上野大臣会見概要

(令和7年12月5日(金)9:01~9:12 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
私から1つ発表させていただきます。明日12月6日ですが、厚生労働省、財務省、それから世界保健機関WHO及び世界銀行の共催によって、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジUHC達成に向けた国際的な機運を一層高めていくために、UHCを推進する国や組織のリーダーなどを日本に招聘して、UHCハイレベルフォーラムを開催いたします。フォーラムでは、厚生労働大臣である私と片山財務大臣、またWHOのテドロス事務局長及び世界銀行のバンガ総裁により、日本に設置したUHCの能力開発支援の拠点であるUHCナレッジハブの正式な設立発表を含めて、このオープニングセレモニーを執り行う予定です。また、UHCの達成に向けた議論を行うとともに、共同宣言文、UHCの進捗把握のためのグローバルモニタリングレポート、UHC達成を目指す開発途上国による国別保健協定を発表する見込みです。フォーラムの開催を通じて、日本として、保健医療課題への対応について国際的な連携を推進するため、貢献していきたいと考えています。

質疑

記者:
重度障害者らの通勤・就労時の介助費用補助制度についてお伺いします。厚生労働省が2020年10月に開始して以降、制度導入を決めた自治体は102か所にとどまり、利用者は291人と低迷しています。こうした現状への所見と、自治体間で差が出ないようにするための施策としてどのような取組が必要だとお考えでしょうか。
大臣:
重度障害者の通勤や就労時に関する介助支援については、雇用施策と福祉施策とが連携して、重度障害者の就労に対して必要な支援を行う自治体への補助事業を行っています。今お示しいただいたことだと思いますが、現在、今お話があったとおり、102自治体から活用希望があり、令和6年度ベースですが、予算額としては約6.6億円を交付してきたところです。厚生労働省としては、限られた財源の中でも、多くの自治体においてこの事業を効果的に活用していただけるように、実施自治体の好事例の収集や制度そのものの周知を未実施自治体等での行政説明で行っています。また、令和7年度予算においては、実施していただいている自治体が、企業向けの説明会や利用者向けの手続き支援等を実施した場合の費用の補助をできるよう見直しを行っています。実際に今、自治体数が増えていますので、これからもしっかりそれが拡大できるように努力したいと考えています。
記者:
大臣の政治資金の支出について伺います。2023年、2024年に支出していた長浜茶道愛交会というのがあると思いますが、こちらの会長が私たちの取材に対して、上野さんと秘書の分の1年間の会費だと説明してくれました。政治とは関係のない一般的なお茶会であり、上野さんは家族と一緒に来ていたこともあったと会長は話していたのですが、これを政治資金で支出することは適切だったのかという点、さらに、2023年、2024年に支出している演歌歌手のファンクラブについても伺います。取材に応じた関係者によると、2023年はお座敷でのライブ、2024年はディナーショーの参加費ということでした。こうした会への出席は政治活動と言えるのか、またこの支出を政治資金から支出していたことは適切だとお考えでしょうか。
大臣:
ご指摘の件については、法令に沿って計上させていただきました。しかしながら、今後は疑念を招かぬように、同様の支出については行わないようにしたいと考えています。
記者:
更にいうと、上野大臣だけではなく、他の党でもスナックでの支出などがあったということが分かっています。政治活動と言えばこうした支出ができてしまうというこの状況をどのようにお考えでしょうか。
大臣:
政治活動に関する法令については、各党・各会派でご議論いただきますので、閣僚である私からそのことについてはコメントを差し控えたいと考えています。
記者:
大臣の資産について伺います。例年であれば、閣僚資産が公開される時期ですが、大臣ご自身の資産への評価と、資産公開制度に関して、制度の意義や必要性などをどのようにお考えか、お聞かせください。
大臣:
資産公開制度については、行政への国民の信頼を確保し、もって行政の円滑な運営に資するものと承知しています。公職に就いている以上は、国民から疑念を抱かれないよう公開するものだと考えています。私自身のものに関しては、大臣等規範に照らして問題ないと考えています。
記者:
新型コロナワクチンについて伺います。11月27日の参議院厚生労働員会において、岩本麻奈議員からの質問に対し、上野大臣は「予防接種の中止などの措置は、厚生労働大臣が講ずる」とおっしゃり、ワクチン接種の継続・中止の最終責任は審議会ではなく大臣にあることを明言されました。そこで質問ですが、上野大臣は、審議会の重大な懸念は認められないという結論をそっくりそのまま100%ご自身の最終的な判断とされているのでしょうか。それとも、審議会の判断は尊重しつつも、ご自身でも死亡報告等のデータを読み込みなどして、独自の評価を加えた上で判断をされているのでしょうか。どちらなのか教えていただけますでしょうか。
大臣:
予防接種法においては、厚生労働大臣は、必要があると認めるときには、審議会の意見を聴いて、定期の予防接種等の適正な実施のために必要な措置を講ずるものと規定されています。先日の答弁については、この規定に沿って説明申し上げたものであり、厚生労働大臣が個人として行政的な判断を下すという意味ではなく、審議会の意見を聴いて、厚生労働大臣が行政機関の長として最終的な判断を下すということになるという趣旨を述べたものです。
記者:
審議会の判断が100%そのまま上野大臣の見解と一致するのか、それとも、大臣独自の見解を加えているのかという質問なのですが、その点いかがでしょうか。
大臣:
具体的な運用については、厚生労働大臣の恣意的な判断ではなく、専門性・客観性を担保するためには審議会の意見を聴き、その議論を尊重することが重要だと考えています。
記者:
伺っているのは、100%審議会と一致するのか、そこに大臣の見解を挟む余地はあるのか。いかがでしょうか。
大臣:
繰り返しで恐縮ですが、審議会の意見を聴いて、その議論を尊重することが重要だと考えています。
記者:
なぜ明言いただけないのですか。尊重するのが前提なのは理解しますが、上野大臣の見解がそこに入ってくるのか、100%審議会の意見のまま、上野大臣は動いてらっしゃるのか。どちらでしょうか。
大臣:
審議会の意見を聴いて、その議論を尊重することが大事だと考えています。
記者:
質問の意図は伝わっていませんかね。
大臣:
個人として恣意的な判断を下すことは適当ではないというのは、先ほど申し上げたとおりです。
記者:
100%審議会のとおりですね。
大臣:
審議会と異なる対応をするということは想定できないと考えています。
記者:
現在、CBNを規制薬物として規制を検討するパブリック・コメントが実施されていますが、行政手続の公平性・正当性について、指定薬物制度についてお聞きいたします。日本カンナビノイド関連団体連盟や麻産業創造開発機構など複数の事業界団体から、拙速な手続による公平性の欠如と指摘が出ています。そこで2点お聞きかせいただいたいのですが、未知の成分に緊急対応することが指定薬物制度の重要な役割の一つとなっていますが、CBNは未知の成分ではなく100年以上前に単離された成分です。その既知の成分を指定薬物制度で規制する必要性をお教えいただきたいです。あと、現在、上記産業団体などが中心となり署名活動が広範囲で行われています。根拠が不透明なまま規制を強行することが、国内産業を不当に阻害する可能性があるという主張もあります。行政手続上の正当性の問題について、見解をお聞かせいただければと思います。
大臣:
指定薬物制度ですが、医薬品医療機器等法に基づいて、精神毒性を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのある物を、薬事審議会の意見を聴いて指定するものです。一般的に、従来から存在が確認されている物質であったとしても、その物質の精神毒性等が必ずしも確認されているわけではないわけですから、販売形態や使用方法等によって、精神毒性等を有する可能性が顕在化することはあると考えています。ご指摘のCBNについては、山梨県での摂取後の転落事故等を契機にして、その精神毒性について調査を行った結果、麻薬に指定されているTHCと同様の作用が確認されました。これまでの指定薬物と同等の精神毒性を有することが確認されたものです。その後、本年10月の薬事審議会指定薬物部会において審議され、「指定薬物として指定することが適当である」との答申がなされており、指定薬物として規制する必要性があると考えています。行政手続ですが、指定薬物指定の根拠については先ほど申し上げました。本年10月の薬事審議会指定薬物部会の審議に用いられた精神毒性のデータと議事録といった指定の根拠を公表しています。また、行政手続法に基づいて、CBNを指定薬物として指定する省令の改正案については、パブリック・コメントも実施しており、手続は正当なものと考えています。

(了)