上野大臣会見概要
(令和7年11月4日(火)10:52~11:03 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にありません。
質疑
- 記者:
- 前国会で成立が見送られていた医療法改正案についてお伺いします。地域医療構想の見直しや医療DXの推進を盛り込んだ内容ですが、10月31日の日本維新の会の厚生労働部会では、3党合意で盛り込まれた病床11万床削減が入っていないことを理由に了承されなかったということです。厚生労働省としては、削減できる余剰病床の規模をどのように考え、11万床という数字をどのように位置づけているのでしょうか。
- 大臣:
- お尋ねの約11万床については、自由民主党・公明党・日本維新の会の社会保障改革に関する合意文書において記載されていますが、必要病床を超える一般病床及び療養病床の数は約56,000床、また、基準病床数を超える精神病床の数が約53,000床、これらを合計した数であると承知しています。また、この合意文書においては、病床について、地域の実情を踏まえた調査を行った上で削減を図ることといった旨の記載もあり、これは骨太の方針2025においても同様の記載です。いずれにせよ、病床削減については、地域の医療提供体制への影響や、医療機関の意向にも十分留意することが必要ですので、地域の実情を踏まえた調査を行って、その内容を現在精査しているところです。調査結果を踏まえて今後の対応等について判断していきたいと思います。
- 記者:
- いわゆるスポットワークについてお伺いします。スポットワークで働く労働者が10月29日、雇用先の企業に対して、スポットワークの直前キャンセルにかかる賃金の支払いを求めて提訴しました。厚生労働省が7月にまとめたスポットワークに関する労務管理に関するリーフレットの内容は承知していますが、改めて、スポットワークにおける事業者側都合での直前キャンセルについて、見解をお聞かせください。また、こうした直前キャンセルの問題を含めて、労働者の権利の保護という観点から、スポットワークに関する課題認識をどのようにお持ちなのか、お聞かせください。
- 大臣:
- 今言及のありましたリーフレットにおきまして、事業主の都合による直前のキャンセルは、就労のための準備を無駄にさせ、別の就労機会を見つける時間的余裕がない状態に陥らせるおそれがあります。キャンセルの期限について、時間的余裕に配慮した設定が求められる等の留意事項をリーフレットの中でお示ししています。お話のあったスポットワークにまつわるトラブルについては、労働関係法令のルールが十分知られていないことが原因となることが多いと考えていますが、使用者が労働関係法令を遵守し、労働者の保護が図られるように、労働関係法令の周知の徹底を図ることが重要であると認識していますので、引き続き、そういった観点から丁寧に対応を進めていきたいと思っています。
- 記者:
- 外国人政策をめぐって、政府が先ほど関係閣僚会議を開きました。社会保障分野では、大臣としてどのような観点を重視して政策を進めていくお考えでしょうか。また、今年の骨太方針にも盛り込まれた、外国人の社会保険料の未納防止や社会保険制度の適正な利用に向けた対策の検討状況について教えてください。
- 大臣:
- 今しがた、関係閣僚会議が行われました。我々としても、日本人と外国人が互いに尊重して、安全に、安心して暮らせる秩序ある共生社会を実現する観点から、社会保障制度の適正利用等を推進することが必要と考えています。先ほど総理からの指示におきましても、国民健康保険制度の問題や医療費の問題について特段言及がありましたので、こうしたことをしっかりやっていきたいと思います。骨太方針2025にも盛り込まれていますが、国民健康保険料の未納付防止については、外国の方の納付状況を出入国在留管理庁と共有して在留審査時に活用する仕組みについて、令和9年6月からの開始に向けて準備を進めているところです。また医療費不払いへの対応については、不払いのある外国人の情報を医療機関から収集して出入国在留管理庁と共有する仕組みについて、対象を短期滞在者から中長期在留者へも拡大し、在留審査にも活用すること等について、検討を進めています。引き続き、関係閣僚会議における議論に基づき、社会保障制度の適切な運用について、関係大臣・担当大臣とも十分協力しながら取り組んでいきたいと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンについて伺います。10月24日の審議会において、新型コロナワクチンは、委員から一切意見が出ずに「重大な懸念は認められない」と結論づけられました。この件に関し2点伺います。「重大な懸念は認められない」と判断した委員は、何人中何人ですか。2点目、福岡前大臣時代に行った調査の結果、救済制度の1,000名を超える死亡認定事例のうち700名以上が副反応疑い報告に提出されていなかった件や、予防接種法上の報告義務の対象となる心筋炎・心膜炎の認定事例197件のうち70件が報告されていなかったことが判明して初めての審議会でしたが、この情報は審議会において共有されたのでしょうか。
- 大臣:
- お尋ねの点の第1点目ですが、議決に参加された委員の全会一致で、現時点では重大な懸念は認められないと判断されたものと承知しております。2つ目の点ですが、予防接種健康被害救済制度と副反応疑い報告制度では、制度の目的や報告主体が異なっておりますので、藤江さんのご提案等もあって調査したとお伺いしておりますが、その情報は、別の目的・報告主体が異なっているということもありますので、先日の審議会には共有しておりません。
- 記者:
- 死亡認定事例ですら、7割がこの副反応疑い報告制度に報告されていなかったということが判明して、いわゆる氷山の一角の死亡事例等を見て、重大な懸念は認められないとなっているが、この報告がされていなかったということで、ワクチンの安全性、これは評価がちゃんとできていないのではないかというような可能性も感じているが、そもそもこの報告がされていないということについてはどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- 繰り返しになり恐縮ですが、健康被害の救済制度と副反応疑い報告制度では、制度の目的等が異なりますので、副反応疑い報告制度の中で、ご懸念のようなことはしっかりと審議をしてもらっていると承知しています。
- 記者:
- また、この死亡報告で言うと、副反応疑い報告2,300名ありまして、このうち2,287件、99.4%が情報不足等で評価できないということになっており、これで重大な懸念はないということになっています。情報不足等で評価できないということであれば、情報を積極的に収集して、因果関係の判断を進めるべきかと思いますが、その上で、救済制度の死亡認定事例などを反映させて、より情報を取得するべきではないかと思いますが、このままで大臣よろしいと思いますか。
- 大臣:
- 繰り返しで恐縮ですが、救済制度と副反応疑いの報告制度はあくまで制度的な目的が異なっておりますので、今ご懸念のあった点については、当然副反応疑い報告制度の中で十分しっかり、科学的知見に基づいて審議していただくということが必要と思っておりますので、ご理解いただければと思います。
- 記者:
- もう1点です、心筋炎・心膜炎の70件の未報告、これは予防接種法違反が強く疑われるかと思いますが、厚生労働省としてこれは違反であるかどうかの判断、調査など、必要性はどうお考えでしょうか。
- 大臣:
- 必ずしも70件全てが法令違反とは限らないとは思いますが、現在該当の自治体に対して、副反応疑い報告の提出、これを促すように個別に依頼をしております。10月中旬に依頼をしましたので、そうしたことを進めていきたいと考えています。
- 記者:
- 全てが違反ではない可能性もあるということですが、厚生労働省として、違反が何件あって、違反ではないものが何件あったか、細かに見ていくことが必要かと思いますが、いかがでしょうか。
- 大臣:
- そこまで分析ができていないので、どれが法令違反かそうではないかということは、十分見ていく必要はあると思っています。
(了)



