2023年2月22日  第66回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

日時

令和5年2月22日(水)10:00~11:20

場所

全国都市会館 2階 大ホール
東京都千代田区平河町2-4-2

出席委員

会場出席委員:増田部会長、黒田委員
オンライン出席委員:松山部会長代理、小尾委員、片桐委員、齋藤委員、土屋委員、西村委員、野村委員、原委員、山口委員

議題

  1. (1)日本年金機構の令和5年度計画の策定について
  2. (2)その他

議事

議事内容
 
○水野年金事業運営推進室長 定刻になりましたので、ただいまより第66回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催いたします。
 委員の皆様におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきまして、ありがとうございます。
 最初に、昨年10月1日付けで、新たに当部会の臨時委員として任命されました、黒田由貴子委員を御紹介させていただきたいと思います。
 それでは、黒田委員におかれましては、一言御挨拶をいただければと思います。

○黒田委員 新しく就任させていただきました、黒田と申します。何回か日程が合わなくて、欠席が続いていまして申し訳ございません。なるべくお役に立てるよう頑張りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○水野年金事業運営推進室長 ありがとうございました。
 次に、本日の委員の皆様の出欠状況等について御報告させていただきます。
 本日は、全員に御出席をいただいてございます。
 本日も、オンライン併用での開催となっております。
 増田部会長、黒田委員は会場での御出席、ほかの委員の皆様はオンラインでの御出席となっております。
 また、松山部会長代理におかれましては、他の用務のため途中退席、野村委員におかれましても、他の用務のため部分的に御出席されるとの連絡をいただいております。
 それでは、議事進行につきましては、増田部会長にお願いしたいと思います。
 恐縮ですが、カメラにつきましては、ここまでで退室をお願いいたします。

(カメラ退室)

○増田部会長 それでは、議事次第に従いまして、これより議事を進めてまいります。
 なお、一点お断りでございますが、議事に先立ちまして、本日の議事の2つ目に「その他」とございますが、その中で「公金受取口座の登録における『行政機関等経由登録の特例制度』の創設について」を事務局から御説明いただくこととしてございますが、説明に当たりましては、制度を所管するデジタル庁からも、年金局と併せまして御説明をいただきたいと思っておりますが、よろしゅうございますか。

(異議なしの意思表示あり)

○増田部会長 それでは、御承認いただきましたので、そのように取り扱わせていただきます。
 それでは、議事の1つ目であります「日本年金機構の令和5年度計画の策定について」でございます。
 前回一度御審議をいただいておりますので、前回からの修正部分について、まず、機構から説明をお願いします。
 では、お願いします。

○田中日本年金機構企画調整監 それでは、資料1-1を御覧ください。日本年金機構の令和5年度計画(案)についてでございますが、前回2月3日に御審議いただいたものからの修正箇所を抜粋したものでございます。
 順番に御説明させていただきます。左側に項番を振ってございますが、1番とあるところでございます。年金セミナーや年金制度説明会の記載に関しまして、開催回数だけではなく、どれだけの人に対して実施をしたかというところに着目すべきという御指摘をいただきました。そのことを踏まえまして、後段の部分ですが「参加者の一層の拡大を図る」という追記、修文を入れたものでございます。
 項番の2点目でございます。社会保険オンラインシステムの刷新、フェーズ2の関係で、5年度計画の中でプロジェクト憲章の改定について触れるべきという御指摘をいただいたことに対しまして、御指摘を踏まえた追記を行うという内容でございます。
 項番の3点目でございますが、年金記録の関係で、先月1月末に衆議院の予算委員会で御質疑があったことも踏まえ、本日また別の時間で御説明をさせていただく予定としておりますけれども、死亡者の記録などに関しまして、サンプル調査を行うということにつきまして、今年度から着手をする予定でございますが、そのことについて5年度計画(案)の中にも記載を追加したというものでございます。
 次の項番の4、それから、2ページ目の項番の5につきましては、先ほどの項番の1、2と同じものにつきまして、本文の部分について修正を行うというもので、内容については同じでございます。
 最後に項番の6でございますが、女性活躍の推進の関係で、研修に関しまして女性職員向けの研修だけではなく、D&Iの考え方を取り入れてという御指摘をいただいたことを踏まえ、後段の部分で主に「性別等を問わず能力を発揮する」ということで「更なる組織活性化につながるような研修内容の充実・強化を図る」という形で修文を加えたものでございます。
 前回の案からの修正箇所につきましては、以上となります。よろしくお願いいたします。

○増田部会長 ありがとうございました。
 前回、御指摘をいただいたものについての修正ということでございますので、そこがきちんと反映されているかどうか、それから、それ以外の全般に通じて、さらにまた御意見をいただければと思いますので、委員の皆様方から御意見、御質問等ございましたら、挙手の上、お願いしたいと思います。
 挙手ボタンか、画面上で合図をしていただければ、私から指名いたしますので、よろしくお願いいたします。
 どなたか何かございますでしょうか。小尾委員から合図がございました。それでは、どうぞ御発言ください。

○小尾委員 御説明ありがとうございます。ほかの方から質問がないので、コメントだけさせていただきたいと思います。
 フェーズ2のところですが、プロジェクト憲章の改定についての記載をいただきましてありがとうございます。
 前回、フェーズ2の取組を重点項目にという話をしましたが、現在のところ、基本的に現在のシステムを新システムに移行することが、主な目的になっているため難しいということも理解いたしました。
 ただ、今後、フェーズ2の開発が本格化していくと、これから、どの程度の費用がかかるかとか、どのくらい時間がかかるかといった具体的な数字が出てくるようになるかと思います。費用の面などは特にだと思いますが、こういうものが具体的になってくると、システムの刷新が、国民から見てどういう意義があるのかを強く問われることも想定されると思っています。
 そういう意味では、年度計画のほかの項目の記載では、数値目標があって、それを達成しているかどうかを評価するということになっていますので、システムの部分についても、国民から見て、これだけのメリットがあるのだということを、分かりやすく数値とかも使って、記載するということも必要かと思います。
 そうしていくと、最初のところですが、重点的にシステムの部分に取り組んでいく必要があるというような記載もできるようになるかと思いますので、今年度は、まだ難しいかと思いますが、今後、そういう点も意識して計画を立てていくということをお願いしたいと思います。
 以上、私からのコメントです。よろしくお願いします。

○増田部会長 小尾委員、ありがとうございました。
 今、コメントとして要望が出されましたけれども、機構のほうでよろしゅうございますね。来年度の計画は、このようにということですが、それ以降についての御要望ということで、理事長さん、どうぞお願いします。

○水島日本年金機構理事長 極めて重要なテーマであるということは、私どもといたしましても十分認識をいたしております。
 今後の対応、進捗状況等に関しましては、適宜、この部会にもお知らせを申し上げまして、御意見を頂戴してまいりたいと考えております。引き続き、御指導をお願い申し上げます。

○増田部会長 ありがとうございました。
 それでは、ほかの委員の方から何か御意見や御質問があれば、どうぞお願いいたします。
 特にございませんかね、よろしいですね。
 それでは、ほかには特にないようでございます。前回、そして今回、ただいまコメントがございましたが、そういう形で各委員から御意見や御要請等々ございましたので、機構側のほうで、いろいろそれについての対応方針もお示しをいただきましたが、全体的に2回の審議を通じまして、令和5年度の計画のほうについては、各委員の皆様から、おおむね御了解をいただけたと思いますので、本日、御提示のあった計画(案)で、厚生労働大臣の認可手続を進めていただきたいと思いますが、各委員の皆さん方、そういうことでよろしゅうございますね。

(異議なしの意思表示あり)

○増田部会長 それでは、各委員の皆様方の御了承をいただけましたので、認可手続のほうは進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 令和5年度の計画(案)の審議のほうは、以上とさせていただきます。
 続きまして、議案の内容で「その他」という部分でございますが、こちらは資料の3から資料の5まで提出をされておりますので、それぞれ説明の後に質疑時間を設けて進めていきたいと思います。
 資料の3の「日本年金機構役員報酬規程の改正について(案)」でございます。まず、機構のほうから説明をお願いいたします。

○立田日本年金機構人事部長 日本年金機構の人事部長をしております、立田と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは、私のほうから資料3の「日本年金機構役員報酬規程の改正について(案)」を御説明させていただきます。
 1ページ目を御覧いただきたいと思います。まず「1.改正の趣旨」でございますけれども、令和4年の人事院勧告を踏まえまして、日本年金機構の役員の報酬につきまして、国の指定職の取扱いに準じた役員報酬規程を改正するものでございます。
 「2.改正の概要」でございます。役員の賞与につきましては、支給月数を年間3.25月から3.30月に0.05月引き上げるものでございます。
 「3.改正・施行予定日」でございます。令和5年3月1日を予定しております。また、令和4年12月期賞与から遡及して適用することで準備を進めてまいりたいと考えてございます。
 なお、2ページには、機構法の該当条文を記載させていただいております。
 3ページ以降でございますけれども、3ページには、いわゆる国家公務員給与法の改正概要、4ページ、5ページにおきましては「給与勧告の骨子」を添付してございますので、後ほど御参照いただければと思います。
 説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○増田部会長 こちらのほうは、役員報酬規程の改正についてでございます。何かこの関係について、御意見や御質問はございますでしょうか。
 事務局のほうに私から、これまで改定の機構のほうでの考え方とか、どういう形で過去は臨んできたか、それだけ少し御説明いただけますか。

○立田日本年金機構人事部長 機構の改正でございますけれども、資料の2ページ目のほうにございますけれども、日本年金機構法の第21条第3項に規定してございますが、報酬の支給の基準につきましては、国家公務員の給与、民間事業の役員の報酬等々を考慮して定めるということにしてございます。その上で、日本年金機構の役員の報酬規定につきましては、先ほど申し上げましたとおり、国の指定職の基準に準じまして、従来から決定しているという状況でございます。

○増田部会長 したがいまして、毎年人事院の勧告の内容を機構のほうでも、そのとおり実施しているという理解でよろしゅうございますか。

○立田日本年金機構人事部長 さようでございます。

○増田部会長 ありがとうございました。
 ということで、今回のものが内容的に提案されているということでございます。委員の皆様方、何か御意見ございますか、よろしゅうございますか。
 それでは、特に御意見、御質問はないようでございますので、規程の改正のほうにつきましては、ただいま御説明いただきましたとおりの内容で進めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 続きまして、資料の4の死亡者記録等のサンプル調査についてでございます。これは、前回の部会において、私のほうから状況報告を依頼していたものでございまして、その前に衆議院の予算委員会で、この関係についてやり取りがあったものでございます。それを受けてのことでございます。
 こちらも、まず、機構のほうから御説明をお願いいたします。

○田中日本年金機構企画調整監 前回、御指示いただいたものにつきまして、特に死亡者に関連する記録を中心といたしました未統合記録に関するサンプル調査の実施方針につきまして、御説明をさせていただきます。資料4を御覧ください。
 「1.背景・目的」と書いてございます。未統合記録5,095万件の解明状況を、次の2ページのほうにも参考としてつけてございますが、令和4年9月時点で解明された記録は3,341万件、解明作業中またはなお解明を要する記録が1,754万件という状況でございます。
 まず、解明された記録の中には、死亡者に関連する記録として整理をしております750万件が含まれております。こちらにつきましては、亡くなられた方ということで、御本人に通知等を送付することが困難でございますことから、遺族年金の受給者のみ、ねんきん特別便等のお知らせをお送りしてきたという状況でございます。
 また、解明作業中またはなお解明を要する記録のうち、持ち主の手がかりがいまだ得られていない記録として整理しております、826万件というものがございます。こちらにつきましても、基礎年金番号や住民基本台帳の情報と記録の3情報が一致しないということで、これまで、ねんきん特別便等のお知らせをお送りしてきていないという状況でございます。
 これらの記録につきまして、年金受給の可能性のある記録があるのではないかという御指摘の中で、今後どのような対応が可能であるか検証するため、サンプル調査を実施するというものでございます。
 具体的な調査方法でございます。2番のほうでございますが、死亡に関連する記録、それから持ち主の手がかりがいまだ得られていない記録におきまして、住所に関わる何らかの情報、例えば、国民年金の記録であれば、国民年金の住所情報、こちらは平成9年以前の古い情報にはなりますが、そうした情報、また、厚生年金の記録であれば、国民年金の記録と3情報が一致する記録あるいは基礎年金番号と3情報が一致する記録といったものを対象といたしまして、これらの住所情報を手がかりにということでございます。
 その上で、保険料納付記録などで、一定の条件で年金給付に結びつく可能性のあるケースについて、それぞれ特定しサンプル調査を行うというものでございます。
 調査に当たりましては、住所情報に対する戸別訪問を前提といたしまして、訪問しても接触できない等の場合には、戸籍謄本等の公用請求による更なる調査を行うということを考えております。
 スケジュールといたしまして、対象の抽出を終えたものから、今月中に順次調査を開始していきたいと考えております。
 調査の実施方針につきましての説明は、以上となります。よろしくお願いいたします。

○増田部会長 ありがとうございました。
 国会の予算委員会等で、今月、若干やり取りがあったということで、このような形になりましたが、よりサンプル調査を行って、どういうことが機構として対応可能なのか、可能性をさらに追求していこうということでございます。
 この関係につきまして、委員のほうから何か御意見、御質問あるいは御提言等でもあれば、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
 特にないようであれば、いずれにしても、今月から、先ほどお話がございましたとおり、サンプルで抽出を行って、具体的に訪問などを行って調査を開始するということでございますので、また、その結果等につきましては、様々な段階で、次回以降の部会で、節目節目で御報告をお願いしたいと思います。
 ということで、この関係については、今後も部会のほうとしてきちんと見守っていきたいと思いますので、各委員の皆様方にも御承知おきをよろしくお願いいたします。
 それでは、資料5番目の「公金受取口座の登録における『行政機関等経由登録の特例制度』の創設について」、新しい制度の創設ということでございますので、こちらの説明は、冒頭申し上げましたように、デジタル庁の方にもおいでいただいておりますので、デジタル庁及び年金局のほうから説明をお願いいたします。

○柳沢デジタル庁デジタル社会共通機能グループ参事官 私、デジタル庁で公金受取口座の担当をしております参事官の柳沢と申します。本日は、このような場で御説明の機会を頂戴いたしまして、増田部会長をはじめ、委員の皆様、厚く御礼申し上げます。
 公金受取口座の登録における「行政機関等経由登録の特例制度」は、どういったものかというところについて御説明申し上げたいと思います。
 まず、資料に記載していなくて恐縮でございますが、おさらい的に公金受取口座というものは何なのかというところを、簡単に御説明したいと思います。
 公金受取口座は、様々な公的給付に使える預貯金口座を、国、直接的にはデジタル庁でございますが、そこに御登録をいただいて、なるべく国民の皆様に簡便に給付のお手続をいただくための基盤として整備していこうと、今、進めているものでございます。
 資料の「背景」のところでございますが、公金受取口座の登録といったものは、現行法で3つの手法を定めてございます。
 1つは、デジタル庁で用意しておりますマイナポータル、様々な行政サービスのポータルにしていこうと、今、育てている最中のポータルサイトでございますけれども、こちらのほうで御登録をいただくと、マイナンバーカードを使って認証していただければ、比較的簡単に御登録いただけると思いますが、そういった御自身で登録いただく手法。
 また、➁として行政機関経由の登録、現行でやっておりますのは、国税庁の確定申告の際に所得税の還付申告というものがございまして、その還付金を受け取る口座につきまして、併せて国税庁に登録をいただくと同時に、デジタル庁に公金受取口座として登録をいただくといったルートが、今、ございます。
 ➂といたしまして、こちらは、まだ、実施までの準備を行っているところでございますけれども、金融機関経由、金融機関の窓口等でも公金受取口座の登録ができるようにというところで、今、システムの開発を行っていると、そんなところでございます。
 今、3つ用意してございますが、なるべく国民の皆様に積極的に御登録いただいて、様々な給付にかかる手続の手間、そういったものをなるべくかからないようにしていくためには、多くの方に御登録をいただくということが重要かなと考えております。
 そういった迅速かつ確実な給付の実現に向けた登録の促進という観点から、デジタルに不慣れな方であっても簡易に公金受取口座の登録を行っていただけるような制度を作っていきたいというのが大元の趣旨でございます。
 その下の公金受取口座登録法の一部改正というところで、今回、追加させていただく登録手法について記載をさせていただいております。
 まず、現行、様々な行政機関で給付制度を持っております。今回考えておりますのは、年金というところなのですけれども、厚生労働省さん及び日本年金機構のほうで、その受給口座というものをお持ちになっていると。そういった給付口座情報を保有しております行政機関の長等から、まず、受給者の方に、一定の事前通知を書留郵便で行っていただくことを考えております。
 その通知内容が、下に小さなポツで3つ打っておりますけれども、まず、1つ目が給付口座等の情報を内閣総理大臣、具体的にはデジタル庁でございますけれども、デジタル庁に提供することに同意または不同意されますかという、その回答を求めますよといったこと。
 2点目といたしまして、同意をいただいた場合には、その口座情報が公金受取口座として登録されますということ。
 3点目といたしまして、ここは30日以上ということで定めようと思っておりますが、一定期間内に回答がないときは、同意したものとして取り扱いますといったことを事前通知すると。
 その後、受給者が同意したとき、または30日以上経過いたしまして、同意したものとして取り扱われる場合も含めますけれども、そういった場合には、行政機関の長は、当該口座情報を内閣総理大臣に提供できるという形としております。
 最初に事前通知を書留郵便で行いますと申し上げましたが、書留郵便で行うという趣旨は、通知が対象の方にしっかり届いたということが把握できるということ、かつ、先ほど申し上げましたように、通知を行ってから30日以上経過して同意をいただいたとき、また、不同意の御連絡がなかった方については登録をしますということで、ちゃんと相手に届いたところから期日管理をしていくというところが非常に重要になってまいりますので、相手に届いた履歴というのが把握できる書留郵便というところを、法律の条文にも書き込みたいと思っているところでございます。
 こういった手続を経まして御登録いただいた場合には、御登録いただいた方に、公金受取口座として登録しましたという登録結果の通知も、事後的にお送りさせていただきたいと考えているところでございます。
 この事後的な通知におきましては、しっかりと公金受取口座について、変更または抹消を希望される場合に備えて、変更、抹消も自由であること、そういった手法についても、また案内をしていきたいと考えているところでございます。
 今回、基本的には年金受給者を対象に、制度としては、年金に限らず、様々な給付において、この制度を適用できる形には定めていきたいと考えているところでございますが、まず、差し当たっての実施という意味において、現状、想定しているものとしては年金のほうを対象に進めているというところでございまして、その趣旨を※1で記載させていただいております。
 まずは、1種類に限らず、複数の種類の給付をいただいている方がいらっしゃると思います。我々は、給付ごとに口座を使い分けられておられる方も多いということを聞いておりまして、そういった場合には、様々な行政機関から同じような通知がいっぱい来ると、受給者の側でも混乱をしてしまう。また、我々政府サイドとしても、同一人からいろいろな口座を登録しますと来たときに、どれを登録するのかというところに、また混乱が発生する可能性もあると。そういったこともございますので、今回特例制度の対象とする給付については、限定をしていく必要があると考えております。
 その限定に当たりましては、御高齢の方の公金受取口座の登録率は、ほかの世代に比べて低い傾向が出ておりますので、そういったことも踏まえまして、年金給付を対象に実施していきたいと考えているところでございます。
 1枚おめくりいただきまして、参考のところでございます。今、公金受取口座を御登録いただいている方の年代別の折れ線グラフでございます。上の青字のところがマイナンバーカードを保有している方を母数として、そのうち御登録いただいている方の割合で、下のオレンジの折れ線グラフが、年代別の全人口に対する御登録率という形になっておりまして、70代ぐらいまでは比較的平行で進んでいたりはするのですけれども、80代、90代になってくると、また下がってくるというところがございます。
 また、デジタル庁で行っておりますアンケートなどでも、外に出ているものではないのですけれども、70代の方とかでも、公金受取口座を登録してもいいと思っているのだけれども、まだ具体的なアクションを起こしていないという方は、ほかの世代に比べて少し高めに出ているというところがございまして、そういった観点から御高齢の方に登録しやすい制度を用意していくということは、意義のあることではないかなと考えているところでございます。
 制度の概要について、私のほうからは、以上でございます。
 また、この後、厚労省さんのほうから追加の御説明があると思います。この後、いろいろと御質問を頂戴できれば幸いでございます。

○増田部会長 それでは、厚労省のほうからお願いします。

○小野事業企画課長 続きまして、厚労省の年金局事業企画課長の小野より、資料の3ページについて御説明をいたします。
 ただいまの説明のとおり、年金受給者を対象として、公金受取口座の登録の特例制度を実施することを検討しております。
 その中で論点となりそうなことを整理したものが、この3ページの資料でございます。
 左側に「主な課題」といたしまして3点挙げております。1つ目が不同意の回答を行う機会の確保。2点目が認知症あるいは知的障害の方への対応。3点目が郵送物の到着や内容を把握しにくい方への対応としております。
 1点目の不同意の回答を行う機会の確保につきましては、これは、先ほどデジタル庁からも御説明がございましたけれども、まず、意向確認の通知は書留で行うということで、本人に届いているかどうかは、きちんと確認できる仕組みとしております。
 また、登録がなされた場合には、改めてその旨の通知が行くことになっております。その際、やはり取消しをしたいとか、変更したいという御意向であれば、変更や抹消ができるようになっております。
 こうした点について、事前あるいは通知を行う際に、丁寧に周知、案内をしてまいりたいと考えております。
 2点目の認知症や知的障害のある方への対応につきましては、まず、代理人がいらっしゃる場合には、代理人から意思表示をしていただくことができると考えております。
 一方、代理人がいらっしゃらない場合であっても、御家族の方などが本人に説明をしていただいたり、本人の意向を聞き取っていただいて、代筆という形で回答していただけるようにすることを考えております。
 また、介護施設などに入所されている方もいらっしゃいますので、地方自治体などを通じて、そうした介護事業者などへも周知を図りたいと考えております。
 その下の※印に書いてありますけれども、現行の年金生活者支援給付金などでも、郵便で御本人の意向を確認するということをやっておりますので、そうしたものも参考にしながら取扱いを整理して、お示しをしていきたいと考えております。
 3点目の郵送物の到着や内容を把握しにくい方への対応といたしましては、まず、視覚障害のある方については、音声コードをつけることを検討しております。
 また、御本人が入院されていると、御不在というような場合につきましては、これは先ほどの説明のとおり、書留で送っておりますので、未達の場合には、同意、不同意の意思があったものとはみなされず、口座登録は行われないという取扱いにしたいと考えております。
 以上が、3ページの御説明でございます。よろしくお願いいたします。

○増田部会長 ありがとうございました。
 この関係の制度についての概要は以上でございますが、この点について、何か御質問なり、御意見等々ございますでしょうか。デジタル庁の方も、こちらにいらしていますので、いろいろ幅広く御質問をいただけると思いますが、どうぞよろしくお願いします。
 原委員、どうぞ御発言ください。

○原委員 ありがとうございます。
 御説明ありがとうございました。適切な制度だと思います。
 公金受取口座を登録されていることによって便利になるわけですけれども、それで別に問題が起きることはないと思いますが、実際にはよく分からない、面倒だということでされていない方が多いと思いますので、これで進んでいくといいのではないかと思います。
 一方で、勝手に登録されてしまったといって御批判や、心配をされる方がいらっしゃるわけなので、本当に嫌だったら無理しなくていいのですよということの周知徹底をしっかりやっていく必要があると思いました。
 もう一点、これもデジタル庁さん、厚労省さん両方から御説明のあった不同意だということを言い損なってしまったときに変更できます、それから抹消、削除することができますということも、しっかりと周知徹底していく必要があるのかと思いますが、このときに、一旦登録されてしまうと、あとはマイナポータルで原則やってくださいみたいな話になってしまうと、そんなものは使えないよという方も出てくるかと思いますので、ここが簡単にできるのかどうかもポイントになるかと思いますが、厚労省さんの資料にあるマイナポータルや金融機関経由で手続を行っていただくというのは、具体的にどういうことになるのか、今できている範囲でお答えいただけたらありがたいです。

○増田部会長 ありがとうございます。
 それでは、どうぞお願いします。

○柳沢参事官 デジタル庁の柳沢でございます。御質問ありがとうございます。
 変更、削除のところでございますけれども、基本的にはマイナポータル、もしくは冒頭の説明で背景のところ、現行法の登録方法として3つあると申し上げました。そのうち3つ目、金融機関経由登録につきましては、令和5年度の下期以降、順次開始というところで、令和6年度の頭には、おおむね全ての金融機関で御対応いただけるような方向で、今、検討を進めているところでございます。
 そういった観点から、行政機関等経由登録の特例制度を実際に実施するタイミング、まだ、かちっと決まってはおりませんけれども、そのタイミングには、お近くの金融機関の窓口に行っていただければ、お手続をいただけるという環境が整っていると考えておりまして、マイナポータルもしくはお近くの金融機関窓口、そういったところで変更、削除の手続をいただけるのではないかと考えているところでございます。
 それ以外に、より簡単な手法というところで、さらに検討すべきところ等あるかもしれませんが、現状考えているところは、そういったものでございます。

○増田部会長 現状は、そういうことだということでございます。
 原委員、何かございますでしょうか。

○原委員 ありがとうございます。

○増田部会長 ほかに各委員の方から、山口委員、どうぞ御発言ください。

○山口委員 ありがとうございます、山口です。よろしくお願いします。
 今、原委員がおっしゃったこととも重なるのですけれども、特例制度がオプトアウトというところが、少し引っかかるというか気になっております。
 デジタル庁のサイトを拝見しますと、登録制度が、任意で登録できますとなっていて、例えば、思いつくところでは、確定申告の還付金の受取口座を登録するときに、公金の受取りを同意するか、しないかを聞かれて、それを登録するか、しないかを御本人が判断できるということです。
 それに対して、年金の受取口座を持っている人に関しては、みなし規定を置いて、同意、不同意を求めて、回答をしない場合は、登録することになっています。先ほどデジタル庁の御説明で、公金受取口座を登録したいのだけれども、手続が分からない人に対してということもおっしゃっていたのですけれども、まずは、登録できるという仕組みが、高齢の方以外にも一般的にそこまで知られているかということがあります。
 ですので、身近なところで必要性が出てきたときに、登録に併せて公金受取口座としてもそれを使っていくのはどうですかと聞けば、そこは、理解が割としやすいと思うのですけれども、まず、公金受取口座の登録の仕組みをきちんと周知することが、やらなければいけないことではないかと感じます。
 そういう意味では、今後、例えば、年金の新規裁定の口座を登録するときに併せて、公金受取口座とすることはどうですかと聞いてみるとか、年金の手続に乗せてやっていくというのであれば、何となく想像ができます。部会で議論をしていますと、非常に手続が分かりにくいとか、それを様式としてどういうふうに示していくかと、すごく議論をします。簡単にしても、やはり難しいというところがどこか残っていて、さらに、新しい仕組みのことが同意、不同意を尋ねるかたちで書留の郵便で送られてくると、これは何だろうということにならないか少し気になります。
 金融機関に足を運ぶというのも、年金の支給に合わせて2か月に一遍とか、そういうところを目がけて行かれると思うのですけれども、先ほど原委員が御質問をされた、不同意で期間を徒過してしまって、後で、やはり不同意というときの手続も、引っかかっています。手続は、近くの金融機関で取れるということです。実際金融機関にいらっしゃること自体が少し大変だという方も、年金を取りに行くときだけは行くという感じではないかと思います。知らなくて不同意だけれども登録されてしまって、さらに金融機関で手続というのは少し厳しいと、オプトアウトは、こうなってくると厳しいという感じがしないこともないと思っております。
 ですので、確かに利便性がある、具体的に、今後、公金を受け取るときに登録しておくと、どういうことにつながるのかというのが、あまり具体的にイメージできないと、登録する動機につながりにくいのではないかというのと、手続的に負担感を持たれないようにしていく必要があって、さらに御本人の金銭管理の話なので、やはり御本人の意思に沿って行われるということが一番大事であり、個人情報を登録することでもありますので、手続的に一遍にくくれるから手続を一遍に取るということではなくて、御本人がきちんと判断をされて、それを登録してよいとお考えの場合に、登録が簡単にできるという仕組みとして、御本人の意思を尊重するようなやり方で、慎重に進めていただければと考えております。
 以上です。よろしくお願いします。

○増田部会長 いくつか山口委員から懸念事項といいますか、今後の制度設計に当たって注意すべきというお話がございました。
 何か事務局のほうからございますか。

○柳沢参事官 デジタル庁の柳沢でございます。
 御質問をいろいろいただきまして、ありがとうございます。大きく分けて、そもそもこの制度を一般に周知するのが先ではないかというところと、あと、今般の新たな特例制度の仕組みについての御懸念をいただいたと理解しております。
 まず、一般への周知、これは、まさに我々としても必要性は重々認識しているところでございます。いろいろなチャンネルを通じまして、我々も公金受取口座の登録制度というものについて周知を図っているところでございまして、まだまだ足りないというところも我々は感じております。
 マイナポイント事業と絡めますことで、それなりに国民側への周知というのは進んでいる部分もございまして、今のところ、資料上は1月末時点の登録件数は3,790万件と記載しておりますけれども、直近時点で申し上げますと、4,200万件ほどまできております。大体国民の3分の1につきましては、どれほど深くかというところまでは、なかなか把握し切れないのですが、こういった制度があるというところまでは御理解いただいているところかなとは考えております。さらに一層御理解いただけるように、我々としても周知徹底に努めていきたいと考えているところでございます。
 続きまして、今回の特例制度でございますけれども、まず、新規裁定等で同意をいただいてはどうかといった論点もございまして、そこはまた別途、様々な行政機関での給付、そのお手続の際に併せて公金受取口座を登録いただくというところは、様々な行政機関で御対応していただこうというところで、いろいろな議論は進めているところでございまして、年金につきまして、どのタイミングでできるのかというところも含めて、新規裁定の際も御対応いただける方向で議論をしたいなと思っているところでございます。そこは、また別途のところで議論をさせていただければと考えているところでございます。
 行政機関を経由して登録をするというところの現行法での規定、基本的に、実際に何か給付に係るお手続をしていただける、言葉は悪いですが、ついでにやっていただけるような仕組みを念頭に置いてございます。例えば、給付をいただく際とか、給付申請が必ず走りますので、その際に、ついでに登録しますか、しませんかというとこところは、能動的な同意というのは非常に得やすい部分でございます。
 ただ、既に受給をされている方、要は給付制度の受益といいますか、給付制度の利点というのを既に御理解いただけている方に対して、なかなかアクセスする方法がない。かつ、アクセスしても、なかなか積極的に、例えば、給付申請を行わなければいけないということであれば、併せてお手続をいただくということに、あまり手間を感じない方もいらっしゃると思うのですけれども、なかなかそういったところがない場合に、別に登録をしてもいいのだけれども、わざわざお手続するのが手間だなと感じられる方もいらっしゃると考えます。
 そういった方でも御登録を簡便にできるということを考えまして、今回の仕組みというものを検討させていただいたところでございます。
 他方で、御懸念のとおり、本来不同意であった方が不同意の申し出が、結果としてできなかったというような事態というのは、我々としても避けなければいけないと考えておりまして、そういった観点から事前の周知徹底というのが非常に重要だと認識しております。
 どういった形で周知徹底を、要は今回の特例制度を走らせますよといった形の周知徹底でございますけれども、そういった周知徹底については、どういった手法でやっていくのが効果的か、また、厚生労働省さんとも相談をさせていただきながら進めていきたいと考えております。
 なるべく年金受給者の方、または年金受給者の方の御家族の方、そういったところに届くようなチャンネルは何だろうかといったところを、今後、検討で詰めさせていただければと考えておりますので、引き続き御指導を賜れればと思います。よろしくお願いいたします。

○増田部会長 厚労省からは、よろしゅうございますか。何かございますか。よろしいですか。
 あわせて、山口委員のほう、いかがでございますか。

○山口委員 まだ、具体的になっていない部分もあるので、今後の具体的なところで議論を進めていただければと思います。よろしくお願いします。

○増田部会長 続いて、齋藤委員、どうぞ御発言お願いします。

○齋藤委員 今、山口委員のほうからお話がありました中に、利用者の方にとってどういう利点があるかという、そこをもう少し御説明いただいたほうがいいかなと思いました。
 と申しますのも、最終的な姿としてどうなるのかというのが、まだ、決まっていないところはあるかもしれませんけれども、年金の受給口座一つを、デジタル庁といいますか、内閣のほうで管理するということだけであるならば、例えば、公金の給付が年金だけの方は、年金機構にその情報が登録されていればいいだけであって、そこから先をやる必要はないですし、一方で逆に、先ほどお話にありました複数の公金を既に受け取っていて、複数の口座を使い分けているようなケースですと、今回の場合ですと、1つしか登録できないので、実際には分けたいのに分けられないというような状況が出てくるのではないかと思うのですけれども、そう考えると、今、利点がある利用者の方というのは、今は年金を受け取っているけれども、この口座を登録しておくことで、将来、例えば税金の還付とかが起こったときに、新たに登録しないでも、この口座で受け取れますみたいなところが、割合アドバンテージになるのかなと思うのですけれども、ほかに、私の思いが至っていない利点というのが想定されているのかどうか、あと、最終的に複数の口座を切り替えたりとか、ユーザー目線というサービスになっていくのかどうか、そこに関して、何か決まっていることがあったら教えていただきたいなと思ったのですけれども。

○増田部会長 齋藤委員、ありがとうございます。
 それでは、デジタル庁さんですかね、お願いします。

○柳沢参事官 ただいま御質問いただきました点でございます。まず、現行でも、今回御登録いただいた公金受取口座の情報につきましては、昨年の10月以降、様々な給付、現行で150ほどの給付制度で御活用いただくことが可能となっております。
 まだまだ活用の認知度というのが不十分なところもございまして、現在のところ、まだ十数万件程度の御利用にとどまってございますが、こちらについても周知徹底を図っていって、様々な給付等でお使いいただけるということを御理解いただけるようにしていきたいと考えております。
 また、そもそもこの制度の利点というところなのですけれども、様々な給付で使えるということは冒頭申し上げましたけれども、もともとこの制度ができる根底にございましたのが、やはり今回のコロナ禍でございます。
 最初に全国民に10万円を給付しようといったときに、行政の側で、必ずしも口座情報を持っていない、ほぼ全ての国民、実際に給付を受けられている方については口座情報を持っているかもしれませんけれども、それを勝手に流用もできない。それで、当然もともと給付をもらっていない方も多数おられる中で、そもそも口座情報もないというところで、非常に、実際に事務を担う自治体の現場では混乱したと聞いております。
 例えば、口座情報を提出していただいても、その口座情報も間違っていて、振り込もうとしても振込みができずに、二重、三重の手続になってしまうとか、そういったところもありましたし、御提出いただいた口座情報を、いちいち通帳の写しと照らし合わせて目で確認をするとか、非常に行政事務の混乱が生じたというところがございまして、我々としては、もし次に同じような緊急事態が発生した場合には、こういった混乱を可能な限り減らしたいと考えております。
 そういった観点で言いますと、今後、当然緊急時に限らず様々な給付で使えるというのを前提として、緊急時が発生した場合においても、混乱なく多くの国民に給付等を行っていける基盤を作っていきたいと考えておりまして、この制度自体はできております。
 そういった観点で申しますと、なるべく多くの方に御登録をいただくというのが、非常に重要になってくるのかなと考えておりまして、今回もこの特例制度といったものを検討させていただいたという形でございます。
 また、齋藤委員の御質問の中で、口座を使い分けられている方はどうするのかといったところでございますけれども、各給付を受けられる際に、当然どの口座を使うのかという選択が発生いたします。要は、公金受取口座を使う方については、公金受取口座を使いますというところのチェック欄にチェックをしていただければ、それで済みますし、やはり公金受取口座として登録している口座以外の別の口座を使いたいという方については、何銀行何支店の口座番号何番みたいなところを記載していただくという形にしていただければ、各個別の給付で御選択というのは可能になってくるのだろうと考えているところでございます。
 御質問について、全て回答できているかはあれですが、御回答については、以上でございます。

○齋藤委員 ありがとうございます。
 そうしましたら、今回の検討の資料には、そういった制度そのものの目標とか、向かう先というのが、すみません、私があまり読み取れていないだけかもしれないのですけれども、詳しく説明がなかったように思いますので、ぜひ利用者の方に利用を促すときには、そこの利点について、ある意味、しつこいぐらいに説明していただいたほうがいいのではないかなというのが、思ったところでございます。
 私のほうからは、以上です。ありがとうございました。

○増田部会長 齋藤委員、どうもありがとうございました。
 これは、また、いずれ国会での改正法の審議のときに、いろいろ御質問等も出てくるかもしれませんが、その上で周知するときに、いろいろなメリットを記載して、当然やられると思いますけれども、今の各委員の御意見も踏まえて、分かりやすい形でやっていただければと思います。
 いずれにしても、新たな給付制度が出てきたときなどは極めて便利なのと、あと、迅速性ですね。コロナのときが典型ですけれども、非常に速いスピードで給付が手元に届くというところが、非常に大きなメリットかと思います。いろいろそういったことも含めて、よく周知していただければと思いますけれども、何かございますか、よろしいですか。

○柳沢参事官 ありがとうございます。
 周知については、御指摘を踏まえまして、引き続き、十分な周知となるように検討してまいりたいと思います。

○増田部会長 それでは、小尾委員、どうぞ。

○小尾委員 先ほどからいろいろお話に出ているのですけれども、こういうオプトアウト的な方式を、これだけ大規模にやるという例は、今まで多分なかったと思うのです。
 そういう意味では、年金受給者の方で違和感を覚えている方というのも、多分一定数出てきてしまって、そういう方が郵送で通知が届くと、年金事務所とかに問い合わせたり、苦情を出したりするみたいなことも、恐らくは出てくるのだろうなと思います。
 そういう意味では、そういうことが起きると、恐らく業務に支障が出てくるみたいなこともあるかなと思いますので、そういうことがないように、どこを工夫すれば、それが解決できるかというのは、なかなか難しいかなとは思うのですけれども、そういう事態も発生するということも想定しつつ、通知を出すというところに、どこに問い合わせが来るかとか、そういうことも含めて考えていただければなと思います。
 もう一点、今回の取組は、必要なわけなので、国としてやっているわけですけれども、やること自体は、年金業務に直接関係がないということになると思いますので、今回、これをやるに当たっての費用、多分システムの改修とか、郵送代もそうですが、いろいろとお金がかかってくるのだろうと思います。
 その面で、後から問題が生じないように、誰がどういうふうに負担するのかということについても、事前に十分調整をいただいて進めていただければなと思います。お願いします。

○増田部会長 ありがとうございました。
 書留で通知を出した後の様々な問い合わせ対応とか、あと費用については、多分、法施行ですからデジタル庁のほうで計上されているのですかね。いずれにしても、今の御指摘についても対応をよろしくお願いしたいと思います。

○柳沢参事官 承知いたしました。おっしゃるとおり、問い合わせが年金事務所のほうに殺到するという事態は避けるべきだと考えておりますので、問い合わせ窓口をデジタル庁のほうでも用意しまして、そちらのほうに誘導できるようにやっていきたいなと思っております。
 また、費用につきましても、予算要求のタイミングは、もう少し後になろうかと思いますけれども、基本的にはデジタル庁の施策というところですので、デジタル庁のほうで要望をさせていただいて、当然ではございますが、年金財源といったところではないところで手当をさせていただきたいと考えているところでございます。

○増田部会長 続いて、土屋委員、どうぞ御発言ください。

○土屋委員 ありがとうございます。
 1つ質問なのですが、特例制度において年金受給者を対象にする理由として、御高齢の方の登録割合が低いということなのですけれども、年金受給の中には、例えば、遺族基礎年金を受給しているお子さんたちとかもいらっしゃるかと思うのですが、そのお子さんたちも対象となってしまうという理解でよろしいですか。

○増田部会長 質問ですが、これは、どなたが答えればよろしいのか、厚労省ですかね、お願いします。

○小野事業企画課長 年金受給者は、実数で大体4,000万人ぐらいいらっしゃって、その中には障害年金とか遺族年金の受給者もおられますので、高齢者以外の方も含まれておりますけれども、具体的にその中でどの範囲の方にこの通知をするのかというところは、今後、また、デジタル庁さんと相談をしていくことにはなりますけれども、基本的には、できるだけ広く対象にしていくという方向で考えたいと思っていますので、必ずしも高齢者に限られるわけではないであろうと考えております。

○増田部会長 土屋委員、そういうことでございますが、何かございますでしょうか。

○土屋委員 そうなると、やはり、お子さんたちは、自分で意思表示ができるわけではないので、親権者の意思で登録するというような流れになるということですね。

○小野事業企画課長 そうなると思います。

○土屋委員 分かりました。ありがとうございます。

○増田部会長 続きまして、野村委員、どうぞ御発言ください。

○野村委員 ありがとうございます。
 今回のような仕組みというのは、具体的に自分でアクションを起こさないので、登録させないままにしておくというのがいいのか、それとも一旦登録をすることによって、利便性はみんなに享受してもらって、場合によっては、自分は、それは不本意だという人が出て行くという仕組みにするかと、どちらが合理的かということになるのだと思います。
 これを考えるときは、通常はメリットが物すごく多いのに、気づかずに行動していない人が多いということであれば、今、後者のような原則登録してもらって、出てもらうというのが合理的だということなので、先ほどから齋藤委員なども含めて議論していただいた中で、メリットの話がある程度明確になっているのであれば、この方式自体は合理的なのではないかなと思うのです。
 そうなったときに、1つ質問なのですが、今、高齢者の方を対象にして、こういう形を行っていますけれども、メリット、デメリットの話だとすれば、別に高齢者だから、この特例をしなくてはいけないということにはならなくて、本来、そういう形で国民全体に、これはいいことなのだから、特にアクションを起こさない人については、登録を前提とした上で、不利益だという人たちや、ちょっと違和感があるという人たちは出るという形の仕組みにしていくと、こういう方向感のほうが、何か御高齢者の方だけが、おせっかいなことをされているみたいな感じにもなりかねないので、ここは順次そういうふうにしていくという方向なのでしょうか、それとも、あくまでも高齢者の問題だという仕切りになっているのでしょうか、ここだけを教えてください。

○増田部会長 お願いします。

○柳沢参事官 基本的には、年金ということで考えておりまして、それ以外について具体のところを、現段階で考えているということではございません。
 といいますのは、御高齢の方、登録の比率がややほかの世代に比べて下がっているというところを申し上げましたが、ここら辺は推測にならざるを得ないところですけれども、マイナポータル等で御登録をいただくというところに対して、ある程度ハードルに感じられる部分もあるのかなと考えております。むしろ若い世代等につきましては、マイナポータルといったものの認知度を上げていくといった方向で御登録を促進するという方向感もあるのかなと考えているところでございます。
 以上でございます。

○増田部会長 ということで、とりあえずは高齢者を重点的にやると、それ以外の方は、マイナポータルの充実と、今の話は、こういうことですね。
 ということのようですが、野村委員、何かございますか。

○野村委員 それなら結構なのですけれども、ただ、やはり国民全体の議論として考えてみると、それだけメリットがある制度だということを打ち出すのであれば、それは、やはりどの階層であったとしても、基本的にはみんなのメリットになるから、みんな登録するのだと言われたほうが、本当は受け入れやすいのだと思うのですね。
 結局、デジタルデバイドの対応みたいな感じの話になってくると、本当にメリットがあるのみたいな話になってくるところがあると思うので、原則そういう方向でやるのですと、まずは登録の少ない高齢者のほうから行くのですというほうが受け入れやすいような気もするので、ちょっとロジックの問題ですけれども、お考えいただければと思います。
 以上です。

○増田部会長 野村委員、どうもありがとうございました。
 私も、デジタル庁さんとして積極的にというか、積極性を持ってというとちょっと言い過ぎか、十分に表しておりませんので、そういう形でメリットを広く国民に訴えるような、そういう形もこれから必要ではないかなと思いますので、ぜひ、またそういった意見が広くあるということを、また、デジタル庁全体で共有していただいて、今後に向かって進んでいただければと思います。よろしくお願いいたします。
 各委員の皆さん方から、ありがとうございました。ほかに何かございますか、よろしゅうございますか。
 黒田委員、どうぞお願いします。

○黒田委員 黒田でございます。
 今のやり取りにつながるのですけれども、私も高齢者をターゲットにするところに違和感があります。大体こういうことがあると、便乗して悪徳商売をするような業者が出てくると思うのです。私の親も高齢で独り暮らしをしているのですけれども、何かと弱みにつけ込んで、本当に悪徳な商売を吹っかけてくる人が、毎月のように現れます。
 ですので、こういうことが起きますと、恐らく、これをやらないと年金がもらえなくなるから、僕が代わりにやってあげますよみたいなことを言って、何か悪さをする人が続出するのではないかなということを、すごく心配しております。
 ぜひ、その辺の対策を考えていただきたいのと、先ほどありましたように、高齢者のメリットよりも、そういったことのデメリットのほうが大きいぐらいかなと思っておりまして、ですから、公金受取口座の登録を増やすことというのは、ユーザーのメリットというよりは、何といっても、やはり行政の業務効率性が一番大事なポイントなのだろうなと思います。
 ですので、その必要性は感じるのですけれども、そうであれば、やはり高齢でない人たちが、まだ半分ぐらい登録していないので、先々のことも考えると、無理して高齢者の登録を増やすよりも、将来世代の登録率を100%に限りなく近づけるほうが、意味があるのではないのかなということを感じました。
 以上です。

○増田部会長 野村委員も含めて、同趣旨のお話だと思いますので、今の御意見を受け止めていただいて、また、デジタル庁の中で、よく幹部の皆さん方にも伝えて、今後に向けて考えていただければと思います。
 ちなみに、条文を見ていないのですけれども、給付はいろいろあるでしょうけれども、年金受給の関係に限定するというのは、政令か何かで限定するのですか。

○柳沢参事官 基本的には、給付制度は限定しない形で定める。

○増田部会長 法律上は。

○柳沢参事官 はい。

○増田部会長 それで、年金を対象にするというのは、そこは政令か何かで。

○柳沢参事官 そこは、デジタル庁令では、行政機関を経由して登録する場合に、どういったところがというのをデジタル庁で定めるというところはございますけれども、ここは、年金に限るということではなく、ややテクニカルなところで、厚労省というところは、条文上は出てきますので、そこである程度対応は可能かなと。ただ、仕組みとしては、別に年金に限っているわけではなくて、その他の給付制度でも適用が可能な仕組みにはなっているということです。

○増田部会長 なるほど、一応改正法の全体を見ると、そこのところは、一般的に適用可能のような、そういう形で書いてあると。

○柳沢参事官 さようでございます。

○増田部会長 分かりました。多分、今後のことを考えると、やはりそういう作り方がいいと思いますが、ここでの議論をよくまた中にお伝えいただければと思います。
 それでは、ここでの議論、この関係は以上でよろしゅうございますでしょうか。
 それでは、どうもありがとうございました。以上で本日用意しておりました議題は、全てでございますので、今日の審議のほうは、ここまでとさせていただきます。
 次回の日程につきましては、改めて事務局のほうから御連絡をさせていただきますので、本日の会議は、これで終了とさせていただきます。
 本日は、皆さん、どうもありがとうございました。