上野大臣会見概要
(令和8年9月1日(火)10:31~10:53 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私から2点申し上げます。1つ目は、健康増進普及月間についてです。厚生労働省では、9月の1か月間を健康増進普及月間とし、生活習慣病の特性や運動・食事・禁煙・睡眠など生活習慣の改善の重要性について理解を深め、実践を促す普及啓発活動に取り組んでいるところです。本日、全国の自治体が期間中に実施する約7,000件のイベントを検索できる特設ページを開設します。国民の皆様には、是非お近くのイベントにご参加いただき、身近なところから健康づくりに取り組むきっかけにしていただければと考えています。また、本日11時30分からは、健康増進普及月間記念イベントを都内で開催します。公式アンバサダーの川島明さんの就任式や、睡眠応援大使であるナイトキャップをかぶったピカチュウ・カビゴンとコラボしたイベントの紹介など、楽しく健康づくりに参加いただける企画を行う予定ですので、メディアの皆様にも、是非ご来訪いただければと思います。
- 2つ目は自殺予防週間の実施についてです。9月10日から16日までは自殺予防週間です。昨年の自殺者数は、統計開始以降最少となる19,188人となりましたが、依然として約2万人の方々が自殺に追い込まれています。特に小中高生は過去最多の538人となるなど、深刻な状況が続いています。子どもの自殺が長期休暇明け前後に増加する傾向を踏まえて、夏季休暇中にも関係府省庁が一丸となって啓発活動に取り組んでいます。国民の皆様、特に若い世代の皆様へのメッセージを本日発出するとともに、相談体制の拡充など、きめ細かな対応を行っていきたいと考えています。悩みをお持ちの方は、どうか1人で抱え込まず、身近な人や相談窓口に相談していただければと思います。心のSOSをしっかりと受け止め、誰も自殺に追い込まれない社会の実現に取り組んでいきたいと考えています。
質疑
- 記者:
- 労働基準監督署の残業規制の指導の運用見直しについて伺います。時間外労働について、今日から労働基準監督署は月45時間以内への削減を求める一律の指導を取りやめます。今回の運用見直しについては、時間外労働を促しかねないなどの懸念も出ていますが、これらの声をどう受け止めているのか教えてください。また、長時間労働の削減と働く人の健康確保をどのように両立していくかについて、厚生労働省としての基本方針と大臣のお考えをお聞かせください。
- 大臣:
- お尋ねの労働基準監督署による時間外労働に関する監督指導についてですが、従前どおり時間外労働の上限規制の遵守を徹底していきます。また、健康福祉確保措置についてこれまで以上に重点的な確認を行うことを予定しています。そのようなことを前提として、上限規制の範囲内で、労使の合意に基づき適法に行われている時間外労働については、月45時間以内に収める一律の指導を見直すこととしたものです。また、36協定の適切な締結や、柔軟な労働時間制度の活用に関する相談支援の充実を図ることとしたところです。今回の見直しについて、時間外労働の上限規制そのものを変更するものではなく、これまで以上に事業場の実態や健康福祉確保措置の状況を踏まえた監督指導を行うためのものです。仮に、過重労働による健康障害が生じるおそれがある場合には、引き続き、長時間労働の是正を求めていく方針です。厚生労働省としては、労働者の健康確保は変わらず重要であると考えているので、今回の見直しの趣旨も含め、働き方改革や時間外労働の上限規制について正しい理解の浸透に努めていきたいと考えています。
- 記者:
- 障害者雇用ビジネスについてお伺いします。昨日開かれた労働政策審議会障害者雇用分科会で、厚生労働省は、ビジネス業者に対して法規制を設ける方針を示しました。業者による届出の義務化や不適切な運営を行う業者に対しての監督指導、利用企業による報告義務化などを想定されているとのことですが、こうした法規制の受け止めやねらいについてお聞かせください。また、不適切な運営を行う業者に対してのペナルティなどについて今後どういった検討を進めていきたいか、お考えをお聞かせください。
- 大臣:
- 昨日、労働政策審議会障害者雇用分科会において、いわゆる障害者雇用ビジネスに係る法規制の在り方について議論を行いました。障害者雇用ビジネスについては、利用企業側の雇用責任が希薄化している、障害者の能力発揮の成果が有為な事業活動に十分活用されないなどの様々な課題が、かねてより指摘されていました。障害者雇用ビジネスや、その企業における利用がより望ましい形で行われ、障害のある労働者の能力が十分に発揮されて働きがいが得られるようにしていく必要があると考えています。こうした観点から、昨日の障害者雇用分科会においては、事務局から、障害者雇用ビジネス事業者を行政庁において着実に把握し、ガイドラインで望ましいサービス提供の在り方を示した上で、必要な指導監督を行うといったことについて、方向性を示してご議論いただいたところです。その内容を踏まえつつ、不適切な運営を行う事業者に対する是正に向けた実効性確保の方策も含めて、引き続き検討を深めていきたいと考えています。
- 記者:
- ありがとうございます。その上で、昨日議論が行われたわけですが、各委員の反応を含め、議論自体のお受け止めや今後の方針について何かあればお聞かせください。
- 大臣:
- いずれにせよ、様々な課題が指摘されているところですので、不適切な運営を行う事業者に対して、是正をしっかりやっていくという方向性については、おおむねご理解いただけたのではないかと思うので、引き続き具体的な方策について、しっかり検討を進めていきたいと考えています。
- 記者:
- 自由民主党と日本維新の会の社会保障協議に盛り込まれた、中央社会保険医療協議会改革についてお伺いします。合意文の中では、令和8年度末までに製薬企業や医薬品卸などの産業界の法令上の位置づけも含めて明確化するとありますが、厚生労働省として、例えば次の臨時国会や通常国会に社会保険医療協議会法の改正案を出すのかどうか、今後の見直し方針を教えてください。
- 大臣:
- 中医協の改革を含む、社会保障改革の13項目について、公党間での協議・議論を経て合意がなされたものと承知していますが、これを踏まえた対応の詳細については、今後与党において検討されるものと認識しています。現時点では、具体的な内容について私どもからお答えできるものはありません。今後、与党のご意見も踏まえながら、検討していくことになろうかと考えています。
- 記者:
- 労働基準監督署の指導見直しの関連でお伺いします。今回の見直しの中では、36協定の締結支援が盛り込まれており、働き方改革推進支援センターと労働基準監督署がチームで訪問支援をするとなっています。労働基準監督署や労働基準監督官は、過重労働などを取り締まる立場だと思いますが、36協定を締結して時間外労働をできるようにするというのは、矛盾があるようにも感じます。なぜ労働基準監督署や労働基準監督官が36協定の締結を支援するのか、その理由とねらいを教えてください。
- 大臣:
- 労働基準監督署では、従来、労働時間相談・支援班を設置し、事業主に対する取締りだけでなく、労働時間に関する法令の説明や相談等を行っているところです。今回の見直しもその一環です。法令に関する知識や労務管理体制が十分ではない中小企業の事業主に対しては、きめ細かな相談・支援を通じて、労働時間制度への正しい理解を図ることが重要との考えから、様々な労務管理に関する課題についての相談・支援を充実するものです。その中で、36協定についての相談を行うということも想定しています。具体的には、36協定を締結せずに時間外労働を行わせることは違法です。そうした違法状態を避けるためには、時間外労働を行わせないか、36協定を締結するかのどちらかが必要ですので、どちらを選択するかは労働基準法の枠内での労使の話し合いによるものです。こうした相談・支援は、このような内容も含めた労働基準法の仕組みを丁寧に説明するとともに、労使が36協定の締結を選択する場合には、これが適正に締結されるように支援するものです。なお、時間外労働を行わない選択をする場合に36協定の締結を誘導するものではありません。
- 記者:
- 現在整備士不足で一部運休が発生しているドクターヘリについてお伺いしたいと思います。大きく3点お聞きします。1点目ですが、かつて農林水産省が、農薬散布に必要なヘリのパイロットや整備士を自前で養成する学校を持っていたというお話をお聞きしましたが、ドクターヘリに特化した整備士の確保などを国が主導して行うというお考えはありますか。2点目です。財政面の話ですが、自治体への取材で、現在、運航費用を基本的には国と自治体が折半する形になっているかと思いますが、物価の高騰や機体更新の時期に差し掛かっていることもあり、財政面での負担を口にする自治体が多くありました。このあたりについて、支援や負担の在り方を検討するお考えはありますか。3点目です。基本的には、ドクターヘリは都道府県単位での運用となっているかと思いますが、整備士不足の現状から、必要性や重要性の高い地域を国が調査・分析し、国が主導する形で運用できないかというお声も聞こえています。このあたりのお考えについて、どのように受け止めていらっしゃるか。また、可能でしたら、兵庫県でツーパイロット制も現在導入していると思いますが、現段階での評価があればお伺いできますか。
- 大臣:
- 1点目ですが、必要な人材確保についてということです。ドクターヘリについては、一部の運航事業者において、整備士不足による運航休止が生じています。ただ、現時点で、全国的にといいますか、ドクターヘリ事業全体として整備士が不足している状況だとは必ずしもいえないと考えています。一方で、コロナ禍以降、航空整備士の志望者が減少しています。また、操縦士の高齢化も進んでいるので、中長期的な人材確保・養成は非常に重要な課題と考えています。現在、国土交通省においては、航空大学校を活用したヘリコプター操縦士の養成課程創設の準備等が進められていると承知しているので、厚生労働省としても、こうした取組と連携しながら、ドクタ-ヘリの安定的な運航のために必要な人材の確保策を検討会の中で十分に検討していきたいと考えています。2点目の財政負担の在り方ですが、厚生労働省では、毎年度、都道府県等に対して、ドクターヘリの運航に必要な燃料費や人件費、機材費等についての財政支援を行っているところです。これまでも、運航実績や燃料費等の動向を踏まえて、補助基準額の見直しを行っています。令和9年度概算要求においては、前年度の100億円から35億円増となる135億円を要求しているところです。また、機体を保有したいというご意向の自治体もあるとお伺いしているので、これについては、様々な課題を整理しながら、国としての支援の在り方について検討していきたいと考えています。3点目は国主導での運用ということですが、ドクターヘリを含む地域の救急医療提供体制については、まずは各都道府県が、地域の実情に応じて医療計画を策定しているので、それに基づいた体制をとっていただくということが基本かと思います。一方で、限られた人材や機体の有効活用の観点から、厚生労働省では、令和7年9月、近隣都道府県のドクターヘリや消防防災ヘリ等との連携・協力体制をあらかじめ検討するよう依頼しているところであり、各地で検討が進められているものと承知しています。また、先ほど申し上げた本年7月に設置した救急医療搬送体制のあり方に関する検討会において、ドクターヘリに係る諸課題について有識者等からご意見を伺いながら議論しており、その内容も踏まえて、全国的に安定的かつ安全な救急医療搬送体制を確保する必要があるので、そうした観点から、国と自治体で連携しながらどういった体制がとれるかということを考えていきたいと思います。また、兵庫県のツーパイロット制ですが、8月から開始していると伺っています。現在、安全に運航されていると兵庫県から聞いているので、今後とも状況を注視していきたいと考えています。
- 記者:
- 今年の上半期の出生数について伺います。前年同期を上回り、出生数は長期的な少子化が進むとされる中で、今回の結果の受け止めを伺えればと思います。出生増の要因と分析、今後の出生数の動向をどのようにみているかということに加えて、少子化をめぐって若い世代が希望する出産や子育ての体制を整えることができるかということについて併せてお聞かせください。
- 大臣:
- 婚姻数が増加しているので、その影響かと思います。また、一番お子さんを産む女性が多い30歳から34歳までの世代の出生数も増えているのではないかと思いますが、これは数字を確認させていただきたいと思います。いずれにせよ、そういったトレンドが生じてきているということは、少子化対策の効果も一定程度実現してきているのではないかと考えています。
- 記者:
- OTC類似薬の配慮措置についてお伺いします。OTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会の中間とりまとめでは、医師が対象医薬品の長期処方等が医療上必要と考える方として、具体的な基準として、内服薬については1年以上当該薬剤を使用する患者が配慮対象とされました。追加料金をいただかない患者さんということです。では、内服薬を年50週以上服用する患者の割合はどれくらいでしょうか。また、鎮痛消炎剤であるロキソプロフェンナトリウム水和物(ロキソニン)の通年処方の患者割合はどれくらいでしょうか。関節リウマチなど痛みを抱える患者さんの多くが配慮対象外とされていますが、追加負担となるリウマチ患者などから意見を聴く機会は設けないのでしょうか。
- 大臣:
- OTC類似薬の一部保険外療養の対象となる内服薬を年50週以上服用する患者割合については、医学・薬学等の有識者から構成されるOTC類似薬の保険給付の見直しの実施に向けた技術的検討会において、5%程度とお示ししているところです。そのうちロキソプロフェンについては、年50週以上服用する患者割合は、1%程度とお示ししているところです。今回の見直しに当たっては、患者団体の意見を踏まえ更に検討を深める観点から、全国がん患者団体連合会、日本難病・疾病団体協議会、日本アレルギー友の会、ささえあい医療人権センターCOMLの4団体の代表者にも臨時委員として医療保険部会の議論にご参画いただき、ヒアリングを行っているところです。この4団体以外にも、ご指摘のリウマチも含め、様々な患者の方々が本制度の対象となりうるため、その全てに対してヒアリングを行うことはなかなか難しいわけですが、可能な限りご意見を伺って検討したいという趣旨から、本制度に係るパブリックコメントを実施したところです。ご指摘の関節リウマチに関するご意見もいただいているので、今後、医療保険部会等において、パブリックコメントでいただいた主な意見について精査を行っていただく予定です。そうしたことも踏まえ、いずれにせよ、本制度が患者の皆様にもご理解いただけるものとなるように、丁寧に検討を進めていきたいと考えています。
- 記者:
- ロキソニンを服用する99%の患者は、配慮されないというか、排除されたと感じる方も多いと思います。それについての大臣の受け止めというか、十分だといえるのかということについてのご見解をお願いします。
- 大臣:
- 先ほども申し上げた技術検討会の中で、1年を通じた使用実態を確認することによって、症状が季節や環境要因によらず持続しており、医師の管理下で継続的な治療が行われている状態を客観的に把握することは可能であることから、内服薬については、年間処方日数がおおむね50週である場合に、別途の負担の対象外とするということが検討会として整理されたところです。そうしたことも踏まえて、引き続き医療保険部会等で丁寧に検討していきたいと考えています。
(了)

