福岡大臣会見概要
(令和7年9月16日(火)16:05~16:18 サンシティ北条)
広報室
会見の詳細
発言要旨
- 大臣:
- 本日は、高齢者総合福祉施設として地域の拠点となっているサンシティ北条の様々な取組を視察させていただき、また、職員の方々と意見交換させていただく貴重な機会をいただきました。芳野統括責任者をはじめ、ご準備をいただいたサンシティ北条の皆様方に心から御礼を申し上げたいと思います。視察の中では、見守りや排泄ケアに関する介護テクノロジーの導入や、ノーリフティングケアの推進、腰痛予防といった職員の方々の健康づくり支援など、職場環境の改善に向けた取組を伺うことができ、また実際の取組を拝見することができました。特に強く印象に残ったのは、新たに導入した介護テクノロジーが施設に定着するまでの取組についてです。機器に関する研修やリーダーの育成、定期的な効果測定といった取組により、介護テクノロジーの導入だけでなく、しっかりと活用、定着しており、こうした取組が、職員の方々や利用者の方々の負担軽減や満足度の向上につながっているということを強く感じました。今日お伺いした内容も踏まえて、全国の介護事業所での取組に活かしていただけるよう、生産性向上の取組事例集を作成し、周知していきたいと考えています。引き続き、介護現場で働く皆様方が活き活きと働いていただき、質の高い介護サービスを提供できるように、職場環境改善や生産性向上に更なる推進をしていきたいと思います。
質疑
- 記者:
- 今後作成されていくという事例集ですが、もう少しどういうイメージのものなのか、どういった取組を集めて、どういった形で全国に周知していくお考えか、お伺いできますでしょうか。
- 大臣:
- 先ほども申し上げましたが、サンシティ北条さんはこの間、総理官邸で表彰式を行わせていただきました。介護職員の働きやすい職場環境改善の表彰を受けられた事業所です。こういった賞を受けられた事業所の取組を紹介する、そういった事例集を作成することを想定しています。他の事業所の方々が働きやすい環境づくりに取り組む際に取り入れやすい、参考にできるヒントとなるような受賞事業所の取組をご紹介するということで、好事例の横展開を図っていきたいと考えています。令和7年度表彰の受賞事業所に関する事例集については、令和7年度末に作成して、周知を行いたいと考えています。
- 記者:
- 先ほど要望の中でも、生産性の取組に対する評価というところで、さらなる加算をという声があったかと思います。介護報酬改定自体は3年に一度なので来年度はありませんが、今後生産性の向上に向けて何か報酬や補助金という形で、事業所さんを後押ししていくような取組について、お考えがありましたらお願いします。
- 大臣:
- 介護人材の確保が難しい中で、介護サービスの質をしっかり確保しながら介護テクノロジーを活用した介護職員の方々の業務負担軽減、職場環境改善を一層推進していくということは大変大切なことであり、そのことを報酬をはじめ、様々な形で後押ししていくということは重要なことだと思っています。厚生労働省としても、令和6年度の介護報酬改定において、見守り機器等のテクノロジーを導入し、継続的に業務改善を実施することを評価する加算を創設したほか、地域医療介護総合確保基金や令和6年度補正予算を活用した補助事業により、介護現場におけるテクノロジー導入を強力に促すとともに、介護事業所からの生産性向上に関する相談を一元的に受け付けるワンストップ相談窓口を全都道府県に設置する取組を今進めているところです。令和8年度、次の予算に向けての概算要求においても、引き続き、地域医療介護総合確保基金を活用して、介護現場に対する介護テクノロジーの導入資金の支援等を実施したいと考えており、そういったことも含め、今日も様々なご意見をいただきました。どういった支援の在り方が良いのか、引き続き、厚生労働省としてもしっかり検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 先ほどの意見交換会の中でも、職員の方の確保が課題ということを大臣ご自身もおっしゃっていましたが、その要因の一つに処遇改善というところがあると思いますが、その点、今後報酬改定やどういった手段で国として対応されていくかというところをお伺いできますでしょうか。
- 大臣:
- 先ほど申し上げたように、介護職員の方々を今後にわたってしっかり確保していくためには、業務負担軽減とあわせて、そこで働く方々の処遇改善というのは大変重要なことだと認識しています。今までも補正予算等で対応してきていますが、ご承知のとおり、他産業の賃上げの状況がかなり先行していたり、物価高騰等も想定よりかなり進んでいるということもあり、そういったことを踏まえて、来年は介護報酬改定年ではありませんが、処遇改善に向けて、今後様々な予算措置も含めてどういったことができるかということについては、しっかり検討を進めてまいりたいと思っています。
- 記者:
- 今回こちらのサンシティ北条さんは、いろいろなシステムを取り入れられて、実際にそれを生産性の向上や職員の方の業務削減につなげられているということでしたが、一方で大きな法人さんというところで、資金力といいますか、お金がある程度ある、医療や教育もされてらっしゃるということで、そういったところでできる側面というのも多少あるのかなと感じまして、小規模な介護事業所さんでこういった生産性向上の取組、システムを導入しようとしても今の物価高等で目先の資金の確保でさえ困難で、導入できないという事業所さんもあるかと思いますが、そのあたりへの支援といったところは、重複してしまうところもあるかもしれませんが、改めてどのようにお考えでしょうか。
- 大臣:
- 今おっしゃいましたように、介護や障害福祉等の分野はかなり小規模な事業所さんがいらっしゃって、そういった小さな事業所も含めた生産性の向上をどうやって図っていくかということは、大変重要なテーマだと思います。そういった意味では、先ほども申し上げたように、規模の大小にかかわらず機器の導入等に対して、国がどうやって適切に支援できるのかというのもありますし、もう一つは先ほどの好事例集の話もしましたが、小規模な事業者さんは「こういうシステムがあって、これを導入すればどれだけ効率化につながるんだ」ということについて、なかなかイメージがわきづらいということもあると思います。そういった部分については、こういったものを導入したらこういった業務改善につながるんだということを分かっていただく、イメージしていただきやすいような環境をつくったり、導入したものをしっかりと皆さんで共有して、定着させて、そこで働く方々が使っていただいて、テクノロジーというのは生きるわけですから、そういった定着がどういったら図られるのかということについては、しっかり政府内でも検討を進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 今日お部屋で排泄センサーの説明を受けられたと思いますが、実際目にして、職員さんの説明を聞かれて、どのように感じられましたか。
- 大臣:
- やはり職員さんの負担軽減でいうと、全般的にそうですが、夜間帯の負担というのがかなり大きいということは様々なところからお聞きしている中で、その排泄センサーによって夜間帯の業務負担の軽減に大きく役立つというお話を伺いました。そして眠りの深さなどもセンサーで測っていただいて、心拍数なども測っていただいて、そういうことでいうと、今日ご説明もあったように、深い眠りについている方を途中で起こすということはご本人の負担にもつながりますから、そうならない形でうまくテクノロジーを使って、しっかり捕捉しながら、排泄でいえば、排泄した後というのはどうしても気持ち悪かったりしますから、適時適切にそういったタイミングでそういったケアができる体制に資するということを改めて感じましたので、こういったことがいろいろなところに広がっていけばと思っています。
- 記者:
- こういった取組を全国に広げていきたいと挨拶でもおっしゃっていたと思いますが、重ねてになってしまうかもしれませんが、介護人材の不足が叫ばれている業界にとって、最先端のシステムを導入することを、国としてどのように展開していかれたいかということを改めてお伺いします。
- 大臣:
- 先ほども申し上げたように、介護人材の確保のためには、処遇の改善とテクノロジーによる業務負担の軽減をあわせてやっていかなければいけないと思っています。そこについては先ほども申し上げたように、導入資金、特に小さい事業所さんについては、導入のためのコストをどうやって負担するのかといった問題もあるので、国としてどういう支援ができるのかということを検討していかなければいけないと思いますし、導入したものをしっかり使いこなすために、先ほどの好事例集も含め、どういった横展開を図っていくのかという検討を引き続き進めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 人材確保の面で、外国人材や若い方に対してのアプローチが大事になってくると思いますが、今日見られたようなテクノロジーがどのように機能していくかについて教えてください。
- 大臣:
- 介護職員の確保については、日本人の方もそうですし、外国人材も含めてどうやってそこをカバーしていくかだと思います。やはり外国から日本に来て、介護の分野で働いていただくとしても、私もいろいろな周辺国の方とお話しする中でも、日本の介護保険制度に対しての関心というのは、世界中で高齢化が進展していく中で、日本の介護保険制度についてしっかり学びたいというのは大きくある中で、日本が2000年に導入した介護保険制度が、いわゆる人材不足に陥っている中で、テクノロジー等を利用しながら、どうやってそこを乗り越えていくのかということを示していくということは、一つ大きな大切な視点だと思いますので、そういった点も含めて、様々な施策に当たっていきたいと思います。
(了)