小宮山大臣記者会見概要(平成24年度予算大臣折衝後)

H23.12.22(木) 9:23 ~ 9:30 ぶら下がり

広報室

会見の詳細

大臣折衝について

大臣:
ただ今、財務省の方で安住財務大臣、前原政調会長とともに「平成24年度以降の基礎年金国庫負担の取扱い等について」という合意文書に署名をしてきました。 その内容はお手元にお配りしてありますように、平成24年度の基礎年金国庫負担割合は、歳出予算(36.5%分)と税制抜本改革により確保される財源を充てて償還される「年金交付国債」により2分の1を確保するものとし、このことを法律上・予算上明確にする。この法律上・予算上明確にしたということが大変重要です。 平成24年度の年金差額分の国庫負担を行うための「年金交付国債」については、具体的には、以下による。 1.政府は、平成24年度の年金差額分と運用収入相当額(譲渡可能な国債での運用により得られる収益と同等になるよう算定)とを合算した額の「年金交付国債」を発行する。 2.「年金交付国債」の具体的な償還スケジュール等は、税制抜本改革の具体案の決定を受けて、決定する。 3.「年金交付国債」の償還財源には、税制抜本改革により確保される財源(消費税収)を充てる。償還は、税制抜本改革の実施後において、毎年度、予め定める一定額を限り行うことができるものとし、政府は、償還の請求を受けた場合は、速やかに償還に応じるものとする。 4.年金財政の安定的な運営に著しい支障が生じるおそれがある場合など、財務・厚生労働両大臣が協議の上で特に必要と認めるときは、予算で定めるところにより、3で定める毎年度の上限額を超えて「年金交付国債」を償還することができるものとする。 平成25年度から税制抜本改革により安定財源を確保するまでの間の年金差額分の取扱いは、現行法の「必要な税制上の措置を講じた上で国庫の負担とするよう、必要な法制上及び財政上の措置を講ずる」との規定に沿って、引き続き検討する。 過去繰り延べられて未返済となっている年金の国庫負担分の返済に必要となる財源の確保策について、引き続き検討する。 以上です。

質疑

記者:
当初は、厚労省の方からいわゆる赤字国債でつなぐという。
大臣:
赤字国債ではなくて年金国債と。赤字国債や建設国債じゃなくて、復興債と同じような形でいうことで。
記者:
ということを主張されていましたが、最終的には交付国債という結論になりましたが、まずその見解についてをお願いいたします。
大臣:
これは44兆の枠を守ることが必要だという財務省の主張と、私達が申し上げた基礎年金2分の1はしっかりとした安定的な財源をもって確保するということを両方議論をし知恵を絞った結果、こういう形で法律上も予算上もしっかりと2分の1を国の方で確保するということを明記することによりまして、これは繰り延べではないということを確保したので、こういう形で合意をいたしました。
記者:
確保はしたということなんですけれども、最終的には、まず来年度に関しては積立金など取り崩すということなんだと。
大臣:
いや、積立金は取り崩しません。これは結局、キャッシュは入ってきませんが、他の国債と同じように国がちゃんとそれを入れるわけですから、それの運用益も一緒に入ってくるわけなので、年金の積立金は今もいろいろ国債とか様々な方法で運用しています。それと同じことなので、それでちゃんと償還をされるときになればキャッシュも入ってくるわけですから、そういう意味では「カラ」にもなりませんし繰り延べにもなりません。その形を先程申し上げたように、予算上だけではなくて法律上も明記をするために知恵を絞って徹夜をして事務方が努力をした結果、こういう形で確保をしたということです。
記者:
償還スケジュールのところですが、具体的な期間というのは目途とかはあるのでしょうか。
大臣:
償還スケジュールは消費税の引き上げ率やその時期と、それから使途について具体的に決定されるときに合わせて決定をするということなので、その消費税増税法案と合わせて法案を提出をするということだと思います。
記者:
年金交付国債というのは、そうすると赤字国債の44兆円の枠とは別という扱いでしょうか。
大臣:
キャッシュはそこで動きませんので。
記者:
積立金も取り崩さない。
大臣:
取り崩しません。資産に計上されるということです。もともとGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)のところでいろいろな形で運用をしている1つの形ということになるわけです。
記者:
この国債を運用するという形になっていることなんですか。
大臣:
そうです。年金交付国債は政府が債務者となる債権で一般の国債と変わりがありません。また、一般の譲渡可能な国債で運用する場合と遜色のない運用収益を得られる仕組みとしています。したがいまして、通常の資産として年金積立金に組み入れられるということなので問題はありません。こういう形を確保するために、ここ3日間苦労をしてきて、そこが確保できたので署名をしたということです。
記者:
将来の年金財政とか給付に影響はでないのでしょうか。
大臣:
それはでません。今も年金の積立金は毎年度いろいろ取り崩したり、いろいろしながらやって、それで5年ごとに年金の財政の計算をして、ずっと100年後というか先まで安心なように組み立てていますので、その中に組み込まれるものですから問題ありません。
記者:
ただしそれは消費税がちゃんとスケジュール通りに上がらないと返ってこない可能性もあるということですよね。
大臣:
それは全力を上げて、この間まとめた社会保障改革の素案骨子で言っていることも消費税を増税させていただかないと、これは実現をしませんので、これは野田総理が決意を込めて言っているように年内にちゃんと税制抜本改革についても素案をまとめて社会保障改革とあわせて素案として政府・与党で決定をするということです。これはもう全力を上げてこの内閣でやっていきます。
記者:
来年度、総理が通常国会での消費増税の法案がでるときには、具体的な償還スケジュールを示した法案も一緒にでてくるということでしょうか。
大臣:
それは消費税増税法案とあわせて法案を提出すると申し上げました。それで、この法律上と書いた、きちんと繰り延べではないということを証明する、資産としてちゃんと繰り入れるという意味の法案は、次の通常国会の特例水準解消の法案など予算関連の法案を出すところにこれも入れて出すということになると思っています。
記者:
何度も同じことを聞いてしまいますが、交付国債は年金財政を考えるとそれだけで資産を計上するのは分かるのですが、実際2.6兆円分のキャッシュは来年度に関してはやはり年金積立金から補てんするのですよね。
大臣:
いや、補てんではないです。年金積立金というのは、そこに積立金としてお金がいつもあるのではなくて、それを回して運用しているわけです、いろいろな形で。それの形態の中に入るということですから。もう1度繰り返しになりますが、キャッシュが実際に年金財政に入ってくるのは消費税増税後になりますが、予算上も法律上も国庫負担率2分の1を維持するということにしてあるわけです。そこを担保する形にしたことにより積立金は目減りをすることはないと、だから年金財政の安定性は担保されると。ちゃんと資産にきちんと繰り入れられるようにしているということです。問題はありません。

(了)