長妻大臣閣議後記者会見概要

H22.6.18(金) 10:58 ~ 11:20 省内会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
閣議と閣僚懇談会を終えてこちらに参りました。私の方からはいわゆる天下りの問題でございます。厚生労働省所管の公益法人、あるいは法律に基づく法人について、独立行政法人を除くものですが、調査を致しますと、厚生労働省単独で所管をしている法人については、国家公務員OBが常勤役員として在籍をする法人数が264。常勤役員の国家公務員OBですが320人、非常勤が936人ということで、数は減りつつありますがこういう方がいらっしゃいます。そこで省内、政務三役等とも議論を致しまして、基本的には独立行政法人と同じ手法で公募をしていただくという通知を出させていただこうと考えております。この通知は本日付けで出させていただければと思います。私自身、公益法人については人事権はございませんので、あくまで厚生労働省が所管をするという意味で要請をするという体裁となりますが、基本的にはそういうポストについては、まずポスト自体が本当に必要なのかどうかを厳しく見直して削減すべきポストは削減をすると、その上で公募をしていくということを考えているところでございます。この通知を出させていただいて御理解を得るべく努力をしていきたいと考えております。

質疑

記者:
菅総理が昨日、消費税10%の引き上げについて言及をされましたが、大臣の受け止めをお願いします。
大臣:
私自身もそういう考え方は必要だと思っています。国家予算の中でも大きな割合を占める社会保障を所管する責任者と致しまして、自然増だけでも毎年1兆円国費がかかると、そして少子高齢社会ということで、必要なお金は必要であります。その時に財源をどこに求めるのかということで昨日総理が言われたことについてはその通りであると考えております。その前提として再任いただいた会見でも申し上げましたが、一つは徹底して無駄遣いをなくしていく。外部から指摘する前に無駄遣いをなくす。4月1日に省内事業仕分け室も設置致しまして、昨日も省内事業仕分けに私も出席しましたが、その不断の努力をしなければ国民の皆さんの御理解を得られない。特に、最も予算を使う省庁である厚生労働省は他の省庁に比べてもより大きな努力をしなければいけないというのが一つです。もう一つは将来の絵姿がなければ国民の皆様もその御負担についての展望が描けないのではないかと考えておりますので、少子高齢社会の日本モデル、2020年の絵姿について今月たたき台を出してそれに基づいて有識者等から御意見を聞いて1年かけてまとめていくと、こういうようなことで何とか御理解をいただくように努力をしていくということが必要であると考えています。
記者:
民主党のマニフェストで子ども手当満額2万6千円の支給が断念されましたが、マニフェストが選挙向けの大風呂敷だったのではないかという指摘が出ていますが、受け止めをお願いします。
大臣:
平成23年度2万6千円というマニフェストを昨年の衆議院選挙で掲げて戦いました。その中で1万3千円を上乗せするというマニフェストが昨日出まして、所管する大臣としては国民の皆様に大変申し訳なく思っております。これについて詳細な上積みの金額、あるいは現物、現金の中身というのが予算編成過程の中ではっきりした時に改めて国民の皆様方に正式にどういう形に23年度はなるのかということを説明しなければならないと考えております。
記者:
大臣は衆院選のマニフェストをいつも懐に入れていらしたのですが、今度は参院選のマニフェストに変わるのでしょうか。
大臣:
昨年のマニフェストを今も入れておりまして、私としてはこのマニフェストも基本でありますので、それは到達の年限が23年度については2万6千円全額現金支給というのは出来ませんでしたが、それ以外の公約については詳細に書かれておりますので、出来うる限りそれを実行するということは必要であると考えております。
記者:
消費税についてですが、菅首相は10%と具体的な数字を言及されました。この10%という数字については大臣はどのようにお考えでしょうか。
大臣:
菅総理も自民党が10%というのを出されておられるのでそれを一つの参考というようなお話ではないかと考えております。今後、具体的なことは党の税調、あるいは政府の税調などで議論をしていくと考えております。
記者:
子ども手当についてマニフェストで1万3千円から上積みをするということで、具体的な金額は明記されなかったのですが、大臣としては今の段階でいくらの現金支給を想定、望ましいと思われていますか。
大臣:
一つは大変厳しい財政状況の中でありますので、政府全体、特に財政当局とも御相談をして、私どもの主張は言うべきことはきちんと言って、最終的には具体的な案を確定した時には国民の皆さんにきちんと御説明を申し上げるということになると思います。
記者:
公益法人に対する公募の要請ですが、他の省庁では前例はないのでしょうか。
大臣:
他の省庁ではこういう通知は私は承知をしておりません。冒頭も申し上げましたが、最も予算を使う省庁であって、今後国民の皆さんに御負担をお願いしなくてはならないという立場の省庁でありますので、より厳しく、税金の無駄遣いの温床となり得る天下りについても我々がより努力をしなくてはならないということで、これは役所サイドとも話合いの上でこういう通知を出させていただくと。役所の中には、他の役所に比べて厚生労働省は無駄遣い、天下りが厳し過ぎるという声も一部上がっておりますが、それについては先程申し上げたようなことを繰り返し繰り返し申し上げ、天下りなどについても厳しく取り組んでいくことで必ず厚生労働行政の将来は開けるということを繰り返し申し上げております。
記者:
形式は大臣名での要請文になるのでしょうか。
大臣:
独立行政法人については理事長の任命権は大臣にございますが、この法人については人事権がございません。民間の法人ということになるわけでありますので、これは要請という形で出させていただくということであります。その後、どういう状況になったのかということについても調査をさせていただいて、それも皆様方にお示しをしていきたいと考えております。
記者:
消費税の話ですが、大臣御自身は10%の水準についてどうお考えでしょうか。例えば、年金制度改革にしても最低保障年金の部分では増税分を念頭においていらっしゃるようですし、社会保障、成長戦略、様々な部分でこれから必要になる中で果たして10%で良いのかという議論もあると思うのですが。
大臣:
中長期的に考えると最終的な高齢化がピークになる年限がありますので、その時の時点で一体どのくらいの負担が必要なのかというのはきちんと議論、あるいは調査しなくてはならないと考えておりまして、その率についても一つの参考というような話であると考えておりますので、これについても税調の方で具体的に精緻な議論をしていかなければならないと考えております。先程申し上げましたように、自然増プラス社会保障改革において、現状においても昨日話が出たその数値というのは一つの参考になると考えております。
記者:
消費税の引き上げの時期について総理は説明されなかったのですが、大臣は総選挙前にも引き上げを行うべきとお考えでしょうか。
大臣:
これについては税調の方で議論をして行くと考えておりますので、いろいろな技術面の話ですとか、あるいは逆進性の話ですとか論点はあると思いますので、そこでどういう形、時期、手順は議論をして行くと考えております。
記者:
マニフェストで介護ヘルパーなどの給与の引き上げに引き続き取り組むとありまして、衆議院選挙の時には4万円上げるとありました。これは額については書いてないのですが、目標については断念したということになるのでしょうか。
大臣:
そういうことではございません。国会の答弁でも昨年の9月に4万円という数字がありましたが、これについては自民党時代の上げ幅も含めてということで、国会で答弁を申し上げました。そういう意味では差し引きで言うと、あといくらかという数字も国会で答弁いたしましたので、それについては取り組んで行くということです。
記者:
地域主権の関係ですが、大綱の取りまとめは先送りになりましたが出先機関の原則廃止という中で、ハローワークの職業紹介業務、監督業務などが目玉になっておりますが、厚生労働省の主張としてはILO条約などがあり、ナショナルミニマムとして一括してやらないといけないと先日も、細川副大臣や、山井政務官が国会答弁の時におっしゃっていたのですが、大臣としてのお考えはいかがでしょうか。やはり、国で一括してやらないといけない業務なのか、それとも地方に移した場合にサービスの質が落ちる心配があるのか、そのあたりのお考えをお聞かせください。
大臣:
やはり、かつてからずっと行っている業務をそのまま続けて行くということについて、本当に国民の皆様から見ていろいろな御疑問が出てくると思っております。今の職業紹介を中心とする業務にプラスして、生活相談ですとか、トータルの支援、あるいは貧困問題に対応する一つの拠点などの役割をもう少し広い位置付けで捉えて、それが国民の皆様から見てナショナルミニマムを守る拠点として必要だと感じていただくような改革案、提言を今検討しているところです。あとは、全体の議論の中で地方自治体がどういう具体的な運営をされるのか、ナショナルミニマムを守るための一つの拠点という位置付けで、どういう役割をはたしていただけるのかということが次の段階に来ると思いますので、私どものほうでハローワークの役割の見直しということに取り組んでいるところです。
記者:
基本的には一括して国でやるべきだというお考えでしょうか。
大臣:
今の段階では、国で最低限の生活を守るナショナルミニマムの拠点として位置付けたいと思っております。ただ、それと同じ役割も、地方自治体の御了解のもとやっていただけるということが確実に担保されるという議論が出て来ますと、いろいろな議論の余地があると思います。まず、ハローワーク自体が本当に必要性があり、全体の生活支援もするような、国民のニーズに応じた役割を果たすことが出来るということを我々の方でもきちんと議論をして行きたいと思っております。
記者:
消費税の件に戻りますが、昨日、菅首相が踏み込んだことについて、民主党の参議院幹部からは「踏み込みすぎだ」ということで参議院選挙への悪影響を懸念する声も出ているのですが、大臣は選挙との関連についてどのようにお考えでしょうか。
大臣:
やはり、実際に社会保障を預かる責任者としては、これは無駄遣いを徹底的に無くして将来の絵姿を描くということを前提といたしますが、やはり、好むと好まざるとに関わらず、その議論がなければ本当に少子高齢化社会を乗り切って行くことが出来にくいという強い危機感を持っております。それについて丁寧にその話を国民の皆様にして御理解をいただく努力をして行くつもりです。
記者:
消費税についてですが、税調の議論はもちろんあるとしても、何%上げます、こういうふうに使いますという姿を示して、衆議院選挙を戦わないでそれ以前に上げるということについてはどのようにお考えでしょうか。
大臣:
基本的には我々は消費税についてそれを国民の皆様にお願いする時には、その率、その使途を明確にして総選挙で真を問い、一定の御理解がいただければそれを実行して行くということをかねてより申し上げておりますので、基本的にはそういう考え方だと思います。
記者:
昨日、玄葉さんがいろいろな条件が整えば、2012年秋にもというおっしゃり方をしたのですが、そういう場合であってもその前に総選挙は行うのでしょうか。
大臣:
私もどういう議論がなされているのかということは細かくは承知しておりませんが、原則としてはこれまでそういうことを申し上げておりましたので、そういう考え方が必要だと思います。
記者:
生活保護の老齢加算についてですが、大臣は老齢加算がナショナルミニマムに当たると思いますでしょうか。母子加算の復活の際に野党時代に、大臣や山井政務官が廃止の根拠として批判をされていた「拙速によく検証をせずに廃止した」ということが先日の福岡高裁の裁判でも「老齢加算を廃止した根拠としておかしい」と司法として判断したのですが、今後の対応等についてもお聞かせください。
大臣:
これについては自治体からも厚生労働省は意見を求められておりまして、まだ、その意見をお伝えしておりませんが、今省内でも慎重に議論をしているところです。母子加算については野党時代に私も責任者となって詳細に分析をした結果、やはり、「マニフェストに盛り込んで復活しなければならない、ナショナルミニマムを担保出来ないのではないか」という議論をさせていただいて、復活したわけです。老齢加算については、そこまでの議論には野党時代にも、マニフェストにも明記しておりませんので、やはり自ずとそこについては我々も考え方に差があると思っております。いずれにしても、全体の最低基準についての議論はナショナルミニマム研究会で鋭意実施しておりますので、これは全体の最低限度の生活ということについて、お金だけなのか、他の要素も盛り込むべきではないのかいろいろな議論がありますので、短期的ということではありませんが整理して行く必要があるという問題意識は持っております。

(了)