上野大臣会見概要
(令和7年11月28日(金)8:33~8:41 衆・分館第16委員室前)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私から2点ご報告したいと思います。雇用統計についてですが、令和7年10月の有効求人倍率は1.18倍と、前月より0.02ポイント低下となりました。完全失業率は2.6%と、前月と同水準です。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求人が微減となる中、引き続き、求職を上回って推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。もう一つはマイナ保険証を基本とする仕組みへの移行についてです。昨年12月に紙などによる従来の健康保険証の新規発行が終了しました。週明けの来月1日をもって、発行済みの保険証が全て有効期限の満了を迎え、医療機関等の受診時には、マイナンバーカードによる健康保険証、マイナ保険証ですね、または資格確認書を持参いただくことになります。国民の皆様におかれては、改めて、マイナ保険証をお持ちかどうか、お持ちでない場合には資格確認書がお手元にあるかをご確認いただき、従来の保険証からの切替えに向けたご準備をお願いしたいと思います。ご自分のマイナンバーカードが健康保険証として登録されているかを確認する方法や、医療機関等でのマイナ保険証を利用した受付方法については、厚生労働省のホームページ等でご確認いただければと思います。
質疑
- 記者:
- 市販薬と成分や効能が似たOTC類似薬をめぐる患者負担の見直しについて伺います。27日の社会保障審議会医療保険部会では、公的医療保険の適用を維持し、窓口支払いで一定の追加負担を求める案について議論され、委員からは支持する意見が相次ぎました。与党の社会保障協議でも同様の案が選択肢として示されていますが、厚生労働省としてどのように対応されていくでしょうか。患者負担を踏まえ、保険適用から完全に外すことは難しいという見解でしょうか。
- 大臣:
- OTC類似薬含む薬剤自己負担の見直しについては、現時点で具体的な方針が決まったものではありません。社会保障審議会医療保険部会において有識者や関係団体のご意見を伺い、検討しているところです。この部会での議論においては、OTC類似薬を保険給付の対象外とした場合、受診遅延による健康被害や飲み合わせリスク、患者負担が過大となるといった様々な問題が生じるといったご意見を多く頂いています。昨日の同部会においては、OTC類似薬そのものを保険給付の対象外とはしない前提で、患者の状況や負担に配慮した別途の負担を求めることについてご議論をいただいたところです。実際の制度設計に当たっては、対象となるOTC類似薬の範囲や、配慮が必要な方の範囲などについても丁寧に検討していく必要があると考えており、自由民主党と日本維新の会の協議体におけるご議論も踏まえて、引き続き適切に対応していきたいと考えています。
- 記者:
- ゾンビタバコについてお伺いします。通称ゾンビタバコとも呼ばれるエトミデートを含む製品の所持容疑で、都内初の逮捕者が出ていたことが、昨日明らかになりました。沖縄県で若年層を中心に乱用が指摘されていますが、厚生労働省として全国的に拡がりが進んでいるという認識か、受け止めを教えてください。
- 大臣:
- ご指摘のエトミデートについては、本年5月に医薬品医療機器等法の指定薬物として指定し、製造、輸入、譲渡、所持、使用等が厳しく規制されています。同月以降、警察や地方厚生局麻薬取締部等において、同法の規定を適用することが可能となりました。エトミデート事案の摘発を進めているところです。厚生労働省としては、現時点で全国的に乱用が拡がっている状況とは考えていませんが、警察庁の調べによれば、沖縄県以外の数県での摘発事例もあると承知していますので、引き続き、関係機関間において捜査情報を共有するなど緊密な連携の上、取締りを行ってまいりたいと考えています。
- 記者:
- 公立病院の経営状況についてお伺いさせていただきます。都内の公立病院の経営状況は、非常に厳しくなっています。テレビ朝日の取材によりますと、都立の基幹病院の医師が自ら周辺のクリニックを連日回って、患者の紹介、逆紹介など連携のお願いして回って、なんとか経営を立て直そうとしています。大臣は、都内に限らず、全国的に公立病院がなぜ大幅な赤字に陥る原因になったと分析していますか。また、今月東京都が、大臣に「少なくともおよそ10%」という診療報酬の大幅な引上げを提言したように、経営を立て直すためには診療報酬の大幅な引上げも必要と考えていらっしゃいますでしょうか。一方、公立病院は、政策的に不採算医療の提供も求められていますが、今は経営のために稼いで、病院主体で黒字化にする必要があるのか、所感をお聞かせください。
- 大臣:
- 公立病院を含め医療機関については、物価・賃金の上昇等により厳しい状況に直面していると認識しています。診療報酬の改定率については、物価や賃金を含めた社会経済の変化、医療機関の経営状況や医療保険制度そのものの持続可能性の観点などを総合的に勘案して決めるものですので、医療機関が置かれた状況を丁寧にみながら、地域で必要な医療が確保されるように取り組んでいきたいと考えています。公立病院ですが、不採算医療や特殊医療なども提供していただいているので、地域医療にとって重要な役割を担っていただいていると認識しています。一方で、公費が投入されているケースがほとんどだと思いますので、公立病院の経営については、総務省において、これまで、地域の実情を踏まえた経営強化の取組を要請されているところです。近年の物価高騰等によって、公立病院においても厳しい状況に直面しており、必要な地方財政措置を講じているものと考えています。厚生労働省においても、今月21日に閣議決定した総合経済対策において緊急措置した医療・介護等支援パッケージの中においても、病院の支援等について明確に記載しているところですので、引き続き、この裏付けとなる補正予算の編成にしっかり取り組んでいきたいと考えています。
- 記者:
- 公立病院の話に関連するのですが、赤字になっている病院は、人口の多い所でも赤字になっていると思うのですが、その原因というのはどこにあると大臣はお考えでしょうか。
- 大臣:
- 公立病院は幅広い機能を持っていただいているので、先ほどご指摘のあった不採算部門でも必要な医療については提供していただいているところですので、そういった状況もあろうかと思います。
(了)



