第1回救急・災害医療提供体制等のあり方に関する検討会(議事録)

医政局地域医療計画課 救急・周産期医療等対策室

日時

平成30年4月6日(金)
14:00~16:00

場所

厚生労働省(専用第21会議室)

出席者

議題

配布資料

議事

下記のとおり
○野口救急医療対策専門官 それでは、定刻になりましたので、始めさせていただきたいと思います。

ただいまから、第1回「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」を開会させていただきます。

構成員の皆様におかれましては、お忙しい中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

初めに、手元の構成員名簿をもちまして、本日の出席委員の紹介とさせていただきます。

なお、本日は参考人として、厚生労働省DMAT事務局長の小井土雄一様、兵庫県災害医療センター長の中山伸一様、日本赤十字社医療事業推進本部長の富田博樹様にお越しいただいております。

また、オブザーバーとして、総務省消防庁消防・救急課救急専門官、救急企画室課長補佐、国民保護・防災部防災課課長補佐の小谷聡司様にお越しいただいております。

なお、もうお一方、内閣府政策統括官(防災担当)付参事官(災害緊急事態対処担当)付参事官補佐の伊藤孝様にお越しいただいております。

本検討会の立ち上げに際しまして、医政局長の武田より御挨拶申し上げます。

○武田医政局長 医政局長の武田でございます。

本日は大変お忙しい中、この「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

また、構成員の皆様方におかれましては、平素より医療行政の推進に御尽力、御協力を賜り厚く御礼を申し上げたいと思います。

救急医療がテーマでございますけれども、救急医療は昭和39年に救急病院等を定める省令により救急医療機関告示制度が始まりまして、昭和52年には救急医療対策の整備事業により、初期、第二次、第三次の救急医療体制の整備が進んでいるところでございます。直近では、平成26年2月に救急医療体制等のあり方に関する検討会を取りまとめまして、当該報告書に基づき、取り組みを行っているところでございます。

一方で、高齢者救急の問題でありますとか疾病構造の変化、人生の最終段階における医療の整備など、新たな課題、新たなニーズも出てきているところでございます。

一方、ドクターヘリでございますけれども、ドクターヘリに関しては、平成13年から運航開始をされまして、平成19年に救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法が制定され、平成30年3月末時点では52機体制となってきております。ほかの患者搬送手段としては、ドクターカーやメディカルジェットなど多様な形態があり、早期の医療介入や僻地における遠隔地の医療機関への患者搬送といった目的に合わせた活用が進んでいるところであります。

また、災害医療に関しましては、平成7年の阪神・淡路大震災を契機に災害医療体制のあり方が議論され、EMIS、広域災害・救急医療情報システムの整備、またはDMAT、災害派遣医療チームの養成やDMAT事務局の設置などを行ってきたところであります。

一方、平成23年の東日本大震災や平成28年熊本地震といった大規模な災害も発生をしているところでありまして、今後、発生が予想される南海トラフ地震、首都直下地震などのさらに大きな災害への対応が可能な体制の構築は急務であります。

このような諸問題に対しまして、よりよい医療提供体制を構築するための議論が必要であり、関連する組織や体制のあり方等に係る課題について検討する場として、本検討会を設置することといたしました。災害医療、救急医療等について、国民によりよい医療を提供する体制を構築してまいりたいと考えているところであります。

お集まりの構成員の皆様方におかれましては、それぞれの御専門の立場から、ぜひ忌憚のない、また、活発な御意見を賜りたく存じております。これから本日を皮切りに充実した審議が行われますように、どうぞよろしくお願いいたします。

以上でございます。

○野口救急医療対策専門官 それでは、お手元の資料の確認をさせていただきます。

お手元に、議事次第、座席表、開催要綱、構成員名簿のほか、資料1から5、参考資料1から5をお配りしております。

御確認の上、落丁・乱丁等がございましたら、お知らせください。

続きまして、本検討会の座長についてお諮りしたいと思います。開催要綱では、座長は構成員の互選により選出されるとされております。どなたか御推薦いただけますでしょうか。

横田構成員、お願いします。

○横田構成員 横田でございます。

このようなさまざまな検討会や医療関係の委員会の会長や委員長をお務めいただいて、見識も、また経験もある遠藤久夫先生に、ぜひお願いしたいと思います。

○野口救急医療対策専門官 異議がある方はいらっしゃいますでしょうか。

(「異議なし」と声あり)

○野口救急医療対策専門官 それでは、皆様より御賛同いただきましたので、遠藤構成員に座長をお願いしたいとお思います。

遠藤構成員におかれましては、座長席にお移りいただきまして、以後の議事運営をお願いいたします。

(遠藤構成員、座長席へ移動)

○遠藤座長 ただいま座長に選出されました遠藤でございます。委員の皆様方の御協力をいただきまして、当検討会、円滑に議事が進むように全力を尽くしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、早速、議事に移らせていただきたいと思います。本日は、本検討会第1回目ということでございますので、本検討会の開催の趣旨について事務局から説明をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

○佐々木地域医療計画課長 地域医療計画課長でございます。本検討会の趣旨に関しまして、御説明を申し上げます。

資料の番号は打っておりませんが、お手元の「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会開催要綱」をごらんいただけますでしょうか。

まず、趣旨のところでございます。まさにこの平成30年4月から各都道府県において第7次医療計画が策定をされて、その中にも5疾病・5事業の一つということで救急医療、それから災害医療というのも入っているところでございます。

各都道府県が策定した第7次医療計画がどのような内容であるかということに関しては、今後、都道府県に対して調査をして、把握していこうと思っているところです。この検討会ではさまざまなことについて御議論をいただくわけでございますけれども、この趣旨や協議事項に沿いまして、主として議論をお願いしたいようなことを申し述べたいと思います。

まず、救急医療に関してでございます。これは先ほど局長が御挨拶申し上げましたが、高齢化、疾病構造の変化、さまざまな状況がございますけれども、1つの点としては、初期、二次、三次という体制で現在進めているところでございますが、こういった体制が地域特性をきちんと反映しているのか。それから、地域包括ケアを推進する視点に立って体制を見直す必要があるのではないかという問題意識を持っているところでございます。そうした点につきましても、今後、議論をしていただきたいと思っているところでございます。

救急に関しましては、協議事項の(1)に書いていますとおり、ドクターヘリに関しても議論をしていただきたいと思っております。ドクターヘリに関しましては、特別措置法もできまして、どんどんふやしていこうという政策で進めてきたところでございます。しかしながら、現在の52機の機体がどのような活動をしているかというと、相当ばらつきがあると認識しております。ですので、数をふやしていくという視点から、質的なものも検討すべき段階に入っているのではないかと思っております。また、ドクターヘリに関して一昨年、事故も発生しておりますので、現状の取り組みの中でさらに安全な運航に向けても御議論いただければと思っているところでございます。

また、搬送手段といたしまして、ドクターヘリ以外にも例えばドクターカー、一部地域では病院が持っておられます病院救急車の活用というような取り組みもなされておりますので、こういったものについて救急医療体制の中にどういう形で位置づけていくのかということも、また御議論していただきたいと考えているものでございます。

さらには、初期、二次、三次という中の三次機関である救命救急センターに関しても、平成30年4月から充実評価の見直しを行ったところでありますけれども、改めてその役割、機能等についても一度しっかりと議論をしていただきたいと考えているところでございます。

救急に関しては以上でございまして、災害に関してでございます。災害に関しては、協議事項の(2)にございますとおり、DMATのあり方です。平成7年の阪神・淡路大震災以来、災害医療のシステムを組み上げてまいったところでございますけれども、現状と、今日も御議論いただきますが、体制に関する議論、それから関連するシステムです。広域災害・救急医療情報システムの現状の内容とその課題ということも、また御議論を賜りたいと思っております。

さらには、災害医療の主たる役割の中で、災害拠点病院についての現状、課題についても御議論を賜りたいと思います。

さらには、災害に対するさまざまな取り組みの一つとして、DPATというものについてもこの場でまた御議論をいただきたいと考えているところでございます。

その他、関連としまして、趣旨は若干違いますが、僻地医療といいますか、遠隔地医療の取り組みとしてメディカルジェットにも取り組んでおりますので、それに関しての議論もしていただきたいと思っております。

以上、要綱に書いていないことも申し述べましたが、順次、この検討会で優先すべき議論ということで御指摘いただいた事項を御議論していただきたいと思っておりますので、先生方の御意見、闊達な御議論を賜れればと思っているところでございます。

説明は以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

ただいま地域医療計画課長から趣旨説明がございましたけれども、これについて何か御意見、御質問等はございますか。よろしゅうございますか。

個別の議論につきましては、またそのときに御議論いただければと思います。

それでは、早速議題に移りたいと思います。事務局から議題について説明をお願いしたいと思います。

○野口救急医療対策専門官 計画課の野口でございます。

最初の議事次第にあります、救急医療に係る検討会の報告書への取り組み状況について説明させていただきます。お手元に資料1、参考資料1を御準備ください。

今回のことですけれども、平成25年に行われました救急医療体制等のあり方に関する検討会の報告書をもとに、現在の取り組み状況を整理させていただきました。なお、時間の関係上、詳細な説明に関しましては、参考資料の26ページ以降に参照資料をつけておりますので適宜御参照ください。

それでは、資料1をもとに説明をさせていただきます。1ページ目は、救急医療体制がどのように議論されてきたかをまとめたものでございます。その中で一番最近の平成25年の検討会からの取り組み状況を今回まとめさせていただいております。

2ページ目でございますが、「1.救急患者搬送・受入体制の機能強化について」です。今後検討すべき事項と方向性、取り組み状況を表としてまとめさせていただいております。

(1)のメディカルコントロール体制の充実強化に関してですけれども、左側のまとめに対して、右側のメディカルコントロール体制強化事業での支援、総務省消防庁と行っているアンケートをもとに、全国メディカルコントロール協議会連絡会において情報共有と意見交換を、救命救急センター及び救急医療提供体制の現況調べを行っている状況であります。

(2)の救急医療情報の活用と地域連携についてですが、在宅医療・救急医療連携セミナーを通じて、関係機関との連携ルールの策定支援、総務省消防庁の救急業務のあり方に関する検討会(平成28年)における検討、救急医療情報センター運営事業による情報収集と関係者への情報提供を行っております。

続きまして、3ページになりますが、(3)#8000についてです。こちらは厚生労働科学研究において、平成29年度から小児救急電話相談情報収集分析事業において分析を行っております。なお、平成30年度から名称を#8000情報収集分析事業としておりますので、訂正させていただきます。

(4)の院内トリアージについてですが、緊急度判定支援システムJTASが公開され、普及に向けた講習が行われている状況。病院前データと院内データの連結については、一部の地域でシステム構成をしております。

続いて、4ページになりますが、ここからは「2.救急医療機関・救急医療体制の充実強化について」です。

(1)の救命救急センターの充実強化についてですけれども、厚生労働科学研究にて検討の上で、平成30年より救命救急センターの充実段階評価の見直しを行っております。検討は引き続き行ってまいります。

(2)の高度救命救急センターの充実強化についてですが、こちらも厚生労働科学研究で検討中であります。

(3)の二次救急医療体制の充実強化についてですが、搬送困難事例受入医療機関支援事業での支援、厚生労働科学研究での検討を行っております。

なお、最後の段は空欄になっておりますが、指摘された内容が現状も問題として残っているという整理になります。

続きまして、5ページ、(4)の初期救急医療体制の充実強化についてですが、在宅医療・介護連携推進事業や在宅医療・救急医療連携セミナーの開催を通じての支援、消防庁の救急業務のあり方に関する検討会(平成26年)において、地域包括ケアシステムと救急に関して検討が行われ、第7次医療計画の通知に追加されております。

続きまして、「3.救急患者の搬送等について」です。

(1)のドクターヘリ等についてですが、ドクターヘリ、ドクターカー、それぞれ研究班にて検討が行われております。

(2)の高次医療機関からの転院搬送についてですが、地域医療介護総合確保基金において、搬送経費や受入医療機関のコーディネーター配置を支援しております。

次の6ページでございますが、小児救急医療における救急医療機関との連携のことで、記載のような取り組みをしております。御確認ください。

次の7ページは、母体救命に関する救急医療機関との連携のことで、同じく記載の取り組みを御確認ください。

最後に8ページは、「6.精神疾患を有する患者の受入れ及び対応後の精神科との連携について」ですが、こちらは検討の上、精神科救急医療体制整備事業において、必要な要件を右にあるように追記している整理でございます。

説明は以上です。

○佐々木地域医療計画課長 済みません。ちょっと補足をさせていただきます。

今の資料1は、平成26年2月にまとめました、この検討会の前にありました救急医療に関する検討会におきまして、こういうことをすべきだというようなところと、その対応ということでございます。そもそも、参考資料1もちょっと見ていただきますと、救急患者搬送・受入体制の機能強化というところでございますと、救急の搬送体制は参考資料1の8ページを見ていただきますと、大体このような形になっているところでございます。患者さんが何か病気だとか救急が必要な状態になりますと、まずは救急車等が駆けつけて、そして搬送していくということでございますが、当然、病状というか状態によって、初期救急、さらにそこでだめな場合は二次、それから救命救急センターの三次でやっていくということでございます。この中でメディカルコントロール協議会といいますのは、御案内の先生方もいらっしゃると思いますけれども、救急の業務に関連しまして、消防や救急機関、行政機関などが入って、日ごろから連携を図っているということでございます。2ページ目の(1)は、そこの部分についてより充実した取り組みをしていきなさいということが提案として出ていたわけでございます。

2ページ目の(2)救急医療情報の活用と地域連携に関しましては、先ほどの救急医療体制の中で患者さんが救急機関に運ばれて、その後、適切な診療が受けられるように日ごろから患者さんの状態とかを共有していくことに関しての取り組みでありまして、さまざま取り組んでいるところでございますが、今後の議論の中でさらなる取り組みについても議論いただきたいということでございます。

資料1の3ページ目でございますけれども、#8000の事業は、実は今、救急医療体制の中に位置づけておるところでございますが、これも先ほどの情報収集分析事業というのが(3)の3行目にございます。これに関して分析した結果、救急というよりは小児医療のさまざまな情報が来ているということで、現状としては救急制度の中で捉えるよりは、周産期・小児医療の中で捉えるべきではないかということを検討しているところでございます。

また、院内トリアージというのは、患者さんが受診されて、その後、どういう患者さんを優先に見ていくかというようなことを検討するところでございますけれども、それに関してもさまざまな取り組みをしておりますが、さらなる議論が必要で、お願いしたいというところでございます。

4ページ以降は、私の話でも少し御説明いたしましたが、そもそも救命救急センター、高度救命救急センターそのものがさまざまな取り組みをいたしておりますけれども、これに関しても議論していただくというようなところです。

4ページ目の(2)(3)に関しては、二次救急医療体制に関して、ここでも議論されたわけでございますけれども、今回もまた議論していただくことを考えているところでございます。

資料1の5ページ目でございますが、(4)初期救急に関してでございます。実は前回も初期救急の議論をしていただいたのですが、正直申し上げて、ここは十分議論が足りていないと認識しております。ですので、地域包括ケアということを念頭に置いた場合に、初期医療体制のところを今回はしっかりと議論していただいて、いろいろな検討をしていただきたいと考えております。

また、搬送に関しては、先ほど申し上げましたようなドクターヘリや転院搬送等がございますけれども、これも現状、こういうことであるということでございます。

6ページは小児医療救急でございますけれども、これも連携ということでさまざまな取り組みをしておりますが、これに関しても御意見を賜りたいということであります。

7ページ目、母体救急に関してでございます。これは周産期医療協議会というものを都道府県で設置していただいておりますけれども、それとメディカルコントロール協議会という先ほど申し上げた救急の中での関係機関が議論をする場でございますが、これに検討連携して体制をとっていくというようなことでお願いしましたが、さらなる課題がないかというところでございます。

8ページ目、精神疾患を有する患者の受け入れのところでございます。これは精神科救急体制との連携ということもありますが、合併症のある患者さんの対応、精神科医療との連携というところでさまざま取り組んできておりますけれども、いろいろな検討課題が残っているということでございます。

これは現状ここまでやってきているということでございますけれども、関連する資料は参考資料1の2ページ目から37ページまでつけております。これはまた見ていただきながら、順次個別の話題になりますけれども、今日お願いしたいのは、ざっとこういうことで進めてまいりましたが、全体的に救急医療に関してこういう課題が残っているのではないか、さらに、こういうことをやったということになっているけれども、現状はどうかということなどについて、今日は自由にディスカッションしていただいて、次回以降の会議で個別の課題についてご議論いただく、このようなところでございます。

すみません。補足でございます。

○遠藤座長 補足をありがとうございます。

引き続いて、災害医療に係る検討会の報告書の取り組み状況、資料2の説明もお願いします。

○北久保災害医療対策専門官 それでは、災害医療のあり方に関する検討会の報告書への取組状況ということで、資料2と参考資料1を見ながら説明を聞いていただければと思います。

まず、資料2の1ページ目、災害医療体制の経緯ということで記載していますが、我が国の災害医療体制の契機となったのは平成7年の阪神・淡路大震災でございます。これを受けて、大規模災害が起きた時の災害医療提供体制をどうすべきかという議論が本格的に始まったと認識しております。

参考資料1の44ページにもありますけれども、広域災害・救急医療情報システムを整備すると提言されました。当時、災害が起きたときに、どのようなところにどんな被害があるかということが全くわからない状況の中で、いわゆる避けられた死があったのではないかという研究報告もありまして、どうすべきかと考えたときに、やはり被害状況がすぐに伝わってこなかったことの反省を踏まえまして、広域災害・救急医療情報システムというものを整備することになっております。44ページの下の四角に囲ってありますけれども、病院の被害状況が各病院から入力されたり、医療ニーズや医療支援活動情報が情報として即時に上がってきたり、地図等でそれが見えるようになってきたりと、どんどん改良がされてきたところでございます。

資料2に戻っていただいて、平成13年、広域災害のときに被災地外から医療チームを派遣することがあったほうがいいのではないかという議論がありまして、災害派遣医療チーム、いわゆるDMATの構想が進められたところでございます。この当時の構想に基づきまして、平成17年、厚生労働省で災害派遣医療チーム、DMATの養成が始まったところでございます。

DMATにつきましては、参考資料1の40ページを見ていただければと思いますが、災害派遣医療チーム、Disaster Medical Assistance Teamとありますが、平成29年4月1日現在で1,571チーム、1万1,481名の隊員がおり、災害急性期、発災後48時間以内に活動できる機動性を持ったトレーニングを受けた医療チームということで、現在も養成が進められております。

震災が起きたときに被災地外からDMATが被災地に行って医療支援を行うとともに、被災地から被災地外へ搬送して安全なところで治療を行ってもらう。この一連の流れの中でDMATが患者のトリアージや搬送の中で医療ケア、処置などに携わっていただいております。

DMATは数が増えてくると、統合調整が必要になってくるということで、平成22年からDMAT事務局という組織が東京の立川市にあります国立病院機構災害医療センターに設置されております。

こういったことを進めていく中で、平成23年3月、東日本大震災が発生しました。その後に行われた検討会の中の議論、検討会の報告内容につきましては、参考資料3にございますが、数回の議論を踏まえまして、報告書がまとめられております。この検討会の報告書を踏まえまして、参考資料4として配布してございますが、災害時における医療体制の充実強化という通知が出され、これに基づいて災害医療体制の強化を行ってきたところです。

この時の取組についてが、資料2の3ページ以降に書かれているものでございます。資料の3ページを見ていただきますと、まず(1)ということで、災害拠点病院のあり方というものが当時は議論になりました。災害拠点病院の要件について、やはり充実強化すべきではないかということで、3ページ目の左側に書かれているような提言が行われたところでございます。

参考資料1にもう一回戻っていただくと、42ページにその辺の報告書を踏まえた内容をわかりやすく絵で示しております。災害拠点病院の指定要件の改正ということで、平成23年の災害医療等のあり方に関する検討会の報告を踏まえて、災害拠点病院の指定要件を改正いたしました。この赤字の線が引かれているところが、当時の検討会を踏まえまして、災害拠点病院をより強化し、災害が発生した際の医療拠点となる役割を果たせるようにということで災害拠点病院の指定要件として追加されたところでございます。

1枚めくっていただくと、43ページに現在の災害拠点病院の整備状況も記載してございます。平成29年4月1日時点で723病院が災害拠点病院として指定されております。

資料2にもう一度戻っていただきまして、4ページですけれども、基幹災害拠点病院の要件も厳格化されました。複数のDMATを持つことや救命救急センターとしての役割を果たしていること、病院敷地内にヘリポートを有することや耐震構造を有すること、こういったことが要件として定められまして、先ほどお示ししました参考資料4の通知にもこういったことが盛り込まれて、指定要件の厳格化が図られております。

それから、EMISについても、このときの検討会の中で提言が出されたところでございます。広域災害・救急医療情報システムは、阪神・淡路大震災のときに整備が進められたものでございますけれども、東日本大震災の時点では全ての県、多数の病院が未導入であったという事実があったところでございます。こういったことを踏まえまして、先ほどの44ページにもありましたけれども、やはり災害拠点病院等に、それから全県にEMISを導入すべきではないかという提言が出されまして、25年に全ての都道府県、それから災害拠点病院への導入が図られたところでございます。

資料2の5ページですけれども、DMATについても御提言をいただいたところでございます。DMATの活動につきましては、当時、災害時の医療に関しては外傷治療を主に想定していましたので、そういったところにフォーカスを置いてDMATの養成が行われていましたが、東日本大震災等々におきまして、内因性の疾患やメンタルヘルスといったところにも対処できることが必要ではないかということで、DMATの研修内容につきましても、従来の対象疾患にとらわれず、幅広い疾患に対応できるような見直しを行ってほしいと。それから、DMAT1チームの移動時間を除いた活動時間は48時間以内を基本とすべきであり、2次隊や3次隊の派遣で対応すべきであること。それから、DMATはインターネット回線を使ってEMISへアクセスできることを求められるとともに、複数の通信手段を保有していることが求められまして、こういった提言を踏まえまして、DMATの活動要領も改正をされてございます。

それから、DMATの指揮調整機能、ロジスティクスにつきましても提言をいただきまして、これを踏まえまして、DMATのロジスティクス研修というものが行われたところでございます。ロジスティクス研修につきましては、参考資料1の45ページを見ていただければと思います。災害時に被災都道府県に設置される都道府県医療本部や都道府県DMAT調整本部において、これらが災害医療の司令塔になるわけですけれども、ここの業務をサポートするロジスティクスの養成を平成26年度から行っておりまして、この研修を受けた方々から被災都道府県に派遣され、後方支援を行うということをやっておりまして、平成26年度から毎年このような研修を行っているところでございます。

資料2に戻っていただきまして、6ページですれども、中長期における医療提供体制・その他について御提言をいただいております。中長期における医療提供体制についてということで、さまざまな医療チームの受け入れや派遣調整をしっかりやるべきではないかという御提言をいただきまして、こういったことをするためにも、都道府県の災害対策本部において医療チームのコーディネート機能を担う者が必要ということで、参考資料1の47ページに記載しております都道府県の災害医療コーディネーターの研修を平成26年度から開始しております。都道府県医療本部において医療者と行政の橋渡しをする役割としまして災害医療コーディネーターを各都道府県で養成していただき、受講対象は47ページの右下に書いてございますが、ここに書かれているような研修内容により、災害医療コーディネーターの養成を進めているところでございます。これは、日本医師会や日本赤十字社、国立病院機構災害医療センターで研修を行っておりまして、順次養成を行っているところでございます。

災害医療に関する取り組みの状況については、以上でございます。

○遠藤座長 事務局、何かございますか。よろしいですか。補足はございませんね。

それでは、ただいま2つの内容につきまして事務局から御説明がありました。御意見、御質問等があれば承りたいと思います。いかがでしょうか。

山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 今、救急と災害のそれぞれ検討会のレビューをお聞きしたのですが、確認しておきたいことの1点は、先ほど課長がおっしゃっていた話でいくと、前回の検討会のときの論点とはまた違う論点も提案させていただいていいという考えでいいのでしょうか。

○遠藤座長 事務局、どうぞ。

○佐々木地域医療計画課長 そのとおりでございます。前回の検討会ではこういう議論があって、こういうふうに対応しているということを今回お示ししただけでございまして、今日は第1回目でございますので、各先生方から、救急や災害に関してこういう視点での議論が必要ではないかということをある程度フリーにいろいろと御発言いただければと思っております。

○山本構成員 そうすると、私のほうからぜひ、今の報告書を両方見ていただいて、災害のほうは、例えば災害医療コーディネーターとかロジスティクスの研修というキーワードがある一方、救急のほうにそういう教育、研修みたいな人的な面の論点がにわかにはわかりにくくて、できれば私自身ずっと感じているのは、平成25年以降でも専門医制度、また働き方改革とか人的な面でのいろいろな背景がどんどん変わってきている中で、特に私は救急医療というのは医の原点と思っている中で、いわゆる救急医とはどういう者かという人材像とか、さらにはそれに求められるものは何かということを常々考えていて、私自身は、救急医に求められる能力とは、臨床技術は当然のことながら、加えていろいろなマネジメント能力だと思っています。

なぜかというと、救急医が院外の対外的ないろいろな交渉、それは例えば救急搬送を担当される方々とか、さまざまな取り巻く外。また、院内では、当然、自分の手に負えなくなる専門性が出てくるわけなので、そうすると院内の他の診療科に対するさまざまなネゴシエート能力とか、いわゆるマネジメントということも非常に重要な中で、もしその人材像に多くの人の合意が得られるのであれば、そういう人材づくりをどのようにしていけばいいのかという点です。それを例えばどこかの学会にお願いするという話でいくべきなのか、それとも災害医療のときみたいにある程度こういう方向性を政策的に示して、例えば人材育成拠点みたいなものを指定して、そういった人材育成を図っていくといったようなことはどうかとか、どちらかというとそういう人的な面での議論があってもいいのかなと思っております。

あと、人的確保は他の検討会の課題なのかもしれませんが、これも、例えば救急医療においてどう効率化が図れるのかとか、特に救急医療の特徴が何かあるのであれば、それも議論した中でできないかと思います。

県行政をやっていて最大の課題は、救急医療のあり方以前に、それを担ってくれる医師、看護師が集まらないというか、どうしたら集められるかということが切実な問題なので、できれば、もし多くの構成員の方の合意があれば、そういう論点も御議論いただけると私自身も勉強になると思っております。

以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

新しい論点を御指摘いただきました。それに関連してでも結構ですし、また別な視点でも結構でございますけれども、何かございますか。

それでは、石川構成員、お願いします。

○石川構成員 日本医師会の石川でございます。

最近といいますか、おとといの話なのですけれども、私どもはNBCR、これは非常に特殊な災害と言っていいと思うのですけれども、テロ等についてのシンポジウムを行いました。この中でも参加されている方がいらっしゃるのですけれども、これはこの時代の中で、特に2020年のオリパラなども前にしまして大変重要なポイントになっていると考えております。これは一つ、厚生労働省だけではなく省庁横断的な要素があるのですけれども、ここで少しでも検討するのかどうなのかということについてはポイントとして大変重要ですので、ぜひ事務局のほうで、これについてどうするのかということは考えていただきたいと思います。

非常に特殊でありまして、日本では今まで余りやってこなかったことでございますので、ぜひ力をここで入れてやるのだったら、そのように項目を設けないととてもだめだと考えております。

以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

それでは、加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 ありがとうございます。

1点は救急の話なのですが、前回の検討会も出させていただきました、多分、嶋津先生と私だけかもしれませんけれども、以来、救急に関していろいろ発言させていただいているのですが、今回、まず、二次救の話もしっかりと議論しないことには、これからふえる高齢者の救急に関して、前回の検討会では結論的には二次救がしっかり担うのだぞという方向性でたしかまとまったように私は思っておるのです。

そういう中で、今回、中医協では前年度にたしか出たような気がするのですが、まず二次救が減っているという現状、それから、三次救がどんどんふえているという、そういった数字の比較から見て、二次救の現状というものを捉えていただかないことにはいけないのではないかと思います。

それと、参考資料1の8ページです。救急医療の体制ということで、この真ん中が二次救ということであれば、三次救の役割はどのようにすべきかということを前のときも整理しようということになり、三次がどうしてあれだけふえているのかという話から、本来のつくるべき数からいうと倍以上できてしまっています。それで充実等を一回調べてみようではないかという結論になったと思うのですが、結果的には全施設が充実されているという形で数は減らないという話になっていましたから、やはり二次救と三次救のあり方についてしっかり議論すべきではないかと思います。特に高齢者救急に関して、どこがイニシアチブを持って頑張って受けていくのかということを一つ議論していただきたいと思います。

もう一つは、高齢者に関しまして、今後、2025年までにふえる高齢者の7割が実は都会でふえるのです。都会でふえる救急を都会の中で受けるわけなのですが、その都会のほとんどは民間医療機関が二次救を担っているのが実態であります。その民間医療機関がしっかりと二次救を担えるような環境にあるのかどうかという議論もぜひともお願いしたいと思います。

そうしないと、先ほどちょっと数が出ましたけれども、例えば今回、専門医制度が始まって、今年度の大阪の救急医の専門医の数は、過去3年間の平均値の3分の1なのです。都会というニュアンスでいきますと、東京を中心に五大都市圏というところで、実は専門医に関してはシーリングをかけられているわけなのですが、東京以外はみんな1割近く減っているのが現状でありまして、まして大阪においては減り方が、特に救急においては3分の1程度の専門医になっている。こういう現状があるということも認識しながら、それならばどうしたらいいのかということもぜひとも議論していただかないことには、これからふえる大都会において救急医がいなくなっているという現状があることも含めて、体制のあり方をぜひとも議論していただきたいと思います。

もう一点、災害に関しましては、確かにDMATというのができまして、東日本のときには余り活躍できなかったということもありますが、熊本に関してはかなり改善されて動かれていたのも事実だと思います。東日本の際に、災害拠点病院の話も今回出ているわけなのですが、実際には阪神・淡路大震災のときもそうだったのですが、近くの二次救へ結構、皆さん方、実態は行っていたわけなのです。ですから、災害拠点病院も大事だと思うのですが、実際に災害が起これば、もちろん救急車は阪神・淡路大震災のときでも一切、しんとした世界の中で救急車が走れるような道路状況でもなかったし、近くの病院へみんな担いで運んだというのも実態であるわけです。

ですから、大阪では災害拠点病院と、二次救は災害支援病院という形で評価して、いざというときにはそこへ被災者が来るであろうということも考えて体制づくりをしようという話が出ております。実際に起こったときにどのようにして人が動くのか、受傷された方が動くのかということを考えると、拠点病院だけの話ではなくて、特に大都会で起こったときは面で受ける体制づくりが非常に大事ではないかと思います。

そういった意味で議論していただきたいのと、またもう一つ東日本で起こったことは、拠点病院以外の民間病院では放置された病院が幾つもあったということです。それを我々は非常に懸念しまして、実は全日本病院協会を中心に、AMATという我々民間病院同士で助け合いする組織もつくったわけであります。それが今回の熊本の震災においても活躍したかなと我々は自負しているわけなのですが、そういった活動も含めて、災害時のあり方もぜひとも議論していただきたいと思っております。

ちょっと幾つか申し上げて、申しわけありませんでした。

○遠藤座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでございましょうか。

島崎構成員、その次に坂本構成員、お願いします。

○島崎構成員 今までお話のあったこととも関係するのですけれども、開催要綱や今回の検討会の設置の趣旨とも関係しますので質問させていただきたいと思います。

先ほど御説明がありましたように、救急医療、災害医療については、2014年、2011年にそれぞれ報告書が出されています。それから大分時間がたったとみるか、それほど時間がたっていないとみるかは、人によって違うかもしれませんが、今回、救急と災害を一緒に一つの検討会で議論することについて、どのようにお考えなのかということはもう少しはっきり言っていただきたいという気がします。例えば、確かに災害が発生したとき、主として担う医師は救急関係の医師であるとか、あるいは災害があったとき、いつまでもDMATがそこにいるわけではなく引き継ぎが必要になるわけですが、そのときに救急体制が日ごろからしっかりした地域はきちんと引き継ぎがフォローできるとか、つまり救急と災害医療が親和性を持っているというのはそれなりに理解できます。しかし、一方で、救急医療と災害医療ではかなり違う面を持っているのもまた事実であり、2つの領域を1つの検討会でやることの意義について、理解していないのは私だけかもしれませんが、もう少し説明いただだきたいと思います。

さらに、ただ今申し上げたこととの関連で言いますと、確かにこれまでの報告書でやり残した面があるのかもしれませんし、その後の状況を踏まえて新たな課題が出てきたのかもしれませんが、一方で、それぞれかなり広範なテーマであることはまた事実だろうと思います。例えば救急で言えば、個別の疾患ごとにかなり問題の所在が違いますので、それぞれの疾患ごとにやっていくのかとか、先ほどの佐々木課長の御説明だと、必ずしも三次だけではなくて初期の救急医療のところについてもきちんと再考すべきだと言われました。私も同感ですが、一次と三次ではかなり問題の所在が違ってきます。

それから、先ほども指摘がありましたように、地方と都市ではかなり問題の状況が違ってきますので、救急一つとってみても議論の幅は相当広いわけです。そうしますと、その中で特に何をやるのかということについて、よほどきちんとした検討会の議論の設計をしませんと、焦点がぼけてしまうことになりかねないという危惧を抱きます。

それとの関係で言いますと、これは何か具体的な検討会の目処というか、例えばお尻が切られているのか、議論の経過を中間報告みたいな形で予算要求なり制度改正に結びつけていくというお考えがあるのか、その辺についてもお聞かせいただけるとよろしいかと思います。

整理しますと、救急と災害を一緒に議論することの意義。2つ目は、議論の対象範囲の優先順位のプライオリティーのつけ方。3つ目は、検討会の目処についてどのようにお考えなのか、最初の会合ですのでお聞かせいただけるとありがたいと思います。

○遠藤座長 では、事務局、お願いいたします。

○徳本救急・周産期医療等対策室長 御質問ありがとうございます。救急・周産期医療等対策室長でございます。

今、3つの御質問をいただきました。まず、救急と災害の2つを1つの検討会で議論することの意義ということでございます。それは、まさに今、構成員がおっしゃったように、基本的に実現場として救急と災害はほぼ同じプレーヤーがやっているということと、現場で使う資源的にも同じものを使っているというのが第1の印象でございます。

あと、個別に検討会を開いたとしても、お集まりいただく構成員の皆様もほぼ一緒になるのではないかと我々は思っているところです。

今御指摘いただいたように、いわゆる救急の話をし、災害の話をし、論点がぼけるのではないかという御指摘はごもっともでございますので、できるだけ災害はある程度災害のパッケージでまとめつつ、救急は救急でまとめつつということで、皆様の頭が混乱しないようには、今後の運営において気をつけていきたいと思います。

2つ目でございます。この検討会の守備範囲ということでございますけれども、我々は前回の救急及び災害の報告書をまとめさせていただいてから、報告書に沿ってそれぞれ取り組みを進めてきたところでございます。先ほど課長の佐々木より申し上げましたように、行政として取り組みはしてきたけれども、まだ足らない部分があったかもしれませんし、当時できるかと思って立てた報告書の内容がまだできていないというところもあるかと思いますので、そこは改めて対策について御助言いただくとともに、報告書が出てから数年たちますので、いわゆる高齢者救急の増加だとか疾病構造の変化、そういった今日的な課題等もありますから、そういった新たな課題についても御議論いただければと思っておりますが、そうはいっても議論百出で論点がいっぱいあって何もまとまらないということではいけませんので、そこら辺はいただいたテーマの中で優先順位をつけつつ、議論に資する資料が整ったものからということでやらせていただきたいと思っております。

続きまして、期限については、明確にこの検討会をいつまでに、例えば半年とか1年で締めるというような期限は今のところは切っておらないところでございますが、今お話がありましたように、予算だとか体制に関するものは、それぞれ行政的にも期限というか作業スケジュールはございますので、そこら辺は十分配慮しながらやっていきたいと思います。そういった観点から、本日の議題で言いますと(4)以降の災害対応における組織体制を挙げさせていただいたものでございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

お待たせしました。坂本構成員、お願いいたします。

○坂本構成員 1つは、冒頭の山本構成員からの救急医療を担う者は誰なのかということでコメントさせていただきたいと思います。

病院前のコーディネート、それから院内のコーディネートということで、これはまさに救急科専門医の目標でございますので、救急科専門医が担うべきものと思っております。それを育てているのは日本救急医学会であると思いますけれども、一方で、年間600万台に及ぶ救急車、それから2,000万人の時間外外来患者が存在し、これらを診るためには大体1万人の医師が必要だろうと試算されています。これに対して救急医学会の専門医は四千数百人しかいないので、先ほど加納構成員からもございましたように、都市部においても救急医が足りないのが現状です。この様な状況下で、どうやって診療科間の医師数不均衡を是正して救急科の医者をふやしていくかということが我々は大きなテーマでございます。救急科専門医が1万人に達するまでは、内科や外科の先生方も含めて全ての診療科の先生が救急医療に協力していただかないと日本の救急医療はもたないだろうというのがコメントでございます。

もう一つは、先ほど加納構成員からも出されましたけれども、参考資料1の8ページで、初期、二次、三次のようなイメージ図で、初期救急医療、入院救急医療、救命救急医療というのは絵が描いてございますけれども、次のページを見ますと、初期救急医療の機能として、主に、独歩で来院する軽度の救急患者と書いてあります。ここで、救急搬送と独歩という入り口の受診の仕方の部分で初期、二次を分けるのか、入院機能と外来機能という部分で初期、二次を分けるのかという2通りの定義が問題となっています。救急車で来ても約半分の方は外来だけで帰られる。つまり、軽症として入院が必要ない患者さんがいらっしゃる。一方で、救急車で来て入院される患者さんである年間二百数十万人とほぼ同じぐらいの人数の患者さんが、休日・夜間等に独歩でいらしてそのまま入院されている。

多くの二次救急医療機関は救急車だけを見ているのではなくて、このような独歩の方も含めて救急で入院治療をされていると思っております。この辺を今後、初期救急に何を求めるべきか、二次救急に何を求めるべきかを議論するときに整理して考えないと、休日・夜間急患センターとか在宅当番医政だけで初期救急が充足しているかという話には決してならないと思います。この辺は今後、課題としていただければと思います。

○遠藤座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

それでは、初めての方優先で、大友構成員、それから加納構成員、お願いします。

○大友構成員 医科歯科の大友です。

救急医療体制に関して、今回お出しいただいた課題は、もう10年以上前から同じことを議論しているように私は思います。ずっと二次救急医療機関の強化が大事であるということと、三次救急はどういうことをやるべきかのかという議論が毎回問題になっていて、三次救急ばかりふえているという事も毎回言われている話ですし、救急告示病院と二次救急医療施設が合体できないという話も前から出ている議論でございました。あと、高度救命救急センターの位置づけというのも前からの話で、もう10年以上この議論をしているわけで、平成26年の検討会のときに議論したはずなのにまだ続いているということは、このときには先延ばししてしまったということなのかと思うわけでございますけれども、今回、これは決着をつけるということなのですか。それとも、またはっきりしない形で進んでいくのか。その辺をどのように進めていくのかについて、初回ですので確認させていただきたいと思います。

○遠藤座長 事務局、どうぞ。地域医療計画課長、どうぞ。

○佐々木地域医療計画課長 今の御指摘については、決着をつけるつもりでやるということでございます。

○遠藤座長 よろしいですか。

それでは、加納構成員、どうぞ。

○加納構成員 追加なのですが、先ほど出ましたように、救急専門医自身は4,000人という数しかいない。それで救急告示病院とかそういったものを入れると本当に全然足らないという現状であります。実態は、二次救においては本当に各科の先生方が協力し合いながら救急の医療体制を維持しているというわけですが、またそこも今、議論になっている働き方等では、やはり非常に大変な状況ではないかと思います。足らないということもはっきりしているところではないかと思っております。

そこでよく言われているのがタスクシェアリングの話なのです。今回の議論の中には入っていなかったのですが、救急車の中では救命士が活躍できるという話が出ておりますが、我々はどうしても看護師さんにお願いして救急の現場も維持している中で、例えば、救命士の方々の一般病院における仕事の量をふやすとか、そういった先ほどからの議論の中でドクターが足らない部分の補填という形での議論をぜひとも加えていただきたいと思っております。よろしくお願いします。

○遠藤座長 ありがとうございます。

ほかにございますか。

それでは、野口構成員、森村構成員、横田構成員の順番でお願いします。

○野口構成員 森村先生と重なるかもしれませんけれども、ぜひ決着をつけていただきたいのは救急医療情報センターのことでございます。五、六年前、厚生科研をいただきまして、大変陳腐な報告しかできなかったのかなという反省をしておりますけれども、情報センターがまともに動いているところは東京、大阪、福岡、札幌、愛知ぐらいのものでございまして、形骸化してしまっています。これこそまさに決着をつけていただきたいところで、私は基本的に個人的には、情報センターがなければ一次、二次、三次などというのはとてもやることはできない。また、情報センターが機能していないがゆえに、何でも夜になると三次救急のほうへ入ってしまうというような現状がございますので、そういうものをきちんと、せめて情報センターをやればある程度のデータが出てまいりますので、データが出てこないようなところは情報センターが機能していないところだと思いますので、ぜひその辺のところも今後どうするかを検討していただけたらと思います。

以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

それでは、森村構成員、お願いします。

○森村構成員 皆さん、こんにちは。東京大学の森村と申します。初めて出席させていただきます。よろしくお願いいたします。

私からは、主に3点御検討いただければと思っております。

先ほど来、御議論がありましたけれども、まず、救急医療に関してなのですが、これは全て現時点で上がっている目標がプロバイダー側の目標であって、いわゆる市民側にどういう救急医療を提供するのか、そのアウトカムをどうするのかという視点が、必要であると思っております。

多くは死亡率、あるいはユーザー満足度といったアウトカム指標による評価が最終目標だと思います。

2点目は災害医療についてです。議論を支援と受援と明確に分けていただきたいということと、首都直下、南海トラフクラスのものと、そうではないもの、規模の違いによっては議論を一緒にすることができない部分もあります。総論は一緒ですが、各論を詰めるときには少し視点が変わってくるところも出てくると思いますので、これも議論していくときに丁寧に分けていったほうがいいと思います。

災害医療に関連して、1つコメントさせてください。一つの組織に依存しないで、今あるすべてのリソースをうまく使ってオールジャパンの体制が求められていると思います。たとえばDMATの数を増やせば増やすほどクオリティーを維持するのは難しくなります。今までの災害対応の中でも、日赤、あるいは共済病院や国立病院群などなど、いろいろなグループがいろいろな枠組みの中で医療支援チームを組んで対応してきた、その歴史をもう一度振り返って、現有の行政のシステムにいかにうまく統合していくかという視点で考えるという点が大事であると思います。

支援チームの枠組みと同様に、DMAT事務局の組織運用や広域災害・救急医療システムについても、常に改善を目指すことが可能となるような、定期的な人員配置の見直しなどによる組織の活性化が重要であると思います。

最後は、EMISについてです。ふだんから使っていないと災害では使えない。

拠点病院のみならず、オールジャパンの病院がそういったものを共有するシステムを先に見据えて行くべきであると思います。そうなるとユーザーフレンドリーにしなければいけない。あるいは使い手によってアクセスできる範囲や画面を変える必要があるかもしれません。そのような検討もこれから要るのではないかと常々思っております。

以上です。

○遠藤座長 ありがとうございました。

では、横田構成員、お願いいたします。

○横田構成員 きょうは救急医学会を代表して参りました、構成員の横田でございます。

先ほど、この開催要綱を御説明いただいて、あり方等の検討ということで、まさにそのとおりと思います。先ほど山本構成員からお話があったように、今回の検討会のポイントの一つは、人材育成あるいは効率的な人材活用というところにあるのかなと思うのです。救急医療にしろ災害医療にしろ、その担う範囲というのが非常に広がってきている。そこに一人一人、今までは何とかそれぞれの皆さんの努力によって維持してきたわけですけれども、さすがにその分野が広がってきたということで、もっともっと効率的な人材を活用していかなくてはいけない。ただ一方で、働き方改革というのがさまざまな業種に係ってきて、そういう意味ではアゲインストな部分があるわけですけれども、ここはやはり医者を急にふやすわけにももちろんいきませんし、そういう意味で、今ある医療資源、これは人的にも物的にもそうだと思うのですが、それをいかにうまく活用するか、あるいは活用している施設に評価をする。そういうことで、これから効率的な人材育成についてうまくいくような仕組みができたらなと思います。

先ほど構成員の坂本先生がおっしゃったように、救急科専門医は、我々はあと2倍つくらなくては今のシステムを維持あるいは発展することはできないと思っていますし、救急医あるいは救急医療に求められる社会のニーズはますます広がっている。そういう中で、効率的な人材育成と、これからまたきっとお話があると思うのですが人材活用と育成、これがやはりこの検討会で何らかの議論をしていただければと思います。

以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

まだ御意見あるかと思いますけれども、アジェンダがもう一つございまして、今後、かなり個別の議論にもなっていく可能性がありますので、どうしてもという方お一人だけ。

それでは、山崎構成員、手短にお願いします。

○山崎構成員 初期救急に関して言えば、本来、患者さんは、かかりつけ医がいるわけですね。従って、かかりつけ医ときちんと連携していれば、初期救急に上がってくる患者さんはかなり少なくなるような気がします。一方では9時-5時の診療所がどんどんふえてきて、準夜、深夜に対してかかりつけ医が対応できない診療所がふえてきているということで、何でも救急に上がってきてしまうというのが問題なのだと思っている。

もう一つは、先ほどもあったように、働き方改革ですね。卑近な例で言うと、聖路加病院に指導が入って、先立っても福井院長と話をしていましたらば、土曜日の外来対応ができなくなったし、準夜、深夜の救急対応についても、医者が少なくなって、対応ができなくなり、聖路加病院で本来は対応していた救急の患者さんを周辺の病院に回さなければならなくなり、今度はその周辺の病院の救急も大変になってしまっています。そうでなくても救急医療の現場というのはブラック企業並みになっていて、働き方改革の焦点になっているところで、杓子定規の指導を厚生労働省がやっていたら余計に現場が混乱すると思うのですが、どうでしょうか。

○遠藤座長 御意見としてお聞きすればよろしゅうございますね。

まだまだ御意見あると思いますけれども、もう一つアジェンダがありますので、御意見につきましては、今後、個別の議論をするときにまた大いに御意見を賜りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

それでは、議事次第の(4)災害対応における組織体制についてというところに移りたいと思います。本日は、小井土参考人より厚生労働省DMAT事務局の体制整備について、次いで、富田参考人より日本赤十字社における災害対応の体制整備について、最後に事務局よりDMAT事務局のあり方について、続けて御説明をお願いしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○小井土参考人 DMAT事務局の小井土です。このたびはお時間をいただきまして、ありがとうございます。長年、DMAT事務局の盤石化を要望してまいりましたが、今回、この在り方検討会の議題に加えていただいて、厚労省あるいは検討委員会の皆様に心から感謝申し上げます。

資料3ということで、まず、DMAT事務局の現状報告をさせていただきたいと思います。1ページ目ですけれども、これが平時の業務ということになります。1番から8番に書いてありますけれども、一番メーンのものとしては、DMATの隊員養成と隊員の管理・サポートということになります。隊員養成に関しましては、もちろん養成研修、技能維持、リーダー的なDMATを育てるための統括DMAT研修、そして先ほども出ましたロジスティクス研修等を行っているということになりますし、また、現在、DMAT隊員は1万2,000人が全国にいますので、その隊員のサポートというようなことがメインとなります。

また、4の政府の総合防災訓練、これは平成16年から広域医療搬送訓練ということで行っていますけれども、毎年2,000人を超えるDMAT、そして消防、自衛隊、関係者を含めると3,000人以上がかかわる国を挙げた訓練を行うということで、これも数カ月前、ことしは8月8日に行いますけれども、今、既に準備が始まっているということになります。

6ですけれども、DMAT活動だけではなくて、日本の災害医療全般にわたった研究を厚生労働科研費あるいは内閣府の研究費で行わせていただいているということになります。

8-1ですけれども、DMAT以外にも、従事者研修とか災害医療コーディネート研修、あるいは小児周産期リエゾン等のさまざまな研修を開催させていただいているということになります。

8-2、海外からの視察対応ということですけれども、国民からの期待も大きいわけですが、今、日本DMATは世界的に非常に注目されていまして、見習いたいという国が視察に来ております。最近でも韓国とかインドから4日間かけて全部の研修に参加しているということがあります。

この平時の業務をどれだけのメンバーでやっているかというと、1枚めくっていただいて、東が23名体制、西が10名体制ということになりますけれども、医師はそれぞれ、災害医療センターの場合は臨床研究部との併任、そして大阪医療センターは救命救急センターとの併任ということで、事務は専任がいますけれども、それ以外、災害医療技術員を含めて全てが非常勤の職員で行っているということになります。

1枚めくっていただいて、有事の際ですけれども、我々は有事が起こればDMAT本部を立ち上げて、情報収集、災害対応を実際にやるわけです。これは過去3年間の実績ですけれども、毎年15件前後の災害が起こりまして、それに対してDMAT本部を立ち上げています。赤字で示したものが実際にDMAT隊を派遣したものですけれども、これが年間二、三回ということになります。最近、地球の温暖化に伴い世界の気象災害が急激に増加しているということですので、我が国の災害は、ふえることはあっても減ることはないということだと思います。

もう一枚めくっていただいて、実際に熊本のときにどうだったかというお話ですけれども、これは参考資料5を見ていただくと詳しく書いてありますが、今回の熊本地震では508隊、2,196人を派遣に出しておりまして、東日本のときの383隊、1,856人をしのぐ隊員が被災地に入っているということになります。最初の前震では、九州ブロック内だけの対応で大丈夫だろうということで、DMAT事務局の本部のほうも、ほぼ災害医療センターの自前のメンバーで何とか行きました。また、現地の熊本県にも8名の事務局員を派遣しておりますけれども、自前のメンバーで何とかなる見込みだったのですが、本震を受けまして、全国からのDMAT派遣ということになりまして、本部としては、我々の自前のメンバーだけでは不可能で、半数は外部の支援をいただいて何とかやったということであります。

また、先ほどから出ていますロジスティクスチームも、熊本県を初め、県レベル、二次医療圏レベルに派遣したということになります。

また、3・11のときには十分に引き継ぎができなかったことが大きな教訓となっておりますので、今回は10日間の活動ということで十分に医療救護班への移行をなされた。それに関しては、DMATロジスティックチームというのが、これは研修をずっと続けてきたわけですけれども、それが非常に効果的であったということになります。

今回は、やはり外部支援を受けないとなかなか回らなかった。ただ、今回は熊本県1県だけだから対応が可能であったということですけれども、それも外部支援を受けなければできなかったということだと思います。

1枚めくっていただいて、現状と課題ということですけれども、今、先ほど示しましたように、災害医療センターは23名、大阪医療センターは10名ということですが、ほとんどの職員が非常勤ということになります。24時間365日、何かあった場合は5分以内にDMAT本部を立ち上げていますけれども、国の危機管理を非常勤の職員が行っているということになります。

また、災害対応はロジが非常に重要なのですけれども、これは過去の災害でも証明済みですが、それを中心的に担うのが災害医療技術員ということですけれども、その人たちが非常勤であるということになります。

また、現在においては一部の献身的な人たちによって支えられていますけれども、先ほど森村先生もおっしゃいましたが、そうではなくてもうちょっとオープンで、キャリアパスがあって、新陳代謝が行えるような組織にすべきであると思います。誰もが安心して災害医療にかかわれるような組織が必要かと思っております。

最後のページですけれども、国レベルの災害医療の教育・総合調整体制の充実強化の必要性ということです。今、3T、実際に現場の医療の担い手は本当にDMAT、JMAT、そして日赤を初めたくさん育っておりますけれども、やはりこのCSCA、Command & Control、情報を集めて分析して戦略を立てることができるような専門家というのが非常にまだまだ欠乏していますので、そういう人たちを育てる教育機関を含めて必要であろうということ。

2ポツですけれども、南海トラフなどの大災害に対応するためには、平時からこのような専門性を持った人員の確保が必要ということで、今回は熊本1県だけだから対応できましたけれども、南海トラフを考えますと重点支援県が10県もありますので、そこに熊本のような支援ができるかという話になります。

3ポツ目ですけれども、東日本大震災以降、DMATに続き、さまざまな医療チームが発足したが、その統合連携が課題となっているということで、3・11以降は派遣調整本部で統合しましょうということになりました。また、熊本では、医療チームだけではなくて、保健師チーム、あるいは栄養士チーム、リハチーム等の保健医療活動チームと一緒になって活動することが大切だということで、保険医療調整本部というものを立てることになっていますけれども、まさにそこの中心的な役割を担う災害医療コーディネーターあるいはリエゾンという人たち、専門家を育てることが今後、非常に必要だろうということで、そういう教育とか統合調整体制が一元化してできる組織が必要だと思います。

また、この組織というのはDMATだけではなくて、災害医療全般、急性期から慢性期、復興期にかけて、今問題になっています震災関連死のことまで考えると、DMATにかかわる大きな幅で、そして長期にわたるような、それを一元的に担う組織が必要ではないかと考えております。

以上です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

では、続きまして、日本赤十字について、お願いいたします。

○富田参考人 日本赤十字社の富田です。

では、資料4をごらんください。まず1枚めくっていただければ、これが法的な根拠でございます。災害救護に関しては、赤十字は業務として位置づけておりますので、入社した職員には必ず、災害救護は業務であるというふうに教え込んで訓練をさせております。

2ページ目は、災害救護で行っているさまざまな活動をしているということを書いてあります。

3ページ目は、災害救護業務の基本ルールですが、これは4ページ以降の図で御説明いたします。

4ページ目です。まず、災害の大きさによって体制が変わります。これからお話をしようとするのは、どのような体制で、どのような支援をそれぞれの部署が行っているかということをお話しします。まず、局地災害、1つの県の中でおさまるというものは、赤十字は全都道府県に支部を持っておりますので、そこに災害対策本部が立ち上がり、そこに支部管内の主に病院から、日赤災害医療コーディネートチームが支部の災対本部に入り込んで、そして全体の県の中の災害医療の調整を行います。必ずそのときには県の災害対策本部にもコーディネーターまたはリエゾンが入って調整しながら行っております。ほかにブロック代表支部、本社との連絡を行います。

1枚送ってください。5ページ目になりますと、これがもう少し県をまたいだ支援がないと対応できないぐらいの大きさになったときの対応です。日本赤十字社では、ブロック代表支部というものを設定しており、これは全国を6つのブロックに分けておりますので、そのブロックの代表支部に支援を要請しますと、ブロック代表支部がそのブロックの中、少ないところで6県、多いところで十数県ありますが、その支部から災対本部要員、コーディネーター、救護班等を支援として派遣します。そういう形で災対本部の力の弱いところに要員を送り込んで、サポートするという形をとっております。救護班は必要に応じて派遣されます。日本赤十字社の災害医療コーディネーターは、県のコーディネーターになっているものが多いのですが、災害時にはもちろん都道府県の災害対策本部に入って調整しながら一緒に活動していく形となっております。

それから、全国支援というのが6ページ目です。これが南海トラフや首都直下などを想定しております。今まで申し上げたほとんどは、災害の現地からの要請主義で支援を行っておりましたけれども、大規模災害になりますと、本社が災害対策本部を立ち上げて、被害状況に応じて本社から要請なしでも派遣できる体制をとっております。この場合も現地の災対本部へ災対本部要員を送り込んだり、災害コーディネートチームを送り込んだり、救護班を送り込んだりということをしております。

それから、先ほどちょっと要員の話になりましたけれども、災害救護にかかわる常勤職員が本社に約20名弱おります。そして、南海トラフ規模になりますと、本社に500名ぐらい職員がおるのですが、その中の200名ぐらいは医療救護をはじめとした災害対策本部の仕事をするように訓練しております。

もう一つは、私たちは全てを業務で行っておりますので、このような支援等は、業務命令ですることができるのが特徴だと思います。

残りは、8ページ目などは現在の救護活動のリソースです。このぐらいのリソースを持っているということと、9ページ目はdERUという携帯型の仮説診療所をコンテナで20セット、全国に展開しております。

10ページ目は、先ほどお話がありましたが、現在行っている人材育成のさまざまな研修をこのような回数行っておりますが、今、我々が痛感しているのは、コーディネーターの数が足りないということで、コーディネーターの養成を今かなり盛んにやっておりますし、都道府県の災害医療コーディネートの研修にも共催で協力しています。

11ページですが、コーディネーターの数が足りないと申し上げましたけれども、右側の黄色い枠の中をごらんください。災害医療コーディネーター、医師ですが、これが93名、それに看護師、ロジを含めて252名が一応訓練を終えていますけれども、熊本のときはこれでも足りませんでした。支援に出し続けたのですけれども、これでは足りなかったので、これを今、ふやそうとしています。

12、13、14ページは、今までの実績を書いてありますので、御参照ください。

以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

では、事務局からお願いします。

○北久保災害医療対策専門官 続きまして、事務局のほうから大規模災害に備えたDMAT派遣調整体制の整備ということで説明させていただきます。

先ほど、小井土参考人、日本赤十字社の富田参考人からDMAT事務局の現状、それから、同じような業務をやっている日本赤十字社の救護班の派遣調整等のやり方について御説明いただきました。それらを踏まえまして、我々のほうで今後、議論いただきたいところを整理して、今回説明させていただきます。

まず1枚おめくりいただきまして、1ページ目です。さきほどの小井土先生の説明とちょっと重複するかもしれませんが、DMAT事務局の業務について整理したものでございます。いわゆる平時の業務、それから災害時の業務は、それぞれ点線の黄色の四角で囲っておりますけれども、こういったことについて、厚生労働省ではDMAT事務局を全国で2カ所設置して行っております。平成22年度に立川災害医療センターのほうに設置しておりまして、平成25年度には大阪医療センターに西日本のDMAT事務局を設置しております。

真ん中のところに※印で書いておりますが、災害医療センターが中心となって大阪医療センターがサポートするという位置づけで業務を行うことになっておりますが、いわゆる首都直下地震等により災害医療センターでの業務遂行が困難な場合は、大阪医療センターが中心となって業務を行うというたてつけになっております。

2ページ目でございますが、DMAT事務局体制の現状と課題について整理してございます。図を使ってここに示しておりますが、現在の体制といたしまして、東日本、西日本、それぞれ事務局が分かれておりますが、事務局長、事務局次長の方は、それぞれドクターの方が併任という形でおりますが、臨床研究部や救命救急センターの業務を併任しているという形になっておりまして、それ以外のドクター、看護師はほぼ非常勤でやっている状況でございます。

事務におきましては、水色で囲っておりますが、次長の方々はそれぞれ病院の業務を併任しつつ、事務局次長もやられている。係長の方だけが専任(常勤)という形でいるということでございまして、先ほど小井土先生の資料では災害医療技術員と書いておりましたが、ロジスティクスを担当する専門の方々が非常勤でやっているという形でございます。

下の図のほうの枠で囲っているのは、それぞれのDMAT事務局がどういう位置づけになっているかというところですが、それぞれ災害医療センター、大阪医療センターの中の組織ということになっておりまして、現在、DMAT事務局は、厚生労働省の指示のもと、直接業務を行っている。災害時においては、指揮命令を厚生労働省の指示のもとに行っているということですが、病院内の組織というところでありまして、他の組織からの迅速な応援態勢の構築がなかなかしづらいという問題点も指摘されております。

それから、災害時に医療センター外のどこから応援を受けられるか、あらかじめ決まっていないという問題点もございます。

また、非常勤が多く、特にロジスティクスの専門知識を持つ者が非常勤しかいないということで、体制が脆弱なのではないかという課題も指摘されてございます。

3ページ目でございますが、先ほど熊本地震のときの業務のことについて小井土参考人から説明いただきましたが、それを時系列の図のようにまとめてございます。横軸が時間の経過を表しておりまして、縦軸が人数という形になっております。熊本地震におきましては、平成28年4月14日に前震がありまして、ここで一度災害モードに入ったということで、熊本県、九州のほうでDMATの派遣要請が行われて、ここでDMATの調整業務が発生しました。

この真ん中の点線ではない赤線がございますが、これは東日本DMAT事務局の人数です。当時は頭数として23人いたのですが、前震の時でも業務に従事する人数は赤線を超えておりまして、業務はかなり大変だったということが見てとれます。

この業務をどのように補ったかといいますと、下のほうにオレンジで描いておりますが、これはDMAT事務局の人数も入っていますけれども、それプラス災害医療センターの病院の職員が駆けつけて業務を支援していただくとともに、薄いオレンジ、黄色のところで外部支援となっていますが、外部から応援者も駆けつけてくれて何とか業務を回していただいたところでございます。

4月16日の本震のときです。この時はかなり大きな被害があったということで、九州のみならず全国からDMATの派遣要請、それからロジチームの派遣が行われたわけですが、この時の業務に関してはさらに人手が足らず、外部からの支援、それから緑色で描いています学生、これはいわゆるDMASと言われています災害医療学会の学生の方々が駆けつけて、このときの業務を補ってくれたという経緯がございます。

このように最大40人ぐらいの体制の業務が必要だという事態があったときに、上の赤い点線と、当時DMATの派遣調整業務を行ったのは東日本の事務局だったのですが、この23人の頭数の差をどのように補ったかというと、外部の支援や災害医療センターの病院職員、学生等々の方々が支援してくれまして、黒い矢印が上下でありますけれども、これについて補ってくれた。これは外部の応援によりカバーしたと。ただ、これは応援する者があらかじめ任命されて集まってきたわけではなくて、何とか現場の中でいろいろな連絡をとり合って集まってきてもらったというのが実情でございます。

これを踏まえて、今後、DMAT事務局をどのように見直していくかということでございますが、事務局のほうから課題を踏まえて論点を示してございます。現在のDMAT事務局の体制、非常勤職員での対応があったということですけれども、この体制を見直すべきではないかという点が1点。

それから、大規模災害時の業務量の急激な増加というのは現実として起きるわけですけれども、熊本地震でも起きたわけですが、今後、発生が想定される南海トラフや首都直下地震などを踏まえますと、こういった業務量の急激な増加に備えて、外部からDMAT事務局をバックアップする人材、ロジスティクスを含めた災害医療の専門知識を持つ者が集まる組織、仕組みを構築すべきではないかという点がもう一点でございます。

それから、先ほど来、DMATだけに頼るとリソースに限界があるのではないか、JMATやAMAT、DPATといったさまざまな医療チームが出てきて、災害医療を何とかやっていくという体制ができつつある中で、新たな役割ないし業務を付与すべきかどうかということも議論いただければと思います。

事務局からは以上でございます。

○遠藤座長 ありがとうございます。

ただいま3つの御報告をいただきましたけれども、御意見、御質問をいただきたいと思います。特に最後は、事務局から議論をいただきたい内容ということで具体的に挙げられておりますので、この辺についても御意見をいただきたいと思います。いかがでございましょうか。

では、大友構成員、どうぞ。

○大友構成員 大友ですけれども、私、DMAT発足当時は災害医療センターに勤務しておりまして、DMAT発足のときにかかわりました。現在のDMAT事務局の状況は、その歴史的な経緯でこういうことになっているわけでございます。平成13年の厚生労働省の検討会で日本版DMAT構想が出たのを受けてDMATの標準化に関する厚生科学研究班が立ち上がり、それを受けて、災害医療センターの立場から、DMATが必要であると厚生労働省に提案いたしました。ただ、DMATの立ち上げに関して、もしくは体制整備に関して提案を出したときは、厚生労働省としては不要である、もしくは今の災害拠点病院には、医療チームを派遣するということは、自己完結型の医療チームの派遣がうたわれているので、新しい仕組みをつくる必要はないということでございました。

その中で、政府/内閣府が主導する広域医療搬送計画において搬送に従事するための医療チームをどうしても確保しなければならないという観点からDMATができたわけでございます。そういうことだったので、一国立病院の下部組織みたいな形で始まったのが現在の経緯で、先ほどお話があったように、DMATは、もう官邸レベルにおいて、厚生労働省もしくはDMATはどういう動きをしているのかという注目を浴びるような位置づけになっているわけでございます。まさに国の危機管理の重要な役割となっている組織が、一国立病院の中にぶら下がっている、しかもほとんど非常勤の職員が担当している。これは余りにも不十分だと思いますので、ぜひそこのところを改善いただきたいと思います。

○遠藤座長 ありがとうございます。

お待たせしました。山本構成員、どうぞ。

○山本構成員 私は、平成6年から平成9年まで地域医療計画課の前身の健康政策局指導課で阪神・淡路大震災のときに救急災害担当課長補佐をやっておりまして、それで災害拠点病院制度を初め、いろいろな制度設計をしました。当時、一切、DMATも何もなかった時代のときに何が起きたかというと、急性期と長期化したときの2つの話のときに、急性期のときにははっきり言えばその派遣のコントロールはパンク状態になったのです。当時は、被災地側の要請主義でしたから、それで、参考資料4の3ページに自律的応援体制の整備ということで、一定以上の規模が発生した場合は、一々誰かに指図されずに現地に向かうシステムをつくっていこうというのが、これが実は平成8年のときからの発送です。

何を申し上げたいかといいますと、DMATの新しい役割が何かないと、当然非常勤から常勤体制というのはなかなか要求できないでしょうから、新たな役割というときに、ここは御議論だと思いますが、急性期だけをやるのか、それとも当時、最初は急性期はお手上げだったのですが、何が起きたかといいますと、1月後半から3月末に地域医療が立ち上がってくるまで、救護所のほうでずっと医療を維持するための救護班の派遣調整という、非常に長期化した業務は全部、当時の厚生省のほうでやったのです。それはなぜかといったら、どの組織でも短期的にはすぐ対応できるのですが、長期化したら、やはりそれは行政の底力というのはすごいもので、全国47都道府県をコーディネートすると継続的に非常に安定してやれたという歴史があるのです。

そう考えますと、DMATの機能に急性期から長期化した部分までも包含するような、既にJMATを初めさまざまなものができてきましたので、それこそそことの間で、急性期のときと慢性期、長期化したときは、ある程度役割をもう少し詰めていって、それをDMAT事務局が、DMATを超えたもっと大きな役割を持つ事務局というふうにしたら、常勤を置き、体制を強化する。先ほどもご意見がありましたように、一国立病院のどこかの施設に置くのではなくて、場合によってはNHO本部に置くとか、場合によってはさらにどこか違うところに置くことも視野に入れた議論があり得るのかなというのが私の感想です。

○遠藤座長 ありがとうございます。

ほかにいかがでございましょうか。

○中山参考人 委員長、参考人が発言してよろしいでしょうか。

○遠藤座長 結構でございます。では、中山参考人、お願いいたします。

○中山参考人 兵庫県災害医療センターの中山と申します。

私自身は、うちのセンターでDMAT隊員養成研修の西会場として担当しております。あわせて、ちょっと余談ですけれども、隣にうちのセンターのバックアップを受けている神戸赤十字病院で、赤十字病院の立場もございます。

その中で、幾つかあるのですけれども、日本の危機管理としての立ち位置でDMAT事務局の話をしますと、いろいろ御議論がありますが、先ほどの日赤の体制と比べると明らかにプアであると言わざるを得ないと思います。それぞれ頑張っていただいているのですけれども、それについては多分どなたも同じことを思われたのではないかと思います。

これは人数をふやせばいいというわけでもないのでしょうけれども、やはり常勤でしっかりとつないでいくような体制であるとか、それを支える、例えば病院の医師事務補助とかいろいろな体制が組まれて、補助していただくことは物すごく大事なので、しっかりと身分保障をするというあたりは非常に大事だと考えます。その一方で、これは御議論いただかないといけないと思いますけれども、今、東西2つしかありませんが、それを例えば日赤のようにというか、ブロックのように置いていくとか、理想的にひょっとしたら各県に、日赤だったら支部がございますけれども、そういうところでしっかりと考えるといったような方向性も一案としてはあると思います。もちろん、数をふやせばいいというものではなくて、当座はこの2つの拠点の質的な向上の中で人数をしっかりと、身分を保障するということもやはり要るのだと私のところで見ておりまして、常に考えております。

かつ、その中で先ほどDMAT事務局の立ち位置のことがございましたけれども、厚生労働省の中での立ち位置、整理はされておるものの、院内での立ち位置というものが、想像も入りますがやや不安定で、全ての病院が今、経営のこととかいろいろ言われる中で、非常に政策医療的な大事なところをやる部門についての風当たりも含めて、しっかりとした見方がなされていないで、逆風が吹いている中で、これだけ頑張っておられるというところは、敬意は持つものですが、それで片づけてはいけないと考えます。

それから、それをもっと全部に当てはめますと、災害医療に取り組むところが余りに併任、併任と。先ほど救急医療と災害医療が同じ土俵できるか、それから人が足りないという話は当然あるのですが、そして効率化も図らないといけないのですが、やはり併任ではなくて、例えば病院の中でのリスクマネジャーなども今は専任でやっているのですが、そのようになかなかならないという事情等々も、今後、人の話が出ておりましたが、考えていくべきではないかと思います。

最後にもう一つ、赤十字社ではあれだけのリソースについての分析がなされているわけですが、今、DMATに関しても、基本は災害拠点病院なのですが、災害拠点病院の中の災害部門のリソースが果たして現状どうなのか。指定され始めてから、もちろん最初はハード的なものがあったと思いますが、その後、やはり自己完結型と言われながら、移動手段もないような時代がありました。今は大分充実してきましたけれども、要はハード的なリソースがどうなのか。それから、先ほど前半で述べたヒューマンリソースとしての人材がどうなのかといったあたりはしっかりと把握した上での対応策を考えないといけないのではないかと思いました。

参考人ですけれども、述べさせていただきました。済みません。

○遠藤座長 貴重な御意見をありがとうございました。

ほかに何かございますか。

それでは、横田構成員。

○横田構成員 構成員の横田ですけれども、お二人の参考人に質問をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。私、先ほど人材育成あるいは効率的な人材の活用がポイントということをお話ししたのですが、人材育成という意味では、先ほど小井土参考人からDMAT総勢1万人を超えるような人材育成をしているということなのですが、お二人の参考人にお聞きしたいのは、事務局の担う医師を含めた人材育成というのは、今はいいのでしょうけれども、継続的に行われているのか、あるいはやはり喫緊の課題としてあるのかという、そこはいかがなのでしょうか。

○遠藤座長 小井土参考人、どうぞ。

○小井土参考人 横田先生、御質問ありがとうございました。

それは私たちが最も懸念しているところであります。現在いる人たちは高い志を持ってやっていますので、現状に対して不満を持っている人は誰もいませんけれども、やはりこれだけ各災害でDMATが活躍して国民の期待も大きいですし、また、世界的に見ても日本が誇るDMATということになってきましたので、すばらしいシステムを未来永劫続けていきたいと思っているのが私たちの今の考えです。

そうすると、どうしても今のメンバーに続く人たちを育成しなければいけないのですけれども、ただ、事務局自体の状況が盤石ではないということで、安心して私たちのところに来て勉強したりということが今はなかなか難しい状況ですので、ぜひこの事務局自体の状況を盤石なものにすれば、まさにオープン化して、キャリアパスが見えるような形にすれば、多くの人たちが災害を2年、3年ということで勉強できるような形になって、それがまた救急に戻っていけばいいと思うのですけれども、何かあった場合にはそういう人たちが本部に入って活躍できる。まさにそのような体制をつくりたいということで、私たちが今日言わせていただいたのは、現状に不満があるわけでも何でもなくて、今後、この日本で絶対に無くならない災害に対して、どれだけ人材育成をちゃんとしておくか。特にリーダーを育てるためには、今の事務局の体制を盤石なものにしたいということで、今日、御説明させていただきました。ありがとうございます。

○遠藤座長 ありがとうございました。

では、富田参考人、お願いします。

○富田参考人 赤十字の話をします。スライドの10枚目をごらんになれば実際の数が書いてありますけれども、実際にこのような災害救護にかかわるクラスの人は研修で養成しております。研修会を非常に頻繁に開いておりまして、この研修会を開くためのさまざまなマネジメントは本社にいる救護部・福祉部、20名弱の常勤職員がメインに行っておりますけれども、この研修会を繰り返すことによって、この研修会から育った人たちが研修会の講師になることによって成長していきますので、それが各所属支部等における育成の中心となっていっております。

ただ、実は、赤十字の災害救護のいわゆる中核の人たちの多くはDMATの資格を持つ者なのです。DMAT研修を受け、DMATの資格を持って、今でもアクティブなDMATメンバーですので、DMATというのはそういう意味では非常に高いレベルの災害救護の者を育てる力を持っているので、私たちはそこで教えてもらいながら、自分たちの要員を研修でふやしております。

ですから、そういう意味ではDMATというのは非常に大事な災害救護の医師、看護師、ロジなどを育てる教育力は持っているので、私たちはそれをある意味で使わせていただいています。

以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。

それでは、森村構成員、お願いいたします。

○森村構成員 事務局の負担軽減をどうすればいいのだろうと、今、考えておりました。

現在の大規模地震に関しては甚大な被害が出ることは言うまでもなくて、恐らく想定しているこの地震に対して、現有の1,600何がしのチームを持っていたとしても、相当の強化した安全な搬送手段を確保しない限り、多くはそこに入れないだろうということは、これは直視しなければいけない事実であると思います。

言うまでもなく、各支援チームというのは平時は地域の守り手でもある。支援チームのメンバーというのは、あわせて各地域における日常的な救急医療に従事する主力メンバーでもあるので、これもまた、多くの人員を長く支援に向けることは難しいです。そこで現在よりもかなり少なくなるかもしれませんが、少数の専従の精鋭の災害派遣医療チームを層別化して作るという考え方も一つあるのかもしれないと思います。そういったチームができれば、それに対して集中的に教育をしていく、あるいはトレーニングをする、あるいは調整をするということで、現行の事務局の業務の負担軽減につながるし、消防や警察、海上保安庁などと連携をして迅速に安全に現場に急行できつ体制の実現性が高まるように思います。

今後は事務局の教育の負担と実際に発災したときの調整の負担を明確に分けて議論されるのがいいのではないかと思いますし、教育の負担に関しては、今、富田参考人が言われたとおり、モジュール化すれば多くの組織が共有して助け合うことができますし、あるモジュールを日赤が担当するなど、より弾力的な教育や研修のプログラムの運用が可能になります。D教育の負担と、本当に発災したときのチームの調整は、精鋭部隊みたいなものも含めてですけれども、別途考えていくと議論がしやすいのかなと思って意見を述べさせていただきました。

○遠藤座長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

石川構成員、どうぞ。

○石川構成員 2つの御報告を聞きまして、ちょっと考えることがありまして、私どもも日本医師会でここにおられる猪口先生をリーダーとして、発災時のJMATのコーディネートをどうするかということで2年間考えてきました。今の御報告の中にも、例えば日赤の先生の11ページの医療救護活動のコーディネートというポンチ絵で見ますように、最初のときには左側にある他団体の医療チーム、ここにも書いてありますが、これ以上に、例えば熊本を見ても、私は3・11も初期のとき、それから熊本県も初期のときに、こちらの駒込のほうからJMATの指示をしてきたのです。これ以外にももっとあるのですけれども、こうやって最初にすごく多くの医療チームがばっと入って、誰がどう命令指揮系統をつくっていくのか、非常に大事なのです。

最初の1日目や2日目というのは相当ごちゃごちゃしていまして、しかも、みんなアドレナリンがいっぱい出ているような人たちがいますので、これをまとめるのは大変。このときにDMATと日赤が一番早く、熊本のときも数時間後に隣の県のDMATか何かが行っていますので、こういったときにどうするのかということについては横のつながりだとか、そこがちゃんとできているのかどうなのか。これは簡単な疑問なのですけれどもね。

それと、このところでは、私たちもJMAT先遣隊といって1日目に既に経験のあるJMATの人たちを、特に兵庫だとかそういったところから行ってもらうように仕組んでいますけれども、最初のときのコーディネーターとかそういったものが何をやるのかということについて、ここの検討会ではぜひ議論していただきたいと思っています。

それから、新しくDHEATというのが今度、名乗りを上げたわけです。それは参考資料1の52ページに、大規模災害時の保健医療活動で保健医療調整本部というものをつくるのだと。これがどの段階でできて、DHEATはどこで役割をするのかと、薄々は聞いていますけれども、こういったものをきちんと整備することで、来る大規模災害のときにもっと整理した支援ができるのではないかと考えておりますが、ここら辺も事務局がおまとめいただく内容であるのかなと考えております。

○遠藤座長 ありがとうございました。

ほかに何かございますか。よろしゅうございますか。

それでは、時間も予定した時間に迫っておりますけれども、全体を通して何か言い残したことがある方はいらっしゃいますか。

それでは、嶋津構成員、どうぞ。

○嶋津構成員 全体ということで、最初の救急のことで一言だけ追加させていただきます。

2人の委員の方から情報という話が出ましたけれども、これは受け入れ病院の情報であるとか、救急隊のディスパッチの情報とか、いわゆるシステムとしての情報だと思いますけれども、実は救急患者の情報というのは、救急隊が運んだ患者に基づく重症度、中等症というデータしかありませんので、病院側の救急受け入れの実態と予後、そういったものを含めたデータベースの整備。情報の実務のデータとアウトカムのデータをあわせて御検討いただきたいと思いますし、実は救急医学会も数年前にデータベースをつくるということで厚生労働省から補助金をいただきましたけれども、救急医学会に参加している施設はせいぜい数百ですし、全国網羅的なデータがないと、日本としての救急はどうなのかといったときに、救急車のデータしかないというのはいろいろな議論の上でもやはり不十分かと思いますので、この機会ですのでぜひ御検討いただきたいと思いまして、一言言わせていただきました。

○遠藤座長 どうもありがとうございます。

ほかによろしゅうございますか。

では、猪口構成員、どうぞ。

○猪口構成員 全日病の猪口です。

今、情報という話がありましたけれども、私のほうは患者情報です。今、地域包括ケアと救急という項目もございましたけれども、救急を受け入れるときに、情報キットというものでここに出ていましたけれども、今どきちょっとアナログ過ぎるというか、非常に更新するのが難しいですし、これは一旦退院していくときには、入院中の情報をかかりつけの先生たちであったり地域包括ケアで活用していくわけです。ICTという話が出ておりますので、救急というのは本当に命にかかわる大事な医療の中における中核となっていくような部分でもございますので、ぜひこの機会にEHRに関して進んでいけるように、ここのところから進めていただきたいと思います。

もう一つ、救急の中核ではないのですが、情報の問題で退院のこと。先ほどこれにも書いてありますけれども、退院に当たっては、ただの健康情報だけではなくて、ほかのコミュニケーションツールなども育っていかないと、今、これは都市部における話ですけれども、ベッドが本当に足りない状況がずっと続いておりますので、効率を上げていくという視点で考えると、やはり退院支援、そこに対しても発言をぜひお願いしたいと思っております。

○遠藤座長 ありがとうございました。

大体よろしゅうございますか。

済みません。それでは、阿真構成員、どうぞ。

○阿真構成員 災害の医療については、日赤とDMATの取り組みをそれぞれ聞かせていただいて、それぞれだいぶ異なっているところでいうと、人数ですとか教育的なところとか、また同じようによい面もあるということはわかったのですけれども、互いがどれぐらい連携しているかというところがちょっと見えなかったので、そこは後でまたお聞きしたいなと思いました。

救急のことについてなのですけれども、救急医療について一般の人とお話しすると、すごく難しいと思っている方が多くて、救急医療の判断とか見きわめをするのはすごく難しいと感じている人が多いのです。見極めが難しいところに何か策を打つということではなく、本当に必要なときと明らかに不要なときというのはかなり明確ではないかと、その明らかなところに対して啓発を行っていくということを思います。さまざまな取り組みが小児でも高齢者でもあるのはわかっているのですけれども、啓発のことを明確に、先ほどおっしゃってくださったように決着をつけるつもりでやっていくというのは大事ではないかと思います。ポスターをつくって終わりとか、そういう啓発ではなくて、一般の人とか患者さんを、消防、行政、医療者の皆さんが支援していくというか、そういう形の啓発が大切かと思います。

以上です。

○遠藤座長 どうもありがとうございました。最後に患者のお立場からの御意見というところで、ちょうど締めとしては一番望ましい。

ということで、予定した時間になりましたので、本日はこれぐらいにさせていただきたいと思いますけれども、第1回であるにもかかわらず、大変多様な意見が積極的に出ましたので、事務局におかれましては、これらの御意見を踏まえた形の今後の論点整理あるいは会議の進め方を検討していただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

何か事務局からございますか。

○野口救急医療対策専門官 事務局でございますが、第2回は詳細が決まり次第、また御連絡します。

○遠藤座長 よろしくお願いします。

それでは、これをもちまして本日は終了したいと思います。長時間、どうもありがとうございました。

照会先

【照会先】

医政局地域医療計画課
救急・周産期医療等対策室
救急医療対策専門官 野口(2556)
災害医療対策専門官 北久保(2558)