細川大臣閣議後記者会見概要

H23.04.28(木) 9:24 ~ 9:45 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
本日、閣議と閣僚懇がござましたので、そのご報告をいたします。 閣議の方では、私の方から雇用情勢などについてご報告をいたしました。3月の完全失業率は4.6%、有効求人倍率は0.63倍でございました。また、新規求人は前月に比べまして7.1%減少となっております。現在の雇用情勢というのは依然として厳しい状況にあるということで私の認識をご報告申し上げました。そして、今後は更に東日本大震災の雇用への影響が強く出てくるだろうということで懸念をされているところでございます。このため、東日本大震災につきましての雇用対策、これは4月5日に当面の緊急総合対策として『「日本はひとつ」しごとプロジェクト』フェーズ1を取りまとめまして、その実施に全力で取り組んでいるところでございます。これによりまして現在把握している限りで予定されている求人を含めますと現在のところ4万4千人の雇用の機会が確保されているというところでございます。更に、昨日、補正予算及び法律措置によって拡充をいたします『「日本はひとつ」しごとプロジェクト』フェーズ2を取りまとめたところでございます。具体的には、復旧作業や重点分野雇用創造事業による積み増しをいたしておりまして、それでの雇用の創出、そして2つ目としては、被災された方を雇い入れした場合の企業への助成の拡充、それから出張相談あるいは求人開拓等での就職の支援、3つ目が雇用調整助成金の更なる拡充や雇用保険の延長給付の拡充等、被災された方々の雇用の維持、生活の安定等を盛り込んでいるところでございます。このフェーズ2関係の施策、約4兆3千億円になっておりまして、170万人を上回る雇用の創出、下支え効果を見込んでおりまして、補正予算の成立後にはこれらの対策に取り組みまして被災された方々の雇用対策に万全を期してまいりたいと考えているところでございます。 あと、5月からはクールビズを前倒し実施ということでございます。今年の夏は東日本大震災をうけた節電の実施が必要とされていることから、クールビズの開始を1ヵ月前倒しをして5月からということにするということでございます。また、終了日につきましても1ヵ月延長して10月末までとすると、こういうクールビズの開始が5月1日からということが閣僚懇の時に環境大臣の方からも官房長官からも発言があったところでございます。

質疑

記者:
雇用情勢のお話がございましたが、有効求人倍率を見ますと、被災3県は有効求人倍率自体はそれほどの低下はないのですが、新規の求人数を見ますと大幅に減っていまして、かなり厳しい状況がうかがえるのですが、あらためて被災3県の雇用情勢についてはどのような見通しをお持ちでしょうか。
大臣:
失業率あるいは有効求人倍率いずれも3月でありますから、震災が3月11日ですから、そういう意味では震災の影響というのはまだ統計にはそのものが出てないのではと思いますが、3月の統計よりも更に4月は悪くなるのではないかと懸念も持っているところでございます。したがって、これらの雇用問題については、国をあげて全面的にしっかりと対応していかなければということで先程申し上げました『「日本はひとつ」しごとプロジェクト』の中で今度の補正予算と法律の施行ということで全面的に雇用対策に対応していくということでございます。
記者:
今日の閣議で基礎年金の国の負担分のうち2兆5千億円を補正予算にまわすということに伴っての国民年金法等の改正案を閣議決定されたと思うのですが、大臣としては当初はなかなか認めがたいということで消極的なお考えもされてました。自民党も強行に反対をしているという状況ですが、今日閣議決定をされたことを受けてどのように大臣として受け止めていらっしゃいますか。
大臣:
私としては、国民年金は老後の生活の安定ということ、老後の生活の糧でありますから、これについては年金財政をしっかりと安定したものにしなければいけないというつもりで社会保障としての年金の財源を今回の震災の財源にまわすということについては、基本的にはあってはいけないというふうに思っておりました。しかし、今回の大震災はかつてないような大震災でありまして、それに対する復旧・復興のお金というのも莫大にかかるわけでございまして、そういう復旧・復興のために国民年金の2分の1への財源を一時的にまわすということについては、日本の国全体、総合的な判断として私はやむを得ないという判断をいたしました。しかし、国民年金の2分の1の国庫負担のための財源でありますから出来るだけ早く年金財政に返してもらうと、これは私は重要なことと思っておりまして、それに対しての税制改革に基づく財源を活用して年金財政の方に早く繰り入れるということを法律でも書いてあるわけでございます。したがって、厚生労働省の担当の責任者といたしましては年金財政の安定的な運用・運営ということからして出来るだけ早く返していただくということにいたしたいと思っております。
記者:
おっしゃったとおり「できるだけ早く返してもらう」ということですが、ただ、税制の抜本改革によって生み出された財源を活用するということですが、税制の抜本改革は実施されるまでにかなり時間がかかると思うのですが、だから大臣も第二次補正予算で確保してほしいというお話もされていたかと思いますが、その辺はいかがでしょうか。
大臣:
社会保障と税の一体改革に向けて集中検討会議も行っております。昨日も行われました。これは6月末を目途にして税と社会保障の改革を行うということで進めておりまして、その税制改革の中で年金の問題も入ってくるわけですから、そこでの決定が年金財源を活用して今回の2分の1の財源を返していただくと、こういうことにしたいと思っておりまして、これは出来るだけ早くというしかないと思っております。
記者:
被災3県での被害の大きかったところで障害を持っている方の安否確認が進んでいません。役所が手が回らないところで、民間団体などが入っても要援護者名簿などの提供が受けられずに安否確認ができない現状があります。個人情報保護と安否確認をどのように進めたらいいか、どのようにお考えでしょうか。
大臣:
これは援護を要する人達が大震災という災害を被ったときに、その人達が取り残されてしまう可能性が十分あるわけです。いわば震災弱者といいますか、そういう方々に特に支援の手を差し伸べて、しっかりと支援をしていくことが大事かと思います。そういう意味では、所在の確認等が遅れているようですが、これは早急に要支援の方々に対する所在をしっかりして、適切な対応をしていくことが本当に大事だと思います。委員会などでも議論がありましたが、私どもとしては自治体と民会の団体などとも連携をしながら適切に対応できるようにしっかりとやっていきたいと思っております。
記者:
4月25日に介護事業会社であります「レストヴィラ葉山」という会社がありまして、これはワタミグループの会社であります。その介護事業会社が入居一時金の問題で民事提訴されたのですが、こういった入居一時金の問題が厚生労働省では明文化されてされていなくて、各県のガイドラインによって指針はあるのですが、特に法制化はされていないということでもめ事が起きているようですが、大臣としては今後どのように対応していきたいかお考えはありますでしょうか。
大臣:
個別の案件については承知していませんが、介護施設や有料老人ホームなどに入居された方が、入った後に解約をしたいということで、解約をした時に戻していただくお金についていろいろな紛争があるということは聞いております。そういう問題が起こるということはいいことではありませんので、これについてはどういう形で規制をすることができるのか、どういう形で解決の指針を示していくのが良いのか、こういうことについては私の方でも検討をさせていただきたいと思います。
記者:
原発作業員の関係ですが、年間の被ばく量の限度を撤廃するという話が持ち上がっているということがありますが、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
これは原発の事故の作業員に適用されます被ばく線量の限度について、厚生労働省として撤廃をするということを決めたということは一切ございません。
記者:
今後も検討をされないということでしょうか。
大臣:
ご説明をいたしますと、現在福島第一原発で緊急作業に従事している労働者の方々は、緊急作業が終了した後には原子力発電の保守点検など原発に関わる業務を行っていただくことが想定されます。これが通常の業務になるわけです。今、福島原発で働いている方はいわゆる緊急事態の作業になるわけです。その区別をまずしなくていけないということです。こういう状況を踏まえまして労働者の健康影響を考慮しながら何らかの弾力的な運用が行われないかということを検討した結果、今般の緊急作業による被ばく量が100ミリシーベルトを超えた労働者については従来どおり今回の緊急作業に従事した期間を含む5年間の残りの期間はそれ以上被ばくさせないということで指導をいたしております。休んでもらうとか通常の原子力関係の保守点検などの通常の仕事に就かないような形の対応をとって欲しいと、これは委員会などでも答弁をいたしたところでございます。100ミリシーベルトを超えなかった場合は、通常業務に戻った場合の話ですが、今回の緊急作業に従事した期間を含む5年間の残り期間での被ばく線量が100ミリシーベルトを超えないように指導をしていくと、こういうことでございます。緊急時に被ばく線量が250ミリシーベルトとなっております。通常業務で1年間に50ミリシーベルト、5年間で100ミリシーベルト、こういう規則そのものを変えるということはございません。

(了)