小宮山大臣閣議後記者会見概要

H23.11.15(火) 18:58  ~ 19:10 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は閣議が6時過ぎからありましたので、このような時間の閣議後会見になりました。閣議の中身としては私から申し上げることはありませんが、土日(11月12日、13日)で中国に行って、日曜日には日中韓の保健大臣会合へ行ってきました。現地の記者さんが中心だと思いますが、小さな記事にはしていただいています。こういう国際保健の分野というのは、非常にこれから日本の国際協力で大切な分野なので、私から一言、結果について申し上げたいと思います。最初(12日)、北京で日中食品安全推進イニシアチブ、これは食品の輸出入のトップの方と会談しまして、それから(13日)青島(チンタオ)で日中韓三国保健大臣会合をやってきました。日中食品安全推進イニシアチブは、過去1年間の協力の成果と、今後1年間の協力の内容を確認し、合意しました。中国産の食品については、食品の残留農薬、食肉の残留医薬品などの安全問題について引き続き中国側の対応を求めることにしていますが、今後1年間は、日本側から分析技術の専門家を、質検総局という中国の輸出入を扱うところに派遣して、技術的な協力を行うことにしています。輸入食品については、輸出国の政府を通じた生産段階での対策や、検疫所での輸入時検査の強化などを通じて、安全性の確保を図っていきたいと思っています。それから私からは、原発事故の後、中国側の日本の物の輸入が止まっていまして、今年5月の日中首脳会談で、温家宝総理が緩和を表明したのに、水産物を除いて実現されていないというので、輸入規制の緩和についての早期実現を期待しているということを申し上げてきました。そして、日曜日に青島で行われました日中韓三国保健大臣会合では、一つは、3国の共通の保健課題での日中韓の連携の重要性を再確認してきました。トップ同士が顔を合わせておくことで、緊急の時などにもホットラインでいろいろできるように関係をつくってきました。もう一つは、NCD(非感染性疾患)、がんや糖尿病、心疾患などですが、そうしたものの対応ですとか、災害時の緊急時対応、食品安全などについて、共同宣言を採択しました。新たな感染症の発生、食品安全といった、国境を越えて発生する保健課題に対応するためには、この日中韓の大臣による会合を定期的に開催して、緊急時にも速やかに対応することが重要だと考えています。次の会合は来年日本で開催されますが、これからも、この3国間の協力を強めていきたいと思っています。 私からは以上です。

質疑

記者:
今日、イレッサの訴訟で、原告の請求を棄却する東京高裁の判決が出ました。大臣の判決の受け止めをお願いします。
大臣:
まず改めて、イレッサの副作用で苦しみを受けられた方にお見舞いを申し上げまして、亡くなられた方々には、心からのお悔やみを申し上げたいと思います。現時点では、判決内容の詳細については承知していませんが、これまでの裁判の中で、国として法的な責任はない旨を主張してきたことが認められたと理解しています。厚生労働省としましては、判決の内容にかかわらず、すべてのがん患者の方々のため、そして、医療・医薬品行政全体の向上のために、全力を挙げて取り組んでいきたいと思っています。インフォームドコンセントの徹底、医薬品安全対策の強化、抗がん剤等による健康被害の救済に関する検討などの政策課題については、確実に実行していきたいと考えています。
記者:
今お話ありましたが、抗がん剤による健康被害の救済制度の検討は6月から進めていますが、国の責任がないという判決が出て、今後の検討をどのように進めていくお考えか、何か具体的にあれば教えてください。
大臣:
それは判決如何にかかわらず、これから取り組んでいくこととして、やってきている訳ですが、この判決の内容を詳しく見た上で、でも基本的には今までやってきた方針の中で進めていくと思います。
記者:
今日の参議院での予算委員会で基礎年金の国庫負担の割合を2分の1に維持する国民年金法改正案についての質疑がありましたが、野党自民党は償還財源がはっきりしない中での来年度の国債発行に少し反発しているようでしたが、今後理解は得られそうでしょうか。
大臣:
それは、極力努力していくことだと思います。結局2015年頃に消費税を5%上げることを恒久財源としていこうとしているわけですが、そうすると間が空くと、そこのところをどうするかという趣旨だと思うのですが、これまでも色々とやりくりをして23年度まではやってきました。ただ、これは恒久財源をちゃんと確保してやりたいということなので、消費税を社会保障と税の一体改革が国会審議で通せるように全力を挙げていくことだと思っています。そこで、空いた部分のつなぎ措置については、財務省とも色々と検討を重ねていかなければならないですし、そこの隙間が空にならないように措置をしながら、しっかりと社会保障と税の一体改革の中で恒久財源を確保していきたいと思っています。
記者:
今国会の会期末まで1ヶ月を切りましたけれども、ストレスチェックを従業員に義務付ける労働安全衛生法改正案とか、主婦年金の切り替え忘れ問題で過去の過払い分を減額しない国民年金法改正案の2法案の閣議決定の見通しはどうなっているのでしょうか。
大臣:
今、鋭意閣議決定が出来るように努力している最中です。これまでは、会期末1ヶ月前までが国会対策委員会の方で受け付ける締め切りになるということが多かったと思うのですが、今回はそういう形ではなくて、なるべく通せる態勢を作ってから、閣議決定をしてほしいというような意向もありまして、その中で年金の運用3号について閣議決定を出来るように準備を進めていますし、労働安全衛生法改正案も参議院先議とか色々なことを野党とも協議してきた経過なども踏まえて、なんとか出せるように努力しているところです。
記者:
ポリオの関係で改めてお聞きしたいのですが、今は、ワクチンの不活化導入を待って接種率が低下しているという状況があります。一方で一部のお母さん達からは海外のメーカー品を緊急輸入してもらえないかという声もあるわけですが、どうしても緊急輸入ということは難しいのでしょうか。
大臣:
予防接種として使うワクチンは、国内で有効性とか安全性が確認されたものを使用することが原則です。緊急輸入に関しましては、不活化ポリオワクチンを承認するために必要な国内の臨床試験データが十分に集まっていません。国内で実際に使用された際の効果とか副反応といった、有効性や安全性が確認できていないので、今すぐ導入することは困難だと考えています。すでに国内で不活化ポリオワクチンの治験が進められているので、治験のデータが集まって薬事承認の申請がされましたら、出来る限り迅速に審査を行って、最大限早期に不活化ポリオワクチンが導入出来るように取り組んで行きたいと思っています。そして、今年に入って中国でポリオが流行ということが報告されるなどポリオの発生の恐れが続いているので、国際的にもポリオの発生の可能性が高くなった場合には、より効果の高い生ワクチンの接種が薦められています。不活化ポリオワクチンの導入までは、何度も申し上げてチラシもお配りしているように、引き続き現在の生ワクチンを接種していただくように呼びかけを続けていきたいと思っています。
記者:
恐らく混合ワクチンでポリオも入れて混合接種していく方針だと思いますが、世界的に見るとヒブやB型肝炎ウイルスのワクチンも入っている6種混合も主流になってきているのですが、それを一気に例えば6種混合になるようなかたちで進めていく可能性はあるのでしょうか。
大臣:
今は、国内メーカーは4種混合のワクチンを作っています。アメリカの方で、単品で不活化ポリオワクチンを作って申請してくるという動きもあります。そして、今言われたように6種混合というのもアメリカやヨーロッパのいくつかの国では、それが承認されていると聞いていますが、6種混合も開発の動きがメーカーにはあると聞いています。
記者:
それは、日本の国内メーカーでもあるということですか。
大臣:
国内メーカーは、今4種混合を作ろうとしています。なるべく副反応が無いようにはやっているけれど、あまり多くのものを一度にやるということは、子どもに対して負担になるということもあるのではないかと。私も自分の子どもが3種混合で高い熱を出したような経験を持っている母親であることからするとです。最後のは私の感想です。今は副反応が出ないようにはなっているということですが、メーカーもいろんな考え方の中でやっていると思いますので、6種混合も開発の動きがあるとは聞いていますからその中でしっかり対応していきたいと思っています。

(了)