福岡大臣会見概要
(令和7年9月16日(火)10:20~10:33 省内会見室)
広報室
会見の詳細
閣議等について
- 大臣:
- 私からは特にありません。
質疑
- 記者:
- ロシアのウクライナ侵略戦争が始まってから旧ソ連の抑留に関する慰霊訪問や調査はストップしていました。先般、12日だったかと思いますが、外務省はロシアへの渡航制限について一部緩和を発表しました。その関連で2点伺います。1つは、渡航制限の一部緩和についての大臣の受け止めをお聞かせください。もう1点は、これからロシア国内での抑留に関連する事業についてどのように対応されるか伺います。
- 大臣:
- ロシアにおける慰霊巡拝及び遺骨収集事業については、これまで、2国間の協定に基づき、人道的観点に立脚して実施してきたところですが、ウクライナ侵攻を受け、事業を実施することが困難な状況でした。今回、危険情報の内容が一部改定されたものの、渡航中止勧告は維持されており、ロシアへの渡航は控えていただくことが基本であることには変わりない中で、事業を再開するとしても、十分な安全対策を講じることなどが前提とされていることを踏まえて、外務省などとも連携して、適切に対応してまいりたいと思います。
- 記者:
- 高額療養費制度の見直しの検討状況についてお伺いします。高額療養費の在り方に関する専門委員会では、第3回までに患者側や保険者、医療提供側、学識者などへのヒアリングが行われ、本日開催される第4回以降、出された意見を基に議論が進められるものと伺っています。これまでヒアリングで寄せられた意見を基に、今後の見直しでどのような方向性や配慮が求められていると考えられているか、大臣の受け止めをお聞かせ下さい。また、秋までに結論を出すとされていますが、具体的にいつまでにどのように議論を進められるのかについても併せてお伺いします。
- 大臣:
- 高額療養費の見直しについては、高額療養費制度の在り方に関する専門委員会において、患者団体、保険者等からヒアリングを行うなど、関係者からご意見を伺いながら、丁寧に議論を行っているところです。本日、第4回の専門委員会を実施しますが、ヒアリング結果を踏まえて更に議論を深めていただく予定としており、この時点で、今後の見直しの方向性などについてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。検討に当たっては、患者の方々の経済的な負担が過度なものとならないよう配慮しつつ、一方で増大する高額療養費を負担能力に応じてどのように分かち合うかという観点から、引き続き丁寧に検討を進めてまいりたいと考えています。
- 記者:
- 新型コロナウイルスの起源について伺います。厚生労働省の人口動態統計において、2020年以降2025年4月までに、15万人以上が新型コロナウイルス感染症を死因として死亡されたと公表されています。もし新型コロナウイルスが人工物であったり、中国武漢研究所からの漏洩であれば、人為的過失によって取り返しのつかない大惨事が起きたことになります。実際、アメリカのホワイトハウス公式ウェブサイト「Lab Leak」では、新型コロナウイルスが研究所から漏洩した可能性を強く主張しています。そこで伺います。日本政府としてこれまで新型コロナウイルスの起源に関する国内議論は行われてきましたか。起源の調査のための予算は計上されていたのでしょうか。起源の調査はどの部署が所管しているのでしょうか。これまでの対応実績、具体的な議論の結果、予算額、所管する部署などを教えていただけますでしょうか。
- 大臣:
- 新型コロナウイルスの発生源については、WHOの新規病原体の起源に関する科学諮問グループSAGOを中心に科学的な調査が行われ、本年6月27日に報告書が公表されたと承知しています。この報告書では、発生源について、コウモリから直接、又は中間宿主を介した人獣共通感染症による感染が示唆されるとする一方で、新型コロナウイルスの起源を理解するための作業はまだ完了していない、SAGOは新たな情報が得られ次第それを精査する姿勢を維持しているとしており、今後も調査が行われるものと承知しています。厚生労働省としては、新型コロナウイルスの発生源に関する議論も含めた海外の感染症に関する情報について、引き続き、関係省庁や国立健康危機管理研究機構とも緊密に連携しながら、情報収集に努めてまいりたいと思います。
- 記者:
- 今WHOの見解をおっしゃっていただきましたが、発生から5年以上経って日本国内でどういう議論があったのかという質問なのですが、いかがでしょうか。
- 大臣:
- 今おっしゃったように、WHOの調査が行われているということで、日本政府として独自に起源を調査するということは予定していません。
- 記者:
- 大臣が所管する厚生労働省が、15万人以上ウイルスで亡くなっていると公表していて、国民の命、健康を守る大臣という立場から、いつまでたってもこのはっきりとしたことが分からない状況ではなく、せっかくJIHSなどもできたということだと思いますし、日本独自でこれを究明するというお考えはありますでしょうか。
- 大臣:
- 今さっき申し上げたこのWHOの調査に当たった方の中には、日本人の方も入ってらっしゃると承っています。国際的に解明のための調査がされているということを踏まえて、そういったことをしっかり厚生労働省としても注視してまいりたいと考えています。
- 記者:
- 今JIHSなどをはじめとして次なる感染症対策に向けていろいろ準備があると思いますが、その中で人工物であるという想定はされているのでしょうか。
- 大臣:
- 今申し上げたように、JIHSを含めて次なる感染症に向けての備えというのは怠らずにやらなければいけないと思っています。ただ、その中で、独自の組織として、今ご指摘のあった起源までを独自に調査・研究するのがいいのかどうかといったところは、そこについてはいろいろなご見解があると思います。いずれにしても、次なる感染症に向けての対応に万全を期していきたいと考えています。
- 記者:
- 次の感染症に向けて、人工物か自然物かで全く対策が変わってくるのではないかと思います。つまり、人工物であるならば、そういった研究を制限するだとか、流出しないという対策が必要になると思いますが、その対策という点において、人工物ということを考慮しないのが現状ということでよろしいでしょうか。
- 大臣:
- 人工物か否かも含めて、今WHOの中で新型コロナウイルスの起源についての調査が行われていて、この間一回発表がありましたが、更なる調査が行われると承知していますので、そういった国際的な体制の中でそういったものが解明されていくべきものだと考えています。
- 記者:
- 国際的なところに頼らなければいけないのは、何かのハードルがあるのでしょうか。日本の技術的に無理なのか、それとも外国との国際問題等を踏まえての発言なのか。なぜ日本で調査ができないのでしょうか。独自で。
- 大臣:
- 日本独自では無理だということではなく、国際的にこうした幅広い知見を収集しながら、起源の解明に努めておられるところがあるということであれば、その動向をしっかり注視していくということです。
- 記者:
- 新型コロナワクチンの感染予防効果についてお尋ねします。先回12日の会見で福岡大臣は、「感染予防効果は持続期間等の限界がある」としながらも、「感染予防効果もこれまで確認をさせていただいている」との旨を答弁されました。そこで2021年2月17日付けの「医療従事者等の範囲について」という文書をお示ししました。こちらの文書では、「感染予防の効果を期待するものではない。患者への感染予防を目的として医療従事者等に接種するものではないことに留意」との但し書きがあります。こちらの文書は確認されましたでしょうか。こちらとの整合性をお聞かせください。
- 大臣:
- ご指摘の文書は前回の会見の時にご指摘いただきました。厚生労働省ホームページの「新型コロナウイルスに関するQ&A」に掲載されている、2021年2月17日時点の資料であると承知しています。当時は初回接種を開始した時期であり、薬事承認上のワクチンの発症予防効果は確認されていましたが、ワクチンによる感染予防効果は確認されていませんでした。その後、2021年10月28日の審議会において、感染予防効果にかかる科学的知見について報告がなされているところです。そのため、先日の会見での発言と文書の整合性ということについては、整合性がないとの指摘は当たらないと考えています。
- 記者:
- 海外の知見を審議会において確認と先回おっしゃったと思います。議事録にもそのように会見録を拝見しましたらあったのですが、知見というのが臨床試験の「治験」という漢字を使っていたんですね。「知るに見る」という知見ではなく。これは間違いではないのでしょうか。
- 大臣:
- 漢字の扱い等については改めて事務的に確認してお答えさせていただきたいと思います。
- 記者:
- ファイザー社などの製薬会社は感染予防効果を認めているのでしょうか。
- 大臣:
- 今のご指摘についても、製薬会社がそういったことを認めているかどうかについては、手元の資料で確認できませんので、確認してまたご報告させていただきます。
- 記者:
- 当時の田村憲久大臣は2021年2月24日の会見で「今のところ、感染予防効果があるということ自体が認められていない」と発言されていますし、同年10月1日の会見でも「エビデンスという意味からすると、しっかりとした研究に基づいた感染予防効果がどれぐらいあるか、というものは確立したものはまだない」とおっしゃっています。これがその後の研究で払しょくされたという理解でよろしいのでしょうか。
- 大臣:
- 今ご指摘があったように、新型コロナワクチンの有効性については、薬事承認においては、臨床試験による発症予防効果が確認されているところです。今、田村元大臣のご発言等も、2月24日、10月1日ということですが、先ほども申し上げたように、資料が公表された時期は2021年10月28日の審議会であり、そこにおいて感染予防効果に係る科学的知見について報告がなされているということです。
- 記者:
- 現在はエビデンスが存在すると理解してよろしいのでしょうか。
- 大臣:
- そのように認識しています。
- 記者:
- 製薬会社が感染予防効果を認めているかどうか、追って教えていただけたらと思います。
- 大臣:
- はい。
(了)