細川大臣閣議後記者会見概要

H23.03.18(金) 11:00 ~ 11:31  省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会が終わりましたので皆さんにご報告にあがりました。閣議では総理の方から震災がちょうど1週間前の午後に発生をして、この間大変な被害が発生をして、国民の皆さんが大変苦しい思いをしていると、それに対していろいろな救援活動を行ってきたけれども、まだまだ行方不明の方もたくさんおられるし、避難者も多いということ、さらには原発の方が予断を許さない、どうなるかわからないという本当に緊迫した状況が続いていると、こういう状況であるので、閣僚の皆さん方力を合わせて頑張っていただきたいと、こういうお話がございました。他に私の方から厚生労働省関係で閣議と閣僚懇で報告をするようなことはございません。

質疑

記者:
震災が発生してから1週間が経ちました。この1週間厚労省はどのような対応をとってきたのか、また、今後の取組について大臣のお考えをあらためてお聞かせください。
大臣:
ちょうど1週間前の11日金曜日の14時46分でありました。その時私はちょうど参議院の決算委員会でいろいろと質問を受けている最中でございましたが、その時に地震が発生をいたしました。直ちにこちらの方に帰りまして、厚生労働省の中に対策本部を設置をいたしまして、この地震に厚生労働省としてのいろいろな対応をしていくということを直ちに決定をしたところでございます。 その中で、まずは災害救助法を円滑に発動をさせるということが重要でありまして、この点につきましては、宮城・岩手・福島の3県全市町村が適用をされたところでございます。また、避難所等への物資などにつきましては、政府全体で対応をしているところでございます。 震災が発生いたしまして、まず初期の段階で大事なことは、応急医療でございますので、直ちに災害医療派遣チーム、DMATでございますが、このシステムを動かしまして、最大181チームが活動をいたしました。 医療については、保険証なしの受診や自己負担の免減なども早速行ってまいりました。また、避難所などでの保険医療ケアに重点が移っておりまして、医療班や保健師、あるいは心のケアチームの派遣などを進めていっているところでございます。3つめは医薬品や衛生材料の不足も発生直後から問題となりまして、それについては医療機関の方から県庁の方に連絡をしていただく、この体制をつくりました。これを受けまして、卸や製薬メーカー、自衛隊などにお願いをいたしまして、医薬品については、いろいろ不足が言われておりますが、現地の集積所までは医薬品がようやく届くようになりまして、まだそれから先がガソリンの不足などでなかなか届いていないという状況にありまして、これに対しては強力にこの点についてはしっかりやっていかなくてはと思っています。 それから、水の問題もありまして、発生段階から大変重要でございまして、断水になりました戸数は最大190万戸くらいだと思いますが、これについては復旧に努力をしていただきまして、今は100万戸くらいが断水ということになっております。 その他震災の対応というのはいろいろございまして、私の方から全てをお話するということも出来ないわけでありますが、私が本当に心配をいたしましたのは、地震による津波等の災害によって被害者を救出することはもちろんでありますが、例の計画停電のことでございました。あの停電は急に決定をされまして、しかも朝の6時20分から。前日の夜の8時に決まって、翌日6時20分から停電という急な決定でありましたから、特に医療の関係では、自宅で人工呼吸器などを使っている方に不測の事態が生じるのではないかということを本当に心配をいたしました。しかし、その翌日の6時20分からの停電については延期ということになりましたので、そういうこともありまして、不測の事態ということが生じなかったということで、それは正直ホッといたしたところでございます。 これからの問題でありますが、これからは避難所での生活をされている方、この方々に対して水や食料の問題、精神的なケアをどういう風にきちんとしてあげられるか、これが大変重要になってくると思います。もう一つは、原発がどういう風になるかわからない、非常に緊張した状況が続いております。これは何とか収まっていただいて、大きな事故に発展しないこと、この事が一番我々としては望んでいるところでありますが、このことは東電の皆さんや、あるいは防衛庁、あるいは警察庁、いろいろな方が必死になってそれを防いでおります。その努力が実ること、そのことを私どもは心から願っているところでございます。
記者:
震災の復興財源として子ども手当の見直しというのが一部で出ているようですが、これについて大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
戦後最大の日本の危機でもありますし、大変な被害を受けたその被害の救済と今後の復興、これについてはしっかりやっていかなければと思います。そのためには、国は最大の財政的な支援はしっかりやることだと思っております。一方で、子ども手当は日本の将来を担う子ども達に対する一人一人育ちを国を挙げて応援をすると、こういうことでもございますから、そこは私は兼ね合いが必要になってくると思っております。したがって、これは大きな大きな政治的な判断だと思いますが、私としては災害の復旧と被災者の皆さんに対する支援、これに国の財政的な支援をやらなくてはいけないと思いますが、また、子ども手当もなくすとか大幅に削るとかいうことについては、これはこれで私としては子ども手当もまたやっていかなければいけないと思っております。
記者:
現時点では大臣の中では削減とか見直しとかは念頭にはないということでしょうか。
大臣:
これは子ども手当を提案をしている満額と言いますか、今法案として出している子ども手当法案を全てを通してくれというつもりはありませんが、しかし、子ども手当というものは子どもの将来といいますか、子どもの育ちをみんなで応援をするという趣旨からして、これはこれで私は残してもらいたいと思っています。
記者:
昨日、大塚副大臣が計画停電のことに関連して、間違えると困るので読み上げますが「本当に大停電になるかもしれない。我々は医療機関を止めたくないんです。そうするとメディアの皆さんにも本当にご協力いただきたいのですけど、新聞社やテレビ局として例えば節電にどういうご協力がいただけるかということも皆さん持ち帰って是非議論をしていただきたいんです。日中の番組の放映もこれは当然電力を使っているわけですから、我々はこの緊急事態に人命に関わることについてリソースを割きたいと思っています」というような趣旨のご発言をされまして、日中の放映などについて自粛といいますか持ち帰って話していただけないかという話をされたのですが、大臣もこのようなお考えでいらっしゃいますか。
大臣:
私自身は大塚副大臣のそういうお話を直接聞いてはおりませんが、今読み上げていただいたようなそういうご発言があったということ、それについてはどういう趣旨なのかはわかりませんが、大塚副大臣としては政府全体として節電を呼びかけていると、こういうことをおっしゃりたかったのではないかと私は思いますが。
記者:
これは厚労省としての要請ということではないということですね。
大臣:
そういうことではございません。マスコミの皆さんのいろいろな報道というのは今回の被害についても自治体やあるいは国の方でも把握をしていない、あるいはできないようなことをいろいろと報道していただいて国民の皆さんにお知らせをしていただいているということについては、本当に大事な役割を果たしていただいていると思っております。マスコミの皆さんも不眠不休で災害にあたって、マスコミの皆さんの役割を果たされていると思いますが、さらにご努力もお願いをしたいと思います。
記者:
この1週間で政府の対応について反省点といいますか、初動を含めて何か考えてらっしゃることはございますか。
大臣:
私は印象的であったのは、計画節電のときにあまりにも急な決定でありましたから、それ以前に私の方からは停電ということについては医療の問題があるので、これについては医療関係、とりわけ対策会議でも申し上げましたのは、自宅で人工呼吸器などを使っている人達もいるから、これについてはきちんと配慮をしてくれるようにと、こういうことを申し上げてきておりましたので、突然の決定があるとは思いませんでしたから、したがってあの時に思ったのは、もっと東電の事業者と政府の対策本部がもっと事前に計画的に発表していただくことがよかったと思っておりまして、その点の連絡の不十分というのを私は感じておりました。そういう反省の点はございます。
記者:
先ほどの大塚副大臣の発言についての関連の質問ですが、電波の所管、放送法の所管は総務省に本来なるかと思うのですが、厚生労働副大臣である大塚さんがそういう発言をされたということは、総務省とも日中のテレビ放映の自粛という調整をしているのかということ。もう一つが、日中のテレビ放映の自粛とも取れる発言ですが、被災地にも情報が届かないという可能性もあるのですが、それについては大臣としては大塚副大臣に今後何か確認されるおつもりはございますか。
大臣:
総務省の電波の関係とかの管理の問題で、総務省とお話合いをするとかいうようなことは一切やっておりません。大塚副大臣のご発言については先ほども申し上げたように、全体的な節電を政府の方が呼びかけているという趣旨で申し上げたのだろうと思いますので、全く他意はないと思います。
記者:
子ども手当の関係で、「法案として出している全てを通してくれというつもりはない」というのは、上乗せ分はある程度断念してもしょうがないということでしょうか。
大臣:
具体的には申し上げることには、政府の方としては法案を出して審議にも入っている状況でございますから。しかし国会の方で子ども手当法案、その他の法案も全て含めてどういう風にやっていくかということを与野党で調整もされているようでございまして、子ども手当の法案については先ほど申し上げたように、未曾有の被害が出ている時に、これに対して国としては最大の財政的な支援もして復旧復興に努めて被災者の救済をしていかなくてはいけないと、こういう立場と、子ども手当の趣旨、将来を担う子どもを、一人一人の育ちをみんなで応援するという、これもまた大事だと思っておりますから、そこの兼ね合いといいますか、そこを国会の方でどのように解決していただけるか、私の気持ちも汲んでいただけるような結論になるのではないかと期待をいたしております。
記者:
労働関係のご質問なのですが、災害で労働基準法26条適用が、天災ということで企業さんの計画停電や被災に伴う企業の補償で、賃金の6割適用が外されましたが、それに伴って期間工や派遣社員の方が休業補償の適用を受けられず、そのまま無給状態になってしまう状態が発生しているのですが、これについて何か手当や対策を講じるようなお考えはありますでしょうか。
大臣:
計画的停電が長期化するか私どもも予測がつきませんが、そういう問題についてはそれで検討していきたいと思います。今のところ明確なお答えは差し引かえさせていただきます。
副大臣:
雇用調整助成金で対応するようなことは言っておりますので、いろいろなケースについてきちんと対応出来るように検討して、また総合的にお伝えしたいと思います。
大臣:
雇用調整助成金の方は休業した場合には、これはこれで対応出来ると思いますが、いろいろなケースが考えられますからもちろん検討していきたいと思います。
記者:
医薬品の問題に戻るのですが、集積所に届いてもその先にいかないという問題は非常に難しいことはよく分かるのですが、厚生労働省として何か具体的に出来る知恵がおありかどうかお聞かせください。
大臣:
これまで医薬品がなかなか届かないという最初の段階はガソリンがないということで、そもそも医薬品が動かなかったのですがやっと集積所までは行くようになりました。これから先をどういうふうにするか、ここもまたガソリン不足でそこから先が進んでないという状況です。場合によって、例えば自衛隊のいろいろなヘリコプターで運んでもらえるかどうか、そこは至急検討したいと思っております。
記者:
そこはまだ検討段階でしょうか。
大臣:
そこはどういうふうにやるか、まさに検討しているところです。
記者:
今の話にも関連するのですが、厚生労働省の皆様は一生懸命やっておられると思いますが、私は仙台に勤務した経験がありまして現地の方の話を聞くと、政府は原発の対応であり、計画停電の混乱を防ぐことにメインをおいていて、現地の被災者への支援が遅れているのではないかとおっしゃる方もいます。確かに政府として重要な課題に同時に対応しなければならない難しさは分かるのですが、被災者そのものへの支援が遅れている側面はあると思われます。そこは十分に速やかに対応されているとお考えでしょうか。
大臣:
政府をあげて一生懸命最大限の努力をしていると思っております。しかし、現実には被災者の方の避難場所などに、救援物資が届いていないということも皆様がたの報道によって私どものところにも伝わっております。そういうことを考えれば、それはそれで十分に行っていないと思います。そこで、政府としては同時に地震、津波によって被害に遭われた方の救援の問題、それと原発をどうするかの対策、もう一つは先ほどお話のありました計画停電の問題に対する影響にどう対応していくかという3つが同時にきております。原発の方は特別に対策本部が出来ましたが、昨日被災者の生活支援の特別対策本部が政府の方に作られました。これはそのことだけを行うということで、本部長は松本防災担当大臣でございますが、その代理に総務大臣、それと仙谷副官房長官が配置されまして、そちらはそちらで被災者の生活支援を中心にやっていくということに昨日決まりました。そこで対応していくものと思いますから、これまで不十分であったこところを切り分けてやるということで、全力を尽くしていきたいと思っております。

(了)