上野大臣会見概要

(令和8年9月15日(火)11:34~11:54 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私から1点ですが、百歳の高齢者の方へのお祝い状及び記念品の贈呈についてです。今日の閣議で、百歳の高齢者へのお祝い状と記念品の贈呈について報告しました。老人福祉法では、9月15日を「老人の日」として定めており、その記念行事として、毎年、贈呈を行っています。今年度、対象となる方は54,294人であり、そのうち、男性は8,525人、女性は45,769人となります。また、百歳以上の高齢者の方は107,677人です。そのうち、男性は13,379人、女性は94,298人です。いずれも過去最高となります。このたび百歳を迎えられた方々の長寿をお祝いするとともに、多年にわたり社会の発展に寄与してこられたことに感謝申し上げたいと思います。詳細については、事務方にご確認いただければと思います。

質疑

記者:
出生動向基本調査についてお伺いします。国立社会保障・人口問題研究所が11日に公表した2025年出生動向基本調査では、「一生結婚するつもりはない」と答えた独身の男女が初めて2割を超え、結婚に利点があると答えた人の割合も低下しました。また、夫婦への調査では、予定している子どもの数が1.95人と、初めて2人を下回りました。結婚や子どもを持つことへの意欲が低下していることがうかがえますが、今回の調査結果への受け止めと、今後、この調査をどう生かしていくか、お考えをお聞かせください。
大臣:
今回の出生動向基本調査の結果ですが、「一生結婚するつもりはない」と回答した未婚者の割合は初めて2割を超えました。また、結婚に「利点がある」と回答された未婚者の割合は、男性は5割台、女性は6割台に低下したところです。一方で、「一生結婚するつもりはない」と回答された男性の約4割、女性の約5割は、今後、結婚したい相手が現れたり、自身の経済状況次第で「いずれ結婚するつもり」に変わる可能性があると回答されています。また、夫婦の予定子ども数は初めて2人を下回りました。この理由ですが、回答によると、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」、「これ以上、育児の心理的、肉体的負担に耐えられないから」と回答される割合が増えています。他方で、未婚女性が理想とするライフコースは、結婚し子どもを持つが仕事を続ける両立コースが一番多く、4割近くまで上昇しています。また、第1子出産前後の妻の就業継続率は8割に増加するなどしています。厚生労働省としても取り組んでいる子育て世帯の共働き・共育ての推進等の効果も表れつつあるのではないかと考えているところです。また、先月公表した人口動態統計(速報)によると、令和8年上半期の外国人等を含む出生数は342,068人で、対前年同期比でプラス0.8%となっており、平成27年以来、11年ぶりに増加しています。また、都道府県別でも、26都道府県で増加しており、出生数と一定の関係があると考えられる婚姻件数も実際に増加しているものと承知しているところです。いずれにせよ、こうした出生動向基本調査による国民の結婚や出産に対する意識等の動向も注視していく必要があると考えており、結婚、出産、子育ての希望を叶えられるよう、今後も、政府を挙げて取り組んでいきたいと考えます。厚生労働省としても、引き続き、関係省庁と連携して、若い世代の所得向上や子育て世帯の共働き・共育ての推進などを進めていきたいと考えています。
記者:
OTC類似薬の一部保険外療養について2点伺います。1点目です。医療保険部会では、別途の負担の対象外となる医薬品の長期使用の考え方について、内服薬では年間おおむね50週という目安を示していると思いますが、おおむねとは具体的にどの程度の幅を想定されているのか教えてください。例えば、週6日程度使う場合だと40数週になると思いますが、これは該当し得るのでしょうか。また、薬を長期使用している患者さんの中には、使用頻度が週数回という方もいらっしゃると思いますが、なぜ目安では、使用頻度がほぼ毎日となる、年間おおむね50週に限っているのか、その理由も教えていただければと思います。
大臣:
OTC類似薬の一部保険外療養において、別途の負担の対象外とする長期使用については、OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会の中間とりまとめにおいて、季節性の症状や一時的な状態に対する使用と区別して、1年という単位の中で、医師が年間を通じた症状の持続と治療の継続性を確認し、当該対象医薬品の長期使用等が医療上必要であると認めている状態を指すものと整理されています。内服薬については、ご指摘のあったとおり、年間処方日数がおおむね50週であることを目安として整理されています。この「おおむね50週」というのは、365日連続して使用されていることを形式的に求める趣旨ではありません。症状が季節や環境要因によらず持続して、医師の管理の下で、年間を通じた治療継続が行われている状態であると考えられることから、目安とされているものです。ご指摘の週6日程度使用する場合など、これは具体的にそういったケースがあるのかどうかは、よくみていかないといけないと思いますが、そうした週6日程度使用する場合など、おおむね50週の具体的な範囲や個別のケースへの当てはめについては、医療保険部会での議論も踏まえつつ、制度の施行に向けて事務局において精査しているところですので、現時点で具体的にお示しすることは難しいですが、いずれにせよ、現場の医師や患者にとって分かりやすく、納得して利用していただける制度となるように、引き続き、丁寧に検討を進めていきたいと考えています。
記者:
2点目です。医療保険部会では委員から、制度の導入により、患者の自己負担が増えない別の医薬品へ処方がシフトすると保険財政の負担が増大する旨の懸念が示されていました。この処方シフトについて、厚生労働省としてどう対応する予定か伺います。
大臣:
医師は個々の患者の症状などに応じて、最適な薬剤を処方することが原則です。本制度の導入後も、医療現場においては、この原則に基づいて処方が行われることが重要であると考えているので、その趣旨は周知徹底を図っていきたいと考えています。その上で、施行に当たっては、不必要な処方シフトが生じないように、別途の負担の対象となるOTC類似薬の処方を行わないようにする制度ではないことなど、制度の趣旨をしっかりと医療現場に伝えていきたいと考えています。施行後においても、ナショナルデータベースなどを用いて、施行前後の対象医薬品の処方数の変化を確認していきたいと考えています。そうした確認によって、不必要な処方シフトが生じていないかをしっかりと把握していきたいと考えています。
記者:
百歳以上の高齢者が初めて10万人を超えました。高齢者全体の数も年々増加し、65歳以上は過去最高になっています。百歳以上の方々を含めて、高齢者の方が増えていることの理由と社会的意義についてどうお考えですか。また、こうした方々を支える社会保障制度は、高齢化の進展に伴い、現役世代の負担の増加が見込まれます。この制度を今後、どのように持続、充実させていくか所感をお聞かせください。
大臣:
今年度、百歳以上の高齢者の方は107,677人であり、調査開始以来、初めて10万人を超えました。高齢者の増加要因については、令和7年版の高齢社会白書においても触れられていますが、生活環境、食生活・栄養状態の改善、医療技術の進歩などが挙げられているところです。多くの方が、長く元気に活躍されていることを非常に喜ばしく思っています。また、健康寿命が延びることによって、社会保障制度を含めた社会の支え手となっていただいているという意味でも、社会的意義があると考えています。今後、高齢化が更に進んでいく中で、社会保障制度を持続可能なものにすることが非常に大事ですし、給付と負担の在り方についても、現役世代を含む全ての世代の皆さんが納得感を得られるものとすることが重要ですので、これからも必要なサービスが必要な方に適切に提供されるように、全世代型社会保障の構築に向けて不断の努力をしていきたいと考えています。
記者:
高額療養費の2027年8月の引上げについてお伺いします。最大38%の月額上限の引上げを含む2027年8月からの高額療養費の引上げが既に確定しているとお聞きしましたが、いつどこで決めたのか教えてください。また、2027年度予算案も存在しない段階で、先に法令で引上げを決めたことは、患者、国民、国会軽視ではないでしょうか。仮に2027年8月からの引上げを凍結した場合に必要となる2027年度予算の国費の額及び加入者1人当たりの年間保険料増加額はどれくらいになるでしょうか。また、引上げを実施した場合の給付削減額と、長瀬効果による削減額をどれくらい見込んでいるのでしょうか。8月1日施行の改正健保法では、高額療養費の見直しに関して、教育費や収入変動等に留意すると附帯決議されています。大臣も附帯決議を尊重すると発言されていますが、2027年8月からの高額療養費の引上げは附帯決議を踏まえ、必要な調査を実施した上で再検討すべきではないでしょうか。
大臣:
令和9年8月に施行される高額療養費制度の見直しは、既に施行された令和8年8月の見直しと併せて、パッケージとして実施するものです。患者団体の方を含む専門委員会においても一体の見直しとしてご議論いただいたほか、先の国会においてもその旨を繰り返し申し上げた上で、予算案が成立し、高額療養費制度の見直しを盛り込んだ健康保険法等の一部を改正する法律も賛成多数により成立したものと考えています。また、今般の見直しによる国費への影響などですが、詳細は厚生労働省のホームページに資料を掲載しているので、そちらをご確認いただければと思います。今後予算編成に向けて、詳細をみていくことが必要だと思いますが、現在の見通しで申し上げると、令和9年8月施行分の年間影響額は、保険給付費ベースの国費への影響額は年間マイナス70億円、保険給付費ベースの保険料への影響額は年間マイナス460億円、加入者一人当たりの保険料への影響額は年間マイナス400円となるところです。詳細については事務方にお尋ねいただければと思います。また、改正法の審議の際に、厚生労働委員会で採択された附帯決議は、令和9年8月の見直しまでを含む今回の見直しパッケージではなく、将来の見直しに当たっての委員会のご意思として決議されたものと考えているところです。
記者:
来年度予算の引上げは、最大38%の重い引上げだと思いますが、それをしなければ、何も年間400円の保険料が上がるというお答えがありましたが、やはりこの間多くの署名が32万筆、治療費がこれ以上払えないという声が多い中で、たった1人400円の保険料を喜んで払いますという声が多く寄せられています。当初の目的が、医療費抑制や保険料軽減とおっしゃいましたが、現役世代の負担がむしろ増すことになるという指摘が多く寄せられています。それについて、納得のいく説明をいただきたいですし、患者に是非、実態調査を含めて向き合ってほしいという声が多数寄せられていますので、それについて、大臣の心ある一言をお願いします。
大臣:
様々なご意見があるのは承知していますし、我々もそうした意見に耳を傾ける姿勢は必要だと思っていますが、今回の見直しについては、先般の国会でも再三ご議論いただき、私自身も何度も答弁させていただきました。1人当たりの保険料への影響額についてのお話がありましたが、先ほども社会保障制度の改革についてお答えさせていただきましたが、これから持続可能なものとして、必要な方に必要なサービスをしっかり提供していくためには、社会保障制度全体を不断の改革、見直しをすることが必要だと考えているので、そうした改革、見直しの一環であるということをご理解いただければと考えています。
記者:
長瀬効果について今日お答えがありませんでしたが、先ほどの国費と保険料の削減額の予算の見込額の中に、いわゆる実行給付率が増えたことによる受診抑制というか、長瀬効果の数字は入っているのでしょうか。それとも入っていないのでしょうか。
大臣:
いわゆる長瀬効果といわれているものですが、これは実行給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果ということで、230億円程度を想定しているところです。ただこれも、国会で再三審議・ご議論いただきましたが、あくまでこれまで経験的に得られていることを踏まえた試算であり、実際にどのような数字になるかということは、今後施行した後にしっかり検証していくことが必要だと考えています。
記者:
今年7月に成立した改正医療的ケア児支援法について3点伺います。1点目です。医療的ケア者の社会参加の実現には看護師不足の解消が不可欠ですが、改正法に盛り込まれた施策の多くが努力義務にとどまっています。今後どのようなスケジュール感で、実効性のある取組を進めるお考えでしょうか。2点目に、医療的ケア者の中には、自力管理が可能な人や介護従事者による対応で十分な人も多くいます。しかし、事業所などの現場では、看護師の常時付き添いが事実上の条件になっていて、受け入れの高いハードルになっています。当事者の状態に応じた柔軟な対応が現場に浸透するよう取り組むお考えはありますか。3点目に、医療的ケア者が、就労などを通じて社会とつながりを持つことには、当事者やご家族、更には社会全体にとってどのような意義や価値があるとお考えでしょうか。
大臣:
障害福祉分野に限らず一般的に、看護職員の確保については、新規養成、復職支援、定着促進の3本柱の取組を進めてきているところです。例えば、地域医療介護総合確保基金を活用した地域の実情に応じた看護職員の養成・確保の取組の支援などを行っているところです。また、医療的ケア児に深く関わる障害福祉サービスにおいては、これについても例えば、令和6年度報酬改定では、生活介護において、看護職員の配置に係る加算の拡充を実施しました。令和8年度報酬改定では、処遇改善加算の対象を看護職員も含め障害福祉分野の全従事者に拡大するといった取組を行ってきています。今後とも、看護職員の配置によって、医療的ケアが必要な方の受け入れが進むよう取り組んでいきたいと考えています。また、ご指摘の障害福祉の現場での対応ですが、医療的ケアが必要な方に適切な支援が提供されることが重要と考えています。現場の実態をよく把握していきたいと考えており、そのためには関係団体の皆さんや当事者団体の皆さんからもしっかりお声を頂戴したいと考えています。令和9年度報酬改定の中でも、そうした実態をよく踏まえて対応を進めていければと考えています。また、介護福祉士及び一定の研修を修了された介護職員等については、医師の指示の下で、喀痰吸引及び経管栄養の実施を可能としているので、そうした取組もしっかりと進めていければと考えています。また、医療的ケアが必要な方が、様々な社会参加の機会を持ち、一人一人の状況に応じた支援を受けながら能力を発揮できる環境を整備することは、共生社会の実現に向けて大変重要な意義があると考えています。今般の改正法も踏まえて、医療的ケアが必要な方たちが、希望する地域で安心して暮らすことができるように、厚生労働省として必要な取組をしっかり進めていきたいと考えています。

(了)