キャリアパス(獣医系技官)

キャリアパス

厚生労働省の獣医系技官は、主に2~3年程度で異動となります。本人の希望や適性等が考慮された上で、厚生労働省の本省だけでなく、各附属機関や他府省庁、地方自治体、国際関係機関等に配属され、様々な業務を担います。
若手のうちから多くの人々と関わり業務を経験するなかで、専門家としての科学的思考、検証能力だけでなく、行政官としての調整力、交渉能力を身につけていきます。その中で、幹部職員になると決断力やマネジメント能力がより求められることになります。
 

キャリアを積んだ獣医系技官

健康・生活衛生局 食品監視安全課 輸入食品安全対策室長
福島 和子

平成11年 生活衛生局食品保健課(遺伝子組換え食品の安全性評価、リスコミの担当)
平成14年 米国メリーランド大学修士課程(食品科学)留学
平成18年 食品安全部企画情報課国際食品室国際調整専門官
     (コーデックス委員会に関する国内外の調整担当)
平成21年 世界保健機関(WHO)食品安全・人畜共通感染症部 技官
     (微生物学的リスク評価の担当)
平成24年 健康局結核感染症課 課長補佐(動物由来感染症対策を担当)
平成27年 医薬・生活衛生局食品監視安全課HACCP推進室 室長補佐(HACCPの推進)
令和2年 さいたま市保健福祉局保健部食品・医薬品安全課 課長
令和4年 医薬・生活衛生局食品監視安全課 食中毒被害情報管理室長兼HACCP推進室長
令和5年 現職

公衆衛生行政において最も重要なのは、健康被害の発生を未然に防ぐことだと考えています。メディア等で報道されるのは、実際に大事件が起きたときばかりですが、自分たちの働きによって、大きな事故になりかねないところを回避できた又は被害を最小限に抑えることができた(と自己判断できた)ときに密かな喜びとやりがいを感じています。

  
平成24年 結核感染症課 課長補佐
 
在籍中の3年の間に、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の国内初発例、デング熱の約70年ぶりの国内感染例、お隣台湾で約50年ぶりの狂犬病発生など、公衆衛生上インパクトの高い事案が次々に起き、対策に追われました。関係法令の改正、防疫指針の作成、研究班の立ち上げ、自治体職員向けの研修の企画・実施、国民向けのリスコミなど、多岐にわたる業務を経験し、食品衛生行政とも共通する、危機管理対策の基本を学ぶことができました。
 

平成27年 食品監視安全課 課長補佐
 
15年ぶりとなった食品衛生法改正の目玉であるHACCPの義務化と営業許可制度の見直しを担当しました。様々な規模・業態の食品事業者の皆さんが、どのような内容であれば納得して、「よし、やってみよう。」という気になってくださるのか、そして日本の食品の衛生管理のレベルを少しでも向上させることができるのか、ありとあらゆる食品業界団体や地方自治体の関係部局との意見交換を重ね、可能な限り現場の声が反映されるよう調整に努めました。
 

令和2年 さいたま市保健福祉局保健部
     医薬品・食品安全課 課長

 
本省で改正に携わった食品衛生法について、今度は地方自治体で実際にその施行を推進する立場となり、厚労省の施策が世の中に与えるインパクトとその責任の大きさを改めて実感しました。コロナ禍で様々な制約はありましたが、地域の食品事業者や市民の方々と直接ふれあい、その声を聞くことができ、貴重な経験となりました。