2023年11月1日  第70回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

日時

令和5年11月1日(水)9:00~10:30

場所

全国都市会館 2階 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2

出席委員

会場出席委員:増田部会長、西村委員
オンライン出席委員:松山部会長代理、小尾委員、片桐委員、黒田委員、土屋委員、原委員

議題

  1. (1)日本年金機構の第3期中期計画の取組状況等について
  2. (2)その他

議事

議事内容
○石川年金事業運営推進室長 定刻になりましたので、ただいまより、第70回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 委員の皆様の出欠状況について御報告させていただきます。本日は、齋藤委員、野村委員、山口委員から御欠席との御連絡をいただいております。
 また、本日もオンライン併用での開催となっております。
 増田部会長、西村委員は会場での御参加、ほかの委員の皆様はオンラインでの御出席となっております。
 また、原委員におかれましては、所用のため途中で御退席との御連絡をいただいております。
 それでは、議事進行につきましては、増田部会長にお願いいたしたく存じます。恐縮ですが、カメラにつきましてはここまでで御退室をお願いいたします。
(カメラ退室)
○増田部会長 おはようございます。
 それでは、議事次第に従いまして、「日本年金機構の第3期中期計画の取組状況等について」を議題といたします。現在の第3期の中期目標・中期計画の計画期間でありますが、平成31年度から令和5年度までとなっていますので、本年度末までに次の第4期の中期目標・中期計画を新たに策定する必要がございます。
 そこで、本日は第3期の現在の中期計画の取組状況の振り返りを行いますとともに、そこから見えてきた今後の課題につきまして機構から御説明をいただきまして、その上で委員の皆様に御議論をいただくことにしたいと思います。
 そういうことになりますので、資料が機構から提出されておりますので、初めに、機構から御説明をお願いいたします。
○岡日本年金機構企画調整監 日本年金機構経営企画部の岡でございます。日本年金機構の第3期中期計画の取組状況等について、御説明します。
 資料を御用意ください。現在の第3期中期計画の項目の順番で資料を整理してございます。項目ごとに2つ表がございまして、1つ目の表で左側に中期計画の概要、右側に主な取組と成果を記載しておりまして、2つ目の表に取組と成果を踏まえた次期中期計画に向けた課題を記載してございます。
 文量が多うございますので、ポイントを絞って簡潔に御説明させていただきます。恐れ入りますけれども、40分ほどお時間をいただきます。
 それでは、早速始めさせていただきます。
 下の真ん中のページ数で1ページをお願いいたします。国民年金の適用促進対策の関係です。主な取組と成果につきまして、1ページ目の上段、確実な適用としまして、住民基本台帳情報を活用し、20歳到達者の職権適用、未加入者への節目年齢での届出勧奨、職権適用、海外から転入された方などを早期に適用するシステム開発の検討などを行いました。
 下段からですが、無年金及び低年金者への対応としまして、受給資格期間が足りない方への任意加入の勧奨、免除期間を有する方への追納の勧奨等を実施いたしました。
 2ページの最後でございますけれども、外国人の適用対策としまして、法務省出入国在留管理庁から提供される情報を基にした職権適用、多言語で作成したパンフレット等での制度周知を行ったところでございます。
 次に、これらを踏まえた課題につきましては、2ページでございますけれども、在留外国人総数が増加する中、未納・未届を防ぐための外国人への効果的な制度周知、無年金、低年金者防止の観点から、任意加入制度、追納制度等の効果的・効率的な勧奨等を挙げさせていただいてございます。
 続きまして、3ページをお願いいたします。国民年金の保険料収納対策の関係です。取組と成果につきましては、3ページの上段、納付率等の目標の達成としまして、毎年度の行動計画の策定とPDCAサイクルに基づいた取組の徹底、コロナ禍での臨時特例免除等の迅速な勧奨、20歳到達者、若年者等に対する納付督励等の実施、マスマーケティング・行動管理モデルを導入し、本部と年金事務所の一体的な取組を推進したことによりまして、現年度納付率の70%台前半を目指す、また、最終納付率の70%台後半を目指すとの目標については、令和4年度に現年度納付率が76.1%、最終納付率が80.7%と前倒しで達成いたしたところでございます。
 5ページでございますが、納めやすい環境の整備としまして、口座振替とクレジットカード納付の実施率の合計は、これまでに着実に上昇してまいりました。また、コード決済による納付等も開始したところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、5ページでございますけれども、最終納付率80%到達を踏まえた数値目標の在り方、増加が見込まれる外国人や納付意識が希薄な岩盤層等への取組等の収納対策、地域の特性に応じた収納対策、大都市圏の未納者の多い年金事務所について、低調拠点に対しどのように収納対策を実施するか。口座振替、クレジットカード納付実施率向上のための数値目標の在り方、キャッシュレス化の動向、被保険者の需要を見据えながらの納めやすい環境づくり及び利用促進等を挙げさせていただいてございます。
 続きまして、6ページをお願いいたします。厚生年金保険、健康保険等の適用対策の関係です。取組と成果につきましては、6ページの上段ですが、適用調査対象事業所の適用の促進としまして、国税源泉徴収義務者情報等を活用し、加入指導を行いまして、中ほどでございますけれども、平成30年度末から本年8月末までに適用事業所数は約39.5万事業所、被保険者は242万人増加したところでございます。
 7ページの中ほどでございますが、事業所調査の徹底による届出の適正化としまして、臨場、呼出し、郵送等の手法を組み合わせた事業所調査を実施し、令和元年度から本年9月末までに延べ約98万事業所、約3,010万人の調査を実施しまして、新たに12万7,842人の被保険者を適用いたしました。
 また、令和4年10月施行の短時間労働者の適用拡大の対象約5万事業所に対しまして、制度周知を兼ねた事業所調査を実施いたしました。
 8ページの中ほどでございます。外国人につきましては、出入国在留管理庁から提供される情報を基に加入勧奨、適用を行ったところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、8ページでございますが、適用調査対象事業所数、残件数が大幅に減少している中での対象事業所の適正な管理、適用に結びつかない事業所への対応、また、数値目標の在り方、適用事業所の事業主に対する制度周知、届出の指導の効果的な実施、電子データ等を活用した効果的な調査体制・手法の確立、来年令和6年10月の短時間労働者の適用拡大への確実な対応、これまでの事業所調査の実績を踏まえた数値目標の在り方といったものなどを挙げさせていただいてございます。
 続きまして、9ページをお願いいたします。厚生年金保険、健康保険等の保険料徴収対策の関係です。取組と成果につきましては、9ページです。収納率の目標としまして、令和元年度に99.1%を達成いたしましたが、コロナ禍での政策的要請による納付猶予特例で令和2年度の収納率が97%に低下し、その後、猶予特例の満了に伴う法定猶予への切換えに対応し、収納率が改善。令和4年度は前年度と同等以上の水準を確保し、今期も法令上の趣旨に則り適切に履行管理を継続中でございます。
 10ページの中ほどでございます。納付指導及び滞納処分等としまして、令和4年10月に期限までに納付がなかった事業所に対して電話による納付督励を集約して実施するコールセンターを設置したほか、納付が困難な事業所に対して丁寧な納付協議による事業の状況に応じた納付計画の策定、履行管理の徹底、滞納処分につきまして、コロナ禍で令和2年4月に停止し、令和3年4月以降段階的に再開、令和4年度下期より納付協議に応じない事業所等に対して猶予の取消しによる財産調査、差押えを実施しているところでございます。
 10ページの下段ですが、困難事案への対応としまして、本部に設置した特別法人対策部が所管をし、納付指導等を実施したところでございます。
 これらを踏まえた課題につきましては、12ページでございますが、収納率の着実な回復とさらなる向上、数値目標の在り方、本部と年金事務所が一体となった債権管理、徴収体制のさらなる強化、効果的な徴収業務の実施や収納内部事務等の見直しの検討など、制度や実務に精通した職員や債権管理のマネジメントを確実に実施できる管理職の育成などを挙げさせていただいてございます。
 続きまして、13ページをお願いいたします。年金給付の関係です。取組と成果につきまして、13ページの上段ですが、年金給付業務の執行体制の強化としまして、給付の正確性の確保、事務処理体制の効率化等のために、年金事務所及び中央年金センターで事務処理をする体制の再構築に取り組んでおります。
 続きまして、正確な給付の実現としまして、年金決定直後に決定内容をチェックする体制を整備しまして、誤りが生じやすい事例の周知、マニュアルの整備等を実施いたしました。
 14ページの中ほどです。障害年金の事務処理体制の強化としまして、障害認定業務の標準化等のため、複数の認定医が認定に関与する仕組みの導入、コロナ禍での障害状態確認届(診断書)の提出期限の延長等を行ったところでございます。
 15ページの上段でございます。システム化の推進としまして、マイナポータル、「ねんきんネット」を活用し、扶養親族等申告書の簡易な電子申請の開始等を行いました。
 続きまして、お客様サービスの向上としまして、受給資格を有する未請求の方について、70歳を超える方6.1万人に請求勧奨しまして、最終的に5.5万人の方に老齢年金を支給いたしました。
 続いて、下段ですが、サービススタンダードにつきましては、おおむね90%以上を維持いたしたところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、17ページでございますが、給付業務の執行体制につきまして、老齢年金の相談・請求件数の増加を踏まえた安定的な相談体制の確保、審査体制の整備、事務センターに残っている給付関係業務の外部委託化・効率化、集約の仕方、中央年金センターの組織の在り方、また、正確な給付の実現に関して、事務処理誤りの審査検証、事後チェックの対象範囲の在り方、障害年金の事務処理体制の強化に関して、障害年金請求書の受付件数が増加する中での審査認定業務の効率化、年金相談窓口における障害年金の相談対応の充実、給付業務のシステム化の推進などを課題として挙げさせていただいております。
 続きまして、19ページをお願いいたします。年金記録の正確な管理と年金記録問題の再発防止の関係です。取組と成果につきましては、19ページの年金記録の確認等の対応といたしまして、未統合記録の解明を図るため、中ほどの⓵ですが、ねんきん特別便等に未回答の方に確認を呼びかける通知を順次送付、年金事務所等で年金記録を確認するよう促すメッセージのねんきん定期便への記載などによりまして、年金記録の確認の呼びかけをいたしました。
 続いて、⓶の辺りでございますが、年金請求時等の記録の有無の確認の徹底、ねんきん定期便等の内容に漏れ、誤りがないかの確認の呼びかけ、年金請求時のチェックシートによる年金加入記録の漏れ、誤りの確認を徹底いたしました。
 同じページの上の辺りに戻りますけれども、これらの取組等によりまして、未統合記録は令和5年9月現在で約1,726万件となりまして、第3期中期計画の開始から約136万件減少したということでございます。
 20ページの中ほどですが、情報連携の活用と年金記録の正確な管理等の実施としまして、被保険者及び年金受給者の基礎年金番号とマイナンバーの紐付けに取り組みました。紐付け率は令和5年9月現在で99.79%まで上昇しているところでございます。
 これらを踏まえた課題につきましては、21ページでございますけれども、未統合記録のさらなる解消に向け、未統合記録の持ち主の可能性がある方の照会先が判明している記録につきまして、確認の呼びかけをどのように実施するか、通知書や広告媒体を活用した年金記録の確認の呼びかけや「ねんきんネット」の「持ち主不明記録検索機能」の周知方法の充実、年金相談時等における記録確認の徹底、マイナンバーと基礎年金番号のさらなる紐付け、また、正確な紐付けの徹底などを挙げさせていただいてございます。
 続きまして、22ページをお願いいたします。年金相談の関係です。年金相談窓口の整備等といたしまして、年金相談職員の増員等、窓口相談体制の強化を実施いたしました。
 23ページの上段の辺りですが、予約率は97.4%と高水準を維持、来訪者数が最も多い13時台の平均待ち時間が30分以上の拠点というのは、令和元年以降生じていない状況でございます。
 続いて、中ほど、その他のチャネルといたしまして、年金事務所が近隣にない地区に職員等を派遣する出張相談、離島等の遠隔地におけるテレビ電話相談窓口の設置等を行ったところでございます。
 続いて、コールセンターでの相談としまして、25ページの上段です。応答率については70%以上を維持としている目標を達成しているところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、25ページでございます。窓口相談のニーズに応じた効率的な窓口体制の確立、窓口職員のさらなるスキル向上、インターネット予約をより多くのお客様に利用していただくための施策、予約率90%以上を維持しつつ、予約なしのお客様についても待ち時間30分以内を維持するための安定的な環境整備、年金相談のデジタル化の実現、年金相談センターの適正配置等の見直しの検討、予約相談の拡充、機構全体の応答率向上に寄与するようなコールセンター運営体制の見直し、さらなるサービス品質の向上、各ダイヤル別での応答率70%以上の確保といったものを課題として挙げさせていただいております。
 続きまして、27ページをお願いいたします。分かりやすい情報提供及びサービス改善の促進の関係です。ホームページの活用としまして、動画掲載、チャットボットの導入などの機能強化、ホームページに誘導する二次元コードの各種通知等への掲載などの対応を行いまして、アクセス数も増加してきております。
 続きまして、「ねんきんネット」による情報提供としまして、「ねんきんネット」をネットチャネルの中心と位置づけ、利用者の拡大に向けた取組を推進。利用者は令和5年9月末現在で963万人になっているところでございます。
 少し飛びますけれども、30ページの公的年金制度に対する理解の促進としまして、非対面型も含めた年金セミナー、制度説明会を実施してまいりました。
 これらを踏まえた課題につきましては、32ページでございます。複雑な年金制度の分かりやすい情報提供の在り方、そのための体制・サービスの充実、お客様への正確な情報提供と分かりやすく利用しやすいホームページの実現、ねんきん定期便による分かりやすい情報提供、各種通知書送付の機会を活用した情報提供、目の不自由なお客様への情報提供等の充実、年金セミナー等の質の向上、年金委員活動について、やりがいのある活動・活動しやすい環境の構築、関係団体との連携や効果的な普及啓発活動等としております。
 続きまして、33ページをお願いいたします。年金制度改正等への対応の関係です。取組と成果につきまして、第3期中期計画の期間に行われた制度改正としましては、令和元年に施行されました年金生活者支援給付金制度、令和2年に施行されましたオンライン資格確認の導入などを内容とする健康保険法等の改正、令和2年の年金制度改正、令和4年に施行されました育児休業中の保険料の免除要件の見直し等を内容とする健康保険法等改正といったものがございましたけれども、実務を正確に実施するための事務処理・システムの構築、周知広報、必要な人員確保を行いまして、円滑・着実に施行することができたというところでございます。
 次に、これらを踏まえた課題につきましては、35ページでございます。令和5年6月の番号法改正による年金振込口座情報の公金受取口座への登録等につきましての円滑・確実な実施、また、令和7年に予定されております次期年金制度改正等につきまして、実務の観点からの意見の反映、制度の適切な実施のための事務処理・システム構築等の準備等としているところでございます。
 続きまして、36ページをお願いいたします。組織・ビジネスプロセス改革の関係です。まず、本部につきまして、現場への事業推進・支援機能を強化する観点から、事業推進部門と事業企画部門の再編、厚生年金の徴収等について対応が困難な事案に専門的に対応する組織としまして特別法人対策部の設置、地域部の再編、各地域の事業規模に応じた定員の再配分等を実施いたしました。
 また、下段からですけれども、本部現業の業務執行体制、リスクマネジメント体制の確立に向けて特定事業部の設置等を実施いたしました。
 37ページ、事務センターの関係でございます。経過管理システムのシステムチェックの効果を踏まえて職種ごとの役割を整理し、新たに事務センター専任職員を設置、正規職員がマネジメントを行い、事務センター専任職員が審査業務の中心を担う体制を構築したことで、正規職員の年金事務所等へのシフトなどを実施いたしました。
 また、フェーズ1の効果を実現するため、国民年金保険料免除申請書等の経過管理システム対象届書への追加などによる添付書類の省略化等の取組により、繁忙期における資格取得届、被扶養者異動届の平均処理日数を大幅に短縮するとともに、紙届書の減少に伴い、委託費も削減いたしました。
 これらを踏まえた課題につきまして、40ページでございます。お客様のニーズや社会の変化に柔軟に対応するための対面・電話・ネットといったお客様チャネルの連動・最適化、チャネルの総合的な管理体制の確立、より安定的・効率的な業務運営のための本部、事務センター、年金事務所の果たすべき役割の整理、業務執行体制の構築及び人的資源の配分、拠点が基幹業務に注力し、機構全体として安定的に事業実績を維持・向上させるための本部の役割、組織体系の在り方、事務センターの規模に応じた処理方法の具体化、届書の電子化等を見据えた事務処理体制、事務センターの在り方の検討などについて挙げさせていただいてございます。
 続きまして、少し飛びますけれども、46ページをお願いいたします。外部委託の活用と管理の適正化の関係です。上段の辺りですが、外部委託の活用としまして、届書の処理、データ入力、通知書作成業務等につきまして、外部委託の活用業務の効率化を推進いたしました。
 また、中ほど、外部委託の適正な管理としまして、年金個人情報等を取り扱う業務委託について、実施要領に基づき、全省庁統一資格の本来等級以上の適用、インハウス型委託の実施、総合評価落札方式の適用等の取組を継続して実施いたしました。
 また、履行開始前、履行中、納品時、履行後の各検査を行い、その実施状況をリスク管理委員会に報告し、本部内に情報共有を行いました。
 47ページの中ほど、優良な受託事業者の確保としまして、RFI協力企業の拡充、RFIの結果の組織内での共有・活用、複数年契約の活用の推進等に取り組んだところでございます。
 下段ですが、調達に精通した人材の確保・育成としまして、定期的な内部研修、外部研修の受講やOJTを通じた実務の習熟度の向上に努めたところでございます。
 これらを踏まえた課題につきましては、48ページでございますが、届書の処理、データ入力、通知書作成業務等の外部委託の活用、業務の効率化を推進、調達・外部委託管理ルールに基づく調達の実施、履行前・履行中検査等の履行管理や履行中に問題が発生した際の組織的な情報共有等の徹底、業界動向の把握や優良な受託事業者の確保、調達分野を専門とする人材の育成などを挙げさせていただいております。
 続きまして、49ページをお願いいたします。社会保険オンラインシステムの運用・改善・開発の関係です。取組と成果につきましては、49ページ上段です。フェーズ1への対応としまして、経過管理・電子決裁サブシステム等を稼働、国民年金保険料免除申請書、算定基礎届、賞与支払届等の画像化・データ化処理を順次追加し、届書受付件数の98%までデジタルワークフローを拡大したほか、年金裁定時等のマイナンバーによる他機関との情報連携の開発を進めたところでございます。
 中ほどですが、フェーズ2への対応としまして、準備行為を実施した上で、RFI手続の下で多くの事業者と技術的対話を実施、情報セキュリティ・システム専門委員会、また、年金事業管理部会本体にも御報告を申し上げ、調達手続を進め、令和5年度に本格開発に着手したところでございます。
 50ページの下半分ですが、現行システムへの対応としましては、年金制度改正に伴う各種開発、業務改善事項としての障害年金業務支援システム等の開発・構築、システム事故等への対応として初動対応の実施、再発防止の徹底に取り組みました。
 51ページですが、年金給付システムへの対応として、年金給付システムの給付画面のウェブ化等を実施したほか、年金給付システムの最適化に向けて届書を契機とした事務処理の可視化や分析、設計書等の資産及びプログラム稼働状況等やインシデントの分析についての検討を行ったところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、51ページからでございますけれども、フェーズ1については、フェーズ1対応システムの高度化、マイナンバーによる情報連携範囲が拡充された場合の対応、フェーズ1の効果の定量的把握、フェーズ2につきましては、国内最大級の開発規模が見込まれる本格開発工程を着実に進めるための進捗管理、フェーズ2本格稼働までの体制整備及び職員のレベルアップ、現行システムの実情を踏まえたスムーズな連携、現行システムへの対応につきましては、フェーズ2本格稼働までの間の着実な維持・運用、フェーズ2への完全かつ確実な移行の実現、また、年金給付システムへの対応につきまして、裁定等業務の効果的かつ正確な事務処理の実現に向けたシステムの今後の方向性の在り方などを挙げさせていただいてございます。
 続きまして、53ページでございます。ICT化の推進の関係です。取組と成果につきまして、電子申請の推進としまして、資本金1億円超事業所の電子申請による届出の義務化に対応しました経過管理システムの処理環境の構築、小規模の新規適用事業所への個別勧奨の実施、事業所全体に送付する納入告知書へのリーフレットの同封等に取り組みまして、54ページの上段の辺りですが、資本金1億円超の事業所は93.8%となりまして、ほぼ全てが電子申請を利用、被保険者51人以上事業所は80.2%と大幅に向上し、資本金1億円超の事業所と合わせると82.8%まで上昇したところでございます。被保険者数の多い事業所を中心に電子申請の利用促進に取り組んだ結果、主要7届書につきましては、令和元年度の23.9%から69.5%まで大幅に上昇したところでございます。
 続きまして、中小規模事業所等の推進を念頭に、マイナポータル経由、e-Gov経由のGビズIDによる電子申請対応を開始いたしたところでございます。
 また、保険料額情報等について、e-Govの電子送達サービスを活用して電子的に情報提供するオンライン事業所年金情報サービスを開始いたしました。
 54ページの下段からですが、インターネットを活用した利便性の向上等としまして、スマホでの簡易なマイナポータルと「ねんきんネット」の認証連携機能の改善、国民年金保険料のキャッシュレス納付サービスの開始など、納付、免除、申請、送付の各場面でのオンラインサービスを構築・展開いたしました。
 これらを踏まえた課題につきましては、57ページからでございますけれども、事業所・個人に対するオンラインサービスの拡充等、お客様接点のデジタル化の拡大や機構の事務処理の効率化、事業所・個人向けサービスにおける数値目標の在り方、事業所向けオンラインサービスの拡大につきましては、電子申請の利用促進について、50人以下事業所へのアプローチ、オンライン事業所年金情報サービスで利用可能な情報等の拡大や利用促進、照会機能の実装、個人向けオンラインサービスの拡大につきましては、「ねんきんネット」について、マイナポータルとの認証連携をベースに個人のお客様の簡単な年金手続をオンラインで完結できるプラットフォームとしての機能拡充、利用促進、また、事務処理の効率化の推進の関係やマイナンバーの活用の関係についても反映させていただいてございます。
 59ページをお願いいたします。事務処理の正確性の確保の関係です。取組の成果につきましてですけれども、内部統制のシステムの有効性確保としまして、リスク管理の強化を目的とした三線防御体制の確立に向け、第三線として監査部等の体制を整理したほか、処理遅延リスクを早期に把握する仕組みを構築、第二線としてリスク管理を行う機能をリスク統括部に統合するなどの整理を行ったところです。
 続いて、事務処理誤りの早期発見及び対応としまして、日報や事務処理誤り報告等の日々のモニタリングを通じた早期発見等の取組を推進しつつ、また、月次や年次でも公表をしたところでございます。
 続きまして、60ページの下の辺りですが、本部現業部門のリスク把握に基づく対応としまして、本部現業の実態調査、業務工程単位でリスク分析・評価を実施、本部現業の品質・リスク管理の体制整備等を行ったところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、62ページでございますが、リスクの把握に対する感度、対応のスピード・的確さの高度化、リスク管理体制(三線防御体制)の実効性・効率性の向上、日報や事務処理誤り報告書等によるモニタリング、年次点検の定例的な分析等によるリスクの特定、事務処理誤りの未然防止などを挙げさせていただいてございます。
 63ページをお願いいたします。リスク管理とコンプライアンス確保の取組の関係です。取組と成果につきまして、リスク管理としまして、事務リスク、信頼リスクへの対応について、拠点長からの日次報告に係るモニタリング等により早期発見・共有を実施、また、事務処理誤りの年次公表に合わせて点検・分析を行い、リスク管理委員会へ報告するとともに、拠点に周知をいたしました。また、発生状況等の各種指標を用いたモニタリングにより、リスクの高い拠点を把握し、注意喚起を実施いたしたところでございます。
 また、64ページの上段の辺りですが、災害その他リスクにつきまして、機構本部が被災した場合に備えた年金支払システムのバックアップ機能や人員面等を含めた体制の構築等を行ったところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、65ページですけれども、リスク管理として制度を正確に運用するために、システム対応の促進と職員対応の正確性確保の一層の高度化、事業のモニタリングの高度化、システムの安全性・安定性確保のための施策の検討・推進、コンプライアンス上のリスクが高いと認められる拠点等の把握、コンプライアンス問題事案を未然に防止する取組の強化等としてございます。
 続きまして、66ページをお願いいたします。適正な監査の実施の関係です。取組と成果につきましては、上段の辺りですが、監査体制の確立としまして、監査部の人員体制の強化、金融機関等での監査業務経験者や専門資格保有者の採用、内部・外部研修等を実施いたしました。
 下段からですけれども、監査手法の確立として、業務検査の検出事項を点数化して評価し、拠点の格付に反映することとしまして、検出事項に対する改善対応等によりルールが浸透してきたということがございまして、評価結果は向上してきている状況でございます。
 これらを踏まえた課題につきましては、68ページでございます。監査体制の確立につきましては、三線防御体制における第3線としての機能強化、監査部職員の監査の専門知識に加えて各業務の実務知識の向上、システム監査、会計監査の専門知識を有した者の登用、また、外部専門家の知見の活用、実践的な研修コンテンツの開発や研修の実施による監査部職員の育成、監査手法の確立につきましては、変動するリスクに対し機動的に監査を実施する監査の適時性の確保などを課題として挙げさせていただいております。
 続きまして、72ページをお願いいたします。個人情報の保護の関係です。取組と成果です。72ページの冒頭部分でございますが、平成27年の不正アクセス事案に対し出された機構に対する勧告への対応といたしまして、内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)のマネジメント監査が毎年行われ、継続的に評価されてまいりましたが、改善状況を踏まえて、令和2年度に勧告に基づく監査は終了し、2年に1度の通常の監査サイクルに復帰いたしたところでございます。また、令和4年度には一定の対応がグッドプラクティスとして評価されたということもございました。
 中ほどでございます。組織面の対策としまして、情報管理対策本部を定期的に開催し、対策の継続強化を推進いたしました。
 下段から次のページにかけてですが、技術面の対策として、外部専門家によるリスク評価・分析、脆弱性診断、ペネトレーションテストを実施したところでございます。
 73ページの下段ですが、業務運営面の対策として、情報セキュリティや個人情報保護等に対する研修、実践的訓練等を実施いたしたところでございます。
 これらを踏まえた課題につきまして、74ページです。情報管理対策本部を中心とした情報セキュリティに係るマネジメントサイクルの緊張感を維持した運営、インターネット環境を活用することができる情報セキュリティを確保したICT基盤の構築、攻撃手法の高度化や外部環境の変化、情報技術の進展等の状況を踏まえた新たな脅威に対するスピード感を持った対応などを挙げさせていただいております。
 続きまして、77ページをお願いいたします。上段からですけれども、人事及び人材の育成の関係です。人事方針、人材登用としまして、お客様との接点である現場を重視する観点から、資格と職責の配分見直しを継続的に実施いたしました。
 中ほどですが、全国異動について、約8割の正規職員が経験し、組織の一体化等は実現した一方で、新卒採用の内定辞退の要因となっているほか、生活・経済面での配慮が必要であることから、全国異動の頻度等を示した再生プロジェクトのルールについては廃止、また、義務的な全国異動から組織運営上必要な全国異動への転換、職員への負担、本部業務の特殊性を踏まえた手当の制度化の検討について整理をいたしました。先般の年金事業管理部会で御審議をいただいた方向で進めてまいります。
 79ページ、女性の活躍の推進につきまして、女性職員を対象としたキャリアアップ研修等による管理職登用試験の応募者の拡大や人事部の体制強化等に取り組みました。女性管理職比率が16.4%となり、目標の前倒し達成を実現することができたところでございます。
 80ページの上段です。女性が能力を発揮する上で障壁となっている制度・習慣、女性だからと考えている前提がないか等を掘り起こし、改善を図るために全拠点参加型のキャンペーンを実施、職員から1,700件を超える意見の提出があり、順次必要な見直しに取り組んでいるところでございます。
 81ページ、人材の育成としまして、階層別研修、業務別研修について、研修体系の見直しやカリキュラムの充実を実施したほか、高い専門性が求められる分野について、専門研修や外部講師等による最新の動向を踏まえた研修の実施等に取り組みました。
 82ページ、働きやすい職場環境の確立としまして、中ほどの表の下辺りでございますが、既に役割を終えている業務やデジタル化により効率性・正確性の向上が図られる業務を洗い出す全拠点参加型のキャンペーンを実施いたしまして、拠点からの提案に基づき抜本的な業務の見直しを実施しているところでございます。
 83ページの下の辺りでございます。仕事と生活の両立につきまして、休暇制度の見直し・新設等、子育てのための短時間勤務、子の看護休暇、全国異動への配慮等の要件緩和を実施したほか、所定労働時間、始業時刻の見直しについて方向性を整理いたしました。
 これらを踏まえた課題につきまして、84ページからでございますが、人事方針、人材登用につきまして、組織の活性化、職員のやりがいに応えるための人事制度の在り方、本部・拠点間の人事異動に係る職員の経済面の負担軽減策、早期に専門性を高めるためのキャリアパスの見直し、無期転換職員、有期雇用職員のスキルアップと定着・処遇の改善、国家公務員の定年延長制度の状況や機構の従来の対応を踏まえた仕組みの在り方、第5次男女共同参画基本計画の成果目標の達成、さらなる目標の設定と達成、また、このほか、優秀な人材の確保についてや人材の育成について、また、働きやすい職場環境の確立についても課題として挙げさせていただいているところでございます。
 駆け足になりましたけれども、説明は以上でございます。
○増田部会長 ありがとうございました。
 冒頭申し上げましたとおり、今日、機構のほうで整理をしていただきましたのは、現在の中期目標・中期計画の第3期ですけれども、これの取組状況と、特に次の中計に向けての課題を整理して、今、そこを中心にお話をしていただきました。年度末、来年の3月までに第4期の次の中計を策定することになっておりますので、今日、ここで機構が示された課題についての方向感や問題認識などについて、特に御覧いただきまして御意見や質問を各委員の皆様方からいただければ幸いでございます。
 それでは、これから各委員の皆様方から御意見、御質問があれば、お願いしたいと思いますので、画面のほうで合図していただければ私から指名しますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは会場に西村委員がおいでになっていますので、まず西村委員からどうぞお願いします。
○西村委員 御説明ありがとうございます。
 中計の期間中に非常にたくさんの成果が得られたというか、ものすごく改善されたということをすごく感じておりますので、それは非常にすばらしいことだと思います。その上でということで、いくつか意見を申し上げさせていただきます。
 もっぱらバックオフィス系でもないか、いくつかの点で、年齢層とか、例えば御老人ですと耳が遠いという辺りを踏まえた業務改善というのが、身近な話を申し上げると、自分の親などを見るとITは全く駄目なわけですよ。なので、インターネット予約といっても、たまに帰ったときに僕がするかという話になるわけですが、耳が遠いので、自分で電話をしろと言ってもなかなか辛いとなると、じゃあどうするのだという話が出てきます。インターネット予約だけで考えても、例えば予約をされている人たちの年齢層はどうなのかなとか、「ねんきんネット」を使っている方々の年齢層などを踏まえたときに、どういう方々が使っている、あるいはいろいろな通知をされているわけですけれども、また身近な話で恐縮ですが、自分の子供たちはもう社会人ですけれども、はがきなんて開いて見ないわけですね。開いて見ているかと聞くといやと言って、ちょっと見てみろみたいな話になるわけなのですけれども、そういう辺りは数字としては非常にいい数字になっているのですけれども、そこをさらに上げていくためにはもう少し細かい分析が要るのではないかなということを少し感じております。
 委員の皆さんや増田部会長はお分かりだと思うのですが、民間だとそこら辺は層別などの特徴別に少し分類をして、どういう施策が効き目があるかというところを世の中ではやっているということは御承知だと思うのですが、逆に今回の御報告を聞くと、そこら辺の分析がよく分からない。まるっとよくなりましたというところなのですけれども、どういう人たちに何が届いていないかというのが、分析はされているかもしれないのですが、御報告としてはちょっと分からないところがありますので、そういうところを少し出していただけると、いろいろ助言差し上げられるところなどもあると思うので、少しその辺を分析していただけると、逆に今後どういう施策を打つべきだとか、KPIをどうすべきだという辺りを助言差し上げることができるのかなと思っております。これが大きな意見です。
 ついでに、さっきバックオフィスと申し上げたのは少し気になるところがありまして、今回でなくてもいいので、もし分かったら教えていただきたいのですが、この1年ぐらいでインフレが結構響いておるというのと、こちらはどちらかというとコストの面で、それというのは機構のコストにどのぐらい跳ねるような感応度があるのかというのがちょっと分からないので、その辺の分析がされているかというのが分かれば教えていただきたいというところと、逆にこれは非常に難しいところだとは思うのですが、その結果として、職員さんの生活にどのぐらい跳ねているかというのは、どちらかというと人事部門のことだと思うのですけれども、もしそういう辺りというのが気になるような兆候があれば、どういう対策を打っているのかなということを含めて、今回でなくていいので教えていただければ、何か助言差し上げられることもあるかなと思って聞いておりましたので、機会があったら教えていただきたいと思います。
 以上です。
○増田部会長 ありがとうございました。
 今の関係ですけれども、何か対象者の人たちのより細かな分析等々がなされていれば、その辺りについてこの場でお話しできることがあれば、お願いしたいと思います。
 2点目のインフレがどういうふうにコスト増に繋がっているか、また、光熱費等々で何かあるのだろうと思いますが、それはまた別途資料でも提出していただければ結構だと思います。
 前半のほうで何かございますか。
 それでは、理事長さん、どうぞお願いします。
○水島日本年金機構理事長 まず、国民年金等に関しましては、年齢層、所得層で分析をして、それぞれのセグメントに応じて対策を立てているということについては御説明してきているとおりであります。
 予約に関して、予約、あるいはそれぞれのお客様が私どもにアクセスしていらっしゃるときにどのように対応していくかということについては、基本的にはお客様の声を反映して、現場でいろいろな声をいただいておりますので、毎日日報や報告の中で吸収をして対応してきているつもりでございますが、御指摘のとおり、より精緻にしていく必要があると考えておりますので、さらに努力をしていきたいと思っております。
 それから2点目でございますが、基本的には、まず給与に関しましては人事院勧告に従ってやっておりますということです。コストに関しましては、毎年度の予算編成時にそれぞれの市場動向を踏まえて、ヒアリングを行った上で予算編成を行っておりますので、インフレの状況などに関しては織り込んでやっておりますが、基本的には事務費に関しましては増加をさせていないということでございます。
○増田部会長 西村委員、よろしゅうございますか。
○西村委員 コストのところについては、日常活動に影響が出ていなければという趣旨ですので、今のお答えでよろしいかと思います。
○増田部会長 分かりました。ありがとうございます。
○西村委員 1点目については、詳細なところはぜひやっていただければと思います。よろしくお願いします。
○増田部会長 よく企業でお客様満足推進部など、いろいろございます。今、理事長のお話にあったように、いろいろなお客様の声をそこでキャッチして、それできめ細かく対応されているのだろうと思います。また機構のほうでもそれにさらに努めていただければと思います。
 それでは、初めに松山部会長代理、続きまして黒田委員の順番で行きたいと思います。松山部会長代理、どうぞ御発言ください。
○松山部会長代理 どうもありがとうございます。
 御説明どうもありがとうございました。質問というよりも、いただいた説明を受けての印象というか、感想というものなので、参考にしていただければというだけなのですけれども、次期の中期計画に向けての課題ということなので、長期的な目線で取り組むべきことというのを挙げていくことになるのだろうなと理解しております。こちらの部会に参加させていただいてから、機構のほうでは本当に日々努力をされて、いろいろな収納率などの数値目標みたいなところはこれ以上上げようがないぐらいまで上げていただいている部分もありますし、こういった作業というのはこの先は上げていくというよりも維持をしていくという段階なのだろうなと思うのですけれども、機構の方の人海戦術というか、努力によってこのパーセントを維持している部分が結構あるような気がいたしまして、いかにシステムを効率化していくかということを考えなければいけない。
 そのときに、機構の努力だけではなくて、使えるものを使うという意味では、この部会でも何度もお話が出ているシステム化による業務効率というのは当然一つの大きな方向性として、このシステム化というところをこの先5年間でいかに時代に合わせて進めていくかということが一番大きなポイントになるのかなと思っております。これは事前説明のときにも申し上げたとおりです。
 もう一点感じているのが、機構だけの努力というよりも、国民全体の年金制度に対する理解というものを上げていかないと、結局相談といってどんどこどんどこ来てしまっても、もう少し年金というものについて国民が自分のこととしてきちんと理解して、自分のことは自分で手続きができるような最低限の知識というものを若い段階からつけていくという作業をしていかないと、機構の事務作業がいつまで経っても減っていかないので、中にありますけれども、お客様サービスの向上のところである年金セミナーみたいな、質を高めていくかという課題を挙げていただいているのですが、いろいろなところで公的機関でやっているセミナーみたいなものではなくて、もっと学生の段階から、世の中に出る上での最低限の知識の一つみたいな形で年金制度というものの理解を高めていかないといけない。そういう国民に対する啓蒙活動みたいなものというのは、やって1~2年で効果が出るものではないので、中期計画のような中長期的な視点のときにもう少し強く打ち出してやっていってはどうかなと思っていて、教育や啓蒙のところをもう少し、これは機構だけではなくて国全体で取り組むべき話かもしれませんけれども、それをやったほうがいいのではないかなと感じているところです。
 あとは、今年度中にこの計画を立てるに当たってということで資料を拝見していたのですが、機構の資料は全部の項目が網羅的に書いてあるので、どこが一番重要なのかというところがすごく分かりにくいなというのはずっと以前から感じているところなのですが、その中で、例えば今回の計画の中でリスク管理というところでいろいろな観点からのいろいろな項目で重点リスク項目というのを挙げていただいていると思うのですが、今、結構世の中で企業がよく使っているリスクマップというもので、すごく大くくりに高いリスクなのか低いリスクなのか、発生頻度と、それからそのリスクを機構としてコントロールできているのかいないのかというコントロールの強弱みたいなものをつけてリスクマップを作るというのは、金融機関などはすごく昔からやっていますし、どこの企業もやっていると思うのですけれども、今現在、機構が我が組織においてどこが一番リスクが高くて、どこが結構コントロールできているのだけれども、どこが弱いなと感じていらっしゃるかというのを何かの形で、すごく簡単なリスクマップで結構なのですけれども、御提示いただけると、部会の委員としても非常にこの中期計画を議論する上で参考になるのではないかなと思ったので、もしそういうもので参考になるものが機構内部に既におありになるようでしたら、どこかのタイミングで共有していただけるとありがたいなと思っております。
 以上でございます。
○増田部会長 松山部会長代理、ありがとうございました。主にコメントでございましたけれども、3点ございましたので、それでは、まず理事長さんからお願いします。
○水島日本年金機構理事長 まず、システム化に関しましては、内部事務のシステム化はかなり進めてきておりますが、まだ紙が多いというところがございまして、その紙のところの効率化がネックだということは事実でございます。これに関しましては、おっしゃるとおり事業所、あるいは国民の理解が進むことが極めて重要だと考えておりまして、ここについては日常活動も含めてさらに機構として努力をしなくてはいけない面がたくさんあると思っております。
 ただ、一点、機構の置かれている環境の中で、松山先生からも従来から御指摘いただいておりますが、インターネット環境をどのように利用するかということについては課題がございます。例の125万件の情報流出事案以来、インターネット環境には極めて神経質に対応してきておりますので、これをいかに解決するかということはお客様サービスという観点からも最大のテーマだと思っております。
 今は仕事の環境が基幹システムの中で個人情報を扱う領域と扱えない領域が両方とも基幹システム領域にあるというシステム構成になっておりまして、したがいまして、この状態というのを解決しないと問題は基本的に解決しないと思っておりまして、次期システム更改の時期に合わせて、いわゆる仕事の環境を基幹システムから分離するということを方針として決定いたしております。
 その場合に、仕事の環境でインターネットにアクセスした結果が基幹システム、要するに個人情報には影響を与えないというシステム構成にするということが大事だと思っておりまして、そういう方向でICT基盤の再構築を行うという方針でございまして、その際に、今までは一件も個人情報がインターネットに出てはいけないという方針で取り扱ってまいりましたが、この方針の一定の許容範囲を拡大していく必要があると思っておりまして、その対策について合意を得ながら進めていく必要があるということでございます。
 いずれにいたしましても、あと数年のうちにシステム環境に関しては変更を行う方針でございますので、お客様に対するインターネットサービスに関しましても、より広範なサービスが提供できる体制が数年のうちには出来上がると考えております。
 それから、2番目の教育の問題でございますが、学校等に関しまして、セミナーを何千回もやっているということについては御報告申し上げてきているとおりでありますが、20歳の方々に対するアクセスをどういうふうにするかということがポイントだと思います。各拠点においてはできるだけ20歳の方々に特定したセミナー等を行っておりまして、制度の説明等も行っておりますが、確実に、納付率の上昇に伴って年金制度に対する理解というのはかつてよりも肯定的になってきているようには感じております。80%を超える状況になっていて、20歳の納付率も現年度で70%に達するという状況でございますので、機構といたしましては、セミナーで教育を進めるというのと同時に、現実に納付していただくことによって年金制度のメリットというのを認識していっていただくということが、機構が足元で行うべきことだと思っておりますが、この両面で進めていきたいと思います。
 それから、リスクマップと言えるものかどうか分かりませんが、毎年、リスク管理体制に関しましては、リスクの所在を調査をいたしまして、リスクの対処方針について毎年度計画を立てておりますので、それをマップ化するかということについては可能であると思いますので、これに関しましては、また改めて御報告申し上げる必要があると思っております。
○増田部会長 ありがとうございました。
 それでは、特に2番目の年金の啓蒙の関係でお願いします。
○水野事業管理課長 年金局事業管理課長でございます。
 今、部会長からありました2点目の話、理事長の話に追加でございますけれども、御指摘のとおりでございまして、若者に対して特に学生にというのは大事なことだと認識しております。
 私どものほうで特に大学を中心に、年金対話集会という名前でやっているのが多うございますけれども、やってございまして、ちょうど今週も、私ではございませんけれども、うちの課の職員が参加して、仙台にお邪魔して行っているということもあろうかと思います。非常に大事な点でございますので、引き続きそういう点は国としても頑張っていきたいなと思ってございます。
○増田部会長 ありがとうございました。
 松山部会長代理、よろしゅうございますか。
○松山部会長代理 はい。ぜひよろしくお願いいたします。
○増田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、黒田委員、どうぞお願いします。
○黒田委員 どうもありがとうございます。3点ほど、意見というか、アイデアというか、話していければと思います。
 1点目は、お客様対応なのですけれども、非常にすばらしいレベルで対応しているなと思う一方で、これは業務効率化と裏腹の関係でもあるかなと思います。民間のサービスだと、最近は予約なしとか、あるいは電話での対応というのは非常にあえてサービスレベルを落としているところも少なくないかなと思います。例えば航空会社などは全然電話で問合せできないということがあったりということが起きていると思います。
 なので、今だと電話をすぐ取るとか、予約なしでも30分以上待たせないとか、非常に高いレベルのサービスをしているのですけれども、もしかして過剰なサービスレベルになっていないか、あるいはより好ましい方法で相談してきてもらうようにもうちょっと仕向けられないかということも検討されてはどうかなと思います。
 カスタマーサービスのベストプラクティスはAmazonだと思うのですけれども、Amazonですと、まず問合せの画面のところに、チャットの場合、Eメールの場合、電話の場合のそれぞれでどのぐらい時間がかかるかというのが書いてあって、チャットが一番早く、チャットボットではなくてライブチャットなので、あれを見るとどうしても誰でもチャットで相談してみようと思いたくなるような仕組みができていたりするかなと思います。
 もっとも、先ほど西村委員から御指摘があったように、相談に来るのは高齢者が多いのかもしれないので、なかなかそういうところとは違うのだよというところがあろうかと思いますので、属性の分析というのは必要だと思うのですけれども、言いたいことは、業務効率化と裏腹のところに顧客サービスレベルというのはあるので、そこのバランスを考えていく必要があるかなというのが1点目でございます。
 2点目は、本当にジャストアイデアなのですけれども、セブン銀行のATMのことをちょっと申し上げたいのですけれども、たまたま私はセブン銀行の社外取締役をやっているということもあるのですけれども、要は納付・給付のチャネルとして可能性があるのではないかなというところで、セブン銀行のATMは顔認証もできますし、マイナポイントの付与というチャネルでも使われたりしました。私は最初、マイナポイントの付与でそんなネットでできるものをなぜわざわざATMまで行ってやるのかなと思ったのですけれども、ネットでやるよりも全然使い勝手がいいと評判になっておりまして、それで一定の人たちが使っていたということがあります。
 また、さらにはセブン銀行の場合は多言語対応もできるということですので、例えば銀行口座やクレジットカードを持たない外国人といったところのチャネルとしても打つ可能性があったりするのではないかなということを思いました。これは本当にジャストアイデアです。
 3番目は、ぜひ御検討していただければうれしいなと思うのですけれども、組織風土調査のようなものをやってはどうかなと思うところです。企業ですと、一昔前だと従業員満足度調査で、今時ですと従業員エンゲージメント調査ということでやっております。人的資本情報開示の流れもあって、従業員エンゲージメント調査の結果も公表したり、そしてその目標値を定めてということが行われています。
 それによって、一つは職員のやりがい度が測れるというのがあるのですけれども、私が一番この組織で重要かなと思いますのは、いわゆる風通しのよさを数値化して測るというところが大事かなと思っていまして、風通しのよさ、あるいは心理的安全性ということで、おかしいと思ったことをおかしいと言える風土があることが、コンプライアンスであったり、あるいはITシステムの構築でもたしか何回か前のこの部会でもどなたかから御指摘があったと思うのですけれども、やはり大事なことは、ITシステムのプロジェクトを進める中においてちょっと待ってという声を上げられるような風土があることが大事なのだという御指摘があったように記憶しているのですけれども、そういういろいろな意味も含めて、ダイバーシティの推進もそうですし、望ましい組織風土というのが各部署において維持されているのかということを数値化して測る手段としていいのではないかなと思いますので、御提案したいなと思いました。
 以上でございます。
○増田部会長 黒田委員、どうもありがとうございました。
 今、3点ございました。特に1番目と3番目について、どうぞお願いします。理事長さん、どうぞ。
○水島日本年金機構理事長 まず、サービスレベルをどの程度ですべきかということでございますが、おっしゃるとおり、コストとの関係だと思います。少なくとも、例えばコールセンターの応答率に関しましては70%を一定の基準といたしておりまして、今、70%を若干上回る水準で維持していると思います。80%、90%を目指すべきかどうかということについては、より体制を整備すればできるわけでありますが、基本的にはそこまでは必要ないのではないかと考えて対応しているということでございまして、私どもの場合には、お客様を選別することはできませんので、儲からないお客様は今日来なくてもいいという対応というのはできないわけですね。したがって、民間とはちょっと違うということでございまして、基本的にできるだけ与えられた資源の中で可能なサービスを行うというところに向けて努力をするということが与えられた使命だと基本的には思っております。
 したがって、サービス水準がどこでいいかということに関しては、予算の制約の中で決定されるテーマだと認識しておりまして、そういう意味で、例えば年金に関するコストの妥当性といいますか、国際水準ですと比較的低い水準にあると思っておりますので、そういう意味で過剰なサービスになっているという状況にはないのではないかと思っております。
 それから、セブン銀行のATMのような多言語サービス等々に関しまして、先ほども申し上げましたが、お客様のニーズに応じて可能な対応は行ってきておりますが、システム対応も含めてコストとの兼ね合いの中でできることをやっていくということだと思います。
 3番目の組織風土でございますが、黒田先生も御存知のとおり、非常に長い間、国民の厳しい批判を受けてきた組織でございます。その中で、職員は信頼の回復のために努力をしてきているわけでございまして、その意味で、むしろお客様に向けてどのような信頼をいただける組織をつくり上げるかということに全員で努力をしてきて、今でもしていると思っております。
 その中で、組織的にどのような問題があるかということについては、もちろん意識調査等も行っておりますし、いろいろな対応も取っておりますが、いろいろな一般的な組織風土改革というのは実は何度もやってきておりまして、そういう意味で具体的なテーマを決めて、今、「この仕事はやめられるのでは」キャンペーンとか、「ガラスの天井を見つけよう」キャンペーンということをやっておりますが、これも一種の組織風土改革でございまして、テーマを決めてやってきているということでございまして、組織風土という一括りの言葉の中で問題が解決するというのは、過去の経験からはなかなかそれだけで問題は解決しないと認識しているということでございます。
○増田部会長 黒田委員、何か重ねて御質問等々はございますか。
○黒田委員 大丈夫です。ありがとうございます。
○増田部会長 ありがとうございました。
 続きまして、土屋委員、それから小尾委員と御発言いただきます。まず、土屋委員からどうぞお願いします。
○土屋委員 御説明ありがとうございました。
 私からは取組状況をもう少し明確にしていただきたいなと思うところで2つほどの質問をさせていただきたいのですが、まず1つ目が、年金保険料の納付の納めやすい環境整備についてなのですが、口座振替の利用促進というところがあったかと思います。仕事柄、社会保険の新規適用手続をすることが多いのですけれども、最近、新規設立した法人さんの法人口座がネット銀行しかないといった企業さんが結構増えているのかなというのを実感していまして、個人は私は手続しないので分からないのですけれども、世間一般的にインターネット専用銀行というのが普及しているのかなというのをすごく実感していますので、そちらのほうの口座振替で、法人の新規適用をした事業所さんの口座振替については、今、日本年金機構ではたしかイオン銀行さんしか口座振替できなかったと思うのですね。個人のほうについてはもしかしたらイオン銀行以外にも幅があるのかもしれないのですけれども、ちょっとそこら辺は調べていないので分からないのですけれども、とにかく口座振替をするというのが基本となっている年金保険料納付なので、口座振替についてはもっとネット銀行の幅を広げていただくような取組がされているのかなというのが少し気になっています。
 もう一つが、マイナンバーの紐付け率がもう99.79%となっていて、これ以上ないぐらいに紐付いていると思うのですけれども、やはりまだ手続きをしていると、返戻内容によってはマイナンバーを提出しているのになぜそこが利用されていないのだろうと思うような、紐付けを行った上でマイナンバーというものをどうやって利用していくのかという取組がどのように行われているのかというのが知りたいところです。
 以上です。
○増田部会長 口座振込のネット銀行への拡大等の話と、マイナンバーです。
 後ろの方にお答えいただけますか。どうぞお願いします。
○岩井日本年金機構理事 口座振替についてお答え申し上げます。
 確かにネット銀行というものが今、どんどん広がっていまして、お客様のニーズがあるということを私どもも認識しておりまして、実は厚生労働省と共にネット銀行の取扱いを拡大するように取り組んでおります。具体的に言うと交渉しておるのでございます。現時点で実現されているのがイオン銀行ということで、ほかのネット銀行については様々な理由でなかなかお受けいただけないというか、まだ現状では実現できていないという状況でございますが、引き続きここはまた交渉していくということで私どもも取り組んでいる状況でございます。
 以上です。
○増田部会長 それでは、理事長さん、どうぞ。マイナンバーのほうで結構です。
○水島日本年金機構理事長 マイナンバーカードに関しましては、機構のインターネットサービスは基本的に個々人の場合にマイナンバーカードを御利用いただくということが前提になっております。
 今、マイナンバーカード、要するにマイナポータルとの認証連携によって「ねんきんネット」に入っていただいているお客様が約260万人いらっしゃいまして、機構といたしましては、できるだけマイナンバーカードを使って機構のサービスを御利用いただくという方向で進めているということでございまして、かなり努力はしておりますが、かつ、例えば定期便の紙で受け取らないということに関しましても目標化するとか、いろいろ努力はしておりますので、引き続きこの努力を続けていきたいと思っております。
 以上です。
○増田部会長 ありがとうございました。
 いずれも御努力はいただいているようでございますので、土屋委員、何かございますか。よろしゅうございますか。
○土屋委員 ありがとうございます。その点も取組状況の次の課題へ引き継いでいただけたらなと思います。よろしくお願いします。
○増田部会長 分かりました。機構のほうでもその点についてよろしくお願いします。
 続きまして、小尾委員、どうぞ御発言ください。
○小尾委員 御説明ありがとうございました。2点コメントがあります。
 1点目は、先ほど松山部会長代理からもお話がありました、4ページのところで、20歳になった人の納付率が少しずつ増えてきていますということですがまだ70%ぐらいということなのですが、これは学生納付特例が増えてきているために増えてきているように見えているのか、それともそもそも年金納付自体が増えてきていて増えているのかどちらなのでしょうか。それによって、今後取り得る対策というのは変わってくるように思います。
 特に学生納付特例が増えて、ここでいう納付率が向上しているということだと、今、成人が18歳になっていて、いわゆる20歳というのが特別なものでなくなってきているという状況の中で、20歳から年金を納付する、または学生納付特例を申請するということについて、学生さんの意識が少しずつ変わってくる可能性もあるかと思います。
 これは、制度を変えなくてはいけないかもしれないのですが、本来であれば、ライフスタイルが変わったときに何らかのアクションを起こすというのが最も適切かと思います。例えば大学に入学したときに、年金というのがあって、年金は18からではなくて20歳からなわけですけれども、学生納付特例というのがあるから、例えば18歳で大学に入ったときに予約だけしておくという取組をし、20歳になったときには改めて確認をして、実際に払える人は払ってもらう。学生納付特例として20歳以降も取り扱う場合には改めて申請してもらうということも、必要になってくるのかと思います。
 2点目は、システム関係の話ですが、51ページでフェーズ2本格稼働に向けて体制の整備や職員のレベルアップを行うことについて今後どうするかというのが課題となっています。77ページの人材の話になりますが、システム職について、フェーズ2のところでもお話がありましたように、上席、いわゆる非常にITに詳しい専門職の数は増えてきておりマネジメント力の強化は進んでいると思うのですけれども、一方で一般職の数が減ってきている。全体としては同じような数にはなっているのですけれども、一般職が減ってきているという点が気になる部分ではある。この人たちというのは将来キャリアを積んで、上級システム専門職に移っていく人になるべき人だと思うのですけれども、そういう人たちが減ってきているというのは気になる点だと思います。
 今後、5年程度はまだフェーズ2が続き、その後もシステムの改修が続きます。特に給付などのまだ全然手がついていない部分についての対策というのも今後取られると思いますので、長期間にわたって年金システムについて専門的な知識を持っている人たちを一定数確保するというのは非常に重要になるかと。今後、調達や開発を継続的にスムーズに進めていくということを考えると、こういう人たちをちゃんと確保していかないといけないと思います。
 さらに、今、世の中ではIT人材が不足していると言われていて、今後、10年、20年経つとさらに減ってくる可能性もあるということを考えると、何か抜本的な対策を取らないといけないのではないか。機構としてシステムは非常に大事なものですので、今後困ることになってくる可能性もあると思います。
 例えばアメリカの政府だと、IT関連の職種で就職した人は初任給が大体1万ドル程度高いと言われています。日本だとなかなか政府もそういう給与体系を持っていないので、機構でやることは難しいのかもしれないですけれども、厚生労働省も含めて抜本的にどうすればいいのかをできるだけ早めに考えていかないといけないのではないか。今後、難しい局面に入っていく可能性もありますので、中期計画の中にどれだけ入れられるかは難しいのですけれども、考えていただきたいと思います。
 以上です。
○増田部会長 ありがとうございました。2点ありました。コメントということですが、先に機構の方のほうがいいかな。
 では、機構からどうぞ。
○岩井日本年金機構理事 1点目についてお答え申し上げます。
 若年層の20代、特に前半でございますけれども、納付率が上がっている要因は、納付が増えているということにあります。学生納付特例につきましては、最近の状況でございますが、時期によっても違いますが、横ばいまたは微減の状況でございます。そういう中で納付率が上がっているのは、納付が増えているということであります。
 その要因としましては、要するに20歳到達者に対しまして職権適用を行うようになったこと、そしてお誕生日の前月に、先ほどからお話がございますような口座振替やキャッシュレス決済、あるいは前納制度についてのお知らせを、チラシを多くして周知しているということ、それから、到達された段階でも同じようにお送りしているということです。
 また、私どもが現場と対話する中で、特に若い方の親御さんからのお問合せが非常に多いということを現場からも聞いておりまして、親御さんや世帯主に訴求するという意味で、そういう中に世帯主の方も必ず御覧くださいとか、いろいろ世帯主に対する注意といいますか、見ていただけるような工夫を最近は非常にしております。また、未納になった場合も速やかに御連絡するのですけれども、そういう中でも世帯主の方に対する訴求も行っているということもございます。
 こういうことを積み重ねまして納付率が上がっていると思っておりますが、先生の御指摘にありましたように、さらに若年者、特に入り口の年金に入られる方に対していかに訴求するかは大変重要ですので、大学との連携や今後何ができるかというのはまた検討していきたいと思っております。
 以上でございます。
○増田部会長 ありがとうございました。
 あとは、理事長さん、どうぞお願いします。
○水島理事長 システム専門職に関して御指摘がございました。おっしゃるとおりだと思っておりますが、現状の対応について若干御報告申し上げておきますと、まず、上席システム専門職に関しましては、今年度、大幅に増やしました。約10名以上増やしましたので、システム専門職から上席に登用しておりますので、その分システム専門職が減ったということになっております。
 これに関しまして、まず外部に対して、今、採用を行うべく努力をいたしておりまして、現在、かなりの人数の方の応募をいただいておりますので、選考した上で、システム専門職として採用できる方は採用していきたいと思っております。
 それから、内部のシステム専門職の登用に関しましては、基本的に今までは任用でございましたが、希望を含めて対応していかなくてはいけないと思っておりまして、任用制度、あるいは登用制度に関しまして若干の見直しを行うということを急いでいる状況でございまして、フェーズ2に合わせてシステム部門の体制強化も極めて大きな柱として対応していきたいと考えております。
○増田部会長 小尾委員、いかがでしょう。よろしゅうございますか。
○小尾委員 ありがとうございます。1点目は分かりました。
 2点目についても、昔は転職をあまりしなかったのですけれども、最近は結構転職も増えているということもありますので、ぜひ待遇の部分について見直すなり、対策を取るなり、考えていただければと思いますので、ぜひよろしくお願いします。
○増田部会長 小尾委員、ありがとうございました。
 それでは、片桐委員に御発言いただいていませんが、よろしゅうございますか。
○片桐委員 特にございません。
○増田部会長 ありがとうございました。
 それでは、今日は次の中期計画に向けての課題について議論をしたわけでございますけれども、今日出ました意見、コメントを踏まえて、また策定の作業を進めていただきたいと思います。
 それでは、各委員からの議論はここまでとさせていただきます。今、申し上げましたように、本日の議論を踏まえて、次回は第4期中期目標・中期計画、そして令和6年度の計画の案文の提示ということが予定されていますので、次回の当部会はこれについて各委員の皆様方から御議論いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上で本日の議題は全て終了いたしました。次回の日程につきましては、事務局から改めて御連絡することにいたしたいと思います。
 それでは、本日の会議はこれで終了いたします。どうもありがとうございました。