小宮山大臣閣議後記者会見概要

H23.10.21(金)10:59 ~ 11:20 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
お待たせしました。今日は、閣議の中で総理からも国会戦略会議のことについて、それから地方主権改革の推進について、また、行政刷新での提言型政策仕分けについて、それに三次補正と、タイの洪水の話と山ほどありまして、遅くなってすみませんでした。冒頭私からの発言は、2点です。 三次補正予算案については先程の閣議で決定されました。厚生労働省としては、一次、二次の補正予算を通じて、被災地の復旧の支援に努めてきました。第三次補正予算では、また復旧もまだ必要なところがありますが、それに加えて、メインは本格的な復興に向けた支援策を盛り込むことにしています。具体的には、地域での暮らしの再生支援、これは地域医療提供体制の再構築の支援などが入っています。それから食品の安全確保等の原子力災害への対策、防災対策等の今後の災害への備え、また、復興・円高対応のための雇用対策、ということなどを盛り込んでいます。今後、この三次補正が速やかに提出され、そして成立が図られることを期待したいと思います。 冒頭のもう1点は、厚生労働省の節電の実施状況の公表についてです。この夏、政府として昨年のピーク時に比べまして、15パーセントの抑制の節電目標を掲げました。厚生労働省としては、本省の建物など149の施設について、20パーセント、または25パーセント抑制と言う政府全体よりも高い目標を設定して取り組みました。今回厚生労働省が管理する、91施設で節電の実施結果がまとまり、99パーセントにあたる90施設で目標が達成できました。来庁者の皆さまには、暗かったりいろいろとご不便をおかけしたかと思いますが、お詫びをし、またご協力に感謝したいと思います。今後もパソコンなどのスリープモードの活用や、照明の削減など引き続き実施しまして、節電の取り組みを続けていきたいと思っています。 私からは以上です。

質疑

記者:
まず最初に、薬事・食品衛生審議会が31日に開催されますが、食品中の放射能物質の規制値、BSE対策という課題がありましたが、その2つの課題について今後どのように対応されていきますか。
大臣:
これは2つとも重要なことなので、まとめてお話ししたいと思います。食品の放射性物質の規制値につきましては、食品安全委員会の食品健康影響評価書、これが月内にまとまると考えています。このため、31日に薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催しまして、食品健康影響評価書を改めてご説明した上で、新たな規制値の検討課題などについて、総括的な議論をしていただくことにしています。今後の進め方としては、10月31日の食品衛生分科会以降、分科会のもとに置かれている放射性物質対策部会や作業グループで、専門的な見地からの議論を精力的に進めていただき、新たな規制値の案を取りまとめた上で、文部科学省の放射線審議会にも諮問し、WTО通報なども行った上で施行する形になります。 それからもう1点のBSE対策の再評価については、先日も閣議後の会見でお話をした通り、対策を開始してから10年が経過している。2001年の9月に判って10月から今の対応をとるようにしていますので、その10年が経過した中で、国内の検査体制や輸入条件といった対策全般について、最新の科学的知見に基づく再評価が必要と考えています。このため、食品安全委員会への諮問に向け、まず食品衛生分科会で、この問題の経緯や現状などをご説明し、ご意見をいただくようにしています。今後の進め方としては、食品安全委員会との調整や、関係各国と調整を進めて、最終的には厚生労働省から食品安全委員会に対して、リスク評価を依頼し、その結果を踏まえて必要な見直しを行うということになります。また、いずれも国民生活に密着した関心の高い問題ですので、その間にはパブリックコメントの実施に加えて、国民の皆さま方への説明会も丁寧に開催していきたいと考えています。様々な調整や手続きが必要であることから、現時点でこれから先のスケジュールをお示しすることは具体的には難しいのですが、精一杯着実に進めて行きたいと考えています。
記者:
関連して、放射能物質の新たな規制値なのですが、今の暫定規制値よりも厳しいものになるという方向で検討されているのでしょうか。
大臣:
そうですね。今よりは、更に食品の安全性を確保する必要があると考えていますので、厳しくなるかどうかと言えば、厳しくなると思います。
記者:
話題変わりまして、介護保険なのですが、一部報道で政府が来年度の介護報酬の引き上げの方針を固めたということが出てましたが。
大臣:
それは何回もお話しているように、今検討を始めたところなので、介護職員の処遇改善交付金の形で続けてやるのか、あるいは介護報酬の中に組み込むのか、それはどちらにするということは決めていません。
記者:
今のお話にも関連すると思うのですが、中医協で介護給付費分科会との打合せ会というのが本日開かれています。診療報酬と介護報酬の水準のあり方、あるいは医療と介護の連携のあり方について、改めて大臣のご所見をお願いします。
大臣:
それはこれからの社会保障の一体改革の、どうも負担になるところばかりが、皆さんのご関心も高く前に出てしまっていますが、これからの超高齢社会の中で安心をつくるためには、医療であれば、医療と介護がしっかりと連携をとって在宅医療、在宅介護、こうした医療提供体制を整えることがとても大切なことだと思っていますので、そうした形を基本に据えながら、医療と介護が連携をとっていけるように、それは報酬改定の中でもそうした視点をもって当たっていきたいと思っています。
記者:
報酬の水準について大臣は以前、診療報酬については少しでも引き上げたいということをおっしゃいましたけれども、介護報酬についてはまさに先程おっしゃっていたように、まだ。
大臣:
大きいところは介護職員の処遇改善というところだと認識しています。介護の施設の中では利益が上がっているというケースもあり、そのことが必ずしも介護職員のところに回って行かないという構造の中で、どういう形で処遇改善をしていけるのか、やはり再三申し上げているように、人手が必要なところなので、そこの処遇をきちっとして、そこでの雇用も創出をするし、そこで安心してケアが受けられるようにするということはポイントだと思っています。そこはどういう形でやると、持続可能な、皆さんに安心していただけるような体制になるのかということを検討しているということです。
記者:
先程、食品の暫定規制値について、専門家の判断をまだ経ていない段階で大臣が暫定規制値を厳しくするということをおっしゃいましたが、これはその方向でよろしいのでしょうか。
大臣:
今、示されているのが生涯を通して、内部被ばく、外部被ばく併せて100ミリシーベルトと言われていて、こういう形で出ると本当に毎年どういう形で設定したらいいかというのが非常に悩ましくやっている訳ですが、全体の中で、現在は食品の放射性物質の暫定規制値、許容できる線量を年間5ミリシーベルトという形でご承知のように設定しています。ただこれは、緊急時のものなので、現在の状況を踏まえて新たな規制値を設定して、更に食品の安全性を確保する必要がある。更に安全性を確保するということは厳しくするということだということを申し上げました。今後も、食品安全委員会の最終的な評価書が示された段階で、国際的な基準に照らして、そして専門家のご意見も伺いながら、基本的な考え方を厚労省として示したいと思っています。それは常識的に考えて緩くなるということではないでしょう、という意味で厳しくなるということを、申し上げました。
記者:
介護報酬の話なのですが、今まさに交付金の1万5千円を報酬に組み込むのかなど部会で議論がなされていますけれども、民主党は政権をとった時に、4万円というのを掲げていたと思うのですが、今回の改定でもなかなか4万円という数字の話が出てこないのですが、大臣の中でも4万円というのは、マニフェストの一つとして、目指す方向として残しているのか、残していないのか伺いたいのですが。
大臣:
それは別に4万円が否定されている訳ではないので、そこまで辿り着く工程が、それはマニフェストの他の項目もそうですが、大震災があったりとか、リーマンショックがあったりとかいろいろなことがあって、スケジュールが延びることがあるとは思いますが、目標が否定をされているということではないと考えています。ただ、マニフェストと時期が変わっていくことについても、この夏に岡田前幹事長のもとでマニフェストの検証をしましたけれども、きちんとこういう形で進めるということを分かりやすく皆さまにご説明し、約束通り叶わなかったところはお詫びをしながら、新しくこういう風にやりますと、優先順位はこういうことですと、それから工程はこういう形でやりますということをですね、そのことも含めて、社会保障の一体改革の中で今の介護報酬のことについても、先程から申し上げていますけれども、介護の非常に中心になる部分ですので、分かりやすくお示ししていけるようにしたいと考えています。
記者:
食品の暫定規制値の問題ですが、専門家の間でも厳しくならないのではないかという意見もあるのですが、大臣が今言った厳しくなるという発言は、大臣の見通しなのか厳しくするという判断なのか確認させて下さい。
大臣:
見通しと、判断ですか。難しい使い分けですね。今まで検討するに当たって、私も事務方などから専門家のご意見も含めて色々な検討材料になるものを入手できる範囲で入手しています。その範囲の中で、さらに食品の安全を確保する必要があると私は考えていますので、そういうことから、緩くなるか、厳しくなるかといえば厳しくなりますということを申し上げました。
記者:
それは、厳しい方向に持って行くということではなく、厳しくなるという見通しですか。まだ、専門家の判断を経ていないのですが、この段階で大臣がご発言されるということは、大臣としては厳しくする方向で審議をしていただきたいということでしょうか。
大臣:
そうではありません。そういう意味では見通しです。方向性としてはそうでしょうということを申し上げたので、専門家のご審議の前に私がこうすべきだと言っているわけではありません。
記者:
今日は人口部会の方で、結婚、出生の調査結果の最新のものが出ると思うのですが、その中で生涯夫婦の持つ子どもの数が初めて2人を割ったと、25歳未満で結婚した女性の半数はいわゆる出来ちゃった結婚だということですが、それについての感想をお願いします。
大臣:
これは、出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)の夫婦調査の結果の概要というものが取りまとめられています。これで、言われているのは結婚している人達の子どもの数なんです。日本では出生率が下がった1.57ショックと言われて以来ずっと出生率のことが言われていますが、結婚している人は合計特殊出生率より常に高い出生率で2人以上を保っていて、それが今回1.96ということで5年前の2.09から0.13人減ったということなので、それは結婚している人の子どもの数が減ったと。ただ全体の子どもの数は今1.39ということで、ここ数年の中では回復しているという事実関係を押さえていただきたいと思います。あと、理想の子どもの数については2.42ということで、5年前は2.48だったので、0.06人減少したということだと思っています。 それで、結婚する前に、子どもが出来るということは、個人の価値観の問題なので、私がそれについてコメントをするということはありません。ただ、ずっとこの政権は子ども・子育て応援に力を入れてきていますし、社会保障の中でも子育て支援を入れて高齢者3経費に加えて、4本柱にして色々と子どもを応援しているというメッセージと政策を採ろうとしていることが、ここ数年わずかながらも出生率が上がってきていることに繋がってきているのかなと思っています。ただ、結婚している方の子どもの数が、減っているということは、まだ現実問題として色々な形で子どもを持つということが厳しい状況にあると受け止めていますので、さらに子ども・子育て支援に力を入れていきたいと思っています。持ちたい人が、持ちたい子どもを持ているように。大体希望の数と実際に持っている子どもの数の乖離が1人ぐらいというのはずっと変わらない状況ですので。
記者:
先程、閣議でも仕分けのお話が総理から出たと思うのですが、どういうお話だったのかと、今後の厚労省の対応をお聞かせ下さい。
大臣:
総理からありましたのは、提言型の政策仕分けをしたいと、それを決定したということです。これまでの無駄の排除にとどまらずに主要な歳出分野を対象として、政策的・制度的な問題まで掘り下げて議論を行って改革を進めるに当たっての視点や方向性を国民の皆さんに分かりやすい形で提示する方針だと、それで各大臣が最大限の協力するようにと要請を受けました。そういう意味で、政策的にやる前に今は、独立行政法人について事前の色々なヒアリングを受けていますので、私としても事務方に指示をしているのは、こういう理由で、ここは必ず今の形で残す必要があるということ。あるいはこれは内閣として取り組む方針なので、極力出来る部分は協力するようにと。ここだけはという所があるならば、それは、そういうふうに挙げるという形の指示をしていますので、厚生労働省としても最大限協力していきたいと思っています。
記者:
次の仕分けは、政策的なものにまで踏み込むことになると思うのですが、どういう分野が出ているのでしょうか。
大臣:
分野については、まだです。各省庁に資料の請求が行くので、それに最大限協力するようにとのことでした。
記者:
これまでの仕分けについて、仕分けたものが結果的には必要だということで、厚労省から予算要求したり、例えば年金の話でいえば、年金運用を仕分けてしまったら重要性が分からなくなってしまったり、それでまた教育をしなければならないということで、新たな審議会を立ち上げてそういう問題を話し合ったりして、仕分けは結局パフォーマンスだったという国民からの批判があるのですが、それについて大臣の評価をお願いします。
大臣:
仕分けの中で、最初に想定したような金額が出ていないというのは事実だと思いますが、仕分けをした結果、色々な効果は出ていると思っています。ですから、今はレビューをしているところなんです。レビューについても各省庁の中にはあまり協力的に出してこないところもあるという話が今日も出たりしていました。その中で、厚労省としてはしっかり出しているつもりですので、そこのところは必要なものは必要性を訴えていきますし、仕分けの手法についても前政権のものを仕分けるというのは非常に分かりやすく出来ますが、私たちの政権で作った政策の仕分けをするときに政権としてどこにポイントを置いて今政策を進めているかという、全体的な進め方について中々難しい点が去年はあったのかなと思っています。今回は、さらに発展的な形で、政策的なところにまで及ぶ形の提言型の仕分けをしたいというのは、今やりながらやり方についても新たな形を模索している途中だと受け止めています。
記者:
介護職員の給与についてですが、先程、4万引き上げるというマニフェストの目標が否定されたものではないとおっしゃいましたが、それは、4万円の目標は引き続き維持されていくということでしょうか。
大臣:
そういうふうに私は考えています。

(了)