細川大臣閣議後記者会見概要

H23.05.06(金) 11:56 ~ 12:20 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は閣議と、閣議の後に緊急災害対策本部と原子力災害対策本部、この二つの会議が合同で行われました。閣議や閣僚懇では特に何もございませんでした。緊急災害対策本部と原子力災害対策本部につきましては、組織の整理や呼称を整理をするというようなこと、それから現状と課題について報告があり、議論をしたということでございます。そこで出ましたのは、仮設住宅がお盆までに間に合うかどうかということが議論になりまして、私の方からは民間の賃貸住宅も借り上げて仮設住宅と同じようにそこに住んでいただくという方法もあるので、是非そちらも利用していただけたらということをお話しいたしました。被災者の皆さんが自分で住みたい民間の住宅を借りれば、それが仮の住宅として災害救助法の適用があるということでございます。それには権利金や敷金も当然負担をいたしますし、そういう意味では被災者の好みで民間住宅をお借りになるということで、是非これは活用していただきたいと思っております。そのことを各大臣などにもアピールをしていただくように申し上げたところでございます。他には、福島の方の話で、20キロ圏内にあるというような、そういう方々の避難されている方、あるいはそこでの首長さんなど、いつごろまでに帰れるのか、将来的なしっかりとした見通し、これを早く示して欲しいというような意見が強いということが議論をされました。これには難しい問題もありまして、東電の方の工程表が3ヵ月、9ヵ月というようなものが示され、総理も現地へ行かれて被災者の皆さんには来年年明けにはお話ができるだろうというようなことも言われたようでありますが、これについては被災地の方々がお困り、あるいは不安をお持ちだと思いますので、それについては精神的な面からもしっかりフォローもしていかなければと考えております。そのようなことがいろいろ議論されました。 それから、食中毒のことでありますが、富山県や福井県などの焼肉店で腸管出血性大腸菌O111によります食中毒事件が発生いたしまして、すでに4名の方がお亡くなりになったということでありまして、重症者も多数出ているところでございます。4名も亡くなり重症者も多数出ているということについては、大変重く受け止めておりまして、こういうことが二度と起こらないような万全の対策をしっかりと取らなくてはいけないと思っております。今般の事態を受けまして、関係の自治体に対しまして必要な調査の実施をすることを要請いたしまして、さらに国立感染症研究所の疫学の専門家3名を現地に派遣いたしまして調査を支援しているところでございます。今後とも被害の全容と、それから原因の究明への協力をしっかりしてまいりたいと思っております。今般の事案を受けまして、汚染実態の究明をしっかりとやること、その上で生食用食肉の衛生基準について、強制力のある法律に基づく規制をすること。強制力のある法律というのは、刑事罰や行政処分、免許の取消しであるとか営業の停止とか、そういうような行政処分ができるような法律に基づく規制をすることも含めて検討をしていきたいと思っております。私としては今回の事件がこういう事態となりまして、あらためて肉の生食の危険性について徹底的に国民の皆さんに周知をしていきたいと考えております。二度と起こらないように再発防止に向けて厚生労働省としてはがんばっていきたいと思っております。皆さんの方でも国民の皆さんへの普及・啓発の観点からご協力もまたよろしくお願いをしたいと思っております。

質疑

記者:
食中毒の関係ですが、このような4人死亡という事案が出るまで強制力をもった対応がなされていないということについて、対応が遅いという批判もありますが、これについてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
この事件が発生して4名も亡くなられ重症者も多数出ているということで、大変痛ましいことであり、重大な事案だと認識をいたしております。厚生労働省としては4月27日に富山県の方から食中毒発生の連絡を受けて以来、食中毒拡大防止のためにチェーン店を有する関係自治体への被害状況の調査、食肉処理場からの流通実態の調査を要請をすると、それとともに5月4日に国立感染症研究所の疫学の専門家3名を現地に派遣して調査を支援しているということでございます。今回の事案は調査を進めてまいった中で、当該飲食店だけではなくて他の飲食店においても衛生基準に適合しない形で生食用として提供されている可能性も認められるというようなことから、生食用食肉の衛生基準の遵守状況を調査をすることといたしたところでございます。先ほども申し上げましたように、今回の事件を受けまして強制力のある法律に基づく規制をできるような、そういう検討もしていきたいと考えております。
記者:
食中毒の関係ですが、「国民にはあらためて生食の危険性について徹底的に周知をしていきたい」と大臣はおっしゃられていましたが、日本では現在加熱用の肉しか出荷されていません。厚労省の昨日の説明では飲食店が加熱用の肉を衛生的にトリミング、表面を切り落とすことを行えば生で提供しても構わないと説明をされているのですが、食肉処理施設などを取材しますと、加熱用の肉をトリミングしたとしても生で食べるのは100%安全とはいえないと言っています。厚労省の昨日の説明では消費者の安全は保たれないのではないかと危惧するのですが、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
私としては今回の事件を受けまして、今回の事件でも家族の皆さんが誕生祝いで食事をして、そして亡くなられるというような、そんなことが起こるということはあってはならないことでございますから、食の安全というのは徹底的にやっていかなければと思っております。そういう意味で、厚生労働省としては今回の事件を受けまして徹底的な調査と、今後どのようにしたら起こらないようになるのか、そのことについて強制力のある法律的な規制も含めて検討をするということでございます。ご指摘の点については検討もしていきたいと思います。
記者:
強制力のある生食用の肉の基準ができるまでは、今は加熱用の肉しか出荷されていないわけですから、飲食店では生での提供を自粛するよう要請するのが、これまで「生食はしないでくれ」と厚労省は繰り返し呼びかけているわけですから、本来そうするのが筋なのではないでしょうか。
大臣:
生食用として出ていないことについて、それをそのまま生で提供するというのは、今回もこういう事件が起こったわけですから、そこは厚生労働省としてはしっかりと指導していきたいと思います。
記者:
しっかり指導していきたいというのは具体的にはどういうことでしょうか。
大臣:
生食用で出荷していない、それは当然そのまま生食用で提供してはいけないと、こういうことを焼肉店などに通知がいくようにするということでございます。
記者:
昨日の説明では生食用として出荷されている牛肉はないんです。それがない場合に回りをガイドラインに従って処理をしたものについては提供しても構わないと説明しています。通知でもそのように読めるのですが、そういう形になっていないではないかという風に私から質問しているわけです。
大臣:
この点は、と畜場からは生食用食肉としての出荷は近年その実績がないと、言われる通りです。食肉処理場、飲食店からの衛生基準に適合した生食用食肉の流通実態については今回徹底的に調査を行います。その調査については先ほど申し上げたとおりでございます。そこで生食用の食肉については、食肉処理場または飲食店におきまして衛生基準を遵守し、適切にトリミング等の処理を行えば販売等を行うことは現行の衛生基準でも可能であると、これは可能であるということは間違いないと思います。今回の食中毒事件を受けて、生食用以外の食肉についてはそのまま生食用として提供されることがないように都道府県等に対して関係事業者へ指導を徹底的にするよう依頼をしたところでございます。したがって、今回、生食用として提供されていない生肉をそのまま提供するということについては、それはしてはいけない、しないで欲しいという指導をするということでございます。
記者:
そもそも生肉用として出されたものは近年ないのですが、もしそれがあるとすればそれはそれで生肉用として出していいと思いますが、要するに、最初からと蓄場で生食用として出ていないものが最終的な焼肉店で生食用になると、ちゃんと衛生基準に則ってトリミングをすれば生食用になると聞きました。まずそこがとてもわかりにくいですし、それも含めて、平成10年のガイドラインが13年くらい今までずっときたわけで、この間にO111で亡くなったこれほどの大きな事件はなかったとしても、こういう状況のガイドラインのままでいたということ、今回4人亡くなったということについて、監督官庁である厚労省には責任があると思います。その点についてお願いします。
大臣:
今回こういう事件が起こったことについては、そういう基準を設けて法律的な強制力があるような形での行政ができていればこういうことは起こらなかったのではないかと、これは私も率直にそう思います。したがって、今回調査を徹底的に行って、そして実態に対しての規制をどうしていくかと、こういうことで法律的な形での刑事罰あるいは行政罰ができるような形の検討もしていかなければいけないと思っております。これまでの反省も含めた上での検討ということでございます。
記者:
反省という意味で、こういうことが起こる前にもガイドラインを見直さなくてはいけなかったということも含めてということでしょうか。
大臣:
平成10年ですから、この間にこういう重大な事故も発生しなかったということで安心をしていたということがあれば、これは行政としてそういうところについては、「食の安全」ということについては徹底的に検証をしてやっておくべきだったということは私自身は思います。
記者:
小沢元代表が記者団に対して、政府の福島第一原発の事故への対応について「結果的にうまくいっていなくて放射能を垂れ流している」という厳しく批判をしたのですが、これについてはどのように受け止めていますか。
大臣:
私自身はそういう報道があったこと自体、あるいは小沢さんがそういう話をされたということについては直接にも間接にも聞いていなくて今聞いたばかりですから、それについては何ともコメントできません。しかし、政府としては原発に対する対応、特に今回は地震や大津波、さらに原発の事故ということで、大きな災害が重なって発生をいたしました。そういう意味では政府としての対応というのは大変であったのでありますが、しかし、原発事故に対する対応については政府は全力を挙げて対応をしてきたと考えております。

(了)