福岡大臣会見概要

(令和7年10月7日(火)11:28~11:45 省内会見室)

広報室

会見の詳細

閣議等について


大臣:
冒頭私から1点申し上げます。坂口志文氏のノーベル生理学・医学賞受賞についてです。昨日、ノーベル生理学・医学賞の発表があり、大阪大学の坂口志文氏が受賞されました。坂口さんは、自己免疫疾患などに深く関わる制御性T細胞を発見するなど、免疫学の発展に大きく貢献されたものと認識しています。今般、我が国の研究者による研究成果が国際的にも高く評価されたということであり、大変誇りに思います。心からお慶びとお祝いを申し上げます。

質疑

記者:
診療報酬改定についてお伺いします。先週、国立大学病院における今年度の損益が過去最大の赤字になるとの見通しが発表され、病院側は改定率の大幅な引上げを求めています。また、自民党の新総裁となった高市氏は就任直後の会見で、診療報酬の改定について「待ったなしの状況だ」として臨時国会での補正予算での対応についても言及しました。厚生労働大臣として、改定率の大幅な引上げについての要望への受け止めと、診療報酬の引上げの前倒し改定についてのご意見を教えてください。
大臣:
今ご指摘があった国立大学病院をはじめとして、医療機関は物価高騰や医療需要の急激な変化などの大変厳しい状況に直面していると認識しており、こうした状況を受けて、新総裁がご発言されたものと承知しています。これまで、診療報酬改定や補正予算などで一定の措置を講じてきたところですが、依然として物価高騰などの影響があると承知しています。これらの課題への対応については、骨太の方針2025も踏まえて、新内閣において検討されるものと考えており、その具体的方策についてのコメントは差し控えさせていただきますが、いずれにしても、経営の安定や現場において働く方々の幅広い職種の賃上げに確実につながっていくということが重要であると考えています。
記者:
今の診療報酬・介護報酬の改定に関連してお伺いします。高市新総裁は報酬改定について、総裁選期間中「税収の上振れ分で対応可能だ」という趣旨のご発言をされていました。ただ、仮に大幅な引上げになった場合、社会保険料の負担増につながるおそれはないのでしょうか。その点についてのご見識をお伺いできればと思います。
大臣:
高市新総裁が総裁選中やその後の会見等でご発言された内容については承知していますが、そのご発言された診療報酬・介護報酬の改定の実施方法や規模、財源の確保方法について、現時点において、仮定のお尋ねにお答えすることは大変困難であり、具体的な改定の内容や財政規模、その負担の在り方といった様々な観点も踏まえて、新内閣において検討されるものと承知しています。
記者:
有料老人ホームの参入規制について伺います。厚生労働省は、有料老人ホームに登録制などの参入規制を導入する案を有識者検討会で提示し、大筋で了承されました。この秋にも有識者検討会で取りまとめる見込みとなっています。運営事業者が入居者に関連法人のサービスを過剰に提供する囲い込みなどが問題となっている現状を踏まえ、厚生労働省としてサービスの質・確保に向けてどのように取り組まれていくのか、参入規制の意義や目的と併せてお聞かせください。
大臣:
有料老人ホームについては、住まいであるとともに、介護サービスなどが提供される場であり、公平性・透明性やサービスの質を確保しつつ、高齢者ご本人の選択に基づいて利用されることが重要だと考えています。今月3日に開催された有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会において、入居者保護を強化すべく、中重度の要介護者や医療ケアを要する要介護者などを入居対象とする有料老人ホームに登録制等の導入を検討することなどを盛り込んだ取りまとめの素案を提示し、ご議論いただいたところです。今後、広く国民・関係業界のご意見を伺う観点から、パブリックコメントなどを実施した上で、秋頃の取りまとめを目指しているところであり、有料老人ホームの運営やサービスの透明性・質の確保に向けて、検討会での議論も踏まえて、必要な対応を行ってまいりたいと思います。
記者:
自民党の高市新総裁は4日の就任挨拶で、「馬車馬のように働いていただきます。私自身もワークライフバランスという言葉を捨てます。働いて働いて働いて働いて、働いてまいります。」と述べました。過労死事案を担当してきた弁護士や過労死遺族らからは、単なる一個人の発言ではなく長時間労働の強要につながるのではとの懸念や抗議の声が上がっています。過労死が社会問題化し、2014年に過労死等防止対策推進法を成立させ、働き方改革を推進してきた厚生労働省の大臣として、この発言をどのように受け止めますか。ご見解をお聞かせください。
大臣:
厚生労働省としては、働くことで命を落としたり健康を損なったりすることは、あってはならないことであると考えており、引き続き、過労死等防止対策推進法も踏まえて、関係省庁とも連携しながら過労死等の防止のための対策に全力で取り組んでまいりたいと思います。
記者:
前回10月3日の会見において福岡大臣は、「ファイザー社は新型コロナワクチンの重症化予防効果に認識はあるものと受け止めている」とおっしゃいました。しかし、これは私がファイザー社に確認した「重症化予防効果の見解はない」ということと相違するかと思います。事実確認するとのことですが、その後いかがでしょうか。1点補足ですが、前回私は大臣に、「ファイザー社は重症化予防効果を評価していない」と申し上げてしまいましたが、正確に、昨日確認したところ、「見解はない」という言葉でした。失礼いたしました。
大臣:
前回と重複する部分がありますが、2021年10月の審議会で報告された重症化予防効果に関する論文内で、ファイザー社に最終結果を報告したことが記載されていることなどから、同社は、重症化予防効果について認識しているものと受け止めています。このことについては、先般会見でもお尋ねがあったので、私どもとしてもファイザー社には確認させていただいていますが、ファイザー社がどのように認識しているかということについて、私の立場から言うのも誤解を招く可能性があるので、ファイザー社がどのような認識であるかについては同社に直接お尋ねいただきたいと思います。
記者:
確認ですが、ファイザー社の臨床試験を基に、コロナのワクチンを承認していると思いますが、その中で重症化予防効果という極めて基本的な性能を厚生労働省が把握していないというのが現状という理解でよろしいでしょうか。
大臣:
そこは前回も申し上げたように、2021年10月の審議会において重症化予防効果というものは論文として出されて、その効果について皆様方から最終報告がなされたということですから、私どもとしてその結果というのは受け止めています。そこの内容について、ファイザー社も報告を受けていると認識していますが、ファイザー社がどのように受け止めているかということについては、直接ファイザー社にお問い合わせいただきたいということです。
記者:
承認をするに当たって、製造販売元ファイザーが重症化予防効果は見解はないというのが答えなわけですが、承認においては製造販売業者がそういった見解をもっているかどうかは、また別の問題だという、そういう理解でよろしいでしょうか。
大臣:
少なくとも薬事承認の段階においては、発症予防ということにおいて承認されたと承知しています。その後、ワクチンを接種する中で様々な効果が認められているということで、先ほど申し上げた審議会で重症化予防についても報告されたということです。そこについて、製造元のファイザー社がどのように受け止めているかということについては、ファイザー社に直接認識をお問い合わせいただければということです。
記者:
認識をとった上で質問なのですが、それはこれまで何億本とファイザー社のワクチンを購入してきて、数千億円になるかと思いますが、にもかかわらず、重症化予防効果が製薬会社はなんと言っているかどうかが分からないということが問題ではないかと申し上げているのですが、問題ではないということですか。
大臣:
ですから、そこは申し上げたように、重症化予防効果についても論文を報告しているということが事実としてあるわけですから、ファイザー社も受け止めているということについては、私どもも前回申し上げたとおりです。それを受けて、ファイザー社自身が論文に対してどういう認識を持っているかということについては、同社に直接お問い合わせいただきたいということです。
記者:
新型コロナワクチンの感染予防効果について2点お尋ねします。同ワクチンに感染予防効果を確認したのは2021年10月28日の審議会ということですが、どのような方法で確認されたのか、先回の会見でお答えいただけなかったので改めて教えてください。2問目です。新型コロナワクチンに感染予防効果を確認したのが2021年10月28日ということですが、このワクチンを同年2月17日から臨時接種の対象としたのは、予防接種法に違反しないのでしょうか。予防接種法第6条、臨時に行う予防接種の条文は、「まん延予防上緊急の必要があると認めるときは」とうたっています。
大臣:
新型コロナワクチンの効果については、2021年10月28日の審議会において、感染予防効果と重症化予防効果があるものの持続期間が限定的であるとする論文の概要を提示し、その上で質疑も踏まえて、内容を確認いただいているところです。その上で論点として提示していた追加接種を行うこと及び初回、2回目接種の継続の方針についてご議論いただき、決定したものと承知しています。ご指摘の現行の予防接種法第6条の「まん延予防上緊急の必要があるときは」という文言の要件は、臨時接種に用いるワクチンを判断する際の要件ではなく、新型コロナウイルス感染症を臨時接種の対象とすべきか否かを判断する際の要件です。特例臨時接種に用いるワクチンについては、当時の予防接種法の根拠規定において、その有効性及び安全性に関する情報その他の情報に鑑み、厚生労働省令で定めることとされていたものです。これを踏まえて、特例臨時接種当初、臨床試験における発症予防効果が認められたファイザー社のワクチンを用いることとし、広く国民の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らし、結果として新型コロナウイルス感染症の蔓延の防止を図ることを目的としてワクチン接種を開始したものです。このため、特例臨時接種の開始当初において感染予防効果が認められていなかったことをもって予防接種法に反しているとのご指摘は当たらないと考えています。
記者:
関連でお願いします。1問目ですが、審議会の議事録を見ても、多数決も採っていませんし、「ご異議ありませんか」と同意も求めていません。感染予防効果については、事務局から説明があったのみで、この会議の中でどの委員からもこれについての言及がありませんでした。感染予防効果については。ただ資料を配付したことをもって確認したと大臣はおっしゃっていることになりますが、これでは全員が同意したとは受け取れないのですが、いかがでしょうか。
大臣:
そこは先ほども申し上げたように、論文の概要を提示した上で各委員の方々には内容をご確認いただいているということです。その上で、詳細にどういうやり取りがあったか等については事務方にご確認いただきたいと思います。
記者:
先ほどもありましたが、高市早苗新総裁の勝利演説における発言について質問します。高市新総裁のこのような発言は、自民党内に向けた発言だったと弁明しても、極めて大きな社会的影響力を持つと思われます。何よりも、働く女性への影響は甚大です。また、長時間労働や労働強化が進む懸念もあり、サービス残業を強要するようなブラック企業にとっては好都合かもしれません。日本は少子化がますます深刻化する一方、70年代半ばに合計特殊出生率が人口置換水準を下回ってから一度も回復したことがなく、半世紀も少子化が続いたため、生産年齢人口の空洞化が甚だしく、労働力を補うために女性の労働力化を必要としています。しかし、高市新総裁のこのような発言により、仕事と子どもを産み育てることがますます困難になり、少子高齢化と人口減少に拍車をかけることは避けられず、結果、日本を亡国へと導くことにならないでしょうか。厚生労働行政の長として高市総裁の発言についてどのようなお考えを持っているか、お聞かせください。
大臣:
多様な人材が安心して働くことのできる環境を整備することというのは、極めて重要であると考えています。男女ともに、仕事と家庭を両立しながら希望に応じてキャリアを形成できるように、厚生労働省としては、引き続きその実現に全力を上げていきたいと思います。

(了)