福岡大臣会見概要
(令和7年10月3日(金)10:46~11:04 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 冒頭私から1点ございます。令和7年8月分の雇用統計についてです。令和7年8月の有効求人倍率は1.20倍と、前月より0.02ポイント低下となりました。また、完全失業率は2.6%と、前月より0.3ポイント上昇となりました。求人・求職の動向や労働力調査の結果をみますと、現在の雇用情勢は、求人が微減となる中、自己都合離職による求職者が増加し、有効求人倍率は低下したものの、緩やかに持ち直しています。物価上昇等が雇用に与える影響に留意する必要があると考えています。
質疑
- 記者:
- 介護保険制度の見直しについて伺います。利用者の増加や介護報酬のプラス改定などから2024年度の介護費用は過去最多を更新しました。介護分野は人材確保の点からも介護人材の処遇改善が求められる一方で、現役世代の保険料の負担軽減の声も上がっています。介護保険制度の見直しについて議論も始まりましたが、今後利用者負担の在り方などどうあるべきか、大臣のご意見をお聞かせください。
- 大臣:
- 2040年に向けて、人口減少によるサービス需要の変化に地域差が生じる中にあっても、中山間地域や人口減少地域を含めて必要な介護サービスを維持・確保し、介護保険制度を持続可能なものとしていくということは、大変重要な課題と考えています。本年6月に閣議決定された骨太の方針においても、現役世代の負担を軽減しつつ、年齢に関わりなく能力に応じて負担し、個性を活かして支え合う全世代型社会保障の構築が不可欠である。また、介護保険制度について、給付と負担の見直しに関する課題について、2025年末までに結論が得られるよう検討するということが記されています。この方針に沿って、9月29日の介護保険部会において議論を開始したところであり、引き続き、介護保険部会等において、様々なご意見をしっかりと聴きながら、丁寧に検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 能登地震被災者への医療費一部負担金免除に関して、国からの財政支援は今年の9月末までとされており、ホームページなどを見る限り延長などを示す通知は出されていませんが、この財政支援は9月末で打ち切りということでしょうか。
- 大臣:
- 国民健康保険や後期高齢者医療制度においては、災害が生じた場合に、市町村などの保険者の判断で、被災者の方々の医療機関の窓口での一部負担金の支払いを減免できることとされています。その上で、令和6年の能登半島地震による被災者の方々については、令和6年12月までの1年間、市町村等が実施した減免分の全額を国が財政支援し、その後、本年1月から9月まで、引き続き減免状況に応じた特別の財政措置を行ってきたところです。9月時点で減免を継続していたのは、富山県・福井県の一部の市町村などに限られていたことや、過去の災害における支援状況などを勘案し、この特別の財政支援については9月末で終了することとしたものです。
- 記者:
- 地震後、能登とかでは、相次ぐ豪雨被害や建築資材の高騰などにより生活再建に困難を極めているという状況があります。また、長引く物価高騰に加えて、9月末での75歳以上の医療費の窓口負担2割化の配慮措置が終了、国による電気・ガス支援の終了などが被災者の困難に追い打ちをかけているという状況もあります。こうした中で国が財政支援を打ち切ったということは、大臣の認識としては、被災者の生活は震災発生前の状況に戻ったという認識でしょうか。
- 大臣:
- 今般、被災地域の減免の実施状況などを勘案し、保険者への特別の財政支援について終了することとしましたが、被災者の方々がそれぞれ生活再建に向けて取り組んでおられるところ、引き続き、関係省庁とも連携しながら、被災者の方々への支援に丁寧に対応してまいりたいと思います。なお、災害時の一般的な措置として、市町村などが一定規模以上の一部負担金の減免を行った場合には、国から一定の財政支援を行う仕組みを設けており、能登半島地震の被災地域においても、引き続きこの仕組みの対象とはなるものです。
- 記者:
- 予防接種のデータベースについてお尋ねします。データベースに格納が法律上義務づけられる記録の範囲ですが、データベースが稼働する来年6月以降に実施された接種の記録に限られるのか、データベースが稼働する前に既に実施された接種で、自治体が保存しているような記録も対象に含まれるのかという点について確認させてください。関連して2点目も併せてお尋ねしますが、現在、新型コロナワクチンに関する副反応疑い報告、救済制度に関する記録。こちらも自治体等に分散されていると思いますが、この保存期間は現状どうなっているのか、将来の調査検証で必要となった時まできちんと保存されるように対応・手当がなされているのかどうかについてもお聞かせください。
- 大臣:
- 1点目の質問についてお答えします。改正後の予防接種法に基づく自治体からの報告義務の範囲については、令和8年6月の改正法の施行日以降の接種記録を基本とすることを想定しています。ただ、今までのやりとりでも申し上げたように、令和3年2月からの新型コロナウイルス感染症の特例臨時接種に関する記録については、改正法の施行日以前の記録ですが、自治体の保管を経て、適切に予防接種データベースに格納されるよう、改正法に基づく報告義務の対象として必要な法令の手当を行う予定としているところです。前回も申し上げたように、年内に審議会にてご議論いただく予定であり、その結果に基づいて、自治体に対して必要な取扱いを示すこととしているということです。2点目の質問ですが、お尋ねの各行政文書については、公文書管理法にのっとって保存していますが、新型コロナウイルス関係について申し上げれば、保存期間満了時には歴史的緊急事態に該当する文書として、軽微なものを除き、原則、国立公文書館に移管することとなっており、基本的に永久保存されるものということです。
- 記者:
- 副反応疑い報告等についてお尋ねしたのですが、今の大臣のご答弁はそれも含まれているという理解でよろしいでしょうか。
- 大臣:
- そういうことです。
- 記者:
- 福岡大臣は、9月26日の定例会見において、薬事承認後においては、審議会において医療機関などから報告があったワクチン接種後の副反応疑い報告を全例評価しており、現時点でワクチンの安全性に係る重大な懸念は認められていないと評価されていることを根拠として、ワクチン問題研究会からの要望書において求められている対応、つまり、mRNAワクチンの接種中止と市場回収を行う必要があるとは考えていないとおっしゃいました。審議会を構成する委員の方々は、その全例評価の過程において、何をどのような基準に基づいて評価・判断し、重大な懸念は認められないと結論を下すのでしょうか。審議会が下した結論の科学的な根拠やエビデンスを示してください。
- 大臣:
- 重ねて申し上げているように、新型コロナワクチンの安全性については、審議会において、医師等から報告された副反応疑い報告を全例評価しているところです。審議会においては、一律の基準は設定していませんが、その時点で得られている情報や科学的知見に基づいて、安全性を継続的に確認させていただいているものです。実際に、新型コロナワクチン接種後の若年男性で心筋炎や心膜炎の発生頻度が高いことが、副反応疑い報告の頻度と背景発現率の比較解析等により判明した際には、ワクチンの添付文書や厚生労働省のホームページ・リーフレットなどにより、医療関係者及び国民に広く注意喚起するなど、安全性の確認及び所要の措置を講じてきているところです。審議会においては、現時点で接種を見合わせるほどの重大な懸念は認められないと評価されており、引き続き、科学的知見の収集に努め、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関等に情報提供を行ってまいりたいと思います。
- 記者:
- 前回の大臣会見において福岡大臣は、「新型コロナワクチンの製造販売業者が感染予防効果を認めているかどうかは、私どもとしては承知しておりません」とおっしゃいました。では、重症化予防効果については、ファイザーなどの製薬企業は認めているのでしょうか。
- 大臣:
- 2021年10月の審議会においては、ファイザー社のワクチンの重症化予防効果に係る研究論文が報告されており、この論文の中でファイザー社に最終結果を報告したことが記載されていること、ファイザー社が同社のホームページでまとめている「新型コロナウイルス感染症に関する情報」の中で、厚生労働省のホームページを参照して、重症化予防について触れられていることなどから、重症化予防効果についての認識はあるものと受け止めています。
- 記者:
- 2日前にファイザーに電話をしたのですが、そこで得られたのは、重症化予防効果は社としては評価していないという回答でした。つまり、ずっと重症化予防効果を販売会社すらうたっていなかったのに、外部の研究などであるからということで、接種を推進してきた。こういう理解でよろしいでしょうか。
- 大臣:
- その内容については改めて確認させていただきますが、おそらく薬事承認の段階で効果としてされていない以上、そのように答えられたということで、私どもとしては、ファイザー社の認識としては、今さっき申し上げたような認識であられると承知していますが、今のご質問を含めて、もう1回事実関係は確認したいと思います。
- 記者:
- RSウイルス感染症予防に用いるお薬の定期接種化についてご質問です。まず、抗体製剤ベイフォータスについてですが、昨年度の小委員会では委員から、「抗体製剤が、予防接種法で定期接種の対象と定めるワクチンに該当しないのではないか」という意見が上がっていました。それについて、法解釈の範囲で対応していくのか、法改正も含めて考えていくのかお聞かせください。また同様に、母子免疫ワクチンのアブリスボについても定期接種化について検討段階かと思いますが、母体への接種という特性上、こちらも予防接種法の定期接種の対象外ではないかという意見が上がっています。同様にこちらも大臣の考えをお聞かせください。
- 大臣:
- ご指摘の予防接種法の解釈については、様々なご意見があることは承知しています。そこについては現在、精査を行っているところです。RSウイルス感染症の予防接種の定期接種化についても、今後、審議会でご議論していくこととしており、ご指摘について、現時点で予断をもってお答えすることは差し控えさせていただきます。
- 記者:
- 新型コロナワクチン接種をめぐる政府広報についてお尋ねします。同ワクチンに感染予防効果を確認したのは2021年10月28日の審議会ということでしたが、それよりも前にこれをPRした例が確認できます。例えば、河野太郎ワクチン担当相当時が2021年9月30日から、「ワクチン接種は、皆さんの大切な人たち、家族、友達、恋人をコロナから守ることにもつながる」と広報していますし、遡る3ヶ月前、河野氏は6月に収録したはじめしゃちょーとの対談形式の広報で、「ワクチン打ったらたぶん感染しないってことも言えるんだと。人にうつすこともないんで、周りの人も守るっていうことになるから、ぜひ若い人にも打ってもらいたい。」と発言しています。他にも、菅義偉首相当時が2021年5月28日の記者会見で、「感染を防止し収束へ向かわせる切り札が、ワクチンです。」と接種を呼び掛けていますし、同種の文言が少なくとも同年8月の政府広報チラシに書かれています。これらの広報は科学的根拠が出そろわない中で発信されたもので、不適切だったことにならないでしょうか。大臣の見解をお願いします。
- 大臣:
- 厚生労働省における審議会で新型コロナワクチンの感染予防効果の知見を整理して確認したのは、ご指摘があったように2021年10月28日ということは申し上げてきたとおりです。特例臨時接種の開始前である2020年12月25日の審議会において、臨床試験における発症予防効果の知見が確認されていたことに加えて、当時の河野ワクチン担当大臣、菅総理のご発言のあった2021年5月から6月頃にはイギリスなどワクチン接種が進んでいる国において感染予防効果も一定程度期待されることが示唆されていたと承知しています。お二人の発言は、そのような状況を踏まえてご発言されたものと考えています。
- 記者:
- しかし、厚生労働省としては認めていなかったわけですから、官邸の方のこれらの発言というのはミスリードだったといえないでしょうか。
- 大臣:
- そこは先ほども申し上げたように、審議会において確認したのは2021年10月28日ということですが、それ以前においてもイギリスなどで効果が期待されることが示唆されていたという背景を受けてご発言されたものだということです。
- 記者:
- そもそもメーカーが認めていない効果を審議会で承認するというのは、おかしいと思いませんか。
- 大臣:
- 審議会において、どのような効果があるか様々な論文等を踏まえてご判断されるということがおかしいという判断にはつながらないと思います。
- 記者:
- では最後にもう1問だけ確認だけさせてください。2021月10月28日の審議会で承認されたということですが、提出されたペーパーは拝見しましたが、これはどういうやり方で承認に至ったのでしょうか。多数決とか採られたんでしょうか。異論ありませんね、ということで何か同意を求められたのでしょうか。どのような形でなったか教えていただけないでしょうか。
- 大臣:
- このやりとりについては、今ご指摘を踏まえて、どういうやり方をしたのか確認させていただきます。
(了)