2024年1月12日  第71回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

日時

令和6年1月12日(金)9:30~11:30

場所

全国都市会館 2階 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2

出席委員

会場出席委員:増田部会長、西村委員
オンライン出席委員:松山部会長代理、小尾委員、片桐委員、齋藤委員、土屋委員、野村委員

議題

  1. (1)日本年金機構の第4期中期目標、第4期中期計画及び令和6年度計画の策定について
  2. (2)その他

議事

議事内容

○石川年金事業運営推進室長 それでは、定刻になりましたので、ただいまより、第71回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 委員の皆様の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、黒田委員、原委員、山口委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 本日もオンライン併用での開催となっております。
 増田部会長、西村委員は会場での御出席、ほかの委員の皆様はオンラインでの御出席となっております。
 また、前回の部会以降、日本年金機構に人事異動がございましたので、御紹介させていただきます。
 日本年金機構理事長の大竹でございます。
 
○大竹日本年金機構理事長 皆様、おはようございます。このたび、日本年金機構の理事長に就任しました大竹でございます。
 水島前理事長からバトンを引き継ぎましたけれども、大変重要な職務を担うということになり、身の引き締まる思いでございます。理事長として、法律に定める業務運営の基本理念に従いまして、年金事務の適正な運営を行うとともに、国民の皆様の年金制度に対する信頼をさらに高めるよう、努力してまいりたいと思っております。
 部会の皆様には、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
○石川年金事業運営推進室長 人事・会計部門担当理事の立田でございます。
 
○立田日本年金機構理事 おはようございます。人事・会計部門担当の立田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○石川年金事業運営推進室長 事業推進部門担当理事の草刈でございます。
 
○草刈日本年金機構理事 事業推進部門担当理事の草刈でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○石川年金事業運営推進室長 年金給付事業部門担当理事の渡辺でございます。
 
○渡辺日本年金機構理事 年金給付事業部門担当理事の渡辺でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○石川年金事業運営推進室長 特命担当理事の安藤でございます。
 
○安藤日本年金機構理事 特命担当理事の安藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○石川年金事業運営推進室長 それでは、議事進行につきましては、増田部会長にお願いしたいと存じます。恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでで退室をお願いいたします。
 
(カメラ退室)
 
○増田部会長 それでは、議事次第に従いまして、議事を進めてまいります。
 なお、議事に先立ちまして、本日の議事の2つ目、「その他」となっておりますが、そこで「業務・システム刷新の実施状況について」を事務局から御説明いただくことにしております。その際、本事項については、本部会に設置されております情報セキュリティ・システム専門委員会において御検討いただいておりますので、委員会の大山委員長からも御出席、御発言をいただきたいと思います。
 それでは、議事の1つ目、「日本年金機構の第4期中期目標、第4期中期計画及び令和6年度計画の策定について」に入りたいと思います。
 現在の第3期の中期目標・中期計画は、本年の3月末でその期間を終了するということでありますので、4月から実施される新たな中期目標、そして、中期計画を策定する必要がございます。
 このうち、中期目標のほうですが、こちらは厚生労働大臣が日本年金機構に対して指示するということになっておりますが、これを定めるに当たりましては社会保障審議会に諮問することとされておりまして、また、中期計画及び年度計画は機構において作成し、厚生労働大臣の認可を受けると決められております。
 そこで、本日は、中期目標・中期計画及び令和6年度の計画について、それぞれの案文を併せて御議論いただきたいと思います。
 今日、各委員の先生方から御意見をいただくということになりますが、その上で必要な修正等を行っていただきまして、中期目標については次回の部会で諮問、そして、併せて答申という形で取り進めていきたいと思います。
 それでは、年金局及び機構からまず説明をしていただきまして、その後、委員の皆様に御議論をいただきたいと思います。
 それでは、どうぞ説明をお願いいたします。
 
○石川年金事業運営推進室長 年金局でございます。
 まず、資料の御説明に入ります前に、先ほど部会長からも御紹介をいただきましたが、日本年金機構法における中期目標、中期計画及び年度計画の位置づけについて簡単に御説明をさせていただきます。
 まず、厚生労働大臣は、3年以上5年以下の期間において日本年金機構が達成すべき業務運営に関する目標として中期目標を定め、これを機構に指示するとともに、公表しなければならないとされております。中期目標の策定については、社会保障審議会に諮問しなければならないとされております。
 また、機構は、中期目標に基づき、当該中期目標を達成するための計画として中期計画を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならないとされています。
 さらに、機構は、毎事業年度、中期計画に基づき、当該事業年度における業務運営に関する計画として年度計画を作成し、当該事業年度の開始前に厚生労働大臣の認可を受けなければならないとされています。中期計画及び年度計画は機構が公表しなければならないとされております。
 続きまして、中期目標の説明に移らせていただきます。
 機構法におきまして、中期目標で定める事項として、中期目標の期間、提供するサービスその他の業務の質の向上に関する事項、業務運営の効率化に関する事項、業務運営における公正性及び透明性の確保その他業務運営に関する重要事項の4つが掲げられています。
 資料1-1として第4期中期目標案の全文を御用意させていただいておりますけれども、これに沿った構成になっておりまして、その構成の下でさらに項目に分けて記載をしているということでございます。
 また、第4期中期目標の期間につきましては、令和6年4月から令和11年3月までの5年間といたしたいと考えております。機構は、長期にわたって継続していく公的年金業務の担い手であることから、まとまった期間として、第3期と同様に5年とさせていただいております。
 本日、中期目標案の関連資料といたしまして、資料1-1として中期目標案の全文、全ての文章編でございます。それから、参考1-3として第4期中期目標案と現行の第3期中期目標の新旧対照表、そして、参考1-1として第4期中期目標案の概要を御用意しております。
 本日は、参考1-1の第4期中期目標案の概要に沿ってその内容を御説明させていただきます。
 それでは、参考1-1「日本年金機構の第4期中期目標(案)について」と題した横長の一枚紙を御覧ください。
 第4期中期目標案の重点目標、重点的に取り組んでいただきたいこととして、大きく4つの柱立てをしております。
 1つ目の柱が「基幹業務の安定的かつ着実な推進」でございます。国民年金保険料納付率の更なる向上への取組として、当該納付率は機構設立後毎年上昇しておりまして、令和4年度に確定する令和2年度分の最終納付率が80%台に到達したところでございますが、引き続き、その維持向上とともに、大都市、若者、外国人を中心に、対象者の分析に基づく納付督励、免除勧奨の取組等の保険料収納対策を実施することが重要と考えております。
 また、被用者保険の適用拡大への実効性ある取組として、制度改正に伴い令和6年10月から被保険者51人以上の事業所に適用拡大がなされますが、対象事業所への周知広報、事業所調査など実効性のある取組を適切に実施することが重要と考えております。
 2つ目の柱が「年金制度改正等の事項に係る円滑かつ着実な対応」でございます。次期年金制度改正に向けた社会保障審議会年金部会の議論における各検討事項や、全世代型社会保障構築会議報告書における適用拡大等の指摘を踏まえた制度改正、あるいは外国人に係る制度改正等について適切に対応していくことが重要と考えております。
 3つ目の柱といたしまして「デジタル化への積極的な対応」でございます。事業所に対する取組として、小規模の事業所等における電子申請の利用を促進するよう工夫していただくとともに、事業所向けの電子送達サービスであるオンライン事業所年金情報サービスについて機能拡充及び利用促進を図り、それから、個人に対する取組として、マイナンバーカード、マイナポータル、「ねんきんネット」の認証連携をベースとしたオンラインサービスの拡充、既にサービスを実施している扶養親族等申告書の電子申請や国民年金保険料控除証明書等の電子送付、また、今後サービスを実施予定の老齢年金請求の電子申請等について、普及啓発を実施していくことが重要と考えております。また、システムの刷新フェーズ2について、年金記録を安全・確実に移行させることを最優先として着実に推進することが重要と考えております。
 4つ目の柱が「女性活躍の促進、働き方改革の推進」でございます。政府の女性管理職比率の成果目標として、2025年度末までに18%という目標を掲げておりますが、機構においても、これを踏まえて適正に目標を定め、女性管理職比率の向上に取り組んでいただくことが重要と考えております。併せて、男性の育児休業取得率の向上ですとか、時間外勤務の縮減、年次有給休暇の取得促進等にも取り組んでいただきたいと考えております。
 この第4期中期目標案を受けて、機構において第4期中期計画案及び令和6年度計画案を作成いただいておりますので、この後、続けて機構より御説明をさせていただきたいと思います。
 中期目標案、中期計画案、年度計画案について本日御意見をいただきまして、2月の年金事業管理部会で再度御議論いただくとともに、その際に中期目標に関して諮問の手続きをさせていただく予定です。
 それでは、続きまして、機構のほうからよろしくお願いいたします。
 
○岡日本年金機構企画調整監 日本年金機構経営企画部の岡でございます。
 続きまして、第4期中期計画案及び令和6年度計画案を御説明申し上げます。
 資料は、右肩の資料1-2と1-3がそれぞれの計画案そのもので、参考1-2がその計画案の概要をまとめた資料でございます。また、参考1-4、少し厚めの資料でございますが、この資料がそれぞれの計画の新旧対照表を並べた4段表のような形になってございます。
 なお、全体構成につきまして、中期目標案と中期計画案、年度計画案の本文の項目がそれぞれ対応してございます。
 本日は時間も限られておりますので、参考1-2の概要の資料で第4期中期計画案のコンセプトと第4期中期計画案、令和6年度計画案の概要を御説明させていただきます。
 それでは、最初に1ページをお願いいたします。
 第4期中期計画案のコンセプトとしまして、第4期中期計画案の前文のエッセンスをまとめたものとなってございます。
 上段ですが、現在の第3期中期計画に基づく取組の総括としまして、第3期中期計画を未来づくり計画と位置づけ、制度を実務とする機関として、現場を中心とした組織体制の確立に向けた組織、ビジネスプロセス、業務の各改革等をベースに基幹業務の実績を着実に積み上げてきたこと。社会のデジタル化の進展を踏まえながら、お客様の利便性、事務の正確性・効率性の向上のため、オンラインビジネスモデルの推進に取り組んだこと。安定的に業務運営を継続するため、男女ともに働きやすい職場とするべく、働き方改革、女性活躍等を推進し、成果を上げてきたこと。こういったことをまとめてございます。
 下段でございますが、第4期中期計画案の考え方でございます。年金制度実務として正確かつ公正に運営をして、正しく確実に年金をお支払いすることで、無年金・低年金を防止するという機構のミッションを引き続き果たしていくために、「制度を実務に」という基本コンセプトの下、絶えざる組織改革・ビジネスプロセス改革などを実行しつつ、第3期の取組を一層進展させ、国民から信頼される効率的で安定した業務運営を行う社会経済インフラとして、お客様の現在、未来を支えていく組織を目指すとまとめてございます。
 続きまして、2ページ目以降の内容についてでございます。
 まず、項目につきましては、今回の中期計画案、年度計画案の記載の順番としてございます。
 また、この枠囲いの一番右の欄、主な施策内容が今回の御説明の中身でございますが、各項目の末尾に緑色の字で中期何ページ、年度何ページという表記がございますが、こちらにつきましては、先ほど御紹介しました資料参考1-4の4段表のページ数を示しておりまして、適宜本文についても御確認いただければと存じます。
 それでは、内容でございます。
 同じ2ページの国民年金の適用促進対策、保険料収納対策の関係でございます。これは先ほど年金局から説明のあった第4期中期目標案の重点項目のうちの1つ目、基幹業務の安定的、着実な推進に対応する項目でございます。
 まず、第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題として、これは前回11月の部会でお諮りをした資料の中で、3期の振り返りをいたしました。その3期の取組を踏まえた今後の課題ということで挙げさせていただいたものをここで再掲という形で抜粋してございます。
 この課題につきましては、最終納付率80%到達を踏まえた数値目標の在り方、増加が見込まれる外国人や納付意識が希薄な岩盤層等への取組等の収納対策、大都市圏の未納者の多い年金事務所について、低調な拠点に対してどのように収納対策を実施するか。キャッシュレス化の動向、被保険者の需要を見据えながらの納めやすい環境づくり及び利用促進、こういったものを課題として挙げさせていただいております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきまして、国民年金保険料の現年度納付率80%台前半、最終納付率は80%台後半を目指すということといたしまして、J-LISから提供される住基情報を基に、20歳到達者、海外からの転入者について速やかに第1号被保険者としての資格取得手続を実施する。大都市圏の未納者の多い年金事務所において、地域の実情を踏まえた対策を実施する。また、若年層への制度周知と早期の収納対策を実施する。外国人につきまして、今後増加が見込まれるところ、市区町村、出入国在留管理庁等と連携をして、効果的な収納対策を実施する。また、年齢、所得、未納月数などの未納者の属性のデータ分析によりまして、地域特性等を考慮した対策、催告状等の送付事務処理の効率化を実施する。また、口座振替、クレジットカード、コンビニ、ネットバンキング、スマホ決済といった納付方法の周知、利用促進。今後のキャッシュレス化の動向を踏まえた納めやすい環境の整備、こういったものを記載させていただいております。
 続きまして、同じ2ページの下段からでございますが、厚生年金保険等の適用促進対策、保険料収納対策の関係でございます。こちらも先ほどの中期目標の重点項目の1つ目の関係でございます。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としまして、適用につきましては、適用調査対象事業所数、残件数が大幅に減少している中での対象事業所の適正な管理、適用に結びつかない事業所への対応、本年令和6年10月の短時間労働者の適用拡大への確実な対応。徴収に関しましては、収納率の着実な回復とさらなる向上、数値目標の在り方、こういったものを課題として挙げております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきまして、適用関係につきましては、適用調査対象事業所の着実な減少としまして、国税源泉徴収義務者情報の活用により把握した適用調査対象事業所に対しまして、文書、来所要請、訪問により適切な加入指導等を実施する。従業員5人以上を雇用している蓋然性が高い事業所の加入指導に最優先で取り組む。従業員数が少ない法人事業所の適用を進める効率的な手法を検討する。
 また、事業所の規模等に応じた事業所調査の着実な実施としまして、本年令和6年10月の適用拡大の施行以後、新たに短時間労働者の適用拡大の対象となった事業所への調査を実施する。また、事業所規模に応じまして、郵送、呼び出し、臨場といった各調査を組み合わせた適正な届出の指導の実施をする。特に被保険者1万人以上の大規模事業所については、本部と年金事務所が共同して調査を実施する。
 また、徴収関係につきましては、徴収実績のさらなる向上としまして、滞納事業所に対する財務状況等を丁寧に確認した上での納付指導、法定猶予制度の適用により、毎年度の収納率について前年度と同等以上の水準を確保する。また、コロナ禍前の最高値でございました99.1%への回復とさらなる向上を目指す。また、現場において公正かつ公平な対応ができる制度と実務に通じた高い専門性を有する徴収職員を育成し、また、研修の充実、実施を行っていくとさせていただいてございます。
 続きまして、3ページの下段でございます。年金給付年金相談の関係です。この点も先ほどの中期目標案の重点目標のうちの最初の1つ目の項目の関連でございます。また、本文では、年金相談については年金給付と別項目となってございますが、今回のこの御説明の便宜上、給付とまとめて御説明をさせていただきます。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としまして、老齢年金の相談・請求件数の増加を踏まえた安定的な相談体制の確保、審査体制の整備、事務処理誤りの審査検証(事後チェック)の検証範囲の在り方、窓口相談のニーズに応じた効率的な窓口体制の確立、簡易な電子申請の対象届書の拡大、窓口サービスの充実に向けたICTの活用、デジタル化等のシステム対応、こういったものを課題として挙げております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきましては、正確な給付の確保のための安定的かつ効率的な窓口体制・審査体制の構築といたしまして、老齢年金の相談・請求件数の増加を踏まえた分かりやすい情報提供、年金給付業務の制度と実務の双方に精通した職員の育成等による安定的、効率的な窓口体制・審査体制の構築により、年金決定の正確性を確保する。各サービススタンダードの達成率90%以上を確保する。また、さらなるお客様サービス向上のための目標設定について検討する。年金の決定内容の事後チェックの着実な実施、検証範囲の拡大の検討、また、業務処理マニュアルの整備や周知・徹底を図る。来所相談予約率90%以上や予約外のお客様に対する待ち時間30分未満の維持のためのサービス向上、また、コールセンター全体及びねんきんダイヤルの応答率70%以上を確保する。
 さらに、年金給付業務のデジタル化といたしまして、簡易な電子申請の対象届書の拡大として、老齢年金請求書、年金受取機関変更届等を実施する。また、電子申請で提出された届出書の画面審査、電子決裁処理のシステム開発を行い、事務処理誤りの防止を推進していくとさせていただいております。
 続きまして、4ページの上段でございます。年金記録の正確な管理と年金記録問題の再発防止の関係です。こちらも先ほどの1つ目の重点目標の関係でございます。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としまして、未統合記録のさらなる解消に向けて、年金記録の確認の呼びかけ及び「ねんきんネット」の持ち主不明記録検索機能の周知などを挙げさせていただいておりまして、これらを踏まえた今後の主な施策としまして、年金記録の確認等の対応として、ねんきん定期便、「ねんきんネット」や持ち主不明記録検索機能等を活用し、年金記録に漏れや誤りがないかの確認を呼びかけるとともに、年金請求時等の記録確認について引き続き徹底をする。また、持ち主不明記録検索機能の周知方法の充実等とさせていただいております。
 続きまして、4ページの下段でございます。分かりやすい情報提供及びサービス改善の促進の関係です。
 第3期の取組を踏まえた今後の課題といたしましては、お客様への情報提供とより分かりやすく利用しやすいホームページの実現の推進。また、各種通知書送付の機会を活用した情報提供、目の不自由なお客様への情報提供等の充実、若年層に対する年金制度の不知による不利益発生を防ぐための年金セミナー等の質の向上、市町村等、各団体との連携、普及・啓発活動の推進、こういったものを課題として挙げさせていただいております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきましては、分かりやすい情報提供及び公的年金制度に対する理解の促進といたしまして、ねんきん定期便の電子化の推進、各種通知書等の工夫や機構ホームページ等への適切な誘導を通じた効果的な情報提供、目の不自由なお客様への情報提供の充実、ねんきん定期便の「お客様へのお知らせ」欄などを使用した電子版への切り換えの周知、各種通知書等への機構ホームページの関連情報の掲載先に簡易に遷移できる二次元コードの付与、点字等を活用した情報提供の拡大。
 年金セミナー等の実施について、実施対象の拡大や受講者に応じた教材を整備し、さらなる質の向上を図る。また、これまで実施した教育機関や企業等での年金セミナー等の実施結果を検証し、内容の充実等に取り組み、参加者の一層の拡大を図る。また、市町村と各団体と連携をして効果的な普及・啓発活動を推進するとしております。
 続きまして5ページ、年金制度改正等への対応の関係でございます。これは先ほどの中期目標案の重点目標のうちの2つ目に対応するものでございます。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としまして、番号法改正による年金振込口座情報の公金受取口座への登録などの円滑かつ着実な実施。次期年金制度改正等につきまして、実務の観点からの意見の適切な反映、制度を適切に実施するための事務処理システム構築についての準備といったものを課題として挙げております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきましては、年金制度改正等の事項に係る円滑かつ着実な対応といたしまして、次期年金制度改正に向けた基礎年金拠出期間の延長など、現在年金部会で行われている御議論や、適用拡大の規模要件撤廃等の全世代型社会保障構築会議報告書における指摘に適切に対応する。また、個人番号、マイナンバーの利用範囲の拡大等、番号法の改正項目や政府のこども未来戦略による国民年金第1号被保険者に係る育児期間免除措置の創設。また、税制改正項目につきまして、事務処理の整備、システム構築等に取り組む。また、外国人の在留資格に係る許可に関する事務等につきまして、情報提供ネットワークシステムを利用した情報照会を可能とするマイナンバーの利用範囲の拡大等への対応。技能実習制度や特定技能制度等の外国人に係る制度改正につきまして、円滑に対応できるように事務処理を検討していく。このように書かせていただいてございます。
 続きまして、6ページの上段でございます。効率的効果的な業務運営(ビジネスプロセス改革)の関係でございます。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としまして、お客様のニーズや社会の変化に柔軟に対応するための対面・電話・ネットといったお客様チャネルの連動、最適化。チャネルの総合的な管理体制の確立。より安定的、効率的な業務運営のための本部、事務センター、年金事務所の果たすべき役割の整理、業務執行体制の構築及び人的資源の配分、こういったものを課題として挙げさせていただいております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきましては、組織・ビジネスプロセス改革として、複雑な年金制度を実務として運用する組織として、より安定的・効率的な業務運営を実現するため、絶えざる改革を実行し、本部、年金センター、事務センター、年金事務所の果たすべき役割、業務執行体制、人的資源配分を不断に見直すといたしまして、本部につきましては、現場の視点に立った組織体制を確保。対面、電話、インターネットの各チャネルを効率的・効果的に連動させるため、総合的に企画・管理する体制を構築する。また、業務量調査に基づき、適正に人員配置を行う。
 年金センター・事務センターにつきましては、年金給付業務の年金事務所と年金センターによる安定的かつ効率的な一貫した執行体制を確立する。事務センターのビジネスモデルの実現に向け、年金事務所の業務のさらなる集約等と人材育成を推進する。
 また、年金事務所につきましては、人口動態の変化等を踏まえて、年金事務所の機能、役割等を不断に見直す。また、国民年金・厚生年金保険の適用・徴収業務に係る業務の効率化や管理職の負担軽減等を図るため、決裁権限の見直し等を行う。また、業務量や対策系業務の規模に応じた適切な定員配分等を行うとさせていただいております。
 続きまして、6ページの下段の外部委託の活用と管理の適正化の関係でございます。
 第3期の取組を踏まえた今後の課題としまして、届書の処理、データ入力、通知書作成業務等の外部委託の活用、業務の効率化の推進、調達・外部委託管理ルールに基づく調達の実施、履行前・履行中検査等の履行管理や履行中に問題が発生した際の組織的な情報共有等の徹底といったものを課題として挙げております。
 これらを踏まえた今後の施策につきましては、年金個人情報を取り扱う外部委託の適正な管理としまして、業務の内容に応じて外部委託を活用し、業務の効率化を引き続き推進する。環境の変化、デジタル化の推進、技術革新の動向を踏まえ、委託業務ごとのリスク対応や管理を引き続き徹底する。委託業務の最終責任者として、外部委託管理を徹底する。外部委託業務における年金個人情報の一層の管理の徹底、業務品質確保を図るため、外部委託管理ルールを着実に実施し、各業務プロセスにおけるリスクに応じた必要な対応を行うとさせていただいております。
 続きまして7ページ、社会保険オンラインシステムの運用・改善・開発の関係でございます。これは、先ほどの第4期中期目標案の重点目標のうち、3つ目のデジタル化への積極的な対応に関するものでございます。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としまして、フェーズ1につきましては、対応システムの高度化の推進。また、フェーズ2について、国内最大級の開発規模が見込まれる本格開発工程を着実に進めるための進捗管理、本格稼働までの体制整備、また、職員のレベルアップや現行システムの実情を踏まえたスムーズな連携。年金給付システムにつきましては、システムの今後の方向性の在り方といったものを課題として挙げさせていただいております。
 これを踏まえた今後の主な施策につきまして、フェーズ1に関して、経過管理・電子決裁システム、電子申請システム等について、引き続き電子申請割合の向上、資格取得届等の処理日数の短縮、主要7届書等の紙届書の減少、事務センター外部委託費の削減といった効果の一層の実現を念頭に置いて、今後、開発等に適切に対応する。
 フェーズ2に関しましては、政府最大級のメインフレームである記録管理システムについてオープン化し、サーバーシステムに転換するとともに、データベースを拠点別・制度別から個人別・事業所別に再構築するプロジェクトとして、国民の年金記録を安全かつ確実に移行させることを最優先に開発を進める。開発工程を確実に実施して、開発の進捗や品質等を適切に管理しながら推進する。体制の整備、職員のITスキル向上策の実施を図る。
 また、年金給付システムに関しまして、年金給付システムの最適化に向けて、サーバーシステム更改時に合わせたシステムの各機能・構成の再編に段階的に取り組む。このように書かせていただいております。
 続きまして8ページ、ICT化の推進の関係でございます。これも先ほどの重点目標のうちの3つ目の関係になります。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としまして、事業者向けオンラインサービスの拡大として、電子申請の利用促進について、事業所の大多数を占める50人以下事業所へのアプローチ、オンライン事業所年金情報サービスで利用可能な情報等の拡大や利用促進。個人向けオンラインサービスの拡大として、「ねんきんネット」について、マイナポータル等の認証連携をベースに、個人のお客様の簡単な年金手続をオンラインで完結できるプラットフォームとしての機能拡充といったものを課題として挙げております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきましては、サービスのオンライン化(利便性向上や手続きの負担軽減のためのオンラインサービス実現の取組)としまして、事業所向けサービスについては、電子申請の一層の利用拡大のために、被保険者50人以下の事業所に対する取組として、機構が提供する届書作成プログラムの改善等による電子申請を利用しやすい環境を整備する。また、GビズID以外に、電子証明書による本人確認でもオンライン事業所年金情報サービスを利用可能とする機能拡充。
 個人向けサービスにつきましては、納付書がなくても「ねんきんネット」から納付可能とするサービスや国民年金保険料免除申請書等及び扶養親族等申告書の簡易な電子申請サービス等につきまして、マイナポータルのお知らせや「ねんきんネット」のメール機能の活用など、様々な機会を捉えて利用勧奨を実施し、前年度以上の電子申請割合を目指すとさせていただいております。
 続きまして、9ページの上段、内部統制システムの有効性確保の関係です。
 第3期の取組を踏まえた今後の課題として、リスクの把握に対する感度、対応のスピードや的確さの高度化、リスク管理体制(三線防御体制)の実効性・効率性の向上。適切な調達方法の選択として、競争性のある契約に関する数値目標の在り方といったものを課題として挙げております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきましては、内部統制システムの有効性及び契約の競争性等の確保としまして、事務リスク、システムリスク、情報セキュリティリスク及び災害その他リスクといった各種リスクに適切に対応し、問題事案発生の未然防止・再発防止を図る。リスク管理の三線防御体制の確立に向けて、第三線の機能について、より実効性・効率性を高めるための方策を検討する。
 調達につきまして、調達委員会の審査を経た調達計画に基づき、年間の調達計画額を定めるとともに、総合評価落札方式を適用するものを除く競争性のある契約につきまして、当該計画額の20%以上を削減することを目指すとさせていただいております。
 続きまして、9ページの下段、個人情報の保護の関係です。
 第3期の取組を踏まえた今後の課題としまして、情報セキュリティを確保した上で、インターネット環境を活用することができるICT基盤の構築、攻撃手法の高度化や外部環境の変化、情報技術の進展等の状況を踏まえた新たな脅威に対するスピード感を持った対応といったものを課題として挙げておりまして、これらを踏まえた今後の主な施策につきまして、情報セキュリティ対策の維持・強化といたしまして、新たな脅威に対する情報セキュリティ対策を継続的に強化するとともに、ICT基盤を再構築することにより業務環境の改善を図る等としております。
 続きまして、10ページ上段、文書管理及び情報公開の関係でございます。
 第3期の取組を踏まえた今後の課題として、年金記録関係文書の新たな文書管理ルールの実施に向けた、原本とする電子データや写しとする紙届書等の保管及び廃棄に係る具体的な運用等を挙げております。
 これらを踏まえた今後の主な施策については、文書管理ルールの見直しの方針を踏まえ、年金記録関係文書について電子データを正本とする文書管理を順次実施するとともに、該当文書の再整理と適切な保存期間の設定、保存期間経過文書の廃棄や倉庫保管文書の保管方法の検討を実施するとさせていただいております。
 次は最後の項目でございます。同じ10ページ下段の人事及び人材育成の関係でございます。これは第4期中期目標案の重点目標の4つ目、女性活躍の促進、働き方改革の推進に対応するものでございます。
 第3期中期計画の取組を踏まえた今後の課題としましては、第5次男女共同参画基本計画における成果目標の達成や、さらなる目標の設定、達成への取組、本部・拠点間の人事異動に係る職員の経済面の負担軽減策の実施。時間外勤務の縮減をさらに進めるための対策、フレックスタイム制等の多様な働き方の検討といったものを挙げております。
 これらを踏まえた今後の主な施策につきましては、女性活躍の促進及び働き方改革としまして、今後の機構事業の安定的運営のためには、女性の一層の定着と活躍が不可欠であるということを踏まえまして、女性管理職比率の令和7年度末に18%達成を目指すということとともに、女性職員の本部、拠点の主要ポストへの配置を拡大する。義務的な全国異動から、組織運営上必要な全国異動への転換、また、経済的な負担の軽減。所定労働時間、育児短時間勤務、子供の看護休暇の要件の見直し。また、男性の育児休業取得につきまして、こども未来戦略を踏まえ、前年度を上回るよう取得促進に取り組む。時間外勤務については、年度ごとに数値目標を設定して縮減に取り組み、令和6年度は月の時間外勤務について、管理職は19時間以内、一般職は11時間以内を目指す。年次有給休暇の取得促進によりまして、1年間の平均取得日数14日以上を持続的に達成する。多様な働き方について、機構における導入の可否を検討する。このようにさせていただいてございます。
 本文の説明は以上でございますけれども、最後に議題外の件で恐縮でございますが、この場をお借りして1件御報告を申し上げます。
 先般、元日に発生いたしました令和6年能登半島地震に関する当機構の状況について、口頭でございますが、御報告をさせていただきます。
 このたびの地震により、七尾年金事務所が所在する石川県七尾市で震度6強、長岡年金事務所が所在する新潟県長岡市で震度6弱を観測してございます。
 七尾年金事務所においては施設の一部に損壊等がございますが、七尾年金事務所、長岡年金事務所を含む被災地域に所在する全ての年金事務所で業務を継続しており、現時点では大きな問題は発生していない。このような状況でございます。
 当機構におきましては、地震により財産に被害を受けた被保険者、事業主の皆様に対する国民年金保険料の免除、厚生年金保険料の納付の猶予等に関する周知、必要な年金給付について遅滞なく対応するなど、厚生労働省とともに引き続き取り組んでまいります。
 説明は以上でございます。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 今、御説明がありましたとおり、目標については厚生労働省のほうで定める。それから、中期計画と年度計画は機構において定めるという形になっております。
 今日の議論を踏まえて、次回もう一度また御意見を賜るということにさせていただきたいと思いますが、今日の段階でただいまいただきました説明について各委員の皆さん方から御意見、御質問等があれば、ぜひお願いしたいと思います。
 画面上で、あるいは「挙手する」ボタンで合図していただければ、こちらから指名いたしますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、どうぞお願いいたします。
 それでは、まず齋藤委員からどうぞ。お願いいたします。
 
○齋藤委員 齋藤でございます。
 まだいろいろ議論していい段階だと思いますので、少しふわっとした話になるかと思うのですけれども、2点あります。
 一点は、今、世間では2030年問題という、ちゃんとした定義がある言葉ではないかもしれないのですけれども、2030年には人口の多くが65歳以上になって、この場としては年金の手続きをする人たちの傾向が変わってくるということが予想されるわけなのですが、そうしたことへの対応というのがきちんと目標の中に反映されているのかどうか確認したいというのが1点目です。
 それから、もう一つはデジタル化のところなのですけれども、目標に掲げていただいていて、個別どういうことをやるのかということが書かれているのは分かりやすくていいと思うのですけれども、これは私、どこかで以前にもお話ししたと思うのですけれども、これだけやればデジタル化が終わるというわけではないと思いますので、目標のところでもう少し抽象的な、デジタル化するとどうなっていくのだということを掲げておいたほうがいいのではないかなと思いました。
 例としては、デジタル庁さんのほうで国の行政手続のオンライン化三原則というのを掲げていらっしゃって、デジタルファースト、ワンスオンリー、コネクテッド・ワンストップの3つを掲げられているわけなのですけれども、これが全てではないかもしれないのですが、また、これを必ず実現しないとデジタル化が終わらないということはないとは思うのですけれども、例えばこういったところを引用して、機構さんで実施しているデジタル化というのが適切なのかどうかということを見直すプロセスが入っていたほうがいいのではないかなと思いましたというので、そういったことをデジタル化への積極的な対応というところの前段ででも少し定義していただいたほうがいいのではないかなというのが2つ目の意見でございます。
 以上です。
 
○増田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、目標についての関係ですので、課長のほうからどうぞお願いいたします。
 
○水野事業管理課長 年金局事業管理課長でございます。
 2点御質問いただいたうち、最初のほうの話でございます。年金受給者の方は基本的に65歳以上の方ということでございまして、その方の人数が増えてくるというところの御指摘でございました。
 私どもとしては、まさにその方たちが主要な対象者でございますので、そういった点を念頭に置きながら業務を進めているわけでございまして、今回の目標におきましても、例えば参考1-1の横長の資料、目標案の概要でございますけれども、下から6行目のところ、デジタル化の中の個人に対する取組の中の3行目でございますけれども、老齢年金請求の電子申請といったところを今年の6月から実施をさせていただくというところはかなり答えに近いのかなと思ってございます。
 これまで年金事務所にお越しいただいて御相談して、もちろんその必要性は今後も引き続きありますし、それも残すわけでございますけれども、一方で、これはさすがに問題がないといいますか、相談するまでもなく請求可能だという方につきましては、電子申請をするということの道を今回切り開くことができておるということでございまして、こういった中で年金事務所の相談をわざわざ経ないということをもちまして、それは御本人様の御負担軽減にもなりますし、年金事務所側の体制のそこまでの拡張が必要ないということとセットなのかなと思ってございます。
 あわせまして、受給者の方ではないということにはなりますけれども、その上のほうの話、同じ参考1-1の中では、被用者保険の適用拡大に伴う年金制度という2つ目の○の最初の項目にもありますけれども、支え手側をどうするのかというところの話につきましても大きな課題ということで、今年10月から実施する適用拡大もありますし、その先についても議論いただいているという状況でございますので、そういったところも含めて、今後の更なる高齢化の中で年金制度を実務も含めて対応するということなのかなということで、我々としてもその点を意識しながら現在業務を進めているところでございます。
 2点目につきまして、概要のほうにそこまで明示的に書いているわけではないでございますけれども、資料1-1の中期目標の文のほうの中で、ICT化、デジタル化の目標ということで、さらなる国民の手続負担の軽減、利便性の向上、正確・迅速かつ効率的な事務処理を実現することということは8ページの中段に書いてございます。大目標としてはそういったところだとは思ってございます。今の御指摘を踏まえて、さらなる記載などをどうするかどうかについては、また考えさせていただきたいと思います。
 私からは以上でございます。
 
○増田部会長 齋藤委員、いかがでございましょうか。
 
○齋藤委員 ありがとうございました。確認は取れたと思いますので、以上で構いません。
 
○増田部会長 それでは、また検討をよろしく。
 何かございますか。
 
○樋口事業企画課長 事業企画課長です。
 齋藤委員の御指摘の1点目でございますけれども、今後の人口要因を踏まえて対応していくことが重要ではないかという御指摘だと思います。御指摘のとおりだと認識しております。
 今回お示しさせていただいている資料で言いますと、中期目標ではないのですけれども、参考資料1-4、年金機構で作っていただいている中期計画の案の資料なのですが、参考1-4の最初に前文というのがあるのですが、めくっていただいてⅲのところを見ていただければと思います。
 読み上げさせていただきますと、ⅲの中期計画の案、資料でいうと左上のところに書かれております。今後の中期目標期間においてどう取り組んでいくかという考え方を記載しているところでありますけれども、日々著しい進展を遂げるデジタル技術の変化などを踏まえつつ、人口減少の加速化、高齢単身世帯の増加に加えまして、増加する外国人への対応などの年金制度を取り巻く社会経済環境の変化に適切に対応していく。そういうことをやりながら各種施策を進めていくということを記載しておりまして、まさに中期目標期間においてこういうことを留意してやっていくのだということを規定させていただいているということでございます。
 以上です。
 
○増田部会長 重ねて厚労省のほうでもそういうお話がございましたので、案文等についてはまたよく御検討いただきたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続きまして野村委員、どうぞ。御発言ください。
 
○野村委員 ありがとうございます。大変御丁寧に御説明いただきまして、よく分かりました。
 その上で、2点ほどだけお話しさせていただきたいのですけれども、一点は今の話にもつながることなのですが、一般の民間の例えば金融機関のことを考えてみますと、これからデジタル化を推進していくといったときには、何となく方向感を決めてそちらに誘導していくということによって、例えばコストを最小化していくということを考えるのです。ところが、今のお話を伺っていますと、人の動きを全部受け止めて、状況の変化に応じてコントロールしていくといういわば受け身の窓口体制と言うのでしょうか。窓口も残る、デジタルもやる、コールセンターも充実させるというような総花的な施策にどうしても落ちてしまう可能性があると思います。これは悪いことではなくて、公のことをやっているわけですから、それでもいいのだというのは一つの考え方ではありますけれども、一つの方向感としてもしデジタルを推進するのだとすれば、例えばデジタルのほうに移行させていくような作戦みたいな計画をもっと明示的に立てたほうがいいのではないかなと思っています。
 例えば大学に入学した学生たちに、たった1回のガイダンス期間中だけでもいいのですけれども、マイナポータルにつながせるとか、あるいは「ねんきんネット」のほうにつなぐという作業を誰かに協力してもらってそれを一回やってもらうだけで、相当程度デジタル化のほうに移行していくことになるわけなのですよね。ですから、例えば入社した人に対するいろいろなガイダンス文書の中に、必ずこの「ねんきんネット」とか、あるいはそれのつなぎ方みたいな資料を入れてもらうとか、とにかく作戦を立てないと、あっちもこっちもみんな使う人がいるから、最後まで窓口は事業を構えてやっていなくてはいけないみたいな感覚というのは、民間的にはあまり考えられにくいところだと思いますので、コストも踏まえて作戦をしっかり明確にしていただいて、できる施策をもっと具体化していっていただくことが必要なのではないかなというのが一点です。
 同じようなことなのですけれども、実は外国人の問題について、これは2つ問題がありまして、これから御案内のとおり、技能実習制度というのが発展的に解消になって、新しい制度に移行していく。新しいものに対する対応というのはどこも必要なのですけれども、既に外国人が抱えている問題というのは、予想外に天引きされるということに対する違和感なのです。例えば市役所でも住民税を取りあえず事業所のほうから徴収してもらうという仕組みに移行していますので、事業所から引かれていますし、それから、健康保険料については、地方税の形で取っているところが多いですから、やはり税金と同じような形で、市役所のものを代わりに事業所で差し引く。それで、例えば年金保険料についても差し引かれるということになると、当初外国から来たときに想定されていた手取りと大分違っているという状況が起こるわけなのです。
 ここが違和感があって、何でそれをやらなくてはいけないのかということが結構トラブルの元になっていたりするということなのですけれども、これは実は送り出し機関のところできちんと説明してもらうことしか方法はなくて、日本に来てから外国人にいろいろ言っても理解してもらうのはなかなか難しいのです。ですから、外国から来てもらうタイミングのところで、日本国全体として日本国の制度についてきちんと説明してもらうという施策を取っていかなくてはいけませんので、そういう意味では、今の技能実習ですと送り出し機関なのですけれども、新しい制度がどうなっていくかはまだ不透明ですが、それらの部分についてオールジャパンで動かなくてはいけない。そうすると、どこかにやはり問題を共有する人たちが一回集まって、それできちんとした施策を日本全体として作っていけるような動きというのが必要ではないかなと思います。
 もう一方は、例えば留学生などの問題なのですけれども、留学生は普通に正規留学生として来ますと、大学とかは必ず制度の説明をしていますので、ガイダンスでほぼ問題なく払うべきものがあるということは分かっていたりするのですけれども、これから入ってくる外国人留学生の中には、専門学校でわーっと入ってきて、実質的にはアルバイトを主として働きに来ている人たちもたくさんいるわけなのです。こういう人たちについては徴収は非常に難しいですので、これをどうやって周知徹底を図っていくのかというのは、いくら年金機構がいろいろな情報をホームページに載せても誰にも伝わりませんので、どうやって伝えていくのかということなどをやはり考える必要がある。
 ですから、今日お話ししていることは2点とも共通しているのですけれども、方向感を決めた後、それを具体的にどうやって実現するかというところについてもうちょっと工夫が必要なような感じがしますので、ぜひその点、具体化していただければと思います。
 ちょっと長くなりまして恐縮です。
 
○増田部会長 どうもありがとうございました。
 それでは、ただいまの点に対して、厚労省の課長と機構のほうからもお願いしたいと思います。
 課長のほうからどうぞ。
 
○水野事業管理課長 年金局事業管理課長でございます。
 まず1点目のほうでございます。御指摘のとおりだとは思ってございます。私ども、社会変化、いろいろな構造の変化の中でどうやって年金行政、年金業務を着実に適切に行っていくかということを任務、職務としている者たちでございまして、その状況の中で対応しながら、適切に実効あるものをやっていくということだと思ってございます。
 デジタル化に関しましても、「ねんきんネット」を特に使いながらというところで、まずは一回試してみてはというようなお話もいただいたところでございます。私どもの中でも、「ねんきんネット」の中のお知らせ機能というものを使いまして、利用者の方々に対しては、こういった制度改正などの周知、利用のスキームの変更みたいなものの御案内は差し上げているところでございます。そういった中で、方向感を持ちながらより適切なものをやっていければとは思っておりますので、そういった方向で考えていきたいという思いがありつつ、やはり一方で、私どもは年金行政の窓口、実際の任務を担っているという者としては、いろいろな国民の方がいらっしゃるという中で、窓口でしっかり丁寧に個別的な御相談を何時間をかけてもやっていくというところも大きな任務の一端だと思ってございますので、それらを含めまして、総合的にどういったところでやっていくのかというのが我々の業務の方向感にはなってございますので、御指摘をいただきながら、いただいた点を頭に置きながら、今後もやり方の工夫なり、より実効的なところを考えていきたいと思ってございます。
 2点目の話でございます。外国人の関係は今回の目標の中にも入れてございまして、今までも大事なポイントでございましたけれども、今後さらに重要なポイントになってくると思ってございます。それの取組、例えば現在でもいろいろな各種パンフレットを十数か国語に外国語訳とかをしているというところでございまして、それは機構のホームページも含めていろいろなところで周知をさせていただいているので、当然ある程度はやっているとは思ってございますけれども、そこからさらにということだと思いますので、その点はしっかりやっていきたいと思ってございます。
 各種制度改正もございまして、外国人対策を政府内で取りまとめているという言い方も変ですけれども、かなり有力なアクターとしての入管庁とのやり取りというのも私どものほうでやってございますので、そういった中で送り出し機関への働きかけというか、やり方も含めてよく相談をできればなと思ってございますし、留学生とかという話、専門学校という話になると、逆にそれは学校さんですし、所管しているのは文部科学省のほうになりますので、そういったところも含めて、厚生労働省、年金局として、霞ヶ関の中の各省庁とのつながりというか、そちらのほうの業務状況も見ながら、連携しながら対応していくということなのかなと思ってございます。
 この御指摘もすぐに十分なお答えができる状況にはないものだと思いますけれども、頭に置きながら、同様でございますけれども、工夫しながら対応できればなと思ってございます。
 私からは以上でございます。
 
○増田部会長 それでは、機構の樽見副理事長、どうぞ。
 
○樽見日本年金機構副理事長 副理事長の樽見でございます。
 先生の御指摘のまさにデジタル化ということに方向感を持って対応していくということについては、私どもも考え方は同じでございまして、デジタル化をすることによってお客様のサービス向上になる。それから、おっしゃったとおり、コストを最小化していくということもそうですが、これは先生が記録問題のときからお世話になって、よく御存じですけれども、お客様に入力していただくということによって間違いも減らせるわけですよね。そういう形で、正確性の確保と効率性の向上、コストの最小化、サービスの向上という点で、デジタル化はいいことでございますので、そういう方向に向かって取り組んでいきたいと思っているわけでございます。
 書きぶりの中でどういうふうにできるかというのは考えさせていただきたいと思いますが、例えば今でも、特に厚生年金の事業主の関係で出していただいていると、電子申請に向けて非常に誘導しているということをやっています。その中で、例えば今まではCD-ROMで出していただいているような方についても、ぜひ電子申請に持っていきたいということでやっていって、そのために、今度は事業主の方に電子申請でいただいた方は電子データでフィードバックするということを去年からやっているわけですけれども、その前はCDをターンアラウンドで返していたということもやっていたのですが、それを今回は廃止しようということで、電子申請に誘導していくということをやろうとか、そうしたこともやっています。
 今、先生から御指摘いただいたようなことを含めて、いろいろ取組をこれからも進めていかなくてはいけないですし、そこをどう書いていくかということについては検討させていただきたいと思います。
 また、今度の期間の中では、お客様チャネルですね。要するに、リアルで電話をかけていただいたり、事務所に相談に来ていただいたり、それから、オンラインでの手続きを取っていただいたり、あるいはオンライン相談に対する需要も非常に高いわけですが、そうしたところをどういうふうに考えて、どういうふうに整理して、今申し上げたようなお客様サービスにもつながり、正確性を確保し、コストを最小化するという観点から、デジタル化をどう進めて、そのときにお客様と機構とのチャネルの関係をどう総合的に考えていったらよいのかと。それを取り組みたいということも入れてございますので、そうしたことと含めて検討していきたいと思います。
 それから、外国人のところについては、まさに厚労省と一緒になって、それから、特にこの辺は外国人の雇用の問題のほうとも関係すると思いますので、これは一緒になって検討させていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
 
○巽年金管理審議官 1つだけすみません。
 外国人の話ですけれども、概要ではあまり詳しく書かれていないのですが、今日の参考資料1-4の第4期の中期計画の1ページ目に、今まで日本人の場合は20歳に到達したときにはJ-LISから情報が入っていたわけなのですけれども、今回、20歳到達者及び海外からの転入者について、要はJ-LISから住民票が登録されたら来るということで、月次で来るようになります。ですから、当然入国とか、あるいは大学に入ったときとか、そういうような普及啓発はどういうやり方があるかというのはありますけれども、仕組み、システムとしてそういうようなことができますので、やはり外国人の適用は日本人よりはかなり難しいところがございまして、そういうところは新しいシステムで捕捉していきたいと思っております。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 野村委員、いかがですか。よろしゅうございますか。
 
○野村委員 結構です。よろしくお願いいたします。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 特に私からも、外国人のボリュームがこれから大変増えるので、できるだけ送り出し国まで遡ってできると大変いいなと思います。ぜひまたいろいろ両者とも御検討をよろしくお願いしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、続いて小尾委員、どうぞ。お願いします。
 
○小尾委員 小尾です。
 御説明ありがとうございました。
 私から、ほかの委員からの御意見にも関係するような話も含めて、2点お聞きしたい点とコメントがあります。
 1点目ですけれども、納付率向上ということで、今年度ですかね。80%まで到達して、今後80%後半を目指すということになっているわけですけれども、今までお聞きした内容の中だけですと、例えば年齢とか地域差というような分類によって要因分析を行っているというような御報告は聞いてきているわけですけれども、そのほか、例えば年収であったり、勤務形態であったり、より詳細な粒度での分析を行ってきているのかというのをお聞きしたいと思います。
 その意図は、例えば80%の後半を目指すということになると、ほぼ個人個人の属性に応じて対応していくというようなことまで考えていかないと、なかなかマスでの対策というのだと不十分な可能性もあるかなと考えていますので、どの程度より細かい粒度での分析というのを行おうとしているのかというのをお聞きしたいというのが1点目です。
 2点目については、先ほどデジタル化に関しての機構の取組ということで、齋藤委員とか野村委員からいろいろなお話が出ているのですけれども、やはり個人とか中小企業の事業所の電子申請を増やすということを考えると、何か明確なインセンティブ、金銭的なことだけではなくて、そのほかの面も含めた何らかのインセンティブというのを提供することが非常に有効になるのではないかと思います。金銭的という意味だと、例えばマイナンバーカードの普及に対してマイナポイントを付与するということで普及率が上がったわけですけれども、なかなか利用率が上がっていないので問題はありますが、そういうような明確なインセンティブですね。そういうものがないと、特に個人とか中小の企業さんに対しては響かない部分が出てくるのかなと思います。それについて考えていることがあるのかというのをお聞きしたいということです。
 その2点です。よろしくお願いします。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 これは機構のほうで。それでは、後ろの方、どうぞ。
 
○岩井日本年金機構理事 1点目の点についてお答え申し上げます。国民年金に関しまして、収納対策でどのような分析をしているかということについてでございます。
 現状を申し上げますと、まずお話がございましたように、年齢については大体6分類としまして、年齢層によりまして納付行動などが変わってまいりますので、その辺を6区分に分けて行っております。
 また、所得は、免除とか納付対象者でありますが、全体で約14分類ほどしまして、これも例えば高所得者の方であれば納付に重点を置いた納付書の送付とか、あるいは低所得者に関しては免除に重点を置いた送付、あるいは電話連絡を行うなど、その辺のマーケティング分析の下に対応を変えております。
 さらに未納月数、これは最大24月まで未納があるのですけれども、新規の未納の方と長期にわたって未納の方では、やはり年金制度に対する考え方とか、あるいは行動も変わりますので、その点についても行動様式、対応方法を変えて取り組んでおります。
 このようなことに加えまして、地域別の対応あるいは拠点別の対応なども加えまして、いわゆるマーケティング分析と申しますか、そういうものを加えて対応を変えているというのが現状でございます。これにつきましては、機構におきましてもさらに精緻化して、また、状況も変わってきておりますので、対応していきたいと考えておりまして、また改めて御報告なども差し上げたいと思います。
 以上でございます。
 
○増田部会長 あと、インセンティブの点、それでは、樽見副理事長、お願いします。
 
○樽見日本年金機構副理事長 デジタル化のインセンティブということで、大事なことだと思いますが、仕組み上、例えばそういうふうにしていただいた方については、お金の点で安くなるとか給付が高くなるとかというのはなかなか難しいところでございますけれども、今、デジタル化で手続きをやっていただいたときに、インセンティブというか明らかに違うのは、とにかく早いということですよね。特に事業主の方は、例えば社員を雇って健康保険の保険証が出るまでの期間というのは、数日かかっていたのが1日以内という形になっていますので、そういうことで、従業員の方のいわば福利厚生みたいな点で言うと、ここは明確に違うというのはあると思います。そういう点を我々の方としてもこれからさらにしっかりと示していくというようなことが、今としてはやっていることということになろうかと思いますけれども、御指摘を踏まえて、どういうことができるかということについてはこれからも考えさせていただきたいと思っています。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 小尾委員、いかがですか。よろしゅうございますか。またさらに御検討いただきたいと思います。
 
○小尾委員 ぜひそこの部分、分析のほうについては今お聞きした内容、さらに付加するいろいろな属性はあると思いますので、そういうのも含めて分析を進めていただければと思います。
 インセンティブについては、やはり金銭的インセンティブはなかなか難しいと思いますので、そこについては情報のやり取りであったり、業務の負担軽減であったり、利用者に対する利便性の向上であったり、そこら辺をうまく訴えていくということが必要だと思いますので、ぜひそこの部分については今後とも引き続きよろしくお願いします。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 それでは、松山部会長代理、どうぞ。お願いいたします。
 
○松山部会長代理 どうもありがとうございます。
 御説明どうもありがとうございました。
 大きな中期目標とか中期計画の方向性については全く違和感はございません。ただ、この目標を達成するために機構が備えるべき体制とか、能力とか、そういったところについてももう少し書いてもいいのかなというのが個人的な感想として思ったというところです。
 端的に申し上げると、やはり今すごく話題になっているデジタル化のところでございまして、今回の中期目標の大きなポイントとしてこのデジタル化への積極的な対応というものがあって、ICT化を推進していくということになったときに、今、世の中は広くシステム対応とかDX対応という形でシステム化というのがどの企業にとっても課題になっている中で、やはりシステム人材というものをいかにちゃんと育成して活用していくか、あるいは集めていくかというところがどこも結構大きな課題になっていると思っております。
 機構についてもそこが課題でないはずはないだろうなと何となく想像しておりまして、ICT化を推進していくと、例えば内部統制システムのところのリスクの判断であっても、結局、システムリスク、情報セキュリティリスク以外に事務リスクというところについてもシステムが関わってくるということになって、システム人材というものについてもっと育成していったり、採用していったり、あるいは中の方たちのリスキリングを進めるとか、そういったところももう少し盛り込んでもいいのかなと感じた次第です。
 あと、先ほど来話題に出ている外国人というところが、次の中期目標で一つ大きなテーマになっているということになると、確かに今回の資料の中に窓口の多言語対応というようなことも書いてあるのですけれども、窓口の多言語対応はパンフレットを翻訳するというだけでできることではなくて、やはり人材育成的な面でも、外国語対応ができる人材を育成していくとか、そういったところも必要になってくるようにも思われ、現在の人材育成のところについて女性活躍のところにすごくターゲットが絞られていて、これももちろん大変重要なテーマだと思うのですけれども、それ以外にもシステム人材と外国人対応ができるようないわゆるグローバル人材というようなところも入れてもいいのかなと感じた次第です。
 以上です。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 今、記述についてのいろいろな御要望がございました。体制、特にシステムの関係もございましたし、それから、外国人については、やはりもう少し窓口での対応等、より具体性のある記述が必要ではないかと。
 それでは、樽見副理事長にお願いします。
 
○樽見日本年金機構副理事長 いろいろ広く関わりますので、私から。
 おっしゃいますとおりに、人材育成は重要でございます。それぞれの項目のところでも何点か人材育成ということが書いてありますけれども、おっしゃるような特にシステム人材の育成、活用あるいは確保といったことも重要だと思っていて、そういうことに向けての取組もやっておりますので、そうしたことをどういうふうに書けるのかということは考えさせていただきたいと思います。
 グローバル人材というところも、ここはどういうふうにやっていくのかということを含めて少し考えないといけないかもしれませんけれども、御指摘を踏まえて検討させていただきたいと思います。
 
○増田部会長 松山部会長代理、さらに書いていただくということでよろしゅうございますか。
 
○松山部会長代理 大丈夫です。よろしくお願いいたします。
 
○増田部会長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 こちらの目標あるいは計画のほうでほかに。
 それでは、会場から西村委員、どうぞ。お願いいたします。
 
○西村委員 御説明ありがとうございました。
 あと、地震の件はそういうことですかということで、皆さん無事ということで安心しております。
 お伺いしたいことは結構皆さんお話しされたので、ちょっと関係しているかもしれないのですが、お願い1点と確認2点ということでお話しさせていただきます。
 お願いというのは、私はまだ消化不良でして、すみません。私だけかもしれないのですが資料を送っていただいたのは9日で、説明いただいたのが10日で、本会の資料が昨日送られてきて、今日の会なので、まだ全部おなかに入っていないということです。前職ではボードメンバーとしていろいろ議論をしておりましたし、会社の中期計画の策定にも関わったということからすると、皆さんの中ではいろいろ議論されているとは思いますが、もう少し頭に入れて考える時間が欲しいなということと、根拠を示していただきたかったなというのがあります。
 根拠というのは、御質問の中でいろいろ出ておりますけれども、例えばこの中期計画の期間中に受給者はどれだけ増えるのですかとか、調べればいいだろうというのは分かるのですけれども、受給者はどれだけ増えるのですかとか、労働者数は何年かでどれだけ減るなんていう話というのはあちこちに出ておりますけれども、それを踏まえると、機構のほうの人員計画というのはどう考えなくてはいけないかとか、そういう辺りは全然こういう文章だけだと入ってこないので、少し根拠を持って御説明いただけるとより理解が深まるかなということで、5年後に向けてどういう絵姿が描かれているかというのが分かりにくいので、もう少しそれを示していただければというのがあります。
 それを踏まえて、先ほど方向感みたいな話とかいろいろ出ていますけれども、こういう根拠を踏まえて、こんなルートはあるけれども、我々はこういう方針で行きますという形で御説明いただけるとすごく分かりやすいのですけれども、どこに行くのか分からないまま読んでいるといろいろ聞きたいことが出てくるという状態ですので、少し説明の仕方は工夫していただければありがたいなと思いました。5年間の方向を決める大事な2回だと思いますので、ぜひお願いします。
 その上で、先ほどのデジタル化等に少し関係するかもしれないのですけれども、このデジタル化の効果みたいなものが、それは振り返りで説明したと言われればそうなのですが、その効果を踏まえて、今後こういうことを考えているというのがどこにあって、僕の頭の中に昔の最適化計画のときの話があるのですけれども、これで何人ぐらい減って、その上で窓口をどう再編すると何が起こるみたいな話とか、それこそ各県の人口動態などは既に数字が出ていると思いますので、そういうことを考えたときに、どこにどんな効果が出るというのと、先ほどの人口とか働き手の話と合わせてどういう絵姿に持っていこうとしているのかなというのがどの辺に書かれるべきものかなと。どう書いているというよりは、どの辺に書かれるべきものなのかなというのが分からないまま読んでいますので、この辺にちゃんと書かれていますのでというところがあれば教えていただければありがたいですし、まだ生煮えですということであれば、次回までに少し御検討いただければありがたいというのが1点目です。
 それから、2点目なのですけれども、デジタル化に関係あるという点なのですが、先ほど外国人とかシステム開発の話がいろいろ出ておりますけれども、この辺は政府全体の話でもあり、例えば外国人などは先ほど労働とのという話もありましたが、外国人の方々とのやり取りというのはいろいろなところでいろいろ悩まれていると思いますので、そういうところとどう連携してどういうことをやっていくのかとか、あるいはデジタル化の工夫なども先ほど齋藤委員のほうからデジ庁のいろいろなお話がありましたけれども、システムの維持管理などは今はやりのAI何かを使ってどうやるというのはいろいろなところで研究されているところでもありますので、この5年間でどう取り組んでいくかと。計画ですので、どうやればいいではなくて、どう取り組んでいくかみたいな話というのが見えてくるといいなと思って聞いておりましたけれども、その辺の取組姿勢というのですか、方向というのがありましたら教えていただければと思います。
 すみません。ちょっと長くなりましたけれども、以上です。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 今の点は、また次回議論する場があるので、それまでにまたいろいろ御用意していただいて、委員のほうに御説明していただくという機会もつくっていただければと思いますし、この場で今御指摘いただいた点についてお答えできる範囲で、少し機構のほうでお答えできますか。
 それでは、樽見副理事長、どうぞ。
 
○樽見日本年金機構副理事長 今、部会長に仕切っていただきましたとおり、次回に向けて資料を整理して、きちんと御説明するように努力したいと思いますけれども、今の例えばデジタル化というところがどこに書かれるべきものなのかということについてだけ、構成からすると、ビジネスプロセス改革でICT化というところをまとめて書いていますので、そこになるという整理だろうとは思っています。ただ、今おっしゃったように、デジタル化ということでどういうことの効果があって、それに基づいてどうするかというようなところについて、特に中期目標・中期計画のほうはもうちょっとふわっと書いてあるので、年度計画なりの中でそこはどういうふうに書いていけるのかという話になるかもしれませんが、ここは次回までに検討したいと思います。
 
○増田部会長 西村委員、追加でどうぞ。
 
○西村委員 一言だけいいですか。
 デジタル化が施策に落ちてしまうとどうかなというところも出てくると思いまして、デジタル化をベースにした組織の在り方とか、あと、この辺はもっと詳しい方がいると思うのですが、昨今の内部統制の改定の議論などのときでは、ITを使った内部統制という議論なども出ているとすると、組織全体として何をしていくかみたいなところになると、必ずしもデジタルICTを使った何とやらというところに限らないのではないかなと思って質問したので、そこら辺も含めて議論いただければと思います。
 
○増田部会長 副理事長、どうぞ。
 
○樽見日本年金機構副理事長 分かりました。よく理解いたしました。それを踏まえて検討させていただきます。
 
○増田部会長 あと、厚労省の課長、どうぞ。
 
○水野事業管理課長 年金局事業管理課長でございます。
 今、委員が冒頭でおっしゃった地震の関係で、冒頭、機構のほうからも説明がありましたように、若干追加させていただきますと、昨日に特定非常災害にも指定されたことも踏まえまして、本日にも既にいくつか報道がされていて、運転免許証の関係ですけれども、その期限が6月30日まで延びるという話に連動するような形で、私どもの現況届、マイナンバーでやられている方はあまり関係ないのですけれども、そういった方々の提出期限自体を6月30日まで延ばすというような対応でありますとか、あるいは厚生年金の保険料の話でございますが、納付の猶予というのは一般的な施策としてございますけれども、猶予の申請をする必要もなく、納付期限自体の設定をなくすというのは国税庁と同じにしておりまして、恐らく今日にでも告示といいますか、公式に発表できるのではないかとは思ってございますけれども、そういったものをやりますと、しばらくの間、納めていただくのは全然いつでも構わないですし、毎月納めていただいたほうが恐らく会社さんにとっては今までと変わらないのでいいのですけれども、厳しい会社さんも当然あると思いますので、そういった方々、そういった事業所に対しては一定期間、熊本地震のときの例で申しますと、ある程度、半年といったレベル感でございますけれども、そういったところの期間が延びますので、それに連動しまして、口座振替もまずは一律的に停止するような措置もさせていただいて、これももちろん毎月払ったほうが確実だという事業者さんは御希望に応じて再開もできますけれども、そういったもろもろのまだ引き続きやっていく部分もあろうかと思いますので、いろいろな形で地震対応は引き続きしていきたいなと思ってございます。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 後ろの方、どうぞ。
 
○和田日本年金機構理事 機構のほうから補足させていただきます。
 外国人の対応については、先ほど来議論がありますように、経常的に対応しなければならない部分と今後の外国人に係る制度改正の対応という二面があるかと思います。特に後者のほうについて申し上げると、中期計画の中では、Ⅰ-9の制度改正のところでその対応について触れさせていただいているところでございます。
 記述については御指摘も踏まえて検討させていただきたいと思いますが、いずれにしても、技能実習制度や特定技能制度といった制度改正については今後行われていくものになりますので、現時点で内容は未確定というか見えないところもございます。ただ、当然外国人の受皿が広がれば、それに見合った業務の見直しというのは必要になってくると認識しております。今後、具体的にどういう制度改正が行われていくかというのはよく注視してまいりたいと思いますし、また、それが我々の年金の実務にどういう影響を与えていくかということもよく注視してまいりたいと考えております。
 先ほど来議論がありますとおり、事務処理や周知に当たっては機構だけでは限界もございますので、当然、厚生労働省、また、入管庁等、関係機関とも連携しながら必要な体制の整備、事務処理の検討を行うという方針で進めてまいりたいと考えております。
 以上です。
 
○増田部会長 それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
 土屋委員、どうぞ。御発言ください。
 
○土屋委員 ありがとうございます。
 西村委員のほうから根拠というお話があったかと思うのですけれども、私も似たような意見というかお願いです。
 お客様へのサービスとか業務運営に関して、社会の変化とか国民のニーズに対応してという形で記載があるかと思うのですけれども、そちらのほうは第3期の中期計画を振り返って今後の課題としているようなのですけれども、実際にこの第3期の5年間で社会の変化とか国民のニーズがどう変わったのかとか、具体的に明示しているところがなかったように思えて、腑に落ちなかった点だったのです。なので、調査をしていらっしゃると思うので、その変化を具体的に明示していただいた上で課題を決定したというような流れの文章にしていただけると、私も含めて国民の皆さんも納得しやすいのかなという印象を受けたので、そちらだけお願いしたいと思います。
 以上です。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
 機構のほうで今の御指摘はよろしゅうございますか。
 
○樽見日本年金機構副理事長 まさに先ほど来御指摘いただいている、例えば人口の関係とか、あるいは世帯構成、単身世帯が非常に増えているとか、そういったことなどもこれに入ってくるということだろうと思いますので、ここは御指摘を踏まえて次回に向けて整理をしたいと思います。
 
○増田部会長 次回までにどうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、目標と計画のほうは、これまでの御指摘を踏まえて、また次回までにいろいろ御準備をしていただくということでよろしくお願いいたします。
 各委員の皆さん方にも、また次回御審議いただくということになりますので、それまでいろいろお考えいただいた上で御指摘を賜ればと思います。
 それでは、続きまして、議事の2つ目ですが、「その他」ですけれども、冒頭申し上げましたように業務・システム刷新の実施状況について審議したいと思います。
 こちらについては、情報セキュリティ・システム専門委員会での議論を踏まえて、事務局からその内容を報告いただきますとともに、大山委員長からも御発言をいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 それでは、まず事務局からよろしくお願いします。
 
○小泉企画官 年金局の小泉です。
 業務・システム刷新の実施状況について御説明させていただきます。
 資料2「業務・システム刷新の実施状況」について御覧ください。
 1ページ目から御説明させていただきます。
 システムの刷新については、令和4年12月の事業管理部会におきまして、刷新プロジェクトの取組状況や進め方について御報告させていただいたところです。
 今般、フェーズ2の本格開発が開始されたことを踏まえまして、刷新の現況について御報告させていただく次第です。
 これまで御報告させていただいている内容もございますが、改めて刷新プロジェクトについて簡単に御説明させていただきます。現在の公的年金業務の基幹システムは、記録管理システム、基礎年金番号管理システム、年金給付システムの3つに大きく分けられますが、このうち、記録管理システム及び基礎年金番号管理システムを刷新し、年金業務システムという新たなシステムを構築するプロジェクトに取り組んでいるところです。
 本プロジェクト開発は段階的に進めることとしておりまして、平成29年より各種届出のデジタル化などによる内部処理の効率化といった対応をフェーズ1として先行稼働させており、順次対象の拡大に取り組んでいるところです。フェーズ2につきましては、年金業務システムの中核部分を構築するデータベースなどの大規模なシステム開発及び現行システムからの移行に着手することとしております。
 真ん中の青い四角囲みの部分ですけれども、フェーズ2の背景となる問題点と取組内容を記載しております。
 1つ目の問題点は年金記録の管理についてですが、年金記録が制度別・年金事務所別での管理となっており、複雑化しているということ。2つ目の問題点は、厚労省、年金機構において発注者主導が十分発揮されていないということ。メインフレームといった事業者の独自性の強いコンピュータが導入されていることや、著作権が開発事業者に帰属しているなど、いわゆるベンダーロックインが生じているという状況にございました。
 これらの問題点に対応するため、年金記録の管理につきましては、データベース構造の見直しを行いまして、個人別の年金記録管理とする。ベンダーロックインの問題につきましては、参入機会を確保した仕組みを整備することとしまして、また、オープンな製品や開発言語とするほか、設計書やプログラムの著作権も国に帰属させるといった内容を実行することとしております。
 現行メインフレームが利用可能となっているのが令和11年末となっていることや、開発期間等を踏まえまして、令和11年1月のシステム稼働を目指しますが、何よりも国民の年金記録を安全かつ確実に移行させることを最優先として対応してまいります。
 これまで開発ベンダーとRFI、技術的対話を重ねた上で調達手続を進めまして、昨年10月までに計4社と契約を締結し、開発がスタートしている状況でございます。そのため、今後は開発を進めるとともに、その管理を行う段階に入ってまいります。
 その管理体制をお示ししたのが次の2ページ目になります。
 管理体制としましては、年金機構が主体となって、マルチベンダーとともに作業進捗状況の把握や問題の検討・対応状況を把握するため、支援業者からの支援も受けながら開発管理をしてまいります。具体的には、機構と各開発ベンダーとの間で毎週進捗会議や課題検討会議、さらにはワーキンググループなどを実施してまいります。
 また、過去に例のない、政府最大級のマルチベンダー開発となりますことから、国内最大級のマルチベンダー開発であった都市銀行のシステム統合に携わったメンバー等から構成される第三者評価事業者を登用しまして、彼らの有する知見や経験を生かして、より多角的にリスクや課題の発見、その対応案の検討のため、本プロジェクトをモニタリングしてもらうという形でおります。彼らと連携しまして、年金局も含めた多層的な監視体制を確保しまして、問題が発生した場合の迅速な情報共有、リカバリー策の導入を進められる体制を整えております。
 これらの多層的なモニタリングを行いつつ、本部会の下に設置されております情報セキュリティ・システム専門委員会に今後約2か月に1度のペースで御報告するとともに、委員会からの御助言を受けていきたいと考えております。
 続きまして、3ページ目です。
 フェーズ2に係る業務・システム刷新プロジェクト検証についてです。
 先ほど御説明させていただきました刷新プロジェクトの目的、進め方などの基本的な方針を明確にし、関係者の共通認識を図ることとして、平成30年12月に業務・システム刷新プロジェクト憲章を策定し、本部会にも御報告させていただいたところです。
 それ以降の本刷新プロジェクトの取組を踏まえまして、令和4年12月にフェーズ2の進め方等について整理し、こちらについても併せて本部会にも御報告させていただいたところです。その部会の際及び情報セキュリティ・システム専門委員会において、フェーズ2本格開発の開始に当たって改めて憲章を策定すべきではないかといった御意見をいただいたことを踏まえまして、今般、フェーズ2に係るプロジェクト憲章を策定いたしました。
 フェーズ2プロジェクト憲章の策定に当たっては、専門委員会のほうにおきまして、既存の憲章を修正する形ではなく、フェーズ2開発における基本的な考えをまとめてスリム化したものを策定すべきではないか、また、詳細で具体的な事項はプロジェクト実施計画書に盛り込んでいくべきではないかといった御意見を踏まえまして、フェーズ2に特化して、フェーズ2の目的や進め方といった中核的な事項の基本的考え方をまとめた形としております。
 あわせまして、憲章を基に、より具体的にフェーズ2開発の進め方や方針などを整理しました実施計画書を策定しまして、この2つを両者一体的なものとしてベンダー等の関係者での認識共有の指針としたいと考えております。
 フェーズ2プロジェクト憲章の全文につきましては、参考資料として資料に入れさせていただいておりますので、お時間のあるときにお目通しいただければと思います。
 説明は以上になります。
 
○増田部会長 それでは、大山委員長、お願いいたします。
 
○大山委員長 ありがとうございます。御無沙汰しております。東工大の大山でございます。
 情報セキュリティ・システム専門委員会のまとめ役として、年金記録システムの運用管理及び刷新に関して一言申し上げたいと思います。
 この意見は、昨年度からこれまでに開催された専門委員会等において、年金機構及び年金局によりなされた本格調達やその後の各種の取組に関する説明を基に、特許庁をはじめとする他の事例等と比較・分析を通して得たものであることをお断りしておきます。
 本プロジェクトは、その開始から今日まで相当の時間を要しました。まずはその理由等について触れたいと思います。これまで発注者である年金機構及び年金局は、安全・確実にプロジェクトを完遂するために、事業者の皆さんの協力を得て、各種課題の解決可能性を検討し、その対応策を模索してきました。本当に苦労しながら、ようやくこの大規模な調達の契約に至ることができました。そして、これまで1社のみとの契約だったところは4社との契約になり、昨年12月にはプロジェクト憲章を内包した全体実施計画書を受注者の皆さんで合意され、本格的な開発作業が開始されました。ここにたどり着くまでに、年金機構さんにおいても大規模なシステム開発に関する経験を持てたことは、極めて重要なことであったと考えております。
 思い返してみますと、社会保険庁時代から私自身はここに関わってまいりましたが、当時は年金記録の安全性を確保しつつ、システムをいかに安くフレキシブルな形でつくるかが大きな課題になっていました。そのため、全面的なシステム刷新を当初は目指していました。他方で、当時から今日まで、他分野を含めた大規模なシステム刷新が行われてきたことから、開発に伴う様々な問題も明らかになってまいりました。年金システムにおいても、これらの事例を踏まえ、想定される課題を総合的に検討してきました。そして、年金記録システムの長期にわたる安全・確実な運用を維持することを最重要要件としてプロジェクト全体の構成を決めてまいりました。今回の契約に至る流れに戻るまでには、様々な検討や議論がありましたが、今になってみると、これでよかったのかなと私自身も思っております。
 また、昨年、本会に参加させていただいた際に、2つコメントをさせていただきました。
 一つは、開発期間中に行われる制度改正対応等による既存システムの改修及び新システムへの要件追加に要する新旧2つのシステムの改修を効率的に行う方法です。同時に2つ手を打たなくてはいけないということになってくるのです。この方法については、年金機構及び年金局により制度改正対策等を視野に入れた新たな取組についてのRFIが進められておりまして、現在事業者との対話が始まっていると聞いております。その成果に期待しているところでございます。
 もう一つは、要件定義の曖昧さやコミュニケーション不足等に起因する問題への対応などについての早急な検討の必要性についてです。先ほど年金局から説明ありましたように、こちらは再委託先を含め、全体で200社を超えるマルチベンダー側の開発体制において相当重厚なコミュニケーションを行うこと、及びそれとは別に発注者側でも開発に携わらない第三の事業者、先ほど説明がありましたが、こちらは最近まで都市銀行のシステム統合に関わってきた事業者の新たな支援を得ることで対応すると伺っております。特に、開発とは別に活動する第三の事業者の経験に裏づけられた各種問題の端緒の早期発見及び実践的な対策の助言等を活用して、専門委員会における具体的な検討を進めていきたいと考えております。いずれも政府機関の中で極めて先行的な取組であると感じており、今後に期待するところでございます。
 まだスタートに立ったところであり、これから技術的な課題が出てくると思います。できる、できないといった大きな判断をしていかなければならないときもあるかと思います。具体的には、例えばシステム性能を担保するためにハードウェア、ソフトウエアの改善をしなければならない場面が考えられます。このような課題に対応するために、発注者と受注者でパートナーシップが取れるようにしていると発注側から聞いておりますが、現実の問題になれば、発注者、受注者それぞれの都合がどうしても優先される場面が現れてまいります。予測される問題に対してしっかりとした解決策を事前に検討するためには、問題の本質を見抜く力が必須でありまして、その上で技術を含めた解決策を考案することが極めて重要と考えます。年金機構のシステム部門の機能強化も検討すべき時期に来ているのではないかと思います。
 今後とも、情報セキュリティ・システム専門委員会としても、できる限りお手伝いしてまいりたいと思っています。より効果的な活動になるよう、今後発現する課題やリスクの本当の原因が何かを発注者側の皆さんとともに見極め、適切な対応につながる助言をしていきたいと思っています。
 以上で私の発言を終わりにいたします。御清聴ありがとうございました。
 
○増田部会長 すっかり御無沙汰しておりました。大山先生、どうもありがとうございました。
 それでは、システムの関係でございますが、今、現状の報告がございましたので、委員のほうからこの点について何か付け加えてございましたら、お願いいたします。
 よろしゅうございますか。
 それでは、今、委員長からもお話がございましたとおり、あるいは事務局からもお話がございましたとおり、かつてないほどの大変大規模なシステム改修でありますし、全く間違いは許されないという大変重要な問題でございますので、フェーズを分けてこれまで着実に取り組んできていただいているということでございますが、また、こういった移行を確実に進めていただきますとともに、今、委員長のほうからも御指摘がありました、いろいろな留意事項等もございますので、特に厚労省と機構のほうにおかれては、体制等も含めて、またよく確実に進めていただければと思いますので、よろしくお願いします。
 また、このシステムの関係については、当部会のほうにも適時、また、節目節目で御報告を賜ればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 どうもありがとうございました。
 それでは、本日用意しております議題は全て終了いたしましたので、部会のほうは閉じさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
 それでは、本日の部会は以上とさせていただきます。
 次回の日程につきましては、事務局のほうから改めて御連絡をさせていただきますので、本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。