上野大臣会見概要
(令和7年10月31日(金)09:44~09:56 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からお話させていただきたいと思います。雇用統計の令和7年9月分についてです。令和7年9月の有効求人倍率については1.20倍と、前月と同水準となりました。また、完全失業率は2.6%と、これも前月と同水準となりました。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求人・求職ともに微減となる中、有効求人倍率は横ばいで推移しており、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。
質疑
- 記者:
- 介護保険サービス利用時の2割負担の対象者の拡大の議論についてお伺いします。6月に閣議決定された骨太の方針では、利用者負担の判断基準の見直し等の給付と負担の見直しに関する課題について、年末までに結論が得られるように検討するとされています。2割負担の対象者の拡大については、これまでも繰り返し議論されてきましたが、負担増につながることもあり、結論は先送りされてきました。介護費用は増え続けており、その財源の一部は、40歳以上の人が支払う介護保険料で賄われています。現役世代の負担軽減が課題となる中、年末まで約2ヶ月となる中、どのような姿勢で検討されるか、お考えをお伺いします。
- 大臣:
- 介護保険の負担についてのご質問ですが、介護保険制度の持続可能性を維持する、あるいは、サービスの質を確保するためには、高齢者の皆さんにも能力に応じて負担を求めていくことも必要かと思います。給付と負担のバランスを図るということが重要だと思っていますが、ご指摘の見直しに関しては、利用者負担が2割負担となる所得の判断基準などを含めて、10月27日の介護保険部会において議論いただいたところです。本年6月の骨太の方針においては、給付と負担の見直しに関する課題について、2025年末までに結論が得られるよう検討するとされているので、引き続き、介護保険部会等において、様々なご意見があるのでそれをしっかりと承りながら、年末までに結論が出せるように丁寧に検討を深めていきたいと思います。
- 記者:
- マイナ保険証関連で質問です。従来型の保険証の新規発行が昨年12月に停止し、その後1年間は使えるとした経過措置が今年の12月1日に終了します。今からおよそ1ヶ月後に、マイナ保険証を基本とする仕組みへと本格的に移行することとなりますが、利用率は9月末時点で35.6%でした。移行前後は、期限を知らない人などの対応で医療機関窓口の負担も増えることも考えられますが、厚生労働省として国民にどのように周知していくのでしょうか。マイナ保険証の推進により、どのような効果が期待されるのかも併せてお願いします。
- 大臣:
- マイナ保険証については、確実かつ電子的な本人確認ができるわけですが、それと同時に本人の健康・医療情報を活用したより良い医療の提供に大きく寄与するものだと考えています。こういったメリットを享受していただけるよう、マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行を進めているところです。本年12月には、主として被用者保険についての保険証の切替えが行われるわけですが、これにより発行済みの保険証が利用できる経過措置が全て終了ということになります。引き続き患者の皆様が円滑に医療機関等を受診できることがやはり重要ですので、しっかり対応を進めていきたいと思います。7月末に多くの自治体で国民健康保険の保険証の切替えが行われました。その際、大きな混乱は特段なかったと認識していますが、12月においても混乱が生じることがないよう、医療機関の受診時にはマイナ保険証か資格確認書をご持参いただくことなど、受診方法等について更なる周知徹底に努めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 新型コロナワクチンについて質問します。上野大臣は10月22日の就任会見にて、「次なる感染症危機への対応に万全を期す」とおっしゃっていますが、新型コロナワクチンが現状引き起こしている2,300件にも上る死亡事例という空前絶後の健康被害、しかもそのうち2,286件が評価不能であるという事態について、総括、反省することが先ではないでしょうか。大臣がおっしゃるように万全を期すために具体的にどのような準備が必要であるとお考えでしょうか。また、高市総理大臣は10月24日の所信表明演説において、「攻めの予防医療を徹底する」とおっしゃっています。改めて「攻めの予防医療」という言葉の定義を教えてください。
- 大臣:
- 新型コロナワクチンの接種については、当時の科学的知見も踏まえ、審議会で議論を行い、適宜接種対象等の見直しが行われてきたものと承知しています。また、ワクチンの安全性については、審議会において、副反応疑い報告制度等に基づいて報告されたものを全例評価しており、現時点で重大な懸念は認められないと評価されているところです。感染症危機への万全な対応ということですが、内閣感染症危機管理統括庁等とも連携しながら、政府行動計画に基づく取組を着実に進めることが重要であると認識しています。進捗状況のフォローアップ等を通じて、次なる感染症危機に万全を期してまいりたいと考えています。次に、「攻めの予防医療」についてご質問いただきました。健康寿命の延伸を図って、皆が元気に活躍していただいて、社会保障の担い手になっていただけるように取り組むということは重要であると考えています。がん検診の推進や歯科健診の充実等により一層取り組む必要があると認識しているところですので、そうした方向性でしっかり頑張っていきたいと思っています。
- 記者:
- 攻めの予防医療というコンセプトの中には、ワクチン政策というのももちろん入っているという理解でよろしいでしょうか。
- 大臣:
- 総理のおっしゃっている攻めの予防医療について、具体的にどのように進めるかというのは今後検討していきたいと思っていますが、主として今申し上げたように、がん検診の充実や歯科検診の充実といったことを念頭に置いているところです。
- 記者:
- 攻めの予防医療という言葉の中にワクチン政策も入っているという前提ですが、高知大学教授でワクチン問題研究会の会員の佐野栄紀氏は、mRNAワクチン自体が攻めの予防医療そのものであるが、現状それは国民を攻めるものとなっているとおっしゃっています。この指摘について、お考えをお聞かせいただけますでしょうか。
- 大臣:
- 今のご指摘については、今初めてお伺いしたので、事務的にお返事をさせていただければと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの異物混入ロットについて伺います。高市総理は、2021年9月に「1回目を受けたとき、異物入りのワクチンで、相当長い間不調に悩まされました」と公言されています。この2021年9月というと、モデルナ社の異物混入が確認されたロット、また同時期に同一設備で製造されたロットの回収がありました。改修前に当該ロットを打った30歳男性が接種3日後死亡、38歳男性が接種3日後死亡、49歳男性が接種翌日死亡など、複数の死亡事例が公表されています。4年が経過した今、異物混入ロットと健康被害の因果関係の検証、被害者の救済措置などはどのような進捗状況でしょうか。また予防接種健康被害救済制度の認否において、当該ロットを接種した事例ということは特段の考慮等はされているのでしょうか。
- 大臣:
- お尋ねのモデルナ社のワクチンについては、2021年の審議会で副反応疑い報告状況を評価しています。回収されたロットについて、他のロットと比べて明らかな報告頻度の増加はみられず、死亡例についても、因果関係が否定できないとされた症例はなかったことが確認されています。その後、回収されたロットにおける死亡例は報告されていません。審議会においては、これらの副反応疑い報告も含めて得られた安全性の情報について全例評価しており、現時点でワクチンの安全性にかかる重大な懸念は認められないと評価されているところです。また、予防接種健康被害救済制度においては、特定のロットのワクチンを接種されたかまでは考慮せず、あくまで、健康被害が予防接種を受けたことによるものかどうかに着目して審査を行っているものと承知しています。
- 記者:
- 先ほど大臣は、異物混入ロットを打った方の死亡事例について、因果関係が否定できないものはないとご説明されましたが、確認ですが、情報不足で評価できない、分からないという状況かと思いますが、そのような見解でよろしいでしょうか。因果関係がないと判断されたわけではないと承知していますが、よろしいでしょうか。
- 大臣:
- 情報不足等により評価できないものであったということです。
- 記者:
- そうしますと、4年経っても異物混入という明らかに回収もされているわけですから異常を感じているかと思いますが、こういったものがまだ情報不足で評価できないという状況が続いていますが、大臣はこの現状のままで良いと思うのか、より詳細な情報を集めて検証されるべきと考えるか、いかがでしょうか。
- 大臣:
- 少し専門的な話になるので、大変恐縮ですが、事務方にご確認いただいてお返事とさせていただきたいと思います。
- 記者:
- 大臣の見解をお伺いしているのですが、4年間評価不能のまま、この30歳の基礎疾患のない方、そういった方が複数お亡くなりになっていて、このままでいいのか、もっと検証が必要かどうか、どうお感じになっていますか。お答えいただけますでしょうか。
- 大臣:
- 大変恐縮ですが、個別の事例を全て詳細に私も現段階で承知しているわけではありませんので、その点に関しては事務方からお返事させていただきたいと思います。
(了)



