福岡大臣会見概要

(令和7年10月17日(金)10:44~10:59 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について

大臣:
私からは特にありません。

質疑

記者:
23年度の国民医療費の総額は48兆円と3年連続で過去最大を更新しました。昨日の医療保険部会ではOTC類似薬についてなど負担の在り方について各論の議論が始まりましたが、制度の見直しには誰かの負担増が伴い、議論では様々な立場からの意見が飛び交いました。持続可能な保険制度のために、大臣としてどのようなメッセージで見直しに理解を求めていきたいか、教えてください。
大臣:
誰もが安心して医療を受けることができる国民皆保険制度を次世代にも継承していくことが大変重要だと考えており、人口構造の変化や人口減少、物価や賃金の上昇などの社会・経済環境の変化に応じた必要な改革を積み上げていくことが必要であると考えています。このため、年齢に関わらず負担能力に応じて皆が支え合う全世代型社会保障の構築に向けて、一昨年末に取りまとめた改革工程や、本年6月の骨太の方針2025等も踏まえて、現在、社会保障審議会医療保険部会においてご議論いただいているところです。引き続き、幅広い世代の制度への納得感と制度の持続可能性を高めていくことができるよう、医療保険部会におけるご議論も踏まえた上で検討を進めてまいりたいと思います。
記者:
労働者協同組合法の施行から3年が経ち、法人化した組織もかなり数が増えて広がってきています。労働者協同組合の今後の活動への期待と、農業界への協同組合の意義について、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣:
議員立法で制定された労働者協同組合については、本年10月に法施行後3年が経過し、36都道府県で計168法人まで増えていると承知しています。各地域において、多様な働き方や人材の活躍だけでなく、地域の課題解決や価値創造を実現しているものもあり、今後更なる広がりと発展を期待しているところです。ご指摘のあった農業分野においては、高齢化や担い手不足が進む中で、地域の仲間とともに、耕作放棄地の再生や6次産業化などに取り組む組合があるなど、地域資源を生かした持続可能な農業の実現に貢献し得ると考えているところです。今後とも、関係府省や自治体と連携しながら、労働者協同組合の普及に努めてまいりたいと考えています。
記者:
消費税の補塡についてお伺いします。10月8日の中医協総会で、診療報酬による消費税補塡分の集計に誤りがあったことが報告されました。集計の誤り自体重大ですが、このことは控除対象外消費税への対応として、診療報酬で補塡するというやり方自体の限界を示しているのではないでしょうか。ゼロ税率の適用を含め、診療報酬の補塡以外の抜本的対応を検討すべきではないでしょうか。また、修正後のデータでは、令和4年度分において、医科・歯科ともに補塡率が100%を下回っています。令和6年度の診療報酬改定では消費税分が上乗せされていないため、補塡不足になっており医療機関、特に病院を中心に窮状を招いていると思います。次回改定を待たず、早急に診療報酬の上乗せなどの手当が必要ではないでしょうか。
大臣:
10月8日の中医協において、令和2年度から4年度における消費税負担の補塡状況について、過去に公表した数値の修正を行ったところです。この点については、私からもお詫び申し上げます。今回修正した補塡率調査結果においては、全体補塡率が、令和3年度は102.2%、令和4年度は98.9%であったという修正後の結果などが示されたところですが、これについては、中医協の場において、診療側及び支払側から様々なご意見があったと聞いており、引き続きこの点についてはご議論いただくものと考えています。また、ご指摘のあったゼロ税率を導入することについては、社会政策的な配慮に基づき非課税とされているその他のサービスへの影響や消費税還付による国の財政状況への影響といった課題があると考えているところです。
記者:
自民党は来週21日に首班指名選挙を実施する方針を示しており、その場合は、高市総裁のもとで新政権が立ち上がる公算が大きくなっています。大臣は昨年の石破政権の発足時に就任されて1年が経ちましたが、通常国会での高額療養費制度の見直し案や年金法案をめぐる議論の紛糾など、少数与党の中でこれまでにない議論の難しさを経験されたかと思います。この1年をどのように振り返られるでしょうか。また、現在の厚生労働行政や社会保障政策の議論の在り方について、どのような課題感を抱かれているかについてもお伺いします。
大臣:
この1年、前の国会における年金制度改正法の成立をはじめとして、これまで同様、社会保障制度を持続可能なものにしていくための改革に取り組んできたところです。また、高額療養費制度の見直しに当たっては、患者団体や保険者などからヒアリングを行うなど、関係者からご意見を伺いながら、丁寧に議論を行っているところです。本格的な少子高齢化・人口減少時代においても持続可能な社会保障制度を構築するにあたり、少数与党として国民の皆様のご理解を得ていくには、より丁寧な議論と説明が求められていると感じています。引き続き、そういった観点で諸課題に全力で取り組んでまいりたいと考えています。
記者:
社会福祉施設における安全確保についてお伺いします。埼玉県鶴ケ島市の老人ホームで15日、入所者2人が死亡する事件があり、元職員の男が逮捕されました。厚生労働省では、2016年に起きた神奈川県相模原市の障害者施設での殺傷事件を受け、社会福祉施設における防犯体制の構築や強化などを求める通知を同年に発出しました。通知では、元職員などによる不正侵入を防ぐため対策を講じることも記されていましたが、今回の事件をどのように受け止めるか、さらに、社会福祉施設への対策を呼び掛けるなど、お考えをお聞かせください。
大臣:
埼玉県鶴ヶ島市の介護付き有料老人ホームにおいて発生した痛ましい事件について、お亡くなりになられた方々のご冥福を心からお祈り申し上げるとともに、ご遺族にお悔やみを申し上げます。この事件を受け、外部からの不審者の侵入に対する危機管理の観点から、昨日自治体に対して、防犯に係る安全の確保に資すると考えられる点検項目をお示しした通知を改めて周知、もともと平成28年9月に通知を出していたところの点検項目について、昨日改めて通知を発出したということであり、そういったことで入所者等の安全確保に努めるよう、社会福祉施設等への注意喚起を依頼させていただいたところです。現時点では事件の詳細が不明であり、個別の事案の受け止めについてお答えすることは差し控えさせていただきますが、引き続き、入所者の方々に社会福祉施設などで安全にサービスを利用していただけるよう、必要な対応に万全を期していきたいと考えています。
記者:
9月26日の会見において、終わり次第報告するとおっしゃっていた心筋炎・心膜炎の救済制度の認定事例の突合調査の結果は出ましたでしょうか。調査がお済みでしたら結果を教えていただけますでしょうか。
大臣:
予防接種健康被害救済制度における心筋炎又は心膜炎による認定571件と、副反応疑い報告における心筋炎又は心膜炎での報告806件について、氏名・住所・生年月日・性別の4情報で突合を行いました。その上で、心筋炎又は心膜炎による副反応疑い報告が義務づけられた令和3年12月6日以降に健康被害救済が認定されたもののうち、報告基準に該当する、接種後28日以内の発症又はそれにより死亡したもので、副反応疑い報告の提出が確認できなかったものは70件ありました。該当の事例があった自治体に対しては、副反応疑い報告の提出を医療機関へ促すよう依頼を行ったところであり、引き続き様々な機会を捉えて、副反応疑い報告制度について周知を行ってまいりたいと思います。
記者:
確認ですが、この70件は予防接種法の報告義務に違反したものと捉えてよろしいでしょうか。
大臣:
法令上、お医者さんなどは定期の予防接種を受けた者が法令に規定する症状を呈していることを知ったときに、副反応疑いとして報告する義務があることから、今回該当の事例があった自治体に対して、副反応疑い報告の提出を医療機関へ促すよう個別に依頼を行ったところです。なお、心筋炎などの診断書を書いたお医者さんが、患者さんがワクチン接種を受けたことを把握していない場合に、当該医師には副反応疑い報告の提出義務は生じないことから、70件全てが直ちに法令違反に当たるとは考えていません。
記者:
分かれば教えていただきたいのですが、2021年12月6日に追加になっていますが、報告追加以前の認定事例と、追加後の認定事例の数は承知してらっしゃいますか。
大臣:
それについては今手元に数字を持っていませんので、確認してご報告します。
記者:
新型コロナワクチンについて質問します。2025年10月8日、カナダが国家ベースで承認している機関である先住民族連合国際法廷が、1989年の生物兵器テロ対策法や、カナダの2004年の生物・毒素兵器禁止条約実施法などにおいて定められた基準を満たすとして、mRNAナノ粒子製剤、mRNAワクチンは事実上、生物学的・技術的大量破壊兵器である旨の宣言を出しました。また、ワクチン問題研究会代表理事の福島雅典氏は、接種した人が一生を棒に振るようなワクチンを作る必要はない、ワクチンと称するmRNA脂質ナノ粒子製剤はただの毒物・薬でもないし治療薬でもない、人工的に作られた疑似ウイルスで生物兵器と言って良い、これをワクチンと呼び、ワクチン接種を扇動した者たちの罪は重く責任を問われるべきである、また今の段階できちんと反省し、mRNAワクチンの負の側面をきちんと研究すべきである旨を指摘しています。mRNAワクチンは生物兵器であるという見解を福岡大臣はどう受け止めるのか、ご教示ください。
大臣:
mRNA-LNPを用いた新型コロナワクチンについては、PMDAにおいて、例えば、生体内分布に関する非臨床試験の結果を評価するなど、mRNAという新規技術に対応した審査が行われ、有効性及び安全性を確認した上で薬事承認したものであり、厚生労働省としては、mRNAワクチンがご指摘のあったような生物兵器に当たるとは考えていません。なお、国際先住民族同盟の国際法廷が宣言を出したとの報道については承知していますが、この国際先住民族同盟の国際法廷については、国連の主要な司法機関である国際司法裁判所や国際刑事裁判所とは全く別の組織であると承知しています。
記者:
福島氏は、DNAを使う技術は全て生物兵器につながる技術だとおっしゃっています。仮に、政府が今後もmRNA技術開発を継続していくのであれば、ベネフィットに対する想定されるリスクは全てカウントし、それが現実のダメージやロスとならないようにしなければならないと思いますが、その点についていかがでしょうか。
大臣:
先ほども申し上げたように、新型コロナワクチンについては、PMDAの審査及び審議会において有効性及び安全性を確認した上で薬事承認しています。承認後の安全性評価についても、審議会において医療機関等から報告があったワクチン接種後の副反応疑い報告を全例評価しているところです。審議会においては、その時点で得られている情報や科学的知見に基づいて常時検討を行い、その上で、必要に応じて適切な措置を講じていると考えています。

(了)