加藤大臣会見概要

H30.7.10(火)10:41 ~ 10:57 会見室

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
おはようございます。まず、今回の記録的な豪雨による死者・行方不明者は140人を越えておりまして、極めて甚大な被害が生じています。亡くなられた方にご冥福を心からお祈り申し上げたいと思いますし、また、被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げます。厚労省関係の把握している被害状況でありますが、水道関係では広島県、岡山県、愛媛県等63事業体が被災し、12府県48市町の合計約26万9千戸において断水被害が発生しております。関係機関と協力して、必要な資材の供給や災害対応に当たる要員の人的支援を行い、速やかに応急給水を実施するとともに、早期復旧に全力を挙げております。別途、関係市町村にお願いをして、給水車の派遣をしていただいているところであります。また、医療施設については、断水、停電等の被害が出たところがありますが、現時点では地域全体の診療機能に影響はなく、人的被害はありません。社会福祉施設等においては、断水、停電等の被害が出た施設がありますが、現時点で人的被害は承知しておりません。引き続き、医療・介護サービス等の提供に支障が生じないよう的確な支援を行っていきたいと思います。また、現在、広島、岡山県等の被災地でDMATが活動中ですが、今後はDMATが初期の対応から避難所における生活支援等が重要になってまいります。さらに、災害時の健康危機管理に関する自治体の指揮・調整の支援を行うDHEATについても、岡山県からの派遣要請がありますので、12日から派遣を予定しているところであります。被災地の気温が非常に高くなってきております。水害後の被災地域や避難所の衛生状態の確保、感染予防、熱中症予防を図っていかなければならないところでございます。必要な対応をしていきたいと思います。こうした被災地における現場のニーズを的確に把握し、被災自治体に対して先手先手の支援に取り組むため、昨日、厚生労働省現地対策本部を広島にある中国四国厚生局に設置し、岡山県、広島県、愛媛県に本省職員をチームとして派遣したところでございます。また、本日政府の「被災者生活支援チーム」の第1回会合が開催されると承知しておりますが、これらを受け速やかに省内に被災者生活の支援に取り組むための専任のチームを設けるとともに、それぞれ被災をされた方々が救出、それから復旧という段階において様々なご不安を感じておられます。そうしたご不安に対応すべく、例えば被災者が被保険者証を提示できなくても医療保険による受診が可能である、また災害の影響で事業所が休業して一時的な離職を余儀なくされた場合には雇用保険失業等給付を支給する特別措置があること等、必要な情報をしっかりと周知を図っていきたいと考えております。引き続き、自治体との連携を密にして、被害状況や被災自治体のニーズを積極的に把握して、職員一丸となって被害に遭われた方々の支援に万全を期していきたいと考えております。

質疑

記者:
先ほど「被災者生活支援チーム」のお話がありましたが、具体的に厚労省がどのような「被災者生活支援チーム」の中で役割を果たしていくことになるのかということと、専任のチームを設置するというお話がありましたが、これはどういった方で構成するイメージになるのでしょうか。
大臣:
まず、「被災者生活支援チーム」は被災者の方の避難所における生活をどう確保していくか等、様々な具体的な課題がありますので、当省に関係する部分について、先ほど申し上げた衛生関連や熱中症対応といったことについて実施するために、保健師でチームを作らせていただいて、大体2~3人で、今15班程度を考えておりますけれども、そうしたチームを被災地あるいは避難所に派遣して、そこにおられる方の健康管理等に当たっていきたいと考えております。また、厚労省の中においては、坂口総括審議官をヘッドに関係するセクションの責任者に入っていただくというチームを作っていくということであります。
記者:
大臣の地元の岡山県を始め西日本の広い範囲で被害が出ています。政府調査団も入っていますけれども大臣ご自身としてもご視察に入るお考えがあれば教えてください。
大臣:
岡山県の特に被害の大きい地域が私の地元でありますので、これは議員としてということですが、7月8日午前中の非常災害対策本部の後、各所、短時間ではありましたが見て参ったところでございます。そして、見た状況を踏まえて必要な対応をしっかりと検討していきたいと思います。具体的な対応をよく先手先手、プッシュ型と言っておりますが、要望が来てからではなく、そういうことがあるだろうという想定をしながら、現地とも相談して対応していく必要性を強く感じているところであります。私の方も、国会等の状況がありますので、どのタイミングかということはなかなか申し上げられませんが、地元だけではなく、例えば他の地域でも水道事業等に支障をきたしているところもあります。それから、避難所のことがあります。そういったところをできればやはり現地を見ていくということは非常に大事です。時間を作って、対応していきたいと思います。
記者:
先週末に過労死の労災認定の方が発表されましたが、過労死の脳や心臓疾患、精神障害の方は増えているという現状が出ました。政府として過労死大綱を策定しておりまして、今年の夏に見直しがありますが、そういった中でなかなか減っていないという現状をどう受け止めているのか、まずはその受け止めと、今後の対応ということで、特に精神障害にはパワハラを原因とするものが増えていますが、こういったものへの取組について、どのように考えているか教えてください。
大臣:
先日発表させていただきました平成29年度の過労死の状況でありますが、脳・心臓疾患の請求件数は前年度より15件増加の840件、支給決定件数は前年度より7件減少し253件、他方、精神障害については、請求件数、支給決定件数ともに増加し、過去最高となっております。出来事別の支給決定件数を見ると、嫌がらせ・いじめによるものが支給決定の88件、これは過去最高ということになっております。過労死はあってはならないことでありますので、過重労働による健康を損なうことのないように長時間労働の是正等、働き方改革に取り組むとともにストレスチェックをはじめとしたメンタルヘルス対策、パワハラ防止対策にもしっかりと取り組む必要があると思います。特に精神障害について、請求件数が非常に伸びているところでありまして、やはりその辺をしっかり分析していく必要があるのだろうと思いますので、有識者の方にお集まりいただきながら、そうした分析等を行いながら今後の施策に結びつけていきたいと考えます。
記者:
パワハラについては、去年、検討会の方で報告書を出しましたが、今後労政審による議論があると思ってますけれども、今後のスケジュール感はございますでしょうか。
大臣:
今の段階で具体的なスケジュール感をお示しできるほど固まってはおりませんが、一方で先般の検討会でもっと具体的な事例等を集めるという話もありましたので、そういった作業もしつつ、労政審における審議がしっかりとしたものができるようまず対応させていただき、そして労政審で議論をしていただきたいと考えております。
記者:
大雨の関係で、地元の岡山県で大きな被害が出ていると思いますが、先ほど総理と災害に関してお話しされたことがあれば、総理から特にどういうご指示があったのか、大臣からお話をされたことについて差し支えのない範囲でお伺いできればと思います。
大臣:
まだ具体的にスケジュールが決まったとは承知しておりませんが、総理も被災地を視察されるということの話を聞いておりましたので、先般申し上げた、日曜日、私の地元で実際に見てきた状況をいくつか総理に具体的にお話をさせていただき、我々もそうですが、政府としての積極的な対応を改めてお願いしたいということであります。
記者:
それに先立つかたちで、拉致の事務局長、石川事務局長とともに総理のところにお入りになられたと思うのですが、そこでは例えば、先日のポンペオ国務長官の訪朝などをふまえて新たなご指示、あるいはお話があったのか、そこを教えていただけますでしょうか。
大臣:
ポンペオ国務長官と総理が会談された内容等をお話しいただきながら、最近の流れについて意見交換をさせていただいたところでございます。いずれにしても、総理からは引き続き全ての拉致被害者の方々の1日も早い帰国に向けて、対策本部の方としても出来る限りの対応をするよう、こう指示があったところでございます。
記者:
今もまだ多くの方が避難所等で過ごされていらっしゃいます。大臣からも先ほど気温が高くなっていて危ないというお話もありましたが、改めて注意喚起をしていただきたいのと、それからもし届けたいメッセージがあればぜひお願いします。
大臣:
まず一つは、避難所における環境を少しでもということで、これは経産省が中心となって、エアコンの設置等に取り組んでおります。そういった形の中で、まず過ごしやすい環境を、それ以外も含めて食べ物とか飲み物も含めて、まず対応していただきたいと思っております。そういう中において、まずは熱中症の問題がありますので、熱中症予防をしっかりと周知していきたいと思います。それから、例えば水の掃出しが終わったところ等については通常の家に戻られて、その状況の中で片づけ等をされてらっしゃる方もいらっしゃいますが、そういった方々にもそうした時の衛生面の注意等、そういったことをしっかりと周知していく必要があると考えております。簡単なパンフレット等でそれぞれの避難所等にお配りさせていただく等の措置をとっていきたいと思っております。
記者:
衆院を通過し参院で審議の始まった水道法改正案について質問します。水道法改正案には、市町村などが経営する原則は維持しながら、民間企業に運営権を売却できる仕組みコンセッション方式が盛り込まれています。水道法改正案では、民間企業の参入によって水道事業の経営を効率化するというものですが、民間企業による効率化とは水道料金の値上げと水質の低下、儲からない地域への設備投資の切り捨て、貧困層への給水停止など住民サービスに大きなマイナスとなることが海外の事例からも明らかです。世界35か国で180以上の自治体が民営化に失敗して、再公営化していますが、それでもこの法案にコンセッション方式を盛り込んだ根拠を教えてください。
大臣:
今のご質問で、まず海外の事例でそういう再公営に入ったところもありますが、引き続き民営化を続けているところもありますから、やはり海外の事情もしっかり見ていく必要があるということと、それから日本の場合には基本的に水道事業者としての立場は自治体が維持できるというのが今回の改正のポイントでありますから、引き続き水道事業者はあくまでも自治体という中で、管理等を民間に委託するということで、そしてその中において例えば今回のような災害地での対応等していく。それから料金についても、これは条例で上限を決めていくわけでありますし、そういった規制がかかっていく、そういった意味においても、海外の事例等における様々な課題、それらも踏まえた形で制度設計をさせていただいております。その上で、最終的にこれは選択肢の一つとして提示をしているわけでありますから、全ての自治体をこうしてくれということを我々が申しているというわけでは全くなく、その地域の実情にあって、そうしたやり方をとった方が結果的に住民の負担も減少していく、あるいは将来における展望も開けていける、そういった判断をなされた自治体において、この法律制度の下で求められている要件をしっかり担保していただいた上で選択していただくという趣旨であります。

(了)