上野大臣会見概要
(令和8年3月10日(火)9:04~9:15 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私から特にありません。
質疑
- 記者:
- 実質賃金についてお伺いします。1月の実質賃金が13か月ぶりにプラスとなりました。所定内給与も伸びましたが、この受け止めをお願いします。
- 大臣:
- 令和8年1月分の速報値において、基本給である所定内給与の着実な改善等により、名目賃金の対前年同月比はプラス3.0%となり、49か月連続のプラスとなりました。また、実質賃金ですが、「持家の帰属家賃を除く総合」を用いた場合はプラス1.4%、「総合」を用いた場合はプラス1.6%となりました。4月8日に公表予定の確報の結果もみる必要がありますが、物価の伸びが低くなってきたことに加え、所定内給与が着実に改善していることにより、「持家の帰属家賃を除く総合」あるいは「総合」いずれでみても実質賃金はプラスとなったところです。今年の春季労使交渉については、3月18日が集中回答日となっています。厚生労働省としては、春季労使交渉に向け、賃上げの機運を醸成するため、1月、2月を中心に全都道府県において地方版政労使会議を開催し、地域の政労使のトップが賃上げについて話し合うとともに、政府の各種支援策の周知を図っているところです。また、企業が賃上げを行いやすい環境を整備するために、引き続き、賃上げ支援助成金パッケージによる支援や生産性向上支援、非正規雇用労働者の正社員への転換などの様々な対策をこれからもしっかり進めていきたいと思っています。
- 記者:
- 今お話のあった春闘についてお伺いします。イラン情勢による原油価格の上昇などが、これから本格化する中小企業の春闘に影響することを懸念する声も上がっています。大臣として、イラン情勢の春闘への影響をどのように評価しているでしょうか。
- 大臣:
- 春季労使交渉が現在行われていると思いますが、一昨年、昨年と30年以上ぶりに5%を超える高水準となっているので、今年もこれと遜色のない水準での賃上げ、とりわけ、物価上昇を上回る賃上げが実現することを期待しています。イラン情勢ですが、春季労使交渉に与える影響については、現時点で予断をもってコメントすることは差し控えたいと思いますが、今後の労使の交渉状況については、厚生労働省としても引き続き注視していきたいと考えています。
- 記者:
- 高額療養費制度の見直しについてお伺いします。3月6日の予算委員会で大臣は、「受診控えによる医療費減少は見込んでない」「受診控えということを前提に計算していない」とご答弁されました。一方で、厚生労働省は高額療養費の限度額引上げにより、26年、27年の2年間で実効給付率が0.28%低下し、受診行動が変化する分として1,070億円の給付費削減を見込んでいます。3点お伺いします。受診控えによる医療費減少を見込まずに、どのような方法で給付費削減を見込んでいるのでしょうか。受診控えによる医療費減少を見込まないのであれば、予算を修正すべきではないでしょうか。受診行動の変化による給付費削減で加入者一人当たりの保険料軽減額は年間でいくらでしょうか。
- 大臣:
- まず、今回の見直しにおいては、これまで高額療養費制度の対象とならなかった方であっても、新たに設定する年間上限によって、自己負担が減少する方がおられること、また、年収200万円未満で課税対象となる方の多数回該当の金額を月額1万円引き下げるなど、特に治療にかかる経済的負担が厳しいと考えられる長期療養者や所得の低い方に十分配慮しており、必要な受診が抑制されるということは想定していません。その上で、今回の見直しにより、最終的に実効給付率が約0.28%低下すると見込まれるため、これまでの制度改正の際に計算している方法と全く同じ方法で、実効給付率が変化した場合に経験的に得られている医療費の増減効果の算定式に機械的に数値を代入したところ、給付費の変化が約1,070億円の減となっているものです。また、給付費の変化の全体の給付費の変化に対する割合を用いて単純に計算すると、加入者一人当たりの金額への影響は、加入している保険者によって異なりますが、平均で1年当たり約600円となります。
- 記者:
- 今のご答弁だと、低所得、多数回の人は給付維持もしくは給付改善されるから必要な受診が抑制されないというご回答だったと思いますが、私たちや全国のがん患者さんが気にしているのが、今回引上げになる660万人において、受診抑制を機械的にですが見込んでいること、実際に受診抑制が起こるかもしれないことを懸念されているわけですから、それに対するご回答をお認めにならなかったという理解でよろしいでしょうか。受診控えという表現はともかく、今回引き上げて、給付費が1,070億円削減されるわけですから、これは紛れもなく受診抑制です。そのことを認めた上で政策を行ってほしいのですが。
- 大臣:
- いずれにしても、計数上の整理としてこのような方式を採らせていただいており、先ほども申し上げたとおり、長期療養者あるいは低所得者に十分配慮しているので、必要な受診が抑制されることはないと考えています。実際の受診行動にどういう影響があったかということについては、当然それはこれからも注視していかなければならないと考えています。
- 記者:
- 過去、長瀬効果の指数を使って75歳2割のときは、実際その計数のとおりに受診抑制が行われているわけです。厚生労働省の計数というのは結構正確なのですよ。だから、今回の高額療養費も受診抑制の計数を見込むというのは、ある意味正しいというか、実際に受診抑制が起こるということを示唆していることがあるからこそ、ご指摘させていただいているので、そこは必要な受診が妨げられることがないようにというのであれば、しっかり実態調査をされるべきだと思います。ご見解をお願いします。
- 大臣:
- いずれにしても、先ほどの繰り返しになりますが、一定の算定式によって計上していますが、やはり実際にそうしたことが起こるかどうかということが非常に大事だと考えています。我々としては十分配慮しているので、必要な医療が受診されない、抑制されるということはないと考えていますが、結果的にどういう形であったか、実際の受診行動についてどういう影響があったかということは注視しなければいけないと考えています。
- 記者:
- 来月4月から定期接種が始まる妊婦向けRSウイルスワクチン「アブリスボ」の早産リスクについて伺います。アメリカでは早産のリスクを考慮し、接種期間を32週以降としていますが、日本では、アメリカが危険視した期間も含めて幅広く28週以降を接種対象としています。厚生労働省として、このアブリスボによる早産リスクをどのように評価し、どのような根拠で日本の妊婦さんには安全であると判断されたのか、教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- 審議会において有効性や安全性の検討が行われましたが、その際に、接種による早産リスクについては、日本人を含む臨床試験の結果等を踏まえて、現時点で重大な懸念は認められないと評価されたものと承知しています。試験全体の結果として、妊娠24週から36週の妊婦においては、早産の発生率に統計学的な有意差は認められなかったと結論付けられていると承知しています。いずれにせよ、RSウイルス感染症は小児の罹患率や重症化率が高く、中には肺炎等に至る可能性もある疾患ですので、妊婦向けRSウイルスワクチンはこれを一定程度予防することのできるワクチンであるので、定期接種開始に向けた準備を着実に進めていきたいと考えています。
- 記者:
- 大臣は「統計的な有意差がない」という見解を今おっしゃいましたが、よく数字をみていただきますと、ファイザーの臨床試験において、あと数人、単純計算だと4人だと思いますが、接種分から早産が現れると統計的有意になり、おそらく治験も中止していたのではないかという、こういうギリギリのレベルなのですね。イギリスのGSKという会社では、同様の母子免疫ワクチンを開発中に早産が増えてしまって、開発を中止しています。早産の懸念があること自体は、厚生労働省はお認めになりますか。他社では中止になっています。そしてあと数人接種分で、統計的有意になります。個人的にはあると思うのですが。
- 大臣:
- アブリスボについては、現時点では明確に早産のリスクの上昇を示唆する報告は確認されていないと承知しています。
- 記者:
- 妊婦向け文書の国民の情報提供の在り方についてですが、アメリカでは、ちゃんと書いてあります。ワクチンを接種した妊婦において、早産や妊娠高血圧症候群が報告されていますと。しかし、厚生労働省の妊婦さん向けのRSウイルスでは、妊娠高血圧症候群の記載はあるのですが、その他の記載はありません。アメリカと同様に、懸念があるのは間違いないと私は思いますので、検討されてはいかがでしょうか。早産もいえるかどうか。
- 大臣:
- 審議会等の専門家のご意見を踏まえた形でそうさせていただいていると考えています。すみませんが、詳細は事務方と詰めていただければと思います。
(了)

