福岡大臣会見概要
(令和7年9月26日(金)10:08~10:29 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にありません。
質疑
- 記者:
- 健保連が昨日、全国の健保の6年度決算の見込みを発表しました。半数近くの健保が赤字であるなど、厳しい状況が浮き彫りになっています。健保連は同時に提言も発表しており、高齢者の医療費の自己負担割合の拡大や、構造的な要因で額が増大しているといえる高齢者医療についての税負担の見直しを提言しています。大臣は健保の状況をどうご覧になり、こうした提言をどう評価されるでしょうか。伺います。
- 大臣:
- 健保組合の財政状況については、今回発表された決算見込みにおいて、経常収支が黒字となっているものの、医療の高度化や高齢化に伴って今後も給付費や拠出金の更なる増加が見込まれることなどを踏まえて、引き続き注視していく必要があると考えています。提言にもあったとおり、現役世代の負担軽減というのは大変重要な課題であると認識しており、高齢者医療への拠出金に係る負担が重い健康保険組合に対して財政支援を行うとともに、年齢にかかわらず負担能力に応じて支え合う観点から、後期高齢者の窓口2割負担の導入や、医療給付費のうち高齢者自身の保険料で賄う割合の引上げなどをこれまでも行ってきたところです。引き続き、現役世代の負担軽減を図っていくためにも、一昨年末にとりまとめた改革工程に沿って着実に検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 給付付き税額控除についてお伺いします。昨日、自民党と公明党、立憲民主党の間で給付付き税額控除の制度設計についての協議体の立ち上げがありました。導入された場合は新たな所得再分配機能を持つ制度となりますが、この制度についての大臣の評価をお伺いします。また、導入された場合に厚生労働行政にどのような影響があるかについても併せてお教えください。
- 大臣:
- 昨日、給付付き税額控除について、自民党、公明党、立憲民主党による会合が開催されたことについては承知しています。先日、官房長官からもお答えしているとおり、厚生労働省としても、生活困窮世帯や子育て世帯など困っている方々に手厚く支援することは大変重要であると考えていますが、一般的に、給付付き税額控除を導入する場合においては、所得などの正確な把握や給付に必要な事務負担への対応、安定財源の確保や、生活保護をはじめとする他の社会保障施策との関係などについて整理する必要があるのではないかと考えています。
- 記者:
- 資格確認書の一括交付についてお伺いします。健保連は加盟組合に対して、マイナ保険証未紐付けの方に資格確認書を一括交付する際に、マイナ保険証を使用しないという明確な意思は確認できないと断定され、資格確認書を通常とは異なるA4サイズで、短期の仕様で交付し、早期にマイナ保険証への切り替えを促しています。使い勝手が非常に悪く、期間も短いA4サイズの資格確認書を被保険者本人だけではなく、子どもや扶養家族となる親にも発行することを意味しますが、これはマイナ保険証への露骨な誘導であり嫌がらせとも捉えられなくもないと思います。マイナ保険証を使用しないという明確な意思は確認できないと恣意的に解釈するのではなく、マイナ保険証を利用登録していない方には無条件で通常の資格確認書を交付すべきではないでしょうか。お考えをお聞かせください。
- 大臣:
- マイナ保険証であっても資格確認書であっても、患者の方々が必要な医療を受けられる環境を整備することは大変重要であると考えています。その上で、どのようなサイズの資格確認書を発行するか、また、資格確認書の有効期間をどのように設定するかは、各保険者において、実務体制に応じて設定されるものです。各保険者において、患者の方々が医療機関等を切れ目なく受診できるような対応を徹底するとともに、加入者に対しても丁寧に説明していただくことが重要であると考えており、引き続き周知を図っていきたいと考えています。
- 記者:
- 同じ健保組合の資格確認書を交付される人の中で、通常の5年とか、通常のカードサイズのものをA4短期のものと区分けするというところに問題を私たちは指摘しています。例えば被用者保険であって、私は協会けんぽなのですが、何も意思表示しなくても資格確認書を家族の分、きっちりプレート型のものが来ましたので、それが当然であるべきだと思います。この間の厚生労働省の説明と大臣の答弁とで、組合の自治というのは分かりますが、ずいぶん乖離していると思うので、是非そういったことがないように、運用上のご見解をあらためてお示しいただければと思います。
- 大臣:
- 先ほども申し上げましたが、資格確認書をどのように発行するかについては、各組合がそれぞれの実情に応じて判断するものであり、資格確認書のサイズや有効期間を健保連が一律に指定しているものではないと承知しています。あくまでも健保連も、提案という形でお示ししていると認識しており、これだけをもって直ちに不適当であるとは申し上げられないと考えていますが、先ほども申し上げたように、患者の方々が医療機関等を切れ目なく受診できるような環境について、引き続きしっかり注視してまいりたいと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンについて2点伺います。現在、予防接種健康被害救済制度において9,290件、うち1,035名の死亡が認定されていますが、中止されることなく10月からは定期接種が始まろうとしています。過去にはこの救済制度において、日本脳炎ワクチンで13例、重症例4例のADEM、急性散在性脳脊髄炎を認定したことを契機として、厚生労働省は日本脳炎ワクチンの積極的接種勧奨を差し控えました。この対応の違いについて教えていただけますでしょうか。2点目です。以前質問いたしました予防接種健康被害救済制度における心筋炎・心膜炎の申請あるいは認定事例のうち、副反応疑い報告制度に提出されているものが何件あるかの調査に関して、調査の方針は決定しましたでしょうか。
- 大臣:
- まず、1点目のご質問についてです。日本脳炎については、平成17年に、当時の疾病・障害認定審査会による救済認定を踏まえて、積極的勧奨を差し控えることとしましたが、これは、当時の副反応報告制度が、通知に基づく任意の報告制度であったことに加えて、同制度に基づく副反応報告事例を専門家組織が収集・調査し、それを予防接種施策に適切に反映する仕組みが整備されていなかったという事情によるものです。その後、平成25年に、予防接種法の改正により医師などに対して副反応疑い報告を義務づけるとともに、厚生科学審議会に新たに予防接種・ワクチン分科会を置き、現在は、医師などからの副反応疑い報告について、PMDAによる情報整理を行った上で、この審議会において安全性を評価することとしています。このように、現在は、副反応疑い報告制度が法定化されており、新型コロナワクチンの安全性の評価については、審議会において副反応疑い報告を全例評価しているところであり、現時点で重大な懸念は認められないと評価されています。なお、令和6年度以降の新型コロナワクチンの定期接種について、積極的勧奨は行っていないところです。もう1点の質問について申し上げます。ご指摘の確認内容については、担当の部局においてデータ整理を行い、予防接種健康被害救済制度の認定情報と副反応疑い報告との突合作業を今行っているところです。突合の作業としては、救済の認定リストから心筋炎又は心膜炎の認定区分を抽出する。その上で、PMDAの副反応疑い報告データから、新型コロナに係る副反応疑い報告のうち、心筋炎又は心膜炎に報告がなされたものを抽出する。その後にPMDAの副反応疑い報告データにある受付番号を基に副反応疑い報告の原本を特定し、そのデータリストを氏名・住所・生年月日・性別などをリスト化して、そのリスト化したデータを元々の救済リストと突合するという作業を行うということであり、終わり次第ご報告させていただきますが、その作業に一定の時間を要しているということをご理解いただきたいと思います。
- 記者:
- 1点目についてですが、副反応疑い報告制度の区分によって変わっていると理解しましたが、現在、大臣が調べてくださったとおり、救済制度の死亡認定事例ですら3割程度しか報告されていなかったことが明らかになっています。救済制度の死亡認定なり認定事例を、安全性に役立てるという観点を大臣は今お持ちでしょうか。副反応疑い報告がちゃんと報告されていないという事実はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
- 大臣:
- 前回も申し上げましたように、それぞれ制度の趣旨が違いますが、ご指摘があったように、救済制度の案件の中でも副反応疑いとして報告されるべきものがしっかり適切に報告されるということについて、それは大切な観点だと思っており、それは従来からも申し上げてきましたし、先般も申し上げているように、あらためてその事務連絡を徹底するように私からも申し上げてきたところで、それを引き続き徹底してまいりたいと思います。
- 記者:
- もう1点ですが、副反応疑い報告にほとんど報告されていないということがある一方で、報告された事例を、大臣は全例評価とおっしゃいますが、死亡事例であれば2,295名中2,282件、99.4%が情報不足等により評価不能となっています。これは大臣、全例評価しているといえるのでしょうか。
- 大臣:
- 全例を評価しているということは従来申し上げてきたとおりで、ただ、一度評価されればそれでおしまいということではなく、引き続きデータの収集の中で新たな知見等が発見された場合には、しっかり医療機関等に共有するということも申し上げてきたとおりであり、引き続き状況についてしっかり注視してまいりたいと思います。
- 記者:
- 確認ですが、99.4%評価できていないという、それが評価できていると大臣はお考えになっているという認識でよろしいですか。
- 大臣:
- ですから、99.4%が評価できていないと判断されても、引き続き、そういった事例等について、必要なデータが上がってきた場合には再度検証していくという姿勢です。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの予防接種記録についてお尋ねします。接種後死亡者の記録保存期間が今は死後5年間になっているかと思います。前回の会見でもお尋ねしましたが、死後5年間という保存期間ですと2021年2月から初回接種が始まりましたので、その後亡くなった方は来年2月以降順次5年の期限を迎え、廃棄される可能性が否定できないように思います。そうしますと、来年稼働を予定している予防接種データベースに全ての記録を漏れなく取り込むことができなくなる懸念があるのではないのでしょうか。その辺の制度的な担保は問題なくできているのかどうか、もし見直しの必要があれば何らかの大臣指示は出されているのかどうか、お聞かせください。
- 大臣:
- 現在、予防接種データベースの構築を進めているところであり、令和8年6月以降に、改正後の予防接種法に基づき、各自治体の保存する接種記録をデータベースに格納することとしています。令和3年2月からの新型コロナウイルス感染症の特例臨時接種に関する記録については、各自治体において、現行のルールに沿って保存されているものですが、その重要性に鑑みて、今後の国における必要な調査研究に活かすために、自治体の保管を経て、適切に予防接種データベースに格納されるように、自治体における保存期間を含め、その取扱いについて検討しているところです。この取扱いについては、年内に審議会においてご議論いただく予定であり、その審議会のご議論の結果に基づいて、自治体に対して必要な取扱いを示すこととしています。問題意識については共有させていただいており、稼働開始と保存期間の間でブランクが生じないようにすべきだという問題意識については共有させていただいています。
- 記者:
- 今の点に関連してもう1点ですが、予防接種データベースには、今別の方から質問がありましたが、救済制度のデータというものは登録される予定はあるのでしょうか。副反応疑い報告のデータは入ると聞いていますが、この2つの制度が分離している状態であると。大臣も今、突合処理をするのに時間がかかるとおっしゃっていました。本来これは相互に連結して突合作業をしなくてもすぐに確認できるようなデータの共有の仕方、あるいは副反応検討部会への報告や情報共有も含めて、この問題点を検討されているのかどうかお聞かせください。
- 大臣:
- 予防接種のデータベースについては、予防接種の有効性及び安全性の向上を図るために整備するものです。そういった趣旨からすると、その救済制度の認定事例の情報を格納することが趣旨にそぐうかどうかというところも含めて、更なる検討が必要ではないかと考えています。
- 記者:
- それも年内に行われる審議会等で、予防接種データベースの格納するデータの範囲を広げる、こういった救済制度のデータにも広げるということも検討対象に入っているということでよろしいでしょうか。
- 大臣:
- 年内に行う審議会までにということは別として、先ほども申し上げましたように、予防接種データベースにどういう情報を盛り込んでいけばよいのかということについては、様々な方のご意見を伺いながら、検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- アメリカのトランプ大統領が、輸入される医薬品への関税を来月1日から100%課すという意向をSNSに示されました。これについての大臣の受け止めと、厚生労働省としての対応を伺います。また、国内の創薬分野にも政府として今力を入れているところだと思いますが、国内の新薬開発への影響なども併せて伺えればと思います。
- 大臣:
- 今ご指摘があった、トランプ大統領がご自身のSNSで投稿されたということについては承知しています。投稿については承知していますが、具体的な措置の内容が明らかではないため、その影響について予断をもってお答えすることは困難ですが、具体的な内容が分かり次第、我が国への影響を十分に精査しながら、関係省庁と連携して適切に対応してまいりたいと思います。
- 記者:
- 新型コロナワクチンについて質問します。先週9月18日、一般社団法人ワクチン問題研究会が、mRNAワクチンの承認取消及び市場回収を求める要望書を福岡大臣とPMDAの藤原理事長宛てに提出しました。取消、回収要望の根拠としては、mRNAワクチンが実質的には新規遺伝子治療薬であるが、従来型のワクチンと同様の審査基準で承認されたこと、市販後の医薬品安全監視を怠ったこと、非臨床安全性データの審査が不十分なまま承認され、長期的な安全性が未解明の状態で国民に対して多数回の接種が推奨・実施されたこと、接種開始直後からmRNAワクチン接種後の死亡例が次々と自発報告されていたにもかかわらず、国民や医療従事者に対して迅速かつ適切な注意喚起がなされなかったことなどが挙げられています。大臣が常におっしゃっていることですが、この要望書自体が専門家によるワクチンの安全性の評価であり、つまり科学的な知見であり、ここで指摘されている問題は非常に重大な懸念であると考えます。この要望書に対する大臣の率直なお考えをお聞かせください。
- 大臣:
- ご指摘の要望書については、担当課が受け取らせていただいています。その要望書においては、「mRNAワクチンの承認を速やかに取り消すとともに、市場に流通するmRNAワクチンの廃棄・回収を命ずるべき」などのご意見があったものと承知しています。先ほど、私が従来から申し上げているということをおっしゃったのが、何をおっしゃっているのか分かりませんが、私が従来から申し上げているのは、mRNAワクチンを含む新型コロナワクチンについては、PMDAで行われる審査及び薬事審議会での審議において、個々の品目の特性を踏まえた非臨床試験、臨床試験などの必要な科学的知見に基づいて、品質、有効性及び安全性を確認した上で薬事承認しているものです。また、薬事承認後においては、審議会において、医療機関などから報告があったワクチン接種後の副反応疑い報告を全例評価しているところであり、現時点でワクチンの安全性にかかる重大な懸念は認められていないと評価されています。このような状況ですので、現時点で、要望書において求められた対応を実施する必要があるとは考えていませんが、引き続き、科学的知見の収集に努め、専門家に評価いただき、ワクチンの安全性の評価を適切に行うとともに、新たな知見が得られた場合には、速やかに医療機関及び国民に情報提供を行ってまいりたいと思います。
(了)