上野大臣会見概要
(令和7年10月28日(火)08:39~08:49 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私から1点ご報告させていただきます。本日の閣議で、令和7年版過労死等防止対策白書が決定されました。本白書は、過労死等防止対策推進法に基づき、毎年、国会に報告しております。今回の白書では、過労死等の現状に加え、近年の過労死等の労災請求件数等に関する傾向の分析、過労死等が多く発生している業種等の労災認定状況、外食産業で働く労働者へのアンケート調査結果などを報告しています。引き続き、過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会を実現するという使命感をもって、過労死等の防止のための対策に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
質疑
- 記者:
- 先般首相から指示があった労働時間規制の緩和の検討について伺います。過労死等防止対策白書でも、働き方改革の施行後も過労死等が減らない現状が明らかになっています。労災認定状況や過労死事案の件数が改善されない中で規制緩和を検討することに、過労死遺族などからは批判の声が上がっています。こうした指摘をどう受け止めていますでしょうか。また、高市首相は24日の所信表明演説で労働時間規制について触れませんでしたが、このことをどのように受け止めているでしょうか。労働施策を所管する大臣としてのお考えをお聞かせください。
- 大臣:
- 労働時間規制については、先日の総理の所信表明の中では触れられていません。一方、大臣就任に当たっては、総理から、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行い、働き方改革を推進するとともに、安心して働くことができる環境を整備するという指示があったところです。前回申し上げましたが、労働時間規制については、様々なご意見があることは承知しています。誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や、上限規制は過労死認定ラインであることも踏まえて、検討する必要があると考えていますので、今後、総点検として働き方の実態やニーズを把握した結果を精査しつつ、検討を深めていくものと考えています。
- 記者:
- 今の労働時間規制の緩和に関連してお伺いします。前回の会見で大臣は、上限規制の他にもフレックスタイム制や休憩・休日など様々な制度があるとご指摘されました。制度が多岐にわたるのはそのとおりだと思いますが、具体的にフレックスの何をどう変えるのか、休憩・休日をどう変えるのか、議論をする上で何を念頭に置いているのか教えていただけないでしょうか。それから、昨日の審議会でも労使の意見は平行線となっており、この点どのように意見集約を図っていくお考えか教えてください。
- 大臣:
- 1点目については、様々な論点があろうかと思いますので、そうしたものを審議会等で十分深めていただければと思っています。2点目については、当然いろいろなご意見があるので、その中でしっかり議論を深めていただくことが大事だと思っています。
- 記者:
- 新型コロナワクチンについて伺います。10月24日に開催された審議会において、新たな副反応疑い死亡報告等が公開されました。これまでの死亡報告数の合計と、製薬メーカー別の内訳を教えていただけますでしょうか。また、死亡報告のうち、因果関係の評価の内訳を教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- お尋ねの死亡報告のこれまでの件数については、審議会における報告を含めて、合計2,299件となっています。ご質問のあった製造販売業者ごとの内訳ですが、ファイザーが2,012件、モデルナ・ジャパンが269件、第一三共が9件、Meiji Seikaファルマが3件、武田薬品工業が6件となっています。また、その2,299件のうち、「因果関係が否定できない」とするα判定が2件、「因果関係が認められない」とするβ判定が11件、「情報不足等により因果関係が評価できない」とするγ判定が2,286件となっています。
- 記者:
- そうしますと、計算しますと99.4%以上が評価不能となっているということになります。一方で、前回の大臣会見において上野大臣は、この副反応疑い報告は全例評価されているとおっしゃいました。これは矛盾しないのでしょうか。
- 大臣:
- 全例を評価した上でそのような判定になっているものと承知しています。
- 記者:
- では、情報不足で評価できないものが99.4%以上ある。これは接種から4年以上経った今もそういう状況ですが、大臣はここに問題意識をお持ちでしょうか。
- 大臣:
- ワクチン接種後の副反応疑い事例の因果関係については、必要な情報を収集した上で評価を行っているところですが、その症状が偶発的なものなのか、それともワクチンに起因するものなのか、その判断というのは極めて難しいものだと思います。そういったこともあって、評価不能とされることが多いものだと承知しています。一方、評価不能となった事例も含め、審議会において、集団としてのデータを系統的に検討していくという方針の下で安全性の評価に取り組んでおり、必要な安全対策などは行ってきているものだとは承知していますが、更なる詳細については、事務方にお尋ねいただければと思います。
- 記者:
- 医療機関の経営状況について質問します。昨日の社会保障審議会医療部会で、医療法人立の医療機関の令和6年度の経営状況が報告され、8月末集計の速報値で、例えば病院の経常利益率は平均値でマイナス0.2%などと報告されて、病院、診療所ともに昨年度より悪化していました。医療関連の団体の調査でも同じような厳しさが伝えられていますが、今回の調査結果の受け止めを伺います。また関連して、高市首相が所信表明演説で、経営難が深刻化する医療機関や介護施設への支援の必要性に言及されています。演説では、報酬改定の時期を待たずに、経営改善や従業者の処遇改善につながるものという言及もありましたが、具体的にどのような内容で経済対策を打つのか、また緊急経済対策の規模や現場に届くスケジュール感など、現時点での見通しがあれば教えていただきたいと思います。
- 大臣:
- 医療機関の経営状況については、昨日の審議会において、ご指摘のとおり報告されているところですので、引き続き厳しい状況にあると認識しています。これまで一定の措置が講じられてきたところですが、依然として物価高騰などの影響があると受け止めているので、先日の経済対策に関する総理の指示も踏まえて、医療分野等について、職員の方々の処遇の改善や経営の改善を支援していきたいと考えています。経済対策・補正予算に必要な施策を盛り込んでいきたいと考えていますが、その具体化については、現在検討中ですので、十分様々な状況を踏まえた上でいろいろなことを判断していきたいと思っています。
- 記者:
- 労働時間規制をめぐる政策についてですが、現在世間では、政策をめぐって推測や憶測がかなり広がっているところもあり、期待を示すものもあれば、不安を懸念するものもあり、こうした上で政策の方向性を示すというところの目途はたっているのでしょうか。
- 大臣:
- 先ほど申し上げたとおり、労働時間規制については、当然様々なご意見があり、今審議会の方でも十分議論していただいているところですので、方向性といいますか、そのようなものについては審議会等の議論を踏まえた上で出されていくものだと思っています。
(了)




