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- 2024年9月13日 第75回社会保障審議会年金事業管理部会議事録
2024年9月13日 第75回社会保障審議会年金事業管理部会議事録
日時
令和6年9月13日(金)15:30~17:30
場所
全国都市会館 2階 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2
東京都千代田区平河町2-4-2
出席委員
会場出席委員:松山部会長、野村委員
オンライン出席委員:山口部会長代理、小野委員、小尾委員、片桐委員、黒田委員、土屋委員
オンライン出席委員:山口部会長代理、小野委員、小尾委員、片桐委員、黒田委員、土屋委員
議題
- (1)日本年金機構の令和5年度及び第3期中期目標期間の業務実績の評価について
- (2)その他
議事
- 議事内容
○石川年金事業運営推進室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第75回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
初めに、本部会の臨時委員として、9月1日付けで新たに小野由理委員と松本隆委員が任命されておりますので、御紹介をさせていただきます。
小野委員、一言御挨拶をお願いいたします。小野委員、こちらの声は届いておりますでしょうか。
(接続状態が良くないため、)それでは、後刻御挨拶をいただくような形にさせていただければと思います。
それから、松本委員は本日御欠席でございますので、次回以降御出席の際に改めて御紹介をさせていただきます。
また、前回の部会以降、厚生労働省に人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。
年金局事業管理課長の重永でございます。
○重永事業管理課長 7月に事業管理課長に着任しました重永です。どうぞよろしくお願いいたします。
○石川年金事業運営推進室長 企画官の岡野でございます。
○岡野企画官 岡野でございます。よろしくお願いをいたします。
○石川年金事業運営推進室長 年金局給付事業室長の石毛でございます。
○石毛給付事業室長 石毛です。どうぞよろしくお願いします。
○石川年金事業運営推進室長 次に、委員の皆様の出欠状況について御報告させていただきます。
本日は、辻委員、松本委員から御欠席との御連絡をいただいております。また、土屋委員におかれましては、所用のため途中退席されるとの御連絡をいただいております。
本日もオンライン併用での開催となっております。
松山部会長、野村委員は会場での御出席、ほかの委員の皆様はオンラインでの御出席となっております。
それでは、議事進行につきましては、松山部会長にお願いいたしたいと思います。
恐縮でございますが、カメラにつきましては、ここまでとさせていただきます。
(カメラ終了)
○松山部会長 それでは、議事次第に沿って、「日本年金機構の令和5年度及び第3期中期目標期間の業務実績の評価について」を審議いたします。
日本年金機構の令和5年度及び第3期中期目標期間の業務実績の評価については、9月9日付けで厚生労働大臣から社会保障審議会の遠藤会長宛てに諮問がなされております。
厚生労働省から、評価案の資料として、概要版の資料1-1、全体版の資料1-2及び資料1-3が提出されていますので、まずは、厚生労働省から御説明をいただき、その後に皆様の御意見や御質問等をお伺いしていきたいと存じます。
それでは、資料の御説明をお願いいたします。
○石川年金事業運営推進室長 厚生労働省年金事業運営推進室長の石川でございます。
日本年金機構の令和5年度及び第3期中期目標期間の業務実績の評価について御説明させていただきます。
本日、資料1-2として機構の令和5年度業務実績の評価案の本体を、資料1-3として機構の第3期中期目標期間の業務実績の評価案の本体を、それぞれ御用意させていただいておりますが、これらを見やすくまとめた形で、資料1-1として機構の令和5年度及び第3期中期目標期間の業務実績評価案の概要を御用意しております。こちらの概要を用いて、内容の御説明を行わせていただきます。
機構の業務実績の評価につきましては、日本年金機構法に基づきまして、各事業年度に係る評価と中期目標に係る評価を厚生労働大臣が行うとされております。これらの評価に当たりましては、社会保障審議会に諮問がなされ、年金事業管理部会で御議論いただくことになっております。諮問書を参考資料1及び参考資料2として添付させていただいております。
令和5年度及び第3期中期目標期間の業務実績につきましては、機構より本部会に御報告をいただき、前々回、前回と2回にわたり御議論をいただいた内容となっております。これらの業務実績について、それぞれ令和5年度計画並びに第3期中期目標及びこれに基づく中期計画に照らした達成状況の評価案として取りまとめております。
資料1-1の表紙をおめくりいただきますと、目次がございます。
その次の1ページを御覧ください。左下に判定基準の記載がございます。こちらに記載されていますように、年度計画や中期目標・中期計画を概ね達成している場合はB、上回っている場合はSまたはA、下回っている場合はCまたはDという評価となります。
判定基準の上に、評価項目の一覧表がございます。今回、令和5年度と第3期中期目標期間全体について評価をいただきます。
令和5年度の評価案は、令和4年度と比較して評価が上がっている項目が2項目ございます。「Ⅰ-2.国民年金の保険料収納対策」がAからS、「Ⅲ-4.人事及び人材育成」がBからAとなっております。右下の集計表のとおり、令和5年度の評価案は、S評価が1項目、A評価が6項目、B評価が11項目となっております。また、中期目標期間の評価案は、A評価が7項目、B評価が11項目となっております。日本年金機構における近年の着実な取組を反映して、全体として評価が安定している状況であるとともに、評価が上がっている項目も見られるという状況でございます。
個別の評価項目の評価案の御説明に入りたいと存じますが、時間が限られておりますので、例年同様、中期目標に係る評価または年度に係る評価がA評価以上となっている項目及び年度に係る評価が前年度から変動している項目について御説明をさせていただきます。
では、5ページを御覧ください。「Ⅰ-2.国民年金の保険料収納対策」の項目でございます。
初めに、資料のうち個別の評価項目の評価案の部分の構成について御説明をさせていただきます。「Ⅰ-2.国民年金の保険料収納対策」の評価案につきましては、5ページから8ページまでとなっております。このうち6ページ以降は、左から、評価項目に属する施策の欄、第3期中期計画の概要の欄、この欄の中で必要に応じ令和5年度計画の概要についても記載しております。それから、真ん中に機構における主な取組実績の欄、ここの部分は前々回、前回の部会で機構から御報告をいただいた内容でございます。そして、右側に評価及び主な評価の理由の欄がございます。
評価項目に属する各施策ごとの第3期中期目標期間及び令和5年度における主な評価理由並びに両者の評価項目全体としての評価を1枚にまとめたものが、5ページとなっております。
以後の個別の評価項目も同様の構成となっておりまして、個別の評価項目の評価案に関しましては、このまとめのページを中心に御説明させていただければと存じます。
さて、5ページにお戻りいただきまして、国民年金保険料の納付率につきましては、中期目標期間中に、最終納付率は70%台後半、現年度納付率は70%台前半という第3期中期目標及び中期計画の目標がございましたが、ともにこれを上回る達成状況にあり、最終納付率は令和5年度に確定する令和3年度分の数値が83.1%で11年連続の上昇、現年度納付率は令和5年度分の数値が77.6%で12年連続の上昇という状況でございます。
6ページの表なども御参照いただければと存じます。
こうした納付率の上昇を支えてきたのが、年齢や所得、未納月数等の未納者の属性に応じた効果的・効率的な収納対策の促進でございます。特に若年者、具体的には20歳到達者の納付率は、平成30年度53.0%から令和5年度71.7%に向上しております。
また、大都市圏の未納者数が多い年金事務所について令和3年度より対策を図り、大都市圏の現年度納付率は令和2年度68.7%から令和5年度76.3%に向上しております。
納付率の低い沖縄県については沖縄プロジェクトの実施により、沖縄県の現年度納付率は平成30年度51.2%から令和5年度71.1%に向上しております。地域の実情を踏まえた対策が功を奏してきたということが言えると思います。
さらに、令和4年4月に「国年納付率80%促進チーム」を設置し、年金事務所の進捗管理・個別指導等も実施してきたところでございます。最終納付率で80%超を達成したのは令和4年度であり80.7%、令和5年度には先ほど申しましたように83.1%となっております。
国民年金保険料を納めやすい環境の整備といたしましては、口座振替、クレジットカード、インターネットバンキング、そしてコンビニエンスストアや金融機関窓口等における納付書による納付など、多様な納付方法を御用意しており、スマートフォンの決済アプリによる納付については、若年層を中心に利用者が拡大しています。
そして、令和5年度の状況に着目しますと、最終納付率が令和5年度計画の目標である80%台を大幅に上回る83.1%でございまして、また、現年度納付率が対前年度プラス1.6ポイントの77.6%という納付率の状況でございますが、これに加えて、最終納付率を算出する際の納付対象月数が減少してきているという厳しい状況にもかかわらず、実績としての納付月数は令和5年度に反転増加させているという状況でございます。1号被保険者数は減少しておりまして、それに伴って最終納付率に係る納付対象月数も減少し続けているという状況でございます。令和4年度・5年度を見ても9,492万月から9,270万月へと減少しているわけでございますが、一方で実績としての納付月数は令和4年度7,660万月から令和5年度7,701万月へと反転増加させているということでございます。ここに令和5年度における機構の顕著な努力が表れているのではないかと考えております。
本項目に関しましては、こうした点やその他業務の実施状況を踏まえ、令和5年度実績については令和5年度計画を大幅に上回っているものとし、S評価とさせていただく一方、中期目標期間全体の実績としては中期計画を上回っているものとし、A評価とさせていただいております。
続きまして、9ページを御覧ください。「Ⅰ-3.厚生年金保険・健康保険等の適用促進対策」の項目でございます。
第3期中期目標期間において、国税源泉徴収義務者情報や関係機関等からの情報を活用し、把握した適用調査対象事業所に対して、文書・電話・訪問等の手段により職員による加入指導を行った結果、平成30年度末に比べ、適用事業所数は約45.4万増加し、令和5年度末で約279万事業所となっております。被保険者数は同様に約230.2万人増加し、令和5年度末で約4,210万人となっております。
また、適用事業所に対し、臨場、呼出、郵送等の手法により、令和元年度から令和5年度末までに、延べ約103万事業所、約3,173万人の調査を実施し、新たに約14万人の被保険者の適用を行うなど、適用漏れ防止や届出の適正化を図っております。
さらに、健康保険被保険者証の早期交付に向けて、被保険者証に係る届出について、申請種別ごとに標準的な処理期間の目標を定め、処理期間の短縮を実現しております。例えば、資格取得届の電子申請の処理期間は、平成31年4月の3.3日から令和5年4月には0.5日となっておりまして、1営業日以内の処理が実現できています。
なお、令和5年度の状況といたしましても、年度計画に基づき、数値目標や具体的なスケジュールを含めた行動計画を機構において策定し、加入指導による適用事業所数、事業所調査や被保険者調査の数値で目標を上回って実施しております。
本項目に関しましては、こうした点やその他の業務の実施状況を踏まえ、中期計画及び令和5年度計画を上回っているものとし、ともにA評価とさせていただいております。
続きまして、13ページを御覧ください。「Ⅰ-4.厚生年金保険・健康保険等の保険料徴収対策」の項目でございます。
厚生年金保険料及び全国健康保険協会管掌健康保険料の収納率については、コロナ禍の影響で一時的に低下したことはございましたが、それ以外は中期目標期間を通じて、前年度の収納率と同等以上という目標を上回っております。また、中期目標期間を通じて、令和元年度以来90%台後半を維持しております。
令和5年度の状況を見ますと、厚生年金保険料の収納率は98.7%、協会けんぽ保険料の収納率は97.7%となっており、いずれも前年度と同等以上という目標を上回っております。
また、滞納事業所の割合はコロナ禍の影響で一時的に増加したことはございましたが、それにもかかわらず、その後は減少し、令和5年度の数値は、令和元年度と比べても減少している形となっております。
さらに、徴収困難な事業所に対し、機構本部に徴収専門の組織を構築して集中的かつ機動的に納付指導や滞納処分を実施する一方、令和5年度の部分に記載がございますように、納付が困難な事業所には法定猶予制度を御案内するなど、個々の状況に応じて取組を進めてきております。
本項目に関しましては、こうした点やその他業務の実施状況を踏まえ、中期計画及び令和5年度計画を上回っているものとし、ともにA評価とさせていただいております。
続きまして、16ページを御覧ください。「Ⅰ-5.年金給付」の項目でございます。
請求から年金の支給決定までの期間については、サービススタンダードと呼ばれる期間目標を置いておりまして、例えば、加入期間の再確認を要しない老齢年金ですと1か月以内、一方で障害年金ですと専門性を要することなどから3か月以内といった期間目標が定められています。
コロナ禍の影響で一時的に障害年金のサービススタンダード達成率が低下したことはございましたが、これは認定医の訪問による審査の中止等によるものでございました。それ以外につきましては、中期目標期間を通じて、サービススタンダード達成率90%以上を維持してきております。最も請求件数の多い、加入期間の再確認を要しない老齢年金、サービススタンダード1か月以内のものについては、中期目標期間の全期間で97%以上に達しております。これらの状況から、迅速な支給決定がなされていると言えるということでございます。
また、年金生活者支援給付金について、適格な支給要件判定を行った上で請求書を送付するとともに、未提出者に対する効果的な勧奨請求を実施してきております。令和5年度の状況を見ますと、年金生活者支援給付金について、新たに支給要件に該当した方約50万人に対し、はがき型の簡易な請求書を送付し、未提出者に対しては勧奨を行った結果、およそ96%に相当する約48万人から請求があり、効果的な勧奨を実施できているといえます。
さらに、年金請求の節目となる機会における年金請求書等の送付、令和5年度からは75歳時未請求者にも年金請求書の送付を行い、請求忘れの防止を図っています。加えて、70歳以上の未請求者に対する訪問等による勧奨を実施し、90%以上の方から請求がなされ、年金受給に結びついているところでございます。
そのほか、令和5年度において、年金給付業務の効率化・省力化及び正確性の確保に向けた執行体制の見直しや、年金の繰下げ請求の上限年齢が70歳から75歳へ引上げられたことに伴い、新たに66歳以降の老齢年金の未請求者に繰下げ見込額のお知らせを送付するといった対応も行っております。
本項目に関しましては、こうした点やその他業務の実施状況を踏まえ、中期計画及び令和5年度計画を上回っているものとし、ともにA評価とさせていただいております。
続きまして、31ページを御覧ください。「Ⅰ-9.年金制度改正等への対応」の項目でございます。
第3期中期目標期間中において、年金生活者支援給付金制度が令和元年10月に施行され、短時間労働者の適用拡大が令和4年10月に施行されるなど、制度改正が順次行われてまいりました。
年金生活者支援給付金制度については、多様な媒体による周知や、ターンアラウンド(TA)形式による簡易な請求方法による支給を行ってきたこと、短時間労働者の適用拡大については、事業所訪問等を通じた丁寧な制度周知を行い適用につなげてきたことなど、各改正事項について円滑な施行に向けた取組が実施されてきたところでございます。
また、令和6年度に定額減税が実施されたところですが、令和5年度にはそれに向けたシステム開発等を適切に行い、円滑に施行されているところでございます。
本項目に関しましては、こうした点やその他業務の実施状況を踏まえ、中期計画及び令和5年度計画を上回っているものとし、ともにA評価とさせていただいております。
続きまして、47ページを御覧ください。「Ⅱ-4.ICT化の推進」の項目でございます。
ICT化の推進に関しましては、電子申請の利用割合をはじめ、第3期中期目標期間を通じて順調な進展が見られます。
事業所に対する取組といたしましては、電子申請に対する処理を迅速化し、事業主の利便性を向上するため、機構内部システムにおける電子申請届書の処理環境を構築し、GビズIDによる電子申請対応を開始したところであり、事業主に対する重点的な勧奨を行った結果、電子申請の利用割合が上昇してきております。
例えば、資本金1億円超の法人を含む被保険者51人以上の事業所等では、事業所数ベースで令和元年度31.8%から令和5年度86.3%まで、54.5ポイントの向上が見られます。
また、主要な届書について、全事業所の被保険者ベースで令和元年度23.9%から令和5年度70.4%まで、46.5ポイントの上昇が見られます。
このほか、令和5年1月より、年金事務所に照会が多い情報について電子送達サービスを開始し、紙の郵送物の削減に取り組んでおります。
個人に対する取組といたしましては、国民の手続負担軽減、利便性向上等を実現するため、様々な電子申請、電子送付のサービスを令和4年度ないし5年度より開始しておりまして、国民年金の加入手続・保険料の免除申請等の簡易な電子申請、扶養親族等申告書の簡易な電子申請、社会保険料控除証明書及び公的年金等源泉徴収票の電子送付といった取組を実施し、国民年金保険料の学生納付特例申請書の電子申請については、対象者への直接のお知らせ等、効果的な周知により、2年目の令和5年度で利用実績が12.7%となるなど、いずれも利用が進んでおります。
本項目に関しましては、こうした点やその他業務の実施状況を踏まえ、中期計画及び令和5年度計画を上回っているものとし、ともにA評価とさせていただいております。
御説明させていただく項目の最後として、67ページを御覧ください。「Ⅲ-4.人事及び人材の育成」の項目でございまして、機構における働き方改革なども内容として含むものでございます。
第3期中期目標期間においても、全国異動を積極的に実施し、これまでに約8割の正規職員が全国異動を経験してきたところでございますが、令和5年度において、全国異動ルールを見直し、人材育成上有効であり、組織運営上必要な全国異動へと方針の転換を図っているところでございます。
第3期中期目標期間において、女性管理職比率については、平成31年4月13.7%だったものから令和6年4月17.4%となっておりまして、一般事業主行動計画における令和5年度末の目標である15.5%を1.9ポイント上回っている状況でございます。
また、男性職員の育児休業取得率につきましては、令和元年度15.85%から令和5年度75.23%へと、59.38ポイントもの大幅な向上を示しており、この75.23%という令和5年度の数値でございますけれども、統計調査による民間企業における男性職員の育休取得率、令和5年度30.1%と比較しても、高い数値となっています。
職員1人当たりの月平均の時間外勤務時間につきましては、令和元年度は22時間53分でございましたけれども、令和5年度は10時間44分へと、12時間9分の削減を実現しております。
さらに、男性の育児休業取得率は先ほど申しましたように5年間で59.38ポイント向上しているところでございますが、そのうち18.33ポイントは令和4年度から令和5年度にかけての向上分になります。また、職員1人当たりの月平均の時間外勤務時間は5年間で12時間9分削減されているところ、そのうち半分弱の5時間20分は令和4年度から令和5年度にかけての削減分になります。このように、働き方改革に関する取組が令和5年度で大きく進んだといえると思います。
そのほか、休暇の取得実績が低い職員への取得の働きかけ等により、年次有給休暇の平均取得日数を令和元年度から2.5日増加させております。また、有期雇用職員の産前産後休暇の有給化、育児短時間勤務及び子の看護休暇の対象を小学校卒業まで延長するなど、休暇制度等の見直し・新設を行っております。
本項目に関しましては、こうした点やその他業務の実施状況を踏まえ、令和5年度実績については令和5年度計画を上回っているものとし、A評価とさせていただきました。また、中期目標期間全体の実績としても、5年間を通じた成果が中期計画を上回っているものとし、A評価とさせていただいております。
評価案の御説明につきましては以上でございます。
○松山部会長 御説明どうもありがとうございました。
そうしましたら、ただいまの御説明内容について、あるいはそれ以外の評価案全体についても、御意見、御質問等がありましたら、挙手または挙手ボタンを押していただきますようお願いいたします。御質問のある方はどうぞよろしくお願いいたします。
小野委員、挙手ボタンを押していただいていると思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○小野委員 本日より参加させていただきます三菱総合研究所の小野と申します。委員の皆様、松山部会長、それから厚生労働省の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
初めてということでございますので、若干ピント外れだったりとか、知識不足の点もあるかと思うのですが、教えていただきたいという点も含めて意見申し上げさせていただければと思っております。
基本的には納付率がどんどん向上していて、大変すばらしいお取組だというふうに理解いたしました。その上で、2点お伺いいたします。1点目は、今回の説明では目標対比の達成率ということが示されていたわけなのですが、水準の妥当性ということについて、もう少し説明があると分かりやすかったと思っております。委員の皆様におかれては、御承知なのだと思うのですが、途中参加の私は十分理解できませんでしたので、ご説明があるとよいと思いました。 納付率の目標は前中計よりも高く設定されていると理解いたしました。他方、納付率には上限があるだろうと思われますので、いずれサチってくるのではないでしょうか。例えば、それらをどのように考えるのかですとか、どのぐらいの期間をかけてそういう上限まで達していこうとされているのでしょうか。また、セグメントごとのお取組をされていて、それは大変すばらしいと思ったのですけれども、セグメントごとに取り組むことで効果がでそうなセグメントが他にもあるのか、なども気になります。取組みの全体像が見えずらかったものですから、これらを踏まえた目標の水準の設定の考え方について事前に説明があると分かりやすかったかなと思います。これは私が勉強させていただきたいと思うことでございますので、事後で結構ですので、教えていただければと思いました。
いろいろな施策を打っていただいていておりますが、これらは当然優先順位を持ってなされていると理解しております。一般的には効果が高いものから優先順位高く取り組んでいくというのが打ち手の考え方だと思いますので、課題の体系化ですとか、費用対効果ですとか、施策の有効性など御説明があった上で、この優先順位で施策が取り組まれ、成果がこのようであったというふうになっていると、より分かりやすくなるのではないかと思いました。これも私の勉強不足に起因することかもしれませんので、教えていただけると幸いです。
総じて成果が出ておりますので、一つ一つがいいとか悪いとかというよりも、より多くの方々に納付率の向上にむけた取組みを効率的にやっておられるということを御説明されるほうが、より伝わりやすいのではないかという観点からお伝えさせていただきました。
以上でございます。
○松山部会長 どうもありがとうございました。
そうしましたら、もしよろしければ、機構のほうから、目標を設定するときの考え方とか、今回非常に施策が大変網羅的でございますので、その中でも優先順位の考え方とか、そういった今御質問の内容を御説明いただければと思います。よろしくお願いします。
○岩井日本年金機構理事 日本年金機構の事業管理部門担当理事の岩井でございます。よろしくお願い申し上げます。
ただいま小野委員から御質問いただきました点についてお答え申し上げます。専ら国民年金の保険料納付率の件だとお聞きいたしましたので、その点についてお答え申し上げます。国民年金の保険料の納付率は、私どもは年金制度への信頼のバロメータと考えております。と申しますのも、厚生年金の場合は事業主の方から納付いただくわけでございますが、国民年金につきましては、一人一人の国民の方から納得いただきまして、これを納付いただいております。したがいまして、この納付率というものは、制度、あるいは日本年金機構に対する一定の信頼をいただくということのバロメータと考えておりまして、従来より力を入れて取り組んでまいった次第でございます。
この納付率でございますけれども、一時期非常に低かった時期があったのでございますが、いろいろ取組を行いまして、これが上がってまいりました。その中で、特に近年につきましては新型コロナウイルスの影響がございました。こういう中で特例免除というものもございまして、一定程度、毎年1%程度上がっていたのですが、さらにもう少し上乗せして上げていた時期もあるのですけれども、新型コロナウイルス感染症が収束いたしまして、臨時特例免除というものが終了してまいりました。これに伴いまして、特に令和5年度は納付率の低下ということが非常に懸念されていた次第でございます。
そういう中で、日本年金機構につきましては、重点的な対策を取り組みまして、5年度も目標を上回る結果が出せたというのが、今回の評価いただいたことにつきましての一定の背景ではないかと考えております。
先生から今御指摘がございましたように、今後、納付率が年々上昇いたしますと、これはかなり困難な状況が出てまいると思っております。例えば、私どもが度重なる納付督励を行いましても応じていただけない方というのは一定数いらっしゃいます。岩盤層と言っていいのかどうかはありますが、そういう方がいらっしゃいます。また、今後、外国籍の被保険者の方が増えていくという傾向も見込まれております。そういう中で、今後困難になると予想しておるのでございますけれども、こういう状況の中で、私どもといたしましては、ターゲット層というものをしっかりつかんで取り組んでいきたいと考えております。
具体的には、未納者の年齢、これは若年者とか、あるいはもう年金給付が始まる直前の方とか、様々なセグメントを行っておりまして、例えば年齢別でいくと6区分ほどいたしておりまして、それぞれどのような内容の勧奨をするのか、あるいはその時期とかそういうものもいろいろとこれまでの経験から分析いたしまして、効果的・効率的な対応をいたしております。また、所得階層。所得が高いか低いかで免除なのか納付をお願いするのかとか、そういうことも区分しながら取り組んでいる次第でございます。あるいは未納月数。これも新規に未納になって、未納期間が少ない方を捉えまして、特にこういう場合は滞納額が増える前に一生懸命勧奨いたしまして、お納めしていただくような取組をしておる状況でございます。
特に制度の入口に立っておられます20歳代、20歳到達の若年者の方につきましては、本人のみならず世帯主の方、親御さんとかに対しましても訴求いたしまして、納付を働きかけるなどの取組をしてまいりました。こういう取組のほかに、さらに50歳代の方は、これから年金の給付が始まるという中で、このままいくと無年金、低年金になる方がいらっしゃいますので、そういう方に対しては、具体的に保険料を納付するとどれぐらい将来の年金が増えるかということをお知らせして、納付意欲を喚起するような形で取り組むなどの対策をやっております。このように属性別に取組を実施してきたところでございます。
また、さらに、ちょっと御紹介申し上げますと、やはり大都市圏は納付率が比較的低いということが見られます。こういうところにつきましては、特に未納者が多い年金事務所の体制、例えば国民年金課を1課から2課にするとか、正規職員を配置するなどの取組をいたしまして、きめ細かな対応をしてまいりました。当機構といたしましては、こういう対策をそれぞれ毎年どのような効果があったかということを検証しながら取り組んでおりますが、引き続きその納付率の向上というものが達成できるように取り組んでまいりたいと考えております。
長くなりましたが、取りあえず私のお答えといたしましては以上でございます。
○小野委員 ありがとうございます。
○松山部会長 よろしくお願いいたします。
○樋口事業企画課長 年金局事業企画課長です。
少し補足させていただきたいと思います。年金機構の計画の策定と実績の評価というサイクルは、今年度から新しい中期目標、中期計画期間に基づいて実施しているという状況であります。国民年金保険料の納付率につきましては、中期目標期間中、今年度から5年間の期間では現年度の納付率で言うと80%台前半、そして、最終納付率については80%台後半を目指すということで、優先順位、どこがターゲット層になるかというのを設定しながらやっていっているということでございます。それに応じて毎年年度計画も策定いたしまして、評価を行っていただくということでございます。
小野委員から御指摘いただいた目標水準の考え方でありますとか優先順位というのは非常に重要な視点だと思います。これからもまた計画を作って評価をするというサイクルが続いていくわけですけれども、そういった場でも、そういった説明が分かりやすくなるように全体として努力していきたいと思います。
以上です。
○小野委員 ありがとうございます。
○松山部会長 どうもありがとうございます。
今ので1点目と2点目、両方兼ねてという御回答になりますか。優先順位のところも。分かりました。どうもありがとうございます。
小野委員、よろしいでしょうか。またよろしくお願いいたします。
そうしましたら、ほかに御質問のある方、よろしくお願いいたします。
では、土屋委員、お願いいたします。
○土屋委員 ありがとうございます。私も小野委員と同じような感想を持っておりまして、先ほどのお話は、保険料の納付率のお話がメインだったかと思うのですけれども、私が着目していたのは、仕事柄、厚生年金と健康保険の適用促進対策の部分なのですが、健康保険の資格取得から健康保険証発送までの期間というのがすごく数字として見やすいので、そこでちょっと御指摘させていただくと、5、6年前は電子申請で3.3日かかっていた資格取得が今はもう0.5日になっていますし、あと、被扶養者異動届のほうは2.8日かかっていたのが、6年たって0.7日になっています。ということは、もう1日かかっていないということになるので、どこまで求めるんだろうと私も小野委員と同じような感覚で思っていたもので、1日かかっていないのであれば、ここはもう今後は目標に掲げる必要もないのかなというところと、あとは紙申請のときは多少時間がかかるのは致し方ないので、そこら辺で目標をもう達成したとか、そういったところの着地点をもう少し明確に教えていただけたらなというのが率直に思ったところであります。
私のほうからは、適用促進対策のところでこういうふうに思ったので、その辺の御回答をいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○松山部会長 ありがとうございます。
それでは、よろしくお願いいたします。
○重永事業管理課長 事業管理課長の重永です。
今回につきましては、設定をされております計画に対してどのように評価をするかということが主眼の会議でありますけれども、目標をどう設定していくかということは評価とも連動してきますので、非常に大事なところだと思っております。
御指摘の電子申請の部分につきましては、確かに申請から処理に要する日数が3.3日から0.7日ということで非常に短くなっているところであります。ただ、ここにつきましては、今策定されております6年度の計画においても、目標として一定の設定がされているというふうに認識をしています。引き続き、目標として設定し続ける必要があるのかどうかということも今後考えていく必要があると思っておりますけれども、そこは実施の状況なども見ながら考えていくことかと思っております。
以上です。
○松山部会長 追加でよろしくお願いいたします。
○巽年金管理審議官 今の資格取得の平均処理日数とかというのは、実際はシステム改修フェーズ1をやりまして、今まで手でやっていたものをシステムでやるようになって、保険証の交付とかが早くなった。当然、運用の見直しもシステム改修に伴ってやっているわけです。その時々に応じて目標というか、システムができたので、これ以上多分画期的にはそんなに極端によくなるというのはないと思います。例えば、先ほどの国年の収納率にしても、今までそれこそ機構ができたときの収納率は65%前後だったと思うのですけれども、それが徐々に引き上がってきて、今は83.1%になっているというのがあります。ですから、目標のセグメントはなかなか、最終的にどこを目指すかというのは、当然100%になればなるほどいいわけなのですが、特にこの収納率は、最後になればなるほど厳しくなってくるというのはあると思います。ですから、我々もできるだけ定性的な目標から定量的な目標にするということでこういうふうに設定しておりますけれども、何がニーズに適っているのか、国民の、特に利用者のニーズが何なのかということを考えながら、そのような目標設定は必要だと思っております。できるだけ最終目標が何なのかということは示していきたいと思いますけれども、そこは臨機応変に国民のニーズ、社会の状況とかを見ながら設定していくということで皆さんの御意見も入れながら目標設定していきたいと思っております。
○松山部会長 ありがとうございました。
よろしいでしょうか。
○土屋委員 1つだけいいですか。そうしたら、私、素人の考えかもしれないのですけれども、適用促進対策については、もっといい評価をつけてもいいのではないかと個人的に思っていたので、どうしてSじゃいけないのかなというところ。ほかのところでいくつか項目があるので、そこでSには敵わなかったというのがあるのかもしれないのですけれども、上回っていると非常に上回っているのところの差が私にはよく分からなかったので、そこら辺の明確な情報というか根拠があれば教えていただきたいです。追加ですみません。
○松山部会長 よろしくお願いします。
○重永事業管理課長 事業管理課長の重永です。
資料1-1の1ページにありますように、その判定基準というのがありまして、Aについては計画を上回っていると、Sについては計画を大幅に上回っているということになっております。ここの大幅に上回っているというようなことについて、どういうふうに考えるかということだと思いますけれども、基本的に計画を上回る実績があるということについても非常に評価すべきであると思っております。御指摘の厚生年金の適用の部分につきましては、資料の9ページに概要がございますけれども、令和5年度につきましては、事業所の加入指導につきまして、適用事業所について目標が8万事業所のところを9.5万事業所上回っているということ。それから、事業所調査につきましても、目標が10万事業所に対して12.3万事業所というような、目標に対して一定の上回っているというようなところを今回評価して、A評価という形にしたところでございます。
私のほうからは以上です。
○松山部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。
○土屋委員 ありがとうございます。
○松山部会長 今のお二方の御質問に関してなのですけれども、本日は目標達成度と評価についての審議の場なので、それについてと思うのですが、やはり各事業年度でどの目標を重視しているのかというところが分かると、委員のほうも多分着目するポイントが理解しやすい。非常に網羅的に計画が作られているので、先ほど御説明があったとおり臨機応変に重点的に見ていらっしゃる目標というのがあると思いますので、その辺りをもし今後分かるように御説明いただけると大変理解が進むのかなと感じましたので、よろしくお願いいたします。
そうしましたら、続きまして、小尾委員、お願いいたします。
○小尾委員 御説明ありがとうございます。私も似た話になってしまいますがコメントです。今回の評価については特に異論はないですが、今後このような評価を行うに当たって、数値目標はより厳しめになっていくと思います。そのため、評価の助けになるように、大体このぐらいであればSとしてみなす、Aとしてみなすというのを事前にある程度参考数値として出していただけると助かると思います。なかなか難しいとは思いますが、これだけの目標が達成できていればS、これだけだったらA、最低限の目標と書かれているものが達成できたらBということが分かると、今後我々が評価をするときの助けになると思います。
難しいかもしれませんが、数年かけて検討いただければと思いますので、よろしくお願いします。
○松山部会長 ありがとうございました。
では、お願いいたします。
○樋口事業企画課長 事業企画課長です。
御指摘ありがとうございます。評価の指標というか判断基準というのは今までも試行錯誤してきて、なかなか難しいところがございます。御指摘がございましたので、検討したいと思いますけれども、評価につきましては、明確な数値目標のみがあるという状況であれば、それについて事前にというのもあり得るかもしれませんけれども、ある程度、一つの項目につきましても様々な施策があると、今日も御指摘いただきましたが、それがあるのが実態でございまして、そういった面を様々総合評価していかなければいけないという難しさがあるということでございます。御指摘もちょっと頭に置きながら、まずは研究したいと思います。
○松山部会長 いろいろ難しいかもしれませんが、よろしくお願いします。
どうぞ、お願いします。
○巽年金管理審議官 実際に評価していても、当然これまでもできるだけ定量化しろというような話もありましたので、我々としても以前に比べれば定性的なものから定量的な評価が増えてはいると思います。では、定量的なものだけを評価していいのかという問題もありまして、というのは、そこの中での新しい取組とか、これを実施するに当たってすごく困難なものをやっているとか、そのようなことも最終的には総合的な判断をしているわけです。ですから、全く定量的な評価をしないというわけではないのですけれども、そういうことに留意しながらも、最終的にはそういう要素も必要になってくると思っております。できるだけ御意見も踏まえながら、我々も、先ほど部会長がおっしゃったような重点的な目標は何なのかとか、そういうことも示していくことは、恣意的な評価をなくすという意味では必要だと思っておりますので、引き続きやっていきたいと思っております。
○松山部会長 ありがとうございました。
そうしましたら、黒田委員、お願いいたします。
○黒田委員 ありがとうございます。
まず全般的に大変すばらしい成果を出されたということで、皆様ありがとうございました。皆様の努力に敬意を表したいと思います。
ちょっと関連してなのですけれども、Ⅰの9、年金制度改正等への対応、私はそこだけが分からなかったです。ほかのはかなり定量的な指標もあったりですとか、あるいは先ほどの御説明の中でも、こういうことを根拠にこれだけの成果があったのでAだと思うとか、Sだと思うとかということで私は非常に納得ができたのですけれども、どうしても制度改正への対応のところだけ、あれもやりました、これもやりました、いろいろなことをやったのでAですというふうになっているのですが、いろいろなことをやった結果、いろいろなことをやったことがよい結果につながっているというところで、何を指標にすべきかというのが、今後何か見つかるといいかなと思います。私が読む限りでは、例えばトラブルなくというところが鍵なのかなと思うと、トラブル件数がもしかしたら指標になるのかなと思ったりもしたのですけれども、何でもかんでも定量化すればいいということではないですが、それにしても制度改正への対応のみ、なぜこれがBではなくてAなのかというのはまだぴんときていないところなので、今回はAの評価でもいいのですけれども、今後また目標設定に向けて御検討いただければなと思います。
以上です。
○松山部会長 ありがとうございました。
では、よろしくお願いいたします。
○重永事業管理課長 事業管理課長の重永です。
御指摘ありましたように、国年の保険料収納率などと異なりまして、なかなか数値目標が設定しづらいところが年金制度改正の対応の関係であります。この制度改正の対応につきましては、毎年度発生する経常的な業務と異なりまして、新しい事務処理を作ったり、システム改修をしたりということで、施行日までの間に適切に対応する必要があるということでございまして、そもそも重要性、困難性が高いというところが評価に当たって考えなければいけないかと思っております。
その上で、今回の5年度の評価でありますけれども、例えば令和6年10月からの短時間労働者の適用拡大の件につきましては、対象となる可能性のある適用事業所につきまして、訪問による事前の調査を行うという計画に対しまして、適用可能性のある約5万2,000の事業所にガイドブックですとかリーフレットを送付したり、あるいはこれらの8割強に相当する約4万3,000の事業所に対しまして、訪問をして制度の説明を行うというような円滑な施行に向けた積極的な取組がされていると考えております。
それから、計画との関係でいいますと、定額減税についても5年度に対応したわけであります。定額減税への対応につきましては、計画当初には想定されていなかったものでございますけれども、関係機関との丁寧な調整ですとか迅速なシステム開発などを機構において行いまして、令和6年6月の施行時点で事務処理誤りやシステムトラブルを生じることなく円滑に施行したということがございます。こういったことから、計画を上回った取組が行われたものと評価しまして、評価案をAとしたものでございますけれども、委員御指摘のとおり、トラブルなく施行できたとか、どのような考え方で評価をしていくのかということについては、今後とも考えていきたいと思っております。
以上です。
○黒田委員 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
○松山部会長 ありがとうございます。
では、野村委員、お願いいたします。
○野村委員 ありがとうございます。まずは評価に関して、今、審議官のほうから御説明がありましたように、定量的な数値をベースにしながらも総合評価をされているということで、いろいろ御説明いただいて納得ができましたので、私は今回の原案自体に対しては異論なく了承させていただきたいと思っております。
その上で、長らく私は社会保険庁の頃からずっと年金業務を見てまいりましたけれども、確かにここに来て大変国年の納付率の上昇等、かつてに比べると雲泥の差が生じているということで、業務が前に進んでいることは高く評価できると思います。ただ、民間事業で例えばこういったようなものを評価するとなれば、それを達成するのにどういうコストがかかっていたのかというようなコストベネフィットの観点が一つ大事で、例えば徹底的に一件一件を訪問して一つ一つ取ってくれば数字は上がるわけですけれども、それをやったからといって、それだけのコストをかけて1件増えたことを評価できるかというと、決してそうではないということになると思います。
先ほどの御説明にもありましたように、効果を評価した上で、恐らく業務改革をやっているのだと思うのですけれども、その業務改革の努力の部分がなかなか私たちのほうに伝わってきていないので、その部分辺りのところは別立てでも結構ですので、一生懸命、どういうふうに取り組んでいるのか。あるいは将来ビジョンとして、例えばどれだけの業務をAIに置き換えることができれば、どのぐらいのコストが削減できるのかとか、それによって業務がより一層、効果が得られるのか、それともある程度効果を我慢しなければコストカットができないのかみたいな、そういう普通の民間企業でやっているような評価というものも別立てでしていく必要があるのかなというような感じはしています。
その意味で非常に大事なのは、皆さん方のお仕事はどんな形のものが将来像なのかということについて、やはり目標を定めていくことがとても大事で、それについてもいろいろと教えていただければ、私たちもそこに期待を持ったりとか、未来像を見たりとかしていくことができるかと思います。例えば、全然違いますけれども、銀行などで議論していますと、店舗はもうなくなっていくんだとか、そういうことは想定されているわけですね。そうなると、例えばデジタルに置き換えたときには、むしろ大事なのはコールセンター業務なんだというような形で、大きな枠組みのビジョンが決まっているわけです。そうしますと、店舗はいつの段階でどのぐらい削減していけばお客様の利便性が低下しない中でフェードアウトさせていくことができるのかみたいなところが目標に実は置かれていて、それが達成されていっているかどうかというようなことを評価していくことも大事だと思いますので、この枠組み自体、決して私は継続していくことを否定しているわけではありませんけれども、そういった視点も大事にしていければいいのではないかなと思いました。感想みたいなもので恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。
○松山部会長 どうもありがとうございます。
もし何かありましたら。
○大竹日本年金機構理事長 野村先生、ありがとうございます。私も理事長になって9か月弱でございますけれども、同じような発言を中でずっとしているのです。特に金融機関から来ましたので、先生の御指摘はもっともでありまして、いきなりこうしろということではなくて、よく議論をしましょうと。私が一番職員にお願いしているのは、10年後ぐらいの仕事を思い描いて、バックキャストで経営計画を作ろうということに今取り組んでいまして、そうするといろいろなアイデアが出る。中には夢物語みたいなものも出るのですけれども、それは置いておいて、フォワードルッキングでやるのとバックキャストでやるのを融合して、10年後にこうしたいなら5年後にこうなっていなきゃいけない、3年後にこの辺までいこう、じゃ、今年は何やろうかと、そういう議論をしましょうということで少しずつ私の考えを職員の皆さんも分かってきていただいて、総合戦略室というところがありますけれども、そこを中心にそんな議論をしております。
例えば312ある事務所は本当に必要かと。全ての課をそろえる必要があるかと。お客様相談室だけでもいいのではないかとか、例えばですが、そんな発想は先生の御指摘のとおりでありますので、目標にするかどうかというのはちょっと、これはまた厚生労働省のお考えもあるでしょうけれども、そういったことはどんどん進めていきたいと思いますので、またむしろ先生からいろいろアドバイスもいただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
○野村委員 ありがとうございます。以前も、これはまた言うと非常にセンシティブな問題ですけれども、年金記録の問題で、今でも非常に丁寧に通知を出してやっています。これは悪いことではないと思います。それによって140万件ぐらい、確かに前年度よりも未統合記録が統合されていますから、効果は出ていますので、それをすぐにやめるということはないかもしれませんが、それにかかる郵送料等を考えてみますと、そこを何とかデジタル化をうまく使っていったりとか、そういうものによってコストを削減しながら、同じことを実現させていくというような発想を持っていかないと、これまでやってきたことを惰性で続けていきますと、効果は出ますけれども、非常に費用がかかりますので、ぜひ御検討いただければと思います。
○松山部会長 どうもありがとうございます。
そうしましたら、片桐委員、お願いいたします。
○片桐委員 ありがとうございます。PDCAで重要なのはAなのかなと思っておりまして、できたことに関しては、非常にそれはよかったということだと思うのですが、できなかったことですとか、やっていた中で出てきた新たな課題といったようなことも大きな成果の一つであると思います。こういった課題に関しても成果の一つなので、評価の一つにできるといいなと思っています。
○松山部会長 ありがとうございます。
御意見ということで、よろしくお願いします。
ほかには。
では、山口部会長代理、よろしくお願いいたします。
○山口部会長代理 ありがとうございます。よろしくお願いします。
最初に1つ目感想です。評価の仕方に関して、先ほど制度改正の対応について御意見があったのですけれども、制度改正はすごく地味な作業で、施行日までの期間が短く切られている中でミスなくやり通すという結構大変な業務だと思っております。もう少し評価がよくても良いのではないかと、制度改正が頻繁にありますので、その度に思います。
それから、組織運営はB評価です。普通にやって当然というか、下回ってはいけないという部分で、組織運営が上向いているのかどうかを評価するのは難しいのですけれども、Bの中でもよりAに近かったり、課題を残すものであったりということもありますので、今後より評価の中身を見えるようにしていくために、説明の仕方を工夫していただきたいと思います。
それ以外のこととしてコメントを3つほどあります。今回、第3期の中期目標期間の最終年度ということで、令和5年度単年度の実績評価案とともに評価案が提示されています。全体として事務局案に私も異存はございません。
その上で、今回、1点目としては、国民年金の収納対策はSという案が示されております。これまで業務として感触がよくても、実際にSにはなかなか至らないということがあったかと思います。その意味では、具体的にSが付いたというのは、これまでの取組の積み重ねとか、取組の精度が上がっていることに対する評価ではないかと思っています。
2点目としてICT化について、第3期の目標期間が始まる頃を思い返しますと、高齢者の増加とか業務量の増大にどう対応していくかという課題があったかと思います。さらに、コロナもあって、今期間の間にコロナを経てICTの導入段階から活用の段階に移ってきたと感じます。今後は業務の効率化をさらに進めていくことと、国民、利用者に向けてのサービスの質の向上につながるような取組としてお考えいただきたいと思っております。
最後に3点目ですけれども、Ⅲの4の人事及び人材の育成について、今回、女性管理職比率ですとか男性職員の育児取得率などの上昇、時間外勤務時間の削減ということが示されております。これに関係することとして、第3期の前、第2期の中期の期間のときに不正アクセス事案が発生しまして、そのときに組織風土の改革の必要性ということについて議論がなされていたと思います。今回、人事及び人材の育成については目標を上回って達成しておりますけれども、こういった働きやすさとか多様な人材が活躍できる場を作るということ、これが組織風土を作っていくことにもつながっていくのではないかと思いますので、より先の目標を見通しながら、今後の取組につなげていただきたいと考えます。
以上です。
○松山部会長 ありがとうございました。
3点ほどコメントいただきましたけれども、何か御説明がありましたら、よろしくお願いします。
○重永事業管理課長 事業管理課長の重永です。
最初の御指摘で、今回、収納率のところでSを付けたということで、これまでSはなかったわけでありますけれども、きちんと機構の取組を評価して、それがS評価に値するのであればS評価を付けていくということが重要だと思っております。こういったことが機構の職員のモチベーションの向上にもつながるのではないかと思っております。
それから、2点目でICT化の部分でありますけれども、確かにこの5年間で非常に大きく状況は変わりました。冒頭の説明にもございましたけれども、電子申請を利用している事業所の数ですとか、あるいは実際の処理件数に対するベースが70%まで向上するということで、非常に大幅に向上しております。電子申請以外にも、「ねんきんネット」ですとか事業所向け、個人向け、両方でいろいろなメニューを入れているところでありまして、御指摘のとおり導入の段階からこれから活用の段階に入ってきていると思いますので、どういうふうに活用していくのかというようなことについては、機構と一緒に考えて進めていきたいと思っております。
以上です。
○松山部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。
そうしましたら、一通り皆様御発言いただいたと思います。
各委員から様々な御意見、御質問がありましたけれども、日本年金機構の令和5年度及び第3期中期目標期間の業務実績の評価案に関しては、了承ということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○松山部会長 それでは、本評価案につきましては了承ということとし、これを私から遠藤会長に御報告させていただきます。
なお、この報告を受けて、遠藤会長から厚生労働大臣宛てに答申が行われることとなりますので、その旨御了承いただければと思います。
続きまして、「その他」の事項として、資料2の「事務処理誤り等の年次公表について」の提出がありますので、こちらについて機構から御説明をお願いいたします。
○萩日本年金機構リスク統括部長 リスク統括部の萩でございます。
事務処理誤り等の年次公表につきまして、私のほうから御報告させていただきます。資料2になります。
日本年金機構では、毎月、事務処理誤りなどにつきましてお客様対応が完了したものを公表しておりますが、そうした月次で公表済みの前年度1年間分を集計、分析し、年次公表という形で毎年この時期に部会にて御報告してまいりました。今回の御報告は、令和5年度に月次公表いたしました1年間分を集計及び分析した結果につきまして御報告させていただきます。
それでは、1ページを御覧ください。機構では、事務処理誤り等を把握した場合、お客様への御説明、誤りの訂正処理等を行うとともに、お客様対応を行った上で、その都度必要な再発防止策を実施しております。この年次公表は令和5年度中にお客様対応が完了したものを取りまとめたものとなります。
事務処理誤り等の集計と分析等としておりますが、1の(1)は事務処理誤りの総件数と制度別・発生年度別の内訳といたしまして、前年度、令和5年度に対応が完了し、公表した事務処理誤り等の総件数1,175件につきまして、それぞれ事案が発生した年度に振り分けて発生年度別に集計し、発生時期の分布を整理したものでございます。この事務処理誤りは1、2年で判明するものが多いことから、例年このように発生が古いものほど少ないということになります。
また、こちらに記載はございませんが、昨年度1,175件と比較いたしまして、令和4年度は1,220件、その前の令和3年度は1,347件でありましたので、一定の減少が見られております。
この1,175件の制度別・区分別の件数は(2)のとおりとなります。制度別ではそれぞれ合計で年金給付関係が608件、国民年金関係が427件、厚生年金関係が140件となっています。また、要因区分別に見ますと、確認・決定誤りによるものが717件となっており、例年一番割合が高くなっていることから、審査体制の強化や研修強化等により発生防止対策を行っているところでございます。
次に、2ページをお願いします。(3)はお客様への受給額等の影響額を区分ごとに集計したものでございます。表の右上段ですが、受給額等に影響があったものは534件と、影響があるものが全体の約45%となっております。また、お客様への影響額の内訳を(4)に示しておりまして、総額3.9億円となっております。なお、これらの未払い、過徴収、未徴収、誤還付の対応は既に終えておりまして、過払いにつきましては順次お返しいただいているところでございます。
続きまして、(5)は事務処理誤りが起こったことを機構内部で確認している段階で判明したものか、それともお客様から問合せをいただいた判明したものかの割合を出したものでありまして、機構内で確認している中で判明したものは約6割となっております。
(6)につきましてはシステム事故ということで、要件を定義する際の漏れや誤りなどにより生じたものとして2件事象がありましたが、受給額等に影響はないものでございます。
参考といたしまして記載しておりますが、令和5年度末の時点におきましてお客様への御説明や訂正処理等の対応が完了していないもの、対応中のものは958件となっており、こちらも年々減少しております。
続きまして、3ページをお願いします。今回、令和5年度分の事務処理誤りを公表するに当たりまして、改めて点検・分析を行った結果でございます。まず(1)年金給付関係の点検・分析結果です。事務処理誤り608件につきまして、一件一件全てを点検・分析の上、必要な再発防止策を実施しているところでございますが、それに加え、年金の種類や支給開始、支給停止の仕組みなども基に典型的な分類を行い、同様の種類の事務処理誤りが3件以上発生していないかの確認をしたところ、これに該当するものはありませんでした。今後も引き続き、事務処理誤りの発生防止に向け、定期的な点検・分析を実施してまいります。
続きまして、②年金給付に係る事務処理誤り等の総点検につきましては、平成29年度に公表いたしました以降、順次対応を進めてきており、本年8月末時点でお客様への対応等を完了したものを集計したものが5ページの表となります。
次に、年金決定時のチェックの実施です。これにつきましては、令和2年4月に専任の部署を設置いたしまして、年金決定直後に決定内容をチェックし、支払い開始前または支払い開始直後に訂正を行う等により、事務処理誤りの予防・早期対応を図っております。
具体的には、令和5年度に事務所において決定した年金約171万件の中から、過去に発生した誤り事例を踏まえ、年金記録が複雑な方、加給年金や振替加算が支給される方、複数の年金の受給権を有し、選択関係の確認が必要な方など、年金事務所等で確認してはおりますが、それでもなお事務処理誤りが生じやすいものの累計26万件につきまして、再度のチェックを行ったところです。このうち244件を検出し、事務処理誤りの予防・早期対応を図ったものでございます。
続きまして、4ページをお願いします。こちらは(2)と(3)になります。令和5年度に発生いたしました国民年金関係の事務処理誤り427件及び厚生年金関係の事務処理誤り140件につきまして、年金給付関係のものと同様、一件一件個別に確認するとともに、同様の種類の事務処理誤りが3件以上発生したものがないか確認したところ、これにも該当するものはありませんでしたが、こちらも、今後も引き続き事務処理誤りの発生防止に向け、定期的な点検分析を実施してまいります。
最後に、お客様の声に関する対応状況です。機構に寄せられたお客様の声1万1145件につきましては、主に機構のサービスに関するものが多く、これについてはサービス改善を図っております。一方で、事務処理誤りの予防・早期発見につながるものはないかという観点で確認を行いましたが、こちらにつきましては御意見はありませんでした。なお、サービス向上や業務改善は行っておりまして、こちらは機構のホームページに掲載してございます。
日本年金機構では、これまで発生・判明いたしました事務処理誤り等につきまして分析等を行い、システム整備をはじめ、事務処理手順の見直し等々の対策を図ってまいりました。これまで事務処理誤りは減少傾向となっておりますが、依然、確認・決定誤りをはじめ事務処理誤りが発生していることから、今後も引き続き、事務処理誤り等の削減または予防・早期発見に努め、お客様に適正に年金をお支払いできるよう努めてまいります。
私からの説明は以上となります。
○松山部会長 御説明どうもありがとうございました。
そうしましたら、ただいまの御説明について何か御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。
特に御意見、御質問等ないでしょうか。
そうしましたら、この件については以上とさせていただきます。本件についても適切な御対応のほどよろしくお願いいたします。
そうしましたら、これをもって本日の議題は全て終了いたしました。
次回の日程については、事務局から御連絡することにいたします。
それでは、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。委員の皆様におかれましては、御多忙の中、どうもありがとうございました。