上野大臣会見概要

(令和8年9月8日(火)11:00~11:22 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私から1点ご報告させていただきたいと思います。自衛隊の衛生機能の強化に関する防衛大臣・厚生労働大臣の協議についてです。先ほど、小泉防衛大臣と、自衛隊の衛生機能の強化に関する防衛省と厚生労働省の連携について協議を行いました。防衛大臣からは、自衛隊の衛生機能の強化に向けて、自衛隊以外の医療機関との連携、自衛隊医官等の研修機会の拡充、必要な医薬品や医療資機材の確保などについて、協力の要請がありました。厚生労働省としても、今回の要請を踏まえ、地域の医療提供体制等への影響にも留意しつつ、協力可能な事項について前向きに検討していきたいと考えています。本日の協議を踏まえ、今後、両省の事務方において具体的な連携の在り方を検討することになります。詳細については、事務方にお尋ねください。

質疑

記者:
外国人雇用についてお伺いします。北海道の農場で特定技能の在留資格で働くミャンマー人の男女が経営者とみられる町議らから暴行を受けたと訴えている事案が報道されています。まずはこの事案を把握しているかお伺いします。また、勤務中の暴行やハラスメントは、外国人に限らず、労働基準監督署が対応する事案になると思いますが、特に環境や言語に慣れない外国人労働者の労働安全衛生をどのように考えるかご見解をお願いします。
大臣:
お尋ねの報道については、承知しています。その上で、個別の事案についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。一般論として、職場におけるハラスメントは、働く方の尊厳や人格を傷つけ、職場環境を悪化させるものであり、許されない行為です。厚生労働省としては、職場におけるハラスメントを防止し、外国人労働者も含めて、労働者が安心して働くことができる職場環境を整備するために、関係法令等に基づいて、全ての事業主に雇用管理上の措置を講じることを義務付け、その遵守を図っているところです。事業主の義務違反が疑われる場合には、都道府県労働局において報告徴収を実施します。その上で、是正指導を行うなどの必要な対応をとることになりますが、引き続き、法の適切な履行を確保していきたいと考えています。
記者:
障害者雇用ビジネスの関係でお伺いします。障害者雇用ビジネスをめぐり、事業者サンクスラボに対し、沖縄労働局が同社の本社へ調査に入ったことが読売新聞の報道で判明しました。この問題をめぐっては、利用企業の一部が障害者の就労管理を同社に丸投げしたり、障害者雇用数の報告を水増ししたりした疑いが浮上しています。今回の調査のねらいと、今後の行政指導の方針などについて教えてください。また、労働政策審議会の障害者雇用分科会では、現在、障害者雇用ビジネスをめぐる法規制の議論が行われています。調査で把握した内容を、今後どう議論に生かしていきたいか、ご所見をお聞かせください。
大臣:
これも個別の事案ですのでお答えは差し控えさせていただきたいと思いますが、8月31日に開催した労働政策審議会障害者雇用分科会で、いわゆる障害者雇用ビジネスについてご議論いただきました。その際、法規制の在り方等については、事務局から方向性をお示しした上で、ご議論いただいたところです。障害者雇用ビジネスについては、様々な課題が指摘されています。この分科会でも、不適切な運営を行う事業者に対して、しっかりと是正を求めていくという方向性について、おおむね賛同が得られたと考えているので、引き続き具体的な方策について、しっかり検討を進めていきたいと考えています。
記者:
冒頭ご発言のあった、小泉防衛大臣との協議について伺います。協議の中で、本日具体的に決定した事項があったかどうかなど、詳細についてお願いします。また、今回この協議を行ったねらいや意義について、大臣のお考えをお願いします。
大臣:
今日は、具体的な連携の内容を決定したものではありません。防衛省からの要請を踏まえて、今後、両省の事務方で検討を進めていくことを確認したものです。今回の協力は、自衛隊の衛生機能の強化に向けて、防衛省と医療行政を所管する厚生労働省が、それぞれの知見を生かして連携を図るものです。厚生労働省としては、地域の医療提供体制等への影響にも留意しつつ、協力可能な事項について前向きにしっかり検討していきたいと考えています。
記者:
実質賃金について質問します。7月の毎月勤労統計では、物価変動を考慮した実質賃金が前年同月比2.4%増となり、7か月連続のプラスとなりました。こうした7か月連続の増加は2021年以来の水準となります。こうしたプラスが続いている現状をどのように受け止めて、要因をどのように分析しているかお聞かせください。一方で、中東情勢の影響もあり物価はとても不安定です。実質賃金のプラス基調が今後も続くとみているのか、物価上昇を上回る賃上げを定着させるため、どのような取組を進める考えなのか、お聞かせください。
大臣:
令和8年7月分の速報値において、持家の帰属家賃を除く総合を用いた場合の実質賃金は、7か月連続のプラスとなる、プラス2.4%となりました。ちなみに総合を用いると、8か月連続プラスでプラス2.6%ということになります。その要因としては、物価の伸びが低くなっていることに加えて、所定内給与の着実な増加が影響しています。基本給である所定内給与は4.1%増ということになりますが、7か月連続3%以上というのは、1992年10月以来、33年9か月ぶりということになります。今後の見通しについては、物価の影響を受けるので具体的に申し上げることは難しいですが、今後とも、賃金の動向を十分注視していきたいと考えています。賃上げに向けた方策ですが、今年度の地域別最低賃金については、全国加重平均で1,177円、56円の引上げとなっており、この引上げ額は過去2番目の高さです。10月以降に発効する最低賃金の引上げについては、秋以降、着実に賃金の底上げにつながっていくものだと考えています。厚生労働省としては、全都道府県で開催する地方版政労使会議を通じて、各地域における賃金引上げの機運醸成に取り組んでいるほか、中小企業等が賃上げしやすい環境を整備するために、引き続き、賃上げ支援助成金パッケージによる支援や関係省庁と連携した生産性向上支援、価格転嫁等の取引適正化、非正規雇用労働者の正社員への転換などに取り組んでいきたいと考えています。
記者:
OTC類似薬の一部保険外療養についてお伺いします。5月21日の参議院厚生労働委員会において、大臣は、医師の診断や治療の下で、年間を通じて症状が持続し通院する必要があり、今回の新たな仕組みの対象となる医薬品を通年で服用することが医療上必要と認められる方などに対しては別途の負担を求めないという配慮を講じると答弁しました。しかし、厚生労働省の技術的検討部会の中間とりまとめでは、長期使用で対象外になるケースは、内服薬は、年間処方日数がおおむね50週が目安とされ、外用薬は、継続的な使用が診療ガイドラインなどで有効性や必要性が示されていることが条件となっています。ここで2点伺います。1点目、まず確認ですが、これまでの国会答弁で、長期使用で追加負担の対象外になるのは、内服薬では対象薬をほぼ毎日使い続けるケース、外用薬では診療ガイドラインなどで有効性や必要性が示されているケースに限られると言及されたことはあったでしょうか。2点目です。国会審議では、アトピー性皮膚炎の患者について、年間を通じて症状が持続し通院する必要が認められる方は、別途の負担の対象外というように、症状の持続性と通院の必要性で判断するようなご答弁だったと思います。しかし、中間とりまとめでは、アトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬が追加負担の対象と整理されました。患者団体が見直しを求めており、また学会は、皮膚科治療の根幹であるステロイド外用薬が急性増悪時の短期使用薬と誤認されているとの声明を出しています。中間とりまとめで追加負担の対象外とされた範囲が、国会答弁よりもかなり限定的になったことで、疑念や混乱を招く状況になっていると思いますが、大臣の認識を伺います。
大臣:
長期使用の考え方については、これまで国会においては、例えば、アトピー性皮膚炎の患者さんの場合、医師の診断や治療の下で、年間を通じて症状が持続し、通院する必要があるような方については、別途の負担の対象外と考えており、こうした配慮の範囲や運用については、法案成立後、有識者の検討会で技術的な観点から議論いただいた後、医療保険部会や中央社会保険医療協議会でもご議論いただくことを考えているとお示ししてきたところです。こうした基本的な考え方を踏まえて、OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会の中間とりまとめにおいては、外用薬に関しては、患者ごとの使用量や使用頻度の個人差が大きく、処方日数による通年性の判断が困難であることから、診療ガイドライン等における継続使用の有効性・必要性等を踏まえ、長期使用等への該当性を総合的に判断するという考え方が示されたところです。他方で、今ご指摘もありましたが、中間とりまとめで別途の負担の対象と整理したアトピー性皮膚炎に対するステロイド外用薬のプロアクティブ療法の取扱いについては、委員や患者団体から、長期使用の医学的な必要性が認められることから、別途の負担の対象外とすべきといった意見がありました。これを踏まえて、今後の医療保険部会においてその取扱いを検討することとしているところです。引き続き、医療保険制度の持続可能性の確保と、必要な医療の確保が両立するように、丁寧に議論を進めていきたいと考えています。
記者:
インフルエンザについてお伺いします。今年度、インフルエンザは1999年以降、過去2番目の早さで流行シーズンがスタートしていますが、現在の流行状況をどうお考えでしょうか。また、インフルエンザワクチンの定期接種について、先週、厚生労働省から、自治体の判断で開始時期を早めることが可能との周知がありましたが、これまでにいくつの自治体から問い合わせや要請などがありましたか。
大臣:
季節性インフルエンザの患者の発生状況については、直近1週間(8月17日~23日)における定点医療機関当たりの平均報告件数が1件を超えたことを踏まえて、8月28日に流行入りした旨の公表を行ったところです。今年は、感染症法が施行された1999年以来、2番目に早い流行入りとなりますが、必ずしも今後の大きな流行を意味しているものではないと考えています。引き続き、JIHSにおいて、流行の原因や流行動向についてしっかり分析していくこととなります。インフルエンザの定期接種については、各自治体のご判断で、医療機関の接種体制の確保などの環境が整った段階で、例年より早期に開始することは可能ですので、この取扱いについて、先日全自治体に周知したところです。なお、複数の自治体から問合せが既に寄せられているところです。国民の皆様におかれましては、外出後の手洗いや咳エチケット等の予防策に努めていただくこと、発熱、せきなどの症状がみられる場合には、早めに医療機関を受診していただくことをお願いしたいと考えています。厚生労働省としては、引き続き、流行状況を注視し、今後の更なる流行拡大に備え、医療提供体制の確保や、ワクチンや治療薬の安定供給などに取り組んでいきたいと考えています。
記者:
複数というのは、もう少し具体的な数はないでしょうか。
大臣:
都道府県レベルでは、3県から問い合わせがありました。詳細については、事務方にお願いできればと思います。
記者:
OTC類似薬の一部保険外療養化による医療現場の負担増についてお伺いします。医療保険部会で示された実務フローでは、医師による確認業務など、9項目の診療とは何の関係もない追加業務が求められます。医師によるアナログでの確認作業も含めた処方箋発行が必要なため、医師の過重負担や経費増が発生します。外来患者が多い病院などでは、待ち時間の増加や診察時間の制限など患者にも不利益が出かねません。医療現場から診療報酬の加算やシステム改修費用への補助を求める意見が出されていますが、現時点で保険医療機関や保険薬局等への財政支援等は検討されていますか。また、電子カルテ未導入の医療機関での対応は更に困難を極めます。現時点での電子カルテ未導入の医療機関数とそれらの医療機関等への経過措置を設ける予定があるかどうかについてお伺いします。
大臣:
最後の質問からですが、電子カルテ未導入の医療機関は、直近の令和5年の調査では一般病院は2,427施設、一般診療所は47,232施設です。こうした施設も含め、現場の負担を可能な限り軽減できるように制度の仕組みや必要な情報の公開に努めることが重要だと考えています。そのため、現時点で、OTC類似薬の一部保険外療養の施行に際して、財政支援などを講じることは検討していませんが、厚生労働省において、本制度の対象医薬品かどうか、電子カルテ等のシステム上で判別可能となるようなシステム改修を行えるように、システムベンダー向けの分かりやすい基準設定や情報公開を行っていきます。また、電子カルテ未導入の医療機関においても円滑に運用がなされるように、簡易なチェックシートを作成し公表する予定としています。このような取組を通じて、本制度の円滑な実施につながるよう、適切に対応してまいりたいと考えています。
記者:
作業が複雑なだけではなく、患者の納得が得られにくい不合理なルールが散見されています。この間質問しているように、内服薬の通年処方は95%が該当しない、医学的根拠も臨床実態とも乖離しています。さらに、低所得者1,770万人は、既に配慮されているから配慮しないと答弁されましたが、それを医師や医療従事者、薬剤師が矢面に立って説明しないといけないわけです。そこで、患者さんから納得が得られるかどうかという点でいくと、基準が不合理で根拠もないので、トラブルが発生する可能性が高いということをかねてよりご指摘させていただいています。ここは、抜本的に改善を図っていただく考えはないのか、それとも今のルールで突き進むのかについて、2択でお答えください。
大臣:
現場で混乱が生じないように、この制度の基準を明確にすることや周知徹底を図るということは、非常に大切なことだと考えているので、そうしたことについては十分意を用いていきたいと考えています。いずれにせよ、医療保険部会で議論を継続しているので、そうした中でしっかりとした方向性を出していければと思っています。
記者:
GPIFについてお伺いします。GPIFは3月に基本ポートフォリオの見直しは必要ないと判断しましたが、8月の経営委員会で「基本ポートフォリオ検証等PTにおける議論について」という報告がなされました。長期金利が一時30年ぶりの水準まで上昇するなど、策定時から市場環境も変化しています。GPIFは長期的な目線で専門的な分析のもとに基本ポートフォリオを作成しており、市場環境に合わせて毎年度適時適切に検証しているとは認識していますが、今回のPTの議論について、どのような報告を受けているご認識でいらっしゃいますか。
大臣:
GPIFの運用は、法律に基づいて、専ら被保険者の利益のため、長期的な観点から、市場その他の民間活動に与える影響に留意しつつ行う必要があると考えています。GPIFでは、年金財政に照らして必要となる運用目標を、長期的に最低限のリスクで確保するために、基本ポートフォリオを策定し、それに基づき運用を行っています。基本ポートフォリオについては、GPIFでは、専門的見地から毎年度適時適切に検証しており、本年3月末時点では見直しの必要はないと判断されたものと承知していますが、引き続きGPIFにおいて適時適切に検証が行われているものと承知しています。なお、PTの議論については、GPIFで行われるものであり、その議事録等の公表については、GPIFのルールに従う必要があると思うので、私からそれについて言及することは控えたいと考えます。
記者:
重ねて2問目をお伺いします。7月14日の会見で大臣は、現在の運用環境は基本ポートフォリオが想定しているものから大きく乖離しているとは考えていないとのご見解をいただきました。現時点でも運用環境は基本ポートフォリオ策定時の想定の範囲内であり、見直しを検討する必要はないとの大臣のご見解にもお変わりはないか、お伺いできますか。
大臣:
現在の運用環境は基本ポートフォリオが想定しているものから大きく乖離しているとは考えていません。一方、基本ポートフォリオについては、専門的見地から毎年度適時適切に検証しています。今後必要があれば、見直しの検討を進めることになります。厚生労働省としては、引き続きGPIFの基本ポートフォリオの検証状況を注視していきたいと考えています。

(了)