福岡大臣会見概要
(令和7年10月14日(火)11:25~11:36 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にありません。
質疑
- 記者:
- 帝国データバンクの調査によれば、今年上半期の企業倒産件数は12年ぶりに5,000件を超えました。物価高や賃上げへの対応に限界を感じて事業継続を断念する中小企業が目立つ結果になった一方で、今月からは最低賃金の改正が各都道府県で始まっています。倒産件数が高水準になったことへの大臣の受け止めと、こうした実情を踏まえた上で、今後の賃上げの在り方について大臣としてのご意見を教えてください。
- 大臣:
- 今ご指摘のあった帝国データバンクの調査については承知しています。厚生労働省としては、雇用などに与える影響について引き続き注視しながら、必要に応じて、ハローワーク等を通じた求職者や事業主の支援を実施していきたいと考えています。その上で、最低賃金の引上げを含めた賃上げについては、今年度の最低賃金の引上げの影響の把握に努めながら、企業が賃上げの原資をしっかりと確保できるように、適切な価格転嫁と生産性向上支援によって、中小企業や小規模事業者が賃上げしやすい環境整備に引き続き取組を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 医療機関や介護施設への経営支援についてお伺いします。先週、公明党が自民党との連立からの離脱を表明するなど、新政権の発足に向けた調整が難航しています。補正予算の年内成立には日程の猶予のない状況ですが、野党との協力関係や臨時国会の開催日程がいまだ固まらない状況を踏まえ、現政権として、早期に求められている医療機関や介護施設への経営の支援について、どのように対応を考えられているかお伺いします。
- 大臣:
- 医療機関や介護施設の方々は物価高騰等の厳しい状況に直面されていると認識しており、私自身、切迫感のある様々なお声を伺っているということは、これまでも再三申し上げてきたとおりです。そのため、現場に一刻も早く支援をお届けするということは大変重要であると考えており、これまでの取組としても、補正予算を措置しながら、その効果が行き届くまでの間、資金繰りの悪化で必要な医療・介護サービスが継続できない事態を避けるために、本年4月からは、福祉医療機構の融資を大幅に拡充したところであり、引き続き速やかな支援に取り組んでまいりたいと思います。国会日程についてのコメントは差し控えさせていただきますが、医療や介護現場の厳しい状況を踏まえた的確な対応が必要と認識しています。これまでの課題への対応については、骨太の方針2025も踏まえて、引き続き、新内閣においても検討されるものと考えており、その具体的方策についてのコメントは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、経営の安定や現場で働く幅広い職種の方々の賃上げに確実につながるということが重要であると考えています。
- 記者:
- 予防接種データベースついて伺います。このデータベースの目的は予防接種の有効性・安全性を評価し、事後的に検証することも含まれていると思われます。特に安全性評価に関して、副反応疑い報告のデータで果たして十分かどうかという問題です。厚生労働省は新型コロナワクチンの副反応疑い報告について、救済制度の死亡認定事案との突合調査を行った結果、わずか3割しか報告が上がっていなかったことが判明していたかと思います。つまり、残り7割についての健康被害が疑われる方の情報がデータベースに取り込まれないことになるのではないかと。それで問題ないのかどうかという点について、ご見解をお聞かせください。
- 大臣:
- 予防接種データベースについては、予防接種の有効性及び安全性の向上を図るために整備することとしており、予防接種記録や副反応疑い報告のデータを格納することとしています。これに加えて、匿名医療保険等関連情報データベース等の公的データベースと連結可能な形で整備することにより、予防接種の有効性・安全性に関する分析を進めていくということを検討しています。一方、ご指摘のあった予防接種健康被害救済制度については、制度の目的などを鑑みると予防接種データベースに格納することについては、更なる検討が必要であると考えています。救済制度に関する文書のうち、新型コロナウイルス感染症関係のものについては、保存期間満了時には、歴史的緊急事態に該当する文書として、軽微なものを除き、原則、国立公文書館に移管することとなっており、基本的に永久保存されるものです。今後、これらの文書を活用することになった場合には、具体的な取扱いを検討してまいりたいと思います。
- 記者:
- 関連してお尋ねしたいのですが、大臣の会見もあと何回あるか分かりませんので。この突合調査を行ったこの3割しか副反応疑い報告が上がっていなかったということについて、既に以前も別の方から尋ねられたと思いますが、大臣としては、現状の副反応疑い報告が3割しか上がっていなかったということは、課題感、問題があると感じられていますでしょうか。それとも、現状の制度のままで今後も続けていくことに、何ら支障はないとお考えなのか。是非大臣の率直なご見解をお聞かせください。
- 大臣:
- 私は一つ一つの臨床の現場に立ち会ったわけではないので、医師の方々の判断がどうだということをこの場で判断することはできないわけですが、再三申し上げてきているように、医師等が副反応疑い事例を知ったときは、法令に基づき報告することが義務づけられているということであり、この義務づけられていることが仮にされていないケースがあるとすれば、それは正していかなければいけない、そういう意識は持っています。そのため、厚生労働省から自治体に対しては、医師等に必要に応じて副反応疑い報告の提出を促すことを依頼しており、引き続き、副反応疑い報告が確実に実施されるという体制作りに努めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 最後に一点。確実に通知しているということは、これまでもお答えがあったかと思います。それでもこういう結果になっているわけで、それは法的義務というものが担保される仕組みがないから、結果的にそれはお医者さんにお任せしていて、報告するかしないかというのは、非常に一律で義務化されていないのが実態ではないかと思います。ですので、この副反応疑い報告制度にこれだけ報告が上がっていなかったということが、今回突合調査で明らかになっているわけですから、これは何らか実効性を担保するために見直しが必要とか、そのようにお考えにはならないのでしょうか。
- 大臣:
- ですから、要因については、にわかに分かりませんが、今おっしゃったように精度を上げていくことの必要性というのは当然あると思います。そういった観点から、しっかり現場に周知されるように引き続き努めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 人口動態統計において、2020年以降、肺炎による死亡数が減少しています。2017年から2019年の3年間は、約9万5千人程度でしたが、2020年に約7万8千人に減少し、以降、昨年2024年まで7万3千人から8万人の間で推移しています。なぜ新型コロナウイルスが騒がれ始めた2020年を境に、肺炎による死亡が減少したのか、厚生労働省の見解を教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- 今お話があったように、人口動態統計における肺炎による死亡数は、令和2年が7万8,450人、令和3年が7万3,194人で、いずれも前年より1万7,068人、5,256人の減少となっています。なお、令和4年以降については7万4,013名、7万5,753名、8万176名ということで増加してきており、令和6年は、今申し上げたように8万176人となっているところです。ご指摘の肺炎による死亡数の減少については、新型コロナが約3年間にわたって流行したことが影響したという可能性については否定できないと考えていますが、死亡診断書に記載された各死因の数の増減要因について、人口動態統計の結果からは、正確な評価を行うことは難しいと考えています。前回も申し上げたように、新型コロナウイルス感染症による死因以外が増減した原因について、分析ができるかどうかも含めて、JIHSの専門家の意見を聴いているところであり、そういった意見も聴きながら検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 例えば2021年を例に挙げると、肺炎の死亡が約7万3千人で、コロナの死亡が約1万7千人近く、足すと9万人くらいで、コロナ前の肺炎の水準に近くなるのですが、厚生労働省では、死因がこれまで肺炎と計上されていたものが、コロナ感染症以降、コロナに一部差し替わっている。このような見解をお持ちでしょうか。
- 大臣:
- そこについては先ほども申し上げたように、コロナが流行したことが影響した可能性については否定できないと考えていますが、それが今おっしゃったような結論にそのまま結びつくかということも含めて、専門家の意見も含めながら検討を進めてまいりたいということです。
- 記者:
- もし仮に私が申し上げたとおりですと、先ほど大臣も「歴史的緊急事態」と表現されていましたが、実は、肺炎に収まっていたものが一部、統計上離れてコロナとなっただけであり、実際2020年の死亡数は前年より大きく減っていますので、果たして緊急事態だったのかも疑問に思ってくるのですが、そのあたり是非検証していただければと思います。よろしくお願いします。
(了)