上野大臣会見概要

(令和7年10月22日(水)14:35~14:57 省内会見室)

広報室

会見の詳細

質疑

記者:
この度は就任おめでとうございます。幹事社からまずは1問質問させていただきます。日本維新の会との連立についてです。日本維新の会は現役世代の社会保険料引下げを掲げて、今回の連立に当たっても社会保障改革を絶対条件としてきました。一方で昨今の物価、賃金の上昇から医療・介護現場からは報酬を引き上げる声が高まっています。来年度には診療報酬改定を迎えます。報酬引上げは保険料負担の増大につながり得ますが、維新の保険料引下げの主張とどのように整合性を図って、どのようなスタンスで社会保障改革と診療報酬改定、医療・介護現場の支援に取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。
大臣:
ご指摘いただいた社会保障改革については、自民党と日本維新の会の連立協議の中で、いわゆる医療法に関する三党合意書、また、骨太方針に関する三党合意書に記載されている医療制度改革の具体的な制度設計を令和7年度中に実現する、社会保障全体の改革を推進することで、現役世代の保険料率の上昇を止めて引き下げていくことを目指す、また、社会保障改革に関する両党の協議体を定期開催する、そうしたことが合意されているものと承知しています。私も内閣の一員として、この合意事項を真摯に受け止めながら、与党とよく連携して適切に対応していきたいと思っています。また、その合意書の中にも書かれていますが、医療機関あるいは介護施設等は、今お話があったとおり、物価高騰などの厳しい状況に直面しているので、現場からは報酬の引上げを求める声もいただいているところです。現在、賃金の上昇によって保険料率が変わらなくとも保険料収入は増加するという状況にあることも踏まえながら、現役世代の保険料負担の抑制努力を継続しつつ、次期診療報酬改定をはじめとした必要な対応についても、丁寧に議論を重ねて取り組んでいきたいと考えています。
記者:
働き方に関連するお話を伺います。働き方改革法の5年後見直しで、現在、厚生労働省の審議会で議論がなされていて、自民党では人手不足や国際競争力を増すという観点から労働時間を伸ばす方向の「働きたい改革」を掲げています。総理からも、心身の健康維持や従業員の選択を前提とした労働時間規制の緩和を検討するような指示があったということですが、大臣として働き方改革の見直しについて、どのような姿勢で臨まれるのか、お考えをお聞かせください。
大臣:
働き方改革については、関連法の施行から5年以上経過していることを踏まえて、現在、労働政策審議会において、労働基準関係法制に関する議論を行っています。また、骨太の方針等においても、5年後の総点検を行うこととされているので、現在、働き方の実態やニーズを把握するための調査を実施しています。この度、私が大臣を拝命するに際して、総理からも、心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行う、また、働き方改革を推進するとともに、安心して働くことができる環境を整備するという指示がありました。労働時間規制については、様々な声があることは承知しています。誰もが働きやすい労働環境を実現していく必要性や、上限規制は過労死認定ラインであるということも踏まえて検討する必要があると考えています。いずれにしても、労働基準関係法制の見直しについては、昨日の総理からの指示も踏まえて、今後、総点検の結果を精査しながら、審議会で議論を深めてまいりたいと考えています。
記者:
従業員の選択を前提にした労働時間規制の緩和ということですが、例えば突然死する、あるいは精神疾患になるという可能性を具体的に考慮して労働時間の選択をしているということは少ないと思われ、検討には慎重さも求められると思いますが、大臣としてはいかがお考えでしょうか。
大臣:
そうした観点も踏まえて、十分に議論を深めることが必要だと思っています。
記者:
冒頭の幹事質問の関連でお伺いします。自民党と日本維新の会の連立政権の合意書に記載されたOTC類似薬への保険給付の見直しについて、OTC類似薬をめぐっては6月に自民、公明、維新の3党でこどもや慢性疾患患者、低所得者に配慮した上で見直しを検討する旨が合意されています。この改革は現役世代の保険料負担の軽減策として語られていますが、こどもらを対象外にした場合、現役世代の保険料負担の上昇を抑えられるかもしれませんが、保険医療でアクセスできる薬が減るのでかえって負担増になるのではないでしょうか。また、大臣はOTC類似薬の保険給付の見直しについて、現役世代の負担軽減につながるとお考えでしょうか。
大臣:
今お話のあったOTC類似薬の保険給付の在り方の見直しについては、骨太の方針2025において、「2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026年度から実行する。」こととされています。また、連立政権の合意書においても、「『骨太方針に関する三党合意書』に記載されている医療制度改革の具体的な制度設計を令和7年度中に実現しつつ、社会保障全体の改革を推進する」と記載されています。また、見直しの検討に当たっては、今ご指摘があったように骨太の方針でも、「医療機関における必要な受診を確保し、こどもや慢性疾患を抱えている方、低所得の方の患者負担などに配慮」しつつ検討することとされているので、社会保障審議会医療保険部会において、そうした観点を十分に踏まえながら丁寧に議論を深めていきたいと考えています。
記者:
維新との合意文書の関連で伺います。合意文書の中では、社会保障改革に関して、自民と維新の協議体を定期開催するとしていますが、今後社会保障関連の政策の立案に当たって、自民と維新でやっていくということはこの合意書を見れば分かりますが、連立を離脱した公明党や、立憲民主党などの他の野党の意見をどのように反映させていくお考えでしょうか。また、高市総理は総裁選中に、社会保障改革に関する国民会議の設置も訴えてこられたかと思いますが、この国民会議の必要性や今後の設置に向けた検討の状況などについて、現時点で伺えることがあればお願いします。
大臣:
1点目ですが、自民党と日本維新の会の協議体を定期開催するということとされていますので、その状況を十分に踏まえて、政府としても対応していくことが必要だと思っています。いずれにしても、幅広い方々のご意見をお伺いするということは大事だと思うので、そうした観点も踏まえて、今後具体的なことを議論していく必要があるのではないかと思っています。定期開催については、協議体については自民党と日本維新の会ということですので、そこはしっかり我々もそうした動きをフォローしながら取り組んでいきたいと思っています。2点目は、総理からそのようなお話があるとは伺っていますが、具体的には今後の議論ということになるかと思います。
記者:
連立政権合意書に関連して3点ご質問させていただきます。まずは確認ですが、物価高騰に伴う病院と介護施設の経営状況を好転させるための施策を実行すると記載されましたが、ここでいう病院とは医科と歯科の診療所を含む全ての医療機関が対象となるという理解でよいでしょうか。また、首相が総裁選で発言された診療報酬の期中改定などを行う予定があるのかということをお聞きしたいと思います。また最後に、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しについて、合意書の中で「具体的な制度設計を令和7年度中に実現する」と記載されており、骨太の「早期に実現可能なものは26年度から実行する」という記載内容と異なるように思いますが、現在、医療保険部会でOTC類似薬の保険除外について、反対もしくは慎重な検討を求める意見が出されており、患者団体と協議が必要だという意見も出されていますが、検討方法やスケジュールなどについて、骨太の方針以降、変更はないのでしょうか。
大臣:
1点目ですが、政党間の合意文書ですので、具体的な文言について、恐縮ですが、私からコメントすることは控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、合意事項は真摯に受け止めて、与党とよく連携しながら今後の対応を進めていきたいと思います。2点目の期中改定ですが、いずれにしても、必要な対応については今後検討していくということになろうかと思いますので、現段階で確定的なことはなかなか申し上げられないと思います。3点目ですが、これについては、骨太の方針2025においても、「2025年末までの予算編成過程で十分な検討を行い、早期に実現が可能なものについて、2026年度から実行する」こととされているので、社会保障審議会の医療保険部会において議論を開始しています。様々なご意見を頂いたと承知していますので、引き続き、連立合意も踏まえて、丁寧な議論を進めさせていただきたいと思います。
記者:
薬価に関してお伺いします。大臣はご自身のホームページでも、自身の政策として、「物価に連動した薬価の見直し」ということを掲げておられますが、高市政権としても、物価・賃金の上昇に応じた医療機関への対応として公定価格の引上げを打ち出しているかと思うのですが、今回大臣として、薬価に関しても物価と連動した見直しを行うのかどうか、あるいは、現状の薬価制度に対する課題認識などがあれば教えてください。
大臣:
昨今の物価高騰の中で、薬価については、不採算品再算定により、原材料費や製造経費などの直近の原価等に基づく引上げが実施され、令和7年度薬価改定においても、物価上昇等を総合的に勘案して、最低薬価の引上げ等の必要な対応が行われたと承知しています。令和8年度の薬価制度改革については、骨太の方針2025において実施することとされた国民負担の軽減と創薬イノベーションを両立するといった観点での薬価上の適切な評価に加え、従来からの課題であった安定供給の確保等を論点として、中央社会保険医療協議会において議論しているところです。引き続き、物価高騰への対応も含めた薬価改定の在り方については、関係する業界のご意見も伺いながら丁寧に検討を進めていきたいと思います。
記者:
医薬品の関連で政府は創薬力向上のための官民協議会を設置して検討を進めてきました。上野大臣は創薬力の向上や医薬品の安定供給に、どのように手腕を発揮していくかお聞かせください。
大臣:
ドラッグ・ロスの解消や、医薬品産業の国際競争力の強化のためにも、創薬力の強化が大変重要だと考えています。今お話のあった官民協議会が設置されて、その下のワーキンググループにおいて具体的な対策についての議論が進められていると承知しています。私としては、これまで、現場の企業や経済団体あるいは患者団体から、いろいろな必要性についてご意見を頂戴していますので、そうした経験を踏まえながら、今後も丁寧に議論を深めて、創薬力向上についてしっかり頑張っていきたいと思っています。
記者:
補正予算についてお聞きします。昨夜の会見で高市首相は、医療機関や福祉施設の経営難に触れながら、診療報酬改定の時期を待たずに経営の改善と労働者の処遇改善につながる補助金を前倒して措置すると述べました。補正でこの分野で対策を打つ意義と、対策の具体化に向けてどのように検討を進めていくかお聞かせください。
大臣:
総理から3本柱の具体的な指示を頂戴しており、厚生労働省としては特に、1つ目の柱である生活の安全保障、物価高への対応、それから2つ目の柱である危機管理投資と成長投資による強い経済の実現、この2つの柱に沿って具体的な政策を今検討していますので、積極的に、必要な施策については補正予算の中に盛り込めるように努めていきたいと思っています。
記者:
今、経営を逼迫するという状況でいろいろな病院のうち7割は、という話も高市さんも述べてらっしゃいましたが、この分野で今対策を打つ意義について、大臣からどのように思うかお聞かせいただければと思います。
大臣:
物価高により経営が非常に厳しいというのは前々から承知していますので、それについても、しっかりと何らかの対応を検討する必要があると思っています。
記者:
旧統一教会をめぐる問題の関係でお尋ねします。過去に、大臣の寄附金管理団体が統一教会の関連団体に会費を支出していた旨が報じられています。解散命令請求については、東京高裁が来週にも判断を示す見通しで、国民の関心も高いと思われますので、現時点において、献金やパーティー券購入、選挙応援、イベント出席など、統一協会側と何らかの関わりがありましたら教えてください。
大臣:
現段階において、統一教会の皆さんと何らかの関わりがあるとは承知していません。関係ありません。
記者:
医療機関経営を取り巻く現状に対する認識と、必要な対策について考えがあればお聞かせください。
大臣:
先ほどからもお話にもあるとおり、物価高騰に直面しており、医療需要の急激な変化などの厳しい状況もあると承知していますので、これまで診療報酬改定や補正予算等で一定の措置が講じられてきましたが、依然として厳しい状況があるかと思います。今後、骨太の方針2025も踏まえて、現在の施策の効果を把握しながら、経営の安定や現場で働く方々の賃上げに確実につながるよう、必要な対応を行っていきたいと思っています。
記者:
労働時間規制の緩和のことでの質問です。先ほど大臣は、様々な声があると承知しているという発言でしたが、過労自殺などによりご家族を亡くした方からは、現行の上限規制では不十分で、より規制強化が必要という声がありますが、そのような意見に対しての大臣の見解を伺えないでしょうか。
大臣:
そうした声もこれから十分踏まえて、先ほど申し上げたような検討を進められるように努力していきたいと思っています。
記者:
働き方改革の見直しについてですが、施行前の2019年から、団体から党内等でもいろいろ議論が尽きないで、今もご意見がかなり分かれるところだと思います。大臣自身の問題意識を、このような時間規制等も含めて働き方改革に現状での課題感や感じていることがあればお聞かせください。
大臣:
様々な課題があり、自民党党内でもいろいろな意見があると承知しています。そのことを踏まえて、総点検等を実施していくということですので、そうした中で議論が進展していくと思っていますし、その中で私自身のいろいろな考えについてもまとめるように努力していきたいと思っています。

(了)