上野大臣会見概要
(令和7年12月23日(火)10:43~10:52 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私から冒頭発言させていただきます。本日の閣議において、日本年金機構理事長の人事について了解が得られましたのでご報告いたします。日本年金機構理事長の大竹和彦氏におかれましては、本年12月31日で任期満了となりますが、引き続き、再任いたします。詳しくは、別途お配りする資料をご覧いただければと思います。
質疑
- 記者:
- 2026年度の診療報酬改定について伺います。政府は医師や看護師らの人件費に回る本体部分を3.09%引き上げるよう検討しているかと思いますが、改定率の引上げの必要性と併せて、厚生労働大臣としての所見をお伺いします。
- 大臣:
- 診療報酬改定については、皆さんご案内のとおりだと思いますが、保険料負担の抑制努力も継続しながらも、賃上げや物価高に適切に対応していくことが必要ですので、そうしたこともしっかり反映させることが大事だと考えています。具体的な数字は申し上げられませんが、予算編成はまさに大詰めを迎えているので、地域の医療を守るという観点から、最後、しっかりとした詰めを行っていきたいと考えています。
- 記者:
- OTC類似薬の保険給付の見直しについて伺います。自民党と日本維新の会は、先週19日、保険給付を維持した上で、薬の価格の4分の1を患者の自己負担に特別な料金として上乗せして、その対象を77成分、およそ1,100品目とすることで合意しました。この合意についての大臣の受け止めと、来年度中に実施するとしていますが、政府としてどのように準備や調整を進める考えか伺います。また、開始は来年度のいつ頃となる見込みか、そして対象となる77成分、1,100品目はどのような考え方に基づき設定されるものか、がん・難病、慢性疾患の患者などへの配慮は、4分の1の負担を求めないというお考えでよいか、それぞれ教えてください。
- 大臣:
- 先般、OTC類似薬にかかる薬剤自己負担の見直しについても、与党間の協議が合意に至ったと承知しています。政府としては、先般閣議決定した経済対策において、「現役世代の保険料負担の一定規模の抑制につながる具体的な制度設計を令和7年度中に実現した上で、令和8年度中に実施する」こととしています。したがって、今後、与党間の合意内容も踏まえて、政府としても具体的な内容を検討していく必要があろうかと思っていますが、現段階で具体的にこうすると決まったことはありません。保険給付の見直しの在り方や対象医薬品の範囲、また今お話のあった配慮を必要とする方の具体的な範囲などについて、引き続きしっかり検討していきたいと考えています。この合意を踏まえて検討していきたいと考えています。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの有効性について伺います。上野大臣は、前回12月19日の会見において、長崎大学の新型コロナワクチンの有効性に関する研究について、「新型コロナ検査が陰性であった群で、過去にワクチンを接種した者の割合が高い場合には、ワクチンの有効性は高く算出される」とおっしゃいました。一方で、予防接種健康被害救済制度では、コロナワクチン接種後の間質性肺炎が193件認定、うち死亡が60件です。誤嚥性肺炎が45件認定、うち死亡が26件ですが、コロナワクチンを打ってコロナ以外の呼吸器疾患になってしまった事例が数多く認定されています。すると、ワクチン接種後にコロナ以外の呼吸器疾患になる方が増えたことでワクチンの有効性が高いと計算されてしまっている、この研究にはこうした懸念があるのではないでしょうか。厚生労働省の見解を教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- ご指摘の点ですが、新型コロナワクチン接種後にコロナ以外の呼吸器疾患が増加するといった十分な科学的知見はないと承知しているので、これを踏まえると、ご指摘のような懸念は生じないと考えています。
- 記者:
- ということは、コロナワクチンを接種したことでコロナ以外の呼吸器疾患が増えるということがもし証明されれば、この研究は適切ではないということになるという理解でよろしいでしょうか。
- 大臣:
- いずれにしても技術的な事項なので、事務方にお尋ねいただきたいのですが、あくまで統計学上のオッズ比、比率の問題ですので、その比率が大きく変動するような要因があれば、そういったこともあるかもしれませんが、今のところそういったことは確認できていないと考えています。
- 記者:
- 大臣はそうおっしゃいますが、救済制度においては、誤嚥性肺炎や間質性肺炎がこれだけ数多く認定されているわけです。これは、コロナワクチンを打つことによって、コロナ以外の呼吸器疾患が発生する可能性は否定できないという証拠ではないかと思うのですが。
- 大臣:
- 間質性肺炎や誤嚥性肺炎の数字が増加している、あるいは他と比べて非常に割合が高くなっているといったことがあるかないかということではないかと思います。
- 記者:
- 厚生労働省が認定している話ベースで申し上げていますが、オッズ比の話は置いておきまして、コロナワクチンを打つとコロナ以外の呼吸器疾患が起こることが、救済制度の認定によってその可能性が確認できるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
- 大臣:
- 統計の問題ではなくてということですか。
- 記者:
- はい。コロナワクチンを打って、その後コロナ以外の呼吸器疾患になるということが、厚生労働省の認定事例から証拠として出ているのではないかと思いますが。
- 大臣:
- 予防接種健康被害救済制度の認定に当たっては、ご案内のとおりだと思いますが、厳密な医学的な因果関係までは必要とせずに、接種後の症状が予防接種によって起こることを否定できない場合を対象とするといった考え方に基づいて審査を行っています。繰り返しとなり恐縮ですが、現時点においては、承認後の副反応疑い報告等においても、新型コロナワクチン接種後にご指摘のあったような呼吸器疾患が増加するといった十分な科学的知見はないと承知しています。
- 記者:
- 大臣は今、厳密な医学的な因果関係のところだけおっしゃると、国民がミスリードされてしまうので、正確に表現していただきたいのですが、私が申し上げていることが正しいかどうか聞いていただければと思うのですが、この認定に当たっては、症状の発生が医学的な合理性を有すること、時間的密接性があること、他の原因によるものと考える合理性がないことなどについて、医学的な見地から慎重な検討が行われた結果認定されている、これは間違いないですよね。
- 大臣:
- 正確な文言までは覚えていないのでお答えできないですが、いずれにしても、当初の質問は統計の話だったかと思うのですが、今はそうではない話をされているという理解でよいですか。
- 記者:
- そうですね。厚生労働省が救済制度で認定しているということは、これだけの数ですよ、間質性肺炎で死亡事例もたくさんあるわけです。コロナワクチンを打つと、間質性肺炎になる、あるいは誤嚥性肺炎になる、こういった事例があるということは、大臣はお認めになりますか。
- 大臣:
- これまでの経緯もご案内のとおりだと思いますが、私どもとしては、先ほど申し上げたように、現時点においては、増加するといった十分な科学的知見はないと承知しています。
- 記者:
- 最後に質問ですが、もう一度ですが、繰り返しですが、コロナワクチンを打つと誤嚥性肺炎や間質性肺炎になるというのは認定されている事例ですが、これは他の原因によるものと考える合理性がないから認定されている、これは救済制度の考え方です。認定されているではありませんか。
- 大臣:
- また誤解が生じるといけないので、事前に通告もありませんでしたので、事務的に詳細を議論していただいて、それで次回またご指摘いただければと思います。
(了)

