、特に大企業を中心としまして、障害者の方の雇用は進んでいくと思っております。量的には相当進んでいくだろうと思っていますが、一方で、これから問題になるのは、そうした障害者の方々の雇用をいかに質の面で担保していくか、障害者が働きやすい雇用環境をいかにつくっていくかということになっていくだろうと思っています。特に、中小企業はまだまだ問題があると思っていますし、また中高年になるに従って、高齢者の方、障害者の方もなかなか働きにくいという状況もあるだろうと思っています。そういったことを一つ一つ議論しながら、解決に向けて、我々の方向を探っていければと考えております。
特に、今年3月に、政府としては「働き方改革実行計画」を策定したところであります。ここでも、障害者雇用については、希望や能力、適性を十分に活かして、障害の特性等に応じた活躍ができる社会をつくっていく。また、障害者とともに働くことが当たり前の社会をつくるという方向が明示されています。そういった方向に向けて私どもも努力していきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
1つ私からお願いがあるとすれば、この議論を来年の夏まで続けさせていただきたいと思っています。途中の過程では、いろいろなやりとりがあると思います。どうぞ自由率直に意見交換をしながら、よりよき方向を目指していきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 それでは、本日は第1回目でございますので、各参集者の皆様方と事務局のメンバーを紹介させていただきます。
まず、名簿の順に従って、参集者の方の御紹介をさせていただきます。
中央大学経済学部教授、阿部委員。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 日本身体障害者団体連合会副会長、加賀委員。
○加賀委員 加賀です。よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 日本盲人会連合総合相談室室長、工藤委員。
○工藤委員 工藤です。よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 本日、久保委員におかれましては御欠席となっております。
続きまして、株式会社大協製作所代表取締役会長、栗原委員。
○栗原委員 栗原です。よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 富士通株式会社ダイバーシティ推進室長兼人事本部シニアディレクター、塩野委員。
○塩野委員 塩野です。どうぞよろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 国立重度知的障害者総合施設のぞみの園研究部長、志賀委員。
○志賀委員 志賀です。よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 続きまして、本日、眞保委員におかれましては、御欠席となっております。
続きまして、福島大学行政政策学類准教授、長谷川委員。
○長谷川委員 長谷川です。どうぞよろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 続きまして、本條委員におかれましては、本日御欠席となっています。
最後に、日本労働組合総連合会総合労働局雇用対策局長の吉住委員。
○吉住委員 吉住でございます。よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 よろしくお願いいたします。
続きまして、事務局のメンバーを紹介いたします。
坂根雇用開発部長でございます。
○雇用開発部長 よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 中村障害者雇用対策課長。
○障害者雇用対策課長 よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 田中地域就労支援室長。
○地域就労支援室長 よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 続きまして、新田主任障害者雇用専門官。
○主任障害者雇用専門官 よろしくお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 続きまして、中村障害者雇用対策調査官。
○障害者雇用対策調査官 よろしくお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 最後に私、高沢でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、早速ですが、研究会の運営に入らせていただきたいと思いますが、まず研究会の運営に当たり、委員の皆様にお願いがございます。障害者雇用分科会でも全く同じことをお願いしておりますが、視覚・聴覚障害などをお持ちの方の皆様への情報保障の観点から、御発言をされる際には必ず挙手をしていただきたいということ。また、挙手をした方に対しては、今後、座長が決定いたしますが、座長から指名させていただく。その後、指名を受けた方は、氏名を名乗ってから発言していただくということを徹底させていただきたいと思いますので、御協力よろしくお願いいたします。
続きまして、お配りしている資料1について、私のほうから簡単に説明させていただきたいと思います。資料1は、今般の研究会の開催要項となっております。
開催の趣旨・目的につきましては、先ほど坂根雇用開発部長からも御説明させていただいたとおりでございますが、簡単に読み上げさせていただきます。
我が国の障害者雇用については、近年、障害者の皆様の就労意欲の高まりであるとか、企業の理解や取組の進展、就労支援機関等の支援体制の充実といった形で、まさに雇用者数については大幅に増加しているということでありますとか、そうした中でも、特に知的障害の方あるいは精神障害の方など、さまざまな障害の方が働くという環境になっていくなど、大きな変化が生じている状況にございます。
一方で、こうした中で、「働き方改革実行計画」にも示されておりますとおり、多様な障害特性に対応した雇用の促進とか職場定着の支援といった、いわゆる雇用の質を改善していく、さらに引き上げていくといった観点を考えていきますと、障害のある方が希望や能力等に応じて活躍できることが当たり前の社会を実現していくためには、まだまださまざまな対策をしっかり講じていく必要があるのではないかということを考えている次第でございます。
このため、今般、労使あるいは障害者関係団体の当事者の皆様からなります研究会を開催いたしまして、障害者雇用促進制度の中心的役割を果たします納付金制度あるいは雇用率制度のほか、制度の全般について幅広く御検討いただければと思ってございます。
主な検討事項としては、(1)から(3)と書いてありますが、障害者雇用促進制度全般について御議論いただければという趣旨でございます。
また、研究会の運営につきましては、先ほど御挨拶申し上げました雇用開発部長が、学識経験者の皆様方の参集を求めまして開催するものでございます。
研究会の座長については、後ほど互選により選出していただきたいと思っております。
また、委員の皆様方以外に関しましても、必要に応じて関係者の皆様の参加を求めることができるとしておりまして、庶務につきましては、私ども障害者雇用対策課において行ってまいりたいと思ってございます。
また、参集者につきましては、先ほど御紹介したとおりですが、次のページの別紙で委員については御紹介しておりまして、開催時期については、今回、第1回ということで、平成29年9月から、おおむね1年程度で議論を進めさせていただきたいと思っております。
資料1につきましての御説明は以上でございます。
続きまして、本要綱に従いまして、早速、座長の選任に入らせていただきたいと思いますが、座長の選任につきまして、どなたか御推薦がありましたらお願いいたします。
○栗原委員 よろしいでしょうか。栗原です。
座長につきましては、障害者雇用分科会等で会長を務められている阿部委員が適任であると推薦させていただきます。
○障害者雇用対策課長補佐 ただいま栗原委員より、阿部委員を座長にという御推薦がございましたが、皆様いかがでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○障害者雇用対策課長補佐 それでは、皆様、賛成いただいたということですので、本研究会の座長を阿部委員にお願いしたいと思います。
それでは、阿部先生、ここからの議事進行については、よろしくお願いいたします。
(阿部委員 座長席へ移動)
○阿部座長 阿部でございます。よろしくお願いいたします。
この研究会、今後の障害者雇用の在り方に関して、非常に大事な研究会だと思っております。先ほど部長からもお話がありましたけれども、皆様からぜひ自由で率直な意見をお寄せいただきまして、これからますます障害者雇用が促進するように、いい研究会にしていきたいと思いますので、ぜひ皆様、御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは、まず、この会議で議事の公開についての申し合わせをしておきたいと思いますので、事務局から説明をお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 参考資料1「審議会等会合の公開に関する指針」というものがございますので、そちらをご覧いただければと思います。
中身につきましては、会議の公開について、厚生労働省における審議会等会合の公開に関する指針というものにおきまして、定めているものが幾つかございます。
1つは、これらの会合については、個人に関する情報を保護する必要がある場合ですとか、特定の個人など、さまざまな情報がありますが、そうした専門的事項を審議するために、公開すると外部からの圧力であるとか干渉等の影響を受けるなど、率直な意見交換あるいは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合、あるいは、公開することにより市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や臆測を招き、不当に国民の混乱を生じるおそれがある、あるいは、公開することで特定の者に不当な利益あるいは不利益を与えるおそれがあるという特別な事情がある場合を除きまして、原則公開することとさせていただきたいと思ってございます。
また、特段の事情により、会議または議事録を非公開とする場合にあっては、その理由を明示することとされておりますので、こちらについても、仮にそうしたことになる場合には、そういう対応をとっていきたいと思っております。また、これに従いまして、本研究会につきましても、議事及び議事録につきましては、原則公開という扱いにさせていただきたいと考えております。
なお、回を重ねていく中で、委員の皆様から議題等について非公開にすべきという御意見があった場合につきましては、会議及び議事録の公開について、その取り扱いも含めまして、都度、皆様に御相談することとさせていただきたいと思ってございます。
また、配付資料につきましても、原則、議事及び議事録と同様に公開することを前提としておりますが、先ほども幾つか申し上げましたような、個人情報にかかわるとか、不当な利益あるいは不利益が及ぶ可能性があるという、取り扱いに注意が必要な場合には、その旨を表示した上で非公開の扱いとさせていただくと考えております。その場合も、皆様に御相談の上で決定していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
参考資料1につきましては、以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございます。
では、今、御説明がありましたけれども、この会議の公開方法に関しては、何か皆様から御意見ございますでしょうか。特によろしいでしょうか。はい。
それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。議題2「今後の研究会の進め方」について事務局から説明を受けたいと思います。それでは、「今後の研究会の進め方」について説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 それでは、資料2-1と書いてある、3枚紙のホチキスでとめてある紙があるかと思いますが、そちらをご覧ください。
資料2-1は、「今後のスケジュール」ということで、大まかなスケジュールを書いてございますが、今回、第1回ということで、平成29年9月20日に研究会の開催をさせていただきました。今回は、今後の進め方でありますとか、私どものほうから現状を整理した資料を後ほど御説明しますが、障害者雇用の現状等について御説明した上で、皆様から現時点での率直な御意見を伺えればと思っております。
その後、次回からは、3回から4回程度、関係者からのヒアリングを行いたいと思っております。ヒアリング先につきましては、次のページをご覧いただければと思います。こちらも現時点では案段階でございますけれども、当事者の皆様の当事者団体あるいは労使、就労支援機関の全国団体等を含めまして、合計13団体からヒアリングを行いたいと思っております。こちらも、研究会の中で公開のもとでヒアリングを行いたいと思っておりますが、おおむね3回から4回程度開催いたしまして、本年12月ごろには、そうした13団体からのヒアリング、あるいはそれに対する委員の皆さんからの御意見を踏まえる形で、一旦、ヒアリング等の意見を整理していきたいと思っております。
年内でそうした意見をできれば一旦整理させていただいた上で、来年1月以降はヒアリング、あるいはその中で委員の皆様から出された意見を踏まえまして、各論点ごとに意見交換していくという中で、おおむね1年程度、来年夏ごろを目途に今後の障害者雇用促進制度の在り方についての、その時点での方向性というものを整理していきたいと思っております。そうした形で、今年に関してはおおむねヒアリングとその整理、来年においては、個別の論点の整理ということをさせていただきたいと思っております。
また、具体的なヒアリングの項目についてですが、3枚目の資料2-3をご覧いただければと思います。この中では6項目書いておりますが、基本的には幅広く御意見を伺えればという前提のもとで、整理のために6項目を示させていただいているものでございます。
1つ目の項目は、現状について、どのように考えているかということを各団体の皆様から伺いつつ、委員の皆様からも御意見をいただきたいという趣旨のものでして、読み上げさせていただきますと、障害者雇用については、就労希望者の着実な増加や、就労希望者における障害特性の多様化、企業理解や取組の進展、地域の就労支援機関の充実等、様々な変化が見られるが、現状について、どのように評価することができるのか。ということで、まず現状についての、皆様あるいは各団体からの御意見を伺いたいと思っております。
2つ目以降が個別の論点という形になりますが、2つ目が、主に障害者雇用の質の向上といったものについて幅広く伺いたいという趣旨でございます。読み上げさせていただきますと、近年、障害者雇用者数は大幅に増加しつつあるが、雇用の量に加えて、希望や特性に合った仕事で長く安定的に働き続けられる等、いわゆる雇用の質の向上を図るためには、雇用継続を支援する措置やキャリア形成を促進する措置、雇用管理改善をはじめ、どのような対応が求められているのか。特に、平成30年4月から雇用が義務化される精神障害者をはじめ個別性が高く就労支援が困難とされる方や、体力等が徐々に低減していく中高年齢層の障害者の方などについて、希望に応じた働き方を実現していくためには、どのような対応が求められているのか。
また、3点目も、幅広い意味での就労の質の向上ということであろうかと思いますが、多様な働き方を実現するためにはどうしたらいいかということを皆様に伺いたいという趣旨でございます。読み上げさせていただきますと、ICT技術の発展等に伴い、時間と場所を有効に活用できる多様で柔軟な働き方が拡がっていくと考えられるが、障害のある方についても、テレワークや在宅就業を含め、希望や特性等に応じた働き方を実現するためには、どのような対応が求められているのか。
続きまして、4点目以降も各論点でございますが、中小企業を初めとする対応ということでございますが、依然として、中小企業では障害者雇用が停滞している状況にありますが、障害者とともに働くことが当たり前の社会を作り上げていくためには、中小企業等に対してどのような対応が求められているのか。
また、5点目ですが、障害者の希望や特性に合った働き方を実現するため、地域の就労支援機関や、教育、福祉、医療等の現場において、どのような支援策や連携関係構築が求められているのか。
これらの4点は、雇用の質の向上を含めまして、中小企業対策あるいはテレワーク等々の対策を含めまして、これらについて、最後の6点目で、こうした現状や論点を含めまして、障害者雇用率制度や障害者雇用納付金制度等、障害者雇用促進制度には、どのような対応が求められているのか。
そうした意味で、1点目が現状の認識で、2点目から5点目がそれぞれの論点でございますが、2点目、3点目が雇用の質の向上あるいは働き方の向上、4点目が中小企業の対応、5点目が各種支援機関等との連携構築。それらを踏まえて、制度の在り方そのものをどう考えていくかといったところについて、6点、ヒアリング項目を設定させていただいております。各団体の皆様からは、こうした項目にそれぞれ沿う形でヒアリングをさせていただいた上で、委員の皆様方からも意見をいただければと思っております。
資料2につきましては、以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
ただいまは、今後のスケジュールと、これから12月までに行うヒアリングについて御説明いただきましたが、この次の議題3とも関連してくる部分もあるかと思うのですが、今の時点で何か御質問や御意見等があれば、お聞きしたいと思いますが、いかがでしょうか。
工藤委員。
○工藤委員 日本盲人会連合の工藤と申します。
先ほど、ヒアリングの団体、13団体でありましたけれども、私は視覚障害者の立場なのですけれども、この中に、具体的に申しますと、例えばろうあ連盟であるとか、視聴覚関係の方が入っていないと思います。これはあくまでも案ですので、そういうところも、もしこの中に必要であればヒアリング対象に加えるとか、さらには文書等での発言とか、そういうことも可能なのでしょうか。
○阿部座長 それでは、事務局、御質問ですので。
○障害者雇用対策課長補佐 厚生労働省でございます。
ただいまの御指摘につきましても、しっかり踏まえて対応していきたいと思います。ただ、研究会自体はどうしても時間の制約もございますので、公表の場だけではなくて、個別に伺って、お話を伺うということも含めまして、さまざまな御意見をしっかり伺った上で、今後の議論に生かしていきたいと思っております。
○阿部座長 工藤委員、よろしいですか。
○工藤委員 済みません、もう一つ。
私、資料をこうしていただいても、点字そのものもなかなか速く読めないということもありまして、先ほど中身について読み上げていただきましたけれども、できるだけ私たちも聞いてわかるような形で御配慮いただければと思います。
それと、例えば年内にヒアリングが終わったと。その後、論点ごとの議論を進めるということですが、必要があれば、適宜、文書等で意見書提出は可能なのでしょうか。
○阿部座長 御要望もありましたけれども、御質問もありましたので、事務局からお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 厚生労働省でございます。早口であることはふだんから指摘されていますので、ゆっくり話したいと思います。申し訳ありません。
御要望につきましては、今回は資料の準備もなかなか進んでいないところもございまして、大変御迷惑をおかけしておりますが、できる限り点字の資料等を事前にお渡しする、あるいは事前に御説明に伺うなどの対応はしっかりとらせていただきたいと思っております。
また、当日の意見書につきましても、御相談いただければ、御意見については、提出いただければと思っております。
○工藤委員 ありがとうございました。
○阿部座長 ありがとうございました。
今、工藤委員からの御要望ですけれども、この会議をうまく進めるためにも、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
その他、いかがでしょうか。なければ、議題3に移りたいと思います。「障害者雇用の現状等」についてですが、まず資料3を事務局から説明していただきたいと思います。その後、皆様と意見交換の時間をしっかりとりたいと思います。
それでは、事務局から資料の説明をお願いいたします。
○障害者雇用対策課長補佐 厚生労働省障害者雇用対策課でございます。
それでは、資料3「障害者雇用の現状等」と表題を書いておりますが、1ページ目をお開きいただければと思います。
全体の構成といたしましては、前半部分、障害者雇用対策の概要について整理させていただいております。こちらは既に御存じの皆様もいらっしゃるかと思いますが、改めて研究会を始めるに当たって、全体の体系を整理したものでございます。後半は、障害者雇用の現状あるいは雇用の質の改善といったことに関する、幾つか分析したものを載せております。資料が少し多くなっておりますので、一部飛ばしたいと思いますが、全体を説明したいと思います。
まず、1ページ目は障害者雇用対策の概要とありますが、2ページ目をご覧いただきますと、障害者雇用対策の趣旨、これまでの経緯等と書いてございます。
こちらは制度の歴史を整理したものでございますが、上の背景・趣旨というところをご覧いただきますと、障害者雇用促進法においては、現状、雇用あるいは就業というものが、障害者の皆様の自立あるいは社会参加のための重要な柱であるという前提のもとで、障害のある方が、適性に応じて、能力を十分に発揮して働くことができるようにしていく必要があるという理念のもとで、障害者雇用促進制度というものをこれまで構築してきているというものでございます。
一方で、現状の※のところですが、「働き方改革実行計画」をご覧いただきますと、そうした前提に加えまして、障害のある方の自立というだけではなくて、社会のありようをどう考えていくかということも、政府としては考えていかなければならないだろうということが盛り込まれておりまして、現状の方向性としては、障害者の皆さんも含めまして、希望や能力、適性を十分に活かして、障害の特性等に応じて活躍できることが普通の社会、あるいは障害がある方と共に働くことが当たり前の社会を目指していく必要があるという考え方に基づきまして、障害者雇用対策というものを現在進めている状況でございます。
下の年表については割愛させていただきますが、昭和35年につくられた制度でして、昭和51年に雇用義務化ということで現行制度がつくられたというものでございます。
3ページをご覧いただきますと、法定雇用率の対象となる障害者の範囲の変遷とありますが、昭和51年に制度がつくられた時点では、身体障害者の方のみが法定雇用率の算定の対象という形でございましたが、昭和63年に知的障害の方について実雇用率に追加することを行いました。
その後、約10年間を経て、平成10年7月からは、法定雇用率の算定基礎の対象、いわゆる法定雇用義務の対象に身体障害の方と知的障害の方、両方を入れるという形になっております。
その後、平成18年からは、精神障害の方についても実雇用率に追加するといった中で、この10年間は、精神障害の方については、雇用義務の対象ではないけれども、実雇用率の算定対象であるということでやってきておりましたが、来年4月、平成30年4月からは、精神障害の方についても法定雇用率の算定基礎の対象ということで、いわゆる雇用義務の対象に、身体、知的、精神の3障害について、全てが雇用義務の対象になるという動きでございます。
4ページをご覧いただきますと、障害者雇用対策についてということで、制度の根幹といいますか、前提となる部分としては、マル1障害者の雇用義務の関係ということで、1つは雇用率制度、もう一つが障害者雇用納付金制度というものがございます。こちらも御存じの方が多いと思いますが、簡単に御説明申し上げますと、法定雇用率制度自体は、事業主に対して従業員の一定割合以上の障害者の雇用を義務づけているものでございます。現行ですと、民間企業2.0%、国、地方が2.3%になっております。
右側の障害者雇用納付金制度につきましては、民間企業につきまして、法定雇用率と同水準である基準雇用率を用いまして、その基準雇用率を上回って雇用されている事業主には、1人当たり2万7,000円の調整金を支給するとともに、下回っている場合には1人当たり月5万円の納付金を納めていただくということで、その納付金・調整金のやりくりを障害者雇用納付金制度という財政の中でしているというものでございます。こちらは、独自財源として、障害者雇用制度の中では、調整金のほかにも各種助成金等を支給しているということで、障害者雇用の促進に寄与している制度でございます。
また、そうした職業紹介・地域就労支援でございますが、ハローワーク、障害者就業・生活支援センター、地域障害者職業センターと、さまざまな就労支援機関が役割分担のもとで地域の中で連携しているところでございます。こちらの関係については、時間の都合もございますので割愛いたしますが、また後で必要であれば、御質問いただければお答えしたいと思っております。
次の5ページをお開きいただければと思いますが、障害者雇用率の見直しということで、こちらは先ほど雇用開発部長からも御紹介いたしましたが、来年4月からは現行2.0%の雇用率が2.2%に引き上げられるという形になっております。また、3年を経過する日より前ということで、改めて議論をお願いすることになりますが、平成33年4月が到来するより前に2.3%に雇用率を引き上げることになってございます。
また、6ページ、障害者雇用納付金制度については、先ほどの御説明をもう少し丁寧に書いたものでございますので、割愛させていただきたいと思います。
7ページをご覧いただければと思います。こちらは、障害者雇用納付金制度の財政状況についてというものでございます。直近は単年度収支黒字となっておりますが、納付金財政自体は、平成18年度以降、25年度まで連続で赤字となっておりました。26年度以降は、障害者雇用率が引き上げられたことなどに伴いまして、財政収支が改善いたしまして、現状は積立金額が172億円という形になっております。仕組みの前提としては、障害者雇用自体が改善していくに従って納付金財政が厳しくなっていくと、シンプルに申し上げればそういう制度になっていると思います。
8ページは、先ほどのハローワーク、障害者就業・生活支援センター、障害者職業センターの御説明でございますが、近年、支援体制が充実しているという御説明でございますけれども、詳細は割愛したいと思います。
続きまして、9ページ、10ページをお開きいただければと思いますが、9ページもハローワーク、障害者就業・生活支援センター、障害者職業センターについて、就業準備段階から定着段階までをフローにして整理したものでございます。こちらも参考としてお配りしておりますが、今回の御説明は割愛したいと思います。
続きまして、10ページですが、障害者雇用に関する現行の助成措置についてでございます。
こちらは、雇い入れから施設整備、環境整備、能力開発の現行の助成金。雇用保険事業の助成金と納付金助成金の助成金、双方ございますけれども、それらの助成金について目的別に整理したものでございます。その中で色塗りをしているところが最近10年間で新設された助成金でございまして、ご覧いただきますと、雇い入れ助成金については、近年、大幅に充実してきているところでございまして、特定求職者雇用開発助成金、いわゆる特開金をはじめとしまして、各種メニューがそろえられているという状況でございます。
また、環境整備の一番上ですが、今年度から障害者雇用安定助成金につきまして、ジョブコーチによる支援とか正規・無期転換、あるいは勤務時間の延長等に対して支援するということで、障害のある方が長く働けるような環境整備をするための助成金というものも整備しておりますが、全体としては雇い入れ支援といったところに多くの財源が注入されている状況でございます。
続きまして、11ページは、精神障害の方の雇用を取り巻く状況の変化でございまして、この10年間で精神障害者の雇用を取り巻く環境が改善している状況をお示ししたものでございます。
続きまして、12ページ以降は、障害者雇用の現状と分析です。
ページをおめくりいただきまして、13ページをご覧いただきますと、まず全体の障害者数についてと書いてございます。特に、制度的には18歳以上65歳未満の在宅の方が就労支援の主な対象になろうかと思いますので、青塗りのところをご覧いただければと思います。こちらの18歳以上65歳未満につきましては、身体障害の方が約110万人、知的障害の方が40万人、精神障害の方が200万人ということで、総計355万人と書いてございますが、おおむねこうした355万人が支援の対象と考えてございます。
また、精神障害の203万人の中には、手帳を所持している方と所持していない方が含まれておりまして、203万人のうち、手帳を所持している方は3割程度であろうと推計しているところでございます。したがって、60万人程度が精神障害の方で18歳以上65歳未満で手帳を所持している方だろうと推計しております。
そうした状況のもとで、14ページ以降は障害者雇用の状況についてというものでございますが、この資料は普段からお配りしている資料でございますが、改めて御説明申し上げますと、民間企業の雇用の状況としましては、雇用者数が平成28年6月で47.4万人となってございます。内訳としましては、身体障害の方が32.8万人、知的障害の方が10.5万人、精神障害の方が4.2万人となっております。
また、雇用者数につきましては、13年連続で過去最高を更新ということでございます。
実雇用率につきましても1.92%ということで、過去最高の水準に到達している状況でございますが、法定雇用率2.0%との関係で申し上げますと、依然として法定雇用率を達成している企業の割合は48.8%ということで、法定雇用義務がかかっている従業員50人以上の会社の中で、達成しているのは5割には達していない状況でございます。
続きまして、15ページは、ハローワークにおける障害者の職業紹介状況でございます。平成28年度の就職件数・新規求職者は、前年度からさらに増加しておりまして、就職件数は9万3,229件と8年連続で増加となっております。
また、9万3,229件の内訳でございますが、16ページ、17ページをご覧いただきますと、身体障害の方は左側ですが、近年、新規求職申込件数は横ばい、あるいは微減という形になっております。そうした中で、就職件数につきましても、昨年比で申し上げますと若干減少いたしまして、2万6,940件という形になってございます。
また、右側、知的障害の方につきましては、近年、新規求職申込件数が毎年増加傾向にございまして、就職件数も過去最高を上回って、2万342件という形になってございます。
続きまして、17ページでございますが、精神障害の方につきましても新規求職申込件数が毎年、過去最高を更新している状況でございまして、直近、平成28年で求職申込者数が8万5,926件。それに対して、就職件数が4万1,367件ということで、こちらも過去最高を更新してございます。
その他ということで、右側ですが、発達障害、高次脳機能障害の方なども含めまして、こちらも新規求職申込件数が毎年、過去最高を更新する中で、就職件数につきましては、昨年、28年度は4,580件という形になってございます。
18ページ、ハローワークにおける障害者の就職状況につきましては、平成18年度である10年前と比較しますと、全数では2倍以上ということで、直近9万3,299件となっておりますが、その中でも、特に精神障害の方については、平成18年度の就職件数が6,739件であったのが、現状、4万1,367件ということで、約6倍になっております。また、知的障害の方についても、10年前と比べますと約2倍ということで、倍増しております。身体障害者の方は、ほぼ同水準になっております。そうしたあたりがハローワークにおける障害者の就職状況の動向かと考えております。
19ページは、就労系福祉サービスの利用者数の変化ということで、就労継続支援A型・B型及び就労移行支援事業所の利用者について、平成20年と比較したものでございます。
平成20年と比較しますと、平成28年においては、就労継続支援A型とB型の合計が28万9,164名ということで、平成20年の約5倍という形になっております。その中でも、特に知的障害の方については14万4,187名ということで、8年前の約4倍、また精神障害の方については10万3,777件ということで、8年前、平成20年の約6倍という形になってございます。
その下、就労移行支援事業所をご覧いただきますと、全数が3万2,106件となってございますが、こちらも精神障害の方については、現状1万7,725件ということで、8年前の約5倍になってございます。他方で、知的障害の方とか身体障害の方の就労移行支援事業所の利用者数は、8年前と比べて、ほぼ同数以上を維持しているという状況でございます。
ここまでが障害者の方の就労・雇用の状況の現状説明でございます。
20ページ以降が現状を分析した資料でございます。こちらについても御説明申し上げますが、右上にそれぞれの資料のテーマが書いてあります。20ページ以降、何ページかにわたって職場定着についての資料でございます。
20ページ目は、障害者の平均勤続年数の推移ということで、こちらの資料自体はこれまでも御提示しているものでございますが、近年、新たに雇い入れられる方が増加しているということもあるわけでございますが、全体として精神障害の方の場合に短い傾向が見られるということで、5年おきの調査においても、精神障害の方の平均勤続年数は3年から、平成20年は若干長いですが、6年程度ということで、ほかの障害区分に比べますと非常に短い水準となってございます。知的障害の方については7年9月、身体障害の方については、直近ですと10年0カ月となっております。
念のため申し上げますと、調査時点で、例えば昨日から働いている方がいらっしゃる場合には、平均勤続年数が1日と、調査上なってしまう関係もございまして、新しく働く方が多いと平均勤続年数がどうしても短くなる傾向はございますが、全体としては精神障害の方の平均勤続年数が比較的短くなる傾向が、このデータからもあらわれているのではないかと考えております。
続きまして、21ページをご覧いただければと思いますが、障害者の定着状況についてということで、障害種別に整理したものでございます。
こちらは、昨年度、独立行政法人高齢・障害・求職者支援機構のほうで調査を行っていただいたものをもとにしたデータでございますけれども、障害種別に障害者の職場定着率を調べていきますと、就職後の状況をご覧いただきますと、緑の発達障害の方あるいは青の知的障害の方については、職場定着状況が比較的安定しているのに対しまして、特に精神障害の方については定着が困難な方が多いという状況になってございます。1年後の定着率が、さまざまな働き方をあわせてでございますけれども、発達障害の方が71.5%、知的障害の方が68%となっているのに対しまして、精神障害の方については49.3%ということで、1年後の定着率が半分を下回っている状況となってございます。
そちらについて、もう少し丁寧に見ていきますと、22ページをご覧いただければと思いますが、こちらは求人の種類別に見ていったものでございます。就労継続支援A型あるいは障害者求人、一般求人障害開示、一般求人障害非開示という4種類を整理したものでございますけれども、数字としてはかなり大きな差がございます。左側の図ですけれども、障害者求人につきましては、1年後の定着率が70.4%、一般求人の障害開示ですと49.9%、一般求人の障害非開示ですと1年後の定着率が30.8%となっておりまして、一般求人の障害非開示の場合に低いという状況でございます。
ただ、注意書きを※、左下に書かせていただいておりますが、状況として御説明しますと、一般求人非開示につきましては、就職した方のうちで、ハローワークのほうには障害の情報を開示している方であって、企業に対して障害の情報を開示せずに就職した方のことを、ここで一般求人障害非開示と整理してございます。注意点としましては、事業者は雇用労働者の障害の情報等の把握確認を行う際には、厚生労働省のほうで示しておりますガイドラインに沿ってプライバシーに配慮する必要がございます。また、本人の意に反してプライバシーに関する情報の報告を行わせてはならないとなっておりますので、その点を配慮していただく必要があると思っております。
一方で、障害情報開示で雇用されている場合には、雇用障害者に対して、事業主は障害者雇用促進法に基づきまして、差別の禁止、合理的配慮の提供といった義務が課されておりますので、そうしたところも留意いただく必要があろうかと思っております。
いずれにしましても、22ページの左側をご覧いただきますと、求人によって1年後の定着率に差が出ているわけでございますが、右側をご覧いただきますと、身体障害の方については、一般求人障害開示で就職する方のケースが多くなっている。あるいは、精神障害の方については、一般求人障害非開示で就職するケースが非常に多くなってございまして、そうしたところの関係性も障害全体の定着率にも影響しているのではないかというものでございます。
次の23ページをご覧いただきますと、求人の種類別で障害の種別で整理したものでございます。
左側から、障害者求人、一般求人の開示、一般求人の非開示ということで、それぞれ整理したものでございますが、いずれの障害種別でも、障害者求人、一般求人開示、一般非開示といった順番で定着率が低下する傾向が見てとれます。
また、障害者求人においては、知的障害の方とか発達障害の方については比較的安定しているのに対して、精神障害の方の場合には定着率が低水準となっているという様子が見てとれます。
他方で、一般求人開示、非開示につきましても、全体として定着率が低くなる傾向があると御説明しましたが、他方で、3から6カ月の間は非常に離職する傾向がございますが、その期間を経過した後は定着状況が比較的安定していくという状況も、一般的には見てとれると考えております。
続きまして、24ページでございますが、障害がある方を継続雇用していただく上で課題となり得る要因を整理した表でございます。
もちろん、一般的に継続雇用する上での課題としては、仕事の内容が合っているのかとか、賃金・評価などの労働条件が自分自身で納得がいくのかといったところもあるわけでございますが、それらに加えまして、特に精神障害の方ですと、職場の雰囲気や人間関係といったところ。あるいは、身体障害の方を中心として、体力との関係、通勤との関係といったところで、働く場であるとか働く環境に関する課題も多く見てとれるということで、仕事の中身だけではなくて、環境ですとか働く場をどう設定するかということも、障害がある方を継続雇用していただくための環境として、しっかり考えていく必要があることかと考えております。
続きまして、25ページをご覧いただければと思いますが、年齢階層別に整理したものでございます。上から、身体障害、知的障害、精神障害ということで、10年前と雇用者数の割合について整理したものでございますが、一番上、身体障害を見ていただきますと、社会全体の高齢化の影響もありまして、特に身体障害の雇用者については高齢化の傾向が顕著に見られると考えております。
一方で、知的障害とか精神障害の方の雇用者の場合には、全体として若年層が増加傾向にありますが、55歳以上の労働者の割合は依然として限定的と見てとれるだろうと考えてございます。
こちらは全体の傾向でございますが、26ページの分析、推計したほうのデータを見ていただきますと、中高年齢層の障害者の雇用の状況ですが、内閣府の調査では障害者の就労希望年齢について、働いている方の8割以上が60歳くらいまでは働きたいという回答でありますが、他方で、身体障害の方あるいは知的障害の方、ともに一般労働者よりも早い、50歳代前半で引退時期が到来している様子が見られると推計結果は出ております。
具体的に申し上げますと、上が民間企業における身体障害の雇用者を年齢階層別に推計を行ったものでございますが、平成20年と平成25年を比べますと、例えばオレンジ色の40~44が45~49になるところですとか、青の45~49が5年後に50~54になるところについては、中途障害の方がふえることもありまして、雇用障害者数が大幅に増加する傾向があるわけですが、50~54の方が5年後、55~59になった際には、若干減少することが見てとれます。
一方で、50~54あるいは55~59という、50歳代の前半から後半にかけては、一般的には身体障害者手帳を取得される方が非常に多くなるという傾向がございますので、そうした中で全体の数が減っているのは、このあたりから引退される方が一定程度ふえてきているという傾向が見られるのではないかと考えております。
また、その下の民間企業における知的障害の雇用者についても年齢別に推計いたしますと、平成20年から25年にかけまして、こちらも雇用情勢の改善等もありまして、40歳代あるいは45~49歳代の方が50歳代前半になるに当たっては、雇用者が増加するという傾向が見られたわけですが、こちらも50歳代前半から後半にかけて、平成20年から25年では雇用者数が大幅に減少している様子が見てとれます。
数としましては、4,200人と1,500人というところではございますが、今後、さらに知的障害の方を含めて高齢化していくであろうことを考えますと、50歳代前半で引退していく様子が見てとれることについて、今後、対応をどう考えていくかということが1つ課題になるのではないかと考えております。
続きまして、27ページ、中高年齢層の障害者への配慮等ということでございますが、配慮の中身としましては、赤線を引いておりますが、障害者全体を通じまして体力を要する作業を減らすということで、例えば知的障害の方について、作業処理速度の緩和あるいは作業量を減らすといった対応をとることが見られるわけでございますが、下のほうに行きまして、例えば配置転換とか訓練・研修の受講といった対応をとられる事業主は大変少なくなっているということ。
あるいは、特に下肢障害を中心として、特に配慮していないという事業主も一定程度見られる状況がありまして、こうしたあたりも、50歳代前半での引退につながっていく背景として考えられるのではないかと考えてございます。
続きまして、28ページと29ページは短時間雇用についてでございますが、就業活動開始段階における就業希望時間をご覧いただきますと、全体として短時間を希望される方は一定数いるわけですが、特に精神障害の方の場合には、全体の4割近くの方が希望勤務時間が30時間未満ということで、短時間勤務を希望される方が多い傾向が見てとれると考えてございます。
一方で、29ページをご覧いただきますと、短時間労働者の割合の推移ということで、こちらも希望される方が多いことに対応しまして、全体として短時間労働者の割合は精神障害において多い傾向が見られますが、それでも全体の3割程度ということで、精神障害の方で短時間を希望される方に対して、実際に短時間で働いている方の割合は若干少な目という形になっていると言えるかと思っております。
続きまして、30ページですが、中小企業の傾向でございます。資料の詳細は割愛いたしますが、全体として実雇用率は順調に伸びておりますが、特に中小企業の取組がおくれている様子が見てとれると思っております。
そうした中で、31ページをご覧いただきますと、障害者雇用を進める上での中小企業の抱える課題ということで、これは就労支援機関に対して質問した中身でございますけれども、中小企業が障害者雇用を進める上で、メリット、デメリット、どういったものがあるかということを就労支援機関に質問いたしますと、中小企業の場合には、支援機関としては、経営トップに直接働きかけやすい。あるいは、中小企業のほうが上司・同僚の面倒見がいいといった点はメリットであると言われるわけでありますが、一方で、採用基準とか賃金体系が固定的であるとか、職務経験・キャリア形成の幅が狭いといった難しさが見られるという話があります。
そうした意味では、近年、就労を希望される方の障害の多様化が見られる中にあって、中小企業においては、そういった多様性に対応する上での難しさというのはあるのかなということも見てとれると思ってございます。
他方で、32ページをご覧いただきますと、障害者雇用を進める上での企業の認識ということで、56人~300人のいわゆる中小企業と、301人~900人の大企業で比較しますと、中小企業のほうが自社で障害者の方が定着している理由としては、本人本位といいますか、本人の能力を上げるケースが多く見られる。例えば、作業を遂行する能力でありますとか、仕事に対する意欲が高いということを挙げるケースが多いわけですが、一方で、301人~900人の大企業においては、相対的に見ていきますと、現場の従業員の理解があるということを挙げられるケースが多いということで、そうした点からも、中小企業と大企業の障害者雇用に対する考え方の違いが見てとれると考えております。
33ページですが、そうした中で、企業規模別に障害者の定着状況を見ていきますと、左側の障害者の職場定着率をご覧いただきますと、全体としては大企業のほうが定着率が高い。一方で、中小企業のほうが定着率が低くなるという傾向が見られるという図でございます。
他方で、実際のそれぞれの求人種別で見ていただきますと、右側の図でございますけれども、50人未満の会社ですと、一般求人の障害開示と非開示が全体で6割を超えているということで、むしろ中小企業においては、一般求人での採用が相対的に多い。逆に、いわゆる大企業においては、障害者求人での採用が多くなっていて、一般求人での採用が相対的に少なくなっているという様子が見てとれます。
そうした中で、34ページ、障害者の定着状況について、企業規模別と求人種類別ということでご覧いただきます。これは、サンプル数の都合で、50人未満、50~500人未満、500人以上ということで、3段階にまとめて整理しております。いわゆる中堅・中小企業、50~500人未満の会社においては、障害者求人とか一般求人開示においては、定着率が最も高くなっていて、大企業、中小零細企業の順になっているという状況でございます。全体としては比較的同水準でございますが、中堅・中小企業の定着率が一番高くなってございます。
一方で、一般求人非開示ということで、企業としては障害をお持ちであることを把握していないケースにおいては、定着率は、大企業、中堅・中小企業、中小零細企業の順となっておりまして、その水準もばらける傾向が見てとれます。
最後、支援機関の定着状況でございますけれども、35ページは、地域の支援機関を活用した場合の定着状況についてでございます。これは、いずれも障害者の皆さんが就労前訓練を受講したか、していないか、あるいは地域の就労支援機関との連携がハローワークにおいてあるか、ないかということを整理いたしますと、いずれも訓練の受講がある、あるいは支援機関との連携があるというほうが、ない場合よりも定着率が高いことが見てとれます。そうした意味で、これらの政策についても一定の成果を上げていることが言えるのではないかと思います。
続きまして、36ページをご覧いただきますと、こちらは障害者求人に限定しまして、身体障害、知的障害、精神障害、それぞれの定着率を、地域の就労支援機関との連携がある場合とない場合で比較したものでございます。こちらも、いずれの障害種別においても定着率が、就労支援機関との連携があるほうが高い傾向が出ております。障害者求人において、それぞれ連携しているほうが、していない場合よりも効果が出ているということが言えるのではないかと思います。
最後に、地域の支援機関を活用した場合の定着状況で、支援機関について。精神障害の方に限定して、各種求人別に見ていきますと、一番左側は先ほどのデータと同じですが、精神障害の方の障害者求人の場合についても、支援機関との連携があるほうが、ない場合よりも定着率が高くなる様子が見てとれますが、真ん中のデータをご覧いただきますと、一般求人開示の場合には、地域の就労支援機関との連携があるほうが、ない場合よりも定着率は非常に高くなる傾向になっておりまして、障害者求人の場合よりも、一般求人開示の場合において、よりその成果が見てとれる傾向があるとなってございます。
また、これはさまざまな見方はあろうかと思いますけれども、一般求人開示の連携ありの場合について整理しますと、当初1カ月については、確かに急激に離職する傾向が見られますが、そのまま定着する傾向が出てくる状況がございまして、2カ月目以降、一定程度安定した後であれば、一般求人開示の場合で就労支援機関との連携もある場合には、障害者求人とほぼ同水準での定着する傾向も見てとれるのではないかと分析してございます。
一方で、一番右側でございますが、一般求人非開示の場合は、連携がある場合もない場合も、1年後には定着率がほぼ同水準になってしまう。これはサンプル数が少ないことに御留意いただく必要はあろうかと思いますが、一般求人非開示の場合は、就労支援機関の連携がある場合でも、その成果というのはなかなか出づらい状況になっていることが言えるのではないかと思ってございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの事務局からの説明を踏まえまして、今後の論点等につきまして、皆様から御意見をお願いしたいと思います。今回、初回ですので、ぜひ皆様から御意見をいただきたいと思いますので、積極的に御発言いただければと思います。
どなたからでも結構です。もちろん、資料で御質問等もあれば、御質問いただいて結構です。
では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です。多くのご説明をいただきましたので、発言にまとまりがないのですが、ちょっと気になったところだけ発言をさせていただきます。
26ページの50代になると知的の引退がふえるということですが、よく言われるのが、43歳を回るとだんだん体力が落ちてくる。そして、重度の人になればなるほど体力が落ちるのが早いということで、1日フルタイムで働くのがなかなか難しくなってくる。そういう面において引退を減らすのであれば、稼働時間を短くするのも対策の1つだと思います。
それと、その際に、雇用率を年齢でダブルカウントにするとか、体力が落ちてきても大手企業では退職が少ないというお話でしたけれども、中小になればなるほど、そういう方を雇用する負担が大きいわけです。まして、中小のほうが重度の方が多いと私は思っています。ですから、そういう面では、変な言い方ですが、少し企業に配慮いただけるような施策が必要なのかなという感じがいたします。
それと、精神の方の離職が多い。その場合手帳を持たれている方なのか、持たれていない方なのか。手帳を持っていても、それを開示しないで就職した場合当然離職が多くなると思います。ハローワークさんでも障害が分かるのであれば、紹介先の企業に必ず言ってあげないとまずいと思います。この応募者は精神の病気を持っていますというお話をしないと、受けた企業さんのほうで配慮できない。この人は、病気だから休むんだね、休みが多いんだね、ということがわからないと、突然休まれて、何、この人、という話になって離職につながってしまうのではないか。
いろいろあるのですが、その辺のことを踏まえながら、今後、考えていかなければいけないのではないかと思います。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
では、工藤委員、お願いします。
○工藤委員 まず、思いついたことだけ簡単に言いますと、ずっと聞いて、視覚障害者の場合には、全体の雇用対策とか雇用施策に乗らないところが結構あるなと感じました。この間、雇用施策も進展して、雇用も伸びて、それは評価できると思います。例えば、先ほど平成28年度の職業紹介状況、就職状況を見ても、その前後、最近はやや停滞ぎみですね。その中で視覚障害者の場合には、数としては非常に少ないわけですね。多分2,000人前後でずっと推移して、最近は停滞している。
そういう中で、1つは、これから就職する新規の大卒の人であるとか、新規の就職の支援、採用前からの視覚障害者。それと、中途の問題も後半で出てきましたけれども、中途で視覚障害になった場合の雇用継続支援。これは、40歳、50歳のころ、一番キャリア的にも充実して、そのときに見えなくなったということで、それまでのキャリアが全部否定されてしまうような状況になってしまうのです。ところが、自立訓練も含めて職業訓練をしっかり受けると、決してやめないで済むという事例もたくさんあるのです。
そのときに、どういうところの支援が効果的かというと、実際、今まで視覚障害者の就労支援をずっとやってきたのですが、恐らく3,000人くらいの個別の相談をずっとやってきていまして、最近は職業センターの役割が非常に重要だと思っているのです。本人だけではなかなか解決できない場合も、職業センターにつないで、職業センターがいかにうまく会社の人事とか労務担当の人とコンタクトをとるか。そういう戦略を練って、実際の訓練では在職者訓練というのを活用して、それとジョブコーチを併用してという形で連携がうまくいくと、やめないで済む実例は相当あるのです。
そのときに、眼科医と産業医との連携とか。途中で見えなくなると、本人も自分の見え方を周りに説明できない。職場の人も、一見見えていると、ごみ箱をけ飛ばすような感じで。だけれども、普通に歩いているし、見えているのではないかということを考えると、視覚障害者には特別な対策が必要ではないかということ。これは、昨年の11月の第72回雇用分科会、それからことし5月の第73回雇用分科会のときに、内容としては精神障害者の雇用率算入の問題ですが、その中に視覚障害者に対する個別の支援についてということの意見書のような体裁をとった要望を出しておりますので、今後、またヒアリング等を通じて発言していきたいと思います。
それから、ハローワークの就職状況のところに関連してちょっと気になったのは、事務局の説明で、平成18年度と平成28年度を比較すると、平成18年度はたしか4万3,000人、平成28年度は9万3,000人ということで、2倍以上ふえている。そのうち、雇用継続A型が2万1,000人ぐらいだったと思いますが、二十何%を占めているということ。これに関連して、最近の社会の動き、新聞などのニュースを聞いて思ったことがあります。つまり、岡山と名古屋で雇用継続A型の事業所が閉鎖されて、それによってたくさんの解雇が生じているということがあります。かつて福祉から雇用へということを謳い文句にされて、自立支援法の改正があって、そういうことが進んだのですが、今そのような状況を見ていると、閉鎖とか雇用継続A型を運営しているところは、株式会社とか営利団体でそういうことが起きている感じがするのです。そういうことを考えると、今の問題が全国、いろいろなところで出てくるのではないかと感じています。
だから、そうなっては困りますので、それぞれの労働局の所管するところのハローワークから、例えばA型にどれぐらい就職の数があって、その中でどういう法人がA型を運営しているか。そういうデータも今後明らかにしていただけると、それに対する対策にもつながっていくのではないかと思います。
ちょっと長くなりましたが、以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
長谷川委員、お願いします。
○長谷川委員 資料の22ページ前後で、障害情報を開示しているか、非開示かによって、その後の定着率に差が出てきていることが示されていました。栗原委員もおっしゃっていたように、そこを何とかして、定着率を上げていくことが重要だと思っています。お聞きしたいのは、22ページの右の図で、特に精神障害者の3割以上の人たちが、一般求人において障害非開示で採用されているということです。
この精神障害者の場合に非開示が特に多い理由は、2つあるのかなと思います。1つは、偏見とかスティグマが嫌なので開示したくないというのがあるのかなと。もう1つは、精神障害者のうち、精神障害者保健福祉手帳を持っている方は、手帳を持っていますと言って雇用されると雇用率にカウントできるので、障害者であることを開示していいかなと思うのに対し、持っていない人は、開示したところで雇用率にカウントされないし、採用に当たって有利になると思わないから非開示でいこうと思って、その結果、非開示の人がふえているというのがあるのかなと思ったのです。
そもそも、この調査は、身体、知的、精神、発達とありますけれども、手帳を持っている人に限らない調査なのですか。
○阿部座長 では、御質問ですので、事務局からお願いします。
○障害者雇用対策課長補佐 精神障害の方については、御指摘のとおり、手帳を所持している方と、そのほかに医師の診断で、統合失調症、そううつ病、てんかんという診断を受けた方の両方が含まれています。その内訳については把握していませんので、お答えできません。
念のため、あわせてお答えしますと、発達障害については、これはハローワークにおいての発達障害と、この調査は若干違っていまして、いわゆる発達障害、手帳を持っていない発達障害の方に加えて、精神障害と知的障害の中で主たる障害の要因が発達障害であると言われている方も、発達障害のほうに含むというデータ上の整理をしていますので、その点が、通常の発達障害よりは幅広く含まれているということが言えると思います。基本的に、精神障害については、手帳を持っている方だけではなくて、持っていない方も含まれている調査です。
○阿部座長 長谷川委員。
○長谷川委員 ありがとうございます。先ほど長谷川ですと言うのを忘れていたような気がします。申しわけありません。
お答え、大変よくわかりました。ただ、今後、雇用義務制度、雇用率制度、納付金制度を考えていく上で、雇用義務制度は、障害者手帳の所持者のみを対象とした制度ですので、データをさまざま出していただいて、非常に有益だと思うのですが、そのデータが手帳を持っている人のみを対象とした調査なのか、そうでない、手帳を持っていない人も含まれている調査なのかによって、データの見方も変わってくると思います。
特に、精神障害者は、雇用義務制度の対象者は手帳の所持者に限られますが、障害者雇用促進法の適用対象者には手帳を所持しない精神障害者も含まれますので、私たちもデータを見る際などに注意しますので、ぜひ厚労省としても、御説明のときに明確にしていただくとか、あるいは手帳所有者だけ、データと全体データを別々に出していただくとかをしていただけると、ありがたいなと思います。
○阿部座長 では、よろしくお願いします。
その他、いかがでしょうか。
塩野委員、お願いします。
○塩野委員 塩野と申します。
先程の御説明の中にもありましたけれども、今後、法定雇用率が徐々に上がっていくということについて、少し意見を述べたいと思います。
今回の法定雇用率の引き上げが、精神障害の方の雇用義務化に基づくものということは理解するものの、最終的には過去最大の引き上げ幅であり、弊社も含めて法定雇用率を達成したいという企業にとって、大変厳しい状況だと思っております。
弊社の場合、社員数が現在約3万5,000人なので、単純に計算すると、0.1ポイント上がると、そのためには新たに35人雇用しなくては法定雇用率が達成できません。一方で、資料の中にもありましたけれども、身体障害の方を中心に高齢化が進んでいて、毎年、相当数の方が退職している中、退職補充も含め採用していくということについては、かなりハードルが高いと思っています。
さらに言うと、数を達成すればいいということではなくて、職場の理解も得ながら、雇用した障害のある方がそれぞれにやりがいを持ちながら、能力を発揮していただくことが大切だと思います。今後の法定雇用率の引き上げに向けて、弊社の場合、特例子会社がありますので、そこと連携しながら、どういうふうに採用して活躍していただくのかということを、今からいろいろ検討している状況であります。
そういった中で、今後も企業努力を一層促していくことも必要だと思います。この研究会では、障害のある方の雇用を更に促進していくため、できれば新たな仕組みづくりについても議論していただければと思っています。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、志賀委員、お願いいたします。
○志賀委員 志賀です。よろしくお願いいたします。
今、お話を聞いた中で、細かいところが幾つかあるのですけれども、大枠で雇用率が1.5%の義務から2.0%に、三十七、八年かかって0.5上がっていて、2.0から2.3までは決まっていますけれども、次の平成33年でしたか、2.5あるいはそれより上になるのかどうかわかりませんが、そういった面では、10年で0.5%ぐらい、今までの3倍から4倍のスピードで急激に雇用率が上がるというのは、物すごい変化だと思います。
その中で、こういった検討会ということですけれども、データの中でなかなか見えづらいのは、障害手帳を持たれている人の動向が時代で随分変わってきているのかなと思います。身障・精神、いろいろあるのですが、例えば療育手帳、知的障害の定義は何十年も前から変わっていないはずです。先ほどちょっと栗原委員から50歳以上の方は少ないという話が出ました。療育手帳は1973年以降の仕組みなので、50歳以上の方で療育手帳を持っている方は非常に珍しくて、推計ですが同年代の人口の中でも0.3%か0.4%ぐらいしか持っていらっしゃらないと思います。今、10代後半とか20代前半の方、人口の2%ぐらいが療育手帳を持たれている。
そう考えると、同じ障害ですけれども、明らかに今の50代の知的障害者と20歳になった知的障害者とでは状態像が全く異なる。比較的、知的な能力の高い知的障害という言い方はおかしいですけれども、いわゆるボーダー圏域に近い人たちがたくさん療育手帳を持たれていて、その方たちが例えば40代、50代になったときにどうなるか、今の40代、50代からは想像できないことだと思います。それくらい、同じ障害でも大きな変化があったと思います。雇用率がどんどん上がっていこうとする今では、働く障害者が増えており、私が知的障害の就労支援を始めた二十数年前のときに、18歳から64歳の知的障害者の3人に1人以上が働いている世の中は、ちょっと想像できなかったですし、実際は既になっていることから考えると、本当に大きく変わってきている。
制度が変わることによって、障害手帳をとられる方が物すごくふえている。今、精神障害、発達障害の問題も出ていますが、そういった点もある程度考えないと、かつての現状から仕組みを考えるのはなかなか難しいのかなと思っています。その辺、いろいろな団体さんからも意見が出ると思います。それを見て、もう一度考えることが大切かなと思いました。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、吉住委員、お願いします。
○吉住委員 連合の吉住です。
労働組合自身が障害者を雇用しているわけではありません。そういう意味で、当該の労使の中で雇用促進を進めるべきということで主張しております。
一方、障害者雇用について難しいと思うのは、単に雇用者数をふやせということだけではなかなか難しいということと、先ほどのお話にも出ていますとおり、障害者雇用が一定のところを超えてくると、現状をざっくり言ってしまうと、障害者雇用に取り組んでいるところが半分ぐらいで、なかなか進んでいないところが半分ということで、既に取り組んで苦労されているところばかりがさらに苦労しているという状況を何とかしていかなければいけないと、この間の議論の中でずっと出ていることかと思います。
大企業においては応分の負担はお願いしなければいけないと思いつつ、毎回問題として出てくるのは、中小企業の対応を進めなければいけないということですが、例えば大企業の中でも特例子会社で、数字的には法定雇用率を達成しているけれども、目指す将来像として、さまざまな職場で障害があっても同じように働くという姿を描いていくとしたら、本来は、企業やグループ単位でっは大きな企業だけれども、それぞれの職場単位では小さな職場のところまでも同じように働くという状況をつくっていくことが必要であるということで言うと、そうしたところに対する支援策がまだまだ必要ではないかと感じております。
ヒアリングの項目で、次回以降、また皆さんの御意見が出てくるということで、こちらが何かお答えを持っているということではありませんが、そうした問題意識を持っているところであります。
以上であります。
○阿部座長 ありがとうございました。
もしよろしければ、加賀委員からも何か御意見があればと思いますが、よろしいでしょうか。
○加賀委員 日身連の加賀と申します。私の場合は、小規模作業所ではないですが、そういう仕事場を持っておりますので、納付金制度のことに対してもちょっとお話ししたいと思います。
障害者の雇用に当たり、事業主の経済的な負担の調整を図るもので、全体として障害者の雇用水準を引き上げることを目標にして、雇用率の達成企業に資するものが、100人以上の方から納付金が交付されて、雇用率が達成されている企業の100人以上に対して調整金が1人当たり月額2万7,000円、それから100人以下の中小企業に対しては報奨金が1人当たり2万1,000円の支給をするとともに、障害者の雇用の促進等を図るため、各種の助成金を支給している納付金制度は、障害者雇用を常にしている障害者や障害者団体にとっては大切な資源となっています。
障害者であっても最低賃金の支給を達成しなければなりません。私たちは、愛知県ですが、10月1日からは871円です。障害者雇用をしている事業主に対して、健康者の一般の雇用にしても871円支払うのと同額の賃金を支払わなければなりません。指導者の処遇もあると思いますが、障害者であっても、普通の人たちよりも根性があり、続く仕事もあります。簡単な作業の繰り返し、知的障害の人たちに向いています、いろいろな仕事がございまして、ペットボトルの仕事とかリサイクルの仕事をしているわけでございます。
それから、透析の人たちにしてみても、月水金の夜6時から透析の病院に行ければとしておけば、普通、8時間労働で働きます。それに対して、定時、5時15分には仕事を終える職場であることを知っておれば、透析の人たちも重度障害者になると雇用カウントが1人でもツーカウントされるので、雇用達成率に大きな役割を果たしていくのではないかと思っております。
それから、知的障害の場合は、療養手帳の判定がないと重度にならない面がありますが、最近は特別支援学校で障害者の職業センターの判定というものをいただけると、判定がBでも、療養手帳の人でも重度障害者として取り扱ってくれるということを聞いております。短時間の労働でも、障害者雇用1カウントされれば十分役割を果たせるのではないかと思っております。
知的障害の人たちは、本当に苦手ですが、敬語も使えない方がありますけれども、一度も仕事を休まず、本当に真面目に頑張っている子供たちがいっぱいおります。私は、たまたま障害者ばかりの職場に携わっていますので、皆さんが休まず職場に来てくれる。どこの企業においても、障害者の特性に合った仕事を充ててもらえば、勤務体制も少しでも配慮できて雇用達成できるのではないかと思っておりますので、制度が上がれば我々にとってはありがたいなと思っております。
大きな会社の場合だと、障害者手帳とか療育手帳の等級だけを見て、うちではだめだと断られる方がありますけれども、本人に一度会っていただいて、その人たちに一度でも体験させていただいて、こういうことはやれるという子が幾らでもおります。うちでも、手帳でいけばA判定で、とても就職・仕事なんかできないと、手帳はそうなっておりますが、実際に仕事をやらせれば、一般の方より真面目に仕事をやれる子がたくさんいるものですから、そういうことも配慮していただければいいなと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
失礼いたしました。
○阿部座長 ありがとうございました。
皆様から御発言いただきましたけれども、追加で御発言があれば。
では、工藤委員、お願いします。
○工藤委員 工藤です。
先ほどの続きになって申しわけないですけれども、ジョブコーチが非常に効果的だということをお話ししました。ところが、実際に視覚障害に対応できるジョブコーチというのは、一人二人いるかどうか、皆無に等しいのです。平成26年3月4日に、「地域における就労支援の在り方に関する研究会報告書(第2次)」というものが出ているのです。その中に、視覚障害と聴覚障害に精通したジョブコーチが必要であるということが提言されているのです。ところが、これまでの間にそういうことがほとんど検討もされてきていないと思います。
地域就労の第2次報告書の内容は、支援というところでは、まさに私どもが実際に働く環境づくりに直結する問題ですので、その報告書に対する、その後の実際の到達点なども今後ぜひ検討していただければと思います。
それから、納付金が一時赤字が続いて、それが今、170億円の黒字に移ったというお話もありましたが、この間に納付金から雇用保険二事業に財源が移った助成金もあるわけですが、助成金の申請については、例えば、職場介助者は事業主からの申し込みでないといけないのですけれども、これが障害のある当事者からも申し込みできるような仕組みもあってもいいのではないかと感じております。
特に、納付金とは別に雇用保険財源の助成金を考えると、失業の防止ということでは、事業主だけではなくて、障害がある当事者がその人の職業スキルを高めるとか、キャリア形成に役立てるとか、そのことによって失業防止につながると。そういう意味では、一定のリハビリテーション計画を、職業センターとか、どこかで認定していただいて、そういう形で本人給付のようなものがあってもいいのではないかということを考えております。
それと、除外率については、前回の雇用分科会の中でも問題提起しておいたのですが、基本的には除外率廃止の方向ということで確認されているのですね。これまでの間に2回、一律10%ずつ下がりましたけれども、依然として30%以上かかっているところがたくさんあるわけですね。これから雇用率を検討していく上で、除外率制度がこのまま続いていいのかどうかということも感じております。
もう一つ、公務員に対する合理的配慮についてです。これまでの障害者雇用支援施策は、どうしても民間企業に合わせたような形で進められてきましたただ、雇用促進法上は、地方公務員については合理的配慮は義務づけられていますけれども、公務員の世界は予算で動くということで、例えば視覚障害者の場合、音の出るパソコンとか、または拡大読書器の設置をしてほしいとお願いしても、予算がないからということで、1年も2年も待たされたりしているのです。
ということを考えると、公務員も民間企業と同じように、同様な支援が、安心してというか、受けられるような仕組みがほしいと思います。そういう意味では、ほかの障害種別はどうかわかりませんけれども、特に視覚障害については、公務員として働いている方が非常に困難と向き合いながらやっているという事例が多く見受けられます。そういう意味では、厚労省が音頭をとって、まず内閣府、人事院、総務省というところの合同会議のようなものを開いて、そういうところに合理的配慮がしっかり行き届くようなことも検討してほしいと思います。
以上、要望です。
○阿部座長 ありがとうございました。
その他、いかがでしょうか。
志賀委員、お願いします。
○志賀委員 志賀です。
今回の資料を見て、非常にわかりやすい資料で参考になったのですけれども、どうしても調査とか実態でわからない点がある。障害者として雇用・就労される方が順調に増えていることと、雇用率も高くなっていることがわかるのですが、実際、雇用率に含まれる中で、障害者として採用されずに、中途での障害になった人の数や割合が見えてこない。今後、60、65歳以上の方の就業者数が増えれば、多分雇用率のカウントとしては、そういった高齢の方も増えてくると思われますし、現在、精神障害あるいは発達障害の方も、20、30、40歳になって診断される方も結構増えていらっしゃる。
このように、採用後の障害の実態が明らかになっていない点は、今後、雇用率ということを考えると、結構大きな数字だと想像する。多分、この辺について、団体からのヒアリングでもなかなか出てこないような気もするので、として採用・雇用して支えていかなければならないものと、中途の障害の方で何らかの制度で雇用を支えていく問題は、必ずしも同じではないような気もします。この辺をどう考えていけばいいのかというのも、最初の機会なので、課題の一つなのかなと思って聞かせていただきました。
○阿部座長 ありがとうございます。
皆様からいろいろと御意見いただきました。私も、きょうの資料が、障害者雇用対策の現状、後段の部分ですけれども、企業の採用から始まって定着、そして引退という過程でデータを出していただいたのですが、特に定着とか早期の引退を引き延ばすためには、訓練の重要性というのが1つキーワードになってくると思いますが、訓練の実態というのがもうちょっとわかるといいなと思っています。
特に、中高齢のところでは訓練をほとんどやっていないというのがあるのですが、その一方で、実際に訓練を行っている職業センターとかジョブコーチなどは、どちらかというと雇い入れ支援のほうに重きがあるような感じがするのです。だとすると、雇い入れ支援だけでいいのかどうかとか、後半のところでどういう訓練が必要なのかとか、そういったものも少し見えてくると、訓練の在り方とかまで含めて議論できるかと思います。そういったところも少しお聞きできるとか、データがあればと思います。
助成金制度も、訓練については、かなり前からあって、その後どういうふうになったのかというのが少し見えてくるといいと思います。
私の個人的な感想です。済みませんでした。
ほかに皆様から何か御意見、御質問。
では、長谷川委員。
○長谷川委員 長谷川です。
これから雇用率制度全体を考えていく上で、まず考えておかなければいけないかなと思うのが、障害者の実雇用率がどんどん高まっていくと、納付金制度が破綻する可能性があると指摘される方もいらっしゃるわけですね。そういった中で、この10年ぐらいで急激に雇用率が上昇していって、今後も同じように企業が頑張って障害者をたくさん雇用して実雇用率が上がっていったら、本当に破綻するかどうかというのが、どういうふうに考えていけばいいのかなという疑問があります。
それも前提として、雇用義務制度の在り方を考えていきたいと思うので、何か今、お考えというか、想定していらっしゃること等あれば、お話ししていただきたいですし、今後、この研究会で議論していくべきことだということであれば、議論していきたいと思います。
○阿部座長 では、事務局。
○障害者雇用対策課長補佐 厚生労働省でございます。
御指摘につきましては、平成25年の段階では、まさに障害者雇用が進む中で納付金財政を圧迫するのではないかという懸念が実際あったと聞いておりますし、現状でも、少なくとも制度上は外から公費を投入するような仕組みはありませんから、障害者雇用率が上がっていって、納付金を納める企業が減って、調整金を受け取る会社がふえれば、その財政というのは必然的に厳しくなっていくという一般論は間違いなく言えると思います。その中で、具体に推計等は行っておりませんが、それは今後の研究会の中でも我々もしっかり勉強しながら進めていきたいと思っております。
○阿部座長 工藤委員。
○工藤委員 職業訓練とも関係してくる話ですけれども、どういう形で訓練を受けるか。訓練を受けやすくする一つの配慮として、リハビリテーション休暇とか研修みたいな制度があれば、合理的配慮としても位置づけられるのではないかと思うのですが、また、このリハビリの中に精神障害の方の定着支援も当てはめることができると思います。そういうことも含めて、リハビリテーション休暇とかリハビリテーション休職とかリハビリテーション研修ということも常々相談している中でその必要性を感じてきていました。
それと、もう一つ、これは視覚障害者固有の問題ですが、多くの視覚障害者はあん摩・はり・きゅうを自営することで職業的に自立している人が非常に多いのです。それが、今、経営が非常に厳しくなっているということが実態です。それを雇用のところで、雇用に絡めて支援する方法がないのかということも、十数年来の課題だと思っています。竹下会長の前の前の村谷昌弘日盲連の会長のころから、自営業者にも雇用助成金をということをよく主張していたことが耳に残っているのです。1つは、例えば協同組合とかを活用した新たなあはき従事者の雇用・就業の面からの支援の可能性ということについても、日盲連の問題意識として持っております。
以上です。
○阿部座長 ありがとうございました。
では、栗原委員、お願いします。
○栗原委員 栗原です、最近あった話ですが、手帳の件ですが、ハローワークさんから統合失調症ということで面接していただけますかというお話がありました。面談しました。それで手帳を見せていただいたら、知的のBでしたので、精神の方ではないのですかと言ったところ、手帳は昔からこれです。とられる機関も精神と知的では違いますね。こういうものは、一旦知的と言われたら、ずっとそのまま知的になってしまうのか、途中で精神とわかっても変えられないものなのか。その辺がどのようなシステムかということをお聞きしたい。
○阿部座長 では、事務局から。
○障害者雇用対策課長補佐 厚生労働省です。
個別の状況が必ずしもわからないので、場合によってケース・バイ・ケースかもしれませんが、一般論で申し上げれば、統合失調症であればトライアル雇用の制度が使えますので、その方も適用されるのではないかと思いますが、個別のケースがわかりませんので、そこは改めて御相談いただければと思います。
○阿部座長 そのほか、いかがでしょうか。
○障害者雇用対策課長補佐 取り扱いとして難しいところですが、この研究会が始まる直前に本條委員から、欠席に当たっての意見書ということで手渡されたものですから、皆様にお配りできていないのですが、代読する立場にはありませんけれども、簡単に代読させていただきたいと思います。
障害者雇用促進法の改正によって、精神障害者の方の雇用の増加が図られたということで、今後、精神障害の方の雇用が一段と進むことを期待しているという中にあって、何点か、さらなる提案をされたいということが書かれております。
1点目が、短時間雇用の見直しということで、精神障害の方の場合、医師から週2日3日ということで、さまざまな制限を受けている場合がある中で、精神障害の特性として疲れやすいということもありますので、短時間雇用の時間の見直しを図っていただきたいということ。
2つ目がIPSモデルの推進ということで、諸外国においては比較的早期から就労するということで成果を生んでいる事例もあるので、そうしたことも導入を進めていただきたい。
3点目としては、保護雇用ということで、就労継続支援A型のような働き方について、併用しながら労働政策と障害福祉とで共同して、日本型保護雇用を検討していただきたいという3点の要望をいただいておりますので、紹介いたします。
○阿部座長 ありがとうございます。
今のものは紙にしていただいて、皆さんにまた後でお配りいただければと思います。
その他、もし皆様のほうから御意見があれば。よろしいですか。
時間もちょっと早いのですが、皆様から御意見をいただきましたので、今後の研究会の議論にぜひ役立たせていただきたいと思います。
本日は、このあたりで終了したいと思いますが、次回以降の日程等について、事務局からお願いしたいと思います。
○障害者雇用対策課長補佐 事務局でございます。
次回開催は10月下旬で調整中でございます。できるだけ速やかに調整をしたいと思いますので、また改めて御連絡申し上げます。
○阿部座長 ありがとうございました。
それでは、これをもちまして本日の研究会は終了したいと思います。本日は、お忙しい中、お集まりいただきまして、ありがとうございました。