上野大臣会見概要

(令和8年3月6日(金)9:00~9:18 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について



大臣:
私から1点ですが、iPS細胞製品の承認についてです。本日、iPS細胞を用いた再生医療等製品である、重症心不全に使用するリハート、パーキンソン病に使用するアムシェプリを、条件及び期限付きで薬事承認しました。これまで厚生労働省もこれらの研究開発を支援してきましたが、山中教授によるiPS細胞をもとにした日本発の治療製品が世界で初めて実用化されたことは大変喜ばしく、日本のみならず世界中の患者の皆様の救いとなることを願っています。これらは、今後、企業からの申請に基づく保険収載の手続を経て保険診療で使用可能となります。保険収載の目途は、一般に、医薬品では、薬事承認後遅くとも3か月以内、医療材料では、保険適用の申請後4~5か月以内としていますが、患者の皆様に確実に届くよう、必要な手続きを速やかに進めてまいります。なお、今回の承認は、条件及び期限付きであり、承認後も有効性の検証等の必要な取組を進めてまいります。厚生労働省といたしましては、高市内閣の成長戦略の重点17分野の一つである創薬・先端医療分野の官民投資を促進して、更に取組を進めてまいりたいと考えています。

質疑

記者:
法改正に関連して1点お伺いします。医療保険制度改革の関連法案が来週に閣議決定されて、今国会に提出される見通しとなりました。OTC類似薬の処方を受けた患者の負担額を一部引き上げる制度や出産の無償化、75歳以上を対象に、株式配当などの金融所得を保険料算定や窓口負担割合に反映させる仕組みなど、国民生活に深く関わる制度改正が数多く含まれていますが、予算関連法案で審議時間も限られる中、どのような姿勢で論戦に臨まれるのかお聞かせください。
大臣:
人口減少・少子高齢化が進む中で、公的医療保険制度を維持して次世代に引き継いでいくためには、不断の改革努力が必要だと考えています。今回の改革では、必要な受診を確保した上での、日常的な医療に用いるOTC類似薬などの保険給付の見直し、医療が高度化する中での制度の持続可能性の確保と、年間上限の新設による長期療養者や低所得者へのセーフティネット機能の強化の両立を目指した高額療養費制度の見直し、後期高齢者医療制度における金融所得の公平な反映など、負担能力に応じたご負担をいただくための取組などを行いたいと考えており、関係法案の今国会への提出を含め、必要な準備を進めているところです。制度改革に当たっては、その意義が国民の皆様に十分伝わるように取り組んでいきたいと考えています。
記者:
戦場での過酷な体験による戦争トラウマの実態調査について伺います。福岡前厚生労働大臣は昨年4月、調査対象の拡大について「常設展示の内容などを専門家にご覧いただきながら、どのようなことができるか検討したい」と述べました。5日に元兵士の家族らと担当者が面会した際には、「しょうけい館運営有識者会議の構成員から忌憚のない意見を頂戴している」と説明されていましたが、現時点で具体的にどのような意見がいくつ寄せられているのでしょうか。また、意見をいただく対象者について、2024年度から取り組まれていた調査には、継続的に戦争トラウマの学術研究に取り組まれている大学教授らにもご協力いただいていると思います。こうした方から意見を聴くお考えがあるかも併せて伺います。最後に、面会では「今後も戦傷病者とその家族の労苦について伝えていくために展示内容の充実にしっかりと取り組んでまいりたい」と回答していましたが、元兵士の家族らは、戦傷病者と認定されず、周囲も心の傷に気づかないまま亡くなっていった元兵士を調査対象に加えることを求めています。改めて、戦傷病者と認定されていない元兵士についても厚生労働省が窓口となって調査の手法などの検討を進めていくという理解でよいか確認させてください。
大臣:
しょうけい館の展示などで戦傷病者とその家族の労苦をお伝えしていますが、これまで展示内容については元兵士の身体に関する労苦がほとんどであり、心の傷の労苦についてはお伝えすることができていなかったと承知しています。そのため、令和6年3月のしょうけい館運営有識者会議において、心の傷を負われた元兵士の展示に向けて取り組むことを決定しました。令和6年度に心の傷の労苦を伝えるための資料を収集するための調査を行っています。その後、令和7年7月から10月にかけての仮設展示を経て、本年2月25日から元兵士の心の傷に関する常設展示を開始したところです。直近の3月3日のしょうけい館運営有識者会議では、この心の傷に関する常設展示の展示内容について説明しましたが、この展示については特段のご意見はなくご了承をいただいたものと承知しています。今後の取組ですが、戦傷病者と認定されていない元兵士への調査については、戦後80年が経過し、多くの方がお亡くなりになり、ご存命の方も大変高齢化しているといった中ですので、なかなか戦争と症状の因果関係の判断が難しいといった課題があると認識していますが、いずれにしても心の傷に苦しまれた戦傷病者とそのご家族のご労苦について、引き続き展示内容の充実に取り組んでいくなど、可能な取組をしっかりやっていきたいと考えています。
記者:
厚生労働省が昨日、働き方の実態などを調査した結果を公表し、「労働時間を増やしたい」と答えた人は10%あまり、「このままでよい」と回答した人は59%あまりでした。こうした調査結果の受け止めと、これを受けて高市総理が指示されている労働時間の規制の緩和や裁量労働制の見直しについて、労使様々意見もある中で今後どう議論を進めていくのか、お考えをお聞かせください。
大臣:
昨日、厚生労働省において、働き方改革関連法施行後5年の総点検を公表しました。労働者アンケート調査においては、労働時間の増減希望について、労働時間を「増やしたい」と回答した割合は約10.5%、「このままでよい」が59.5%、「減らしたい」が30.0%、となっています。このうち「増やしたい」の10.5%の内訳をみると、週所定労働時間35時間以下で年収200万円未満の方で3.4%となっています。週所定労働時間35時間超又は年収200万円以上で、上限規制でもある月80時間の範囲内で労働時間を増やしたい方が4.9%となっています。同じく上限を超えて労働時間を増やしたい方は0.5%という結果になりました。これは、パートタイム的に働いている方と、フルタイム的に働いている方で上限の範囲内で労働時間を増やしたいという方の2類型が多かったと考えられます。「もっと働いてもらいたい」あるいは「もっと働きたい」といったニーズについては、「時間外労働の実態と上限規制との間には隙間があり、規制の範囲内で労働時間を増やしたい」という場合が多いのではないかと思われるところですが、今回の総点検調査でも、改めてそのような実態が示されたものと受け止めています。これまで総理も「過労死認定ラインでもある上限規制を超えるなどということを決して言いません」と答弁されていますが、私も同じ考えです。今回の結果をみても、上限規制それ自体の問題というよりは、その範囲内での働き方の問題ではないかと考えているところです。いずれにしても、裁量労働制も含め、労働時間規制の検討に当たっては、心身の健康維持を前提にして、働き方の実態とニーズを踏まえて、日本成長戦略会議の下に設けられた労働市場改革分科会や労働政策審議会において、運用・制度の両面から、議論を進めていきたいと考えています。
記者:
高額療養費の見直しやOTC類似薬を含む薬剤自己負担で加入者1人当たり年2,200円の保険料が軽減されると大臣は国会で答弁されましたが、内訳について、高額療養費の見直し、OTC類似薬の追加負担単体、OTC類似薬を含む薬剤自己負担全体の3つに分けた加入者1人当たりの保険料軽減額をお答えください。高額療養費の見直しの目的は制度の持続可能性を維持と答弁されましたが、見直しで負担増になる方の人数について、月額限度額の引上げ、外来特例の上限引上げの2つに分けてそれぞれお答えをお願いします。
大臣:
今回の見直しについては、制度全体の持続可能性の確保と、長期療養者や低所得者へのセーフティネット機能の強化を図る観点から行うものです。制度改革の結果として生じる最終的な保険料への影響額については、加入している保険者によって異なりますが、加入者1人当たりの平均額を機械的に算出すると、高額療養費制度の見直しでは、1年当たり約1,400円の減少、OTC類似薬の保険給付の見直しでは、1年当たり約400円の減少、これに長期収載品の選定療養の見直しなどを加えた薬剤自己負担の見直し全体では、1年当たり800円の減少となると見込んでいます。また、今回の見直しによって負担が増加する方がいらっしゃるのは事実ですが、今回導入する年間上限によって、例えば、年1~2回しか高額療養費の適用対象に該当しない場合であっても、非常に高額な医療にかかった場合には負担額が下がる方がいらっしゃいますし、これまで高額療養費の適用対象に該当せず長期にわたって治療を受けられている方についても負担が下がる方がいらっしゃいますので、具体的な人数を一概に申し上げることは困難です。
記者:
負担をお願いするのに、負担が増える人の人数を国会でもご答弁なかったと思うし、これは国民にとっては、高額療養費は月額116円、ペットボトル以下の料金で負担が増やされるわけですよね。こういったことはしっかり広報していただきたいと思いますし、広報していく予定があるかどうかについて、最後お願いします。
大臣:
何についての広報ですか。
記者:
負担が増える方の実際の人数や影響額等について、国民が不安に思っていますので、そのことについて、国会でも保険料がどれくらい下がるのかと野党からも質問がありましたし、そういったことを国民に広く具体的に知らせていくことによって、厚生労働省の制度の見直しの理解が一定広まると思うので、負担が増えることもきっちりと国民に周知すべきではないでしょうか。
大臣:
負担の人数については、いましがた申し上げたとおりで、なかなか何人ということは難しいと思います。ただ一方で、保険料負担の軽減の部分や制度全体の見直しの中身といったことについては、やはりしっかり国民の皆様にも周知していくことが大事だと考えています。
記者:
新型コロナワクチンの副反応疑い報告の漏れに関してですが、2月24日の大臣会見で上野大臣は、副反応の報告漏れの存在を認めた上で「安全性を評価する観点からは、十分な報告がなされている」と答弁されました。本日は、その明確な根拠を示していただきたいのですが、厚生労働省がいう「十分な報告」とは、実際の被害全体に対して何割を捕捉できているという基準の数値があるのでしょうか。それとも、全体の分母や捕捉率は分からないにしても十分だと言い切れるような明確な定義が存在するのか、そのあたり具体的な定義や割合について教えていただけますでしょうか。
大臣:
まず前提ですが、新型コロナワクチンの安全性については、審議会において副反応疑い報告として報告された個々の事例の把握・検討に加えて、国内外の学術的な研究から得られた科学的な知見、これも合わせて総合的に評価いただいていますので、安全性を評価する観点からは、そのようなことを勘案して十分な報告がなされていると申し上げてまいりました。その上で、ご質問に対してですが、ワクチンの安全性を評価するために、どの程度の数の副反応疑い報告があれば十分かということについては、定量的な基準があるものではありませんが、例えば、当初から想定されていた副反応について、報告頻度の変動などを確認して、注意すべき変化がないことを確認するといった観点からは、現在の新型コロナワクチンの副反応疑い報告の数でも、一定程度確認できていると考えています。また、薬事承認時に想定されていなかった副反応の探知の観点からは、α評価やβ評価の事例も含めて幅広く疑わしい事例が報告されているので、これも一定程度確認できていると考えています。一方、副反応疑い報告については、自治体に対して、医師等に報告を提出するよう促すことを依頼しているので、引き続き、そうした観点からはしっかり自治体の方に我々からもお話しさせていただき、適切にこれからも報告がなされるように、そこはしっかりやらせていただきたいと考えています。
記者:
大臣のおっしゃることも分かりますし、ただ、ある一定程度は報告が上がってこないと成り立たないと思うのですね。ほんの一部しか上がってこないのであれば、安全性はみられるのかという疑問があります。実際先週、2月24日の参議院本会議の代表質問で、神谷宗幣参議院議員が、人口35万人規模の町で接種10日以内に亡くなった方が約200名いて、その全てが報告されていなかったということを指摘しています。答弁者の高市総理はこれに触れずに答弁されていましたが、上野大臣は本会議場で聞かれていてこれについてはどうお考えになりましたか。
大臣:
その具体的な事例がどういうことか詳細に分かりませんので、なんとも申し上げられませんが、一市町村の事例というよりも、全国で私どもは考えているので、そういった観点からは先ほど申し上げたように、一定程度確認ができていると考えています。

(了)