上野大臣会見概要

(令和7年11月18日(火)9:19~9:32 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
私からご報告させていただきたいと思います。先ほど、令和7年度の感染症危機管理対応訓練として、厚生労働省対策本部会合訓練を実施しましたので報告いたします。これは、新型インフルエンザが海外で発生した場合の厚生労働省の初動対応を確認するための訓練です。まず、私から、本日開催された政府対策本部会合訓練における総理指示を省内幹部に共有した上で、各担当部局長から、海外での感染症の発生状況、水際対策、医療提供体制や保健所体制の準備状況等について報告を受け、今後の対応方針を確認しました。こうした対応を含め、平時から備えを徹底することが感染症有事の対応の基本であり、引き続き、感染症危機管理にしっかりと取り組んでまいりたいと考えます。

質疑

記者:
生活保護引下げをめぐる最高裁判決への対応についてです。17日に専門委員会が委員長一任の形で報告書を大筋で取りまとめました。デフレ調整に代わる高さ調整については、紛争解決の観点から原告には「改めて行わないことも考えられる」としたほか、原告にはゆがみ調整も含め、「両方について見直しを行わないことも考えられる」としました。両論併記の形になっています。厚生労働省、政府としてどのように受け止め、結論を得るお考えでしょうか。また、追加支給をする場合、補正予算へ計上するお考えでしょうか。
大臣:
昨日、第9回の専門委員会が開催され、報告書案の議論がなされました。今お話があったとおり、委員長に一任という形になっています。したがって、今後、委員長と我々もしっかり相談させていただきたいと思いますが、委員長の方で速やかに報告書を取りまとめていただいて、それを公表していただくことになろうかと思います。厚生労働省としても、そのような取りまとめられた報告書に基づいて、最終的な対応方針を決定していきたいと思います。また、必要な予算の対応についても、今申し上げた過程の中で十分検討していきたいと考えています。
記者:
健康保険証の取扱いについて3点お伺いしたいと思います。12日付けの事務連絡で、特例として、全ての健康保険証が来年3月末まで使えることになりましたが、国保と後期高齢に加えて社保もこのタイミングで特例の対象とした経緯と理由をお伺いしたいと思います。また、この特例について医療機関には周知されていると思いますが、厚生労働省として全国民・全被保険者に周知する予定はないのでしょうか。最後に、健保組合から被保険者に周知すべきか、という照会に対して「被保険者には聞かれたら回答すればよい」と回答されていることは事実なのでしょうか。3点お伺いしたいと思います。
大臣:
1点目ですが、ご案内のとおりですが、本年12月1日に被用者保険の加入者約7,700万人の保険証の有効期限が切れます。これにより、発行済みの保険証が全て有効期限の満了を迎えることになります。被用者保険の加入者についても、8月以降、順次有効期限の満了を迎えている国民健康保険等と同様に、有効期限切れに気づかないまま、従来の保険証を持参して医療機関等を受診されることが当面は想定されます。したがって、加入している保険者によらず、これまでどおりの窓口負担で受診できることとする運用を来年3月末まで暫定的に行う旨を、先般、医療機関等に対してお示ししたところです。2点目ですが、12月のマイナ保険証への移行に当たっては、国民の皆様にはマイナ保険証か資格確認書で受診していただきたいと考えているので、ご指摘の暫定措置については、それらがなかった場合の医療機関等における留意事項と考えています。国民健康保険等の保険証の切替えの際と同様に、医療機関等に対して周知していきたいと考えています。お尋ねの健保組合からの照会の件ですが、暫定措置について加入者からお尋ねがあった場合には、その内容についてお答えいただきたい旨をお示ししています。その際マイナ保険証か資格確認書での受診も併せて周知いただきたいという旨を、健保組合に対してお伝えしていると聞いています。
記者:
新型コロナワクチンについて2点伺います。11月4日の大臣会見において、副反応疑い報告されていなかった心筋炎・心膜炎の事例70件について、上野大臣は、「どれが法令違反か、十分みていく必要がある」とおっしゃいました。その後の進捗を教えていただけますでしょうか。2点目ですが、予防接種健康被害救済制度におけるインフルエンザワクチンの死亡認定数が増加しています。2022年度以降、インフルエンザワクチンの死亡認定者が14名となっています。それ以前は5名でしたので、近年偏って認定者が増えています。新型コロナワクチン接種が始まった時期と増加した時期が重なりますが、14名の認定者のうち、新型コロナワクチン接種歴がある方、また、同時接種をした方の人数を教えていただけますでしょうか。
大臣:
1点目ですが、心筋炎等の診断をした医師の認識として、患者がワクチン接種を受けられたかどうかということを把握していたかどうかを正確に確認することは少々難しいと思っています。具体的にどういう確認ができるか今検討しているので、進捗状況は今のところご報告できることはありませんが、どういった方策でそれが確認できるか、もう少し考えさせていただきいと思っています。2点目の件数ですが、令和4年度以降、予防接種健康被害救済制度において、インフルエンザワクチンでの死亡認定者数は14名です。このうち、申請書類で確認できる範囲ですが、新型コロナワクチン接種歴が確認できた方は2名、同時接種をしたと確認できた方はいらっしゃらなかったということです。
記者:
1問目に関してですが、こちらは救済制度で認定された事例70名ですので、基本的には、医師がワクチンを打ったということを知って、カルテに記載があるから厚生労働省が認定しているという流れかと思いますので、なぜこの状況の中で医師がワクチン接種歴を知らなかった例があるのではないかという、その可能性があるということですが、なぜそれが発生するとお考えになるのかという点。また、2点目に関してですが、私が調べた限りですが、広島の9歳の男の子が今年、インフルエンザのワクチンで死亡認定されていますが、この子は、死亡の12日前に4回目のコロナワクチンを打っています。こういった事例もお伝えさせていただきますが、改めてしっかりとこのコロナワクチンの影響、コロナワクチンで認定された方とインフルエンザワクチンで認定された方と金額がまったく違うんです。インフルエンザの方がかなり安くなってしまうのですが、これを調べられてはいかがでしょうか。
大臣:
1点目は、ご指摘のようなケースも多いと思いますが、70件を具体的にどういうケースかということを一概には申し上げられないと思っています。市町村からいろいろな情報提供等があると思いますので、そうした情報も踏まえて検討していきたいと思っています。2点目については、事務方から報告を受けているのは今のところ私が先ほど申し上げたとおりですが、更に必要であれば、また事務的に確認させていただきたいと考えています。
記者:
新型コロナワクチンについて、2025年9月18日にワクチン問題研究会が行った記者会見において、同研究会代表理事の福島雅典氏は、「mRNAワクチンは本来の新規遺伝子治療薬としてではなく、従来型のワクチンとして審査された。それが落とし穴だった」と述べています。従来型ワクチンとして審査されたことでスルーされた審査項目は、生体内分布をはじめ計10項目に及び、現在確認されているmRNAワクチン接種による健康被害に関わるほぼ全ての審査項目が免除された形となっています。また福島氏は、「おそらくPMDAはこの問題の急所を掴んでいた。PMDAは従来型ワクチンの審査ガイドラインに基づけばそのようなデータを要求する根拠はないにもかかわらず、接種後の生体内分布のデータをファイザーに要求した。つまり、PMDAは本来必要であった審査項目が免除されたことのリスクについてはっきりと認識していた」とおっしゃっています。このPMDAとファイザーとのやりとりについて厚生労働省側で把握している詳細をご教示いただけますでしょうか。
大臣:
PMDAと個別の企業とのやりとりについては、PMDAが作成した、公表されている審査報告書に記載されているとおりだと考えています。ご指摘の項目については、試験成績の要不要を含めて検討されて、提出された試験成績等に基づいて審査されているものと承知しています。更に具体的なことが必要であれば、大変恐縮ですが、事務方に専門的にお尋ねいただければと思います。
記者:
具体的にPMDAはなぜこの生体内分布のデータを要求したのか、またこのデータはPMDAによってどのように活用されたのかということを知りたいのですが、また事務方の方にお伺いすればよいですか。
大臣:
はい。
記者:
先ほどの心筋炎・心膜炎の件ですが、基本的にこの副反応疑い報告制度というのは、ワクチンの安全性をみる上で重要な制度だと認識していますが、今回、厚生労働省の調査で70件の報告していないものが分かり、普通に考えれば予防接種法違反ではないかと思うわけですが、厚生労働省がワクチン接種歴を医師が知らなかった可能性があるということで、まるで無罪放免のようにしてしまうと、今後、医師の方も副反応疑い報告を上げなくてもいいのだというメッセージにも受け取られかねないと思いますが、この安全性の制度を機能させていくためにも、しっかりと調査するということが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
大臣:
ご指摘のとおり、この制度がきちんと動いていくことが必要ですので、そういった観点からもどういったことができるかというのを十分考えたいと思っています。

(了)