年金[年金制度の仕組みと考え方]
第12 障害年金

1.障害年金とは

 障害年金は、制度加入中の病気や事故によって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、生活を支えるために支給される年金であり、現役世代の所得保障にも資する給付である。
 障害を公的年金の給付事由としているのは、稼得能力の喪失に対する所得保障を目的とする年金制度において、通常は加齢に伴って起こる稼得能力の喪失が、現役期に障害状態となることで早期に到来するものであるからと説明できる。
 障害年金を受け取るには、初診日における加入の状況、障害認定日における障害の状態など、一定の要件を満たす必要がある[1]。また、病気やけがで初めて医師の診療を受けたときに国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合で障害等級が1級及び2級の場合は「障害基礎年金」と「障害厚生年金」、3級の場合は「障害厚生年金」を受けることができる[2]



※ 障害年金が支給される「障害の状態」とは、国民年金法施行令・厚生年金保険法施行令別表に定める程度の障害の状態があり(障害等級1~3級、障害手当金)、かつ、長期にわたって存在する場合をいう。障害の程度の認定は、厚生労働省が定める「障害認定基準」により行っている[3]。障害の程度の概要については次のとおりである。
 
  障害の程度                   概要
   1級 身のまわりのことはかろうじてできるが、それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむねベッド周辺に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね就床室内に限られるもの。
   2級 家庭内の極めて温和な活動(軽食作り、下着程度の洗濯等)はできるが、
それ以上の活動はできないもの又は行ってはいけないもの、すなわち、病院内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね病棟内に限られるものであり、家庭内の生活でいえば、活動の範囲がおおむね家屋内に限られるもの。
   3級 労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。
  障害手当金 「傷病が治ったもの」であって、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とる程度のもの。
 

[1]  「初診日」や「障害認定日」の定義など、受給要件の詳細については、3、4を参照のこと。
[2]  65歳以降、厚生年金に加入している間に初診日がある場合は「障害厚生年金」のみとなる場合がある。
[3]   障害等級は、1・2級は国民年金・厚生年金共通、3級および障害手当金は厚生年金のみが対象である。なお、障害年金における等級は、身体障害者手帳の等級とは異なる。

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2.障害年金の制度の変遷

① 厚生年金における仕組み(被用者保険の設立当初(1941年)~)
 昭和16(1941)年に、工場等の男子労働者を被保険者として制定された労働者年金保険法では、既に廃疾年金・廃疾手当金の制度が存在した。被用者保険であるため、当初は労働能力の制限度合いに着目して障害の程度を判定する仕組みであった。
 昭和19(1944)年に労働者年金保険法が厚生年金保険法へと名称を改められた際、廃疾年金等の名称も障害年金・障害手当金に改められ、1・2級の障害年金が設けられた。昭和29(1954)年改正では、老齢年金と同様に、それまでの報酬比例部分のみであった障害年金が定額部分と報酬比例部分の2階建てとなり、さらに3級が新設された。
 
② 国民年金における仕組み(国民年金法の制定当初(1959年)~)
 昭和34(1959)年に国民年金法が制定された。国民年金は財政上の制約が厳しかったため、障害の範囲・程度が絞られるとともに、無業者を制度内に抱えることから、障害の程度については労働能力ではなく、日常生活能力に着目して判定するものとされた。
 拠出制の障害年金給付については、原則として、保険料を納めた期間に応じ支給するほか、給付に要する費用の3分の1の国庫負担を行うこととした[4]。また、20歳前に初診日のある人や、制度の発足前に初珍日のある人を対象として無拠出制の障害福祉年金を支給することとし、その費用は全額国庫で負担することとした。
 その後、障害年金の支給対象となる障害の範囲の段階的拡大(昭和39(1964)年~)、事後重症制度の創設(昭和41(1966)年)[5]を経て、昭和48(1973)年改正では、無拠出制の障害福祉年金の支給範囲が2級にも拡大された。
 
③ 昭和60(1985)年改正による障害年金の見直し
 昭和60(1985)年改正では、障害年金も老齢年金と同様に障害基礎年金と障害厚生年金の2階建ての仕組みとされた。この際、障害福祉年金から障害基礎年金への移行による大幅な年金額の引上げや支給要件の改善、障害基礎年金に子がいる場合に加算される仕組みとした。
 なお、障害の程度の判定の仕組みについては、障害等級表が見直されたことに伴い、これまで国民年金と厚生年金で異なっていたものが、1・2級ともに「日常生活の制限度合」を考慮した基準に統一されるとともに、3級については旧厚生年金の考え方が引き続き維持されることとなった。

【参考】昭和60(1985)年改正による障害等級表の統一

                 (出典)「新年金法 61年金改革解説と資料」(吉原健二編著)を一部改変
 
④ その後の制度改正
 近年では、平成16(2004)年改正の際、障害を有しながら働いたことを年金制度上評価する仕組みとして障害基礎年金と老齢厚生年金等の併給を可能とする障害年金の改善等が行われている。
 また、平成23(2011)年4月からは、障害年金受給者に対する子や配偶者がいる場合の加算の対象範囲が拡大され、障害年金の受給権発生の後に生計を維持することになった配偶者や子がいる場合にも、届出によって年金額の加算が受けられるようになった。
 
[4]  現行では基礎年金給付費の2分の1が国庫負担である。
[5]  厚生年金の事後重症制度についても、昭和51(1976)年改正で創設された。

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3.障害基礎年金の仕組み

 (1)支給要件
 次の①から③のすべての要件を満たしているときは、障害基礎年金が支給される。
① 障害の原因となった病気やけ
がの初診日(※1)が次のいずれかの間にあること。
 ・ 国民年金の被保険者期間
 ・ 国民年金の被保険者であった人が日本国内に住所を有している60歳以上65歳未満の期間
② 障害認定日(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日)(※2)において、障害の状態が障害等級表に定める1級または2級に該当していること。
③ 保険料の納付要件(以下のいずれか)を満たしていること[6]
 ・ 初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間があり、かつ、そのうち国民年金の保険料納付済期間(国民年金の第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)期間、第3号被保険者期間を含む)と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あること。
 ・ 初診日が2026年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がないこと。
 
 ※1 初診日の設定、加入要件・保険料納付要件の設定
 初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて、初めて医師等の診療を受けた日をいう。
 年金制度は社会保険制度であり、あらかじめ保険事故に備えて保険料を納付し、保険事故が生じた場合に給付を行う、という原則   の下で成立している。このため、保険事故の発生時点に加入する制度の保険料納付状況を元に、給付を行う仕組みを取っている。
 この保険事故の発生時点の確認に当たって、障害の原因となる傷病の発生時点を一義的に判断することは技術的に困難であり、客観的に把握できる「初診日」をもって保険事故の発生時点としている。
 
※2 障害認定日の設定
  障害認定日とは、初診日から1年6か月経過した日(その間に症状が治った[7]場合は、その治った日)をいう。
 
(2)請求時期
 障害の状態に該当した時期に応じて、次のとおり請求することができる。
① 障害認定日による請求
 障害認定日に障害等級表に定める障害の状態にあるときは、障害認定日の属する月の翌月分から(障害認定日以後に20歳に達したときは、20歳に達した日の属する月の翌月分から)障害基礎年金を受給できる。
 なお、請求書は障害認定日以降、いつでも提出できるが、遡及して受けられる年金は、時効により、5年分が限度である。


 
② 事後重症による請求
 障害認定日において障害等級表に定める障害の状態に該当しなかった人でも、その後症状が悪化し、障害等級表に定める障害の状態になったときには請求日の翌月から障害基礎年金を受給できる。これは、障害認定日に障害の状態にないために障害年金を受給できないという事態を避けるべく、昭和41(1966)年の国民年金法改正で支給対象となる障害の範囲がすべての障害に拡大されたことに伴い設けられたものである。
 ただし、請求書は65歳に達する日の前日までの間に提出する必要がある。なお、請求した日の翌月分から受取りとなるため、請求が遅くなると障害等級表に定める障害の状態になっているにもかかわらず、障害基礎年金を受給できない期間が生じる可能性があることから、障害等級表に定める障害の状態になった場合には、速やかに請求することが重要である。


 
③ 初めて2級による請求
 既に先発の傷病による障害を持つ人が、後発傷病(基準傷病)による障害(基準障害)を持ち、基準障害の障害認定日から65歳に達する日の前日までの間に、この両方の障害を併合して初めて1級または2級の障害の状態になった場合には、これらの障害を併合した障害の程度によって請求のあった日が属する月の翌月から障害基礎年金を受給することができる。
 
  支給に必要とされる要件は次の内容が挙げられる。併合して等級が上がるケースは、障害認定基準に定められている。
 ・ 基準傷病の初診日に国民年金・厚生年金の被保険者であること
 ・ 基準傷病の初診日が、先発の傷病の初診日の後にあること
 ・ 基準傷病の初診日の前日において、保険料納付要件を満たしていること


 
(3)年金額
 年金額は障害等級によって決まる。障害等級が2級の場合の年金額は老齢基礎年金満額と同額に設定されており、1級はその1.25倍となる。また、受給権者に生計を維持されている子(18歳になった後の最初の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子)がいるときは、子の加算額をあわせて受け取ることができる。
 
 障害基礎年金の年金額(2022年度の額)
 1級:老齢基礎年金満額(777,800円)×1.25)+子の加算額
 2級:老齢基礎年金満額(777,800円)    +子の加算額
 子の加算額:2人まで 1人につき223,800円 (年額)
       3人目以降 1人につき74,600円 (年額)
 
(4)20歳前傷病による障害基礎年金
 20歳前に初診日のある人が、障害認定日以後に20歳に達したとき(障害認定日が20歳以後のときは障害認定日)に、障害等級に該当する程度の障害の状態にあるときは、障害基礎年金が受けられる。ただし、保険料を拠出することなく障害基礎年金を受けられることから所得制限が設けられており、本人に一定以上の所得がある場合には、年金額の全額または一部が支給停止[8]となる。
 なお、所得限度額については、受給権者の前年の所得が平均的な伸びであった場合に翌年も引き続き受給できるようにするという考え方に基づき、政令で改定することとしている。
 この所得限度額は、国民年金の創設当初、地方税非課税限度額に準拠して設定し、順次引き上げてきた。1981年(国際障害者年)に障害福祉年金の支給率が99%となるよう所得限度額を引き上げ、平成6(1994)年改正以降、現行の2段階制に基づいて設定している。
 20歳前傷病による障害基礎年金は、恩給や労災保険の年金等を受給している場合、支給調整が行われる他、海外に居住したときや刑務所等の矯正施設に入所した場合には支給停止される。
 
(参考)障害年金生活者支援給付金
 年金生活者支援給付金は、年金を含めても所得が低く、経済的な支援を必要としている人を支援する観点から、社会保障と税の一体改革に伴い、2019年10月に導入された給付である。消費税収を財源としており、公的年金給付ではない。
 
 障害年金生活者支援給付金は、以下の支給要件をすべて満たしている人が対象となる。
 ① 障害基礎年金の受給者であること
 ② 前年の所得[9]が、472.1万円以下[10]であること
 
 給付額は、以下の通りである。(2022年度の額)
  障害等級1級 ・・・6,275円(5,020円×1.25)(月額)
  障害等級2級 ・・・5,020円[11](月額)
 
[6] ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件は不要。(3.(4)20歳前傷病による障害基礎年金 参照)
[7] その症状が固定し、治療の効果が期待できなくなった状態を含む。
[8] 前年度の所得が、472.1万円を超える場合は全額停止となり、370.4万円を超える場合は2分の1が支給停止となる。なお、10月分から翌年9月分までを前年所得に基づく支給対象期間としている。また、扶養親族がいる場合、1人につき所得制限額が38万円(老人控除対象配偶者または老人扶養親族の場合は48万円、特定扶養親族または控除対象扶養親族(19歳未満の人に限る)は63万円)が加算される。
[9]  障害年金等の非課税収入は、給付金の判定に用いる所得には含まれない。
[10]  20歳前障害基礎年金が支給停止となる所得基準額と同額となるよう設定。
[11]  毎年度、物価変動に応じて改定される。(1級・2級とも)

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4.障害厚生年金・障害手当金の仕組み

(1)支給要件
 次の①から③のすべての要件を満たしているときは障害厚生年金が支給される。
 ① 障害の原因となった病気やけがの初診日が厚生年金保険の被保険者期間にあること。
 ② 障害認定日において、障害の状態が障害等級表に定める1級から3級のいずれかに該当していること。
 ③ 障害基礎年金と同様の保険料の納付要件を満たしていること。
 
(2)請求時期
 ①障害認定日による請求と、②事後重症による請求、③初めて2級による請求があり、具体的内容については、障害基礎年金と同様である。
 
(3)年金額
 年金額は加入期間、標準報酬および障害等級によって決まる。障害等級が2級の場合の年金額は、老齢厚生年金額(報酬比例の年金額)と同じ計算式に設定されており、1級はその1.25倍となる。ただし、報酬比例部分の計算において、厚生年金期間が300か月(25年)未満の場合は、300か月とみなして計算される。
 また、加給年金は、障害等級1・2級の場合に、受給権者に生計を維持されている65歳未満の配偶者がいるときに加算される[12]。他方、障害等級3級の場合には最低保障額が設定されている。
 
 障害厚生年金の年金額(2022年度の額)
 1級: 報酬比例の年金額 × 1.25  + 配偶者の加給年金額(223,800円)
 2級: 報酬比例の年金額 + 配偶者の加給年金額(223,800円)
 3級: 報酬比例の年金額 ただし、障害基礎年金(2級)の4分の3の額を最低保障額とする(583,400円)
 
(4)障害手当金
 厚生年金に加入している間に初診日のある病気・けがが初診日から5年以内に治り、3級の障害よりやや軽い程度の障害が残った場合、年金の代わりに一時金として、障害手当金を受給することができる。ただし、障害基礎年金を受け取るのに必要な保険料納付要件を満たしていることが必要である。
 なお、次の場合には障害手当金は受け取ることができない。
 ・ 国民年金、厚生年金を受け取っている場合
 ・ 労働基準法または労働者災害補償保険法等により他の障害補償を受け取っている場合
 
 障害手当金の額(2022年度の額)
 報酬比例の年金額 ×2 ただし、障害等級3級に該当する者に支給される障害厚生年金の最低保障額の2倍の額を障害手当金の最低保障額とする(1,166,800円)
 
[12]  配偶者が老齢厚生年金(被保険者期間が20年以上)を受け取る権利があるとき、または障害年金を受けられる間は、配偶者加給年金額は支給停止される。

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5.障害年金の額の改定・支給停止・失権

(1)年金額改定の仕組み
 障害年金の額は、障害の程度によって異なるため、障害の程度が重くなったときは、年金の額が増額される。反対に軽くなったときは、年金の額が減額もしくは支給停止される。年金額の変更は定期的に提出する診断書で従前の障害等級以外の障害に該当すると認められる場合に行われるが、障害の程度が重くなったときは、自ら障害年金の額の改定を請求することができる。
 なお、年金額の改定の請求は、次の①又は②を経過した日後に行わなければならない[13]
 ① 年金を受ける権利が発生した日から1年
 ② 障害の程度の診査を受けた日から1年
 
 また、3級の障害厚生年金の受給権者(障害基礎年金を受給したことがある人を除く)が65歳以上になったときは、年金額の改定の請求はできない。
 
 この他、障害年金においても、老齢年金と同様に、マクロ経済スライドによる調整を含め、物価や賃金の動向に応じて毎年度年金額が改定される(詳細は「第3 公的年金制度の体系(年金給付)」の「5.年金額改定の仕組み」を参照のこと)。
 
(2)年金支給停止・失権の仕組み
(障害年金の支給停止)
 障害年金は、労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときや受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったときに支給停止となる。
 
(20歳前傷病による障害基礎年金の支給停止)
 20歳前傷病による障害基礎年金は、国民年金に加入する前の保険料を納付していない期間の傷病による障害について給付を行うことから、前記に加えて、受給権者の前年の所得が政令で定める限度額を超えるとき(前記3.(4)を参照)、恩給法に基づく年金たる給付、労働者災害補償保険法の規定による年金たる給付を受けることができるとき、刑事施設等に拘禁されているときや少年院に収容されているとき、日本国内に住所を有しないときにも支給停止となる。
 
(障害年金の失権)
 障害年金の受給権は、死亡したとき、障害基礎(厚生)年金を受給したことがある人であって、障害等級に該当せずに支給停止されている人が、その後障害等級(3級以上)に該当しなくなくなってから65歳に達したとき(65歳に達した日に、障害等級の3級以上に該当しなくなった日から起算して、3年を経過していないときは、3年を経過したとき)に消滅する。
 また、受給権者に対し更に障害基礎(厚生)年金を支給すべき事由が生じ、前後の障害を併合した障害の程度による障害基礎(厚生)年金の受給権を取得したときには、従前の障害基礎(厚生)年金の受給権が消滅する(併給の調整)。
 
(参考)障害年金の認定業務に係る近年の歩み
 障害年金においては、これまでみた制度的な対応に加え、障害認定業務の標準化等が課題となってきたが、近年、日本年金機構において障害年金業務の運営改善の取組が着実に進められている。
 
 ① 認定業務に関する体制の整備
 障害年金の審査業務について、審査の適正性の向上、認定業務の標準化、職員の専門知識・スキルの向上や体制集約による効率化を実現するため、本部及び各都道府県事務センターまたは広域事務センターにおいて実施してきた審査業務を全国1か所の拠点である障害年金センターに集約し、2017年4月には審査業務を一元化した。
 
 ② 認定業務に関する体制の整備
 障害年金の認定業務に関して、2019年には、複数の障害認定医が認定に関与する仕組み(セカンドオピニオン)の導入や、障害認定審査委員会の設置を行った。
 
 ③ 等級判定ガイドラインの策定
 障害年金の申請に対する不支給決定割合の地域差解消に向けて、2016年には、特に認定結果の差異が大きい「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」を策定した。ガイドラインを踏まえつつ、診断書の記載内容に基づき個別の事案に即して総合的な評価を実施することにより、認定業務の集約化と相まって、地域差は着実に縮小してきている。[14]
 
[13]   両耳の聴力レベルが100デシベル以下の人等、障害の程度が増進したことが明らかである場合には、1年を待たずに請求することができる。
[14] 2020年に公表した「精神の障害に係る等級判定ガイドラインの実施状況について」では、新規裁定  において、ガイドライン施行後3年間の実績(2017年度~2019年度)を見ると、92%のケースで、ガイドラインで示した障害等級の目安と同じ障害等級が認定されている。
 

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【参考文献等】

・ 「日本公的年金制度史―戦後七〇年・皆年金半世紀―」(吉原健二、畑満著)
・ 障害年金ガイド(令和4年度版) 日本年金機構
 https://www.nenkin.go.jp/service/pamphlet/kyufu.files/LK03-2.pdf

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