長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.7.27(火) 10:58 ~ 11:20 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会、その後の犯罪対策閣僚会議、第11回口蹄疫対策本部を経てこちらに参りました。口蹄疫対策本部では、移動制限解除ということになりまして、私が発言致しましたのは、当該地区の畜産農家等の事業主の皆様方に、大変厳しい状況でありますので保険料の軽減策、あるいは休業手当相当額の一部を助成する雇用調整助成金制度の要件緩和を行いました。その結果、7月22日現在で雇用調整助成金の要件緩和に伴う事前の届出である計画届が当該地域の畜産農家を含む事業主から70件近く提出をいただいているということであります。移動制限が解除されましたので、その後に実際に休業等を実施した時には速やかに支給申請をいただいて、それを審査をして認めていくというプロセスになると考えております。 もう一つは、営利目的で大阪市の生活保護受給者が向精神薬を大量に入手をして所持をしていた事案がありましたので、類似事案がないかどうか自治体に調査を致しました。あくまで中間的なものでありますが、お知らせをしたいと思います。その結果、レセプトを点検致しましたところ、今年1月に精神科に通院した生活保護受給者のうち、同じ1ヶ月の間に複数の医療機関から向精神薬を処方されたものというのは、全国で2,746人ということであります。もちろん、この方々全員が問題という数字ではありません。こうした方々が不適切に向精神薬を入手しているかどうかは判明していませんが、多くのケースで過剰に処方されている疑いがあるということで、これらの方々について追跡調査を今後致しまして、それぞれどういう事情なのかということについて今後さらに見極めていきたいと、同時に指導改善が必要であれば実施をしていくということで、これについてもその結果を公表していきたいと考えております。

質疑

記者:
来年度予算の概算要求の新たな基準について閣僚懇談会などでどのようなお話があったのかご紹介いただきたいのと、大臣から御発言をされていたらご紹介いただけますでしょうか。
大臣:
閣僚懇談会では概算要求の基準、これまでもずっと議論をしておりまして、党の要望を受けて政府がまとめたものが案として示され議論がありました。私の方からは特に発言は致しておりません。色々な議論の中で最終的には該当する閣僚の会議に一任ということになりました。その結果を受けて速やかに閣議決定をしていくという方針だということであります。過程で政治主導なのか財務省主導なのかとか色々議論がありましたが、最終的には一任をするということで、一定の意思の収斂は出来たのではないかと思います。
記者:
今回、案としては概算要求段階から今年度予算に比べて各省に対して10%削減というような方針が示されていると思いますが、これについて異論が党内でも出ているようですが、大臣は10%一律削減についてどのようにお考えですか。
大臣:
これは大変厳しい財政の状況の中で確かに厳しい数字だと思います。かつてシーリングといえば数パーセントという時代もあったわけでありますので。ただ、優先順位を付けて、優先順位の低いもの、国民生活に直結しないようなものについて厳しく切り込んでいくという一定の数値目標というのはやむを得ないのではないかと思っています。当然、それだけの機械的なものではなくて、枠もありますし、あるいはそれ以上削りこんだ場合は一定のインセンティブというかそういう仕組みも入っていると考えておりますので、こういう基準なり考え方は必要でないかと思います。
記者:
厚生労働省としては来年度予算に子ども手当や求職者支援の恒久制度というのがあって、そういう意味でも増額が必要になってくるのかなと思うのですが、厚生労働省の概算要求としてはどのような方針でしょうか。
大臣:
まず、自然増というものが社会保障費にあります1.3兆円。他の省庁も合わせると1.4兆円あるということでありますが、当然それについても野放図に出しているわけではありません。適正化、不正などを今まで以上に切り込む、あるいは自立を促すような、特に生活保護を受けておられる方に対して職についていただくような、ある意味ではマンツーマンに近い形のサポート体制も就労支援員を倍増致しましたし、そういう適正化の結果としてもそれだけの金額が必要になるということ。もう一つは今おっしゃっていただいたような、マニフェスト、あるいは国会答弁で申し上げている求職者支援、あるいは子ども手当の上乗せというような新規に財源が必要になる施策もありますので、色々な枠もありますから、どういう形で要求していくのが一番適切なのかということは会計課も含め省内でも議論をしているところであります。最も適切な形で要求していきたいと思います。
記者:
今回は特別枠、1兆円を相当程度超える額というようなことが示されまして、これについても党内で異論が出ていたりするのですが、特別枠については大臣はどのように思われますか。
大臣:
一定の透明性を図ってその枠の使い道を、まだ詳細は詰まっていないようですが、いわゆる政策コンテストというような形で多くの要求が来たときにどれを優先すべきかを透明性を高めて審査をすると、こういう仕組みは今まで主計局と担当省庁が見えない形でやってきた前政権時代から比べると、これは非常に見えやすくなって、考え方も含めて国民の皆さんにより一層御理解をいただけるのではないかと思います。その中で、厚生労働省としてもどの部分をそこにあげていくのかということについては、これはプレゼンテーションということもあろうかと思いますので、まだどの部分をいくらということを決めているわけではありませんが、これについては議論をして、国民の皆様方に納得していただけるような形で盛り込んでいきたいと思います。
記者:
先程おっしゃった社会保障費の自然増1.3兆円ですが、ここは削れないという認識でしょうか。
大臣:
すでに色々な考え方で削った上でその数字を出しているということでもありますし、先程申し上げたように適正化ということでありますが、これについても給付費では数千億、国費では数百億を削っている上でこれを出していると考えておりますので、直ちにこれが縮小出来るとは考えておりません。むしろ、厚生労働省としても1割カットするということになるわけでありますので、その部分で自然増とは別に事務費、政策的経費がありますのでそこを厳しく見ていくということです。
記者:
菅首相が周辺に9月の代表選に向けて出馬の準備を進めるというような指示をされたみたいですが、代表選に向けて長妻大臣としては菅首相の再選を支持されるのかどうかお聞かせ下さい。
大臣:
菅総理、民主党代表でもありますが、菅代表が次に出馬されるかどうかというのはまだ正式に表明されているかされていないか聞いておりませんが、仮に出馬されるということであればもちろん支持を致します。
記者:
党内から選挙戦になった方が良いのではないかという声もあるのですが、大臣の考え方をお聞かせください。
大臣:
当然、立候補したいという方がいらっしゃった時に何かしない方がいいという話をすることはあってはならないと思いますので、そういう意欲のある方がいればどんどん立候補していただいて、政策的な議論を大いに展開して行くことは、菅総理の政策的考えをはっきりさせるという意味でも非常に重要なことではないかと思います。ただ、そういう意欲のある方がいらっしゃらないのに無理にそういう形にすることも「本来の姿かな」とも思いますので、それは当たり前の話ですが今申し上げたようなことだと思います。
記者:
泉南アスベスト訴訟の問題で、先週21日に国の控訴理由書が出された件についてお伺いしたいのですが、これまで政府としては控訴した上で和解も含めた早期解決を図りたいという趣旨の発言をされて来ましたが、理由書の中にはそういう記述はありませんでした。政府として控訴審にどのような姿勢で臨むのか、理由書にあるようにあくまで法律的な見解の相違を争うのか、そのスタンスを改めてお伺いしたいのですが。
大臣:
ついこの前官邸で、訴訟の内閣全体の会議体を作る話し合いをいたしました。ある意味でこのアスベスト訴訟が第1号ということで、これについても具体的な人選が固まって事務方レベル、そして、閣僚レベルという体制が整っているところです。その中のペーパーにも書かせていただいきましたが、やはり、被害者の方々について本当に法律的な主張も重要ですが、その救済、補償についても我々は法的な主張の中で考えないといけないと申し上げております。そういう意味では時間軸にも配慮して、今後法廷等でどう国が主張するのかについて政府内で調整をして、今申し上げた考え方の下、取り組んで行くということです。今後、訴訟が進むに当たってそういう会議体で議論をして行きたいと思います。
記者:
介護保険について伺いたいのですが、昨日から社会保障審議会の介護保険部会で改正に向けての議論が始まったわけですが、介護保険については6月に「介護ビジョン」を示すとか、2012年の診療報酬との同時改定に向けて医療、介護の国民会議を開くという話もあったのですが、その辺の話がないまま従来の社会保障審議会での議論が始まり、一体今後どういう体制で改正に向けた議論をして行くのでしょうか。従来型でもいいとは思いますが、その辺の整理が付いていないと思いますが大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
我々も内部で「少子高齢社会の日本モデル」ということで議論をかなり積み上げておりまして、そういう青写真も担当部局も頭に入っておりますので、それを参考に進めて行くことです。あとは、全体の打ち出し方ですが、これについては今官房長官とも議論をしておりますが、選挙の結果参議院がねじれ国会にもなったということで、与野党の協議が重要性を帯びてくる中でどういう枠組で議論して行くのかということで、今議論の設置の在り方については調整をしております。いずれにしても厚生労働省の中では日々いろいろな有識者の先生をお呼びして、担当部局と我々とで議論をしているということです。厚生労働白書もこれから出版いたしますが、その中にはそういう考え方を出来る限り入れ込んで行きたいと思っております。
記者:
生活保護について、先ほども就労支援、自立支援に力を入れて行くとおっしゃっておりますが、例えば、就労支援員さんも昨年の補正でやはり、3,050人分の予算を確保されましたが、実際に自治体が手を挙げられたのはかなり少なく、やはり、就労支援員さんを抱えるとなると、自治体として今後も予算の裏付けがあるのかどうか不安の反映でもあるかと思いますが、自治体とかみ合う政策についてどうお考えでしょうか。
大臣:
就労支援員の確保というのは非常に大変なことだと思っておりまして、全く経験の無い方がそのまま来てというよりは、一定の経験があったり、一定の資格を持っておられたりという方ですので、そういう方はすでにいろいろな場所で働いておられる方が多いので、確保策が大変であるということもあります。これについても我々は支援をして行きたいと思います。あとは後年度負担と言いますか、一回雇った方もその後「裏付けがどうなんだ」という御懸念もありますので、これは地方の意見もよく聞いて、厚生労働省としてどういう方策が取れるのか検討しているところです。概算要求にどう盛り込むかということもポイントになって来ると思いますので、そういう意見交換が出来る限り概算要求で反映出来るようにして行きたいと思います。
記者:
社民党の辻元議員が昨日離党を表明されて、今日にも会見を開いて離党されることになると思いますが、これについて大臣のコメントをいただけますか。
大臣:
これは政治家がどこの党に所属する、しないというのは極めて個人的政治信条に基づく話だと思いますし、その背景やらを御本人から伺っておりませんので、なかなか的確なコメントは出来にくいと考えております。

(了)