2020年2月20日 第48回社会保障審議会年金事業管理部会議事録

日時

令和2年2月20日(木)15:00~16:30

場所

AP新橋 4階
東京都港区新橋1-12-9 A-PLACE新橋駅前

出席委員

増田部会長、大山部会長代理、石井委員、岩瀬委員、喜田村委員、斎藤(聖)委員、齋藤(衛)委員、土屋委員、原委員、西村委員、松山委員、山口委員

議題

(1)日本年金機構の令和2年度計画の策定について
(2)その他
 

議事


○上田年金事業運営推進室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第48回「社会保障審議会年金事業管理部会」を開催させていただきます。
委員の皆様におかれましては、御多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
お手元のマイクにつきまして1つ御案内をさせていただきたいと存じますが、御発言いただくときにマイクのボタンを押していただきまして、御発言が終わりましたら、ボタンをもう一度押していただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、早速でございますが、議事進行につきまして増田部会長よりお願いさせていただきたいと存じます。
恐縮ですが、カメラの方につきましては、ここで退出をお願いいたします。
 
○増田部会長 それでは、議事次第に沿いまして、「日本年金機構の令和2年度計画の策定について」を議題といたします。
今日は、前回の部会において各委員からいただきました御意見を踏まえて修正等を行いました令和2年度計画案について、修正箇所の抜粋版として資料1。前回同様、全体版の三段表として資料2。さらに、令和2年度計画(案)のみの単体資料で参考が提出されております。お手元のタブレットで御確認いただきたいと思います。
また、各委員から要請がございました、日本年金機構令和2年度計画(案)の重点取組施策、機構内情報共有の取組について、外部委託管理の実施状況の3つの資料が参考資料1から3として提出されております。これもタブレットの中に入っておりますので、御確認をお願いしたいと思います。
それでは、機構から修正を行いました令和2年度計画案及び参考資料1~3について、続けて説明をお願いいたしたいと思います。
では、よろしくお願いいたします。
 
○田中日本年金機構企画調整監 日本年金機構経営企画部の田中と申します。座って御説明をさせていただきます。
先ほど部会長からお話がございましたとおり、前回の部会におきまして各委員からいただいた御意見等を踏まえまして、令和2年度計画(案)の修正を行っております。
資料1が修正箇所を見え消しの形で抜粋したものになりますので、資料1を基に、まず修正箇所につきまして御説明させていただきたいと存じます。
まず、1ページの項番1でございます。前文につきまして、前回の部会で、これまで今年度の計画を進めてきて、来年度の計画に向けてどういう整理なのかという御質問を委員から頂戴しましたことにつきまして、前回の部会におきまして理事長から御説明さしあげた内容を追記させていただいております。
続きまして、項番2でございます。前回の部会におきまして、年度計画の趣旨も含めて、機構職員にしっかり周知をすべきではないかという御意見を委員からいただきましたことを踏まえて、前文に「背景、趣旨を含めて確実な周知・浸透を図る」という文言を追記しております。
続きまして、項番3につきましては、国民年金の保険料収納対策につきまして、委員から沖縄県を特出ししている理由、状況を記載してはとの意見をいただきましたことを踏まえまして、「他の都道府県に比べ納付率が低い状況にあることから」と追記をしております。
次の項番4、「国民年金の保険料収納対策」のうち、「納めやすい環境の整備」でございます。この環境整備につきましては、口座振替、クレジットカード、コンビニ、インターネットバンキングと4種類あるわけですけれども、表記の平仄が合っていないのではないかという御指摘がございましたので、ほかの箇所との平仄をそろえるという観点から修正を行わせていただきました。
2ページに参りまして、項番5でございます。「厚生年金保険・健康保険の適用促進対策」で健康保険証の早期交付のところにつきまして、委員から「特に」の段落でありますけれども、原則3営業日以内というのは具体的にはどこまでを指しているのかという御質問がございまして、全国健康保険協会へ資格情報を提供するというところを3日以内でということを追記しております。また、さらにシステムの改善による短縮化を目指していきたいということも追記しております。
6番が障害年金の関係でございます。ここにつきましては、②なのですが、委員から、不利益処分等を行う際の理由付記文書を作成・送付することについて、その内容を年金事務所で実際に相談を行っている担当にも伝わるようにしてはどうかという御意見をいただきまして、各拠点への認定結果の情報共有ということと併せて、④に障害年金に係る窓口相談対応のスキルの向上を図るという形で反映をさせていただきました。
7番が、年金事務所での相談の予約制のところでございます。前回、予約の対象とする相談と予約の対象としない相談との区分を設けると申しておりました。まず具体的な例示として、括弧書きで「各種証明書の再交付等簡易な相談」と予約の対象としない相談の例示をしておりますが、併せまして、予約の対象としないということにつきまして、分かりやすくお客様に広報していくという観点から、まずは簡易な相談専用の窓口のモデル実施を行うということで、順次相談窓口体制の整備を進めるという追記をさせていただいております。
続きまして、3ページの8番でございます。事務センターの外部委託のところでございますが、外部委託業務について表記の揺れがあるのではないかということでございましたので、統一する観点から修正をさせていただいております。
9番が「電子申請の推進」のところでございまして、中ほどのポツですけれども、GビズIDを用いた電子申請につきまして、社会保険労務士がGビズIDを用いた電子申請により届書の提出代行をする際の資格確認方法について、関係団体と協議の上で対応すべきではないかという御意見をいただきましたので、追記をしております。
10番でございます。「電子申請の推進」のうち、法人設立のオンライン・ワンストップ化ということで書かせていただいておりましたけれども、政府のほうで策定をされておりますデジタルガバメントの計画の書きぶりに合わせる形で、そこではワンストップ化やワンスオンリー化というものも進めていくとなっておりますので、法人設立や企業が行う従業員の社会保険・税手続についてのオンライン・ワンストップ化、ワンスオンリー化に向けて関係機関と連携して検討を行っていくという書きぶりに修正させていただいております。
11番でございます。監査の関係につきましては、委員からどこが行うのか、内部なのか外部なのかということで整理をしてはという御意見をいただきましたので、(3)につきましては、内部監査部門の取組ということで記載をしております。
4ページでございます。②の監査手法のところの3ポツ目でございますけれども、監査の結果に基づきまして、改善状況の確認をちゃんとやるべきという御意見がございましたので、改めてここに追記をしております。
最後、12番につきましても、個人情報保護の監査のところでも、内部監査なのか外部の監査なのかということで、区分をして整理させていただいております。
以上が、計画案につきましての前回からの修正箇所の御説明になります。
続きまして、参考資料1でございます。日本年金機構令和2年度計画(案)の重点取組施策につきまして、御説明をいたします。
この資料は、前回、委員から年度計画のサマリーがあったほうがいいのではないかという御意見があったことを受けまして、計画の前文にも記載をしておりますけれども、この参考資料1の表紙に下線をつけてございますが、重点取組施策というものを4点定めております。この4点の重点取組施策の概要という形で今回御報告をさせていただきます。
スクロールいただきまして、1ページでございます。
まず1点目、「厚生年金保険及び国民年金の適用・徴収対策事業の妥協なき推進」ということでございまして、(1)が国民年金の関係でございますが、納付率につきまして、現年度は70%台、最終納付率は76%超を目指すということでございます。
その下に対策事項を5つ書いております。個々の中身につきましては前回も御説明を差し上げたことになる部分もありますので、簡潔に説明させていただきますが、まず「納めやすい環境の整備」というところでは、口座振替の勧奨、また、インターネットを活用したクレジットカード納付の導入等を検討してまいります。
「未納者属性に応じた対策の推進」につきましては、新たに未納となった方、学卒者、退職者等、被保険者の状況に応じた分かりやすい催告文書の送付等を行ってまいります。
「若年者への対策強化」につきましては、20歳の職権適用の制度変更を踏まえまして、20歳適用者の分かりやすい制度周知ということと、学生納付特例期間終了時期を捉えた口座振替等の届出勧奨を記載しております。
次に、「無年金者・低年金者の発生防止」につきまして、一定以上の所得を有する方への就労状況調査、また、納付結果に応じた将来の年金見込み額を示した特別催告状の送付等を実施してまいります。
次の「地域の実情を踏まえた対策の実施」につきましては、先ほどの沖縄県の支援策等のお話を書かせていただいております。
(2)が厚生年金保険の関係でございます。3点ございます。
1点目が、「未適用事業所の適用促進対策強化」でございます。この点は、従来国税庁から頂いております国税の源泉徴収義務者情報に加えまして、雇用保険の被保険者情報を活用した具体的な情報に基づく事業主へのアプローチを実施してまいります。また、加入指導・立入検査を強化するための手順の見直し、全国の困難性の高い事案を取り扱う専門組織の設置等を行ってまいります。
2点目が、「適用事業所における従業員の適用漏れの防止、届出の適正化推進」でございます。こちらにつきましても、雇用保険の被保険者情報活用により未加入者がいると見込まれる事業所、短時間労働者を多く使用している事業所等、優先度をつけて調査を実施してまいります。また、大規模事業所への調査を行う専門組織を機構本部に設置いたしまして、本部、事務所間の連携により訪問調査を実施してまいります。
3点目が「滞納事業所に対する徴収対策の強化」でございます。徴収率につきまして、前年度と同等以上の水準を確保するということを書かせていただいております。
2ページでございます。
大きな項目の2点目、「正確な給付の更なる追求」でございます。過去の事務処理誤りの諸課題を踏まえたさらに正確な給付を追求するための取組といたしまして、6項目掲げております。
1点目が「執行体制の強化」でございまして、中央年金センター、また、年金事務所において給付業務を行うお客様相談室の体制の構築を書いております。
2点目が「本部現業部門のリスク把握及び対応の実施」ということで、今年度実施しておりますリスク分析・評価の結果を踏まえまして、本部の給付業務をはじめとした本部現業リスクにつきまして、統合管理を行う部署、また、リスクが大きく、多くのお客様に影響のある事業を専門的に企画から執行まで実施する部署を設置いたします。
3点目が「事後チェック体制の整備」でございます。年金給付の正確性の確保及び給付誤りの早期発見のために、年金の決定内容を検証する部署を設置しまして、事後チェックを実施してまいります。
4点目、「年金給付の請求勧奨の充実」につきましては、これまでの60歳、65歳、69歳到達時に加えまして、74歳到達時にもお知らせを送付してまいります。
次の「障害年金の事務処理体制の強化」でございますが、認定の公平性確保のために複数の認定医が関与する仕組み等を実施してまいるということと、先ほど申し上げましたが、不利益処分を行う際の理由付記文書作成・送付等を行ってまいります。
最後、6点目の年金生活者支援給付金制度につきましては、来年度は2年目になりますので、所得変更があった方などにつきまして引き続き正確な事務を行ってまいりたいと考えております。
重点施策の大きな3点目でございます「デジタルワークフローの実現」につきましては、「紙をなくす」「紙を移動させない」取組の推進ということでございます。対策事項を4項目挙げております。
「電子申請の推進」につきましては、今年4月の電子申請の義務化に合わせたマイナポータルのID、パスワードを使った電子申請の利用勧奨。また、義務化対象事業所及び従業員101人以上の事業所には、訪問による勧奨の実施等を行ってまいります。
2点目が「紙による審査から画像による審査への更なる移行」ということで、厚生年金・国民年金関係の紙審査対象届書につきまして、経過管理・電子決裁サブシステムによる画像審査のさらなる移行を検討してまいります。
3点目が「文書管理の適正化」でございます。お客様から提出いただいた紙媒体の届出書を画像データ化したもの、また、電子申請データ等を原本として適正に管理する方法の検討等を行ってまいります。
4点目、「お客様に送る紙の電子化の推進」につきましては、「事業所版ねんきんネット(仮称)」の構築の検討等を行ってまいります。
最後の4点目が「組織力強化につながる人事制度の実現」ということで、2項目ございます。
まず、1項目めの「適正な人事評価制度の運用」につきましては、人事評価制度につきまして、組織力強化の観点から成果・実績と取組姿勢・貢献のバランスを見直し、職員の納得性の高い評価の在り方を検討してまいります。
2項目めの「無期転換職員の拡大・活性化」につきましては、無期転換職員の専門性の獲得など、組織貢献意欲を高めるための制度の充実。また、事務センターの安全、安定的な体制確保のため、事務センター専任職員の確保を引き続き行ってまいりたいと考えております。
以上が参考資料1についての御説明になります。
続きまして、参考資料2でございます。機構内情報共有の取組について御説明をいたします。
この資料は、前回の部会で委員から、年度計画にございます情報共有の促進の項目に関連しまして、これまで2度の業務改善命令を受けたうち、1度目の不正アクセスによる情報流出事案に関する業務改善命令を受けてどのような対策を講じたのか。その上で、なぜSAY企画の外部委託の事案が起こり、2度目の業務改善命令を受け、また、それを受けてどのような対策を講じているのかという御質問をいただいたことにつきまして、整理をさせていただいたものであります。
1ページでございます。Ⅰが平成27年の1度目の業務改善命令を受けた情報共有の取組ということでございます。
左側に「Ⅰ 業務改善命令」ということで平成27年9月の業務改善命令4項目を載せさせていただいておりますが、このうち、機構内の情報共有に関する項目が点線で囲っております1番と2番でございまして、1番は内部統制のお話でございます。また、2番は情報開示ということでありますけれども、右側に平成27年12月に提出いたしました業務改善計画に基づく主な取組を書いております。大きく3点ございます。
まず、1点目の「本部内の情報共有」につきましては、1つ目のポツですが、理事長、副理事長、常勤理事等を構成員とする常勤役員会を設置いたしまして、経営上重要な案件内容、意思決定過程の共有を図るとともに、組織内の縦割り排除、組織経営に関する合意の迅速化、合議体制の確立、役員間の情報共有の強化等を実施しております。
2点目ですが、本部内の情報共有につきましては責任部を経営企画部と位置づけるとともに、本部の各部室は主要課題の状況につきまして常勤役員会報告を実施しております。
大きな2点目、「本部と現場の情報共有」でございます。
1ポツですが、本部と現場間の情報共有のキーマンとしまして事業推進役を地域部ごとに1人設置いたしまして、現場の実態を直接幹部役職員に報告すること等によりまして、本部と現場の情報共有を促進しております。
2点目、個々のお客様対応の状況など、実際に現場で起きている主要な事柄をより迅速に把握するため、日報と申しております事務所長と拠点長から本部への業務報告を日次で実施しております。
3点目、報道発表事項やマスコミ等に取り上げられた事項につきまして、お客様から照会があった場合に円滑に対応できるよう、原則として即日現場に対応方法等を伝達する体制を確立してきております。
大きな3点目が「厚生労働省との情報共有」でございます。
1点目が、厚生労働省年金局と機構双方の幹部による定例の連絡会議の開催などによりまして、課題の進捗状況、問題点等についての共有を実施する。
2点目は、厚生労働省年金局職員と機構職員の相互の人事交流の拡大。あと、厚生労働省職員の機構本部への常駐によりまして、連携、相互理解を促進するということを報告しております。
次の2ページでございます。Ⅱが平成30年の2度目の業務改善命令及び調査委員会の報告書を踏まえた情報共有強化の取組ということでございます。
まず、上の四角の囲みにございますけれども、この外部委託に係る事案につきましては、本部の担当部門におきましてリスクがリスクとして認識されず、本部組織としての危機感の共有がなされなかったため、結果として組織対応への着手が遅れることとなった。平成27年9月の1度目の業務改善命令の対応につきましては一定の成果があったと考えますけれども、この事案を踏まえますと、本部現業・外部委託におけるリスク管理・情報共有体制に不備があり、対応が不十分だったと認識しております。
この点につきまして、この2回目の業務改善命令におきまして、日本年金機構における業務委託の在り方等に関する調査委員会の報告書を踏まえた見直しが求められたということでございます。
下の左側は業務改善命令の抜粋ということで、1番、日本年金機構の業務委託につきまして、総合評価落札方式の適用を原則化、全省庁統一資格の本来等級の適用の原則化、インハウス型委託の推進等、この調査委員会の報告書で提言された対応策に着実に取り組むこととされております。
次の真ん中の囲みが調査委員会報告書に関してなのですけれども、内容は多岐にわたる報告書でございますが、ここでは情報共有等に関する主な指摘事項を載せさせていただいております。
1点目が、機構の担当部署においてはSAY企画の履行能力に問題意識を持ちながらも別の業者に切り替えることは現実的に難しいとの認識の下で、源泉徴収事務に支障が生じないよう、SAY企画に期限までの納品をさせることに注力していたことから、問題の全体像の把握・組織としての期間の共有が図られなかった。もっと早い段階で組織的に情報を共有し、組織を挙げた対応に切り替えることができず、深刻な事態を招いたことは真摯に反省すべき点である。
2点目としまして、事業の管理体制が事業担当部署中心で行われ事業遂行が優先されたということを踏まえまして、調達部・リスク統括部・監査部を含めた組織的チェック体制を確立すべき。
3点目として、履行中に問題が発生した場合の組織的な情報収集体制を構築すべき。
4点目としまして、調達、外部委託実務に精通するような人材の育成というような指摘をいただいておりまして、その下の報告書の提言の抜粋の中でも、そうした体制の確立、人材の育成等につきまして提言をいただいているところでございます。
右側に、それを受けましたこれまでの主な取組を大きく3項目に分けて記載させていただいております。
大きな1項目めが「本部現業のリスク管理の取組」でございまして、これまで本部現業の事態把握ということでリスクの把握・分析・評価を実施しまして、本部現業の体系的な整理を行ってきております。令和2年度におきましては、この整理を踏まえまして、本部現業の執行体制の見直し、リスクマネジメント体制の確立等を図ってまいります。
大きな2項目めが「組織体制・情報共有体制の強化」でございます。1点目が、年金個人情報を取り扱う業務の外部委託につきまして、事業全体の総合調整及び外部委託事業の適正な実施を管理する部署としまして、調達企画部というものを設置しております。
2点目、外部委託管理監査及び外部委託先監査を実施する体制につきまして、監査部にグループを新設して体制を強化しております。
3点目、事業担当部署が行った委託業者の検査等の内容につきまして、調達企画部においても審査を行いまして、問題を把握した場合はリスク統括部を通じてリスク管理委員会へ報告する取組を実施することで、本部内情報共有の取組を強化してきております。
大きな3項目めが「専門的分野における人材の育成」でございます。業界動向、最新技術等の調達環境を把握し、調達分野を専門とする人材の育成を図るため、外部研修の受講をこれまで実施してきております。令和2年度におきましては、専門性が求められる分野の業務を長期的に担当する職員を選別するため、キャリアと評価をリンクさせたデータベースの構築に着手して、専門分野に精通した職員を育成するためのキャリアパスの仕組みにつきまして検討してまいりたいと考えております。
最後の3ページにつきましては、第39回、平成30年10月の当部会に提出をしております調査委員会の報告書と、業務改善命令についての資料の抜粋を参考資料としておつけしたものでございます。
私からの説明は以上でございます。
 
○竹中日本年金機構調達企画部長 日本年金機構調達企画部の竹中でございます。
お手元の参考資料3、外部委託管理の実施状況につきまして、着席して説明させていただきます。
この資料につきましては、前回部会で委員から、年度計画にある「外部委託の活用と管理の適正化」の項目の外部委託の管理について、どのように適切に実施していくのかとの御質問をいただきましたので、整理をさせていただいております。
まず、1ページ目を御覧いただけますでしょうか。
この表につきましては、左から29年8月のSAY企画との契約当時のルール、真ん中に30年8月以降の調査委員会の提言を踏まえた要領等の改正後のルール、右側に令和2年度の実施ということで記載をしております。また、縦は契約が締結された後の委託管理等の項目という構成にさせていただいております。
それでは、1項目めの「履行開始前検査」から御説明させていただきます。履行開始前検査につきましては、29年8月当時は履行開始前に打合せを実施すること、事業担当部署の指定する日までに作業員名簿、守秘義務契約書を提出することは定めておりましたが、履行体制に関する履行開始前検査の実施については定めておりませんでした。
30年8月以降、調査委員会の提言を踏まえ、従前の規定に加えまして、履行開始日の10日前までに運用仕様書に記載された履行体制、履行方法、情報セキュリティ体制等を準備させることとともに、この準備ができているかどうかの確認を履行開始日の3日前までに実施することと定めております。また、履行開始日の前日までに不適事項の改善が確認できない場合は、業務履行を開始させないということを仕様書において定めております。
2項目めの「履行中検査」でございますが、29年8月当時は、履行中検査の実施については定めておりましたが、内容としましては、情報セキュリティ体制の検査が中心となっておりました。業務開始後、新規の事業者は1カ月以内、既存事業者については3カ月以内に検査を実施することとしておりました。
30年8月以降は、情報セキュリティ体制に加え、履行体制、履行方法等の検査を実施することとし、検査につきましては原則履行開始1カ月以内に実施することとしております。
3項目めの「履行中管理」でございますが、会議を毎月1回開催することを定めておりましたが、会議における確認項目についての定めはありませんでした。
30年8月以降、毎月1回開催する定例会議における確認項目、確認項目の確認方法、議事録の様式について定めております。
4項目めの「納品時検査」でございます。納品時の検査につきましては、29年8月当時は品質及び数量の検査をすることは定めておりましたが、具体的にどのような形で、どのような手法でやるかという定めがなく、事業担当部署に委ねられていたということでございます。
30年8月以降につきましては、納品時検査の手法を事業担当部署が定め、その内容につきまして、調達管理部が適正な検査が可能であるかの審査、承認をすることといたしました。
5項目めの「履行後検査」でございます。29年8月当時は、外部委託業者から提出された「個人情報等の返却・廃棄等に関する報告書」の確認を行うことで、検査としておりました。
30年8月以降につきましては、個人情報等の返却または完全な消去・廃棄の確認項目について検査調書に追加いたしまして、事業担当者が検査を実施した後、調達企画部がその結果の確認を行い、必要に応じて事業担当部署に再検査の実施を指示することとしております。
一番右側の令和2年度の取組でございますが、令和2年度につきましては、①から⑤ということで、①の履行開始前検査で、履行体制、履行方法、個人情報等の保護及び情報セキュリティ体制を整備して、外部委託業務を適切に行うことができるかの確認。②としまして、履行中検査で履行開始前検査において確認した内容の遵守状況が適切であるかの確認。③定例会議の実施や監督職員等の業務管理で、履行中に仕様書等のとおり外部委託業務が実施されているかの確認。④納品時の検査で納品成果物が適正かどうかの確認。⑤としまして、履行後検査で、外部委託業務の履行終了後に個人情報等の返却・完全消去または廃棄の状況の確認を適切に行い、令和2年度も継続して、外部委託業務の管理を実施してまいりたいと考えております。
中段に記載しております事務センターの外部委託業務管理の強化についてでございますが、外部委託業務の管理につきましては、現在、事務センターでは各グループの監督職員等が実施しておりますが、専任の職員、監督職員を配置することによりまして、履行中の外部委託業務の管理の強化を図ることとしております。
参考としまして、令和元年度12月末現在での履行前検査等の件数を記載させていただいております。
2ページ目を御覧いただけますでしょうか。
1つ目の項目としまして「組織的管理」、先ほども御説明がございましたが、29年8月のSAY企画当時につきましては、履行開始前、履行中に問題が発生した場合、リスク統括部への事件・事故・事務処理誤り報告を事業担当部署が行うこととしておりました。しかしながら、コンティンジェンシープランや緊急を要する場合の対応についての定めはございませんでした。
30年8月以降につきましては、事業担当部署に加え、調達各部が各検査の実施結果及び定例会議の議事録を確認し、問題の兆候を把握した場合には、リスク統括部の報告を事業担当部署に指示することとしております。報告があったリスク統括部のほうでは、報告内容によりまして、リスク管理委員会(緊急を要する場合はリスク管理委員会の委員長)に報告し、コンティンジェンシープランの発動や特別監査の実施を判断することとしております。
令和2年度におきましては、令和2年度も継続して調達企画部が各検査の実施結果及び定例会議の議事録を確認し、問題の兆候を把握した場合にはリスク統括部への報告を指示するなど、組織的に管理を行っていきたいと考えております。
最後に、「監査」の項目でございます。29年8月当時は事業担当部署による外部委託業者の管理が適切にできているかということで、管理状況についての監査を行っておりましたが、外部委託業者自体を監査する体制は構築されておりませんでした。
30年8月以降、外部委託監査要領を制定し、監査部内に新たに監査第3グループの設置を行い、事業担当部署による外部委託業者の管理状況の確認(外部委託管理監査)と、外部委託業者における履行体制・履行方法・情報セキュリティ体制等のルールの準拠性の確認(外部委託先監査)を実施することとしました。また、優先度の高い外部委託契約を選定しまして、外部委託先監査において外部専門家を活用した監査を実施することとしております。
令和2年度の取組でございますが、令和2年度の追加事項としまして、委託要領(手順書)等が個人情報取り扱う上で十分なセキュリティを備えているかの検証・提言。2ポツ目で、外部委託の全般に係る課題の提言。3ポツ目で、監査の結果、事業担当部署内の横展開などに取り組むということとしております。
私からの説明は以上でございます。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
ただいま、資料1から参考資料3まで続けて説明いただきました。
それでは、これまでの説明内容について、各委員の皆様方から御意見、御質問等ございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
では、岩瀬委員からお願いいたします。
 
○岩瀬委員 いろいろ御説明いただいたのですが、私は非常にいろいろな疑問があって、特に、令和2年度計画において「制度を実務として正確かつ公正に運営し、正しく確実に業務を行っていく」と前文に書かれていますけれども、これは作文ではなくて本当に実践できるのかという疑問があります。
今の説明いただいたことと若干重複するかもしれませんが、お聞きしたいのですけれども、SAY計画の問題が発生した後に、年末に内部通報窓口にメールがあって、1月6日に特別監査をして違反を確認するわけですね。違反を確認した後、1月15日に契約違反をしたSAY企画に7,100万円の報酬を払っているのだけれども、契約違反を確認した後なぜ払ったのかということがよく分からなくて、一昨日の事前説明でも話を聞いたのですけれども、全然よく理解できないです。
この7,100万円をなぜ止められなかったのかということについて、機構の調査委員会は一切調査していないのです。リスク統括部において事故が起こった場合の情報共有ができるという体制がありながら払ってしまった。国民に対して被害を拡大した。これに対してなぜなのかということと、こういうことが二度と起こらないための対策というのはきちんと立てられているのかどうか、それをお聞きしたいのです。
 
○増田部会長 それでは、理事長さん、お願いします。
 
○水島日本年金機構理事長 まず、今の御質問にお答えしたいと思います。
確かに1月15日に7,100万円の支払いをしております。その経緯でございますが、7,100万円は12月22日までに納品をされました約558万件に対しまして対価を支払ったということでございます。この検収等に関しましては12月28日に終了いたしておりまして、その後は支払部門において具体的な手続に入っていた状況にあったということでございます。
一方、御指摘のとおり、12月31日にメールをもらいまして、1月4日に私のところにそのメールの報告がございました。即座に、土曜日で休みでございましたが、1月6日に特別監査を命じました。その時点で、SAY企画の説明で確かに中国に外部委託がされているということについてはヒアリングをしたということでございます。
その後、10日と12日に実際にIBMを連れて、SAY企画の実機の検証等も行って、確かに出ているということが明らかになった。
その上で、1月の末、31日から2月2日にかけて現地中国の実査を行った上で、最終的に事態を把握したという状況にございます。
そういう意味で、12月28日に担当部の手続が終了いたしておりましたので、その件に関しましては、私のところに報告はございませんでした。
しかしながら、もしその時点で報告があったとしてもということでございますが、当時、2月の支払いに向けて、全体が1,300万件程度ございましたけれども、その処理を進めている段階でございまして、その支払いを行わなかった場合に、多分SAY企画の事業の継続は難しかったと思います。
そういう意味で、まだまだ2月の定期の支払い、あるいはその後に御提出いただいた扶養親族等申告書の処理が残っておりましたので、そういう意味でお客様に御迷惑をおかけしないという意味では事業を継続させる必要があったと、当時でも多分認識しただろうと思います。
したがいまして、現時点で振り返ってみましても、その時点の支払いはやむを得なかったと思います。
その後、1月15日以降に源泉徴収表の送付をいたしておりまして、お客様からのお問合せがかなり増えてまいりました。その時点から実際の調査を開始したわけでありますが、それ以降については、支払いは行っていないということであります。
 
○増田部会長 今のともう一つ、そういった事実関係や経緯を踏まえて、今日お出しいただいているこの令和2年度の計画は、様々なSAY企画の問題等を踏まえた形できちんと対応できるような計画になっているかというのが後半のほうの質問だと思いますが、そちらも。
 
○水島日本年金機構理事長 当時、その検討を組織的に行わなかったということについては大きな反省点だと思います。
そのような支払いが担当部の判断のみによって行われないような仕組みをつくらなければならないと考えておりまして、今回のルールの改定によりまして、支払いの内容について調達企画部が確認をした上で、その確認をしなければ支払いを行わないというルールにいたしております。その時点でもし問題が把握された場合には、もちろんリスク統括部、あるいは私のところに報告が行われるというルールになっておりますので、今後はこのような事態が起きないと考えております。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
岩瀬委員、何かありますか。
 
○岩瀬委員 支払いの経緯を見ますと、普通、機構のルールに基づけば、検査調書を作成して、請求書が出て、それで支払いが始まっているわけですね。この12月分は請求書が先に出て、その後、検査調書が作られている。過去のものを見ると、検査調書が作られて、請求書が作られている。その辺もイレギュラーなのです。
それと、検査調書が作られてから2カ月以内、大体1カ月後に払うのです。ところが、この12月分、SAY企画の事故があったものに関してですけれども、仕事始めがあって10日後に払っている。非常に異例のスピードで払っているわけです。なおかつ、特別監査は3回入っているわけです。中国も行ったのはいいとしても、12日の特別監査でほぼ確定したと。理事長は、1月6日の段階で違反を判明したと衆議院厚生労働委員会で言っているのです。
外部委託事業者が契約に違反した場合は、契約を解除しなくてはいけないということが契約書と会計規則にも書いてあるわけです。この12月分に関しては全て処理が終わっているわけですから、これで払わなかったからといって2月の支払いに影響が出るということはあまり考えられないのですけれども、これはなぜ払ったのですか。
 
○水島日本年金機構理事長 まず、私どもの支払いのルールでございますが、月末締めの15日払い、15日締めの月末払いというサイクルでございます。
したがいまして、本件に関しましては、12月28日に決裁が行われておりますので、1月15日に払うというのはルールに沿った支払いだということでございます。
もう一点、支払わなかった場合に事業が継続できなかったということはないのではないかという御指摘でございますが、当時、財務状況を正確に把握していたわけでございませんので、必ずしも確定的なことは申し上げられませんが、この支払いを行わなかった場合に、少なくとも2月6日にSAY企画の委託の解除をいたしております。
正確に申しまして、1月9日から新たな業者がいないかということは選定に入っております。しかしながら、なかなか新たな業者がいなかったというようなことがございまして、その事業を進めざるを得ないということに関しては選択肢がなかったということでございます。
 
○岩瀬委員 1つだけ、この問題はもういいので、別の新しいのを。
 
○増田部会長 当時の事実関係と今日の議題と少しずれたような気もするので、これで最後にしてください。
 
○岩瀬委員 すみません。
今の話の追加は後で聞くようにしますけれども、令和2年の年度計画はきちんとできるのかどうかという問題意識を聞いているので、もう一つ質問をしたいのですけれども、特別監査が入ったときにIBMも一緒に入りますね。IBMが入ったとき、IBMの調査目的というのは、情報持出しのことしか調べていない。本来、氏名と振り仮名の2情報だけが中国に行っているのか、あるいはほかの情報も行っている可能性はないのかを調べなかった理由は何ですか。これだけちょっと教えていただけますか。
 
○増田部会長 では、これで最後にしますので、理事長さん、もう一遍だけ。
 
○水島日本年金機構理事長 情報流出が行われたかどうかについては、まず、2情報であったかどうかについては確認をいたしております。その他、中国のインターネット環境の中でそのような事実がなかったということについても確認をいたしております。
 
○増田部会長 これはよろしいですね。
いずれにしても、今、検証作業班のほうで検討している事柄とオーバーラップすることでもあるので、今の関係はここでおしまいにしておきたいと思います。
それでは、ほかの委員の皆様方から、今日御説明の計画(案)についての御質問、御意見等がございましたらお願いいたします。
石井委員、どうぞ。
 
○石井委員 外部委託管理の実施状況の資料についてです。
1つは、監査第3グループというものの人員数とその人たちのキャリア、それから、この監査部自体の全体の人員数、そして、この調査委員会の提言の中で、このために新たに監査グループを設置しろということを明確に要望していたかどうかということに関するお答え。
それから、資料を拝見すると、令和元年度の検査の実施状況については何か記載があるのですが、例えば履行開始前で189件検査をして、そのうち8件、あるいは履行中322件中19件が不適合だったという記載がしてあるのですが、それでは、この監査第3グループは、監査をした結果どうだったのかということについての実績報告はどうなっているのだろうかと、ここまでが質問です。
ここからは意見なのですが、履行開始前検査があって、履行中検査があって、管理があって、納品時の検査があって、履行後の検査があるということで、5項目ぐらいのタイムスケジュールの中で段階的に検査を非常にしっかりやっていただくという体制になっているかと思うのです。今まではそうではなかったということで大変結構なことだと思うのです。
今回のSAY企画の一番大きな問題は、履行前のしっかりとした検査や履行中の検査が本当にきちんとやられていたならば、多分ここまでの問題にはならなかったのだろうなということで、監査のグループを結果として事後的につくって、全部終わった後に監査するグループをつくるというよりも、でき得る限り履行開始前検査や履行中検査に集中してエネルギーを投入すべきではないかなと私は思っています。
これはとても屋上屋を重ねるような事柄で、私としてはあまり理解ができません。監査第3グループとは一体何なのかと。そこではないのではないかと思っております。
以上です。
 
○増田部会長 御質問と、後半は御意見でございました。
どうぞ、お願いします。
 
○水島日本年金機構理事長 監査第3グループをつくるべきだということまでは調査委員会の報告書では言っておりませんが、現場、リスク統括部及び監査部門が共同して適正な事業の実施に努めるべきだという御意見でございました。
御質問の、今、どういう陣容なのか、どういう資質あるいは経歴の人がいるかということについては、今は手持ちがございませんので、また改めて御報告します。
 
○増田部会長 それはまた後日、資料でお願いします。
 
○水島日本年金機構理事長 監査の屋上屋ではないかという御指摘でございます。こうなった経緯は、まず率直に申し上げて、石井先生のおっしゃることは私も理解ができると思います。
いかに効率的に屋上屋を重ねたことをやらないようにしていくかということが重要だと認識しておりますが、残念ながら、現時点で事業担当部による履行前検査、履行中検査がきちんと行われたかということについても、一定の監査による検査を行わないと、十分にできているかということについては、まだ改善すべき点が出てくると思っております。
本来、検査の充実を図ることによって、担当部門の目的を達すべきだという御指摘についてはそのとおりだと思いますので、それに努めてまいりたいと思いますが、いましばらくこの体制を維持した上で、大丈夫だろうというしかるべき時期に体制の変更を行いたいと考えております。
 
○増田部会長 という御意見でございますので、やや暫定的な部分もあるかもしれませんけれども、とにかくこれで慎重を期してやっていきたいということです。これはこれで、機構の考え方ということになると思います。
それでは、ほかに。
西村委員、どうぞお願いします。
 
○西村委員 事前説明のときにも申し上げたので、御担当の方は御準備しているとは思うのですけれども、一つはまず感謝で、重点取組施策やペーパーは非常に分かりやすくまとまっていますので、ありがとうございましたということは申し上げておきたいと思います。
その上で、2つほど念押しというか確認がありますので、申し上げたいと思います。
もともとの計画の三段表の21ページに「(5)徴収業務に関わるシステム化の推進」とあるのですけれども、前回のときに業務システム刷新の実施状況のロードマップの表で、この徴収業務に関わるシステム化の矢羽が、令和2年10月から利用開始みたいな表記があったので、これはそのことですか。もしそのことであれば、いつからどうやるのだというものが分かっているので、そこをきちんと書く、もしくはそういう風情のこと、ものづくりの世界ですのでいろいろ遅れることもあると思いますが、分かっている範囲のことはきちんと計画として盛り込んでいただいたほうがいいかなと思いますので、そこは御覧いただいて改めていただければと思っております。
2つ目、同じ業務システム刷新の実施状況のペーパーの4ページには、「令和2年度中を目途に本格開発に向けた対応方針をまとめる」と書いてあります。
今、この令和2年度の計画を議論しているわけですから、令和3年に向けては、令和2年度中にシステムのというか、フェーズ2だけではないですね。方針をまとめられては、令和3年に向けて何をやるのですかという議論が間に合うのかという疑問がありますので、9月で一旦委託業務が終わると書かれていますので、そこはきちんと令和3年計画に向けて議論ができる状況まで持っていくということを、別に計画に書けとは言いませんが、ここでできるのですよねと念押ししたいと思いますので、御担当の方にはできると言っていただきたいなと思います。よろしくお願いします。
 
○増田部会長 今の点は事前レクのときもお話があった件のようなのですけれども、いかがですか。機構のほうでどなたが担当しておられるのか。
それでは、お願いします。
 
○大西日本年金機構理事(事業企画部門担当) 恐縮です。御指摘の点を正確に理解しているかどうかちょっと自信がないのですけれども、第1点目の徴収業務に係るシステム化の推進につきましては。
 
○水島日本年金機構理事長 では、お答えします。
徴収ツールの点については、今、ツールの統合を予定いたしておりまして、これはフェーズ1の中というよりも、いわゆる現行システムの中で強化をしていくというテーマだという理解しております。
それから、来年に向けての準備が大丈夫か、あるいは令和3年度に向けてどういうスタンスで臨むのかという御指摘ではないかと思いますが。
 
○西村委員 いいですか。
今般の御報告に関しては、そのときは12月末にフェーズ1の再定義の範囲を確定しましたと。それを踏まえて御報告いただきましたというふうに受け取っております。チャーターの検証もきちんとそれをもって改訂したという御報告を受けたと思っているのですが、ということは、そこで来年度やられることについては、計画のほうに盛り込まれるのですよねという中で、具体的な日付を書いているのが1点目のものだけでしたので、これはそういうことですかと。もしそうでしたら反映したらいかがですかという話になります。
それから、引き続き見直しをされますというお答えもいただいたと記憶しておりますし、検証にも書いてあります。ということは、来年の今頃もフェーズ2の状況を踏まえてフェーズ1の再定義をしますということになると、フェーズ2の方向性の取りまとめが令和2年度中だと、来年の今頃、令和3年の計画に何が盛り込まるか議論ができないということになるので、そこについては議論ができる状況になるということでよろしいですねという御確認をしております。
 
○増田部会長 理事長さん、どうぞ。
 
○水島日本年金機構理事長 まず、フェーズ1の再定義とフェーズ2との関係は、フェーズ1の再定義とフェーズ2がもちろん関連している部分はございますけれども、基本的には別の問題です。
ですから、フェーズ1の再定義の中でやっていくべきテーマについては、現在、2年度について計画を固めておりますが、3年度以降についても一定の方針をつくりつつあるという状況であります。
それから、フェーズ2に関しては、何度か御説明申し上げていると思いますが、今年度は開発準備工程をやって、基本設計の見直しを行ってまいりますので、当然そこから令和3年度でやらなくてはいけないことというのはおおむね帰結として出てまいりますので、それは令和3年度に向けて令和2年度をきっちりやるということだと思っております。
 
○西村委員 それは承知しておりますが、前回出た紙で2年度中に方向を決めますとありますので、それでは来年の今頃、計画についての議論ができないのではないですかということをお伺いしています。
 
○増田部会長 今の理事長さんのお答えは、だからそれはちゃんとやりますということですよね。
 
○大西日本年金機構理事(事業企画部門担当) フェーズ1とフェーズ2の話で、先生が御指摘になった最初の21ページは、フェーズ1の話でございました。これにつきましては、さっき御指摘になったのだと思いますけれども、プロジェクト検証の見直しのロードマップの中でツール集約等の取組を進めていくということをフェーズ1として盛り込みまして、そのことがこの21ページ目に書かれているということなので、これは先生がおっしゃるとおり、ちゃんとやっていきますということでございます。
3年度の取組は、今、御審議いただいている全体資料は2年度計画で2年度にやる取組について書いておりますけれども、3年度やることにつきましても、また今後2年度やっていった取組が進捗する中で、来年度計画に適切に盛り込むようにまた御審議をお願いしたいと考えておりますので、ほかにもきちんと先生の御指摘を踏まえて考えていきたいと思っております。
 
○西村委員 なので、年度末ということではなくて、この議論に間に合うようにきちんとやっていただけるということですね。
 
○大西日本年金機構理事(事業企画部門担当) 来年度計画に反映できるように、また進捗を報告してまいります。
 
○西村委員 分かりました。
 
○増田部会長 それでは、委員の皆様方、ほかにこの計画についてはございますか。
山口委員、どうぞ。
 
○山口委員 資料1、修正のダイジェストをお示しいただいているところに関してですが、私は項番6と7に関する意見を事前にお伝えさせていただいておりまして、反映していただきましてありがとうございます。
少し補足といいますか、質問をさせていただいた趣旨ということで確認させていただきますが、6番の「障害年金の事務処理体制の強化」について、判断の結果を拠点にも共有していただくという記載を追加していただいております。これは今日も議論になっております情報共有ということで、本部と現場が一体となって業務の運用を進めていくということにもつながる部分であります。
それから、項番2の修正です。年度計画を拠点に対しても趣旨や背景を含めて周知・浸透を図るという、現場の業務のプロセスとしてそれを理解し進めていくということともつながりがある部分と理解をしております。
本部と現場は、これまで一体的に業務を進めていけるように関係を強化しているところですけれども、やはり物理的には離れておりますので、実際の日々の業務の中でプロセスにつながりがあって、それが国民に対するサービスとして一体として提供されるという意識というのは、日々の業務の中でもそれを心がけていく必要があると考えておりまして、国民顧客の側からしますと、ここの部分では申請の受付をして、認定はまた別のとこでやりますよと言っても、顧客から見れば一緒に見えるので、そこの部分は窓口で担当される方が一通りのことを知っているという状況も大事なのではないかと考えておりますので、この辺りは丁寧な取組をお願いしたいと思います。
もう一つの7番目の年金事務所での相談ということで、予約制を拡充してきているということで、窓口の対応につきましては、予約制をより前面に出して今後も対応を進めていくということですけれども、相談枠を有効活用するという部分と効果的に相談対応をするという両面があると思っております。
そういった意味では、そもそもお客様10か条の中にも30分以内、待たせないという約束事も書かれているようなところもありますけれども、相談の中身によって予約が必要なのか、必要ではないのかというところも含めて、対応の仕方を考えるというのは今後も課題としてあると思いますので、例えば手続自体はそんなに時間がかからないのにすごく待たされるとかというのも具合があまりよくないですし、そういう意味で、窓口対応の在り方という中でどういう組み合わせでやるのがいいのかということは、今後も考えていただきたいと思っております。簡易な相談のモデル実証といった実施と検証をしながら、体制の在り方については今後より考えていただきたいと思っております。
以上です。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
御要望中心ですけれども、今の関係は何かございますか。
 
○石倉日本年金機構理事(年金給付業務部門担当) 御意見ありがとうございます。給付部門担当でございます。
今、障害年金のお話をいただきました。確かに障害年金につきましては、本部と特に年金事務所が一体となって、お客様の相談から決定に至るまでのしっかりとした管理をやっていく必要があると思っております。
たまたまこの理由付記につきましては、昨年、訴訟を契機に丁寧な不利益処分の理由を、お客様にちゃんと御提示しなければいけないというところで取組を進めております。昨年から試行実施を始めまして、今、何とか順調に進めておりまして、この4月からその範囲も拡大して、より丁寧にお客様にフォローしていこうと考えております。障害年金は国民の皆様から非常に注目度の高い制度でもございますので、しっかりと機構として責任を持って進めてまいりたいと考えております。
また貴重な御意見もいただきたいと思います。今日はありがとうございます。
 
○増田部会長 年金相談のほうも先ほど御要望がございましたが、そちらもよろしいですね。
それでは、お願いします。
 
○町田日本年金機構理事(事業推進部門担当) 御質問ありがとうございます。事業推進担当の町田でございます。
ここにも書いてございますけれども、今後、モデル実証をしっかりやりまして、よく検証しながらよりよい体制整備をやっていきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
それでは、ほかに何かございますか。
原委員、どうぞ。
 
○原委員 ありがとうございます。
私は何回か申し上げていることでございますけれども、この機構は何年かに一度大きな問題が起きて、対応を検討する。その度に組織風土やガバナンスの問題が指摘されるということが繰り返されてきました。今日御説明もいただいたように、理事長以下も必死でこの問題に取り組んでいらっしゃることは理解した上で、私がどうしても心配をするのは、またしばらくして同じようなというか、また問題が起きてそこで検証をすると、これまで起きてきた問題については個別には対応していたのだけれども、やはり組織風土が改善し切れていませんでしたということになりやしないのかというところを危惧するわけです。
その観点でいうと、先ほど石井委員が御指摘されたような問題提起は大変貴重で、平成30年のときのような問題を受けて、監査第3グループのような組織をつくってよしとするのではなく、その運用状況や結果を検証して柔軟に見直していくということはぜひやっていただければと思います。
もう一点、これも私は以前から難しい課題だと思いますが、と言いながら申し上げているのですが、組織風土をどう改善してきたのか。チェックできる仕組みというのはぜひ継続課題として御検討いただけたらと思います。
以上です。
 
○増田部会長 それでは、これは理事長さん、どうぞ。
 
○水島日本年金機構理事長 大変貴重な御意見をありがとうございます。
おっしゃるとおりだと思っておりまして、ただ、この組織をいかに実務組織にしていくかということが基本だと考えており、そういう意味で、実務をきちんと回す仕組みが組織全体としてできているかということと、それがきちんと実行されるかということでありますが、仕組みはかなりつくってきたと思います。
しかしながら、前回申し上げましたが、正規職員が1万人、有期・無期雇用職員が約1万、外部委託職員が約1万人と、約3万人の組織でございます。約3万人の組織が、常に間違いを起こさないように、あるいは問題が発生したときに即座に報告をする、そして対応していくという組織になっていくためには、職員をどのように、より目的に沿った行動あるいは意識にしていくかということが重要だと思っておりますが、これは気を緩めずに、しかし、それぞれの管理者がその目的を理解してきちんと仕事をしていくということを毎日続けるしか基本的にはないと考えております。ここは実務の組織でございますから、実務をきっちりやらせるということに関して、決して妥協なく対応していくということが肝要だと思います。
組織風土に関してでありますが、組織風土というのは、今申し上げたように、どのようにして正確にきちんと国民の御期待に添えるような仕事ができるかということについて、一人一人の意識をつくり上げていくということでございますので、いわゆる世の中でいう組織風土というようなものよりもより厳格なものとして捉えていく必要があると思っております。
いずれにいたしましても、気を緩めますと常に何か問題が起きるという組織であることは事実だと思っていますから、これをきちんと運営するということについて、管理者も含め自らを律していくということが最も大事なことだと思っています。
 
○増田部会長 今の点についてはよろしゅうございますか。
ほかに。
土屋委員、何かございますか。それでは、土屋委員、どうぞ。
 
○土屋委員 1点だけ、最初のほうで、20歳到達者に対して「動画による制度説明等分かりやすい制度周知を工夫する」というような記載があるかと思うのですが、こちらについて、今の段階で具体的な対策が決まっているのであれば、もう少し具体的に書いていただきたいと思っています。
どうしてかというと、制度説明と書いてあるのですけれども、国民の皆さんは制度が知りたいわけではないと思っています。なぜかというと、職業柄、年金はどうして納めなくてはいけないのかと聞かれることがよくあるのですが、若い人たちに対して、どうして年金制度が必要なのかというところから説明をしていただける仕組みがあるのであれば、それを計画に具体的に盛り込んでいただきたいと思います。実際にあるのでしょうか。
 
○増田部会長 それではまず、今、やろうとしていることについて、初めに。
 
○長田日本年金機構理事(事業管理部門担当) 御意見いただきまして、ありがとうございます。事業管理部門担当理事の長田でございます。
まず、今回動画による制度周知という計画を入れさせていただいた趣旨につきましては、最近の若い方の行動原理を見たとき、なかなか文書を送っても読んでいただけないとか、あるいは文章でもなかなか十分に理解をしていただけないといったようなことがあろうかと思います。また、インターネットの世界の中でも、今や若い人はGoogleとかよりはYouTubeで情報を得ているというようなこともありまして、一つ効果的なアプローチの手法として動画、YouTubeのチャンネルをつくっていこうというのが根っこの発想でございます。
ただし、その際に具体的にどういうコンテンツをつくっていけばいいのか。要は、これまではどちらかというと我々の側が我々の目線で伝えたいことというような感じ。そうではなくて、先生に御指摘をいただいたように、受け手が知りたいことや教えてほしいことといった目線でこの動画コンテンツも考えていく必要があるだろうと思います。また、仮にいいコンテンツをつくったとしても、それを実際に見ていただけるような仕掛けということも併せて考えないといけないと思っております。
総じて申し上げまして、今の段階ではそういった問題意識のレベルでございまして、これは年度計画に入れるわけですので、来年度中には必ずしっかりつくっていくことであるのですけれども、どういったアプローチが効果的か、学生の方などとの意見交換などの機会も予定しておりますので、その辺りのことをしっかり具体的に見定めた上で対策に取り組んでまいりたいと思っております。
貴重な御意見、ありがとうございました。
 
○増田部会長 土屋委員、追って何か追加でございますか。よろしゅうございますか。
また学生さんと意見交換等をして、中身をさらに充実させていきたいというようなことでよろしゅうございますか。分かりました。
ほかにはございますか。
それでは、斎藤委員、それから喜田村委員ということで、斎藤委員からお願いします。
 
○斎藤(聖)委員 石井委員と原委員の御発言にちょっと似ている、同じ流れかと思うのですけれども、今回の計画というのは重点的な取組をまとめていただき、今、どういうことをしようとしているのか、問題意識がはっきりしていて、大変いい方向に努力をしていただいているということを再確認できましたので、それは大変良かったと思います。
ただ、取組の細かいところに行きますと、これは毎回そうなのですけれども、何か問題が起きると、新しく委員会をつくる、部をつくる、会議をするという対症療法がほとんどです。今度はこういうことをしますという対応をなさるのですが、そうしますと、新しい問題が次々と出てくると組織がまた膨大に膨れ上がっていく。そうではなくて、なぜこういうことが発生したのか、その根本的な問題を考え、それに対してどうすればいいのかというような対応が、今まであまり見られていないような気がいたします。
議論をなさるときはそこから始めてらっしゃるとは思うのですが、全てのことを把握し覚えている人とが一体どのくらいいるのか。結局そうすると、また漏れてしまう、また問題が起きるということになると思います。もう少し根本的なところを議論し、それに対して何をするつもりであるというような、どちらかというと抽象的に聞こえるかもしれないことをお話しいただき、それに対して取り組みますとおっしゃっていただいたほうが納得感があるような気がいたします。
いろいろな問題というのは、組織の風通しの悪さ、コミュニケーションの悪さ、何か問題が起きたときにすぐに報告するようなカルチャーができていないことから発生してくるところがすごくあると思います。その根本的なところにメスを入れるような対策を考えてらっしゃるのか、取り組もうとしているのかということが見えてきません。
トヨタのアセンブリーラインのことですが、何か問題があると、作業している人がラインを止めてしまう。そこで何がいけなかったのかを徹底的に調べて、それからラインをまた動かすという話を伺いました。逆に、海外の工場ですと、ラインを止めると生産性を著しく損なうので、ラインを止めた人はとても叱責されるので、みんなちょっとおかしいなと思ってもそのまま流してしまうそうです。
ぜひ年金機構でも、ラインを止める、そして、止めた人を褒める、感謝するというカルチャーに持っていっていただき、いろいろな問題を、対症療法ではなくて問題が起きないようなカルチャー、組織をつくることを目標に掲げていただけたらと思います。
以上です。
 
○増田部会長 それでは、理事長さん、どうぞ。お願いします。
 
○水島日本年金機構理事長 大変厳しい御指摘だと思います。
御指摘の方向で考え、議論をし、やってきたつもりでございますが、基本的にそこについてはできていないという御指摘だと思いますので、もう一度、自らの能力も含めてきちんと考えてみたいと思います。
 
○増田部会長 それでは、喜田村委員、どうぞ。
 
○喜田村委員 参考資料1では重点取組施策が4つ載っておりまして、その1番に、先ほど理事長さんも言われましたけれども、「妥協なき推進」という言葉をわざわざ使って、これを重点的に取り組むのだということを言ってらっしゃいます。
ただ、内容としては厚年、国年の適用・徴収対策事業ということですから、推進するのは当たり前なのでありますけれども、妥協なき推進というからには、当然普通の推進ということではなくて何かお考えになっているのだろうと思うのですが、その前提として、令和元年度でもいいですし、平成の終わりでもいいのですけれども、年金機構の適用・徴収対策事業にどのような問題があるのか、やはり現状認識が一番大切だと思うのです。問題の所在が分かれば大多数の問題は対処できるのでありますから、適用・徴収対策事業につきましてどのような問題があると認識しておられたのか。それに対して、国年、厚年でこういったような事業を行うのだということをお考えになったのだろうと思いますので、その在り方を教えていただければと思います。
 
○増田部会長 理事長さん、どうぞ。
 
○水島日本年金機構理事長 ありがとうございます。
国年、厚年事業の基本的な問題点は、厚生年金が適用されるべきであるけれども、適用されていない方が推定ですが156万人いるという統計が厚生労働省から発表されています。一方で、国民年金の24カ月未納の方々が138万人いるというのが私どもの統計でございます。国民年金、厚生年金の事業の基本的な問題点はここにあると認識をいたしております。
したがいまして、156万人の方々が適用されていない非適用、未適用事業所というのが、現在私どもが把握しておりますところで33~34万事業所ございます。この34万事業所の中で、御家族でやっていらっしゃるような事業所を除いてどの程度あるかということを最終的に特定していかなければなりませんが、この適用をすることがまず一つでございます。
しかし、実際に適用事業所でありますが適用されていない方が、実は国民年金の138万人の中にいらっしゃるだろうと思います。この中に、実は300万円以上の所得がある方というのがかなりいらっしゃいます。この方々の所得の源泉がどこにあるかということを把握して、適用されるべきことであれば適用するということに関して、事業所調査を徹底してやっていくということであると思います。
それから、厚生年金事業に関しまして、もう一点我々が反省をしなくてはいけないことは、適正な調定が行われているかということでございます。いわゆる事業所調査が適切に行われているかということでございますが、230万程度の事業所がございますが、これに関しまして、どのように事業所調査をきちんと行って適正な届出を行わせるよう指導していくかという点がございます。
国民年金に関しましては、24カ月未納の方は138万人になりますが、実はこの方々の中に、既に今、受給資格期間は10年になっておりますが、6年とか7年、8年という期間をお持ちでいらっしゃる方がかなりいらっしゃいます。この方々に対して個別に対応をして受給資格を得るということに関して、これを徹底して行わなければならないと考えております。
先ほど土屋委員からもお話がございましたが、そういうことに関して、いわゆる私どもだけでやるということではなくて、市町村やもちろん社会保険労務士さん、あるいは学校でありますとか、大学、高等学校、専門学校も含めまして、いわゆる地域共生的な事業をどのように事業化していくかということが重要だと考えております。
これらをトータルとして推進していくことが、基幹事業の妥協なき推進と申し上げている中身でございます。
 
○増田部会長 よろしゅうございますか。
ありがとうございました。
それでは、大山部会長代理、どうぞ。
 
○大山部会長代理 事前のときにもちょっと申し上げたのですが、今の重点取組施策の話の中で、位置づけとしてこういうものを出すのは非常にいいことだと思うのですけれども、デジタルワークフローの実現に関しては、残念ながら、これは何のためということが分からないのではないかという気がするのです。デジタルワークフローを実現することが目的化されてしまっているような感じがして、さっきからどういう対応しているのかなと思って一生懸命探してみたのです。2ページ目に「デジタルワークフローの実現」とあるのですけれども、「紙をなくす」「紙を移動させない」と書いてあって、確かに現象としてはそうなのだけれども、紙をなくすことが目的ですかというのはちょっと違うでしょうというのが直感的な思いです。
実は、これは詳しく議論すれば、多分電子データを原本化していくという話で、紙は単に打ち出したものですよという意味だと思うのです。少し理念としてのデジタルワークフローの実現ということの目的が分かるように書くほうがよろしいのではないかなという気がしています。
具体的に、もうちょっとだけ見ると、「電子申請の推進」の中に、これも知っている人間にはある程度分かるのですが、「令和2年4月の電子申請の義務化に合わせ」と。これは対象事業者があるわけですけれども、僕の頭の中では、マイナポータルの電子申請の利用勧奨を実施すると、この前と後ろがつながらないのです。我々一般の人間から見たときに、被保険者である、あるいは年金をもらっている人にとっても、電子申請はどれぐらいあるのかとすぐ思うわけです。
ここのところは、デジタルワークフローを実現すると言われても、我々は何すればいいのということがこの文章からだと読み取れない。事実、マイナポータルを使うという部分は本文を見ると書いていないのです。ここの不一致があって、ここは修文が必要であればやっていただく、あるいは詳しく書いたほうがいいのではないかなと。
最後にもう一つだけ。これも申し上げたことなのですが、画像による審査とその次にあるのですけれども、これは画像ではなくて画面による審査だと思うのです。画像を扱うということを目的にするのはこれもまた変で、そもそも電子データを原本化するというのは、あくまでも画像である必然性は特にないわけですから、画面で何かやるという対応のほうが正しいのではないか。言いたいことは、こういうのは「画像」という言葉を使うと、写真を撮ってもいいのですかとか全然違う話が出てきてしまう。
前に電子政府をやるときに、365日24時間ノンストップといったら、本当に止まらないシステムを組むということをみんなやってしまって、とんでもないお金を無駄に使った例があります。という意味で、言葉をちゃんと定義していただく必要があるのではないかなと思って、この2つです。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
理事長さん、どうぞ。
 
○水島日本年金機構理事長 おっしゃるとおり、御指摘の御意見を踏まえて検討してみたいと思いますけれども、1点だけ御理解をいただきたい点は、この「紙をなくす」「紙を移動させない」というのは私がつくった言葉でございまして、責任がございますので説明させていただきますが、実は今、紙の届出が全体の50%程度あるというのは前回御説明申し上げたとおりであります。先ほど外部委託が1万人いると申し上げましたが、実は、それはほとんど紙の処理をしている人たちです。これの外部委託経費だけでも数十億円かかっておりまして、紙を電子データ化するということについて、もちろんお客様の利便性が第一でございますが、私どもの効率化にとっても、あるいは管理上、正確な事務処理の上でも極めて重要だと考えておりまして、何としても紙をなくしていかなくてはいけないというのは、経営課題として極めて大きいと思っております。
「紙を移動させない」というのが実は画面の審査のことを言っているわけでありますが、ここで近々また御説明し、御議論いただきたいと思っていますけれども、画像をどういう形で保存するかという問題で、それを原本化して紙を廃棄していくということについて、1年半ほど前にこちらでお認めいただいたものがまだ現実に実務化されておりません。これに関して早急に実務化をしたいと思います。
今、御指摘いただきました点については、修文を含めて検討させていただきたいと思います。
 
○大山部会長代理 ありがとうございます。
大事な点は、年金記録を正確にという観点から見たときに、もともと電子申請で出してもらうということは、記録のミスをなくすということなのです。ただ、内容によっては、例えば厚生年金の標準報酬月額は御本人がきちんと確認いただくしかないという事実があって、そういったことをやるのが年金機構さんの業務であると考えると、皆さんには電子的な申請をしていただき、ねんきんネット等を通して被保険者の方には確認いただくということをやっていただかないと、目標は達成できないと思うのです。僕はそういうメッセージをやはり言うべきだと思って、そのための一環としてデジタルワークフローになるはずだと。
だから、今、紙で来ているのをなくしたいのは、年金機構だけの問題ではなくて、年金制度そのものをちゃんと確保していくためにやらなければいけないことだということをメッセージとして出すべきで、そういうことが理念ではないかと思うのです。その辺の議論が必要なのではないかなと。
特に、せっかくこういうシステムを刷新して大きく業務を変えようとしているときですから、もっと大きな変化、巷では時々デジタルトランスフォーメーションという言葉を使っているのがありますが、そういったことを目指していただきたいという思いがあって、それを言葉で表すと、こういうふうになってきたときに違うものが出てくるなという感じがするものですから、あえて申し上げました。
 
○増田部会長 ありがとうございました。
それでは、この令和2年度計画(案)については、社会保障審議会に諮問・答申の形をとるものではございませんので、今月中に機構から正式な申請を厚生労働省に行っていただいて、3月中に厚生労働大臣の認可を受けるという手続で進んでいくものでございます。今日のやりとり、前回のやりとりを含めて、大筋では反対意見はなかったと受け止めておりますが、修正についてのお話がございましたので、そこの点についてはきちんと修正をしていただくということで、最終的には私も事務局とその点については確認した上で手続を進めていただくということにしたいと思いますので、そのような形で適切に対応していただくよう手続を進めていただきたいと思います。
それでは、本日の議題はここで全て終了しましたのですが、委員の皆様方のほうから次回に向けて何かございますか。よろしゅうございますか。
次回の日程につきましては、改めて事務局から御連絡をすることにいたします。
本日の会議はこれで終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。