上野大臣会見概要

(令和8年3月31日(火)10:08~10:27 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
今日は、私から3点ございます。最初に、中東情勢に関するものですが、現在、中東情勢の我が国への影響について、政府全体で対応を進めています。中でも、医薬品、医療機器、医療物資等の安定供給は大変重要な課題だと認識しています。厚生労働省においては、製造販売業者等に需給状況の確認を行う中で、例えば透析回路や手術中に使用する廃液容器などアジア各国で生産し日本に輸入している製品が、アジア各国における原油不足によって、長期的な供給に懸念が生じているとの情報が寄せられています。直ちに供給が滞るという報告は受けていません。ただ、課題の発掘をより積極的に行い、明らかとなった課題への対応策を迅速に決定する観点から、赤澤経済産業大臣と私が共同で本部長となる、「中東情勢に影響を受ける医薬品・医療機器・医療物資等の確保対策本部」を設置することとしました。この後、第1回を11時半から開催します。詳細については、その後、事務方よりブリーフィングする予定です。国民のいのち・健康を守るために、経済産業省との連携を更に強化して、引き続き全力で対策に取り組んでまいります。
2点目です。世界自閉症啓発デーと発達障害啓発週間で、これがそのポスターです。毎年4月2日は、国連が制定した世界自閉症啓発デーです。我が国では、この日から8日までを発達障害啓発週間と位置付け、自閉症をはじめとする発達障害への理解促進に向けた啓発活動に取り組んでいます。今年は「ちがいはちから つながりは未来」をテーマに、世界自閉症啓発デーの公式ウェブサイトでは、自閉症の特性があるセサミストリートのキャラクターを起用した啓発ポスターの掲載をはじめとして、様々なコンテンツが公開されています。4月2日には、東京タワーをはじめとして、日本全国のランドマークが青色にライトアップされます。世界自閉症啓発デーと発達障害啓発週間が、国民の皆様に発達障害への理解を深めていただく契機となればと考えています。国民の皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
3点目です。雇用統計ですが、令和8年2月の有効求人倍率は1.19倍と、前月より0.01ポイント上昇となりました。また、完全失業率は2.6%と、前月より0.1ポイント低下となりました。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、有効求人倍率はおおむね横ばいで、求人が引き続き求職を上回って推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。

質疑

記者:
短時間労働者の被用者保険の加入要件の一つである年収106万円の壁が、本日秋田県で2025年度最低賃金が発効することにより、事実上解消します。厚生年金に入ることで、老後の年金額が増えるメリットもありますが、保険料負担で手取りが減ることを懸念する向きもあるようです。厚生労働省として社会保険加入の意義や手取りが減ることへの支援策について、どのように訴えていくお考えなのかお聞かせください。
大臣:
ご指摘のとおり、いわゆる106万円の壁が事実上解消され、短時間労働者の方について、週の労働時間が20時間以上の場合は、月額賃金が8.8万円を超えるため、被用者保険に加入していただくこととなり、年収の壁を意識せず働くことができるようになります。週20時間以上の労働時間を選択することによって、保険料負担が生じるものの、年金や医療の給付が充実するという被用者保険のメリットを理解していただくことが重要と考えています。こうした観点から、厚生労働省としては、特設サイトの開設やチラシ、パンフレット、ショート動画による周知、日本年金機構による広報活動など様々な手段を用いた周知・広報に取り組んでおり、希望に応じて労働時間を延ばし、被用者保険に加入いただけるように促してまいりたいと考えています。さらに、労働者に被用者保険を適用するとともに、労働時間の延長や賃上げを通じて収入を増加させる取組を行っていただく事業主に対し、キャリアアップ助成金で支援しています。これらの取組を通じて誰もが希望する働き方の実現に向けた取組を推進していきたいと考えています。
記者:
今の質問にも出た最低賃金の関係で伺います。秋田県で1,031円の改定額が本日適用され、全都道府県で1,000円台に到達したことになりました。全都道府県で1,000円超が実現したことへの受け止めをお聞かせください。また、改定額の適用時期は地域差も大きく、複数の地方最低賃金審議会から中央で一定の方針を示してほしいとの要望も出ています。こうした適用時期の地域差や適用時期の望ましい在り方についてご意見をお聞かせください。
大臣:
初めて全ての都道府県で最低賃金が1,000円を超えたことになります。最低賃金の引上げは、賃上げの裾野を広げ、非正規雇用労働者の方々の賃金引上げ等に着実につながっていくものと考えています。引き続き、その遵守が図られるように努めるとともに、賃上げ支援助成金パッケージによる支援などを通じて、企業が賃上げしやすい環境整備に取り組んでいきたいと考えています。また、適用時期については、最低賃金の発効日について、様々なご意見をいただいています。先月2月27日に、中央最低賃金審議会目安制度の在り方に関する全員協議会を開催し、発効日を含めて議論を行ったところです。この点引き続き議論を進めていくことにしているので、よろしくお願いしたいと思います。
記者:
4月1日から妊婦を対象としたRSウイルスワクチンの定期接種が始まります。定期接種が始まるに当たって、副作用を懸念する声もありますが、どのような効果を期待しているのか、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
RSウイルス感染症は、小児の罹患率や重症化率が高く、中には肺炎等に至り死亡のリスクもある疾患だと考えています。妊婦向けRSウイルスワクチンは、RSウイルスによる乳児の重症の肺炎等を7割~8割程度予防することのできるワクチンです。有効性や安全性等に関する知見を踏まえて薬事承認されました。RSウイルス感染症のリスクに鑑み、今回の定期接種化によって、RSウイルス感染症の罹患やそれに伴う肺炎等の症状から小児を守ることができると期待しています。なお、安全性については、審議会において、日本人を含む臨床試験の結果等を踏まえ、現時点で重大な懸念は認められないと評価されていることに加えて、定期接種化された後も審議会において継続的に評価を行っていくこととしています。明日から開始される定期接種が着実に実施されるように取り組んでいきたいと考えています。
記者:
高額療養費制度について伺います。先日の医療保険部会などで示された健康保険法改正案に関する資料では、高額療養費制度について「医療保険制度改革全体の中で、不断にその在り方について検討を行う必要がある」とされました。今後、上限額の見直しの必要性について大臣の認識を伺います。また、見直しが必要と考える場合、今回の見直しでは患者団体が破滅的医療支出への配慮などを要望していましたが、患者の負担の限界についてどのように考えているのかについても教えてください。もう1点、今回の見直しでは、2026年度と2027年度の2段階に分けて見直しされることとなっていますが、現在国会で審議中の予算案には、2026年度分の措置が含まれていると思います。2027年度の引上げ分については、再来年度2027年度の予算案に含まれるという理解でよいのかどうかも教えてください。
大臣:
ご指摘の不断の検討が必要という趣旨の取りまとめですが、これは患者団体の方にも参画いただいた専門委員会において合意された基本的な考え方の記載です。その上で、高額療養費の見直しについては、現在お示ししている見直し案のほかに、現時点で更なる改正は予定していません。一般論で申し上げると、今後見直す際にも、今回の見直しの考え方にも通じるものですが、制度の持続可能性の確保と長期療養者、低所得者へのセーフティネット機能の強化といった視点は重要だと考えています。今回の見直しは、全体をパッケージとして実施するものであり、分けては考えていません。令和8年度予算案には、本年8月からの施行分のみを盛り込んでいるところですが、これらは令和8年度と令和9年度で一体的に制度設計を行ったものであり、そういった意味で一体的に実施されるものであるということを改めて申し上げたいと考えています。いずれにしても、国民の皆様に今回の見直しの趣旨をご理解いただけるよう、引き続き丁寧に説明していきたいと考えています。
記者:
新年度からの制度改正について1つ伺います。在職老齢年金の減額の基準額が10万円以上引き上げられ、51万円から65万円となりますが、その意義について改めてお願いできますでしょうか。
大臣:
在職老齢年金制度ですが、高齢者の就業意欲を阻害するといった指摘もありました。こうしたことから、令和7年の年金制度改正法において、現役世代の収入水準や高齢者の就労実態等に照らし、年金の減額を行う支給停止の基準額を65万円に緩和する見直しを行ったところです。明日から施行されることになりますが、この改正は、少子高齢化の進行や人手不足を背景に高齢者の皆さんの活躍の重要性が一層高まる中で、この基準額を引き上げることによって、高齢者の方が年金の支給停止を意識せずに、より働きやすくなるといったことを目的とするものです。若い世代の方も高齢の方も、働く意欲のある方がより働きやすい社会の実現に向けて、引き続き努力していきたいと考えています。
記者:
政府の医療機器の安定供給についてお伺いします。先日要望させていただきました。早速対応ありがとうございます。透析回路などの医療機器のヒアリングをメーカーにしていると思います。結果、メーカーや卸業者の現時点での在庫について、何か月分あるかお知らせいただきたいのが1点、もう1つは、経済産業省との体制整備ということですが、法的権限として、石油由来の原材料のメーカーに医療用に回すなどの仕組みが今ないと聞いているので、そのあたりどのように整理されていくのかについて、2点お願いします。
大臣:
これまでに、例えば透析回路や手術中に使用する廃液容器など、アジア各国で生産して日本に輸入している製品が、アジア各国における原油不足によって、長期的な供給に懸念が生じているとの情報が寄せられています。その中で、ご指摘の点ですが、個別のヒアリングをしており、各社から個社の情報については慎重に扱ってほしいとのお話があるので、在庫量については差し控えたいと思いますが、直ちに供給が滞るとの報告はありませんので、その点は当面はご安心いただければと思います。また、経済産業省と合同で、先ほど申し上げた対策本部を立ち上げます。これについては、医薬品、医療機器等について、国内の医療活動が停滞しないように、安定供給の確保に優先的に取り組むことが求められるという分野であると私は認識しているので、この本部において、経済産業省とともに、必要な対応を速やかに検討していきたいと考えています。その中で今ご指摘のあったような点については、整理していきたいと考えています。
記者:
妊婦向けRSウイルスワクチンの早産リスクと、厚生労働省の情報提供資材について3点伺います。1点目ですが、国際臨床試験において、妊娠28週~32週未満では、統計的有意に約40%の早産が増加した事実を、厚生労働省は認めていますでしょうか。2点目ですが、医療従事者向け情報提供資材には「早産が多い傾向があった」と記載する一方、当事者である妊婦向け情報提供資材では、早産について一切書かれていません。なぜ妊婦には早産のリスクを伏せたのでしょうか。3点目ですが、医療従事者向け資材では、臨床試験全体で早産が増加したことに対してわざわざ統計的有意差なしと打ち消す補足がある一方で、日本人の早産率が低かったという箇所には統計的有意差なしという補足がありません。明らかに偏った記載をしている理由を教えていただけますでしょうか。
大臣:
RSウイルス感染症は、先ほども申し上げましたが、小児の罹患率や重症化率が高く、中には肺炎から死亡のリスクもあるということですので、RSウイルスワクチンは非常に大事だと考えています。一定程度予防できると考えているので、明日から開始される定期接種を着実に実施する必要があると考えています。その上でお尋ねの点ですが、妊娠28週~32週未満に接種を受けた方に関する解析についてのお尋ねですが、あくまで事後的に行われた補足的な解析の一つだと考えています。このような補足的な解析の結果を部分的に捉えて、接種によって早産のリスクが増加したと判断するのは、統計学的な解釈として一般的には適切ではないとされていると承知しているので、その点をご理解いただければと思います。また、早産リスクについては、現時点で明確にリスクの上昇を示唆する報告は確認されていないので、妊婦向けの周知媒体にも記載していません。一方、現場で接種していただく医療従事者に対する情報提供資材においては、統計学的な評価の観点を含め、臨床試験の詳細な結果を適切に解釈できる専門性を有することから、早産に関する点を含め、国際共同第3相試験の結果等を詳細に記載し、母子免疫ワクチンの有効性や安全性に関する情報について、幅広く周知を行っているところです。その上で、ご指摘の日本人の早産率が低いという結果については、これも事後的に行われた補足的な解析の一つであるため、結果を端的に記載しているものです。
記者:
確認ですが、この約40%、妊娠28週~32週未満、これに関しては統計的有意というのはお認めになるかという質問だったのですが、これに付け替えて大臣は、これは知見の一部であるからそこだけでは判断できない、それももっともであろうと思います。そうであるなら、日本人に対しても200人ずつくらいの治験データなので、医療従事者向けにはそれをあたかも、日本人では早産が増えていなかったかのように書かれていて、その統計的有意差がないという記載がない、これは明らかにおかしいということ、自己矛盾になりませんか。
大臣:
研究結果そのものの中に、補足的な部分についての統計的な有意差の有無については記載がないと承知しているので、そのまま記載したのではないかと考えていますが、技術的な統計学的な観点もあるので、事務方からまた詳細にご説明させていただきたいと思います。
記者:
28週~32週未満、40%の早産増加、これは統計的有意差ありですね。そこはよろしいですか。
大臣:
論文にはその点は記載されていないので、記載されていないような取扱いをさせていただいたということです。

(了)