2025年9月19日  第80回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

日時

令和7年9月19日(金)14:00~16:00

 

場所

全国都市会館 2階 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2

出席委員

会場出席委員:松山部会長、大津委員
オンライン出席委員:辻部会長代理、小野委員、小尾委員、片桐委員、黒田委員

議題

(1)日本年金機構の令和6年度業務実績について
(2)その他

議事

議事

議事内容
○田口年金事業運営推進室長 それでは、定刻より前ではありますが、皆様おそろいですので、ただいまより第80回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 私は石川の後任として7月8日付で着任いたしました年金事業運営推進室長の田口と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 また、前回の部会以降、厚生労働省に人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
 年金管理審議官の三好でございます。
 
○三好年金管理審議官 三好でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○田口年金事業運営推進室長 事業企画課長の重永でございます。
 
○重永事業企画課長 事業企画課長の重永です。よろしくお願いします。
 
○田口年金事業運営推進室長 事業管理課長の岡でございます。
 
○岡事業管理課長 事業管理課長の岡でございます。よろしくお願いします。
 
○田口年金事業運営推進室長 給付事業室長の渡辺でございます。
 
○渡辺給付事業室長 渡辺でございます。よろしくお願いいたします。
 
○田口年金事業運営推進室長 次に、委員の皆様の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、小野委員、土屋委員、野村委員、松本委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 本日もオンライン併用での開催となっております。松山部会長、大津委員は会場での御出席、ほかの委員の皆様はオンラインでの御出席となっております。
 それでは、議事進行につきましては、松山部会長にお願いしたいと存じます。
 恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでで退室をお願いいたします。
 
(カメラ終了)
 
○松山部会長 それでは、議事次第に沿って、「日本年金機構の令和6年度業務実績の評価について」を審議いたします。
 日本年金機構の令和6年度業務実績の評価については、9月17日付で厚生労働大臣から社会保障審議会の遠藤会長宛てに諮問がなされております。
 厚生労働省から評価案の資料として、概要版の資料1-1及び全体版の資料1-2が提出されていますので、まずは厚生労働省様から御説明いただき、その後に皆様の御意見や御質問をお伺いしていきたいと思います。
 それでは、資料の御説明をお願いいたします。
 
○田口年金事業運営推進室長 それでは、日本年金機構の令和6年度業務実績の評価について御説明いたします。
 機構の業務実績評価については、日本年金機構法に基づいて、各事業年度に係る評価を厚生労働大臣が行うこととされています。また、これらの評価に当たりましては、社会保障審議会に諮問がなされ、年金事業管理部会で御議論いただくこととなっております。諮問書は参考資料1です。
 評価案の本体は資料1-2となっておりますが、これらを見やすくまとめた概要が資料1-1です。本日はこちらの概要を用いて内容を御説明します。
 1ページを御覧ください。
 左下に判定基準の記載がございます。年度計画に照らして、大幅に上回っている場合はS、上回っている場合はA、おおむね達成している場合はB、下回っている場合はC、下回っており、大幅な改善が必要な場合はDとなります。
 判定基準の上に評価項目の一覧表がございます。令和6年度の評価案は、令和5年度と比較して、Ⅰ-1.国民年金の適用促進対策はBからA、Ⅰ-5.年金給付はAからBとなっておりますが、右下の集計表のとおり、令和6年度の評価案は令和5年度と同様、S評価が1項目、A評価が6項目、B評価が11項目となっております。
 2ページを御覧ください。
 左の枠が令和6年度計画の概要、真ん中が令和6年度計画に係る取組実績です。こちらについては本年6月、前回、前々回の部会で議論していただいた内容です。右側が評価及び主な評価の理由となっています。
 それでは、個別の評価項目の御説明に入ります。
 国民年金の適用促進対策は、令和5年度はBでしたが、令和6年度はAとしてはどうかと考えています。
 評価の理由としては、○の1つ目、確実な適用を実施していること。ポツの1つ目、海外から転入された方を早期に把握するためのシステムを令和6年10月から稼働させています。このシステムが稼働したことにより、適用まで数年かかる場合もあったものが4か月と早期に職権適用できるようになっています。また、ポツの2つ目、第2号被保険者資格喪失後の種別変更について、従来手作業で行っていた作業をシステム化しています。これにより、今まで5か月かかっていた職権適用が4か月に短縮されています。これらの取組を総合的に勘案し、Aとしてはどうかと考えています。
 続きまして、3ページを御覧ください。
 国民年金の保険料収納対策です。令和5年度はSでしたが、令和6年度もSとしてはどうかと考えています。
 評価の理由としては、○の1つ目、国民年金保険料の現年度納付率が78.6%と目標である前年度以上を達成していること。○の3つ目、最終納付率は84.5%と目標の80%以上を達成していること。○の5つ目、未納者数が多い大都市の年金事務所についての取組を継続し、現年度納付率が77.9%と前年度からアップしたこと。さらに一番下の○のところですが、外国人に対する納付督励について最終納付率49.7%と前年度からアップしたこと。これらを考慮し、Sとしてはどうかと考えています。
 4ページを御覧ください。
 厚生年金保険・健康保険の適用促進対策です。令和5年度はAでしたが、6年度もAとしてはどうかと考えています。
 評価の理由としては、○の1つ目、未適用事業所の適用促進対策について、加入指導に取り組み、新規厚生年金適用事業者数が約8.3万事業所と目標を上回ったこと。また、○の2つ目、適用漏れの防止、届出の適正化のために約12.1万事業所、被保険者約647万人に対して調査を実施し、目標を上回ったこと。これらを評価し、Aとしてはどうかと考えています。
 続きまして、5ページを御覧ください。
 厚生年金保険・健康保険等の保険料徴収対策は、令和5年度はAでしたが、6年度もAとしてはどうかと考えています。
 評価の理由としては、○の1つ目、厚生年金保険料の収納率が98.9%と前年度同等以上という目標を上回ったこと。○の2つ目、徴収が困難な事業所に対する徴収対策に取り組んだ結果、参考にあるとおり、収納未済額が厚生年金保険料で4,174億円となり、前年度比460億円減となったこと。これらを評価し、Aとしてはどうかと考えています。
 続きまして、6ページです。
 年金給付についてです。
 評価の理由としては、一番下の○のところ、迅速な支給決定という観点から、サービススタンダード、つまり、年金の請求書を受け付けてから審査等に係る所要日数の目標のことですが、老齢年金、遺族年金、障害年金いずれも目標である90%以上を達成したこと。特に加入条件の再確認を要しない老齢年金、遺族年金については98%を達成しています。
 ただ、○の3つ目のところですが、障害年金について、6月に公表した調査報告書にあるとおり、運用面での改善が明らかになるとともに、過去の不支給事案を点検し、実際に不支給決定の取消しを行うこととなったということは重く受け止める必要があると考えています。
 こうしたことを総合的に考慮し、令和5年度はAでしたが、6年度はBとしてはどうかと考えています。
 7ページを御覧ください。
 年金制度改正等への対応は、令和5年度B、令和6年度Bです。
 説明の時間が限られておりますので、例年同様、評価がBのまま変動がない項目については説明を割愛いたします。
 8ページ、年金相談、9ページ、分かりやすい情報提供及びサービスの改善の促進は令和5年度B、6年度Bですので、説明を割愛します。
 11ページを御覧ください。
 年金制度改正の対応です。こちらは令和5年度A、令和6年度Aとしてはどうかと考えています。
 評価の理由としては、○の1つ目、年金制度改正への対応については、新たに設置した制度改正グループが中心となり、必要な準備を進めたこととあります。毎年度発生する業務とは異なり、新たな事務処理の構築やシステムの改修について施行日までに適切に対応する必要があり、重要性、困難性が高いものです。
 その上で、○の2つ目ですが、短時間労働者の適用拡大については、令和6年10月から新たに適用可能性がある約5.4万事業所について施行前に事業所を訪問し、ヒアリングなどを完了していること。また、施行以後も、適用拡大の対象となった約5.1万事業所のうち、約7割である約3.6万事業所に対し、被保険者の届出がされているかの確認を行っていること。これらについて計画を上回った取組が行われたものと評価し、Aとしてはどうかと考えています。
 12ページ、効率的効果的な業務経営、14ページ、外部委託の活用と管理の適正化、15ページ、社会保険オンラインシステムの運用・改善・開発は令和5年度B、令和6年度Bですので、説明を割愛します。
 16ページを御覧ください。
 ICT化の推進です。令和5年度Aでしたが、令和6年度もAとしてはどうかと考えています。
 評価の理由として、○の1つ目、事業者向けサービスについて、主要7届書の電子申請利用割合は73.9%と目標の前年度以上を上回ったこと。
 また、個人向けサービスについては17ページの○の1つ目にありますが、目標である前年度以上の電子申請割合を達成しています。特に国民年金被保険者関係届、国民年金学生納付特例申請書は前年度から約9ポイントアップとなったこと、これらについて昨年度と同等程度計画を上回った取組が行われたものと評価し、Aとしてはどうかと考えています。
 19ページ、内部統制システムの有効性確保、21ページ、個人情報の保護、22ページ、文書管理及び情報公開は令和5年度B、6年度Bですので、説明を割愛します。
 23ページを御覧ください。
 人事及び人材の育成は、令和5年度Aでしたが、6年度もAにしてはどうかと考えています。
 評価の理由としては、○の2つ目、働き方改革について、職員一人当たりの時間外勤務時間が月平均で管理職13時間32分、一般職7時間53分とそれぞれ目標を上回ったこと。
 ○の3つ目、1つ目のポツですが、女性の活躍推進では女性管理職比率が19.1%となり、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画の目標である令和7年度末18%を前倒しで達成していること。2つ目のポツ、男性職員の育児休業取得率は79.19%と目標である前年度を上回る水準になったこと。また、目標には定めていませんが、男性の育児休業平均取得日数が134.05日と前年度から30.15日プラスとなっていること。
 こうした実績を総合的に評価し、Aとしてはどうかと考えています。
 24ページ、予算関係については令和5年度B、6年度Bですので説明を割愛いたします。
 評価の説明については以上でございます。
 
○松山部会長 どうも御説明ありがとうございました。
 それでは、ただいまの御説明内容について御意見、御質問等がありましたら、挙手または挙手ボタンを押していただきますようにお願いいたします。
 何か御意見、御質問はありますでしょうか。
 では、大津委員、お願いいたします。
 
○大津委員 御報告ありがとうございました。
 感想になりますけれども、Ⅰ-1の国民年金の適用促進対策の中で海外から転入された方などを早期に把握するシステムが導入されたことですとか、第2号被保険者の資格の喪失、ここは特に手続が難しいところだったかなと思いますけれども、ここがかなり処理が簡略化されたというようなところで適用が迅速に行われるようになったのはとてもよいことだったのかなと思いました。
 他方で、Ⅰ-5の年金給付、Ⅰ-7の年金相談、Ⅰ-8の分かりやすい情報提供及びサービス改善の促進といった市民の方に直接関わるところにつきましては、昨年AだったのがBになったり、引き続きBというところで、この辺りは年金制度の信頼に大きく関わる部分かなと思いますので、なかなか評価や対策も難しいところがおありとは思いますが、今後もぜひ向上を図っていただきたいと思いました。
 ということで、意見といいますか感想になります。ありがとうございます。
 
○松山部会長 どうもありがとうございました。
 何か機構からコメントはございますか。
 
○大竹日本年金機構理事長 理事長の大竹です。
 大津委員、ありがとうございます。
 Ⅰ-1については対策の効果が評価されたと思っておりまして、引き続きしっかりやると。それから、Ⅰ-5、7、8についてはまだBだという御指摘でございますので、Aを目指して、あるいはそれ以上を目指してしっかりやっていきたいと。個別にはいろいろ対策を考えておりますけれども、今年度あるいは来年度に向けて、またいろいろな機会に御説明をしていきたいと思いますけれども、しっかり取り組みますのでよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 
○松山部会長 どうもありがとうございました。
 そうしましたら、挙手ボタンを先ほど見落として失礼しました。黒田委員、お願いいたします。
 
○黒田委員 ありがとうございます。
 2点ほどお伺いしたいのですけれども、1つ目はⅠ-9の制度改革への対応で、これは去年も同じことを申し上げたのですが、やはりBではなくてAというところが私はどうしても読み取れなくて、こういうことやりました、ああいうことをやりましたということよりも、何か結果とか成果に関わる指標、要はこうやってうまく対応することが無事できたのだということが分かるような指標がないと、私にはBではなくてAになっているところがいま一つ分からないかなという気が今年もやはりしておりますというのが1点目です。
 それから、2点目は一番最後の予算、収支計画なのですけれども、これは予算よりも約1割ぐらい少ない金額になっているわけなのですが、それ以外の項目の評価が全てB以上ということですから、要はちゃんとやることをやって、あるいは計画以上の成果を出していて、かつそれを少ない金額でやったということなので、ここは私は評価していいのではないかと思っているのですけれども、ここのところはどうするとAとかSになるのでしょうかというのが2つ目の質問です。お願いします。
 
○松山部会長 ありがとうございます。
 では、よろしくお願いします。
 
○岡事業管理課長 事業管理課長でございます。
 最初の年金制度改正の対応の関係でございますけれども、まさに去年の同じこの部会で黒田委員から御指摘いただいた点でございます。その際の答弁とも重なるところはございますけれども、まず御指摘がありましたように、例えば国民年金の保険料収納率などと違うということで、そもそも数値目標の設定がなかなかしづらい項目であるというところではございます。また、この制度改正の対応については、経常的に毎年度発生する業務と違うということで、新しい事務処理を構築したり、あるいはシステム改修をしたりということであります。こういったものは施行日までの間に適切に対応する必要があるということで、そもそも重要性とか困難性が高いような業務であると考えているところでございます。
 その上で、今回令和6年度の評価をAにしていることについてでございますけれども、今申し上げましたように重要性、困難性が高い事務処理の構築やシステム改修を施行日までという限られた期間の中で対応していくということであります。例えば昨年10月からの厚生年金の短時間労働者への適用拡大につきましては、該当する事業所に対して訪問等による事前の周知を行うという計画でございますが、適用可能性のある5万4,000事業所に対して継続的に事業所訪問などを実施して、施行前の8月にはそれを完了いたしまして、また、これに加えてSNSやインターネット広告とか情報誌も活用して幅広く周知を行うといったことで、円滑な施行に向けて積極的に対応したといったことでございました。
 また、昨年の10月の施行以降については、適用拡大の対象となった5万1,000事業所のうちの7割になりますけれども、3.6万事業所に事業所調査を実施しまして、被保険者の届出がなされているか確認をするといったことで、確実な適用に向けて着実に取り組んだということであります。
 また、年度計画には記載していなかったこととして、令和7年度税制改正による基礎控除の引上げ等について急遽対応が生じたということで、この業務についても大変困難性が高いものでございましたけれども、適切にその施行に向けてシステム開発等の対応を進めているといったことでございました。
 こういったことを総合的に考慮して、今回についてもAとさせていただいたところでありますけれども、これもそもそも年度計画の策定の仕方というところからということかとも思いますけれども、今回も御指摘いただきましたので、目標設定の仕方については引き続き、また知恵を絞っていきたいと思っております。
 
○黒田委員 ありがとうございます。
 重要性、困難性が高いということでしたけれども、ほかの項目も等しく重要性が高いようには思いますし、今お話を伺って、例えば緊急で対応しなくてはいけなかったということであれば、確かに計画にプラスアルファしての負荷が生じて、でも、それをちゃんとやり切ったということであれば評価に値するなと思ったのですけれども、あらかじめ改革への対応が必要だと分かっていて計画されていたことをやりましたということであれば、やはりBなのかなという感じがしております。
 いずれにしても承知しました。ありがとうございます。
 
○松山部会長 では、続きをお願いします。
 
○重永事業企画課長 事業企画課長の重永です。
 委員の御指摘の2点目の予算の関係についてお答えしたいと思います。
 年金機構の運営につきましては、業務の運営を税金ないし保険料を財源として実施しているということを踏まえれば、委員の御指摘のとおり、より少ない金額で業務を執行し、成果を上げているということについては評価すべきと考えておりますけれども、年金機構の事業運営については国からの運営費交付金によって行われておりまして、その予算につきましては、賃金や物価の高騰、それから、制度運営等に関する国会や審議会での議論を踏まえた事業の変動などがあった場合でも、予算に不足が生じないようにあらかじめ一定程度の幅を持ったものとなっておりますため、ある程度の不用額が想定されるところでありまして、不用額の多寡によって一概に評価はできないと考えております。
 今回の令和6年度の実績におきましては、競争性のある契約について一般競争入札の徹底などによるコストの削減、また、事業の見直し等による削減によって総額で約260億円の不用額が生じたところでありますが、おおむね目標の範囲内、例年同様の水準にとどまっていると考えております。
 また、お尋ねのどのぐらいになるとA評価になるのかというところについては、今のような考え方で評価をしておりまして、金額での定量的な基準というのは設けていないところでございます。
 いずれにしましても、今後も引き続き効果的・効率的な予算執行となるよう、機構と連携して取り組んでまいりたいと考えております。
 
○黒田委員 理解しました。ありがとうございます。
 
○松山部会長 どうもありがとうございました。
 そうしましたら、小尾委員、お願いいたします。
 
○小尾委員 御説明ありがとうございました。
 全体的な評価に特に異論はないのですが、2点お伺いしたい点があるので質問させていただきます。
 1点目は最初のⅠ-1の国民年金の適用促進対策の部分で、今回海外から転入された方を早期に把握するためのシステムを稼働し、2万人ぐらいの方を職権適用しているということなのですが、昨年度までは節目年齢、34とか44、54歳と対象として海外から転入した方の確認をしたという話だったと思います。昨年度は、この海外から入ってきた方が、2.3万人であったわけですが、ここに記載の節目年齢に到達した方が1.9万人というのは、転入者を含まない人数、つまりは、外数として1.9万足す2万人が今回職権提供された総数と、理解すればいいのかということをお聞きしたい。また、概要にはないのですが、本体のほうには特定技能外国人の適用数が書かれていて、これは海外から転入した方の2万人の中に含まれているのか、それともこれは別に扱われているのかを教えていただきたいと思います。
 もう一点はⅡ-4、これは概要の16ページになると思いますが、ICT化の推進のところで、昨年度まではここに健康保険証の発行日数の話が入っていたと思います。健康保険証は廃止されたので、健康保険証の件は書かなくても良いと思うのですが、一方で、転職等で保険資格が変更になった際に、マイナンバーカードで資格確認をする際の資格データベースがどのくらいの日数で更新されているのかというのは、非常に大事な情報かと思います。この情報については、できれば来年度以降記載いただければと思います。
 2点です。よろしくお願いします。
 
○松山部会長 ありがとうございます。
 よろしくお願いします。
 
○駒木日本年金機構理事 事業管理部門担当理事でございます。
 1点目の御質問なのですけれども、聞き漏らしがあったら恐縮なのですが、資料の2ページの職権適用の2万ですね。これはJ-LISを稼働させて、そこから海外転入者を捕捉し、それを月次で捕捉して、一定の期間が経過しても適用のない方に対しては職権適用したということの数字で、これが2万ということが6年度の数字でありまして、これと別に、過去このシステムが導入される前は、その2つ下のポツにありますが、34、44、54という節目年齢で拾って未適用の方を適用していくというオペレーションがもともとあって、これに対して適用したものが6年度に関して1.9万ということですので、それぞれ何経由で入れているか、適用の契機があったかということで数字は計算していますので、これは別の数字だと認識しているところでございます。
 後半の部分の質問をよろしいでしょうか。すみません。
 
○小尾委員 分かりました。これは外数ということですね。
 
○駒木日本年金機構理事 特定技能の関係はまた別の形で適用しておりまして、特定技能の方に関しては個別に情報をもらいまして、御家族の方も含めて移動があった場合に、後年の適用があるかとかも含めて全て見ていくという別のルートで対応しておりまして、これも別のものだということでございます。
 
○小尾委員 特定技能外国人はシステム等の一体化はできないということなのですか。
 
○駒木日本年金機構理事 これはもともとの特定機能を導入するときにその当時の経緯として出来上がったものなのですけれども、特定技能外国人については、入国から中でどういう仕事をされているかとか、移動されたり、そういった情報を個別に出入国管理庁からいただきまして、それに合わせて適用がないといった状況であれば対応していくということで稼働されているものでございまして、J-LISで今回新しく導入しているのは、新たに海外からやってこられた方で4か月たっても適用のない方を拾っていくというルートでの職権適用という形で進めているというものでございます。
 
○小尾委員 ありがとうございます。
 
○松山部会長 よろしくお願いします。
 
○中野日本年金機構審議役 2点目の御指摘についてお答え申し上げます。
 健康保険証の関係についてということで御指摘をいただきました。資料1-1の概要のほうには載っていないのですが、資料1-2につきましては、ページ数でいいますと65ページに健康保険証被保険者証発行に関する処理状況について載せているところでございます。先生の御指摘のとおり、昨年までは概要に載っていたということでございますので、概要の引用の方法につきましては、御指摘を踏まえて今後検討していきたいと思います。
 以上でございます。
 
○小尾委員 ありがとうございます。
 保険証と書いてありますけれども、保険証ではなくて資格データベースの更新ということでよろしいですか。
 
○中野日本年金機構審議役 機構のデータベースの更新ということです。
 
○小尾委員 ありがとうございます。
 
○松山部会長 どうもありがとうございます。よろしかったでしょうか。
 そうしましたら、辻委員、お願いいたします。
 
○辻部会長代理 辻です。よろしくお願いします。
 私からも2つ質問させてください。
 一つは、Ⅱ-1の効率的効果的な行政運営の中のビジネスプロセス改革というところです。これは全体として評価Bになっていて、説明は今日非常に簡略にしていただいたところなのですが、ここのところは章立てとしては組織・ビジネスプロセス改革という形で出して、その部分をその次の効果的効率的な業務運営とは別に、人件費ですとか管理経費の話とは別に組織・プロセスの改革のところを出していまして、事務センターのところなどを見ますと、標準的な処理期間の目標とそれに対する実績みたいなのも提示しています。これは全体として機構としてビジネスプロセス改革自体どういうような手法で取り組まれていて、これまでのところ、大体どんな効果があるのかというようなところをもう少し詳しく御説明いただいて、全体として評価Bは分かりましたけれども、今回の改革を進めていく中で手応えがあってさらに強化したらよいと思われるようなところと、まだまだBの中でもこういう部門には課題があるなと思われているところ、その2つをお知らせいただけたらというのが一点です。
 それから、もう一点は先ほども少し議論があったところなのですが、これは今回の評価のS、A、Bの付け方に問題があるというよりも、むしろこの次の目標を立てるときにお伺いしたいことなのですが、よほどのトラブルがない限り、傾向として評価がSとかAとかBぐらいのものしか基本的に出ないのですよね。これはある意味では決められたことを機構がしっかりやっているということの証左でもあるのですが、しかし、逆の見方をすると、結局、失敗しても許されるようなチャレンジングな目標には年間目標としてはトライしていないということで、ここに書かれていることに関しては、やはりどうしてもまさにある意味では公務員的に全部やらなくては駄目だと。
 しかも、今日の議論の仕方も、Bで計画どおりおおむね達成しているので、私は十分だと思うのですけれども、どちらかというとSとかAを取らないと駄目なふうになってきて、いかにこれを取るかというところにバイアスがかかると、もともとの年度計画を逆に下げたほうがSとかAになりやすいので、そういうような形になったりするようなこともあり得ると考えれば、むしろ目標の中に幾つかはCが出てもうDが出ても許されるような目標、機構の中にはミスが絶対許されないものもあるので、最低限でもBを必ず確保しなくてはならないというものがあるのですが、ただ、同時に失敗しても許される、その当該年度はチャレンジングに出したけれども、CでもDでもそれはそれで報告で許されるような目標のつくり方があると、全体としてはまた評価に対する見方が変わるのではないかと思ったのですが、その点はいかがでしょうか。
 
○松山部会長 ありがとうございます。
 そうしましたら、2点、まず1点目のビジネスプロセス改革については、もう少し詳細にというところで皆さん関心が深いかと思います。よろしくお願いします。
 よろしくお願いします。
 
○大竹日本年金機構理事長 辻委員、ありがとうございます。理事長の大竹です。
 資料1-1の12ページにビジネスプロセス改革について、先生の御指摘のとおり、さらっと書いてあるのですけれども、一番右の主な評価の理由の欄に少しずつ書いてあるのですけれども、本部としてはこのままの組織でいいのかという観点はすごく強くて、特にお客様との接点であるチャネルを抜本的に見直そうと。ただ、これは世の中の進歩であったり、お客様のニーズであったり、機構の限られた資源を前提に1個ずつ積み上げていくと、なかなかこの議論はできないということなので、ここに書いてありますけれども、10年後に到達すべきチャネル戦略のビジョンを策定して、バックキャストで10年後にこういうふうに到達するには5年後このくらいやっていなくてはいけないのではないかというような議論は実は延々とここ2年ぐらいやっていまして、なかなかここに御紹介して評価をいただくようなところまでまだ行っていないと。
 ただ、短期目標、中期目標、長期目標の策定が大体終わりましたので、それに従って線表を引いてチャネル戦略をやっていく。そうすると、年金事務所が312ありますけれども、このままでいいはずがないということになってきますし、コールセンターであったり、それから、ネットによる相談ですね。それから、今、離島しかやっていないのですけれども、テレビ電話による相談が全市町村においてできる。あるいは最終的には各家庭とつながればできる。そういうとこまで見据えて、今、いろいろな検討はしております。ただ、個人情報の扱いであるとか、機構が公的機関であるというようなことであって、民間のような発想でばんばん試してみるとかということもなかなかできないので、慎重にやっている面はございますけれども、そういったことは私が理事長になってから相当意識改革を含めて中で検討、議論をしてきていまして、具体的にここで御紹介できるようになればいいのですけれども、5年後、10年後、きっと変わっているという到達点を定めて、もちろん途中で修正はしていきますし、それを年度の計画の中でいかに落とし込んでいくかということも重要な観点なので、そういう観点でやっているという意味では、なかなか御説明を今まで十分してきていなかったので、また機会がございましたらそんな取組も御紹介をしながらやっていきたいと。
 それから、そういう意味では失敗してもいいことを書いて失敗すると、やはり理事長の責任ではないかと私など思いますから、はい、ではそうしてくださいというわけにもなかなかいかないので、これは年金局のお考えもありますでしょうし、いろいろな評価にこれは結びついていまして、そういうことも考えると、極端に悪い評価が出ると全員の処遇が落ちるようなことも困りますし、そういう観点からも、多角的な検討は必要ですけれども、先生がおっしゃったチャレンジングなことを排除するということにはならないようにしていきたいと前々から思っていますし、これからもそうしていきたいと思っております。
 以上です。
 
○辻部会長代理 分かりました。ありがとうございます。
 
○松山部会長 では、続きましてよろしくお願いします。
 
○重永事業企画課長 年金局事業企画課長の重永です。
 委員の御指摘の目標の設定の仕方と評価の関係になりますけれども、年金機構として来年度どういうことをしていくのかということで、この辺りはやっていきたいということを設定していくことになりますので、特に年度計画ということになりますと、年度の直前のほうで設定することになりますので、ある程度具体的に見えているところが目標設定の内容になってくるという面はどうしてもあろうかと思います。
 そういう中で、年金機構の目標設定について、個別に見ていくとかなり厳しい目標ではないかというようなものも見られるのですけれども、これまで近年の取組の状況としましては、機構のほうで非常に組織立って対応していただいて、目標はクリアしてきているというような状況になろうかと思います。
 B評価ということについてはおおむね目標を達成しているということで、それ自体がAではなくてはいけないということではなくて、B評価を取っているということ自体が評価すべき点だとは思っておりますけれども、そういうような事情があるということであります。
 目標の内容につきましては、年金局のほうも事前に設定の段階で年金機構と調整をしておりますので、その段階でももうちょっと頑張れるのではないかとかそういったものを取り込んでいけるように、来年度の目標設定に当たっては対応していきたいと考えております。ありがとうございます。
 
○辻部会長代理 ありがとうございました。
 
○松山部会長 ありがとうございます。
 ほかには特にないでしょうか。
 そうしましたら、私からも最後に1点だけ、今の目標設定のところにも関わりますし、先ほど黒田委員から御指摘があったところでもあるのですけれども、やはり目標の立て方がこういうことをやりますという目標を立ててやりましたというだけだと自己満足的な感じにもなってしまうので、最終目標としては何なのかといったところをなるべく評価指標に入れ込むといいのかなとは思っております。
 最終目標というのは、例えば上のほうからすると保険料とかの納付率だなんだという客観的データが出るところ、これはほとんどハイレベルで、これ以上伸ばしようがないという上に張りついてしまっているところもありますけれども、例えばチャレンジングというところでは、その中でも特にまだ課題だねと思っているところに注目して、そこを評価軸にする。例えば納付率なんていうのは本当に皆様の御努力で高いレベルに張りついてしまっているのですけれども、ただ、その中でも大都市圏ですとか一部低いところとかの外国人とか、やはりまだまだ努力で伸ばせるようなところを少し重点的な目標設定にするとか、そういうような工夫ももしかしたらあり得るのかなと思いました。
 それから、先ほど分かりやすい情報提供のところも頑張ってくださいという御意見がありましたけれども、これは指標の取り方がうまくできるのかどうか分からないですけれども、説明会を何回やりましたということよりも、結局、国民の理解を深めることが目標なので、そちら側が果たして本当に浸透したのかどうかというのがもうちょっと図れるような指標の取り方とかがあると、もっと説得力があるのかなと思ったりもいたしました。この辺りはすごく指標の取り方は難しいと思うのですけれども、何か工夫してまた来年度以降、このままでいくと本当に納付率とかは98%とか99%になって、前年維持しか目標にならなくなってしまうと思うので、その辺りを工夫していただければと思いました。
 以上でございます。
 それでは、各委員から様々な御意見がありました。日本年金機構の令和6年度の業務実績の評価案に関してですけれども、Ⅰ-9のところについて少し御意見がありましたが、これは原案のとおりということでよろしゅうございましょうか。
 
(委員首肯)
 
○松山部会長 ありがとうございます。
 それでは、本評価案につきましては、委員の皆様から了承ということで御意見をいただきましたので、これを私から遠藤会長に御報告させていただきます。
 なお、この報告を受けて、遠藤会長から厚生労働大臣宛ての答申が行われることとなりますので、その旨御了承いただければと思います。
 それでありましたら、第1号議案のところは終わりまして、続きまして、その他の報告事項について審議したいと思います。
 資料2の事務処理誤り等の年次公表についての提出がありますので、こちらの資料について機構から御説明をお願いいたします。
 
○梅田日本年金機構リスク統括部長 日本年金機構リスク統括部の梅田と申します。本日はよろしくお願いします。
 私からは資料2、事務処理誤りの年次公表について説明いたします。こちらは例年のものとなっております。
 まず、この公表がどういったものかということですが、日本年金機構では、年金業務に関する事務処理誤りまたはシステム事故が発生したものについては、例えばお客様へ未払いになっていた年金をお支払いするなど、誤りへの対応が完了したものを機構ホームページで毎月公表しております。これらの事務処理誤り等につきまして、この月次公表のほか、1年分を取りまとめて公表することとしております。これが年次公表でございます。
 この際、併せてこの1年間の事務処理誤りの点検・分析を改めて行い、必要な対処を実施することとしており、これらについても公表しております。
 今回、昨年度、令和6年4月から令和7年3月の1年度分につきまして年次公表を行うことから、御説明するものでございます。
 1枚進んでいただきまして、1ページ目を御覧ください。
 Ⅰの概要は今申し上げたとおりでございます。
 Ⅱですが、ここからが令和6年度の誤りの集計となっております。
 (1)の表を御覧ください。こちらは令和6年度中にお客様対応等の事務処理誤りの対応が完了し、公表を行った事務処理誤りの件数です。年金給付関係525件、国民年金適用・徴収関係443件、厚生年金適用・徴収関係158件、合わせまして1,126件となっており、これを事務処理誤りの発生年度別に分類したものが(1)の表となっております。
 少し補足させていただきますと、この表は6年度中に公表した誤りがどの年度に発生した誤りであるかということを表したものでありまして、例えば6年度に公表した誤りのうち、6年度に発生したものが263件、5年度に発生したものが255件となっております。直近2年度が多くなっているのは、5年度、6年度の誤りが増えているということではなく、誤りが発生してすぐ判明し、対応が完了、公表したものが多く含まれているためです。これは過去の年次公表においても同じ傾向が見られます。
 その下の(注)の表につきましては、過去5年度分の事務処理誤りの公表件数を記載しております。
 次に、6年度中の1,126件を事務処理誤りの区分別に見たものが(2)であり、1,126件中、判断誤りや確認不足を原因とした確認・決定誤りが666件と一番多くなっております。
 2ページ目を御覧ください。
 (3)及び(4)ですが、お客様への影響金額についてです。事務処理誤りによりお客様に金銭的な影響が発生したものは504件で、約3億4,700万円となっており、一方で金銭的な影響がなかったものは622件となっております。金銭的な影響について、事務処理誤り1件当たりの金額で分類したものが(3)、未払いや過払いといった影響の区分で分類したものが(4)ですが、大変恐縮でございますが、詳細はそれぞれの表を御覧いただければと思います。
 事務処理誤りが判明した契機については、(5)のとおり、機構内部で判明したものが684件、電話や窓口などお客様からのお問合せで判明したものが442件となっております。
 システム事故につきましては、(6)のとおり、令和6年度中に公表したものはございませんでした。
 参考といたしまして、お客様対応中の案件は7年3月末時点で905件となっております。
 3ページ目を御覧ください。
 次に、令和6年度中に公表した事務処理誤りの1年度分の点検・分析結果につきまして御説明いたします。
 まず、年金給付関係の点検・分析結果ですが、令和6年度中にお客様対応が完了した事務処理誤り525件について、類似の事務処理誤りを事象ごとにまとめて分析を行った結果、3件以上生じているものはございませんでした。
 この点検分析におきまして誤り件数を3件以上としておりますのは、1年間の誤りの発生件数が1件ないし2件については個別の誤りと考えられ、3件以上の誤りであればいわゆる構造的な問題がある誤りである可能性があるということで、3件以上の事象を点検分析の対象と整理しているところでございます。
 次に②は年金給付に係る事務処理誤り等の総点検等に関する対応状況となっており、aは平成29年9月の「振替加算の総点検」と平成29年12月の「年金給付に係る事務処理誤り等の総点検」についての令和7年8月末時点での対応状況でございまして、こちらは5ページ別紙の表のとおりとなっております。
 bの年金決定時チェックの実施ですが、従前より年金事務所で行っております年金決定前のチェックに加え、令和2年4月からは機構本部に専任部署を設置し、年金決定時のチェックを実施しています。
 令和6年4月から令和7年3月までの間に決定した老齢・遺族・障害年金151万件のうち、事務処理誤りが生じやすい要件に該当した27万件についてチェックを行い、そのうち206件について事務処理誤りの予防・早期対応を実施いたしました。
 また、令和6年4月からは、新たに年金センターにおける年金の決定内容についてもチェックを行っております。こちらは約5.5万件についてチェックを行い、そのうち11件について早期対応を図りました。
 4ページ目を御覧ください。
 次に(2)国民年金関係ですが、年金給付関係と同様に、令和6年度にお客様対応が完了した国民年金の適用・徴収に関する事務処理誤り443件について、類似の事務処理誤りを事象ごとにまとめて分析を行った結果、3件以上のものはございませんでした。
 次に(3)の厚生年金関係ですが、こちらも同様に厚生年金の適用・徴収に関する事務処理誤り158件についての分析を行いましたが、厚生年金に関しても3件以上のものはございませんでした。
 (4)ですが、令和6年度に寄せられたお客様の声9,534件について確認を行いましたが、お叱り、お褒め、改善提案など様々ございましたが、事務処理誤り防止につながる御意見はございませんでした。なお、サービス向上や業務改善は適宜行っておりまして、それらについては機構ホームページに掲載してございます。
 説明は以上でございます。今後も引き続き事務処理誤り等の削減、また、予防・早期発見に努め、お客様に適正に年金をお支払いできるよう努めてまいります。ありがとうございました。
 
○松山部会長 御説明どうもありがとうございました。
 ただいまの御説明について何か御意見、御質問等がありましたらお願いいたします。
 黒田委員、お願いいたします。
 
○黒田委員 ありがとうございます。
 確認決定誤りに対していろいろ対応策を練られてやっていらっしゃるということなのですけれども、これはAIとかといった抜本的な改善案みたいなものというのは何か試されたりしているのでしょうか。
 
○松山部会長 お願いします。
 
○安藤日本年金機構理事 特命担当の安藤でございます。
 私からお答えいたします。そういった対策をAI等で行っているかという御質問でございますけれども、現在、機構では発生した事務処理誤りにつきましては、お客様対応を行うとともに、当然発生原因の分析を行って、分析結果に基づいてシステム面、体制面あるいは運用面で再発防止策を図っているところでございます。
 機構で発生している事務処理誤りにつきましては、先ほども申し上げましたけれども、同種の誤りが3件以上のいわゆる構造的な問題に起因する誤りというものは現在発生しておりませんで、構造的な要因が含まれない職員のいわゆる確認不足であったり、あるいは思い込み、理解不足といったヒューマンエラーに起因する事務処理誤りが非常に多いという状況でございます。
 これまでヒューマンエラーに起因する誤りに対しましては、職員による手作業を廃止して、処理を自動化するであったり、あるいは入力処理のシステムチェックを導入する等のシステム化による対策を可能な限り行ってきたところではございます。
 ただ、複雑な年金業務においてはシステム化等が非常に難しい事務処理も多くあるということでございまして、事務処理手順の見直しであったり、あるいはチェックシートの導入等の運用面での対策、あるいは専門職を配置するというようなところで体制面での対策を図っているところでございます。
 御質問のそういった部分でございますけれども、やはりヒューマンエラーという部分に対しては、その誤りに対して現在は研修を行ったり、あるいは知識を定着させ、スキルの底上げを図る。こういった対応を中心的に行っているところでございます。
 また、機構においてはリスク管理委員会というものを設置して開催しておりまして、リスク管理に関する事項に関しまして組織横断的に審議を行っているわけでございますけれども、事務処理誤りの分析結果等についても共有しておりまして、発生原因に応じた再発防止策の策定、実施に向けて取組を進めているところでございます。直近でもこの委員会におきまして、誤送付事案が特に今年度特に多く発生してございますので、こういったヒューマンエラーについて作業の工程あるいはヒューマンエラーの種類をそれぞれ詳細に分析して、今後対応していくというところを報告したところでございます。
 これからが少しポイントにはなってきますけれども、機構では、お客様の手続の負担軽減あるいは正確、迅速かつ効率的な事務処理の実現を図るために、現在もオンラインサービスの拡充とデジタルワークフローの確立に向けた取組を進めております。今後、さらにオンラインサービスの機能拡充や利用促進等、事務処理のシステム化によって審査誤りや入力誤り、誤送付といったヒューマンエラーの発生防止の効果が期待できるとは考えております。
 現在、いずれにしましても、こういった対策と併せて誤りの事例周知や注意喚起を繰り返し行いまして、引き続き事務処理誤りの根絶に向けて取り組んでまいりますけれども、やはりいろいろと委員の方々からも御指摘をいただいておりますAIの導入等の検討についても、研究等をして進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 
○黒田委員 分かりました。ありがとうございます。
 
○松山部会長 どうもありがとうございました。
 ほかに御質問はありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 どうもありがとうございます。
 そうしましたら、ただいまの御意見も踏まえて、今後の対応を御検討いただければと思います。
 続きまして、資料3、令和6年度の障害年金の認定状況についての報告書への対応状況及び資料4、令和6年度障害年金業務統計概要について、年金局及び機構から御説明をお願いいたします。
 
○渡辺給付事業室長 年金局の渡辺でございます。よろしくお願いいたします。
 資料3でございます。
 障害年金の関係ですが、様々な報道あるいは国会の御指摘を踏まえまして、6月に調査報告書をまとめてございます。調査報告書の中で今後の対応として、記載している事項についての対応状況、進捗状況について報告をさせていただきます。
 今後の対応としては大きく運用改善と過去の不支給事案の点検等がございますが、1ページ目は運用改善の状況についてでございます。全体として報告書が出てから順次取組を開始してございまして、8月の下旬までに一通り対応し、新しい運用を開始させているといった状況でございます。
 個々で見ていきますと、①として審査書類の丁寧な記載でございます。これは職員の事前確認票であったり、あるいは認定医が作成する認定調書、こういった書類について丁寧に記載する。あるいは事前確認票については等級に関する記載を廃止する。こういった御指摘があったところでございます。
 これへの対応としましては、右側でございますが、事前確認票については等級に関する記載を廃止ということでございます。他方で、ガイドラインなどで考慮すべき要素といったものを示してございますが、こういった考慮すべき要素に該当するような診断書あるいは申立書の記載については丁寧に記載していくという取組を8月から開始してございます。また、その下の認定調書に関しても、特に不支給となる場合などで理由を丁寧にするという取組を開始してございます。
 4ページ目、5ページ目に少しイメージをつけさせていただいています。
 4ページ目が事前確認票の関係になってまいりますが、左右で改正前、改正後という対応関係です。
 左側の事前確認票の等級案のところ、ここは廃止していますが、その代わり、右側ということで考慮すべき要素に対応するような診断書の記載は丁寧に記載をするという形で進めてございます。
 また、5ページ目が認定調書のイメージでございますが、これまで、認定医によって書き方が変わってくるところはありますが、例えば赤枠のところで該当する診断書の記号、こういったものを記載されているものも多かったわけですが、改正後としては主な理由であったり、あるいは総括的なまとめといったものを記載するという形で取組を進めてございます。
 1ページにまたお戻りいただきまして、理由付記文書についてでございます。これは請求者の方に対して不利益処分といったものを行うときに理由を付記した文書というものをお渡ししてございますが、これも審査書類の丁寧な記載と併せて丁寧に記載するという形でルールを整備してございます。
 それから、①の最後の認定事例あるいは考慮要素の徹底につきましても、認定の標準化を図る観点からも重要だと思っていまして、判断のポイントを付した認定事例を作成して周知を図るという取組を実施してございます。
 また、②として、今度はプロセスのほうの客観性・公平性の確保でございます。
 1点目については複数認定医の審査の拡大ということで、現在でも一部複数認定医による審査というものを導入してございますが、今後は全ての不支給事案について対象にするということを8月の下旬から始めてございます。
 また、認定医の選定についても恣意的にならないよう、審査をしない別の部署が無作為に認定医を決定する方式というものも導入してございます。
 それから、認定医に関する文書については、一部認定医の認定傾向に関する記載もあったところでして、こういったものについて廃止するということでございます。
 また、②の最後ですが、審査委員会というものも認定医同士の判断が分かれる事案などで活用してございますが、今後は請求される方の日常生活をより丁寧に把握するという観点から福祉職の追加というものも行っていまして、8月の委員会から実際の運用を開始してございます。
 最後、③ということで、運用の改善を様々やっていく中で審査体制についても見直しを行っているという状況でございます。
 以上が運用改善の対応状況でございまして、おめくりいただきまして2ページ目、今度は不支給事案の点検の状況でございます。不支給事案の点検について、調査報告書に基づきまして、令和6年度以降の事案について、認定基準等にのっとり適切な判定が行われているかどうかといった点検をしてございます。
 その進め方と範囲ですが、2つ目の○です。6年度の精神障害等の不支給事案について、まず年内に優先的に実施をしてまいります。対象の規模感を表に記載させていただいてございますが、例えば精神障害ですと約1万200件ということでございます。これは右側の参考のところの精神障害約9万9,000件が決定件数でして、そのうち精神障害ですと不支給の件数というのが1万1600件余りとなっています。この1万1,600件余りのうち、※1の審査請求事案を除いたものが1万200件という対応関係でございます。審査請求事案あるいは再審査請求に関しては、別途特別の法律の下で公平な審理というものが行われてございますので、今回の点検は処分庁自ら点検をするというものですので、今回の点検からは審査請求事案は除かせていただいているといった趣旨でございます。
 3つ目の○でございますが、6年度が終わりますと、今度は7年度の不支給事案についても、今回の認定プロセスを見直しする前の4月から8月分について点検を実施してまいります。
 また、さらに支給事案につきましても、目安より下位に認定されている事案などを中心にその後順次同様に点検を行ってまいります。
 2ポツの点検の体制ですが、障害年金センターの常勤の医師を中心とする複数の認定医で構成されるチームで点検を行っています。点検に際しても1ページ目で少し触れさせていただいた複数認定医による審査の考え方を取り入れておりまして、点検の事案についても複数の認定医での審査というものを働かせております。また、10月から体制を強化しながら、審査のスピードというものも上げていきたいと考えてございます。
 現在の点検の状況ですが、3ポツでございます。6年度の精神障害の不支給事案について、令和6年7月原処分まで点検済みという状況でございまして、点検済みの件数が2,895件となってございます。2,895件のうち、支給となる件数というのが124件(約4.3%)という関係でございます。今後、この支給となる事案については順次対象となる方に支給決定文書等を発送してまいります。
 また、今後、年度内にかけて月2,000件程度のペースで点検を進めて、その進捗状況というのは毎月公表してまいります。
 最後、3ページ目になりますが、3ページ目は今回の点検でどのような考え方で支給決定にしたかをまとめたものになります。精神障害のガイドラインの中で考慮すべき要素というものを示しておりまして、当初の認定でも様々な要素を踏まえながら認定を行ってございます。点検の際にも様々な要素を見ているわけですが、上位等級と捉えられる要素をより重視することが適当だろうと判断したものについて、今回新たに支給決定をすることとしたものでございます。
 着目した観点として、4つ分類をさせていただいています。順に御紹介させていただきますと、まず病状や状態像の観点です。これは御本人さんの症状あるいは状態に主に着目したものになってございまして、例えば精神障害ですと、当初は症状の発現状況、陰性症状があるかどうか、あるいは、症状が頻回かどうかといった点を踏まえて、日常生活の程度というものを評価したわけですが、点検ではさらに症状の経過あるいは予後の見通し、長期にわたっているかどうか、こういった点をさらに重視して、日常生活が厳しい状況にあると判断をしたものでございます。
 同様に2点目の療養状況の観点についてですが、これは症状というよりも療養している環境、入院歴があるかどうか入院していたかどうかといった点に着目したものでございまして、当初は現在の病状や改善状況といった点を踏まえて日常生活能力を評価したわけですが、点検では直近で入院歴があったかどうか、状態が不安定かどうかといった点をさらに重視したというものでございます。
 また、生活環境の観点は、独居や福祉サービスの利用があったかどうかといった点を踏まえてのものでございまして、点検ではさらに背景の状況、例えば鬱病で対人不信があって、そのために福祉サービスを利用できていない状態であるか。本来であれば支援が必要な状態であったかどうか。こういった点をさらに重視して支給決定をするという考え方でございます。
 最後の就労状況のところも、就労状況を様々踏まえた日常生活能力を評価しているわけですが、点検ではさらに仕事の内容であったり、あるいは日常生活への就労の影響といった点もさらに重視したというものでございまして、こういった要素、観点を様々当初の中でも考慮した上で判定したわけでございますが、点検ではより2級あるいは1級と捉えられる要素を重視して支給するということとしたものでございます。
 また、こうした考え方に基づいて引き続き点検を進め、その進捗状況というものは毎月公表してまいりたいと考えてございます。
 資料3の説明は以上になります。
 
○岡部日本年金機構年金給付部長 日本年金機構年金給付部の岡部でございます。よろしくお願いします。
 私からは、資料4の令和6年度障害年金の業務統計について説明をさせていただきます。
 ○の1つ目ですけれども、障害年金業務統計については、障害年金の業務運営に当たってデータの活用を推進していくため、障害基礎年金・障害厚生年金の新規裁定・再認定について、決定区分別件数、診断書種類別件数、都道府県別件数等を集計し、毎年9月にホームページ上で公表しています。
 今般、令和6年度分の業務統計の集計を行ったことから、集計結果を報告するものでございます。
 下に(1)、(2)とありまして、新規裁定と再認定の決定状況でございます。
 新規裁定の決定件数については、令和6年度は14万6,225件となっています。参考としまして、令和5年度は14万2,209件ということで、4,000件程度の増となっております。
 決定件数の内訳について表1のとおりでございまして、1級で決定した件数と割合が1万5,995件で10.9%、2級で決定したものが8万395件で55%、3級は厚生年金のみでございますけれども、3万460件で20.8%、障害手当金も厚生年金のみですけれども、393件で0.3%、非該当となった割合が1万8,982件で13%となっております。令和5年度の非該当の割合は8.4%でしたので、大分上昇しているという形にはなっております。
 (2)の再認定でございますけれども、再認定の決定件数については、6年度は30万4,456件であった。5年度の決定件数は23万2,850件でございます。
 この内訳については表のとおりでございますけれども、そのままの等級で継続して支払いをしたという方が29万4,405件で96.7%、増額改定をさせたものが4,359件で1.4%、減額改定をしたものが2,451件で0.8%、支給停止となったものが3,241件で1.1%ということになっております。
 次のページを御覧いただきまして、別添としまして、令和6年度の障害年金の認定状況についての調査報告書を令和7年6月11日にいただきましたので、その中でのサンプル調査との比較をしております。
 一番下の※ですけれども、サンプル調査とは、障害年金に係る一連の報道を踏まえ、厚生労働省において日本年金機構と連携の下、令和6年度の障害年金の認定状況について抽出調査を行い、抽出した事例の認定結果、支給件数・不支給件数の割合といった概略的な集計を行ったものでございます。
 この調査の選定条件としては、6年度決定分から傷病を限定せず、単純無作為抽出を行い、新規裁定で1,000件、再認定で1万件をそれぞれ抽出して集計したものでございます。
 結論としましては、一番上の○ですけれども、サンプル調査の結果は表3、表4のとおりであり、令和6年度障害年金業務統計の決定結果の状況との間に有意な差は見られなかったという結論でございます。
 表3が新規裁定1,000件のサンプル調査の結果でございまして、1級に決定した割合が109件で10.9%、2級の割合が539件で53.9%、障害厚生年金の3級の決定件数が221件で22.1%、障害手当金の決定件数が1件で0.1%、非該当の割合は130件で13%となっておりまして、1ページ前の非該当の割合と全く同じ13%という結果になっております。
 それから、表4の再認定の1万件の決定の割合ですけれども、こちらも継続が9,681件で96.8%、増額改定が139件で1.4%、減額改定が75件で0.8%、支給停止となったものが105件で1%ということで、表の表2の支給停止の割合1.1%と1%ですので、おおむね有意な差は見られなかったということでサンプル調査の評価をしております。
 私からの説明は以上になります。
○松山部会長 御説明どうもありがとうございました。
 そうしましたら、ただいまの御説明について御意見、御質問等がありましたらよろしくお願いいたします。
 特に御質問、御意見等はないでしょうか。
 では、1点だけ私からあれなのですけれども、最後のところで非該当件数が令和5年度が8.4%で、令和6年度が13%なのですよね。パーセントで比較すると随分増えているような気がするのですけれども、これは増えた理由というのは何かあるのですか。それとも年によってこんなに変動があるものなのですか。
 お願いします。
 
○渡辺給付事業室長 年金局渡辺です。
 サンプル調査を6月にやったときとパーセントとしては13%という形で同じでした。サンプル調査のときでも5年度と比較して目安よりも下位で認定して不支給とした割合、こういったものは5年度から増えていたということは分かっているのですけれども、なぜそれが増えたのか、その要因については一概にまだ特定に至っていないという状況です。その状況は今も変わっていなくて、点検作業を進める中でどういったことが確認できるかというところはまた引き続き点検を進めていきたいと思っているのと、7年度の状況とかそういったところもまた見ながら把握をしていきたいと思っています。
 
○松山部会長 分かりました。
 特に思い当たる理由がないということで、ただ、結構違うなという印象を受けたので、令和4年度とか令和3年度とかいわゆる過去のなだらかな傾向とかで、そんなに年によって違うものなのかなというのがすごく不思議だったので、その辺りは分析していただいて適切な対応をお願いできればと思います。
 ほかにはこの件については特によろしいでしょうか。
 そうしましたら、こちらの件につきましても、ぜひ適切な御対応をよろしくお願いいたします。
 それでは、これをもちまして本日の議題は全て終了いたしました。
 次回の日程については、事務局から追って御連絡があることと思います。
 それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。委員の皆様方、お忙しいところ、どうもありがとうございました。